(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】エンジン動力装置
(51)【国際特許分類】
F02B 63/00 20060101AFI20240221BHJP
F02B 67/00 20060101ALI20240221BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20240221BHJP
F02B 77/13 20060101ALI20240221BHJP
F16M 1/00 20060101ALI20240221BHJP
F16M 3/00 20060101ALI20240221BHJP
F16M 5/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
F02B63/00 C
F02B67/00 F
F02B67/00 G
F02B67/00 E
F02B63/04 C
F02B77/13 G
F16M1/00 J
F16M1/00 P
F16M3/00 Q
F16M5/00 B
(21)【出願番号】P 2020110098
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】木村 健吾
(72)【発明者】
【氏名】川北 啓輔
【審査官】藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001674(JP,A)
【文献】特開2012-047049(JP,A)
【文献】特開2013-253546(JP,A)
【文献】特開2011-153585(JP,A)
【文献】特開2010-144679(JP,A)
【文献】特開2012-002119(JP,A)
【文献】特開2004-011490(JP,A)
【文献】特開2012-241655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00
F02B 63/04
F02B 67/00
F02B 77/13
F16M 1/00
F16M 3/00
F16M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンおよび前記エンジンにより駆動される被駆動機を含む動力機械と、
前記動力機械を支持する底板部および前記底板部上の領域を他の領域と仕切る外枠部を有し、前記動力機械からの漏洩オイルを前記底板部上に溜めるオイルガード部を形成するベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材上に配置された前記動力機械を含む機器を覆い、吸気口および排気口が形成されたカバー部材と、を備え、
前記ベース部材は、
前記外枠部の内側における前記吸気口の下方の吸気口下領域を含む領域に前記オイルガード部と仕切られて形成され、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ浸入する浸入水を受ける水受け部をさらに有し、
前記水受け部の少なくとも一部は、前記外枠部の内側において前記底板部に対し上下方向に間隔を隔てて形成されており、
前記水受け部は、
前記吸気口下領域に形成された第1水受け部と、
前記排気口の下方の排気口下領域に形成された第2水受け部と、を備え、
前記第1水受け部は、
前記底板部に対し上下方向に間隔を隔てて対向する対向板部と、前記外枠部の内側における前記対向板部上の領域を他の領域と仕切り、前記第1水受け部と前記第2水受け部とを連通させる連通開口が形成された第1仕切部
と、を有
し、
前記第2水受け部は、前記第1水受け部から前記連通開口を通じて流れ込む前記浸入水を受ける、エンジン動力装置。
【請求項2】
前記ベース部材上に配置され、前記エンジンから前記排気口へ排出ガスを導くマフラーと、
前記底板部の上方の空間を、前記吸気口に連通し前記第1水受け部の上方の空間を含み前記動力機械が配置される第1内部空間と、前記排気口に連通し前記第2水受け部の上方の空間を含み前記マフラーが配置される第2内部空間と、に仕切る主仕切板と、をさらに備え、
前記被駆動機は、前記エンジンに対し前記吸気口側の反対側に配置された送風機を含み、
前記主仕切板には、前記送風機における空気の吐出口を前記第2内部空間へ連通させる第1開口および前記マフラーと前記エンジンとを連結する連結管が貫通する第2開口が形成されている、請求項1に記載のエンジン動力装置。
【請求項3】
前記ベース部材の上方の空間における前記吸気口に対向する領域に設けられ、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ入った空気を縦方向に沿って前記水受け部へ向けて案内する導入ダクトをさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のエンジン動力装置。
【請求項4】
前記導入ダクトは、
前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ入った空気を上方へ案内する第1縦ダクトと、
