(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】モータ制御装置及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
B60L 9/18 20060101AFI20240221BHJP
B60R 25/08 20060101ALI20240221BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240221BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20240221BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20240221BHJP
B60L 50/20 20190101ALI20240221BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240221BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240221BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20240221BHJP
B60R 25/25 20130101ALI20240221BHJP
【FI】
B60L9/18 J
B60R25/08
B60R25/24
B62M6/45
B60L7/14
B60L50/20
B60L50/60
B60L58/10
H02P29/00
B60R25/25
(21)【出願番号】P 2020062890
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】清水 悟
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
(72)【発明者】
【氏名】川東 照明
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-167137(JP,A)
【文献】特開2018-058577(JP,A)
【文献】特開2006-273142(JP,A)
【文献】特開2008-260399(JP,A)
【文献】特開平09-013772(JP,A)
【文献】特開2019-142399(JP,A)
【文献】特表2009-526707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 9/18
B60R 25/08
B60R 25/24
B62M 6/45
B60L 7/14
B60L 50/20
B60L 50/60
B60L 58/10
H02P 29/00
B60R 25/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御する第1の制御部と、
前記第1の制御部を制御する第2の制御部と、
前記第2の制御部に対して電力供給がなされていない状態で前記モータが外力によって回転したことを検出して前記第2の制御部への電力供給を開始させる起動補助部と、
を有し、
前記第2の制御部は、
前記第2の制御部に対して電力供給されていない状態で前記起動補助部によって
前記第2の制御部に電力供給が開始されるとユーザ認証を試み又は当該ユーザ認証の実施を待機し、当該ユーザ認証が失敗した場合又は起動後所定時間内に当該ユーザ認証が行われない場合には、前記第1の制御部に、予め定められた駆動制限と予め定められた制動との少なくともいずれかを行わせる
モータ制御装置。
【請求項2】
前記第2の制御部は、
前記ユーザ認証が成功した後にユーザ再認証を試み又は当該ユーザ再認証を待機し、当該ユーザ再認証が失敗した場合又は当該ユーザ再認証が第2の所定時間内に行われない場合には、予め定められた第2の駆動制限と予め定められた第2の制動との少なくともいずれかを行わせる
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記第2の制御部は、
予め定められた走行条件が満たされた場合には、自動的に電源断状態に遷移する
請求項1又は2記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記予め定められた駆動制限又は第2の駆動制限は、アシスト駆動の抑制又は禁止であり、
前記予め定められた制動又は第2の制動は、ショートブレーキ、回生制動、又は制動トルクを生じさせつつ発生電力をモータ内で消費させる制動である
請求項1乃至3のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記第2の制御部が、
前記ユーザ認証を、外部の通信装置から受信した認証データに基づき実行するか、又は、
認証装置によるユーザ認証の実施を待機する
請求項1乃至4のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項6】
ICカードリーダ又は生体データ読み取り部
をさらに有し、
前記第2の制御部が、
前記ユーザ認証を、ICカードから前記ICカードリーダにより読み出した認証データ又はユーザから前記生体データ読み取り部により読み取られた認証データに基づき実行するか、又は
前記ICカードから前記ICカードリーダにより読み出した認証データ又は前記ユーザから前記生体データ読み取り部により読み取られた認証データに基づくユーザ認証の、外部の認証装置による実施を待機する
請求項1乃至4のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記第2の制御部は、
設定された利用制限条件を満たしているか否か又は設定された利用許可条件に反しているか否かを更に判断し、前記利用制限条件を満たしていると判断した場合又は前記利用許可条件に反していると判断した場合には、予め定められた第3の駆動制限と予め定められた第3の制動との少なくともいずれかを行わせる
請求項1乃至6のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記利用
制限条件又は前記利用許可条件に含まれる条件が、走行時間、走行距離、走行速度、及び地理的条件のうち少なくともいずれかである
請求項7記載のモータ制御装置。
【請求項9】
前記第2の制御部は、
前記ユーザ認証が成功した後、操作パネル表示を開始させる
請求項1乃至8のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記第2の制御部は、
前記ユーザ認証が失敗した場合又は前記所定
時間内に前記ユーザ認証が行われない場合には、操作パネルへの警告表示又は警報音の出力を行わせる
請求項1乃至9記載のいずれか1つ記載のモータ制御装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つ記載のモータ制御装置を有する電動アシスト車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト車の盗難防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、予め盗難防止状態に切り替えておけば、電動車両が移動された場合、蓄電装置からの電力供給を制限したり、回生制動を行ったり、短絡制動を行ったり、電動機の回転速度の目標値をゼロに設定するといった電動車両の移動を困難にするための制動制御を行う技術を開示している。この技術によれば、常に電力供給を少なくとも一部の機器に行わないと盗難防止機能を有効化させることができない上に、降車時に盗難防止状態に切り替えさせないと、盗難防止機能を有効化させられない。すなわち、降車時に盗難防止状態に切り替えさせ忘れると、盗難防止機能が有効化されない。また、走り出してしまうと、通常使用状態から盗難防止状態に切り替えさせても、通常使用状態とみなす処理も示されており、持ち去られる前に盗難防止状態にしないといけない。
【0003】
また、例えば特許文献2は、電源遮断スイッチ又は施錠スイッチに連動してモータコイルを短絡させて制動力を生じさせることで、盗難防止を図る技術を開示している。しかし、電源スイッチを不当にオンにされるケースについては何ら考慮もなく、この場合でも上記短絡が解除されるので、結局のところ通常どおり降車時に施錠動作及び電源オフを行うことになる。
【0004】
このように、従来では降車時に盗難防止のための動作を行うことが求められているが、この動作を忘れることは多く、可能な限り特別な動作を行わずに盗難防止機能を有効化させることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-273142号公報
【文献】特開2002-264860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、一側面によれば、電動アシスト車において、盗難防止機能を有効化させる手間を削減するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るモータ制御装置は、モータを制御する第1の制御部と、第1の制御部を制御する第2の制御部と、第2の制御部に対して電力供給がなされていない状態でモータが外力によって回転したことを検出して第2の制御部への電力供給を開始させる起動補助部とを有する。そして、この第2の制御部は、起動補助部又はユーザ指示によって電力供給が開始されるとユーザ認証を試み又は当該ユーザ認証の実施を待機し、当該ユーザ認証が失敗した場合又は起動後所定時間内に当該ユーザ認証が行われない場合には、第1の制御部に、予め定められた駆動制限と予め定められた制動との少なくともいずれかを行わせるものである。
【発明の効果】
【0008】
一側面によれば、電源オフにさえなっていれば、盗難防止機能が有効化されるので、盗難防止機能を有効化させる手間が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、電動アシスト自転車の外観を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、モータ駆動制御装置及びバッテリパックの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における制御部の機能構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態の概要を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図6】
図6は、初期処理の処理フローを示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図9】
図9は、第3の実施の形態におけるICカードホルダ付きICカードリーダの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図12】
図12は、他の認証方法を採用する場合における操作パネルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第4の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図15】
図15は、第6の実施の形態におけるモータ駆動制御装置及びバッテリパックの構成例を示す図である。
【
図16】
図16は、第6の実施の形態における制御部の機能構成例を示す図である。
