(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】トルク制限装置を備えたギヤ装置を有する電動パーキングブレーキ
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20240221BHJP
F16H 1/20 20060101ALI20240221BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20240221BHJP
F16D 7/04 20060101ALI20240221BHJP
F16D 43/208 20060101ALI20240221BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20240221BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20240221BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20240221BHJP
F16D 125/06 20120101ALN20240221BHJP
F16D 125/48 20120101ALN20240221BHJP
F16D 125/38 20120101ALN20240221BHJP
【FI】
B60T13/74 G
F16H1/20
F16H25/20 K
F16D7/04 E
F16D43/208
F16D65/02 B
F16D65/18
F16D121:24
F16D125:06 A
F16D125:48
F16D125:38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020055453
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520096792
【氏名又は名称】ゼット・エフ・アクティブ・セーフティー・ユーエス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ガーバー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ワールフォーズ
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-101283(JP,A)
【文献】米国特許第03754412(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0096067(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0058979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/74
F16H 1/20
F16H 25/20
F16D 7/04
F16D 43/208
F16D 65/02
F16D 65/18
F16D 121/24
F16D 125/06
F16D 125/48
F16D 125/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧作動式のサービスブレーキと電気作動式のパーキングブレーキとを有する車両ディスクブレーキアセンブリであって、
ブレーキディスクと、
第1の内側部分を有する第1のブレーキピストンと、
第1のスピンドルに回転拘束されると共に第1の外側部分を有し、前記第1の外側部分は、前記第1のスピンドルが回転すると前記第1の内側部分をクランプして第1のクランプ力を生じさせ、当該第1のクランプ力が、前記第1のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合させるように構成されている、第1のスピンドルナットと、
第2の内側部分を有する第2のブレーキピストンと、
第2のスピンドルに回転拘束されると共に第2の外側部分を有し、前記第2の外側部分は、前記第2のスピンドルが回転すると前記第2の内側部分をクランプして第2のクランプ力を生じさせ、当該第2のクランプ力が、前記第2のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合させるように構成されている、第2のスピンドルナットと、
前記パーキングブレーキを作動させて適用するためのトルクを生成するように構成された電動モーターと、
前記パーキングブレーキの適用中に、第1の閾値が前記第1のクランプ力より大きいときには前記トルクの第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達し、前記第1のクランプ力が前記第1の閾値より大きいときには前記トルクの第1部分を前記第1のスピンドルにすべては伝達しないように構成された第1のトルク制限装置と、
前記パーキングブレーキの前記適用中に、第2の閾値が前記第2のクランプ力より大きいときには前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のクランプ力が前記第2の閾値より大きいときには前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべては伝達しないように構成された第2のトルク制限装置と、
を備える車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項2】
前記第1および第2の閾値が等しい、請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のクランプ力が前記第1の閾値より大きく、前記第2の閾値が前記第2のクランプ力より大きい場合、前記第2のトルク制限装置は、前記第1の閾値を超える前記トルクの前記第1部分を前記第2のスピンドルに伝達する、請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項4】
前記電動モーターが単一の電動モーターである、請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項5】
トルク制限装置の第1の総数が前記ブレーキピストンの第2の総数に等しい、請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項6】
前記パーキングブレーキの解除中、前記第1のトルク制限装置は前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のトルク制限装置は前記トルクの前記第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達する、請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の車両ディスクブレーキアセンブリであって、
前記第1および第2のトルク制限装置のそれぞれが、
第1のギヤと、
ドライブプレートと、
前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの少なくとも一方の端面にあるポケットと、
力伝達部材と、
前記ドライブプレートにバネ力を生じさせるバネ部材であって、前記パーキングブレーキの前記適用中に、
前記バネ力がクランプ力の一部より大きいときには、当該バネ力が、前記力伝達部材を前記ポケットに圧縮して保持し、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で力を伝達し、
前記クランプ力の前記一部が前記バネ力より大きいときには、当該バネ力が、前記力伝達部材を前記ポケットに保持せず、前記力が前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で伝達されない、バネ部材と、
を備える車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の車両ディスクブレーキアセンブリであって、
