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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ガス漏洩検知装置及びガス漏洩検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/38 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
G01M3/38 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020099168
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193336
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大貫 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042965(JP,A)
【文献】特開2016-169993(JP,A)
【文献】特開2013-257166(JP,A)
【文献】特開2015-163862(JP,A)
【文献】特開平06-194308(JP,A)
【文献】特開平04-132937(JP,A)
【文献】米国特許第05298751(US,A)
【文献】特開2014-035311(JP,A)
【文献】特開2005-156540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを照射対象に向けて照射する照射部と、
前記照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する拡張部と、
前記拡張部で拡張されて前記照射対象から反射したレーザを受光する受光部と、
前記照射部、前記拡張部及び前記受光部を、前記一方向に対する直交方向へ移動させる移動部と、を備え、
前記拡張部は、回転しながら前記照射部からのレーザを前記一方向に沿って走査して、前記一方向へ拡張するポリゴンミラーであって、
前記受光部は、前記ポリゴンミラーによって前記一方向に拡張されて前記照射対象から反射したレーザを直接受光する、
ガス漏洩検知装置。
【請求項2】
前記ポリゴンミラーの回転軸方向は、前記直交方向に沿っている、
請求項1に記載のガス漏洩検知装置。
【請求項3】
レーザを照射対象に向けて照射する照射部と、
前記照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する拡張部と、
前記拡張部で拡張されて前記照射対象から反射したレーザを受光する受光部と、を備え
前記拡張部は、回転しながら前記照射部からのレーザを前記一方向に沿って走査して、前記一方向へ拡張するポリゴンミラーであって、
前記受光部は、前記ポリゴンミラーによって前記一方向に拡張されて前記照射対象から反射したレーザを直接受光するガス漏洩検知器を、
前記一方向に対する直交方向へ移動させてガスの漏洩を検知する
ガス漏洩検知方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏洩検知装置及びガス漏洩検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス漏洩検知装置としては、車両にレーザ式ガスセンサを搭載し、車両で走行しながら路面上にレーザを照射して、路面上でのガス漏洩の有無を検知する検知装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-42965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検知装置では、車両を使ってガス漏洩検知を実施するが、レーザを路面上の一地点に照射するものであるため、ガスの漏洩を検知できる検知範囲が狭かった。
【0005】
本発明は、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係るガス漏洩検知装置は、レーザを照射する照射部と、前記照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する拡張部と、前記拡張部で拡張されたレーザを受光する受光部と、前記照射部、前記拡張部及び前記受光部を、前記一方向に対する直交方向へ移動させる移動部と、を備える。
【0007】
このように、第1態様の構成では、拡張部が、照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張し、移動部が、照射部、拡張部及び受光部を一方向に対する直交方向へ移動させるので、検知範囲が帯状に形成される。このため、照射部から照射されたレーザを拡張せずに移動部が照射部、拡張部及び受光部を移動させる構成に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。また、第1態様の構成によれば、照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張し、移動部が照射部、拡張部及び受光部を一方向へ移動させる構成に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。