【
図17】
図17は、第6の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図18】
図18は、第6の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図19】
図19は、第6の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図20】
図20は、利用制限条件に基づく制御処理の処理フローを示す図である。
【
図22】
図22は、第7の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【
図23】
図23は、第7の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態は、電動アシスト自転車だけに適用対象を限定するものではなく、人力に応じて移動する移動体(例えば、台車、車いす、昇降機など)の移動を補助するモータなどに対するモータ駆動制御装置についても適用可能である。
【0011】
[実施の形態1]
図1に、電動アシスト自転車の外観図を示す。電動アシスト自転車1は、モータ駆動制御装置102と、バッテリパック101と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106と、ブレーキセンサ107とを有する。なお、電動アシスト自転車1は、前照灯、フリーホイール及び変速機も有している。
【0012】
バッテリパック101は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などを含み、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0013】
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じたパルス信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0014】
モータ105は、例えば周知の三相ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪周辺に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に直接又は減速器などを介して連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(例えばホール信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0015】
モータ駆動制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0016】
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力(例えば電源スイッチのオン及びオフ)、アシスト有りの場合には希望アシスト比等の入力をユーザから受け付けて、当該指示入力等をモータ駆動制御装置102に出力する。また、操作パネル106は、モータ駆動制御装置102によって演算された結果である走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等のデータを表示する機能を有する場合もある。また、操作パネル106は、LED(Light Emitting Diode)などによる表示部を有している場合もある。これによって、例えばバッテリパック101の充電レベルや、オンオフの状態、希望アシスト比に対応するモードなどを運転者に提示する。
【0017】
ブレーキセンサ107は、運転者のブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関する信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0018】
図2Aに、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102及びバッテリパック101の構成例を示す。
図2Aでは、バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とが接続された状態を示しており、モータ駆動制御装置102には、当該モータ駆動制御装置102によって点灯及び消灯などが制御される前照灯108と、各種センサ(ここでは、トルクセンサ103、ペダル回転センサ104、モータに含まれるホールセンサなどを含むものとする)と操作パネル106とブレーキセンサ107とモータ105等が接続されている。
【0019】
本実施の形態に係るバッテリパック101は、BMS(Battery Management System)と呼ばれるバッテリ管理システム1010と、電池セル1015とを有している。バッテリ管理システム1010は、センサ1011と、制御部1012とを有する。
【0020】
センサ1011は、電池セル1015や図示しないスイッチの温度、電池セル1015全体の電圧や当該電池セル1015に含まれる各セルの電圧など、バッテリパック101の内部状態を観測するためのセンサである。制御部1012は、例えば所定のプログラムを実行するマイクロプロセッサにより実現され、バッテリの状態監視機能、充放電の制御機能、モータ駆動制御装置102との通信機能などを有する。
【0021】
バッテリパック101は、電力供給及び充電用の接続部aと、通信用の接続部bと、接地用の接続部cとで、モータ駆動制御装置102と接続されている。なお、その他、バッテリパック101の状態出力用の接続部が設けられる場合もある。また、通信用の接続部bは、複数設けられる場合もある。
【0022】
また、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102は、FET(Field Effect Transistor)S11乃至S16を含むブリッジ回路と、FET_S17と、モータ駆動制御部1023と、ダイオードD1乃至D3と、キャパシタC1及びC2と、スイッチS1乃至S3と、FET_SW1と、DC/DCコンバータ1021と、制御システム1022と、起動判断回路1024とを有する。なお、FETもスイッチの一種である。
【0023】
モータ駆動制御部1023は、制御システム1022からの指示に応じて、FET_S11乃至S17のスイッチングを制御する。例えば、モータ105を力行駆動又は回生制動させる場合には、FET_S17をオンにして、所定のパターンでFET_S11乃至S16をオン又はオフさせる。なお、モータ駆動制御部1023は、DC/DCコンバータ1021からの電力供給を受ける。
【0024】
DC/DCコンバータ1021は、バッテリパック101の出力電圧を、操作パネル106、前照灯108及び制御システム1022用の電圧に変換して、操作パネル106、前照灯108及び制御システム1022等に出力する。そのため、DC/DCコンバータ1021は、電力供給及び充電用の接続部aと、FET_SW1を介して接続されている。なお、FET_SW1のドレインは、DC/DCコンバータ1021に接続されており、FET_SW1のソースは、電力供給及び充電用の接続部aと接続されており、FET_SW1のゲートは、スイッチS1乃至S3の一端に接続されている。また、接続部aに接続されるラインと接続部cに接続されるラインとの間には、キャパシタC2が接続されている。
【0025】
スイッチS1乃至S3は、並列に接続されており、いずれかがオンになると、FET_SW1がオンになり、DC/DCコンバータ1021に対して、バッテリパック101からの電力が供給される。典型的には、ユーザが、モータ駆動制御装置102を動作させるために、操作パネル106における電源スイッチを押すと、スイッチS1をオンにするため、バッテリパック101からの電力が、DC/DCコンバータ1021に供給され、さらに制御システム1022に対して電力供給されるようになる。これにて、制御システム1022は起動してスイッチS2をオンにする。スイッチS1は、電源スイッチが押されている間だけオンになり、その間で制御システム1022は起動する。起動中は、制御システム1022がスイッチS2をオンにし続ける。
【0026】
本実施の形態では、このような構成に加えて、制御システム1022の起動を補助する構成要素として、スイッチS3と、補助部1028とを有する。補助部1028は、起動判断回路1024と、キャパシタC1と、ダイオードD1乃至D3とを有する。
図2Aでは、ダイオードD1乃至D3を設ける例を示しているが、いずれか1つ又は2つであっても良い。ダイオードの数が多いほど、出力される電圧は安定し易くなる。
【0027】
ダイオードD1のアノードは、FET_S11のソースとFET_S12のドレインとの接続部に接続されており、ダイオードD2のアノードは、FET_S13のソースとFET_S14のドレインとの接続部に接続されており、ダイオードD3のアノードは、FET_S15のソースとFET_S16のドレインとの接続部に接続されている。ダイオードD1乃至D3のカソードは、キャパシタC1の一端と起動判断回路1024の入力部とに接続されている。キャパシタC1の他端は接地用の接続部cに接続されている。これによって、電源スイッチがオンになっておらず、FET_S11乃至S16で力行駆動又は回生制動を行っていない状態で、モータ105が回転することで生ずる逆起電力による電圧が整流され、整流された電圧が起動判断回路1024に入力される。
【0028】
モータ105の回転数に比例した逆起電力が発生するので、ある一定以上の回転数になれば、所定の電圧以上の電圧が発生するので、起動判断回路1024は、所定電圧以上になっているか否かを判断する。
【0029】
起動判断回路1024は、制御システム1022に接続されており、制御システム1022が起動していない状態において、整流された電圧が所定電圧以上になると、スイッチS3をオンにさせる。これによって、FET_SW1がオンになるので、通常であればバッテリパック101からの電力供給がDC/DCコンバータ1021に対してなされて、制御システム1022が起動される。制御システム1022は、起動すると、上で述べたように、スイッチS2をオンにする。そのため、制御システム1022は、起動判断回路1024に対して、スイッチS3をオフにするように指示する。そして、指示に応じて、起動判断回路1024は、スイッチS3をオフにする。
【0030】
図2Bに、起動判断回路1024の回路例を示す。起動判断回路1024は、コンパレータ2401と、電源Vrefと、NOT回路2402と、AND回路2403とを有する。コンパレータ2401の正極入力端子は、ダイオードD1乃至D3のカソードに接続されており、負極入力端子は、電源Vrefの正極に接続されている。電源Vrefの負極は接地されている。すなわち、コンパレータ2401は、モータ105の逆起電力による電圧が、Vref以上であるか否かを判定し、モータ105の逆起電力による電圧がVref以上であればハイを出力し、モータ105の逆起電力による電圧がVref未満であればローを出力する。Vrefを適切に設定することで、制御システム1022を起動させるタイミングを調整できる。すなわち、Vrefが小さな値であれば、モータ105の回転が少ない状態でも制御システム1022が起動され、Vrefが大きな値であれば、モータ105の回転が多くならないと制御システム1022が起動されない。盗難防止の観点からは、電動アシスト自転車1の少しの移動で制御システム1022が起動されることが好ましい。