前記第1のトルク制限装置では、前記第1のギヤは前記トルクの前記第1部分を受けるように構成され、前記ドライブプレートは前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルに伝達するように構成され、前記バネ力が前記第1のクランプ力の一部より大きいときに当該バネ力が前記力伝達部材を前記ポケットで圧縮して保持し、
前記第2のトルク制限装置では、前記第
1のギヤは前記トルクの前記第2部分を受けるように構成され、前記ドライブプレートは前記トルクの前記第2部分を前記第2のスピンドルに伝達するように構成され、前記バネ力が前記第2のクランプ力の一部より大きいときに当該バネ力が前記力伝達部材を前記ポケットで圧縮して保持する、
車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の閾値が前記第1のトルク制限装置のバネ力に等しく、前記第2の閾値が前記第2のトルク制限装置のバネ力に等しい、請求項7に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のトルク制限装置によって伝達される前記力は前記トルクの前記第1部分であり、前記第2のトルク制限装置によって伝達される前記力は前記トルクの前記第2部分である、請求項7に記載の車両ディスクブレーキアセンブリ。
【請求項11】
第1および第2のブレーキピストンとブレーキディスクとを有する車両ディスクブレーキアセンブリ用の電気作動式のパーキングブレーキであって、
前記パーキングブレーキを作動させて適用するトルクを生成するように構成された単一の電動モーターと、
第1のトルク制限装置であって、前記パーキングブレーキの適用中に、前記ブレーキによって生成される第1のクランプ力が前記第1のトルク制限装置の第1の
バネ力に打ち勝つまで、前記トルクの第1部分を第1のスピンドルにすべて伝達し、前記第1のクランプ力が、前記第1のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合するように構成される第1のトルク制限装置と、
第2のトルク制限装置であって、前記パーキングブレーキの適用中に、前記ブレーキによって生成される第2のクランプ力が前記第2のトルク制限装置の第2の
バネ力に打ち勝つまで、前記トルクの第2部分を第2のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のクランプ力が、前記第2のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合するように構成され、
前記第1のクランプ力が前記第1のバネ力に打ち勝つと共に前記第2のバネ力が
前記第2のクランプ力に打ち勝つとき、前記第1のトルク制限装置は前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべては伝達せず、前記第1のバネ力を超える前記トルクの前記第1部分が代わりに前記第2のトルク制限装置によって前記第2のスピンドルに伝達される、
パーキングブレーキ。
【請求項12】
前記パーキングブレーキの解除中、前記第1のトルク制限装置は、前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のトルク制限装置は、前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達する、請求項11に記載のパーキングブレーキ。
【請求項13】
クランプ力を生じさせて車両ディスクブレーキアセンブリのブレーキピストンを当該車両ディスクブレーキアセンブリのブレーキディスクに対して係合させる電気作動式のパーキングブレーキ用のトルク制限装置であって、
電動モーターからトルクを受けるように構成された第1のギヤであって、前記トルクは前記パーキングブレーキを作動させて適用するように構成されている、第1のギヤと、
前記トルクを前記パーキングブレーキのスピンドルに伝達するように構成されたドライブプレートと、
第1のギヤと前記ドライブプレートとの少なくとも一方の端面にあるポケットと、
前記ポケット内で前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で圧縮された状態で保持されると、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で前記トルクを伝達し、前記ポケット内にないと、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で前記トルクを伝達しない、力伝達部材と、
前記ドライブプレートにバネ力を生成するバネ部材であって、前記パーキングブレーキの適用中、前記バネ力がクランプ力に打ち勝つときには前記力伝達部材を前記ポケットに圧縮して保持し、前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つときには前記力伝達部材を前記ポケットに保持せず、前記力伝達部材は、前記パーキングブレーキの前記適用中に前記バネ力よってポケットに保持されていない場合、前記ポケットから出る、バネ部材と、
を備えるトルク制限装置。
【請求項14】
前記第1のギヤはサンギヤである、請求項13に記載のトルク制限装置。
【請求項15】
前記ドライブプレートに回転可能に固定された第2のギヤであって、前記ドライブプレートは、前記第2のギヤを介して前記トルクを前記スピンドルに伝達する、第2のギヤを更に備える、請求項13に記載のトルク制限装置。
【請求項16】
前記第2のギヤがピニオンギヤである、請求項15に記載のトルク制限装置。
【請求項17】
前記ポケットは、前記第1のギヤ、前記ドライブプレート、または前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの両方にある、請求項13に記載の車両ブレーキアセンブリ。
【請求項18】
請求項13に記載の車両ブレーキアセンブリであって、
前記ポケットは、
前記第1のギヤおよび前記ドライブプレートが回転するようになっている縦軸を横切る傾斜面と、
前記縦軸に平行な停止面と、
前記傾斜面と前記停止面とを接続するポケット面と、を備え、
前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つときに、前記力伝達部材が前記傾斜面上を移動して前記ポケットを出る、
車両ブレーキアセンブリ。
【請求項19】
前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つとき、前記第1のギヤが第1の方向に回転すると前記力伝達部材が前記ポケットから出て、前記第1のギヤが前記第1の方向と反対の第2の方向に回転すると前記ポケットから出ない、請求項13に記載のトルク制限装置。
【請求項20】
前記力伝達部材がボールベアリングである、請求項13に記載のトルク制限装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、概して、ディスクブレーキアセンブリと共に使用するための電動パーキングブレーキに関し、特に、そうした電動パーキングブレーキのための改良されたギヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 車両用の典型的なディスクブレーキアセンブリは、車両のホイールに固定されて回転するブレーキディスクと、非ブレーキ位置とブレーキ位置との間で動作可能な非回転ブレーキライニングとを含む。各ブレーキライニングは、ブレーキシューで支持される。非ブレーキ位置では、ブレーキライニングはブレーキディスクおよび車両のホイールの回転を減速させない。ブレーキ位置では、ブレーキライニングはブレーキディスクと摩擦係合し、ブレーキディスクおよび車両のホイールの回転を減速させる。
【0003】
[0003] ディスクブレーキアセンブリは、ブレーキピストンとスライド式ブレーキキャリパーとをさらに含む。ブレーキライニングは、ブレーキピストンとスライド式ブレーキキャリパーとによってブレーキ位置に移動する。例えば、油圧がブレーキピストンを直線的に作動させてブレーキライニングを移動させ、ブレーキディスクと摩擦係合する場合がある。これにより、サービスブレーキが提供される。通常、ブレーキピストンは、内側のブレーキライニングを直接に移動させ、ブレーキキャリパーを介して外側ブレーキライニングを移動させる。