前記第1縦ダクトを通過した空気を前記水受け部へ向けて下方へ案内する第2縦ダクトと、を有する、請求項3に記載のエンジン動力装置。
【請求項5】
前記第1縦ダクトにおける内側の底面は、前記第2縦ダクト側の隔壁部から前記カバー部材における前記吸気口の下縁部へ向かって斜め下方へ傾斜して形成されている、請求項4に記載のエンジン動力装置。
【請求項6】
エンジンおよび前記エンジンにより駆動される被駆動機を含む動力機械と、
前記動力機械を支持する底板部および前記底板部上の領域を他の領域と仕切る外枠部を有し、前記動力機械からの漏洩オイルを前記底板部上に溜めるオイルガード部を形成するベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材上に配置された前記動力機械を含む機器を覆い、吸気口および排気口が形成されたカバー部材と、を備え、
前記ベース部材は、
前記外枠部の内側における前記吸気口の下方の吸気口下領域を含む領域に前記オイルガード部と仕切られて形成され、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ浸入する浸入水を受ける水受け部をさらに有し、
前記底板部に対向して配置され、前記水受け部上の領域に対向する入口開口および前記エンジンが配置された領域に対向する出口開口を有し、前記入口開口から前記出口開口に到る横方向の風路を形成する横ダクト
と、
前記ベース部材の上方の空間における前記吸気口に対向する領域に設けられ、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ入った空気を縦方向に沿って前記水受け部へ向けて案内する導入ダクトと、
前記底板部に支持され、前記導入ダクトと前記動力機械との間に配置された電装品と、をさらに備え、
前記横ダクトの前記入口開口は、前記導入ダクトの下端部に対し、前記導入ダクトと前記電装品との間に形成された風路へ通じる隙間を隔てた位置に形成されている、
エンジン動力装置。
【請求項7】
エンジンおよび前記エンジンにより駆動される被駆動機を含む動力機械と、
前記動力機械を支持する底板部および前記底板部上の領域を他の領域と仕切る外枠部を有し、前記動力機械からの漏洩オイルを前記底板部上に溜めるオイルガード部を形成するベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材上に配置された前記動力機械を含む機器を覆い、吸気口および排気口が形成されたカバー部材と、を備え、
前記ベース部材は、
前記外枠部の内側における前記吸気口の下方の吸気口下領域を含む領域に前記オイルガード部と仕切られて形成され、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ浸入する浸入水を受ける水受け部をさらに有し、
前記底板部に対向して配置され、前記水受け部上の領域に対向する入口開口および前記エンジンが配置された領域に対向する出口開口を有し、前記入口開口から前記出口開口に到る横方向の風路を形成する横ダクトと、
前記横ダクト内に配置された吸音部材
と、
をさらに備える
、エンジン動力装置。
【請求項8】
前記吸音部材は、それぞれ前記横ダクト内の一部を遮る複数の吸音板を含み、
前記複数の吸音板は、前記横ダクト内において蛇行した風路を形成し、前記入口開口から見て前記出口開口の全体を遮っている、
請求項7に記載のエンジン動力装置。
【請求項9】
前記複数の吸音板は、それぞれ前記入口開口側から前記出口開口側へ傾斜して設けられている、
請求項8に記載のエンジン動力装置。
【請求項10】
前記被駆動機は、前記エンジンに対し前記吸気口側に配置された発電機を含み、
前記横ダクトの前記出口開口は、前記発電機の下方の位置に形成されている、請求項
6から請求項9のいずれか1項に記載のエンジン動力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルガード部および水受け部を備えるエンジン動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン発電機は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される発電機と、前記エンジンおよび発電機を含む機器を収容する筐体とを備える。前記エンジン発電機は、前記エンジンと前記エンジンにより駆動される被駆動機とを備えるエンジン動力装置の一例である。
【0003】
一般に、前記筐体は、前記エンジンおよび発電機を含む機器を支持するベース部材と、前記ベース部材に支持された機器を覆うカバー部材とに区分されている。さらに、前記エンジン発電機は、前記エンジンなどの動力機械からの漏洩オイルを溜めるオイルガードを備える。
【0004】
例えば、前記オイルガードが、前記ベース部材の下に配置されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、前記オイルガードは、前記ベース部材に形成された孔を通過して落下した前記漏洩オイルを溜める。また、前記ベース部は、前記カバー部に形成された吸気口などの開口から侵入する雨水などの浸入水を受ける。