【0031】
NOT回路2402の入力は、制御システム1022に接続されている。制御システム1022は、起動中であればハイを出力し、停止中であればローを出力する。よって、NOT回路2402は、起動中であればローを出力し、停止中であればハイを出力する。AND回路2403の第1の入力は、NOT回路2402の出力に接続され、第2の入力は、コンパレータ2401の出力に接続される。すなわち、AND回路2403は、制御システム1022が停止中で且つモータ105の逆起電力による電圧がVref以上である場合に、ハイを出力してスイッチS3をオンにする。一方、AND回路2403は、制御システム1022が起動中の場合、又は、モータ105の逆起電力による電圧がVref未満である場合には、ローを出力して、スイッチS3をオフにする。
【0032】
なお、コンパレータ2401、NOT回路2402及びAND回路2403を、パッシブな回路要素で構成しても良いし、モータ105の逆起電力により動作するような回路構成を採用しても良いし、バッテリパック101以外のサブ電源を用意しておき、当該サブ電源から電力供給されるような回路構成を採用しても良い。場合によっては、バッテリパック101から電力供給を受けるような回路構成でも良い。
【0033】
制御システム1022は、DC/DCコンバータ1021からの電力供給を受けるようになっている。また、制御システム1022は、モータ駆動制御部1023と接続しており、モータ駆動制御部1023に所定のパターンでFET_S11乃至S16をオンオフさせたり、FET_S17のオンオフを指示する。
【0034】
さらに、制御システム1022は、トルクセンサ103、ペダル回転センサ104、操作パネル106、ブレーキセンサ107、モータ105の回転センサなどに接続されており、さらにバッテリパック101のバッテリ管理システム1010と通信用の接続部bを介して通信を行い、バッテリパック101の状態、操作パネル106に対する操作及び各センサによって得られたデータに基づき、モータ駆動制御装置102全体の制御を行う。
【0035】
制御システム1022は、例えばユーザが有するスマートフォンなどの携帯端末と通信を行うための通信部221と、当該通信部221と連携して各種制御を行う制御部222とを有する。制御部222は、例えば所定のプログラムを実行するマイクロプロセッサ2221と、当該所定のプログラムを記録したり、処理途中のデータを格納するメモリ2222(RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを含む)とを有する。すなわち、マイクロプロセッサ2221が、所定のプログラムを実行することで、本実施の形態に係る制御機能が実現される。通信部221は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に従った通信機能を有するものである。なお、通信部221は、例えば操作パネル106と一体として配置される場合もあれば、
図2Aのように、制御システム1022内に配置されることもある。すなわち、通信部221の配置については任意である。
【0036】
本実施の形態に係る制御部222は、
図3に示すような機能を有する。
【0037】
制御部222は、認証処理部2241と、認証データ格納部2242と、盗難防止処理部2243とを有する。認証データ格納部2242は、入力されたユーザ認証データと照合するための認証データを格納しており、認証処理部2241は、認証データ格納部2242に格納されている認証データと、入力されたユーザ認証データとを照合して、正当なユーザであるか否かを判定する。盗難防止処理部2243は、認証処理部2241と連携して、本実施の形態における主要な制御を行う。例えば、認証処理部2241に認証処理を実行させたり、認証処理の結果に基づき盗難防止のための動作を行わせるか否かを判断したり、認証処理の結果に基づき盗難防止のための動作をモータ駆動制御部1023に行わせる。なお、盗難防止処理部2243は、操作パネル106の表示部に表示を行うか否かも判断し、操作パネル106の表示部に表示を行わせる場合には、そのための指示を行う。
【0038】
次に、
図4を用いて、本実施の形態の概要を説明する。
【0039】
正当なユーザが、電源がオフになっている電動アシスト自転車1を自転車置き場から動かすと、補助部1028がモータ105によって生ずる逆起電力を検出して制御システム1022に電力供給を開始させて制御システム1022を起動させる。一方、正当なユーザは、自身のスマートフォン3000にインストールされているアプリケーション3100を起動して、ユーザ認証データを通信部221に送信させる。
【0040】
このために、例えば、電動アシスト自転車1の出荷前に予め認証コードを認証データとして認証データ格納部2242に格納させておき、この電動アシスト自転車1の販売時に、同じ認証コードを正当なユーザに通知しておく。正当なユーザは、スマートフォン3000に所定のアプリケーション3100をインストールして、当該アプリケーション3100に認証コードを入力すると、アプリケーション3100は認証コードに対して予め定められた暗号化を行って保持しておく。その後、例えばユーザからの指示に応じて、このアプリケーション3100は、暗号化された認証コードをユーザ認証データとして通信部221に送信する。
【0041】
電動アシスト自転車1の通信部221は、ユーザ認証データを受信すると、認証処理部2241に出力し、認証処理部2241は、認証データ格納部2242に格納されている認証データを用いて認証処理を実行する。正当なユーザが、正しく認証コードを入力していれば認証が成功して、盗難防止処理部2243は、通常の走行を許可する。
【0042】
一方、制御システム1022が起動されてから所定時間内に認証が成功しない場合、すなわち、通信部221がユーザ認証データを受信しなかったり、受信していても認証が失敗する場合には、正当なユーザではないということで、盗難防止処理部2243は、盗難防止のための動作を、モータ駆動制御部1023に行わせる。具体的には、モータ105にショートブレーキが掛かるようにしたり、モータ105を常に回生状態になるようにしたり、モータ105に力行駆動を行わせない又は力行駆動を抑制させる(具体的には出力トルク上限やアシスト比を抑制する)ようにしたり、力行駆動を行わせる上限速度を極低速(例えば0km/hから5km/h)に設定して上限速度以上になると強制的に回生制動を生じさせる、といった動作を行わせる。なお、制動トルクを生じさせつつ発生する電力をモータ105内で消費させる、いわゆるロスブレーキを採用しても良い。これによって、不当なユーザは、自由な走行が妨げられて、電動アシスト自転車1の利用をあきらめざるを得なくなる。
【0043】
付加的には、操作パネル106に警告表示を行わせたり、操作パネル106にスピーカが設けられている場合には、ブザー音その他の警告音などを出力するようにしても良い。
【0044】
一方、正当なユーザは、電動アシスト自転車1の降車時には、例えば操作パネル106の電源スイッチをオフにすることで、電動アシスト自転車1を次に移動させると自動的に再度認証を行わせるようにする。なお、この電源スイッチのオフを忘れる場合もあるが、ペダル回転及びモータ回転が一定時間行われない場合には、制御システム1022は、自動的にスイッチS2をオフにすることで、シャットダウンする。このように、電源スイッチのオフを忘れた場合でも、電動アシスト自転車1を次に移動させると自動的に再度認証を行わせるようにする。
【0045】
これによって、正当なユーザは、電源スイッチのオフという通常の動作を忘れないように心がけるのみで、自動的に認証処理が行われるようになるので、手間を掛けずに盗難防止機能を有効化させることができるようになる。
【0046】
次に、具体的な動作内容について
図5乃至
図7を用いて説明する。
【0047】
まず、ユーザは、電動アシスト自転車1を移動させ始める。そうすると、電動アシスト自転車1の制御部222等は、初期処理を実行する(
図5:ステップS101)。この初期処理については、
図6を用いて説明する。
【0048】
電源オフの状態で、ユーザが電動アシスト自転車1を動かすとモータ105が回転して逆起電力が生ずるので、補助部1028の起動判断回路1024は、モータ105の回転を検出する(
図6:ステップS161)。そうすると、起動判断回路1024はスイッチS3をオンにして、スイッチSW1をオンにするので、DC/DC1021を介して電力供給が開始され、制御システム1022が自動起動する(ステップS163)。その後、制御システム1022は、スイッチS2をオンにし続ける。なお、本実施の形態では、ユーザ自身が操作パネル106の電源スイッチをオンにする動作を行っても良い。この場合、スイッチS1がオンになるので、スイッチSW1がオンになり、DC/DC1021を介して電力供給が開始され、制御システム1022が起動する。
【0049】
そうすると、制御部222の盗難防止処理部2243は、認証終了フラグをオフに初期化する(ステップS165)。また、制御部222は、盗難防止機能をオフに初期化する(ステップS167)。これは正当なユーザが利用する場合の方が圧倒的に多いので、正当なユーザの利便性を考慮してオフに設定している。しかし、この段階で盗難防止機能をオンに初期化して、認証成功となるまで、電動アシスト自転車1のスムーズな利用を妨げるようにしても良い。例えば自転車置き場から電動アシスト自転車1を動かし始めた段階であれば、初期的に盗難防止機能を有効化しても、直ぐに認証処理が開始するので、問題がない場合が多い。
【0050】
さらに、盗難防止処理部2243は、認証処理部2241に対して認証待機時間の計測を開始させる(ステップS169)。そして、処理は
図5の処理に戻る。
【0051】
図5の処理の説明に戻って、初期処理の後に、盗難防止処理部2243は、認証終了フラグがオフであるか否かを判断する(ステップS103)。認証終了フラグがオンであれば、処理は端子Aを介して
図7の処理に移行する。一方、認証終了フラグがオフであれば、制御部222は、通信部221を介して接続要求を受信するのを待機する(ステップS105)。
【0052】
これに対して、ユーザはスマートフォン3000を操作してアプリケーション3100を起動させる。スマートフォン3000のアプリケーション3100は起動すると、ユーザからの認証指示の入力を待機し、ユーザによる認証指示を受け付けると(ステップS107)、スマートフォン3000のアプリケーション3100は、接続要求を通信部221に送信する(ステップS109)。
【0053】
スマートフォン3000からの接続要求が一定時間内になければ、処理は端子Bを介して
図7の処理に移行する。一方、スマートフォン3000からの接続要求を受信すると、スマートフォン3000と通信部221とはリンクを確立する(ステップS113)。なお、リンクが確立できなければ、端子Bを介して
図7の処理に移行する。
【0054】
リンクが確立されると、スマートフォン3000のアプリケーション3100は、ユーザ認証データを通信部221に送信する(ステップS115)。これに対して、通信部221は、スマートフォン3000のアプリケーション3100からユーザ認証データを受信し(ステップS117)、認証処理部2241に出力する。認証処理部2241は、認証データ格納部2242に格納されている認証データを用いて、ユーザ認証データに対して認証処理を実行する(ステップS121)。例えば、暗号化された認証コードをユーザ認証データとして受信した場合には、認証コードを復号化して、認証データ格納部2242に格納されている認証コードと照合することで、認証処理を実行する。認証処理部2241は、認証結果を盗難防止処理部2243に出力する。そして処理は端子Cを介して