【0008】
第2態様に係るガス漏洩検知装置では、前記拡張部は、前記照射部からのレーザを前記一方向に沿って走査して、当該一方向へ拡張する走査部である。
【0009】
このように、第2態様の構成では、走査部が、照射部からのレーザを一方向に沿って走査して、一方向へ拡張するので、走査する幅や角度を変えることで、拡張幅を調整できる。このため、検知範囲の調整が容易となる。
【0010】
第2態様の走査部としては、第3態様に記載されるように、回転するポリゴンミラーを有する構成とすることができる。
【0011】
第4態様に係るガス漏洩検知装置では、前記拡張部は、前記照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する光学素子である。
【0012】
このように、第4態様の構成では、光学素子が、照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する。このため、拡張部を駆動しなくても、レーザを拡張できる。
【0013】
第4態様の光学素子としては、第5態様に記載されるように、平凹シリンドリカルレンズを用いることができる。
【0014】
第6態様に係るガス漏洩検知方法は、レーザを照射する照射部と、前記照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する拡張部と、前記拡張部で拡張されたレーザを受光する受光部と、を備えるガス漏洩検知器を、前記一方向に対する直交方向へ移動させてガスの漏洩を検知する。
【0015】
このように、第6態様の方法では、照射部から照射されたレーザを一方向へ拡張する拡張部を有するガス漏洩検知器を、一方向に対する直交方向へ移動させるので、検知範囲が帯状に形成される。このため、拡張部を有さないガス漏洩検知器も用いて検知する場合に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。また、第6態様の方法によれば、ガス漏洩検知器を一方向へ移動させる構成に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成としたので、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るガス漏洩検知装置の構成を示す概略図である。
図2】メタンの光吸収スペクトルを示す線図である。
図3】第1実施形態に係るガス漏洩検知装置において、照射対象へレーザが照射された状態を示す概略図である。
図4図3における4A部分の拡大図である。
図5】レーザ照射部から照射されたレーザを拡張しなかった場合の検知範囲を示す図である。
図6】ガス漏洩検知器を走査方向へ移動させた場合の検知範囲を示す図である。
図7】第1実施形態に係るガス漏洩検知装置の検知範囲を示す図である。
図8】第2実施形態に係るガス漏洩検知装置の構成を示す概略図である。
図9】第2実施形態に係るガス漏洩検知装置の平凹シリンドリカルレンズの構成を示す斜視図である。
図10】第2実施形態に係るガス漏洩検知装置において、照射対象へレーザが照射された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
《第1実施形態》
(ガス漏洩検知装置10)
まず、第1実施形態に係るガス漏洩検知装置10の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係るガス漏洩検知装置10の構成を示す概略図である。なお、各図では、ガス漏洩検知装置10の構成を模式的に示しており、各構成部同士の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。また、各図の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面に対して直交する方向へ向かう矢印を意味する。
【0019】
図1に示されるガス漏洩検知装置10は、ガスの漏洩を検知する装置である。具体的には、ガス漏洩検知装置10は、ガスが収容されたガス収容部からのガスの漏洩を検知する。検知の対象となるガスとしては、メタン(具体的には、メタンを主成分とする都市ガス)が挙げられる。
【0020】
なお、検知の対象となるガスとしては、メタンに限られず、メタン以外炭化水素(例えば、ブタン、プロパン等)を含むものであってもよい。さらに、ガスとしては、前述のものに限られず、一酸化炭素、硫化水素、塩化水素、その他の気体を含むものであってもよい。
【0021】
