(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】基板処理監視に用いる設定情報の設定方法、基板処理装置の監視方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240221BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240221BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240221BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240221BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/30 564D
B05C11/00
B05C11/10
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/306 R
(21)【出願番号】P 2020112878
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】沖田 有史
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】角間 央章
(72)【発明者】
【氏名】増井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】出羽 裕一
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-031103(JP,A)
【文献】特開2018-028496(JP,A)
【文献】特開平11-168078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
B05C 11/00
B05C 11/10
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
基板処理装置内の第1監視対象物を移動させる移動機構を制御して、前記第1監視対象物を第1停止位置に移動させるセットアップレシピ工程と、
前記セットアップレシピ工程と並行して実行され、カメラが前記第1監視対象物を撮像するセットアップ撮像工程と、
前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第1停止位置で停止する前記第1監視対象物を含む第1画像データと、前記第1監視対象物の少なくとも一部を示す第1参照画像データとに基づいて、前記第1画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第1停止位置に関する適正位置として設定する設定工程と、
を備え
、
前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって順次に取得される複数の画像データのうち、前記第1停止位置で停止した前記第1監視対象物を含む前記第1画像データを、前記移動機構へ制御信号が出力された時刻と、前記複数の画像データの取得時刻とに基づいて特定する、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内に保持された基板の主面に処理液を供給するノズルを、前記第1監視対象物として、前記第1停止位置に移動させる、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
前記セットアップレシピ工程では、前記ノズルを、前記第1停止位置、および、前記カメラから見て少なくとも奥行き方向において前記第1停止位置と異なる第2停止位置に順に移動させ、
前記設定工程は、
前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第2停止位置で停止した前記ノズルを含む第2画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第2画像データ内における前記ノズルの位置および大きさを検出する検出工程と、
前記第1画像データ内の前記ノズルに対して吐出判定領域の位置および大きさが予め規定された第1相対関係と、前記第1画像データ内の前記ノズルの大きさに対する前記第2画像データ内の前記ノズルの大きさの倍率に基づいて、前記第2画像データ内の前記ノズルに対する吐出判定領域の位置および大きさを規定する第2相対関係を設定する判定領域設定工程と
を含む、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内の基板保持部を取り囲む処理カップを、前記第1監視対象物として、鉛直方向に沿って移動させて前記第1停止位置で停止させる、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項5】
請求項1
、請求項2および請求項4のいずれか一つに記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
前記セットアップレシピ工程では、前記第1監視対象物を前記第1停止位置、および、前記第1停止位置とは異なる第2停止位置に順次に移動させ、
前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において取得され、前記第2停止位置で停止する前記第1監視対象物を含む第2画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第2画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第2停止位置に関する適正位置として設定する、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一つに記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、
前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内の前記第1監視対象物とは異なる第2監視対象物を第3停止位置に移動させ、
前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において取得され、前記第3停止位置で停止する前記第2監視対象物を含む第3画像データと、前記第2監視対象物の少なくとも一部を示す第2参照画像データとに基づいて、前記第3画像データ内における前記第2監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第2監視対象物の前記第3停止位置に関する適正位置として設定する、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一つに記載の基板処理監視に用いる設定情報の設定方法を行うセットアップ工程と、
基板処理装置内の基板保持部が基板を保持する保持工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持した状態で前記移動機構を制御して、前記第1監視対象物を前記第1停止位置に移動させる処理レシピ工程と、