図7の処理に移行する。
【0055】
図7の処理の説明に移行して、認証処理部2241は、認証成功か否かを判断する(ステップS123)。認証成功であれば、認証処理部2241は、通信部221を介して認証成功を、スマートフォン3000に送信する(ステップS125)。スマートフォン3000のアプリケーション3100は、通信部221から認証成功を表すデータを受信すると、表示装置に認証成功を表示する(ステップS127)。これによって、ユーザは、これから通常どおり走行できることを認識する。
【0056】
また、盗難防止処理部2243は、認証終了フラグをオンにセットする(ステップS129)。さらに、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオフにセットする(ステップS131)。ステップS131は、初期処理において盗難防止機能がオフにセットされていれば、省略可能である。そして、盗難防止処理部2243は、操作パネル106の表示を開始させる(ステップS133)。これによって、ユーザは、電動アシスト自転車1側でも通常の走行が可能な状態になったことを認識することができる。そして処理はステップS143に移行する。
【0057】
一方、認証失敗である場合、すなわち誤ったユーザ認証データを受信した場合には、不当なユーザが本電動アシスト自転車1を使用し始めた可能性がある。そうすると、認証処理部2241は、通信部221を介して、スマートフォン3000に対して認証失敗を通知する(ステップS135)。
【0058】
スマートフォン3000のアプリケーション3100は、通信部221から認証失敗を表すデータを受信すると、表示装置に認証失敗を表示する(ステップS137)。この場合、例えば、アプリケーション3100は、再認証可能かどうかを判断する(ステップS147)。例えば、認証失敗の回数をカウントするようにしておき、所定回数認証失敗しているか否かを判断する。再認証が不可能であれば、アプリケーション3100は、表示装置に、本電動アシスト自転車1が使用不可能である旨の表示を行う(ステップS149)。一方、再認証が可能であれば、アプリケーション3100は、ユーザからの再認証指示を待機して、ユーザから再認証指示を受け付けると(ステップS151)、処理は端子Eを介して
図5のステップS109に戻る。再認証指示の際には、例えば認証コードの再入力などを求めるようにしてもよい。
【0059】
認証失敗である場合又はスマートフォン3000と接続できない場合(端子B経由)、認証処理部2241は、初期処理で計測を開始した認証待機時間を経過したか否かを判断する(ステップS139)。認証待機時間を経過していない場合には、処理はステップS143に移行する。本実施の形態では、スマートフォン3000のアプリケーション3100からユーザ認証データの送信を複数回実行できるようにしているので、一旦認証に失敗しても、認証待機時間を経過するまで、再度認証処理を実行するようになっている。
【0060】
一方、認証成功に至らずに認証待機時間を経過した場合、認証処理部2241は、盗難防止処理部2243に、認証待機時間経過を通知する。そうすると、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS141)。これによって、盗難防止処理部2243は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS142)。
【0061】
上でも述べたように、例えば、モータ105にショートブレーキが掛かるようにして、走行を妨げる。また、モータ105を常に回生状態になるようにして、走行はできるが継続的に走行するのに不快を感じさせるようにして、走行を妨げるようにしてもよい。さらに、モータ105に力行駆動を行わせない、又は、出力トルク上限やアシスト比などを抑制して力行駆動を抑制させることで、不快を感じさせるようにしても良い。さらに、力行駆動を行わせる上限速度を極低速(例えば0km/hから5km/h)に設定して上限速度以上になると強制的に回生制動を生じさせて、走行を妨げるようにしても良い。これらを組み合わせるようにしても良い。これによって、不当なユーザは、自由な走行が妨げられて、電動アシスト自転車1の利用をあきらめざるを得なくなる。
【0062】
付加的には、操作パネル106に警告表示を行わせたり、操作パネル106にスピーカが設けられている場合には、ブザー音その他の警告音などを出力するようにしても良い。
【0063】
そして、制御部1022は、操作パネル106の電源スイッチによってユーザからシャットダウンを指示されたか、例えばモータ回転及びペダル回転が一定時間以上行われていないという自動シャットダウン条件を満たしたか判断する(ステップS143)。シャットダウンを行わない場合には、処理は端子Dを介して
図5の処理に戻る。
【0064】
一方、シャットダウンを行う場合には、制御システム1022は、シャットダウンする(ステップS145)。
【0065】
一旦シャットダウンすれば、再度初期処理(
図6)から開始するようになり、ユーザ認証を行うようになるので、ユーザは、降車時に電源オフを行うだけで盗難防止機能を自動的に働かせることができるようになる。
【0066】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、最初にユーザ認証を行った後については、シャットダウンするまでに再認証を行わないような態様について説明したが、電源オフにするのを忘れて電動アシスト自転車1から離れてしまうと、不当なユーザが電源オン状態の電動アシスト自転車1を使用し始めてしまう場合がある。
【0067】
そこで、本実施の形態では、認証終了フラグがオンになった後に、
図8に示すような処理を実行する。
【0068】
本実施の形態では、第1の実施の形態で、認証終了フラグがオンになってから再認証用の所定時間を計測し始めるものとする。
【0069】
盗難防止処理部2243は、例えばモータ回転から算出される車速が閾値未満で且つ前回認証から所定時間経過という事象を検出する(ステップS201)。例えば、交差点等で止まっているような状態を検出すると、前回認証から所定時間経過したか否かを判断し、このような条件を満たした場合には、本事象を検出したものとする。本事象を検出すると、認証待機時間の測定を開始する。この認証待機時間は、第1の実施の形態と同じであっても良いし、異なるようにしても良い。車速が閾値未満である間が好ましいので、第1の実施の形態よりも短い時間を設定する場合もある。
【0070】
そうすると、盗難防止処理部2243は、認証処理部2241に対して認証実行を指示し、認証処理部2241は、通信部221を介してスマートフォン3000に対して認証要求を送信する(ステップS203)。ここでは、第1の実施の形態において確立したリンクを維持していることを想定しているが、ここでリンクを確立するようにしても良い。そして、認証処理部2241は、ユーザ認証データの受信を待機する(ステップS209)。
【0071】
一方、スマートフォン3000のアプリケーション3100は、通信部221から認証要求を受信すると(ステップS205)、ユーザ認証データを通信部221に返信する(ステップS207)。この際に、スマートフォン3000の表示装置に認証要求を受信した旨の表示を行って、ユーザからの指示を待つようにしても良い。
【0072】
認証処理部2241は、通信部221を介してスマートフォン3000からユーザ認証データを受信したか否かを判断し(ステップS211)、ユーザ認証データを受信していない場合には、認証処理部2241は、認証待機時間を経過したか(タイムアウトしたか)を判断し、タイムアウトしていない場合には、処理はステップS209に戻って、ユーザ認証データの受信を待機する。
【0073】
一方、ユーザ認証データを受信すると、認証処理部2241は、受信したユーザ認証データに対して、認証データ格納部2242に格納されている認証データを用いて認証処理を実行する(ステップS215)。これはステップS121と同じである。そして、認証処理部2241は、認証結果を盗難防止処理部2243に出力する。なお、スマートフォン3000に対して認証結果を通知するようにしても良い。
【0074】
盗難防止処理部2243は、認証成功か否かを判断し(ステップS217)、認証成功であれば、認証処理部2241に、再認証用の所定時間の計測を指示し、次の事象検出まで待機する(ステップS223)。
【0075】
一方、認証失敗である場合には、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS219)。これによって、盗難防止処理部2243は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS221)。
【0076】
このような処理を実行することによって、電動アシスト自転車1からの降車時に電源オフを忘れてしまって、不当なユーザに乗り去られてしまった場合においても、再認証によって盗難防止機能をオンにする機会が得られる。すなわち、不当なユーザが途中で使用し始めてしまっても、その使用はあまり長く継続されないようになる。
【0077】
なお、ステップS201で、車速が閾値未満であることを要件としたのは、走行途中で盗難防止機能が急にオンになることを避けるためで、ステップS219の実行時に車速が閾値未満であれば良い。すなわち、再認証用の所定期間毎にステップS203からS223までの処理を実行するが、ステップS219の実行段階で車速が閾値未満であることを確認するようにしても良い。
【0078】
さらに、簡易的にはスマートフォン3000とのリンクが維持されている否かを定期的に確認して、リンクが切断されたことが確認された場合に、車速が閾値未満であることを確認の上、盗難防止機能をオンに設定しても良い。
【0079】
[実施の形態3]
第1及び第2の実施の形態では、スマートフォン3000のアプリケーション3100を利用するようになっていたが、別の方法で認証を行うようにしても良い。
【0080】
本実施の形態では、例えば、非接触型のICカードを用いて認証を行うことを想定する。
【0081】
図9に模式的に示すように、例えば操作パネル106と共に、ICカードホルダ付きICカードリーダ5000を設けて、制御システム1022に接続するようにしても良い。ここでは操作パネル106と一体化されている状態を示しているが、ICカードホルダ付きICカードリーダ5000を分離して電動アシスト自転車1に設置しても良い。
【0082】
本実施の形態では、正当なユーザは、電動アシスト自転車1に乗車する際に、ICカード4000をこのICカードホルダ付きICカードリーダ5000にセットする。
【0083】
なお、操作パネル106には、電源オンオフを表すLED1061と、2つの7セグメントLED1062と、前照灯108を点灯又は消灯させるスイッチ1065と、電源オンオフ及びモード設定を行うためのスイッチ1064と、3つのLEDでモードを表示するためのモード表示部1063とを含む。2つの7セグメントLED1062で、認証成功又は失敗を示すようにしても良い。
【0084】