【0004】
[0004] ディスクブレーキアセンブリは、パーキングブレーキ機能を提供するために使用されてもよい。ディスクブレーキアセンブリは、まず圧力を使用してブレーキライニングをブレーキ位置に移動させ、次に電動パーキングブレーキ(EPB)を使用してブレーキピストンをブレーキ位置でクランプまたは支持することにより、パーキングブレーキ機能を提供し得る。EPBのアクチュエーターは、電動モーターによって駆動されるスピンドルに螺合した、回転が抑制されたスピンドルナットを備えてもよい。スピンドルが回転駆動されると、スピンドルナットが軸方向に移動して、ブレーキピストンをブレーキ位置のブレーキライニングにクランプする。
【0005】
[0005] 一般に、単一のディスクブレーキアセンブリに対してより多くのブレーキピストンが提供されると、ディスクブレーキアセンブリによって生成されるブレーキ力が増加する。ピックアップトラックなどの一部の車両に必要なブレーキ力を生成するために、通常、ディスクブレーキアセンブリごとにツイン(2つ)のブレーキピストンが提供される。ツインブレーキピストンを有するディスクブレーキアセンブリがパーキングブレーキ機能を提供する場合、EPBは両方のツインブレーキピストンをクランプする。ツインブレーキピストンの両方をクランプするために、通常、ツインブレーキピストンのそれぞれに個別のモーターが提供される。ただし、EPBをスムーズに適用するには、2つの別々のモーターの制御を調整する必要がある。2つの個別のモーターの制御を調整すると、EPBが複雑になる。したがって、ツインブレーキピストンを有するディスクブレーキアセンブリと、単一のモーターを持つEPBを有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明は、ディスクブレーキアセンブリと共に使用するための電動パーキングブレーキに関し、電動パーキングブレーキは改良されたギヤ装置を有する。
【0007】
[0007] 一実施形態によると、油圧作動式のサービスブレーキと電気作動式のパーキングブレーキとを有する車両ディスクブレーキアセンブリは、個々におよび/または組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を備え得る。つまり、ブレーキディスクと、第1の内側部分を有する第1のブレーキピストンと、第1のスピンドルに回転拘束されると共に第1の外側部分を有する第1のスピンドルナット。前記第1の外側部分は、前記第1のスピンドルが回転すると前記第1の内側部分をクランプして第1のクランプ力を生じさせ、当該第1のクランプ力が、前記第1のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合させるように構成されている。第2の内側部分を有する第2のブレーキピストンと、第2のスピンドルに回転拘束されると共に第2の外側部分を有する第2のスピンドルナット。前記第2の外側部分は、前記第2のスピンドルが回転すると前記第2の内側部分をクランプして第2のクランプ力を生じさせ、当該第2のクランプ力が、前記第2のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合させるように構成されている。前記パーキングブレーキを作動させて適用するためのトルクを生成するように構成された電動モーター。前記パーキングブレーキの適用中に、第1の閾値が前記第1のクランプ力より大きいときには前記トルクの第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達し、前記第1のクランプ力が前記第1の閾値より大きいときには前記トルクの第1部分を前記第1のスピンドルにすべては伝達しないように構成された第1のトルク制限装置。前記パーキングブレーキの前記適用中に、第2の閾値が前記第2のクランプ力より大きいときには前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のクランプ力が前記第2の閾値より大きいときには前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべては伝達しないように構成された第2のトルク制限装置。
【0008】
[0008] この実施形態によると、前記第1および第2の閾値が等しくてもよい。
【0009】
[0009] この実施形態によると、前記第1のクランプ力が前記第1の閾値より大きく、前記第2の閾値が前記第2のクランプ力より大きい場合、前記第2のトルク制限装置は、前記第1の閾値を超える前記トルクの前記第1部分を前記第2のスピンドルに伝達してもよい。
【0010】
[0010] この実施形態によると、前記電動モーターが単一の電動モーターであってもよい。
【0011】
[0011] この実施形態によると、トルク制限装置の第1の総数が前記ブレーキピストンの第2の総数に等しくてもよい。
【0012】
[0012] この実施形態によると、前記パーキングブレーキの解除中、前記第1のトルク制限装置は前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達してもよく、前記第2のトルク制限装置は前記トルクの前記第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達してもよい。
【0013】
[0013] この実施形態によると、前記第1および第2のトルク制限装置のそれぞれが、第1のギヤと、ドライブプレートと、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの少なくとも一方の端面にあるポケットと、力伝達部材と、前記ドライブプレートにバネ力を生じさせるバネ部材と、を備えてもよい。前記パーキングブレーキの前記適用中に、前記バネ力がクランプ力の一部より大きいときには、当該バネ力が、前記力伝達部材を前記ポケットに圧縮して保持し、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で力を伝達し、前記クランプ力の前記一部が前記バネ力より大きいときには、当該バネ力が、前記力伝達部材を前記ポケットに保持せず、前記力が前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で伝達されない。前記第1のトルク制限装置では、前記第1のギヤは前記トルクの前記第1部分を受けるように構成されてもよく、前記ドライブプレートは前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルに伝達するように構成されてもよく、前記バネ力が前記第1のクランプ力の一部より大きいときに当該バネ力が前記力伝達部材を前記ポケットで圧縮して保持してもよい。前記第2のトルク制限装置では、前記第2のギヤは前記トルクの前記第2部分を受けるように構成されてもよく、前記ドライブプレートは前記トルクの前記第2部分を前記第2のスピンドルに伝達するように構成されてもよく、前記バネ力が前記第2のクランプ力の一部より大きいときに当該バネ力が前記力伝達部材を前記ポケットで圧縮して保持してもよい。前記第1の閾値が前記第1のトルク制限装置のバネ力に等しく、前記第2の閾値が前記第2のトルク制限装置のバネ力に等しくてもよい。前記第1のトルク制限装置によって伝達される前記力は前記トルクの前記第1部分であってもよく、前記第2のトルク制限装置によって伝達される前記力は前記トルクの前記第2部分であってもよい。
【0014】
