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特許7441123酸性ガスの除去装置および酸性ガスの除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】酸性ガスの除去装置および酸性ガスの除去方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240221BHJP
   B01D 53/40 20060101ALI20240221BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240221BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20240221BHJP
   B01D 61/46 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/40 ZAB
B01D53/62
B01D61/44 500
B01D61/46 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020100192
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021194556
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康博
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 満
(72)【発明者】
【氏名】村井 伸次
(72)【発明者】
【氏名】村松 武彦
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149018(JP,A)
【文献】特開2019-111512(JP,A)
【文献】国際公開第2014/077373(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/107958(WO,A1)
【文献】実開昭58-053204(JP,U)
【文献】特開2015-134334(JP,A)
【文献】特開平06-099037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34 - 53/73
B01D 53/74 - 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスを含有する被処理ガスとアミンを含有してなる酸性ガス吸収液とを接触させて前記被処理ガス中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収器と、
酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する再生部を有する再生器と、
前記吸収器または前記再生器から導出された酸成分を含む酸性ガス吸収液を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液とする、酸成分除去器と、
前記濃縮液から酸性ガスを分離する気液分離器と、
を具備し、
前記気液分離器から導出された酸性ガスと、前記再生器から導出された酸性ガスとの合流部をさらに具備することを特徴とする、酸性ガスの除去装置。
【請求項2】
前記酸成分除去器は、
陽極と、陰極と、
これらの陽極と陰極との間に、陽極側から陰極側に向けて、少なくとも1枚の陰イオン交換膜およびバイポーラ膜が、この順番で、それぞれ離間して配置されることによって形成された三室からなる電気透析構造を具備してなり、
前記陰イオン交換膜の陽極側に配置された第一の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から除去された酸成分を回収する酸回収室であり、
前記陰イオン交換膜と前記バイポーラ膜との間に配置された第二の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を除去する吸収液精製室であり、
前記バイポーラ膜の陰極側に配置された第三の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から除去された酸成分を回収する酸回収室である、請求項1に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項3】
前記気液分離器の酸性ガスの導出口と前記合流部との間に、酸性ガス貯留タンクおよび酸性ガス流量調整バルブを具備する、請求項1または2に記載の酸性ガス除去装置。
【請求項4】
前記気液分離器は、その内部の圧力が大気圧以上のものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項5】
前記吸収部から排出されるガスを洗浄液で洗浄するガス洗浄部と、
このガス洗浄部から取得された洗浄液の少なくとも一部を、前記酸成分除去器に供給する流路をさらに具備する、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項6】