このような非接触型のICカード4000には、予め定められたユーザ認証データが記録されており、ICカードリーダ5000によって読み取られる。本実施の形態において認証データ格納部2242には、使用を許可する人に配布されている1又は複数のICカード4000に記録されたユーザ認証データに対応できるように、認証データを保持している。例えば、複数のICカード4000の各々に記録されているユーザ認証データと同じ認証データを保持するようにしても良いし、複数のICカード4000の各々に記録されているユーザ認証データに対して所定の演算を行うことで得られる値を保持するようにしても良い。これによってグループで電動アシスト自転車1を共用できる。
【0085】
なお、本実施の形態では、
図2Aに示した通信部221については用いず、ICカードリーダ5000が制御システム1022に接続されているものとする。
【0086】
次に、
図10及び
図11を用いて、本実施の形態における具体的な動作を説明する。
【0087】
まず、ユーザは、電動アシスト自転車1を移動させ始める。そうすると、制御部222等は、初期処理を実行する(ステップS301)。この処理は、
図6の処理と同じである。
【0088】
そして、盗難防止処理部2243は、認証終了フラグがオフであるか否かを判断する(ステップS303)。認証終了フラグがオフにセットされていれば、処理は端子Hを介して
図11の処理に移行する。一方、認証終了フラグがオンであれば、盗難防止処理部2243は、認証処理部2241に処理を指示し、認証処理部2241は、ICカードホルダ付きICカードリーダ5000によるデータ読み取りを待機する(ステップS305)。認証処理部2241は、一定時間データ読み取りを待機して、データ読み取りが行われたか、すなわちデータをICカード4000をICカードリーダ5000から受信したか否かを判断する(ステップS307)。データ読み取りが行われなかった場合には、処理は端子Gを介して
図11の処理に移行する。
【0089】
一方、ICカードリーダ5000からデータを受信した場合には、認証処理部2241は、読み取りデータに対して、認証データ格納部2242に格納されている認証データを用いて認証処理を実行する(ステップS309)。認証処理部2241は、認証結果を盗難防止処理部2243に出力する。例えば、ICカードリーダ5000から受信したデータ、すなわちユーザ認証データと、認証データ格納部2242に格納されている認証データとを照合する。照合の際には所定の復号処理や所定の演算が行われる場合もある。そして処理は端子Fを介して
図11の処理に移行する。
【0090】
図11の処理の説明に移行して、盗難防止処理部2243は、認証が成功したか否かを判断する(ステップS311)。認証成功であれば、盗難防止処理部2243は、認証終了フラグをオンにセットする(ステップS313)。また、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオフにセットする(ステップS315)。ステップS315は、初期処理において盗難防止機能がオフにセットされていれば、省略可能である。そして、盗難防止処理部2243は、操作パネル106の表示を開始させる(ステップS317)。これによって、ユーザは、電動アシスト自転車1側でも通常の走行が可能な状態になったことを認識することができる。そして処理はステップS337に移行する。
【0091】
一方、認証失敗である場合、すなわち誤ったユーザ認証データを読み取った場合には、不当なユーザが本電動アシスト自転車1を使用し始めた可能性がある。そうすると、盗難防止処理部2243は、例えば認証失敗を表すコードを操作パネル106の2つの7セグメントLED1062に出力する(ステップS319)。
図9に示したように、エラーを表す「E」と認証失敗を表す「1」を表示するようにしても良い。
【0092】
認証失敗である場合又はICカードリーダ5000がICカード4000からデータを読み取れない場合(端子G経由)、認証処理部2241は、初期処理で計測を開始した認証待機時間を経過したか否かを判断する(ステップS321)。認証待機時間を経過していない場合には、処理はステップS237に移行する。本実施の形態では、間違えて異なるICカード4000をICカードホルダに挿してしまう場合もあるので、一旦認証に失敗しても、認証待機時間を経過するまで、再度認証処理を実行するようになっている。
【0093】
一方、認証成功に至らずに認証待機時間を経過した場合、認証処理部2241は、盗難防止処理部2243に、認証待機時間経過を通知する。そうすると、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS323)。これによって、盗難防止処理部2243は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS325)。本ステップは、第1の実施の形態におけるステップS142と同様である。
【0094】
そして、制御部1022は、操作パネル106の電源スイッチによってユーザからシャットダウンを指示されたか、例えばモータ回転及びペダル回転が一定時間以上行われていないという自動シャットダウン条件を満たしたか判断する(ステップS337)。シャットダウンを行わない場合には、処理は端子Jを介して
図10の処理に戻る。
【0095】
一方、シャットダウンを行う場合には、制御システム1022は、シャットダウンする(ステップS339)。
【0096】
このように、一旦シャットダウンすれば、再度初期処理(
図6)から開始するようになり、ユーザ認証を行うようになるので、ユーザは、降車時に電源オフを行うだけで盗難防止機能を働かせることができるようになる。
【0097】
スマートフォン3000の代わりにICカード4000を用いる場合には、近距離無線通信よりも安定的にユーザ認証データを取得できる。
【0098】
なお、上ではICカード4000を用いる例を示したが、ユーザ認証データを取得する方法には、様々なバリエーションがある。例えば、
図12に模式的に示すように、操作パネル106に、カメラ1066を設けることで、例えば顔認証を行うための画像データを取得できるようにする。この場合、例えば、正当なユーザの顔認証用の特徴データを画像データから所定のアルゴリズムで抽出し、認証データ格納部2242に格納しておき、認証処理時には、画像データから所定のアルゴリズムで特徴データを抽出し、認証データ格納部2242に格納されている特徴データと、今回抽出された特徴データとを照合することで、認証処理を実行する。
【0099】
また、顔認証の代わりに、指紋認証や静脈認証、虹彩認証その他の生体認証を実行するようにしても良い。
【0100】
[実施の形態4]
第4の実施の形態でも、最初にユーザ認証を行った後については、シャットダウンするまでに再認証を行わないような態様について説明したが、電源オフにするのを忘れて電動アシスト自転車1から離れてしまうと、不当なユーザが電源オン状態の電動アシスト自転車1を使用し始めてしまう場合もある。
【0101】
そこで、本実施の形態でも、認証終了フラグがオンになった後、
図13に示すような処理を実行する。なお、正当なユーザは、電動アシスト自転車1を利用し続ける場合には、自身のICカード4000を、ICカードホルダ付きICカードリーダ5000に挿し続けるものとする。
【0102】
また、本実施の形態では、第3の実施の形態で、認証終了フラグがオンになってから再認証用の所定時間を計測し始めるものとする。
【0103】
盗難防止処理部2243は、例えばモータ回転から算出される車速が閾値未満で且つ前回認証から所定時間経過という事象を検出する(ステップS351)。本実施の形態でも、例えば、交差点等で止まっているような状態を検出すると、前回認証から所定時間経過したか否かを判断し、このような条件を満たした場合には、本事象を検出したものとする。なお、本事象を検出すると、認証待機時間の測定を開始する。
【0104】
そうすると、盗難防止処理部2243は、認証処理部2241に対して認証実行を指示し、認証処理部2241は、ICカードリーダ5000にICカード4000からのデータ読み取りを指示し、当該データ読み取りを一定時間待機する(ステップS352)。
【0105】
認証処理部2241は、一定時間データ読み取りを待機して、データ読み取りが行われたか、すなわちデータをICカード4000をICカードリーダ5000から受信したか否かを判断する(ステップS353)。データ読み取りが行われなかった場合には、認証処理部2241は、認証待機時間を経過したか否か、すなわちタイムアウトしたか否かを判断する(ステップS355)。タイムアウトしていない場合には、処理はステップS352に戻る。一方、認証待機時間を経過してタイムアウトした場合には、処理はステップS361に移行する。
【0106】
ICカード4000からのデータ読み取りが行われると、認証処理部2241は、読み取りデータに対して、認証データ格納部2242に格納されている認証データを用いて認証処理を実行する(ステップS357)。認証処理部2241は、認証結果を盗難防止処理部2243に出力する。この処理はステップS309と同様である。
【0107】
そして、盗難防止処理部2243は、認証が成功したか否かを判断する(ステップS359)。認証成功であれば、今回の再認証処理は終了し、次回の事象まで待機する。これによって、正当なユーザが継続して使用していることが確認される。
【0108】
一方、認証が失敗である場合、すなわち誤ったユーザ認証データを読み取った場合、又はICカード4000からデータ読み取りができない場合、不当なユーザが本電動アシスト自転車1を乗り始めた可能性がある。そこで、盗難防止処理部2243は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS361)。これによって、盗難防止処理部2243は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS362)。本ステップは、第1の実施の形態におけるステップS142と同様である。
【0109】
さらに、認証処理部2241は、例えば認証失敗を表すコードを操作パネル106の2つの7セグメントLED1062に出力する(ステップS363)。
図9に示したように、エラーを表す「E」と認証失敗を表す「1」を表示するようにしても良い。
【0110】
このような処理を実行することによって、電動アシスト自転車1からの降車時に電源オフを忘れてしまって、不当なユーザに乗り去られてしまった場合においても、再認証によって盗難防止機能をオンにする機会が得られる。すなわち、不当なユーザが途中で使用し始めてしまっても、その使用はあまり長く継続されないようになる。
【0111】
なお、ステップS351で、車速が閾値未満であることを要件としたのは、走行途中で盗難防止機能が急にオンになることを避けるためで、ステップS362の実行時に車速が閾値未満であれば良い。すなわち、再認証用の所定期間毎にステップS352からS363までの処理を実行するが、ステップS362の実行段階で車速が閾値未満であることを確認するようにしても良い。
【0112】
さらに、簡易的にはICカード4000がICカードホルダ付きICカードリーダ5000に挿されているか否かを定期的に確認して、ICカード4000が引き抜かれたことが確認された場合に、車速が閾値未満であることを確認の上、盗難防止機能をオンに設定しても良い。
【0113】
生体認証を採用している場合にも、本実施の態様を同様に適用することができる。
【0114】