前述の「ガス収容部」としては、ガスが流通するガス配管、及びガスが貯留されたガスタンクなどが挙げられる。なお、ガス収容部としては、前述のものに限られず、ガスが収容された収容部であればよい。
【0022】
前述の「ガスの漏洩を検知する」とは、ガスの漏洩の有無を特定することであるが、「ガスの漏洩を検知する」には、ガスが漏洩している箇所、漏洩したガスの濃度、及び漏洩したガスの分布の広がり等を特定することが含まれていてもよい。
【0023】
ガス漏洩検知装置10は、具体的には、図1に示されるように、ガス漏洩検知器11と、移動機構50と、操作部60と、を備えている。ガス漏洩検知器11は、ガス漏洩検知装置10において、ガス漏洩の検知を担う主要部である。具体的には、ガス漏洩検知器11は、筐体12と、レーザ照射部20と、走査部30と、レーザ受光部40と、提示部80と、を有している。
【0024】
以下、ガス漏洩検知装置10の各部(筐体12、レーザ照射部20、走査部30、レーザ受光部40、提示部80、移動機構50及び操作部60)の構成を説明する。
【0025】
(ガス漏洩検知器11)
(筐体12)
筐体12は、図1に示されるように、レーザ照射部20、走査部30、及びレーザ受光部40等の構成部を収容する箱体(ケーシング)である。筐体12の内部には、各構成部を支持する支持体(図示省略)が設けられている。また、筐体12は、レーザ照射部20からのレーザ、及びレーザ受光部40に向かう反射光を通過させる開口(図示省略)、又は、当該レーザ及び当該反射光を透過する透過部(図示省略)を有している。なお、各図では、レーザ照射部20からのレーザが符号L1にて示され、レーザ受光部40に向かう反射光が符号L2にて示されている。
【0026】
(レーザ照射部20)
図1に示されるレーザ照射部20は、特許請求の範囲における照射部の一例である。このレーザ照射部20は、レーザを照射する機能を有している。具体的には、レーザ照射部20は、図3に示されるように、照射対象28へ向けて赤外線レーザ(すなわち、赤外領域の波長を有するレーザ)を照射する。照射対象28は、レーザ照射部20がレーザを照射する対象である。例えば、ガス漏洩検知装置10が、地中に埋められたガス配管からのガスの漏洩を検知する場合には、地面が照射対象28となる。
【0027】
レーザ照射部20は、さらに具体的には、近赤外領域の波長(およそ0.7μm以上2.5μm未満)又は、中赤外領域の波長(およそ2.5μm以上4μm未満)を有するレーザを出射する。さらに言えば、レーザ照射部20は、以下のように、検知対象であるメタンの光吸収スペクトルに応じた波長のレーザを照射する。
【0028】
ここで、メタンの光吸収スペクトルは、図2に示されるように、1μmから5μmまでの波長の範囲において、波長3.3(μm)付近で吸収率が最も高い。そこで、レーザ照射部20は、一例として、波長3.3(μm)付近の波長を有するレーザを照射する。なお、メタンの光吸収スペクトルは、波長1.6(μm)付近でも相対的に高くなっているため、レーザ照射部20は、波長1.6(μm)付近の波長を有するレーザを照射する構成であってもよい。
【0029】
このように、レーザ照射部20は、検知対象であるガスの光吸収スペクトルに応じた波長のレーザを照射する。したがって、メタン以外のガスを検知対象とする場合には、当該ガスの光吸収スペクトルにおいて、吸収率が相対的に高い波長のレーザを照射するように構成される。
【0030】
(走査部30)
図3に示される走査部30は、特許請求の範囲における拡張部の一例であり、特許請求の範囲における走査部の一例である。
【0031】
走査部30は、図3に示されるように、レーザ照射部20から照射されたレーザを予め定められた走査方向(図中のX方向)に沿って走査して、当該走査方向へ拡張する。走査方向は、特許請求の範囲における一方向の一例である。
【0032】
走査部30は、具体的には、図3に示されるように、ポリゴンミラー32(回転多面鏡)と、駆動部34と、を有している。ポリゴンミラー32は、平面視にて、正多角形状に形成されている。ポリゴンミラー32の外周面(外側面)には、反射面33が形成されている。
【0033】
走査部30では、ポリゴンミラー32が駆動部34によって、図3における反時計回り方向へ回転駆動される。これにより、ポリゴンミラー32が、レーザ照射部20から照射されたレーザを走査方向に沿って走査して、当該走査方向へ拡張する。
【0034】
具体的には、図4に示されるように、ポリゴンミラー32の接線に沿って、レーザ照射部20からレーザが照射される。すなわち、平面視にて、ポリゴンミラー32の特定の回転位置における反射面33Aに沿った方向に、レーザ照射部20からレーザが照射される。このときのレーザは、符号L1Aの位置に照射される。そして、ポリゴンミラー32の回転により、反射面33Aが符号33Bの位置に移動しながら、レーザが反射されることで、レーザは、符号L1Aの位置から符号L1Bの位置までの範囲で照射される。このため、ポリゴンミラー32の多角形の外角の2倍の角度の範囲でレーザが走査される。
【0035】
(レーザ受光部40及び提示部80)