[0014] 別の実施形態によると、第1および第2のブレーキピストンとブレーキディスクとを有する車両ディスクブレーキアセンブリ用の電気作動式のパーキングブレーキは、個々におよび/または組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を備え得る。つまり、トルクを生成するように構成された単一の電動モーターと、第1および第2のトルク制限装置。前記トルクは、前記パーキングブレーキを作動させて適用する。前記第1のトルク制限装置は、前記パーキングブレーキの適用中に、前記ブレーキによって生成される第1のクランプ力が前記第1のトルク制限装置の第1のばね力に打ち勝つまで、前記トルクの第1部分を第1のスピンドルにすべて伝達するように構成される。前記第1のクランプ力は、前記第1のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合するように構成される。第2のトルク制限装置は、前記パーキングブレーキの適用中に、前記ブレーキによって生成される第2のクランプ力が前記第2のトルク制限装置の第2のばね力に打ち勝つまで、前記トルクの第2部分を第2のスピンドルにすべて伝達し、前記第2のクランプ力が、前記第2のブレーキピストンを前記ブレーキディスクに対して係合するように構成される。前記第1のクランプ力が前記第1のバネ力に打ち勝つと共に前記第2のバネ力が第前記2のクランプ力に打ち勝つとき、前記第1のトルク制限装置は前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべては伝達せず、前記第1のバネ力を超える前記トルクの前記第1部分が代わりに前記第2のトルク制限装置によって前記第2のスピンドルに伝達される。
【0015】
[0015] この実施形態によると、前記パーキングブレーキの解除中、前記第1のトルク制限装置は、前記トルクの前記第1部分を前記第1のスピンドルにすべて伝達してもよく、前記第2のトルク制限装置は、前記トルクの第2部分を前記第2のスピンドルにすべて伝達してもよい。
【0016】
[0016] さらに別の実施形態によると、クランプ力を生じさせて車両ディスクブレーキアセンブリのブレーキピストンを当該車両ディスクブレーキアセンブリのブレーキディスクに対して係合させる電気作動式のパーキングブレーキ用のトルク制限装置は、個々におよび/または組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を備え得る。つまり、電動モーターからトルクを受けるように構成された第1のギヤと、前記トルクを前記パーキングブレーキのスピンドルに伝達するように構成されたドライブプレートと、第1のギヤと前記ドライブプレートとの少なくとも一方の端面にあるポケットと、前記ポケット内で前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で圧縮された状態で保持されると、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で前記トルクを伝達し、前記ポケット内にないと、前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの間で前記トルクを伝達しない、力伝達部材と、前記ドライブプレートにバネ力を生成するバネ部材。前記トルクは前記パーキングブレーキを作動させて適用するように構成されている。前記パーキングブレーキの適用中、前記バネ力がクランプ力に打ち勝つときには前記力伝達部材を前記ポケットに圧縮して保持し、前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つときには前記力伝達部材を前記ポケットに保持しない。前記力伝達部材は、前記パーキングブレーキの前記適用中に前記バネ力よってポケットに保持されていない場合、前記ポケットから出る。
【0017】
[0017] この実施形態によると、前記第1のギヤはサンギヤであってもよい。
【0018】
[0018] この実施形態によると、前記ドライブプレートに回転可能に固定された第2のギヤであって、前記ドライブプレートは、前記第2のギヤを介して前記トルクを前記スピンドルに伝達する、第2のギヤを更に備えてもよい。前記第2のギヤがピニオンギヤであってもよい。
【0019】
[0019] この実施形態によると、前記ポケットは、前記第1のギヤ、前記ドライブプレート、または前記第1のギヤと前記ドライブプレートとの両方にあってもよい。
【0020】
[0020] この実施形態によると、前記ポケットは、前記第1のギヤおよび前記ドライブプレートが回転するようになっている縦軸を横切る傾斜面と、前記縦軸に平行な停止面と、前記傾斜面と前記停止面とを接続するポケット面と、を備えてもよい。前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つときに、前記力伝達部材が前記傾斜面上を移動して前記ポケットを出てもよい。
【0021】
[0021] この実施形態によると、前記クランプ力が前記バネ力に打ち勝つとき、前記第1のギヤが第1の方向に回転すると前記力伝達部材が前記ポケットから出てもよく、前記第1のギヤが前記第1の方向と反対の第2の方向に回転すると前記ポケットから出なくてもよい。
【0022】
[0022] この実施形態によると、前記力伝達部材がボールベアリングであってもよい。
【0023】
[0023] 一実施形態の利点は、ツインブレーキピストンを有するディスクブレーキアセンブリ用の単一の電動モーターを有する電動パーキングブレーキである。本発明の他の利点は、添付の図面に照らして読むことで、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】[0024]
図1は、本発明によるトルク制限装置の第1の実施形態を備えたギヤ装置を有する電動パーキングブレーキを備えたディスクブレーキアセンブリの断面図である。
【
図2】[0025]
図2は、係合状態にある
図1のトルク制限装置の概略断面図である。
【
図4】[0027]
図4は、
図2の線4-4に沿った概略断面図である。
【
図5】[0028]
図5は、
図2の線5-5に沿った概略断面図である。
【
図6】[0029]
図6は、
図1のトルク制限装置の一部の切断立面図である。
【
図7】[0030]
図7は、係合状態にある
図1のトルク制限装置の第1の概略断面図である。
【
図8】[0031]
図8は、解放状態にある
図1のトルク制限装置の第2の概略断面図である。
【
図9A】[0032]
図9Aは、
図1のトルク制限装置の代替の傾斜面の断面図である。
【
図10】[0033]
図10は、
図1のトルク制限装置用の代替サンギヤの概略断面図である。
【
図11】[0034]
図11は、本発明によるトルク制限装置の第2の実施形態の概略断面図である。
【
図12】[0035]
図12は、本発明によるトルク制限装置の第3の実施形態の概略断面図である。
【
図13】[0036]
図13は、本発明によるトルク制限装置の第4の実施形態の概略断面図である。
【
図14】[0037]
図14は、本発明によるトルク制限装置の第5の実施形態の概略断面図である。
【
図15】[0038]
図15は、本発明によるトルク制限装置の第6の実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0040]
図1を参照すると、概して100で示される車両ディスクブレーキアセンブリと、概して102で示される電気式または電気作動式パーキングブレーキ(EPB)と、を備える車両ブレーキアセンブリが示されている。EPB102は、概して104で示される複数のトルク制限装置104を有する。ディスクブレーキアセンブリ100およびEPB102の全体的な構造および動作は、従来技術において周知である。例えば、EPB102は、Sternalらの米国特許第8,844,683号、Schaeferらの米国特許出願公開第2017/0261053号、またはGerberらの米国特許公開第2018/0087589号によって記載されるように動作し得る。これらのすべての開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。トルク制限装置104は、本明細書で構造的および動作的に説明される特定のディスクブレーキアセンブリ100およびEPB102との使用に限定されない。
【0026】