前記再生部から排出されるガスを洗浄液で洗浄するガス洗浄部または前記再生器から排出されるガスを冷却して凝縮液を得る凝縮部の少なくとも一つと、
前記ガス洗浄部から取得された洗浄液の少なくとも一部、または前記凝縮部から取得された凝縮液の少なくとも一部を、前記酸成分除去器に供給する流路とをさらに具備する、請求項1~5のいずれか1項に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項7】
前記洗浄液は、水または酸性水である、請求項5または6に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項8】
前記濃縮液は、pHが8以下である、請求項1~7に記載の酸性ガスの除去装置。
【請求項9】
下記の工程(イ)~工程(ニ):
工程(イ):酸性ガスを含有する被処理ガスとアミンを含有してなる酸性ガス吸収液とを接触させて前記被処理ガス中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させる工程、
工程(ロ):酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する工程、
工程(ハ):前記工程(イ)または工程(ロ)で酸成分が蓄積した酸性ガス吸収液を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液とする、酸成分除去工程、
工程(ニ):前記濃縮液から酸性ガスを分離する気液分離工程、
を具備してなり、
工程(ロ)において除去された酸性ガスと、工程(ニ)において分離された酸性ガスとを合流させる工程をさらに具備することを特徴とする、酸性ガスの除去方法。
【請求項10】
前記濃縮液の少なくとも一部を前記酸性ガス吸収液に供給し、前記濃縮液中のアミンを前記酸性ガス吸収液に戻す、請求項9に記載の酸性ガスの除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、酸性ガスの除去装置および酸性ガスの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の化石燃料を使用する火力発電所や製鉄所などでは、ボイラにおいて化石燃料を燃焼させることで発生する燃焼排ガス、石炭をガス化した石炭ガス化ガス(ガス化ガス)、天然ガスなどは、例えば、二酸化炭素(CO)、SOx、NOx、NOx、HSなどの酸性ガス成分を含んでいる。
【0003】
従来から、このような燃焼排ガスなどに含まれる酸性ガス成分が大気中に放出されることを抑制するために、酸性ガス成分を含むガスを吸収塔内でアミノ基含有化合物(アミン系化合物)を含む吸収液と気液接触させて、吸収液中に酸性ガス成分を吸収させることで、処理ガス中から酸性ガス成分を除去し、酸性ガス成分を回収する方法が精力的に研究されている。
【0004】
例えば、排ガスとアミノ基含有化合物を含む吸収液を接触させて、排ガス中のCOなど酸性ガス成分を吸収液に吸収させる吸収塔と、酸性ガス成分を吸収した吸収液を加熱して、吸収液から酸性ガス成分を放出させる再生塔とを備え、再生された吸収液を再び吸収塔に供給して再利用し、吸収液を吸収塔と再生塔との間の系内を循環して使用するCO回収装置などが知られている。
【0005】
しかし、運転中にガス中のCOを吸収する際に、SOx、NOxの他に、硫化カルボニル、シアン化水素、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸などが吸収液中のアミノ基含有化合物と反応して熱安定性アミン塩(Heat Stable Amine Salt:HSAS)と呼ばれる劣化物が生成される。また、吸収液を加熱して再生する際に熱またはガス中の酸素と反応してアミノ基含有化合物が分解することによっても熱安定性アミン塩が生成される。このような熱安定性アミン塩は、再生塔で吸収液を再生する際の加熱では分解されず、吸収液から分離されないため、吸収液中に蓄積される。このような熱安定性アミン塩が蓄積すると、吸収液の酸性ガス吸収効率が低下するのみならず、装置の腐食の原因となることから、吸収液からの熱安定性アミン塩の除去が望まれている。
【0006】
このような熱安定性アミン塩を吸収液から除去する方法として、例えば、バイポーラ膜を用いる電気透析が知られている。また、イオン交換膜を透過しアミンの損失が発生することから、バイポーラ膜と陰イオン交換膜を組み合わせ、対向する電極間に、陰極側から陽極側に向かって、順に、アミン精製機能を有する室と、アミン回収機能を有する室と、酸回収機能を有する室との三室構造で構成された電気透析装置を用いて、電気透析により、アミンの損失を抑えながら、吸収液から熱安定性アミン塩を濃縮液に移動させて除去する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2014/077373号
【文献】米国特許公開第2012/0235087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