前記処理レシピ工程と並行して、前記カメラが前記第1監視対象物を撮像する処理撮像工程と、
前記処理撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第1停止位置で停止した前記第1監視対象物を含む第4画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第4画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置の適否を、前記第1停止位置に関する前記適正位置に基づいて判断する位置監視工程と、
を備える、基板処理装置の監視方法。
【請求項8】
基板に対する処理を行う基板処理装置であって、
チャンバーと、
チャンバー内の監視対象物を所定の停止位置に移動させる移動機構と、
前記監視対象物を含む領域を撮像して画像データを取得するカメラと、
前記監視対象物の少なくとも一部を示す参照画像データが記憶された記憶媒体と、
前記カメラによって取得され、前記停止位置で停止した前記監視対象物を含む前記画像データと、前記参照画像データとに基づいて、前記画像データ内における前記監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記停止位置に関する適正位置として設定する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記カメラによって順次に取得される複数の画像データのうち、前記停止位置で停止した前記監視対象物を含む前記画像データを、前記移動機構へ制御信号が出力された時刻と、前記複数の画像データの取得時刻とに基づいて特定する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法、基板処理装置の監視方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体デバイスなどの製造工程においては、基板に対して純水、フォトレジスト液およびエッチング液などの種々の処理液を供給して、洗浄処理およびレジスト塗布処理などの種々の基板処理を行っている。このような処理を行う基板処理を行う装置としては、基板を水平姿勢で回転させつつ、その基板の表面にノズルから処理液を吐出する基板処理装置が広く用いられている。
【0003】
ノズルは配管を介して処理液供給源に接続され、配管にはバルブが設けられる。バルブが開くことにより、ノズルから処理液が吐出され、バルブが閉じることにより、ノズルから処理液が吐出される。
【0004】
また、基板処理装置には、ノズルを移動させるノズル移動機構が設けられる。ノズル移動機構は、ノズルを、基板よりも上方の処理位置と、基板よりも外側の待機位置との間で移動させる。
【0005】
ノズルが処理位置で停止した状態でバルブが開くことにより、ノズルから基板の主面に処理液が供給される。これにより、基板に対する処理が行われる。処理液の吐出開始から規定の吐出時間が経過すると、バルブが閉じて処理液の供給が停止する。
【0006】
このような基板処理装置において、ノズルから処理液が吐出されているか否かの監視が行われる場合がある。つまり、ノズルからの処理液の吐出状態を監視する場合がある。例えば特許文献1には、カメラなどの撮像手段を設けてノズルからの処理液吐出を直接的に監視することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板処理における監視対象として、ノズルから吐出される処理液の吐出状態の他に、ノズルの位置を採用することもできる。つまり、基板処理装置は、ノズルの位置が適切であるか否かを、撮像手段によって取得された画像データに基づいて判断する場合もある。
【0009】
具体的には、基板処理装置は、処理位置で停止したノズルを含む画像データに対する画像処理により、画像データ内におけるノズルの座標位置を検出し、当該ノズルの座標位置と、予め設定された適正位置(設定座標位置)とに基づいて、当該ノズルの座標位置が適切であるか否かを判断する。
【0010】
この設定座標位置は、ノズルが適切な位置に停止したときに撮像された画像データにおいて、当該ノズルの座標位置である。この設定座標位置は、例えば、基板処理装置の据え付け等に、作業員によって手動で設定される。具体的には、まず、ノズル移動機構がノズルを処理位置に移動させた状態で撮像手段によって画像データを取得する。基板処理装置は当該画像データをユーザーインターフェースのディスプレイに表示する。次に、作業員は、ディスプレイに表示された画像データを視認し、画像データにおいてノズルが含まれた領域の座標位置を、ユーザーインターフェースに入力する。基板処理装置は、ユーザーインターフェースに入力された座標位置を、ノズルの設定座標位置として設定する。これにより、画像データにおけるノズルの適正位置を設定することができる。
【0011】
しかしながら、このような手動による設定は作業時間の増加を招くうえ、作業員の習熟度の違いにより、設定にばらつきが生じ得る。
【0012】
そこで、本願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、監視処理に用いられる監視対象の適正位置を自動で設定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第1の態様は、基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、基板処理装置内の第1監視対象物を移動させる移動機構を制御して、前記第1監視対象物を第1停止位置に移動させるセットアップレシピ工程と、前記セットアップレシピ工程と並行して実行され、カメラが前記第1監視対象物を撮像するセットアップ撮像工程と、前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第1停止位置で停止する前記第1監視対象物を含む第1画像データと、前記第1監視対象物の少なくとも一部を示す第1参照画像データとに基づいて、前記第1画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第1停止位置に関する適正位置として設定する設定工程と、を備え、前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって順次に取得される複数の画像データのうち、前記第1停止位置で停止した前記第1監視対象物を含む前記第1画像データを、前記移動機構へ制御信号が出力された時刻と、前記複数の画像データの取得時刻とに基づいて特定する。
【0015】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内に保持された基板の主面に処理液を供給するノズルを、前記第1監視対象物として、前記第1停止位置に移動させる。