【0005】
従って、前記漏洩オイルと前記浸入水とが分別され、前記浸入水を前記ベース部に形成された排気口から排出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記オイルガードが、前記ベース部材の下に重ねられる独立した部材である場合、前記エンジン動力装置の高さ寸法が大きくなり、さらに、前記エンジン動力装置を構成する部品の点数が増える。
【0008】
本発明の目的は、装置の高さ寸法が小さく部品点数が少ない構成により、漏洩オイルと筐体内に浸入する水とを分別できるエンジン動力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係るエンジン動力装置は、動力機械と、ベース部材と、カバー部材と、を備える。前記動力機械は、エンジンおよび前記エンジンにより駆動される被駆動機を含む。前記ベース部材は、前記動力機械を支持する底板部および前記底板部上の領域を他の領域と仕切る外枠部を有し、前記動力機械からの漏洩オイルを前記底板部上に溜めるオイルガード部を形成する。前記カバー部材は、前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材上に配置された前記動力機械を含む機器を覆い、吸気口および排気口が形成された部材である。前記ベース部材は、水受け部をさらに有する。前記水受け部は、前記外枠部の内側における前記吸気口の下方の吸気口下領域を含む領域に前記オイルガード部と仕切られて形成され、前記吸気口を通じて前記カバー部材内へ浸入する浸入水を受ける部分であり、前記ベース部材の外へ通じる排出孔が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の高さ寸法が小さく部品点数が少ない構成により、漏洩オイルと筐体内に浸入する水とを分別できるエンジン動力装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るエンジン発電機の前面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るエンジン発電機の背面側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るエンジン発電機の斜視断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るエンジン発電機におけるベース部材上の機器配置図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るエンジン発電機における前面側から見たベース部材の斜視図図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るエンジン発電機における背面側から見たベース部材の斜視図図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るエンジン発電機におけるベース部材の平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るエンジン発電機における縦ダクトおよび第1水受け部の断面である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るエンジン発電機における第2水受け部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[エンジン発電機10の概略構成]
本発明の実施形態に係るエンジン発電機10は、エンジン動力装置の一例である。
図3に示されるように、エンジン発電機10は、エンジン31とエンジン31により駆動される被駆動機32とを含む動力機械3を備える。
【0014】
エンジン発電機10において、被駆動機32は、発電機321および送風機322を含む。発電機321は、エンジン31によって駆動されることによって発電する。送風機322は、エンジン31および発電機321などの機器を冷却するために装置内を換気する。
【0015】
図1~3に示されるように、エンジン発電機10は、動力機械3およびその他の機器を収容する金属製の筐体100を備える。筐体100は、ベース部材1およびベース部材1に取り付けられるカバー部材2により構成される。
【0016】
ベース部材1には、複数の車輪101が設けられている。エンジン発電機10は、可搬型の装置である。また、カバー部材2には、取手部102および操作ユニット103が取り付けられている。
【0017】
操作ユニット103は、人の操作を受け付けるダイヤルまたはスイッチなどの操作機器およびエンジン発電機10の状態を表示する表示器を含む。各図において、エンジン発電機10の前方向D1、後方向D2、右方向D3、左方向D4、上方向D5および下方向D6が直線矢印によって示されている。
【0018】