陰イオンである酸と共に吸収液にローディングしたCO(炭酸水素イオン、炭酸イオン)も濃縮液へと除去されるが、そのCOは利用されないままであった。本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、除去されたCOも酸性ガス除去装置の回収COとして活用し、酸性ガス除去効率向上、プラント運転安定性を向上することを目的とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、除去されたCOも酸性ガス除去装置の回収COとして活用し、酸性ガス回収効率向上、プラント運転安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の形態による酸性ガスの除去装置の構成を示す概略図。
図2】本発明の形態における酸成分除去器の構成を示す概略図。
図3】本発明の形態による酸性ガスの除去装置の構成を示す概略図。
図4】本発明の形態による酸性ガスの除去装置の構成を示す概略図。
図5】本発明の形態による酸性ガスの除去装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態による酸性ガスの除去装置は、
酸性ガスを含有する被処理ガスとアミンを含有してなる酸性ガス吸収液とを接触させて前記被処理ガス中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収器と、
酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する再生部を有する再生器と、
前記吸収器または前記再生器から導出された酸成分を含む酸性ガス吸収液を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液とする、酸成分除去器と、
前記濃縮液から酸性ガスを分離する気液分離器と、
を具備すること、を特徴とするものである。
【0012】
そして、本発明の実施形態による酸性ガスの除去方法は、
下記の工程(イ)~工程(ニ)を具備してなること、を特徴とするものである。
工程(イ):酸性ガスを含有する被処理ガスとアミンを含有してなる酸性ガス吸収液とを接触させて前記被処理ガス中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させる工程、
工程(ロ):酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する工程、
工程(ハ):前記工程(イ)または工程(ロ)で酸成分が蓄積した酸性ガス吸収液を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液とする、酸成分除去工程、
工程(ニ):前記濃縮液から酸性ガスを分離する気液分離工程。
【0013】
以下、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書では、酸性ガスが二酸化炭素(CO)である場合について詳細に説明するが、本発明は酸性ガスが二酸化炭素(CO)である場合にのみに限定されない。
【0014】
〔酸性ガスの除去装置〕
図1は、本発明の好ましい実施形態による酸性ガスの除去装置の基本構成を示す概略図である。
図1に示される酸性ガスの除去装置は、
酸性ガスを含有する被処理ガス101とアミンを含有してなる酸性ガス吸収液110dとを接触させて前記被処理ガス101中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液110dに吸収させる吸収部1aを有する吸収器1と、
酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液111から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する再生部を有する再生器2と、
前記再生器2から導出された酸成分を含む酸性ガス吸収液104を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液105とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液104から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液107とする、酸成分除去器4と、
前記濃縮液107から酸性ガスを分離する気液分離器18と、
を具備する、酸性ガスの除去装置である。
【0015】
この酸性ガスの除去装置では、COを含有する被処理ガス(排ガス)101中のCOを吸収する吸収液は、吸収器1と再生器2との間(以下、系内という)を循環している。吸収器1から再生器2には、排ガス101中のCOを吸収させた吸収液(リッチ吸収液)111が送給される。再生器2から吸収器1にはリッチ吸収液111から再生器2で一部あるいはほぼ全てのCOが除去され再生された吸収液(リーン吸収液)110aが供給される。
【0016】