【0016】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第3の態様は、第2の態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、前記セットアップレシピ工程では、前記ノズルを、前記第1停止位置、および、前記カメラから見て少なくとも奥行き方向において前記第1停止位置と異なる第2停止位置に順に移動させ、前記設定工程は、前記セットアップ撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第2停止位置で停止した前記ノズルを含む第2画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第2画像データ内における前記ノズルの位置および大きさを検出する検出工程と、前記第1画像データ内の前記ノズルに対して吐出判定領域の位置および大きさが予め規定された第1相対関係と、前記第1画像データ内の前記ノズルの大きさに対する前記第2画像データ内の前記ノズルの大きさの倍率に基づいて、前記第2画像データ内の前記ノズルに対する吐出判定領域の位置および大きさを規定する第2相対関係を設定する判定領域設定工程とを含む。
【0017】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第4の態様は、第1の態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内の基板保持部を取り囲む処理カップを、前記第1監視対象物として、鉛直方向に沿って移動させて前記第1停止位置で停止させる。
【0018】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第5の態様は、第1、第2および第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、前記セットアップレシピ工程では、前記第1監視対象物を前記第1停止位置、および、前記第1停止位置とは異なる第2停止位置に順次に移動させ、前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において取得され、前記第2停止位置で停止する前記第1監視対象物を含む第2画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第2画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第2停止位置に関する適正位置として設定する。
【0019】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法の第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法であって、前記セットアップレシピ工程では、前記基板処理装置内の前記第1監視対象物とは異なる第2監視対象物を第3停止位置に移動させ、前記設定工程では、前記セットアップ撮像工程において取得され、前記第3停止位置で停止する前記第2監視対象物を含む第3画像データと、前記第2監視対象物の少なくとも一部を示す第2参照画像データとに基づいて、前記第3画像データ内における前記第2監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記第2監視対象物の前記第3停止位置に関する適正位置として設定する。
【0020】
基板処理装置の監視方法の第1の態様は、第1から第6のいずれか一つの態様にかかる基板処理監視に用いる設定情報の設定方法を行うセットアップ工程と、基板処理装置内の基板保持部が基板を保持する保持工程と、前記基板保持部が前記基板を保持した状態で前記移動機構を制御して、前記第1監視対象物を前記第1停止位置に移動させる処理レシピ工程と、前記処理レシピ工程と並行して、前記カメラが前記第1監視対象物を撮像する処理撮像工程と、前記処理撮像工程において前記カメラによって取得され、前記第1停止位置で停止した前記第1監視対象物を含む第4画像データと、前記第1参照画像データとに基づいて、前記第4画像データ内における前記第1監視対象物の位置を検出し、当該位置の適否を、前記第1停止位置に関する前記適正位置に基づいて判断する位置監視工程と、を備える。
【0021】
基板処理装置の第1の態様は、基板に対する処理を行う基板処理装置であって、チャンバーと、チャンバー内の監視対象物を所定の停止位置に移動させる移動機構と、前記監視対象物を含む領域を撮像して画像データを取得するカメラと、前記監視対象物の少なくとも一部を示す参照画像データが記憶された記憶媒体と、前記カメラによって取得され、前記停止位置で停止した前記監視対象物を含む前記画像データと、前記参照画像データとに基づいて、前記画像データ内における前記監視対象物の位置を検出し、当該位置を前記停止位置に関する適正位置として設定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記カメラによって順次に取得される複数の画像データのうち、前記停止位置で停止した前記監視対象物を含む前記画像データを、前記移動機構へ制御信号が出力された時刻と、前記複数の画像データの取得時刻とに基づいて特定する。
【発明の効果】
【0022】
基板処理監視に用いる設定情報の設定方法および基板処理装置によれば、適正位置を自動で設定できる。
【0023】
基板処理装置の監視方法によれば、監視対象物の位置を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】基板処理装置の全体構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】処理ユニットの構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図3】処理ユニットの構成の一例を概略的に示す側面図である。
【
図4】ノズルの移動経路の一例を概略的に示す平面図である。
【
図5】制御部の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】セットアップ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】撮像画像データの一例を概略的に示す図である。
【
図9】監視処理の具体的な一例を示すフローチャートである。
【
図10】撮像画像データの一例を概略的に示す図である。
【
図11】撮像画像データ内の第1ノズルの大きさを概略的に示す図である。
【
図12】撮像画像データ内の吐出判定領域R1の一例を概略的に示す図である。
【
図13】チェック処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0026】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0027】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0028】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0029】
<基板処理装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置100の内部のレイアウトの一例を説明するための図解的な平面図である。