[実施の形態5]
第1乃至第4の実施の形態では、認証処理を電動アシスト自転車1で行う例を示したが、認証処理自体は、別途用意した認証サーバで行うようにしても良い。すなわち、スマートフォン3000を用いて、特定の電動アシスト自転車1を識別する識別コードを認証サーバに送信すると共に、認証サーバにユーザ認証を行わせ、認証サーバから認証結果を、識別コードで特定される電動アシスト自転車1の制御システム1022に通知するようにしても良い。この場合、通信部221は、近距離無線通信規格に従った通信を行うものではなく、例えば携帯電話のデータ通信規格に従った通信を行うようにする。
【0115】
本実施の形態では、認証サーバを用意するので、様々な認証方法を採用することができるようになる。
【0116】
[実施の形態6]
第1乃至第5の実施の形態では、ユーザ認証が成功すれば、何ら制限無く電動アシスト自転車1を利用することができる。しかしながら、ユーザ認証後にも、レンタル電動アシスト自転車のような場合には、利用制限をすべき場合もある。
【0117】
本実施の形態では、ユーザ認証だけではなく、さらに利用制限条件を満たしているか否かの確認をも行うことを想定する。
【0118】
なお、利用制限条件は、走行距離、走行時間、走行エリア、走行速度(車速)などについての条件を含む。ここでは、利用が制限される状態についての条件を規定する。例えば、走行距離は10Km超え、走行時間は2時間超え、走行エリアは、所定のエリア以外の走行、走行速度は20Km/h超えといった条件で、利用が制限される。また、それぞれの条件について、利用制限手段を対応付けるようにしても良い。たとえば、走行速度が上限を超えた場合には、回生制動をかけ、それ以外の場合にはショートブレーキを行うようにするといったような利用制限手段を個別に設定しても良い。一方、どの条件にも同じ利用制限手段を設定しても良い。
【0119】
このような本実施の形態における動作の概要を
図14を用いて説明する。
【0120】
本実施の形態では、モータ駆動制御装置102は、GPS(Global Positioning System)衛星8000からの信号を受信し、位置データを特定する測位部を備えている。また、モータ駆動制御装置102は、モータ105からのモータ回転情報から電動アシスト自転車1の走行距離及び走行速度を算出すると共に、例えば認証終了フラグがオンになった時からの時間を計測する。
【0121】
正当なユーザは、例えばスマートフォン3000に電動アシスト自転車1の認証及び利用のためのアプリケーション3100bをインストールしておく。アプリケーション3100bは、モータ駆動制御装置102と例えば近距離無線通信規格に従った通信を行うと共に、携帯電話のデータ通信規格に従った通信を、インターネット等のコンピュータネットワーク7000に接続されている利用管理サーバ6000と行う。
【0122】
利用管理サーバ6000は、ユーザ認証を行うと共に、課金などの処理を行う。例えば、利用制限条件に従って課金内容が決定される。例えば、より利用制限条件が緩和されると料金が高くなり、より利用制限条件が厳しい場合には料金が安くなる。利用管理サーバ6000は、設定された利用制限条件を表す利用制限条件データと、認証済みデータとを生成して、スマートフォン3000のアプリケーション3100bに送信する。
【0123】
スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、認証済みデータ及び利用制限条件データを、モータ駆動制御装置102に転送する。モータ駆動制御装置102は、認証済みデータを用いて認証を行うと共に、認証成功の場合には利用制限条件データを保持し、走行中に利用制限条件を満たしているか否かを確認する。
【0124】
一方、認証失敗の場合には、例えば第1の実施の形態と同様に、盗難防止のための動作を行って、不当なユーザが、自由に電動アシスト自転車1を利用できないようにする。
【0125】
図15に、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102及びバッテリパックの構成例を示す。
図2Aとの差異は、制御システム1022が制御システム1022bになった点であり、制御システム1022bは、近距離無線通信規格に従った通信を行う通信部221と、GPS衛星8000からの信号を受信して位置データを生成する測位部223と、本実施の形態における制御を実行する制御部222bとを有する。制御部222bは、
図2Aに示したように、例えばマイクロプロセッサ2221がプログラムを実行することで実現され、メモリ2222にプログラム及びデータを格納する。
【0126】
また、本実施の形態に係る制御部222bの機能構成例を
図16に示す。
【0127】
制御部222bは、認証処理部2241bと、認証データ格納部2242bと、利用制限条件データ格納部2244と、判定部2245と、制限制御部2246とを有する。認証データ格納部2242bは、受信した認証済みデータを認証するために用いる認証データを格納している。認証処理部2241bは、受信した認証済みデータに対して、認証データ格納部2242bに格納されている認証データを用いて認証処理を実行し、認証成功の場合には、受信した利用制限条件データを利用制限条件データ格納部2244に格納する。また、判定部2245は、モータ回転情報や位置データなどから、利用制限条件データ格納部2244に格納されている利用制限条件に従って走行しているか否かを判定する。なお、認証の方式によっては認証データ格納部2242bは不要になる場合もある。
【0128】
制限制御部2246は、認証失敗などに応じて、モータ駆動制御部1023に盗難防止のための動作を行わせたり、判定部2245による利用制限条件を満たしたという判断に応じて、モータ駆動制御部1023に利用制限動作を実行させる。
【0129】
次に、
図17乃至
図19を用いて、本実施の形態における具体的な動作を説明する。
【0130】
ユーザは、スマートフォン3000にインストールされているアプリケーション3100bを起動して、電動アシスト自転車1に対する利用開始要求を入力する。そうすると、アプリケーション3100bは、利用開始要求を利用管理サーバ6000に送信する(ステップS401)。利用管理サーバ6000は、スマートフォン3000から利用開始要求を受信する(ステップS403)。図示していないが、例えばこの段階で、例えばユーザID及びパスワードなどによる認証を行うようにしても良い。
【0131】
利用管理サーバ6000は、利用履歴や課金状態などに基づき利用開始条件を満たすか否かを判断し、当該利用開始条件を満たしていれば、アプリケーション3100bからのユーザの要求などにも基づき利用制限条件を設定し、利用制限条件を含む利用制限条件データを生成する(ステップS405)。そして、利用管理サーバ6000は、利用管理サーバ6000での認証済みデータ及び利用制限条件データを、スマートフォン3000に送信する(ステップS407)。スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、利用制限条件データ及び認証済みデータを、利用管理サーバ6000から受信する(ステップS409)。
【0132】
一方で、ユーザは、電動アシスト自転車1を移動させ始める。そうすると、電動アシスト自転車1の制御部222b等は、初期処理を実行する(ステップS411)。この処理は、
図6の処理と同じである。なお、盗難防止処理部2243が実行する処理については、制限制御部2246が実行するものとする。
【0133】
初期処理の後に、制限制御部2246は、認証終了フラグがオフであるか否かを判断する(ステップS413)。認証終了フラグがオンであれば、処理は端子Kを介して
図19の処理に移行する。一方、認証終了フラグがオフであれば、制御部222bは、通信部221を介して接続要求を受信するのを待機する(ステップS417)。
【0134】
これに対して、スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、ステップS409の後に、接続要求を、電動アシスト自転車1の通信部221に送信する(ステップS415)。
【0135】
スマートフォン3000からの接続要求が一定時間内になければ、処理は端子Lを介して
図19の処理に移行する。一方、スマートフォン3000からの接続要求を受信すると、スマートフォン3000と通信部221とはリンクを確立する(ステップS421)。なお、リンクが確立できなければ、端子Lを介して
図19の処理に移行する。
【0136】
リンクが確立されると、スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、認証済みデータを通信部221に送信する(ステップS423)。これに対して、通信部221は、スマートフォン3000のアプリケーション3100bから認証済みデータを受信し(ステップS425)、認証処理部2241bに出力する。認証処理部2241bは、認証データ格納部2242bに格納されている認証データを用いて、認証済みデータに対して認証処理を実行する(ステップS427)。例えば、認証済みデータが真正な認証済みデータであるか否かを、認証データ格納部2242bに格納されている認証データに基づき判断する。認証処理部2241bは、認証結果を制限制御部2246に出力する。そして処理は端子Mを介して
図18の処理に移行する。
【0137】
図18の処理の説明に移行して、認証処理部2241bは、認証成功か否かを判断する(ステップS429)。ここで認証失敗であれば、処理は端子Pを介して
図19の処理に移行する。一方、認証成功であれば、認証処理部2241bは、通信部221を介して認証成功を、スマートフォン3000に送信する(ステップS431)。スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、通信部221から認証成功を表すデータを受信すると、表示装置に認証成功を表示する(ステップS433)。これによって、ユーザは、これから通常どおり走行できることを認識する。
【0138】
また、制限制御部2246は、認証終了フラグをオンにセットする(ステップS435)。さらに、制限制御部2246は、盗難防止機能をオフにセットする(ステップS437)。ステップS437は、初期処理において盗難防止機能がオフにセットされていれば、省略可能である。そして、制限制御部2246は、操作パネル106の表示を開始させる(ステップS439)。これによって、ユーザは、電動アシスト自転車1側でも通常の走行が可能な状態になったことを認識することができる。
【0139】
スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、さらに、利用制限条件データを、通信部221に送信する(ステップS441)。通信部221は、利用制限条件データをスマートフォン3000から受信し、利用制限条件データ格納部2244に格納する(ステップS443)。そして、制限制御部2246は、判定部2245に処理開始を指示し、判定部2245及び制限制御部2246は、利用制限条件に基づく制御処理を開始する(ステップS445)。走行時間や走行距離を利用制限条件とする場合には、判定部2245は走行時間及び走行距離の計測を開始する。この制御処理については、別途説明する。そして処理は、端子Kを介して
図19の処理に移行する。
【0140】
一方、認証失敗である場合