なお、吸収液は、アミン系化合物(アミノ基含有化合物)と水とを含むアミン系水溶液が好適である。好ましいアミン系化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールのような第1級アミン類、ジエタノールアミン、2-メチルアミノエタノールのような第2級アミン類、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンのような第3級アミン類、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなポリエチレンポリアミン類、ピペラジン類、ピペリジン類、ピロリジン類のような環状アミン類、キシリレンジアミンのようなポリアミン類、メチルアミノカルボン酸のようなアミノ酸類などが挙げられ、これらを、1種単独で、または2種以上を用いることができる。吸収液は、これらのアミン系化合物を、通常、10~70重量%含む水溶液として使用される。また、吸収液には、必要に応じて、反応促進剤、COなど酸性ガスの吸収性能を向上させる含窒素化合物、プラント設備の腐食を防止するための防食剤や、泡立ち防止のための消泡剤や、吸収液の劣化防止のための酸化防止剤、PH調整剤など、その他の化合物を、吸収液の効果を損なわない範囲で任意の割合で適宜含有することができる。
【0017】
被処理ガス101の典型例は、COを含有する排気ガスであって、例えば、火力発電所などのボイラやガスタービンなどから排出される燃焼排ガス、製鉄所で発生するプロセス排ガスなどである。被処理ガス101は、好ましくは、送風機などにより昇圧され、冷却器で冷却された後、煙道を介して吸収器1の下部から器内に供給することができる。
【0018】
図1に示される吸収器1は、排ガス101中のCOをリーン吸収液110aに吸収させるCO吸収部(酸性ガス吸収部)1aと、CO吸収部1aで酸性ガスが除去された被処理ガス(CO除去排ガス)を洗浄液121aで洗浄し、CO除去排ガスに同伴するアミンを回収するガス洗浄部3を有している。
【0019】
ここで、CO吸収部1aは、好ましくは充填材で形成され、気液接触効率を高めている。CO吸収部1aの上方には液分散器を設けることができ、吸収器1に供給されるリーン吸収液110dは、液分散器によりCO吸収部1aに向けて分散落下する。吸収器1内に送給された排ガス101は、吸収器1の下部から塔頂(上部)側に向けて流れる。CO吸収部1aにおいて、吸収器内を上昇する排ガス101は、リーン吸収液110dと対向流接触すると、例えば、下記式(1)、(2)のような反応が起きて、熱分解性塩(RNHCO)および熱安定性アミン塩(RNHX)が形成され、排ガス101中のCOがリーン吸収液110dに吸収されて、排ガス101から除去される。
【0020】
リーン吸収液110dは、排ガス101中のCOを吸収して、リッチ吸収液111となり、下部に貯留され、このリッチ吸収液111には熱分解性塩および熱安定性アミン塩が含まれる。
【0021】
リッチ吸収液111には、排ガス101に含まれる酸素との反応により生じた有機酸、排ガス101に含まれるSOx、NOx、硫化カルボニル、シアン化水素、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸などの吸収によって生じた熱安定性アミン塩が蓄積される。ここで、Rは、水素、置換または非置換のアルキル基(ヘテロ環を形成している場合もある)を示す。

N+CO+HO → RNHCO ・・・(1)
N+HX → RNHX ・・・(2)
【0022】
CO吸収部1aを通過したCO除去排ガスは、吸収器1の内部を上昇して、ガス洗浄部3に供給される。
ガス洗浄部3では、CO除去排ガスを洗浄液121aで洗浄してCO除去排ガスに同伴するアミンを回収している。本実施形態では、ガス洗浄部3でCO除去排ガスは洗浄液洗浄液121aで洗浄される。ガス洗浄部3は、吸収器1の内部に設けられ、CO吸収部1aよりもCO除去排ガスのガス流れ方向の下流側である、CO吸収部1aの上部に設けられている。ガス洗浄部3の上方には液分散器が設けられ、吸収器1に供給される洗浄液121aは液分散器によりガス洗浄部3に向けて分散落下させる。ガス洗浄部3では、CO除去排ガスが洗浄液121aで洗浄されて、CO除去排ガスに同伴するアミンがCO除去排ガスから除去される。なお、ガス洗浄部3は吸収器1内に収容されているが、吸収器1の外部に設け、吸収器1と独立したガス洗浄器としてもよい。
【0023】
CO除去排ガスと接触した後の洗浄液121aは、ガス洗浄部3の下部に設けられた洗浄液貯留部(図示せず)に貯留され、洗浄液貯留部には洗浄液循環ラインL11が連結されている。洗浄液循環ラインL11には、循環ポンプ12が設けられており、洗浄液121aは循環ポンプ12により送液され、ガス洗浄部3の上部から再び供給される。
洗浄液121aは、酸性側であるほど洗浄効率が高く、例えば、純水や硫酸水などが用いられる。
【0024】
洗浄液121aにはCO除去排ガス中のアミンが含まれるため、洗浄液121aがガス洗浄部3と洗浄液循環ラインL11とを循環し続けると、洗浄液121a中のアミン濃度が増え続けるため、洗浄液121aのアミン回収性能が低下することがある。ガス洗浄部3と洗浄液循環ラインL11との間を循環している洗浄液121aの一部は外部へ排出してもよく、系内の吸収液と混合してもよい。洗浄液循環ラインL11には新しい洗浄液を補充することができる。