図3に示されるレーザ受光部40は、特許請求の範囲における受光部の一例である。レーザ受光部40は、図3に示されるように、走査部30で拡張されたレーザを受光する。具体的には、レーザ受光部40は、走査部30で拡張された後、照射対象28で反射し、筐体12の開口(図示省略)又は透過部(図示省略)を通じて筐体12内部に進入した反射光を受光する。
【0036】
なお、本実施形態では、レーザ受光部40がレーザ照射部20と別体で設けられていたが、これに限られず、レーザ受光部40とレーザ照射部20とが一体で形成される構成であってもよい。
【0037】
ガス漏洩検知装置10では、前述のようにレーザ受光部40が反射光を受光することで、レーザの吸収の有無を検知することで、ガスの存在を検知し、ガスの漏洩を検知する。このように、ガス漏洩検知装置10では、所謂レーザ吸収分光法(LAS)により、ガスの漏洩を検知する。
【0038】
図1に示される提示部80は、外部(ガス漏洩検知装置10の使用者)に対して、検知結果を提示する。具体的には、提示部80は、一例として、ガスの漏洩が有ることを検知した場合に、アラームを鳴らすことで、外部へ検知結果を提示してもよい。また、提示部80は、筐体12等に設けられた表示画面に、ガスの漏洩の有無を表示することで、外部へ検知結果を提示してもよい。なお、提示部80は、表示画面への表示による提示と、アラームによる提示とを組み合わせてもよい。また、提示部80は、他の提示手段により外部へ検知結果を提示してもよい。
【0039】
(移動機構50及び操作部60)
図1に示される移動機構50は、特許請求の範囲における移動部の一例である。移動機構50は、レーザ照射部20、走査部30及びレーザ受光部40を、走査方向(図中のX方向)に対する直交方向(図中のY方向)へ移動させる機構である。具体的には、移動機構50は、ガス漏洩検知器11を直交方向へ移動させることで、ガス漏洩検知器11の筐体12に収容された構成部を一体に直交方向へ移動させる。
【0040】
移動機構50は、具体的には、ガス漏洩検知器11が搭載され、駆動源により直交方向へ移動する移動体で構成されている。当該移動体は、具体的には、一例として、操作部60と通じて入力された移動指示に基づき、駆動源により直交方向へ自走する台車で構成されている。なお、当該移動体としては、運転者(操作者)によって運転操作がなされる車両又はモビリティロボット(例えば、セグウェイ(登録商標))であってもよい。なお、移動機構50としては、ガス漏洩検知器11を直交方向へ移動させる機構であれば、前述以外の機構を用いてもよい。
【0041】
(ガス漏洩検知装置10を用いたガス漏洩検知方法)
次に、ガス漏洩検知装置10を用いたガス漏洩検知方法を説明する。
【0042】
ガス漏洩検知方法は、一例として、配置工程と、移動工程と、提示工程と、を有している。配置工程では、レーザ照射部20からのレーザが照射対象28に照射される位置に、ガス漏洩検知装置10を配置する。例えば、ガス漏洩検知装置10が、地中に埋められたガス配管からのガスの漏洩を検知する場合には、照射対象28としての地面の上に、ガス漏洩検知装置10を配置する。
【0043】
次に、移動工程では、レーザ照射部20と、走査部30と、レーザ受光部40と、を有するガス漏洩検知器11を、移動機構50により、直交方向へ移動させる。具体的には、ガス漏洩検知装置10の使用者が、操作部60と通じて移動指示を入力する。これにより、ガス漏洩検知器11を搭載した移動機構50としての台車が、駆動源により直交方向へ自走する。
【0044】
次に、提示工程では、ガス漏洩検知器11の提示部80が、外部(ガス漏洩検知装置10の使用者)に対して、検知結果を提示する。具体的には、提示部80は、一例として、ガスの漏洩が有ることを検知した場合に、アラームを鳴らすことで、外部へ検知結果を提示してもよい。また、提示部80は、筐体12等に設けられた表示画面に、ガスの漏洩の有無を表示することで、外部へ検知結果を提示してもよい。なお、提示部80は、表示画面への表示による提示と、アラームによる提示とを組み合わせてもよい。
【0045】
(移動工程の変形例)
前述の移動工程では、駆動源を有する移動機構50により、ガス漏洩検知器11を直交方向へ移動させていたが、これに限られない。移動工程では、例えば、ガス漏洩検知器11が搭載された台車を、人力により直交方向へ押すことで、移動させてもよい。また、ガス漏洩検知器11が搭載された自転車等の車両を人力により直交方向へ移動させてもよい。さらに、ガス漏洩検知器11を使用者が、手で持ったり、身に着けたりして、直交方向へ移動させてもよい。
【0046】
(ガス漏洩検知装置10の作用効果)
ガス漏洩検知装置10では、前述のように、走査部30が、レーザ照射部20から照射されたレーザを走査方向(図中のX方向)へ拡張し、移動機構50がガス漏洩検知器11を、走査方向に対する直交方向(図中のY方向)へ移動させる(図3参照)。
【0047】