図19の処理に移行して、不当なユーザが本電動アシスト自転車1を使用し始めた場合には、認証処理部2241bは、通信部221を介して、スマートフォン3000に対して認証失敗を通知する(ステップS447)。
【0141】
スマートフォン3000のアプリケーション3100bは、通信部221から認証失敗を表すデータを受信すると、表示装置に認証失敗を表示する(ステップS449)。この場合、例えば、アプリケーション3100bは、再認証可能かどうかを判断する(ステップS451)。例えば、認証失敗の回数をカウントするようにしておき、所定回数認証失敗しているか否かを判断する。再認証が不可能であれば、アプリケーション3100bは、表示装置に、本電動アシスト自転車1が使用不可能である旨の表示を行う(ステップS453)。一方、再認証が可能であれば、アプリケーション3100bは、ユーザからの再認証指示を待機して、ユーザから再認証指示を受け付けると(ステップS455)、処理は端子Qを介して
図17の処理に戻る。
【0142】
認証失敗である場合又はスマートフォン3000と接続できない場合(端子L経由)、認証処理部2241bは、初期処理で計測を開始した認証待機時間を経過したか否かを判断する(ステップS457)。認証待機時間を経過していない場合には、処理はステップS463に移行する。本実施の形態では、スマートフォン3000のアプリケーション3100bから認証済みデータの送信を複数回実行できるようにしているので、一旦認証に失敗しても、認証待機時間を経過するまで、再度認証処理を実行するようになっている。
【0143】
一方、認証成功に至らずに認証待機時間を経過した場合、認証処理部2241bは、制限制御部2246に、認証待機時間経過を通知する。そうすると、制限制御部2246は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS459)。これによって、制限制御部2246は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS461)。この処理は、第1の実施の形態と同様である。
【0144】
そして、制御部1022は、操作パネル106の電源スイッチによってユーザからシャットダウンを指示されたか、例えばモータ回転及びペダル回転が一定時間以上行われていないという自動シャットダウン条件を満たしたか判断する(ステップS463)。シャットダウンを行わない場合には、処理は端子Rを介して
図17の処理に戻る。
【0145】
一方、シャットダウンを行う場合には、制御システム1022は、シャットダウンする(ステップS465)。
【0146】
一旦シャットダウンすれば、再度初期処理(
図6)から開始するようになり、ユーザ認証を行うようになるので、ユーザは、降車時に電源オフを行うだけで盗難防止機能を働かせることができるようになる。
【0147】
次に、
図20を用いて、利用制限条件に基づく制御処理の一例について説明する。
【0148】
まず、判定部2245は、利用制限条件データ格納部2244から利用制限条件データを読み出し、設定されている利用制限条件に関連するデータを取得する(ステップS501)。例えば、走行時間が利用制限条件であれば、現在の走行時間のデータを取得し、走行距離が利用制限条件であれば、現在の走行距離のデータを取得する。走行距離は、例えば、モータ回転数×車輪周長などで算出する。
【0149】
そして、判定部2245は、取得したデータから利用制限条件が満たされているか否かを判断する(ステップS503)。
【0150】
走行速度について利用制限条件が設定されているのであれば、走行速度が閾値を超えているか否かを判定する。走行距離については利用制限条件が設定されているのであれば、例えば認証終了フラグがオンになってからの走行距離が閾値を超えているか否かを判定する。走行時間についての利用制限条件が設定されているのであれば、例えば認証終了フラグがオンになってからの走行時間が閾値を超えているか否かを判定する。また、走行エリアについての利用制限条件が設定されているのであれば、現在位置が、設定されたエリア外になっているか否かを判断する。
【0151】
取得したデータから利用制限条件が満たされていない場合には、判定部2245は、制限制御部2246に、通常制御処理を実行させる(ステップS507)。また、判定部2245は、操作パネル106に利用制限条件を満たしていることを表す表示を停止させる。そして処理はステップS509に移行する。
【0152】
一方、利用制限条件が満たされている場合には、判定部2245は、制限制御部2246に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
【0153】
制限制御部2246は、判定部2245からの利用制限の指示に従い、例えば、強制的に回生制動を行わせる強制回生制御、又は設定速度と走行速度との差に基づく回生制動を行わせる速度一定回生制御を実行する(ステップS505)。
【0154】
なお、強制回生制御の場合には、例えば所定の回生量を生じるように回生制動を行わせる制御である。通常では、搭乗者がペダルを漕いでトルクセンサ103がトルクを検出している場合には、回生制動を行わせることはないが、本実施の形態では強制回生制御を行う場合には、搭乗者がペダルを漕いでいるか否かなど搭乗者の操作に拘わらず、回生制動を行わせる。これによって、搭乗者に、走行の困難性を感じさせることができるようになる。
【0155】
速度一定回生制御の場合には、設定速度(例えば走行速度の閾値と同じ値。但し、より低い閾値を設定してもよい)と現在の走行速度との差に基づき回生量を決定して、当該回生量を生じさせるように回生制動を行わせる制御である。より具体的には、現在の走行速度が設定速度を超えている場合には、その差に比例した回生量を設定するものであり、設定速度以下での走行を強制させるものである。
【0156】
強制回生制御と速度一定回生制御とのいずれかを実行するかについても、利用制限条件と共に予め設定するようにしてもよい。すなわち、走行速度についての利用制限条件については速度一定回生制御を設定し、走行時間についての利用制限条件については強制回生制御を設定するようにしてもよい。
【0157】
そして、制御部222bは、シャットダウンが指示された又は自動シャットダウンの条件を満たしたか否かを判断する(ステップS509)。シャットダウン指示がなく且つ自動シャットダウンの条件を満たしていない場合には、処理はステップS501に戻る。一方、シャットダウンが指示されたか又は自動シャットダウンの条件を満たした場合には、処理を終了する。
【0158】
以上のような処理を実行することで、利用制限条件を満たさない場合には走行を自由に継続させ利用制限条件を満たす場合には走行を妨げるような制御を行うようにしても良い。なお、第1の実施の形態で述べたような力行駆動の制限を実施するようにしても良い。
【0159】
なお、上で述べた処理フローでは、ユーザ認証済みデータと利用制限条件データを別々に受信する例を示したが、一緒に受信して、認証成功時に、利用制限条件データ格納部2244に登録するようにしても良い。
【0160】
[実施の形態7]
本実施の形態は、第6の実施の形態を、第3の実施の形態のように、スマートフォン3000を用いないように変形したものである。
【0161】
本実施の形態の概要を
図21に示す。本実施の形態では、ICカード4000に記録されているユーザ認証データをICカードホルダ付きICカードリーダ5000に読み取らせて、モータ駆動制御装置102の通信部221に、利用管理サーバ6000に送信させる。スマートフォン3000ではなく利用管理サーバ6000と直接通信するので、通信部221は、例えば携帯電話のデータ通信規格に従った通信を行う。
【0162】
利用管理サーバ6000は、受信したユーザ認証データで認証処理を実行し、認証結果をモータ駆動制御装置102に送信する。認証成功の場合には、利用管理サーバ6000は、ユーザ認証データで特定されたユーザについての利用制限条件データをも、モータ駆動制御装置102に送信する。モータ駆動制御装置102は、認証結果に基づき、第3の実施の形態と同様の処理を行う。さらに、モータ駆動制御装置102は、認証成功の場合には、利用制限条件データで規定されている利用制限条件に基づく制御処理をも行う。
【0163】
次に、
図22及び
図23を用いて、本実施の形態における具体的な動作を説明する。
【0164】
まず、ユーザは、電動アシスト自転車1を移動させ始める。そうすると、制御部222等は、初期処理を実行する(ステップS601)。この処理は、
図6の処理と同じである。なお、盗難防止処理部2243が実行する処理については、制限制御部2246が実行するものとする。
【0165】
初期処理後、制限制御部2246は、認証終了フラグがオフであるか否かを判断する(ステップS603)。認証終了フラグがオフにセットされていれば、処理は端子Tを介して
図22の処理に移行する。一方、認証終了フラグがオンであれば、制限制御部2246は、認証処理部2241bに処理を指示し、認証処理部2241bは、ICカードホルダ付きICカードリーダ5000によるデータ読み取りを待機する(ステップS605)。認証処理部2241bは、一定時間データ読み取りを待機して、データ読み取りが行われたか、すなわちデータをICカード4000をICカードリーダ5000から受信したか否かを判断する(ステップS607)。データ読み取りが行われなかった場合には、処理は端子Uを介して
図23の処理に移行する。
【0166】
一方、ICカードリーダ5000からデータを受信した場合には、認証処理部2241bは、読み取りデータ、すなわちユーザ認証データを、通信部221を介して利用管理サーバ6000に送信する(ステップS609)。
【0167】
利用管理サーバ6000は、読み取りデータ、すなわちユーザ認証データを受信し(ステップS611)、当該ユーザ認証データで認証処理を実行する(ステップS613)。例えば、予め登録されている認証データと一致するか否かを判断する。そして、利用管理サーバ6000は、認証結果を、通信部221に送信する(ステップS615)。認証処理部2241bは、通信部221を介して、認証結果を受信する(ステップS617)。認証処理部2241bは、認証結果を制限制御部2246に出力する。処理は、端子Sを介して
図23の処理に移行する。
【0168】
図23の処理の説明に移行して、認証処理部2241bは、認証が成功したか否かを判断する(ステップS619)。認証成功であれば、制限制御部2246は、認証終了フラグをオンにセットする(ステップS621)。また、制限制御部2246は、盗難防止機能をオフにセットする(ステップS623)。ステップS623は、初期処理において盗難防止機能がオフにセットされていれば、省略可能である。そして、制限制御部2246は、操作パネル106の表示を開始させる(ステップS625)。これによって、ユーザは、電動アシスト自転車1側でも通常の走行が可能な状態になったことを認識することができる。
【0169】
さらに、制限制御部2246は、例えば認証処理部2241b及び通信部221を介して、利用管理サーバ6000に、利用制限条件データの要求を送信する(ステップS627)。利用管理サーバ6000は、利用制限条件データの要求を受信すると(ステップS629)、例えばユーザ認証データで特定されたユーザについての利用制限条件データを読み出して、通信部221に送信する(ステップS631)。なお、認証成功の場合に、認証結果と共に利用制限条件データを送信するようにしても良い。
【0170】