[0041] ディスクブレーキアセンブリ100は、スライド式ブレーキキャリパー106を含む。ブレーキキャリパー106は、ブレーキキャリア(図示せず)によって当業者に知られた浮動式に取り付けられる。さらに、ブレーキキャリパー106は、ブレーキディスク108にまたがっている。ブレーキディスク108は、回転不能な態様で車両ホイール(図示せず)に固定されている。
【0027】
[0042] また、ディスクブレーキアセンブリ100は、それぞれ概して110および112で示される、外側および内側ブレーキシューを含む。外側ブレーキシュー110は、外側バッキングプレート116に支持された外側ブレーキライニング114を有する。ブレーキキャリパー106は、外側バッキングプレート116に付けられる。同様に、内側ブレーキシュー112は、内側バッキングプレートに支持された内側ブレーキライニング118を有する。
【0028】
[0043] 外側および内側ブレーキライニング114および118は、それぞれ互いに向かい合っている。(
図1に示される)解放位置では、外側および内側のブレーキライニング114および118は、それぞれ、ブレーキディスク108の両側に小さな空隙を設けて配置されている。その結果、ブレーキディスク108上で外側および内側ブレーキライニング114および118から、それぞれ大きな残留抗力モーメントは発生しない。
【0029】
[0044] ディスクブレーキアセンブリ100は、ブレーキピストン122をさらに含む。図示されるように、ディスクブレーキアセンブリ100は、2つのブレーキピストン122を有する。代替的に、ディスクブレーキアセンブリ100は、図示した2つのブレーキピストン122よりも多くを有してもよい。好ましくは、トルク制限装置104の1つは、ブレーキピストン122のそれぞれに対して設けられる。つまり、トルク制限装置の総数は、ブレーキピストン122の総数に等しい。あるいは、トルク制限装置104の1つは、ブレーキピストン122のそれぞれよりも少なく設けられてもよい。非限定的な例として、ディスクブレーキアセンブリ100が3つのブレーキピストン122を有する場合、トルク制限装置104は、前後のブレーキピストン122に対して設けられるが、前後のブレーキピストン122の間に位置する3つ目または中央のブレーキピストン122に対して設けられなくてもよい。
【0030】
[0045] ブレーキピストン122は、ブレーキキャリパー106のキャビティ124内に移動可能に取り付けられている。さらに、ブレーキピストン122は、中空であるように実現されている。ブレーキピストン122は、内側のバッキングプレート120に付けられる。内側のバッキングプレート120は、内側ブレーキライニング118とブレーキピストン122との間に配置され、内側ブレーキライニング118とブレーキピストン122とが一緒に動く。
【0031】
[0046] 中空のブレーキピストン122の各々には、EPB102の、概して126で示される回転抑制スピンドルナットがある。また、キャビティにはスピンドル128がある。スピンドルナット126のそれぞれは、スピンドル128の1つにねじ込まれている。具体的には、各スピンドルナット126のねじ付きレシーバー130がスピンドル128にねじ込まれている。
【0032】
[0047] スピンドルナット126は、ブレーキピストン122の各々の相補的な円錐内側部分134と軸受接触させることができる円錐外側部分132をそれぞれ有する。(
図1に示される)解放位置では、円錐外側部分132と対応する円錐内側部分134とのそれぞれの間に隙間がある。円錐外側部分132および相補的な円錐内側部分134の構造、形状、構成、および/または成形は、必要に応じて、図示および説明したもの以外であってもよい。例えば、円錐外側部分132および円錐内側部分134は、他の非円錐形の相補的な形状を有してもよい。例えば、円錐外側部分132と対応する円錐内側部分134とのそれぞれの間の隙間を省略し、スピンドル128の回転を使用してピストン122を内側バッキングプレート120から離して配置してもよい。
【0033】
[0048] ディスクブレーキアセンブリ100は、EPB102とともに示されている。EPB102は、概して138で示される電動モーター136およびギヤ装置を含む。図示されるように、EPB102は、複数のトルク制限装置104にトルクを供給する単一の電動モーター136を有する。代替的に、EPB102は、少なくとも1つの電動モーター136がそのトルクを複数のトルク制限装置104に供給する複数の電動モーター136を有してもよい。
【0034】
[0049] 図示されるように、ギヤ装置138は、単一の第1のギヤ装置140と、複数の第2のギヤ装置142とを含む。後述するように、第1のギヤ装置140は、モーター136と各トルク制限装置104との間に動作可能に接続されている。また後述するように、第2のギヤ装置142のそれぞれは、トルク制限装置104の1つとその対応するスピンドル128との間に動作可能に接続される。第2のギヤ装置142のそれぞれは同一であってもよいし、第2のギヤ装置142の一部がそれぞれ異なっていてもよい。
【0035】
[0050] 第1および第2のギヤ装置140および142は、それぞれ概略的に示されている。これは、第1および第2のギヤ装置140および142にそれぞれ当業者に知られている任意の適切な歯車構成を使用できるためである。さらに、第1または第2の歯車140および/または142の一方または両方は、ギヤ装置138から省略されてもよい。第1または第2の歯車140および/または142の一方または両方が省略されると、モーター136の出力軸は直接、トルク制限装置104を駆動し、および/またはトルク制限装置104がスピンドル128を直接駆動する。
【0036】
[0051] 動作中、モーター136は、第1のギヤ装置140を回転駆動するトルクを供給する。第1のギヤ装置140は、トルク制限装置104のそれぞれを回転駆動し、対応する第2のギヤ装置142を介して対応するスピンドル128を駆動する。上述のように、スピンドルナット126は回転拘束されているため、縦軸144に沿ったスピンドルナット126の独立した移動が生じる。外側および内側ブレーキシュー110および112のそれぞれは、ブレーキピストン122と同様に、縦軸144に沿って変位可能である。
【0037】
[0052] ディスクブレーキアセンブリ100を有する車両にサービスブレーキが望まれるとき、ディスクブレーキアセンブリ100は油圧作動される。例えば、ディスクブレーキアセンブリ100は、運転者によりブレーキペダルまたは運転支援システムを介して油圧で作動され得る。ディスクブレーキアセンブリ100が油圧作動されると、ブレーキピストン122が縦軸144に沿って
図1の左方向に移動するように、油圧流体がキャビティ124内で(当業者に既知の適切な手段によって)加圧される。その結果、当業者に知られているように、内側ブレーキライニング118は、ブレーキピストン122によって、ブレーキディスク108に押し付けられ、同時に、ブレーキディスク108の反対側のブレーキキャリパー106の対応する変位により、外側ブレーキライニング114がブレーキディスク108の反対側に引き寄せられる。加圧された油圧流体がキャビティ124に適用されることにより、ブレーキピストン122は、縦軸144に沿って
図1の左方向に変位し、ブレーキ位置に変位する。ブレーキ位置において、ブレーキピストン122は、内側ブレーキシュー112を介してブレーキディスク108と係合する。スピンドルナット126は作動されないままであり、したがって、
図1の縦軸144上の初期の軸方向位置のままである。
【0038】
[0053] 非限定的な例として、ディスクブレーキアセンブリ100のサービスブレーキ機能は、ディスクブレーキアセンブリ100を有する車両が走行していて(例えば、キーを付けている間)車両のブレーキペダルが適用されるとき、車両が走行中にブレーキペダルが解放されたとき、または車両が走行していないとき(例えばキーを外しているとき)に、適用されてもよい。ディスクブレーキアセンブリ100のパーキングブレーキ機能を適用するために、サービスブレーキと同様の方法で、ブレーキピストン122は、油圧の適用により最初にブレーキ位置に置かれ得る。代替的に、油圧の適用により最初にブレーキピストン122をブレーキ位置に置くことなく、サービスブレーキ機能を適用してもよい。次に、EPB102の適用により、ギヤ装置138が(第1のギヤ装置140、トルク制限装置104、および第2のギヤ装置142を介して)スピンドルナット126をブレーキディスク108に向けて移動させ、隙間が使い果たされ、各円錐外側部分132がブレーキピストン122内の対応する円錐内側部分134を押圧する。その結果、ブレーキピストン122は、スピンドルナット126を介して、パーキングブレーキ状態のブレーキキャリパー106のハウジングに軸方向に支持される。