CO除去排ガスは、ガス洗浄部3で浄化された後、処理後燃焼排ガス102として、吸収器1の上部から外部に排出される。
【0025】
一方、吸収器1の下部に貯留されたリッチ吸収液111は、吸収器1の下部から排出され、リッチ吸収液供給ラインL3を通って、リッチ吸収液供給ラインL3に設けられたポンプ(図示せず)により昇圧され、熱交換器9において再生器2で再生されたリーン吸収液110aと熱交換された後、再生器2に供給される。熱交換器9では、リッチ吸収液111を、リーン吸収液110aと熱交換させることにより、リーン吸収液110aが熱源となって、リッチ吸収液111が加熱される。逆に、リッチ吸収液111が冷却源となって、リーン吸収液110aが冷却される。なお、熱交換器9としては、プレート熱交換器、シェル&チューブ熱交換器などの公知の熱交換器を用いることができる。
【0026】
再生器2は、リッチ吸収液111からCOを放出させて、リッチ吸収液111をリーン吸収液110aとして再生している。リッチ吸収液111は、再生器2内に供給され、リボイラ8で水蒸気(スチーム)により加熱されることにより、リッチ吸収液111に含まれるCOが脱離して、リッチ吸収液111中に含まれる一部ないしほぼ全てのCOが除去されたリーン吸収液110aとなる。
【0027】
この際、リーン吸収液110aは、水蒸気を発生すると共に、残留するCOがCOガスとして放出される。発生した水蒸気およびCOガスは、再生器出口ガス118として再生器2から放出される。再生器2から排出されたリーン吸収液110aは、リーン吸収液110a用ポンプ(図示せず)によって熱交換器9を介してリーン吸収液110aとして吸収器1に供給される。
【0028】
COガスは、リーン吸収液110aから同時に蒸発する水蒸気と共に、再生器2の上部から排出される。COガスおよび水蒸気を含む再生器出口ガス118は、冷却器6で冷却水により冷却され、水蒸気が凝縮して水になる。そして、この凝縮水とCOガスを含む再生器出口ガス119は、気液分離器7に供給され、COガス103が凝縮水120aから分離され、COガス103は外部に排出される。また、凝縮水120aは、気液分離器7の下部から抜き出され、再生器2の上部に供給される。
【0029】
再生器2の下部に貯留されるリーン吸収液110aは、再生器2の下部からリーン吸収液排出ラインL4から排出され、熱交換器9においてリッチ吸収液111と熱交換して冷却される。その後、リーン吸収液110aは、冷却器5で冷却された後、吸収器1に供給される。
【0030】
リーン溶液排出ラインL4から分岐し、酸成分除去器4と連結した吸収液抜き出しラインL8が設けられ、吸収器1に供給されるリーン溶液110aの一部は、被処理リーン吸収液104として、酸成分除去器4の吸収液精製室10(詳細は後述)に供給される。また、酸成分除去器4とリーン溶液排出ラインL10とを連結する精製吸収液供給ラインL9が設けられていて、酸成分除去器4の吸収液精製室から排出される精製リーン溶液105は、精製吸収液供給ラインL9を通ってリーン溶液排出ラインL10に供給される。なお、図1では液抜き出しラインL8がリーン溶液排出ラインL4から分岐する位置は、冷却器5と吸収器1との間にしており好ましいが、冷却器5よりも吸収液の流れ方向の上流側としてもよい。
【0031】
そして、ラインL12から濃縮液106が酸成分除去器4の酸回収室11に供給される。
【0032】
酸回収室11から排出される濃縮液107は、気液分離器18に供給される。気液分離器18は濃縮液を貯留するタンクを兼ねても構わない。
リーン吸収液104から熱安定性アミン塩の酸成分は除去され濃縮液106に移動するが、一方でリーン吸収液104中の炭酸水素イオンまたは炭酸イオンも濃縮液106に移動し、濃縮液107に炭酸水素イオンまたは炭酸イオンが蓄積する。濃縮液107は酸成分除去器4に濃縮液106として循環供給されるが、濃縮液は酸性であるほど、炭酸水素イオンまたは炭酸イオンは濃縮液中にイオンとして溶解される量が少なく、濃縮液107中にCOガスとして存在することになる。
【0033】
COガスを含む濃縮液107は、気液分離器18にてCOガス112と濃縮液106に分離される。
気液分離器18で分離された濃縮液106は、再び酸成分除去器4へ供給され、一方、気液分離器18で分離されたCOガス112は、合流部13で、再生器2から導出されたCOガス103と合流する。
【0034】
濃縮液107は、pHが8以下であることが好ましい。pHの下限値は無いが、pHが8を超える場合、後述するように濃縮液107中に炭酸水素イオンまたは炭酸イオンとしてCOがほとんど溶解するためCO回収量が減少することから好ましくない。濃縮液107のpHはリーン吸収液104に含まれる酸成分が濃縮液107に移動してくるので、濃縮液107のpHは酸性に保たれる。さらに酸性に調整する場合は、例えば濃縮液107に硫酸などの酸を添加することによって容易に行うことができる。
【0035】
以上の通り、本発明の実施形態による酸性ガスの除去装置によれば、酸成分除去器4の濃縮液106、107に存在しているCOが気液分離器18で分離される。その結果、この分離されたCOも酸性ガス除去装置で回収されたCOとして活用できるので、酸性ガス回収効率向上、プラント運転安定性を向上することができる。