図1に例が示されるように、基板処理装置100は、処理対象である基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。
【0030】
本実施の形態に関する基板処理装置100は、円形薄板状であるシリコン基板である基板Wに対して、薬液および純水などのリンス液を用いて洗浄処理を行った後、乾燥処理を行う。
【0031】
上記の薬液としては、例えば、アンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)、塩酸と過酸化水素水との混合水溶液(SC2)、または、DHF液(希フッ酸)などが用いられる。
【0032】
以下の説明では、薬液、リンス液および有機溶剤などを総称して「処理液」とする。なお、洗浄処理のみならず、不要な膜を除去するための薬液、または、エッチングのための薬液なども「処理液」に含まれるものとする。
【0033】
基板処理装置100は、複数の処理ユニット1と、ロードポートLPと、インデクサロボット102と、主搬送ロボット103と、制御部9と、ユーザーインターフェース90とを備える。
【0034】
図1に例示されるように、複数のロードポートLPが並んで配置される。各ロードポートLPには、キャリアCが搬入される。キャリアCとしては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、または、基板Wを外気にさらすOC(Open Cassette)が採用されてもよい。また、インデクサロボット102は、キャリアCと主搬送ロボット103との間で基板Wを搬送する。
【0035】
処理ユニット1は、1枚の基板Wに対して液処理および乾燥処理を行う。本実施の形態に関する基板処理装置100には、同様の構成である12個の処理ユニット1が配置されている。
【0036】
具体的には、それぞれが鉛直方向に積層された3個の処理ユニット1を含む4つのタワーが、主搬送ロボット103の周囲を取り囲むようにして配置されている。
【0037】
図1では、3段に重ねられた処理ユニット1の1つが概略的に示されている。なお、基板処理装置100における処理ユニット1の数量は、12個に限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0038】
主搬送ロボット103は、処理ユニット1が積層された4個のタワーの中央に設置されている。主搬送ロボット103は、インデクサロボット102から受け取る処理対象の基板Wをそれぞれの処理ユニット内に搬入する。また、主搬送ロボット103は、それぞれの処理ユニット1から処理済みの基板Wを搬出してインデクサロボット102に渡す。制御部9は、基板処理装置100のそれぞれの構成要素の動作を制御する。
【0039】
ユーザーインターフェース90は、例えば液晶ディスプレイ等の表示部と、マウスおよびキーボード等の入力デバイスとを含む。作業員は、ユーザーインターフェース90に種々の情報を入力することができる。ユーザーインターフェース90は、入力された情報を制御部9に出力する。
【0040】
以下、基板処理装置100に搭載された12個の処理ユニット1のうちの1つについて説明するが、他の処理ユニット1についても、ノズルの配置関係が異なること以外は、同一の構成を有する。
【0041】
<処理ユニット>
図2は、処理ユニット1の構成の一例を概略的に示す平面図である。また、
図3は、処理ユニット1の構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
【0042】
処理ユニット1は、チャンバー10内に、基板保持部の一例であるスピンチャック20と、第1ノズル30と、第2ノズル60と、第3ノズル65と、処理カップ40と、カメラ70とを含む。
【0043】
チャンバー10は、鉛直方向に沿う側壁11、側壁11によって囲まれた空間の上側を閉塞する天井壁12および下側を閉塞する床壁13を含む。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が処理空間となる。また、チャンバー10の側壁11の一部には、主搬送ロボット103が基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口を開閉するシャッターが設けられている(いずれも図示省略)。
【0044】
チャンバー10の天井壁12には、基板処理装置100が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバー10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。ファンフィルタユニット14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバー10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ)を備えており、チャンバー10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしても良い。
【0045】
スピンチャック20は、基板Wを水平姿勢に保持する。水平姿勢とは、基板Wの法線が鉛直方向に沿う姿勢である。スピンチャック20は、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定された円板形状のスピンベース21を備える。スピンベース21の下方には回転軸24を回転させるスピンモータ22が設けられる。スピンモータ22は、回転軸24を介してスピンベース21を水平面内にて回転させる。また、スピンモータ22および回転軸24の周囲を取り囲むように筒状のカバー部材23が設けられている。
【0046】
円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する上面21aを有している。
【0047】
スピンベース21の上面21aの周縁部には複数(本実施形態では4本)のチャックピン26が立設されている。複数のチャックピン26は、円形の基板Wの周縁に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて(本実施形態のように4個のチャックピン26であれば90°間隔にて)配置されている。各チャックピン26は、基板Wの周縁に当接する保持位置と、基板Wの周縁から離れた開放位置と間で駆動可能に設けられている。複数のチャックピン26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、複数のチャックピン26をそれぞれの当接位置で停止させることにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で上面21aに近接した水平姿勢にて保持することができるとともに(
図3参照)、複数のチャックピン26をそれぞれの開放位置で停止させることにより、基板Wの保持を解除することができる。
【0048】
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバー10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャックピン26による把持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸線CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部9によって制御される。