【0039】
[0054] ブレーキピストン122が軸方向に支持されると、キャビティ124内の油圧を解放するか、除去することができる。スピンドルナット126の位置のため、および自己停止(例えば、スピンドル128とねじ付きレシーバー130との間の自己停止)のため、パーキングブレーキ状態が維持される。ブレーキディスク108を押す外側および内側ブレーキライニング114および118は、それぞれスピンドルナット126を介してクランプされたままである。
【0040】
[0055] パーキングブレーキ状態が解除されるとき、加圧された油圧流体がキャビティ124に導入され得る。その結果、ブレーキピストン122は、縦軸144に沿って、ブレーキディスク108に向かってわずかに左方向に移動し、スピンドルナット126が軸方向荷重から解放される。代替的に、加圧された油圧流体を最初にキャビティ124に導入することなく、パーキングブレーキ状態を解除してもよい。続いて、EPB102の制御により、スピンドルナット126は、
図2に示されている初期の軸方向位置に戻され得る。
【0041】
[0056] モーター136、ならびに第1のギヤ装置140、トルク制限装置104、および第2のギヤ装置142は、反対方向、例えば時計回りおよび反時計回りに、選択的に駆動され、サービスブレーキ機能を適用または解除することができる。
【0042】
[0057] ここで、
図2~8を参照すると、トルク制限装置104の1つが詳細に示されている。
図2~8のトルク制限装置104は、その関連する他の構成要素とともに、EPB102のトルク制限装置104をすべて表すものである。トルク制限装置104は、サンギヤ146、力伝達部材148、ドライブプレート150、ピニオンギヤ152、およびバネ部材154を含む。サンギヤ146は、第1のギヤ装置140によって回転駆動され、ピニオンギヤ152は、第2のギヤ装置142を回転駆動する。
【0043】
[0058] 力伝達部材148は、ケージ156(
図4に示される)によって、所定の位置に保持されるか、または互いに対して間隔を空けられる。ケージ156は、力伝達部材148を、縦軸144にほぼ垂直な平面内の位置に保持する。図示されているように、力伝達部材148は球形である。非限定的な例として、力伝達部材148はボールベアリングであってもよい。さらなる非限定的な例として、力伝達部材148は、金属またはプラスチック材料から製造されてもよい。
【0044】
[0059] ドライブプレート150内には1つ以上のポケット158が画定されている。ポケット158の数は、力伝達部材148の数以上であることが好ましい。ポケット158は、ドライブプレート端面160からドライブプレート150の内側に画定される。
図5に示されるように、ポケット158は、ドライブプレート150の周りに円周方向に間隔を置いて配置される。好ましくは、ポケット158は、縦軸144からすべて等しい半径方向距離である。
【0045】
[0060]
図3に最もよく示されているように、ポケット158の各々はポケット面162を有する。傾斜面164および停止面166が、ポケット面162からドライブプレート端面160まで延びている。ポケット面162と傾斜面164との間は移行ポイント168である。ポケット158は、好ましくは、力伝達部材148の1つがポケット158の1つに入り、ポケット面162に接触するように、寸法決めされる。代替的に、ポケット面162を省略し、力伝達部材148を傾斜面164と停止面166との間にクレードルで支える、または保持してもよい。
【0046】
[0061] ポケット面162は、好ましくは、ドライブプレート端面160に平行である。傾斜面164は、縦軸144を横切る(transverse)。図示されるように、傾斜面164は平面である。代替的に、傾斜面164は平面以外であってもよい。停止面166は、ドライブプレート端面160にほぼ垂直である。ポケット158の各々は、同様に画定され得る。代替的に、ポケット158のサブセットは、
図3に示されているものとは異なって画定されてもよい。
【0047】
[0062] バネ部材154は、ピニオンギヤ152と保持部材170との間に配置される。保持部材170は、クリップ174によってドライブプレート150のシャフト172に固定される。シャフト172は、縦軸144に沿って延びる。代替的に、バネ部材154は、図示されている以外のドライブプレート150とピニオンギヤ152との間に配置されてもよい。図示されるように、バネ部材154はコイル型バネである。代替的に、バネ部材154は、図示のコイルバネ以外のタイプのものであってもよい。
【0048】
[0063] バネ部材154は、ほぼ縦軸144に沿ってバネ力176を生成する。ピニオンギヤ152は、第2のギヤ装置142によって縦軸144上の位置に固定される。したがって、バネ部材154のバネ力176は、ドライブプレート150から離れる方向に生じる。
図2では、バネ力176は、サンギヤ146とドライブプレート150との間の力伝達部材148を圧縮して、力伝達部材148をポケット面162とサンギヤ端面178との両方と静止接触状態に保持する。
【0049】
[0064] さらに、サンギヤ146は、第1のギヤ装置140の対応する歯(図示せず)と係合する歯180を有し、モーター136からのモータートルクが第1のギヤ装置140を介して伝達され、サンギヤ146を回転駆動する。回転駆動されると、サンギヤ146は、それぞれ第1および第2の方向182Aおよび182Bに縦軸144まわりに選択的に回転する。図示されるように、サンギヤ146の第1の方向182Aへの回転はEPB102を適用し、サンギヤ146の第2の方向182Bへの回転はEPB102を解放する。
【0050】
[0065] ピニオンギヤ152は、スプライン184によってシャフト172に固定される。したがって、ドライブプレート150およびピニオンギヤ152は、シャフト172を介して、それぞれ第1および第2の方向182Aおよび182Bに縦軸144まわりに選択的に一緒に回転する。また、ピニオンギヤ152は、モータートルクがトルク制限装置104を介して第2のギヤ装置142に選択的に伝達されるように、第2のギヤ装置142と噛み合う歯を有する。
【0051】
[0066] サンギヤ146は、ベアリング186によってピニオンギヤ152に支持される。ベアリング186は、サンギヤ146とピニオンギヤ152との独立した回転を可能にして、ピニオンギヤ152にサンギヤ146を支持する。好ましくは、ベアリング186は、低摩擦材料から製造される。非限定的な例として、ベアリング186はワッシャーであってもよい。さらなる例として、ベアリング186は、プラスチック材料から製造されてもよい。
【0052】
[0067]
図1~
図8を参照して、トルク制限装置104の動作を説明する。トルク制限装置104のうちの1つの動作の以下の説明は、EPB102に設けられるトルク制限装置104のすべてに当てはまる。
【0053】
[0068]
図2では、トルク制限装置104は、EPB102の適用中に係合状態にある。トルク制限装置104の係合状態は、トルク制限装置104に関連付けられたスピンドル128が駆動され、関連する円錐外側部分132および円錐内側部分134との間の隙間が塞がれる。
【0054】