【0036】
そして、本発明の実施形態においては、図3に示されるように、気液分離器18の酸性ガスの導出口と合流部13との間には、酸性ガス貯留タンク19および酸性ガス流量調整バルブ20を配置することが好ましい。この酸性ガス貯留タンク19を配置することによって、ラインL13の内部および気液分離器18の内部ならびに酸成分除去47内部の圧力変動を抑制することができ、例えば酸成分除去器4における酸成分除去を安定的かつ効率的に行うことができる。また、図示しないCO貯留設備あるいはCO利用設備におけるCOガスの必要流量に応じて、酸性ガス貯留タンク19からの供給量を調整することが可能となる。
【0037】
気液分離器18の内部の圧力は大気圧以上とすることが好ましい。回収されるCOガスはそのまま使用される他、貯留タンクへの保管や地中への圧入に使用されるため、圧力は高い方がよい。そのため、酸成分除去器4から回収されるCOガス112も圧力が高い方が好ましく、気液分離器18を少なくとも大気圧以上としておくことで大気圧以上のCOガスを得ることが可能となる。大気圧以上とするために、必要に応じて被処理リーン吸収液104を加圧して酸成分除去器4に供給する。
【0038】
再生器2から導出されたCOガス103の排出ラインL6には、図3に示されるように、酸性ガスの流量計測器21を配置することが好ましい。そのような好ましい本発明の実施形態では、酸性ガスの流量計測器21で求められた酸性ガスの流量に応じて酸性ガス流量調整バルブ20を制御することができる。このようにすることで、COガス103の流量が減少した場合は、酸性ガス貯留タンク19からの供給量を増加させることで、図示しないCO貯留設備あるいはCO利用設備におけるCOガスの必要流量に応じて、供給するCOガス量を一定にすることができる。また、COガス103の流量が増加した場合は、酸性ガス貯留タンク19からの供給量を低下させることで、供給するCOガス量を一定にすることができる。また、ラインL13の内部および気液分離器18の内部ならびに気液分離器4内部の圧力を、最適範囲内に制御することが容易になる。
【0039】
図3に示されるように、前記ガス洗浄部3から取得された洗浄液121aの少なくとも一部121bを前記酸成分除去器4に供給することができる。洗浄液121b(この洗浄液は、アミンを含む)が酸成分除去器4に供給されると、酸成分除去器4で使用する濃縮液106の使用量を低減することができる。
【0040】
また、図4に示されるように、前記ガス気液分離器7から取得された凝縮水120aの少なくとも一部120bを、前記酸成分除去器4に供給することができる。凝縮水120b(この凝縮水は、アミンおよびCOを含む)が酸成分除去器4に供給されると、酸成分除去器4で使用する濃縮液106の使用量を低減することができる。
【0041】
また、凝縮水120bが酸成分除去器4に供給されると、被処理リーン吸収液104から移動してきた酸成分により、凝縮水120bはより酸性となり、凝縮水120b中に溶解していた炭酸水素イオンあるいは炭酸イオンはCOガスとなり、気液分離器18で回収され、さらにCO回収量を増加させることができる。
【0042】
また、再生器2には、図5に示されるように、充填層を備えたガス洗浄部22を設けることができる。このガス洗浄部22では、酸性ガス吸収液を再生する際に生じた酸性ガスを洗浄することで、アミン化合物を洗浄液中に溶解させ回収し、アミン化合物が再生器2外部へ排出されるのを抑制する。洗浄液は、循環させることができる。例えば、ガス洗浄部22の上部から洗浄液を導入して酸性ガスに接触させた後、ガス洗浄部22の下部から取り出し、これを再度、ガス洗浄部22の上部に導入することができる。洗浄液は、酸性側であるほど洗浄効率が高く、例えば、再生部2から排出されるガス118を冷却器6で冷却して凝縮した凝縮水の他、純水や硫酸水などを用いることができる。
【0043】
そして、必要に応じて、図5に示されるように、このガス洗浄部から取得された洗浄液122bの少なくとも一部122cを、前記酸成分除去器4に供給することができる。洗浄液122c(この洗浄液は、溶解したCOおよびアミンを含む)が酸成分除去器4に供給されると、被処理リーン吸収液104から移動してきた酸成分により、洗浄液122cはより酸性となり、洗浄液122c中に溶解していた炭酸水素イオンあるいは炭酸イオンはCOガスとなり、気液分離器18で回収され、さらにCO回収量を増加させることができる。
【0044】
〔酸成分除去器〕
本発明の実施形態による酸性ガスの除去装置における酸成分除去器4の詳細について、図1図5を参照してさらに説明する。
図2に示される好ましい酸成分除去器4は、
陽極13と、陰極14と、
これらの陽極13と陰極14との間に、陽極13側から陰極14側に向けて、第一の陰イオン交換膜15A-1、バイポーラ膜17BPおよび第二の陰イオン交換膜15A-2が、この順番で、それぞれ離間して配置されることによって形成された四室からなる電気透析構造を具備してなり、
前記第一の陰イオン交換膜15A-1の陽極13側に配置された第一の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液104から除去された酸成分Xを回収する酸回収室11aであり、