ここで、レーザ照射部20から照射されたレーザを拡張せずに、移動機構50がガス漏洩検知器11を予め定められた移動方向(図中のY方向)へ移動させる構成(以下、「第1構成」という)では、図5に示されるように、レーザL1が点状とされ、検知範囲(図中の二点鎖線A1部分)が線状に形成される。
【0048】
また、レーザ照射部20から照射されたレーザを走査方向(図中のX方向)へ拡張し、移動機構50がガス漏洩検知器11を走査方向へ移動させる構成(以下、「第2構成」という)においても、図6に示されるように、検知範囲(図中の二点鎖線A2部分)が線状に形成される。
【0049】
これに対して、ガス漏洩検知装置10では、前述のように、レーザ照射部20から照射されたレーザを走査方向(図中のX方向)へ拡張し、移動機構50がガス漏洩検知器11を直交方向(図中のY方向)へ移動させるので、図7に示されるように、検知範囲(図中の二点鎖線A3部分)が帯状に形成される。このため、第1構成及び第2構成に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。
【0050】
また、本実施形態では、走査部30がポリゴンミラー32を用いて、レーザ照射部20から照射されたレーザを走査方向に沿って走査して、当該走査方向へ拡張するので、ポリゴンミラー32によって、走査する幅や角度を変えることで、拡張幅を調整できる。このため、検知範囲の調整が容易となる。
【0051】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態(参考形態)に係るガス漏洩検知装置200について説明する。図8は、第2実施形態に係るガス漏洩検知装置200を示す概略図である。なお、各図では、ガス漏洩検知装置200の構成を模式的に示しており、各構成部同士の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。また、第1実施形態と同一の機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0052】
第1実施形態に係るガス漏洩検知装置10では、走査部30によってレーザを拡張していたのに対して、第2実施形態に係るガス漏洩検知装置200では、光学素子を用いてレーザを拡張する。具体的には、ガス漏洩検知装置200は、図8に示されるように、走査部30に替えて、平凹シリンドリカルレンズ230(以下、「レンズ230」という)を備えている。レンズ230は、特許請求の範囲における光学素子の一例である。
【0053】
レンズ230は、図9及び図10に示されるように、凹面232と、平面234と、を有するシリンドリカルレンズである。具体的には、レンズ230では、凹面232は、レーザ照射部20に対向しており、レーザ照射部20からのレーザが入射される面となっている。平面234は、レーザ照射部20の照射方向の下流側を向いており、凹面232から入射されたレーザを出射する面となっている。ガス漏洩検知装置200では、レンズ230の作用により、凹面232から入射されたレーザが、平面234から拡張されて出射され、照射対象28に照射される。
【0054】
そして、レーザ受光部40は、レンズ230で拡張された後、照射対象28で反射し、筐体12の開口(図示省略)又は透過部(図示省略)を通じて筐体12内部に進入した反射光を受光する。なお、ガス漏洩検知装置200では、レーザ受光部40は、レーザ照射部20と一体に構成されている。
【0055】
ガス漏洩検知装置200では、ガス漏洩検知装置10と同様に、レンズ230が、レーザ照射部20から照射されたレーザを予め定められた拡張方向(図中のX方向)へ拡張し、移動機構50がガス漏洩検知器11を、拡張方向に対する直交方向(図中のY方向)へ移動させる。
【0056】
また、ガス漏洩検知装置200においても、ガス漏洩検知装置10と同様に、配置工程、移動工程及び提示工程を有するガス漏洩検知方法の実施に用いることができる。
【0057】
ガス漏洩検知装置200においても、前述のように、レーザ照射部20から照射されたレーザを拡張方向(図中のX方向)へ拡張し、移動機構50がガス漏洩検知器11を直交方向(図中のY方向)へ移動させるので、検知範囲(図中の二点鎖線部分)が帯状に形成される(図7参照)。このため、第1構成(図5参照)及び第2構成(図6参照)に比べ、ガスの漏洩を検知できる検知範囲を広くできる。
【0058】
また、本実施形態では、光学素子であるレンズ230によって、レーザを拡張するので、駆動しなくても、レーザを拡張できる。
【0059】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 ガス漏洩検知装置
11 ガス漏洩検知器
20 レーザ照射部(照射部の一例)
30 走査部(拡張部の一例)
32 ポリゴンミラー
40 レーザ受光部(受光部の一例)
50 移動機構(移動部の一例)
200 ガス漏洩検知装置
230 平凹シリンドリカルレンズ(光学素子の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10