図3に示されるように、ベース部材1は、底板部11および外枠部12を有する。底板部11は、動力機械3を含む内部機器を支持する。外枠部12は、底板部11の外縁部から起立して形成されている。外枠部12は、底板部11上の領域を他の領域と仕切る。即ち、底板部11および外枠部12は、上部が開口した浅い箱を形成している。
【0019】
前記内部機器は、燃料タンク41および電装品42を含む。電装品42は、インバーター回路を含む。なお、燃料タンク41のキャップ41aは、カバー部材2の上方に露出している(
図1~3参照)。
【0020】
カバー部材2は、ベース部材1の外枠部12に連結され、ベース部材1上に配置された動力機械3を含む前記内部機器を覆う。
【0021】
図2,3に示されるように、カバー部材2における左右の側板の一方である特定側板20に、吸気口21および排気口22が形成されている。本実施形態において、特定側板20は、右方向D3の側板である。
【0022】
排気口22は、吸気口21に対し後方向D2の上方向D5に形成されている。排気口22および排気口22は、それぞれ複数の開口の集合である。
【0023】
図4に示されるように、エンジン発電機10は、ベース部材1上に配置されたマフラー44をさらに備える。マフラー44は、エンジン31から排気口22へ排出ガスを導く。マフラー44の一方の端部は、連結管44aによってエンジン31と連結されており、マフラー44の他方の端部は、ガス吐出部44bである。
【0024】
なお、
図4において、カバー部材2および燃料タンク41が仮想線(二点鎖線)で示されている。
【0025】
排気口22は、エンジン31、動力機械3および電装品42と熱交換した空気が排出される第1排気口22aと、ガス吐出部44bから吐出される前記排出ガスが通過する第2排気口22bとを含む。ガス吐出部44bは、第2排気口22bに対向して配置されている(
図2,3参照)。
【0026】
図3,4に示されるように、エンジン発電機10は、主仕切板13を備える。主仕切板13は、底板部11の上方の収容空間を第1内部空間S1と第2内部空間S2とに仕切る。前記収容空間は、底板部11の上方におけるカバー部材2で覆われた空間である。本実施形態において、第2内部空間S2は、第1内部空間S1に対して後方向D2側である。
【0027】
エンジン31、動力機械3、燃料タンク41および電装品42は、第1内部空間S1に配置されている(
図3,4参照)。マフラー44は、第2内部空間S2に配置されている。
【0028】
図3~5に示されるように、主仕切板13は、ベース部材1と一体に形成された下主仕切部131と、下主仕切部131に連結された上主仕切部132とを含む。下主仕切部131は、外枠部12の内側の領域を2つに仕切り、上主仕切部132は、下主仕切部131よりも上方の空間を2つに仕切っている。
【0029】
吸気口21は、第1内部空間S1に連通しており、排気口22は第2内部空間S2に連通している。
【0030】
図3,4に示されるように、送風機322は、エンジン31に対し吸気口21側の反対側に配置されている。発電機321は、エンジン31に対し吸気口21側に配置されている。電装品42は、発電機321に対し吸気口21側に配置されている。燃料タンク41は、発電機321および電装品42の上方に配置されている。
【0031】
送風機322は、空気を吸入する吸入口322aと、空気を吐出する吐出口322bとを有する(
図4参照)。吸入口322aはエンジン31に対向して形成されている。
【0032】
図4に示されるように、主仕切板13の上主仕切部132には、送風機322の吐出口322bを第2内部空間S2へ連通させる第1開口13aが形成されている。さらに、上主仕切部132には、マフラー44とエンジン31とを連結する連結管44aが貫通する第2開口13bも形成されている。
【0033】
送風機322が動作することにより、空気が吸気口21を通じてカバー部材2内へ流入し、流入した空気が電装品42、発電機321およびエンジン31を冷却した後に、送風機322によって第1内部空間S1から第2内部空間S2へ送られる。さらに、第2内部空間S2へ送られた空気は、第1排気口22aを通じて装置外へ排出される。
【0034】
エンジン発電機10は、エンジン31などの動力機械3からの漏洩オイルを溜めるオイルガードを備える必要がある。さらに、エンジン発電機10は、吸気口21などの開口から筐体100内に侵入する雨水などの浸入水を受ける構造も備える必要がある。
【0035】
ところで、前記オイルガードが、ベース部材1の下に重ねられる独立した部材である場合、エンジン発電機10の高さ寸法が大きくなり、さらに、エンジン発電機10を構成する部品の点数が増える。
【0036】
一方、エンジン発電機10は、装置の高さ寸法が小さく部品点数が少ない構成により、前記漏洩オイルと前記浸入水とを分別できる構造を有する。以下、その構造について説明する。
【0037】
エンジン発電機10において、ベース部材1は、動力機械3からの前記漏洩オイルを底板部11上に溜めるオイルガード部1xを形成している(
図3~6参照)。
【0038】
本実施形態において、ベース部材1における下主仕切部131から第1内部空間S1側の部分がオイルガード部1xである。
【0039】