【0049】
第1ノズル30は、ノズルアーム32の先端に吐出ヘッド31を取り付けて構成されている。ノズルアーム32の基端側はノズル基台33に固定して連結されている。ノズル基台33は図示を省略するモータによって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。ノズル基台33が回動することにより、
図2中の矢印AR34にて示すように、第1ノズル30はスピンチャック20の上方の空間内で円弧状に移動する。これらノズルアーム32、ノズル基台33およびモータは、第1ノズル30を移動させるノズル移動機構37の一例である。
【0050】
図4は、第1ノズル30の移動経路の一例を概略的に示す平面図である。
図4に例示されるように、第1ノズル30の吐出ヘッド31は、ノズル基台33の回転により、ノズル基台33を中心とした周方向に沿って移動する。第1ノズル30は適宜の停止位置で停止することができる。
図4の例では、第1ノズル30は中央位置P31、周縁位置P32および待機位置P33の各々で停止可能である。
【0051】
中央位置P31は、吐出ヘッド31が、スピンチャック20に保持された基板Wの中央部と鉛直方向において対向する位置である。中央位置P31に位置する第1ノズル30が回転中の基板Wの上面に処理液を吐出することにより、基板Wの上面の全面に処理液を供給できる。これにより、基板Wの上面の全面に対して処理を施すことができる。
【0052】
待機位置P33は、吐出ヘッド31が、スピンチャック20に保持された基板Wと鉛直方向において対向しない位置である。待機位置P33には、第1ノズル30の吐出ヘッド31を収容する待機ポッドが設けられていても良い。
【0053】
周縁位置P32は中央位置P31と待機位置P33との間の位置であり、吐出ヘッド31が、スピンチャック20に保持された基板Wの周縁部と鉛直方向において対向する位置である。第1ノズル30は、周縁位置P32に位置した状態において、回転中の基板Wの上面に処理液を吐出してもよい。これにより、基板Wの上面の周縁部のみに処理液を吐出でき、基板Wの周縁部のみを処理できる(いわゆるベベル処理)。
【0054】
また、第1ノズル30は中央位置P31と周縁位置P32との間で往復移動しながら、回転中の基板Wの上面に処理液を吐出することも可能である。この場合にも、基板Wの上面の全面を処理することができる。
【0055】
周縁位置P34は中央位置P31に対して周縁位置P32とは反対側に位置しており、吐出ヘッド31が、スピンチャック20に保持された基板Wの周縁部と鉛直方向において対向する位置である。第1ノズル30は、周縁位置P34に位置した状態において、回転中の基板Wの上面に処理液を吐出してもよい。これによっても、基板Wの上面の周縁部のみに処理液を吐出でき、基板Wの周縁部のみを処理できる(いわゆるベベル処理)。
【0056】
また、第1ノズル30は中央位置P31と周縁位置P34との間で往復移動しながら、回転中の基板Wの上面に処理液を吐出することも可能である。この場合にも、基板Wの上面の全面を処理することができる。
【0057】
また、ノズル基台33には、第1ノズル30を昇降させるノズル昇降機構(不図示)が含まれていてもよい。ノズル昇降機構は例えばボールネジ機構またはエアシリンダ等の昇降機構を含む。ノズル昇降機構が設けられる場合、第1ノズル30は、鉛直方向において異なる停止位置の各々で停止することが可能である。例えば、第1ノズル30は、中央位置P31よりも鉛直方向の上方の停止位置に停止可能である。
【0058】
図3に例示されるように、第1ノズル30は供給管34を介して処理液供給源36に接続される。供給管34にはバルブ35が設けられている。バルブ35は供給管34の流路を開閉する。バルブ35が開くことにより、処理液供給源36は供給管34を通じて処理液を第1ノズル30に供給する。なお、第1ノズル30は、複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されてもよい。
【0059】
また、本実施形態の処理ユニット1には、上記第1ノズル30に加えてさらに第2ノズル60および第3ノズル65が設けられている。本実施形態の第2ノズル60および第3ノズル65は、上記の第1ノズル30と同じ構成を有する。すなわち、第2ノズル60は、ノズルアーム62の先端に吐出ヘッド61を取り付けて構成される。第2ノズル60は、ノズルアーム62の基端側に連結されたノズル基台63によって、矢印AR64にて示すように、スピンチャック20の上方の空間を円弧状に移動する。第2ノズル60の移動経路上に位置する中央位置P61、周縁位置P62、待機位置P63および周縁位置P64の相対的な位置関係は、中央位置P31、周縁位置P32、待機位置P33および周縁位置P34の相対的な位置関係と同様である。
【0060】
同様に、第3ノズル65は、ノズルアーム67の先端に吐出ヘッド66を取り付けて構成される。第3ノズル65は、ノズルアーム67の基端側に連結されたノズル基台68によって、矢印AR69にて示すように、スピンチャック20の上方の空間を円弧状に移動する。処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で円弧状に移動する。第3ノズル65の移動経路上に位置する中央位置P66、周縁位置P67、待機位置P68および周縁位置P69の相対的な位置関係は、中央位置P31、周縁位置P32、待機位置P33および周縁位置P34の相対的な位置関係と同様である。
【0061】
また、第2ノズル60および第3ノズル65は昇降可能であってもよい。例えばノズル基台63およびノズル基台68に内蔵された不図示のノズル昇降機構によって第2ノズル60および第3ノズル65が昇降する。
【0062】
第2ノズル60および第3ノズル65の各々も、第1ノズル30と同様に供給管(図示省略)を介して処理液供給源(図示省略)に接続される。各供給管にはバルブ(不図示)が設けられ、バルブが開閉することで処理液の供給/停止が切り替えられる。
【0063】
なお、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65の各々は、複数種の処理液が供給されるように構成されてもよい。また、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65の少なくともいずれか一つは、純水などの洗浄液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する二流体ノズルであっても良い。また、処理ユニット1に設けられるノズルの数は3本に限定されるものではなく、1本以上であれば良い。
【0064】
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を含む。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に含んでいる。
【0065】