認証処理部2241bは、通信部221を介して利用制限条件データを受信すると、利用制限条件データ格納部2244に格納する(ステップS633)。そして、制限制御部2246は、判定部2245に処理開始を指示し、判定部2245及び制限制御部2246は、利用制限条件に基づく制御処理を開始する(ステップS635)。走行時間や走行距離を利用制限条件とする場合には、判定部2245は走行時間及び走行距離の計測を開始する。この制御処理については、
図20に示した処理の実行を開始する。そして処理はステップS645に移行する。
【0171】
一方、認証失敗である場合、すなわち誤ったユーザ認証データを読み取った場合には、不当なユーザが本電動アシスト自転車1を使用し始めた可能性がある。そうすると、制限制御部2246は、例えば認証失敗を表すコードを操作パネル106の2つの7セグメントLED1062に出力する(ステップS637)。
図9に示したように、エラーを表す「E」と認証失敗を表す「1」を表示するようにしても良い。
【0172】
認証失敗である場合又はICカードリーダ5000がICカード4000からデータを読み取れない場合(端子U経由)、認証処理部2241bは、初期処理で計測を開始した認証待機時間を経過したか否かを判断する(ステップS639)。認証待機時間を経過していない場合には、処理はステップS645に移行する。本実施の形態では、間違えて異なるICカード4000をICカードホルダに指してしまう場合もあるので、一旦認証に失敗しても、認証待機時間を経過するまで、再度認証処理を実行するようになっている。
【0173】
一方、認証成功に至らずに認証待機時間を経過した場合、認証処理部2241bは、制限制御部2246に、認証待機時間経過を通知する。そうすると、制限制御部2246は、盗難防止機能をオンにセットする(ステップS641)。これによって、制限制御部2246は、モータ駆動制御部1023に、盗難防止のための動作を実行させる(ステップS643)。本ステップは、第1の実施の形態におけるステップS142と同様である。
【0174】
そして、制御部1022は、操作パネル106の電源スイッチによってユーザからシャットダウンを指示されたか、例えばモータ回転及びペダル回転が一定時間以上行われていないという自動シャットダウン条件を満たしたか判断する(ステップS645)。シャットダウンを行わない場合には、処理は端子Vを介して
図22の処理に戻る。
【0175】
一方、シャットダウンを行う場合には、制御システム1022は、シャットダウンする(ステップS647)。
【0176】
このように、一旦シャットダウンすれば、再度初期処理(
図6)から開始するようになり、ユーザ認証を行うようになるので、ユーザは、降車時に電源オフを行うだけで盗難防止機能を働かせることができるようになる。
【0177】
スマートフォン3000の代わりにICカード4000を用いる場合には、近距離無線通信よりも安定的にユーザ認証データを取得できる。
【0178】
なお、上ではICカード4000を用いる例を示したが、認証方法には、様々なバリエーションがある。第3の実施の形態で述べたような生体認証などを採用しても良い。
【0179】
[実施の形態8]
第6及び第7の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、初期的に認証を行うだけではなく、その後も認証を行って、電源オフを忘れて不当なユーザに持ち去られたということを妨げるようにしても良い。
【0180】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。
【0181】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。処理フローについても、処理内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0182】
また、制御部222及び222bについては、一部又は全部を専用の回路にて実装しても良いし、予め用意したプログラムを実行することで、上で述べたような機能を実現させるようにしても良い。
【0183】
本実施の形態において採用し得るユーザ認証の種類は様々であって、上で述べた種類に限定されるものではない。採用されるユーザ認証によって、用いられるデータの種類も異なっており、上で述べた説明で用いられるデータの種類も一例に過ぎない。
【0184】
さらに、上で述べた利用制限条件の代わりに、利用許可条件を設定するようにしても良い。
【0185】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0186】
本実施の形態に係るモータ制御装置は、モータを制御する第1の制御部(例えばモータ駆動制御部1023)と、第1の制御部を制御する第2の制御部(例えば制御システム1022)と、第2の制御部に対して電力供給がなされていない状態でモータが外力によって回転したことを検出して第2の制御部への電力供給を開始させる起動補助部(例えば補助部1028)とを有する。そして、この第2の制御部は、起動補助部又はユーザ指示によって電力供給が開始されるとユーザ認証を試み又は当該ユーザ認証の実施を待機し、当該ユーザ認証が失敗した場合(起動後所定時間内にユーザ認証に成功しなかった場合を含む)又は起動後所定時間内に当該ユーザ認証が行われない場合には、第1の制御部に、予め定められた駆動制限と予め定められた制動との少なくともいずれかを行わせるものである。
【0187】
本モータ制御装置によれば、電源オフにさえなっていれば、不当なユーザがモータを回転させるような動作を行ったり自ら電源をオンにすれば、自動的にユーザ認証を試みたり、他の認証装置によるユーザ認証を待機するので、正当なユーザでなければ、盗難防止機能が有効化される。一方、正当な利用者であれば、ユーザ認証に成功するので、通常どおり利用できるようになる。すなわち、盗難防止機能を有効化させる手間を削減できるようになる。
【0188】
なお、上で述べた第2の制御部は、ユーザ認証が成功した後にユーザ再認証を試み又は当該ユーザ再認証を待機し、当該ユーザ再認証が失敗した場合又は当該ユーザ再認証が第2の所定時間内に行われない場合には、予め定められた第2の駆動制限と予め定められた第2の制動との少なくともいずれかを行わせるようにしても良い。
【0189】
電源オフを忘れた場合においても、ユーザ再認証を実行して問題があれば、盗難防止機能を有効化させるので、走行抑止を行うことができるようになる。なお、例えば電動アシスト車の速度が閾値未満の状態で、予め定められた第2の駆動制限と予め定められた第2の制動との少なくともいずれかを行わせるようにすれば、十分安全性も確保される。さらに、モータが搭載された装置の速度が閾値未満の状態において、ユーザ再認証を試みるようにしても良い。より安全性が高まる。
【0190】
さらに、上で述べた第2の制御部は、予め定められた走行条件が満たされた場合には、自動的に電源オフ状態に遷移するようにしても良い。電源オフを忘れた場合においても、例えばモータ回転やペダル回転が一定時間以上行われていないという事象を検出して自動的に電源オフ状態になれば、盗難抑止効果が高まる。
【0191】
なお、上で述べた予め定められた駆動制限又は第2の駆動制限は、アシスト駆動の抑制又は禁止である場合もある。また、予め定められた制動又は第2の制動は、ショートブレーキ、回生制動、又は制動トルクを生じさせつつ発生電力をモータ内で消費させる制動である場合もある。不当なユーザの自由な走行を妨げるため、様々な方策を採用することができ、様々な方策の組み合わせが可能である。
【0192】
さらに、上で述べた第2の制御部が、ユーザ認証を、外部の通信装置(例えばユーザのスマートフォン3000)から受信した認証データに基づき実行するか、又は、認証装置(例えば利用管理サーバ6000など)によるユーザ認証の実施を待機するようにしても良い。例えば、スマートフォンと連携してユーザ認証を行うようにしても良い。
【0193】
また、本モータ制御装置が、ICカードリーダ又は生体データ読み取り部をさらに有するようにしても良い。この場合、上で述べた第2の制御部が、ユーザ認証を、ICカードからICカードリーダにより読み出した認証データ又はユーザから生体データ読み取り部により読み取られた認証データに基づき実行するか、又は、ICカードからICカードリーダにより読み出した認証データ又はユーザから生体データ読み取り部により読み取られた認証データに基づくユーザ認証の、外部の認証装置による実施を待機するようにしても良い。このように、スマートフォンだけではなく、ICカードと連携したり、生体認証を活用したりすることも可能である。
【0194】
さらに、上で述べた第2の制御部は、設定された利用制限条件を満たしているか否か又は設定された利用許可条件に反しているか否かを更に判断し、利用制限条件を満たしていると判断した場合又は利用許可条件に反していると判断した場合には、予め定められた第3の駆動制限と予め定められた第3の制動(例えばステップS505)との少なくともいずれかを行わせるようにしても良い。ユーザ認証に成功していたとしても、適切な利用ではない場合もある。このように利用制限条件又は利用可能条件を設定しておいて、適切な利用がなされているか否かを確認して、適切な利用ではない場合には、利用を妨げるようにするものである。ユーザ認証で認証成功しているので、ユーザ認証に失敗している場合よりも利用を妨げる程度を下げても良い。
【0195】
第3の駆動制限については、上でも述べたように、モータにショートブレーキが掛かるようにして、走行を妨げる。また、モータを常に回生状態になるようにして、走行はできるが継続的に走行するのに不快を感じさせるようにして、走行を妨げるようにしてもよい。さらに、モータに力行駆動を行わせない、又は、出力トルク上限やアシスト比などを抑制して力行駆動を抑制させることで、不快を感じさせるようにしても良い。さらに、力行駆動を行わせる上限速度を極低速に設定して上限速度以上になると強制的に回生制動を生じさせて、走行を妨げるようにしても良い。これらを組み合わせるようにしても良い。
【0196】
さらに、第3の制動についても、強制的に回生制動を行わせる強制回生制御、設定速度と走行速度との差に基づく回生制動を行わせる速度一定回生制御だけではなく、ショートブレーキ、又は制動トルクを生じさせつつ発生電力をモータ内で消費させる制動である場合もある。
【0197】
なお、利用制約条件又は利用許可条件に含まれる条件が、走行時間、走行距離、走行速度、及び地理的条件のうち少なくともいずれかである場合もある。
【0198】
さらに、上で述べた第2の制御部は、ユーザ認証が成功した後、操作パネル表示を開始させるようにしても良い。ユーザ認証が成功したことを、ユーザが容易に認識できるようになる。逆に、ユーザ認証を試みている又はユーザ認証の実施を待機している間は、操作パネル表示を抑止しても良い。自動起動を不当なユーザに伏せるためである。
【0199】
さらに、上で述べた第2の制御部は、ユーザ認証が失敗した場合又は所定期間内にユーザ認証が行われない場合には、操作パネルへの警告表示又は警報音の出力を行わせるようにしても良い。外部に不当なユーザであることを示して、盗難抑止効果を高めるためである。
【0200】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0201】
2241,2241b 認証処理部
2242,2242b 認証データ格納部
2243 盗難防止処理部
2244 利用制限条件データ格納部
2245 判定部
2246 制限制御部