図3,5,6に示されるように、ベース部材1におけるオイルガード部1xを成す部分の底板部11には、台座1aが設けられている。動力機械3を含む前記内部機器は、底板部11から突出した台座1aによって支持されている。
【0040】
即ち、底板部11は、動力機械3を含む前記内部機器を、台座1aを介して支持する。これにより、前記漏洩オイルが溜まるスペースが、底板部11と前記内部機器との間に確保される。
【0041】
図5に示されるように、外枠部12におけるオイルガード部1xの一部を成す部分には、廃オイルバルブ1bが設けられている。廃オイルバルブ1bが開かれることにより、オイルガード部1xに溜まった前記漏洩オイルが、廃オイルバルブ1bを通じてベース部材1の外へ排出される。
【0042】
以下の説明において、外枠部12の内側における吸気口21の下方の領域のことを吸気口下領域A1と称し、外枠部12の内側における排気口22の下方の領域のことを排気口下領域A2と称する(
図7参照)。なお、
図7において、カバー部材2が仮想線で示されている。
【0043】
吸気口下領域A1は、第1内部空間S1の一部であり、排気口下領域A2は、第2内部空間S2の一部である。
【0044】
エンジン発電機10は、吸気口21を通じてカバー部材2内へ浸入する前記浸入水を受ける水受け部5を備える(
図5~7参照)。水受け部5は、外枠部12の内側における吸気口下領域A1を含む領域にオイルガード部1xと仕切られて形成されている。
【0045】
水受け部5には、ベース部材1の外へ通じる排出孔5aが形成されている(
図7参照)。水受け部5に落ちた前記浸入水は、水受け部5から溢れる前に、排出孔5aを通じてベース部材1の外へ流出する。
【0046】
本実施形態において、オイルガード部1xおよび水受け部5が、相互に仕切られた状態でベース部材1に設けられている。これにより、前記漏洩オイルと前記浸入水との分別が、エンジン発電機10の高さ寸法が小さく部品点数が少ない構成によって実現されている。
【0047】
エンジン発電機10において、水受け部5は、吸気口下領域A1および排気口下領域A2に亘って形成されている。具体的には、水受け部5は、吸気口下領域A1に形成された第1水受け部51と、排気口下領域A2に形成された第2水受け部52とを含む。第1水受け部51および第2水受け部52は隣接している。
【0048】
換言すれば、第1水受け部51は、第1内部空間S1に設けられており、第2水受け部52は、第2内部空間S2に設けられている。第1内部空間S1は、吸気口下領域A1および第1水受け部51の上方の空間を含む。第2内部空間S2は、排気口下領域A2および第2水受け部52の上方の空間を含む。
【0049】
図8に示されるように、水受け部5の一部を成す第1水受け部51は、外枠部12の内側において底板部11に対し間隔を隔てて形成されている。これにより、外枠部12の内側においてオイルガード部1xが占める面積が、第1水受け部51によって狭められることがない。
【0050】
具体的には、第1水受け部51は、対向板部511および第1仕切部512を有する(
図6~8参照)。対向板部511は、底板部11に対し間隔を隔てて対向する板状の部分である。第1仕切部512は、対向板部511の外縁部から起立した板状に形成され、外枠部12の内側における対向板部511上の領域を他の領域と仕切っている。
【0051】
第1仕切部512には、第1水受け部51と第2水受け部52とを連通させる連通開口512aが形成されている(
図6,8参照)。連通開口512aは、対向板部511に沿うスリット状の開口である(
図8参照)。
【0052】
本実施形態において、下主仕切部131の一部が、第1仕切部512における第2水受け部52との間を仕切る部分を兼ねている。連通開口512aは、下主仕切部131における第1仕切部512を兼ねる部分に形成されている。
【0053】
一方、第2水受け部52は、底板部11における排気口下領域A2の部分である底板特定部521と第2仕切部522とを有する(
図6,7,9参照)。第2仕切部522は、底板特定部521の外縁部から起立した板状に形成され、外枠部12の内側における底板特定部521上の領域を他の領域と仕切っている。
【0054】
本実施形態において、下主仕切部131の一部が、第2仕切部522におけるオイルガード部1xとの間を仕切る部分を兼ねている。
【0055】
底板特定部521は、第1水受け部51から連通開口512aを通じて流れ込む前記浸入水を受ける部分である。また、底板特定部521は、排気口22を通じてカバー部材2内に浸入する水も受ける。
【0056】
底板特定部521には、排出孔5aが形成されている(
図7参照)。従って、吸気口21を経由して第1水受け部51に落下した前記浸入水は、第2水受け部52および排出孔5aを経由してベース部材1の外へ流出する。一方、排気口22を経由して第2水受け部52に落下した前記浸入水は、そのまま排出孔5aを通じてベース部材1の外へ流出する。
【0057】
また、主仕切板13は、吸気口21に連通する第1内部空間S1と、排気口22に連通する第2内部空間S2とに仕切っている。これにより、主仕切板13は、吸気口21を通じて浸入した水が第2水受け部52へ直接落下すること、および、排気口22を通じて浸入した水が第1水受け部51へ直接落下することを防ぐ。