前記第一の陰イオン交換膜15A-1と前記バイポーラ膜17BPとの間に配置された第二の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液104から酸成分Xを除去する吸収液精製室10aであり、
前記バイポーラ膜17BPと前記第二の陰イオン交換膜15A-2との間に配置された第三の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液104から除去された酸成分Xを回収する酸回収室11bであり、
前記第二の陰イオン交換膜15A-2の陰極14側に配置された第四の室が、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分Xを除去する吸収液精製室10bである、酸性ガス除去器である。
【0045】
図2に示すように、酸成分除去器4は、陽極13、陰極14、陰イオン交換膜15A-1、15A-2、バイポーラ膜17BPを備えている。この酸成分除去器4内は、陰イオン交換膜15A、バイポーラ膜17BPで、吸収液精製室10a、10b、酸回収室11a、11bの4つの領域に区画されている。陰極14と陽極13との間には、陽極13から陰極14へ向かって、順に、陰イオン交換膜15A-1、バイポーラ膜17BP、陰イオン交換膜15A-2が配置されている。陰極14、陽極13は電極液中に浸漬していてもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、上記酸回収室11a、11b、吸収液精製室10a、10bがそれぞれ2つ形成されているが、吸収液精製室および酸回収室が1組以上形成されていればよく、さらに複数形成されていてもよい。また、吸収液精製室および酸回収室の組み合わせが同数でなくてもよい。吸収液精製室および酸回収室が1組以上形成されていれば、その他に酸回収室、吸収液精製室が単独の室で存在しても構わない。
【0047】
バイポーラ膜17BPは、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とが積層された複合膜であり、陽極側を陰イオン交換膜とし、陰極側を陽イオン交換膜となるように配置される。水の存在下で水の理論分解電圧以上で電圧を印加すると、水を水素イオンと水酸化物イオンに電解することができる。具体的には、ネオセプタBP-1E(株式会社アストム製、商品名)など公知のバイポーラ膜を用いることができる。
【0048】
陰イオン交換膜15A-1、15A-2としては、陰イオンを通過させ、陽イオンの通過を遮断することができる、陰イオン交換基を有する高分子膜を使用する。陰イオン交換膜15Aとしては、例えば、4級アンモニウム基の強塩基性基に、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基などの弱塩基性官能基を有する高分子からなる膜などを用いることができる。具体的には、ネオセプタAMX、ネオセプタAHA(株式会社アストム製、商品名);セレミオンAMV、セレミオンAMT、セレミオンDSV、セレミオンASV、セレミオンAHO(AGCエンジニアリング株式会社旭硝子社製、商品名)など公知の陰イオン交換膜を用いることができる。
【0049】
吸収液精製室10aは、陰イオン交換膜15A-1とバイポーラ膜17BPとの間の領域であり、吸収液精製室10aの陽極側に陰イオン交換膜15A-1が配置され、陰極側にバイポーラ膜17BPが配置されている。
【0050】
酸回収室11aは、吸収液精製室10aの陽極側に位置し、前記陰イオン交換膜15A-1を介して設置されている。
酸回収室11bは、バイポーラ膜17BPと陰イオン交換膜15A-2との間の領域であり、酸回収室11bの陽極側にバイポーラ膜17BPが配置され、陰極側に陰イオン交換膜15A-2が配置されている。
【0051】
吸収液精製室10bは、酸回収室11bの陰極側に位置し、前記陰イオン交換膜15A-2を介して設置されている。
吸収液精製室10aおよび10bには、被処理リーン吸収液104が供給される。また、酸回収室11aおよび11bには、濃縮液106が供給される。
【0052】
リーン吸収液104としては、図1に示す酸性ガス除去器4で使用されたリーン吸収液110aを用い、酸性ガス除去装置から連続的または完結的に抜き出してもよく、あるいは酸性ガス除去後の吸収液でも構わない。
【0053】
両電極に電圧が印加されると、吸収液精製室10aおよび10bでは、被処理リーン吸収液104に含まれる熱安定性アミン塩の酸成分(X)は陰イオンであるため、陽極13側に引かれる。これにより、吸収液精製室10a中の熱安定性塩の酸成分(X)は、吸収液精製室10aから陰イオン交換膜15A-1を通過して酸回収室11aに移動するため、被処理リーン吸収液104から熱安定性アミン塩の酸成分(X)が除去され、濃縮液106に熱安定性アミン塩の酸成分が蓄積する。
【0054】
そして、吸収液精製室10b中の熱安定性塩の酸成分(X)は、吸収液精製室10bから陰イオン交換膜15A-2を通過して酸回収室11bに移動するため、被処理リーン吸収液104から熱安定性アミン塩の酸成分(X)が除去され、濃縮液106に熱安定性アミン塩の酸成分が蓄積する。