[0069] EPB102の適用の開始時に、サンギヤ146は、第1のギヤ装置140からモータートルクを受け取り、第1の方向182Aに回転する。サンギヤ146が第1の方向182Aに回転すると、バネ力176が、サンギヤ146とドライブプレート150との間で圧縮された力伝達部材148を保持する。これにより、力伝達部材148が、サンギヤ146とドライブプレート150との間でモータートルクを伝達しないように回転したり移動したりすることが防止される。回転しないことにより、力伝達部材148は代わりにサンギヤ148と第1の方向182Aに移動し、モータートルクをドライブプレート150に伝達する。したがって、ドライブプレート150はサンギヤ146と共に第1の方向182Aに回転し、モータートルクをピニオンギヤ152および第2のギヤ装置152に伝達する。
【0055】
[0070]
図7および
図8では、トルク制限装置104は、EPB102の適用中に解放状態にある。トルク制限装置104の解放状態は、対応するトルク制限装置104の円錐外側部分132が円錐内側部分134にクランプされたときに生じ、モーター136は依然としてモータートルクを生成する。円錐内側部分134にクランプされた円錐外側部分132は、円錐外側部分132、スピンドル128、第2のギヤ装置142、ピニオンギヤ152、およびドライブプレート150を静止させ、サンギヤ146が第1の方向182Aに回転し続けるクランプ力188を生成する。具体的には、クランプ力188は、円錐内側部分134に対する円錐外側部分132の係合から生じる。クランプ力188は、モータートルクが作用する第1の方向182Aとは反対の第2の方向182Bに作用し、ドライブプレート150の第1の方向182Aの回転を減速させる、または回転に抵抗する。解放状態では、ドライブプレート150は、クランプ力188により静止状態に保持され、一方、モータートルクは、サンギヤ146を第1の方向182Aに回転させ続ける。
【0056】
[0071] 特に
図7を参照すると、ドライブプレート150は、クランプ力188によって静止状態に保持され始め、一方、モータートルクは、サンギヤ146を第1の方向182Aに回転させ続ける。これにより、力伝達部材148が反力190を傾斜面164に加える。反力190は、力伝達部材148が傾斜面164に接触する場所に通常作用する。したがって、反力190は、縦軸に平行に作用する縦方向成分190’を有する。これらの縦方向成分190’は、バネ力176とは反対に作用する。
【0057】
[0072] 円錐外側部分132が円錐内側部分134に対してさらに締め付けられると、クランプ力188が増加する。クランプ力188が増加し、サンギヤ146を第1の方向182Aに回転させるモータートルクが一定のままである、または増加すると、反力190および縦方向成分190’も増加する。ある時点で、縦方向成分190’の合計がバネ力176を超えるか、克服、中和、または相殺する。縦方向成分190’の合計がバネ力176を超えると、クランプ力188がバネ力176に打ち勝ち、バネ部材154が圧縮し、ドライブプレート150は縦軸144に沿ってサンギヤ146から離れて移動する。
【0058】
[0073] ドライブプレート150がサンギヤ146から離れて移動すると、ドライブプレート150とサンギヤ146との間の隙間が増加する。ドライブプレート150とサンギヤ146との間の増大した隙間により、サンギヤ146の第1の方向182Aへの回転が許容されるか、または力伝達部材148をポケット面162からドライブプレート端面160まで傾斜面164上に移動させる。クランプ力188が増加し続け、縦方向成分190’も増加し続けると、サンギヤ146がドライブプレート端面160上で力伝達部材148を転がすまで、ドライブプレート150はサンギヤ146から離れ続ける。
【0059】
[0074] 特に
図2を参照すると、力伝達部材148は、ドライブプレート端面160上を転がり、ドライブプレート150が静止した状態である間、サンギヤ146は第1の方向182Aに回転し続ける。その結果、力伝達部材148は、ポケット158内に戻るか、または再び入るまで、ドライブプレート端面160上を転がる。力伝達部材148のそれぞれは、傾斜面164を転がり上がることによって直前に出たポケット158の後に続くポケット158内に戻る、つまり、力伝達部材148が転がって向かう次のポケット158に再び入る。
【0060】
[0075] ポケット158を出入りするこのパターンは、サンギヤ146が第1の方向182Aに回転し、ドライブプレート150がクランプ力188により静止状態に保持される限り続く。例えば、力伝達部材148’は、第1のポケット158’に落ちるまで、第1の方向182Aにドライブプレート端面160上で転がる。次いで、力伝達部材148’は、第1のポケット158’の傾斜面164を転がり上がり、第1のポケット158’と第2のポケット158’’との間のドライブプレート端面160を横切って転がり、次いで第2のポケット158’’に落ちる。
【0061】
[0076] 解放状態のトルク制限装置104は、モータートルクを完全には受けない。代わりに、クランプ力188を超えるモータートルクは、EPB102の作動を継続するためにまだ係合状態にある他のトルク制限装置104のいずれかを介して導かれる。クランプ力188に等しいトルクは、第1のギヤ装置140を通じて現在解放されたトルク制限装置104に伝達され続け、トルクギヤ装置104が解放状態に維持される。トルク制限装置104がすべて解放されると、EPB102は完全に適用されたとみなされ、モーター136は停止する。
【0062】
[0077] 非限定的な例として、第1および第2のトルク制限装置104について、第1および第2のトルク制限装置104は両方とも係合状態で始まり、モータートルクを対応するスピンドル128に伝達する。第1のトルク制限装置104はモータートルクの第1部分を第1のスピンドル128にすべて伝達し、第2のトルク制限装置104はモータートルクの第2部分を第2のスピンドル128にすべて伝達する。一般に、モータートルクの第1部分および第2部分は等しいが、そうした例には限定されない。
【0063】
[0078] 次に、第1のトルク制限装置104に対応するスピンドル128上のスピンドルナット126の円錐外側部分132がクランプされると、第1のトルク制限装置104は解放される(第2のトルク制限装置104は係合が維持される)。第1のトルク制限装置104のクランプ力188を超えるモータートルクの第1部分は、第2のトルク制限装置104に伝達される。つまり、第1のトルク制限装置104が解放されると、第2のトルク制限装置104は、モータートルクの第2部分全体と、第1のトルク制限装置104のクランプ力188を超えるモータートルクの第1部分の量との合計を受ける。
【0064】
[0079] 第2のトルク制限装置104に対応するスピンドル128上のスピンドルナット126の円錐外側部分132もクランプされると、第2のトルク制限装置104も解放される(第1および第2のトルク制限装置104の両方が解放される)。この時点で、EPB102が適用され、モーター136がオフになる。トルク制限装置104の動作に関して本明細書で使用される場合、「第1」および「第2」という用語は一時的ではない。第1または第2のトルク制限装置104のいずれかが最初に外されてもよい。
【0065】
[0080] EPB102の適用に続いてEPB102が解放されると、トルク制限装置は解放状態にあると予想される。EPB102を解放するために、モータートルクはサンギヤ146を第2の方向182Bに回転させる。EPB102の解放中、クランプ力188および反力190はゼロまで減少する。サンギヤ146は、ドライブプレート端面160上の力伝達部材148をポケット158に向かって第2の方向182Bに回転させる。力伝達部材148は、ドライブプレート端面160からポケット面162まで傾斜面164を転がるか、または落ちることによって、ポケット158に再び入る。
【0066】
[0081] 力伝達部材148が反力190なしで傾斜面164を転がり落ちると、バネ部材154は
図2に示す位置まで収縮する。バネ部材154が
図2に示す位置に戻ると、サンギヤ146とドライブプレート150との間の隙間は、力伝達部材148がサンギヤ146とドライブプレート150との間のバネ力176によって再び圧縮して保持されるまで減少する。サンギヤ146およびドライブプレート150との間で力伝達部材148が圧縮されて保持されることにより、モータートルクが再びサンギヤ146からドライブプレート150に伝達され、ドライブプレートが第2の方向182Bに回転する。