内壁部45は、内カップ41が最も上昇された状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
【0066】
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有している。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
【0067】
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を処理ユニット1の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
【0068】
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを一体的に含んでいる。
【0069】
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状をなす下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有している。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部52bの先端を下方に折り返して形成される折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なるような長さとされている。
【0070】
また、第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されており、処理液分離壁53は上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有している。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
【0071】
外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有している。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有している。
【0072】
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。また、上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。さらに、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cは、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なるように形成されている。
【0073】
また、内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43のそれぞれには個別にカップ移動機構59が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このようなカップ移動機構59としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
【0074】
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバー10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であっても良いし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであっても良い。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態では第1ノズル30のノズル基台33、第2ノズル60のノズル基台63および第3ノズル65のノズル基台68を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
【0075】
仕切板15の外周端はチャンバー10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
【0076】
また、チャンバー10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバー10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
【0077】
カメラ70は、チャンバー10内であって仕切板15よりも上方に設置されている。カメラ70は、例えば固体撮像素子の一つであるCCD(Charge Coupled Device)と、レンズなどの光学系とを含む。カメラ70は、後述するチャンバー10内の監視対象物を監視するために設けられる。監視対象物の具体例については後に詳述する。カメラ70は、監視対象物を撮像領域に含む位置に配置されている。この撮像領域は、例えば、基板W、および、基板Wよりも上方の空間を含む。カメラ70は撮像領域を撮像して撮像画像データを取得し、取得した撮像画像データを順次に制御部9に出力する。
【0078】
図3に示されるように、チャンバー10内であって仕切板15よりも上方の位置に、照明部71が設けられている。チャンバー10内が暗室である場合、カメラ70が撮像を行う際に照明部71が光を照射するように、制御部9が照明部71を制御してもよい。
【0079】
基板処理装置100に設けられた制御部9のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同一である。すなわち、制御部9は、各種演算処理を行うCPUなどの処理部と、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)などの一時的な記憶媒体と、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM(Random Access Memory)および制御用ソフトウェアまたはデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどである非一時的な記憶媒体とを備えて構成される。制御部9のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置100の各動作機構が制御部9に制御され、基板処理装置100における処理が進行する。なお、制御部9はその機能の実現にソフトウェアが不要な専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0080】
図5は、制御部9の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部9は、監視処理部91と、セットアップ部92と、処理制御部93とを含んでいる。
【0081】
処理制御部93はチャンバー10内の各構成を制御する。具体的には、処理制御部93は、スピンモータ22、バルブ35,82等の各種バルブ、ノズル基台33,63,68のモータおよびノズル昇降機構、カップ移動機構59ならびにファンフィルタユニット14を制御する。処理制御部93がこれらの構成を所定の手順に沿って制御することにより、処理ユニット1は基板Wに対する処理を行うことができる。