【0055】
また、バイポーラ膜17BPでは、膜内部で水の電気分解が起きて、水素イオンはバイポーラ膜17BPの陽イオン交換膜側(陰極14側)、水酸化物イオンはバイポーラ膜17BPの陰イオン交換膜側(陽極13側)に移動する。そのため、水酸化物イオンはバイポーラ膜17BPから吸収液精製室10aに移動し、水素イオンはバイポーラ膜17BPから酸回収室11bに移動するため、水酸化物イオンが吸収液精製室10aに供給され、濃縮液106に水素イオンが供給される。
【0056】
吸収液精製室10aおよび10bから排出されたリーン吸収液105は、酸性ガス除去装置に供給してもよく、吸収液精製室10aおよび10bに再び循環供給してさらに熱安定性アミン塩の酸成分を除去しても構わない。また、別途設置した吸収液タンクを介して運転しても構わない。
酸回収室11aおよび11bから排出された濃縮液107は、酸回収室11aおよび11bに再び循環供給される。別途設置する濃縮液タンクを介して循環運転しても構わない。
【0057】
このようにリーン吸収液104から熱安定性アミン塩の酸成分は除去されるが、一方で、吸収液精製室10aおよび10bのリーン吸収液104中の炭酸水素イオンまたは炭酸イオンも陰イオン交換膜15A-1または陰イオン交換膜15A-2を通過し濃縮液106に移動し、濃縮液に炭酸水素イオンまたは炭酸イオンが蓄積する。濃縮液107は酸成分除去器4に濃縮液106として循環供給されるが、濃縮液は酸性であるほど、炭酸水素イオンまたは炭酸イオンは濃縮液中にイオンとして溶解される量が少なく、濃縮液107中にCOガスとして存在することになる。
【0058】
COガスを含む濃縮液107は、気液分離器18にてCOガス112と濃縮液106に分離される。COガス112は、気液分離器7から排出されるCOガス103と合流し、図示しないCO貯留設備あるいはCO利用設備に供給される。
また、COガス112は、図示しないCO貯留設備あるいはCO利用設備に直接供給されてもよい。
【0059】
濃縮液は、熱安定性アミン塩の酸成分が所定の濃度にまで達したら、廃棄して新しい濃縮液を供給することができる。また、濃縮液の一部だけ連続的に抜き出し、新しい濃縮液を連続的に供給し、濃縮液中の安定性アミン塩の酸成分を所定の濃度を保つように運転しすることができる。
したがって、本実施形態によれば、除去されたCOも酸性ガスの除去装置の回収COとして活用し、酸性ガスの回収効率を向上させることができる。
【0060】
〔酸性ガスの除去方法〕
本発明の実施形態による酸性ガスの除去方法は、下記の工程(イ)~工程(ニ)を具備してなること、を特徴とするものである。
工程(イ):酸性ガスを含有する被処理ガスとアミンを含有してなる酸性ガス吸収液とを接触させて前記被処理ガス中の酸性ガスを前記酸性ガス吸収液に吸収させる工程、
工程(ロ):酸性ガス吸収後の酸性ガス吸収液から酸性ガスを除去して、前記酸性ガス吸収液を再生する工程、
工程(ハ):前記工程(イ)または工程(ロ)で酸成分が蓄積した酸性ガス吸収液を、電気透析によって、前記酸成分の量が低減した精製液とするとともに、前記酸成分を含む酸性ガス吸収液から酸成分を回収して酸成分濃度が高い濃縮液とする、酸成分除去工程、
工程(ニ):前記濃縮液から酸性ガスを分離する気液分離工程。
【0061】
このような本発明の実施形態による酸性ガスの除去方法は、好ましくは、図1図5に記載された酸性ガス除去装置において、容易に実施することができる。例えば、工程(イ)は吸収器1において、工程(ロ)は再生器2において、工程(ハ)は酸性ガス除去器4において、工程(ニ)は気液分離器18において、実施することができる。
なお、本発明の酸性ガスの除去方法は、図1図5に示された各種の装置等において実現される各種の操作ないし工程が実施される酸性ガスの除去方法も、実施形態として包含する。
【0062】
本発明の実施形態による酸性ガスの除去方法は、前記濃縮液の少なくとも一部を前記酸性ガス吸収液に供給し、前記濃縮液中のアミンを前記酸性ガス吸収液に戻す方法を、好ましい態様をして包含する。濃縮液には酸性ガス吸収液中のアミンの一部も移動しアミン損失となるが、前記濃縮液中のアミンを戻した場合は、濃縮液中の酸性ガスを回収しながら、酸性ガス吸収液のアミン濃度の低下を抑制することが可能となる。この場合、吸収液中の酸成分蓄積量が少ない方がより好ましい。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態による酸成分の除去装置、酸成分の除去方法を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更あるいは付加等を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1:吸収器、2:再生器、4:酸成分除去器、18:気液分離器、13:陽極、14:陰極、15A-1:第一の陰イオン交換膜、17BP:バイポーラ膜、15A-2:第二の陰イオン交換膜、11a:酸回収室、10a:吸収液精製室、11b:酸回収室、10b:吸収液精製室、13:合流部、19:酸性ガス貯留タンク、20:酸性ガス流量調整バルブ、21:酸性ガスの流量計測器、22:ガス洗浄部
図1
図2
図3
図4
図5