【0058】
エンジン発電機10は、第1内部空間S1に設けられた導入ダクト6をさらに備える(
図3,8参照)。導入ダクト6は、ベース部材1の上方の空間における吸気口21に対向する領域に設けられている。
【0059】
導入ダクト6は、吸気口21を通じてカバー部材2内へ入った空気を縦方向に沿って第1水受け部51へ向けて案内する。導入ダクト6は、吸気口21を通じて空気とともに浸入した前記浸入水が、第1水受け部51以外の部分へ飛散することを防ぐ。
【0060】
本実施形態において、導入ダクト6は、第1縦ダクト61および第2縦ダクト62を有する(
図3,8参照)。第1縦ダクト61は、吸気口21を通じてカバー部材2内へ入った空気を上方へ案内する。第2縦ダクト62は、第1縦ダクト61を通過した空気を第1水受け部51へ向けて下方へ案内する。
【0061】
従って、吸気口21を通じて空気とともに浸入した前記浸入水は、自重によって第1縦ダクト61の底へ落下しやすく、第2縦ダクト62へ到達しにくい。
【0062】
図8に示されるように、第1縦ダクト61における内側の底面61aは、第2縦ダクト62側の隔壁部61bからカバー部材2における吸気口21の下縁部21aへ向かって斜め下方へ傾斜して形成されている。
【0063】
従って、前記浸入水は、第1縦ダクト61の底面61aへ落下した後、速やかに吸気口21を通じてカバー部材2の外へ流出する。
【0064】
エンジン発電機10は、第2縦ダクト62内および第2縦ダクト62における動力機械3側の外面に取り付けられた吸音部材60をさらに備える。吸音部材60は、動力機械3で発生した騒音が導入ダクト6をおよび吸気口21を通じてカバー部材2の外へ伝搬することを抑制する。
【0065】
エンジン発電機10は、第1内部空間S1に設けられた横ダクト7をさらに備える(
図3~7参照)。
【0066】
横ダクト7は、底板部11に対向して配置されている。横ダクト7は、第1水受け部51上の領域に対向する入口開口7aおよびエンジン31が配置された領域に対向する出口開口7bを有し、入口開口7aから出口開口7bに到る横方向の風路を形成している。
【0067】
図3に示されるように、電装品42は、導入ダクト6と動力機械3との間に配置されている。
図8に示されるように、横ダクト7の入口開口7aは、導入ダクト6の下端部に対し、導入ダクト6と電装品42との間に形成された風路へ通じる隙間を隔てた位置に形成されている。
【0068】
従って、導入ダクト6を通過した空気は、電装品42へ向かう風路と横ダクト7内とに効率的に分岐する。
【0069】
図3に示されるように、横ダクト7の出口開口7bは、発電機321の下方の位置に形成されている。これにより、横ダクト7を通過した空気は、発電機321および発電機321に隣接するエンジン31を効率液に冷却する。
【0070】
エンジン発電機10は、横ダクト7内に配置された吸音部材70をさらに備える(
図3,7参照)。吸音部材70は、動力機械3で発生した騒音が横ダクト7および吸気口21を通じてカバー部材2の外へ伝搬することを抑制する。
【0071】
例えば、ウレタンスポンジ材などの多孔質の発泡部材またはグラスウールなどが、吸音部材60,70として採用される。
【0072】
図7に示されるように、吸音部材70は、それぞれ横ダクト7内の一部を遮る複数の吸音板70aを含む。
図7に示される例では、吸音部材70は、横ダクト7における対向する一対の側面それぞれから内側へ張り出して配置された2つの吸音板70aを含む。
【0073】
複数の吸音板70aは、横ダクト7内において蛇行した風路を形成し、入口開口7aから見て出口開口7bの全体を遮っている。これにより、複数の吸音板70aが効率的に騒音を吸収する。
【0074】
また、複数の吸音板70aは、それぞれ入口開口7a側から出口開口7b側へ傾斜して設けられている(
図7参照)。これにより、横ダクト7内を流れる空気に対する複数の吸音板70aの抵抗が抑制される。
【符号の説明】
【0075】
1 :ベース部材
1a :台座
1b :廃オイルバルブ
1x :オイルガード部
2 :カバー部材
3 :動力機械
5 :水受け部
5a :排出孔
6 :導入ダクト
7 :横ダクト
7a :入口開口
7b :出口開口
10 :エンジン発電機
11 :底板部
12 :外枠部
13 :主仕切板
13a :第1開口
13b :第2開口
21 :吸気口
22 :排気口
31 :エンジン
32 :被駆動機
41 :燃料タンク
41a :キャップ
42 :電装品
44 :マフラー
51 :第1水受け部
52 :第2水受け部
60 :吸音部材
61 :第1縦ダクト
62 :第2縦ダクト
70 :吸音部材
70a :吸音板
100 :筐体
131 :下主仕切部
132 :上主仕切部
321 :発電機
322 :送風機
511 :対向板部
512 :第1仕切部
512a :連通開口
521 :底板特定部
522 :第2仕切部
A1 :吸気口下領域
A2 :排気口下領域