【0082】
監視処理部91は、カメラ70がチャンバー10内を撮像して取得した撮像画像データに基づいて、監視対象物に対する監視処理を行う。監視処理部91は監視対象物の位置を監視する。監視対象物としては、例えば、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65等の各種ノズルを採用することができる。また、監視処理部91は、各種ノズルからの処理液の吐出状態を監視してもよい。監視処理の具体的な一例については後に詳述する。
【0083】
セットアップ部92は、監視処理に用いる処理情報を設定する。例えば、セットアップ部92は撮像画像データ内における監視対象物の適正位置(以下、設定座標位置と呼ぶ)を設定する。また、セットアップ部92は、各種ノズルの処理液の吐出状態を監視するための判定領域を撮像画像データ内において設定することもできる。具体的な設定方法の一例は後に詳述する。
【0084】
<基板処理の流れの一例>
<全体の流れ>
図6は、基板処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、主搬送ロボット103が未処理の基板Wを処理ユニット1に搬入する(ステップS1:搬入工程)。次に、スピンチャック20が基板Wを水平姿勢にて保持する(ステップS2:保持工程)。具体的には、複数のチャックピン26がそれぞれの当接位置に移動することにより、複数のチャックピン26が基板Wを保持する。
【0085】
次に、スピンモータ22が基板Wの回転を開始する(ステップS3:回転工程)。具体的には、スピンモータ22がスピンチャック20を回転させることにより、スピンチャック20に保持された基板Wを回転させる。次に、カップ昇降機構が処理カップ40を上昇させる(ステップS4:カップ上昇工程)。これにより、処理カップ40が上位置で停止する。
【0086】
次に、基板Wに対して処理液を順次に供給する(ステップS5:処理レシピ工程)。なお、この処理レシピ工程(ステップS5)において、カップ移動機構59は、基板Wに供給される処理液の種類に応じて、適宜に上昇させるカップを切り替えるものの、説明の簡単のために、以下では、その説明を省略する。
【0087】
処理レシピ工程(ステップS5)においては、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65がそれぞれ必要に応じて、回転中の基板Wの上面に順次に処理液を吐出する。ここでは、一例として、第1ノズル30および第2ノズル60が処理液を順に吐出する。まず、ノズル移動機構37が第1ノズル30を待機位置P33から中央位置P31に移動させる。次に、バルブ35が開くことにより、第1ノズル30から基板Wの上面に処理液が吐出される。基板Wの上面に着液した処理液は遠心力を受けて広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。これにより、処理液に応じた処理を基板Wの上面に対して行うことができる。例えば処理液の供給開始から所定時間が経過すると、バルブ35が閉じる。これにより、第1ノズル30からの処理液の吐出が停止する。次に、ノズル移動機構37は第1ノズル30を中央位置P31から待機位置P33に移動させる。
【0088】
続いて、ノズル移動機構(ノズル基台63)が第2ノズル60を待機位置P63から中央位置P61に移動させる。次に、第2ノズル60用のバルブが開くことにより、第2ノズル60から基板Wの上面に処理液が吐出される。基板Wの上面に着液した処理液は遠心力を受けて広がり、基板Wの周縁から外側に飛散する。処理液は例えば純水等のリンス液である。この場合、リンス液が基板Wの上面の処理液を洗い流して、基板Wの上面の処理液がリンス液に置換される。例えばリンス液の供給開始から所定時間が経過すると、バルブが閉じる。これにより、第2ノズル60からのリンス液の吐出が停止する。次に、ノズル基台63は第2ノズル60を中央位置P61から待機位置P63に移動させる。
【0089】
第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65は必要に応じて順次に所定の停止位置に移動して、処理液を吐出してもよい。第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65からの処理液の吐出が終了することにより、処理レシピ工程(ステップS5)が終了する。
【0090】
図6を再び参照して、処理レシピ工程(ステップS5)の終了後に、処理ユニット1は、基板Wを乾燥させる(ステップS6:乾燥工程)。例えば、スピンモータ22が基板Wの回転速度を増加させて、基板Wを乾燥させる(いわゆるスピンドライ)。
【0091】
次に、カップ移動機構59は処理カップ40を下降させる(ステップS7:カップ下降工程)。
【0092】
次に、スピンモータ22はスピンチャック20および基板Wの回転を終了し、スピンチャック20は基板Wの保持を解除する(ステップS8:保持解除工程)。具体的には、複数のチャックピン26がそれぞれの開放位置に移動することで、保持を解除する。
【0093】
次に、主搬送ロボット103は、処理済みの基板Wを処理ユニット1から搬出する(ステップS9:搬出工程)。
【0094】
以上のようにして、基板Wに対する処理が行われる。
【0095】
<監視対象>
<ノズルの位置>
上述の処理レシピ工程(ステップS5)において、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65は必要に応じて適宜に移動する。例えば、第1ノズル30は待機位置P33から中央位置P31に移動する。このとき、ノズル基台33のモータ異常等の諸要因により、第1ノズル30が中央位置P31からずれて停止する場合もある。この場合、第1ノズル30からの処理液に基づく処理が不適切に終了し得る。
【0096】
そこで、ノズルの位置を監視する。以下、ノズルの位置監視について述べる。
【0097】
<セットアップ処理>
まず、監視処理に用いる設定情報を設定するセットアップ処理について述べる。このセットアップ処理は、例えば、基板処理装置100が設置場所(例えば工場)に設置されるときに行われる。
図7は、セットアップ処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、作業員は、ユーザーインターフェース90に必要事項を入力する(ステップS11:入力工程)。例えば、作業員は、監視対象物として第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65を指定する入力を行い、各ノズルの停止位置として複数の位置を指定する入力を行う。例えば作業員は、第1ノズル30の停止位置として、中央位置P31、周縁位置P32および周縁位置P34などの複数の停止位置を入力する。第2ノズル60および第3ノズル65についても同様である。なお、停止位置の数は適宜に変更されてもよい。
【0099】
次に、作業員は、セットアップの開始を指示する入力をユーザーインターフェース90に対して行う。
【0100】