【0067】
[0082] EPB102の解放中、サンギヤ146およびドライブプレート150が第2の方向182Bに回転している間、停止面166は力伝達部材148をポケット158内に保持する。ドライブプレート150は、円錐外側部分132が円錐内側部分134と接触しているかどうかに関係なく、第2の方向182Bに自由に回転する。つまり、ドライブプレート150は、ブレーキピストン122がクランプされているかクランプされていないかに関係なく、第2の方向182Bに自由に回転する。ドライブプレート150が第2の方向182Bに自由に回転することにより、反力190は発生しない。さらに、停止面166は、力伝達部材148が回転すること、またはポケットから第2の方向182Bに移動することを防止することにより、力伝達部材148をポケット158に維持する。EPB102の解放中、力伝達部材148は、停止面166が縦軸144に著しく平行であるため、縦軸144を十分に横切る表面に対して回転せず反力190を発生させる。
【0068】
[0083] 傾斜面164のプロファイルおよび/またはバネ部材154の剛性は、各トルク制限装置104が解放されるクランプ力188の閾値を設定するように調節または調整されてもよい。代替的に、閾値は、バネ部材154を圧縮してトルク制限装置104を解放する反力190の縦方向成分190’を生成するクランプ力188としてより簡単に定義されてもよい。第1の非限定的な例として、ポケット面162からの傾斜面164の傾斜が増大すると、トルク制限装置104が解放されるクランプ力188も増大する。第2の非限定的な例として、バネ部材154の剛性が増加すると、トルク制限装置104が解放されるクランプ力188も増加する。閾値は、トルク制限装置104のすべてについて同じであってもよいし、トルク制限装置104の1つ以上について異なっていてもよい。
【0069】
[0084] ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、ポケット158用の代替の傾斜面164’よび164’’が示されている。
図9Aでは、傾斜面164’は凸状の曲面を有する。
図9Bでは、傾斜面164’’は、変化する半径を有する非線形表面を有する。
【0070】
[0085] ここで
図10を参照すると、第2のポケット192を有する代替のサンギヤ146’が示されている。代替のサンギヤ146’の第2のポケット192は、ドライブプレート150のポケット158と同様である。特に、第2のポケット192は、力伝達装置148を横切ってドライブプレート150のポケット158に対して対称である。ドライブプレート150にポケット158と共に第2のポケット192を有するサンギヤ146は、トルク制限装置104のトルク容量を増加させる。
【0071】
[0086] ここで
図11を参照すると、本発明の第2の実施形態による、概して204で示されるトルク制限装置が示されている。トルク制限装置204は、
図1~
図10を参照して説明したトルク制限装置104の変形である。したがって、100だけ増加した同様の参照番号は、図面中の対応する部分を指し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
[0087] トルク制限装置204は、ピニオンギヤ252の反対側のシャフト272の端部に保持部材270を有する。保持部材270とドライブプレート250との間には、バネ部材254がある。ポケット258は、サンギヤ246に位置する。
【0073】
[0088] ここで
図12を参照すると、本発明の第3の実施形態による、概して304で示されるトルク制限装置が示されている。トルク制限装置304は、
図1~
図10を参照して説明したトルク制限装置104の変形である。したがって、200だけ増加した同様の参照番号は、図面中の対応する部分を指し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
[0089] トルク制限装置304は、ドライブプレート350と反作用プレート394との間に保持されたバネ部材354を有する。反作用プレート394は、バネ部材354によって生成されるバネ力376を力伝達部材348に適用する。
【0075】
[0090] ここで
図13を参照すると、本発明の第4の実施形態による、概して404で示されるトルク制限装置が示されている。トルク制限装置404は、
図1~
図10を参照して説明したトルク制限装置104の変形である。したがって、300だけ増加した同様の参照番号は、図面中の対応する部分を指し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
[0091] トルク制限装置404は、ドライブプレート450と反作用プレート494との間に保持されたバネ部材454を有する。反作用プレート494は、バネ部材454によって生成されるバネ力476を力伝達部材448に適用する。第1のポケット458は反作用プレート494に位置し、第2のポケット492は、サンギヤ446に位置する。
【0077】
[0092] ここで
図14を参照すると、本発明の第5の実施形態による、概して504で示されるトルク制限装置が示されている。トルク制限装置504は、
図1~
図10を参照して説明したトルク制限装置104の変形である。したがって、400で増加した同様の参照番号は、図面中の対応する部分を指し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
[0093] トルク制限装置504は、第1および第2のサンギヤの部分546Aおよび546Bをそれぞれ備えるサンギヤを有する。サンギヤの第2部分546Bとドライブプレート550との間に延びるピン596がある。バネ部材554はピン596に配置される。第1のポケット558はサンギヤの第2部分546Bに画定され、第2のポケット592はドライブプレート550に画定される。
【0079】
[0094] ここで
図15および
図16を参照すると、本発明の第6の実施形態による、概して604で示されるトルク制限装置が示されている。トルク制限装置604は、
図1~
図10を参照して説明したトルク制限装置104の変形である。したがって、500だけ増加した同様の参照番号は、図面の対応する部分を指し、その詳細な説明は省略する。
【0080】
[0095] トルク制限装置604は、それぞれ第1、第2、および第3のサンギヤの部分646A、646B、646Cを備えるサンギヤを有する。第2および第3のサンギヤの部分646Bおよび646Cは、それぞれ、サンギヤの第1部分646Aと共に回転するように固定されている。力伝達部材648は、ドライブプレート650の貫通開口698によって所定の位置に保持される。第1のポケット658はサンギヤの第2部分646Bに画定され、第2のポケット692はサンギヤの第3部分646Cに画定される。
【0081】
[0096] トルク制限装置604は、それぞれ第1および第2のバネ部材654Aおよび654Bをさらに有する。第1および第2の保持部材670Aおよび670Bは、それぞれ、第1および第2のバネ部材654Aおよび654Bをそれぞれ保持する。第1のバネ部材654Aは第1のバネ力676Aを生成し、第2のバネ部材654Bは第2のバネ力676Bを生成する。第1および第2のバネ力676Aおよび676Bは、それぞれ一緒に作用して、それぞれサンギヤの第1および第2の部分646Bおよび646Cとドライブプレート650との間の力伝達部材648を圧縮する。当業者において、トルク制限装置604の構成は、カートリッジクラッチとして知られている場合がある。
【0082】
[0097] 特許法の規定に従って、本発明の動作の原理および態様が、その好ましい実施形態で説明および図示された。しかし、本発明は、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明および例示されたものとは別の方法で実施できることを理解されたい。