処理制御部93は当該指示の入力に応答して、カメラ70に撮像を開始させる(ステップS12:セットアップ撮像工程開始)。カメラ70は撮像領域を撮像して撮像画像データを取得し、当該撮像画像データを制御部9に出力する。
【0101】
また、処理制御部93は当該指示の入力に応答して、ノズル移動機構を制御して、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65を順次に各停止位置に移動させる(ステップS12:セットアップレシピ工程)。例えば、ノズル移動機構37は、第1ノズル30を周縁位置P32、中央位置P31および周縁位置P34に順次に停止させる。具体的には、まず、ノズル移動機構37は第1ノズル30を待機位置P33から周縁位置P32に移動させて、所定時間に亘って周縁位置P32で停止させ、その後、第1ノズル30を周縁位置P32から中央位置P31に移動させて、所定時間に亘って中央位置P31で停止させ、その後、第1ノズル30を中央位置P31から周縁位置P34に移動させて、所定時間に亘って周縁位置P34で停止させる。ノズル移動機構37は、第1ノズル30を、入力された全ての停止位置で停止させた後、待機位置P33に移動させる。その後、処理制御部93は、同様にして、第2ノズル60を全ての停止位置で順に停止させ、続いて、第3ノズル65を全ての停止位置で順に停止させる。
【0102】
また、処理制御部93は、セットアップレシピ工程において、各ノズルが各停止位置で停止している時刻を記憶媒体に記憶しておくとよい。例えば、処理制御部93は、第1ノズル30を中央位置P31に停止させるための制御信号をノズル移動機構37に出力した時刻を記憶しておく。同様に、処理制御部93は、周縁位置P32および周縁位置P34の各々についての制御信号が出力された時刻も記憶媒体に記憶しておく。第2ノズル60および第3ノズル65についても同様である。
【0103】
セットアップレシピ工程が終了すると、カメラ70が撮像を終了する(ステップS14:セットアップ撮像工程終了)。
【0104】
セットアップ撮像工程はセットアップレシピ工程と並行して行われるので、カメラ70は第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65を撮像することができる。つまり、カメラ70によって取得された複数の撮像画像データには、各停止位置で停止した第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65の各々が含まれる。
【0105】
図8は、セットアップ撮像工程において取得される撮像画像データの一例を概略的に示す図である。
図8の撮像画像データには、中央位置P31で停止する第1ノズル30の吐出ヘッド31が含まれている。つまり、
図8は、第1ノズル30が中央位置P31で停止しているときに取得された撮像画像データを示している。
【0106】
次に、セットアップ部92は複数の撮像画像データから、各停止位置で停止した各ノズルを含む撮像画像データ(以下、設定画像データと呼ぶ)を特定する(ステップS15:設定画像データ特定工程)。例えば、セットアップ部92は、中央位置P31で停止した第1ノズル30を含む設定画像データを、ノズル移動機構37に出力された制御信号に基づいて特定する。すなわち、セットアップ部92は、第1ノズル30を中央位置P31に移動させるための制御信号が出力された時刻を記憶媒体から読み出し、当該時刻と、カメラ70による撮像画像データの取得時刻とに基づいて、中央位置P31で停止した第1ノズル30を含む設定画像データを特定する。制御信号が出力されてから第1ノズル30が中央位置P31で停止するまでの時間は予め決まっているので、セットアップ部92は、制御信号が出力された時刻に基づいて、第1ノズル30が中央位置P31で停止している期間を求めることができる。セットアップ部92は、当該期間に含まれた取得時刻を有する撮像画像データを、設定画像データとして特定する。
【0107】
セットアップ部92は、同様にして、他の各停止位置で停止した第1ノズル30を含む設定画像データ、各停止位置で停止した第2ノズル60を含む設定画像データ、および、各停止位置で停止した第3ノズル65を含む設定画像データを特定する。各ノズルに対する停止位置の数が互いに同じであれば、設定画像データ特定工程において、(ノズルの数)×(停止位置の数)枚の設定画像データが特定される。
【0108】
なお、セットアップレシピ工程(ステップS13)では、設定用の基板Wが処理ユニット1に搬入されてもよい。
図8の例では、撮像画像データには、スピンチャック20によって保持される設定用の基板Wが含まれている。ただし、セットアップレシピ工程において、必ずしも設定用の基板Wが搬入されていなくてもよい。
【0109】
また、セットアップレシピ工程では、カップ移動機構59は処理カップ40を上昇させてもよい。
図8の例では、設定画像データには、上昇した状態の処理カップ40が示されている。ただし、セットアップレシピ工程において、処理カップ40は必ずしも上昇していなくてもよい。
【0110】
次に、セットアップ部92は設定画像データを解析して、設定画像データ内におけるノズルの座標位置を検出し、当該座標位置を設定座標位置として設定する(ステップS17:位置設定工程)。例えば、セットアップ部92は、中央位置P31で停止した第1ノズル30を含む設定画像データ(
図8)と、予め記憶媒体に記憶された第1ノズル30(具体的には、吐出ヘッド31)を示す参照画像データRI1とのテンプレートマッチングにより、設定画像データ内の第1ノズル30の座標位置を検出する。なお、
図8の例では、参照画像データRI1を模式的に仮想線で、撮像画像データに重ね合わせて示している。
【0111】
セットアップ部92は、検出した座標位置を、中央位置P31についての設定座標位置として設定する。具体的には、セットアップ部92は中央位置P31についての設定座標位置を記憶媒体に記憶させる。
【0112】
また、セットアップ部92は、他の各停止位置で停止した第1ノズル30を含む設定画像データと、参照画像データRI1とのテンプレートマッチングにより、設定画像データ内の第1ノズル30の座標位置を検出し、当該座標位置を当該停止位置についての設定座標位置として設定する。また、セットアップ部92は、各停止位置で停止した第2ノズル60を含む設定用画像データと、第2ノズル60の一部を示す参照画像データとに基づいて、第2ノズル60の座標位置を検出し、当該座標位置を当該停止位置についての設定座標位置として設定する。また、セットアップ部92は、同様にして、第3ノズル65の各停止位置についての設定座標位置も順次に設定する。
【0113】
これにより、第1ノズル30の各停止位置についての設定座標位置、第2ノズル60の各停止位置についての設定座標位置および第3ノズル65の各停止位置についての設定座標位置が設定される。
【0114】
なお、
図7の例では、ステップS17(判定領域設定工程)も実行されているものの、この処理については後に述べる。
【0115】
以上のように、本セットアップ処理によれば、セットアップ部92は複数の撮像画像データから設定画像データを自動で特定し、当該設定画像データ内における監視対象物の設定座標位置を自動で設定する。よって、作業員は複数の撮像画像データを視認して手動で設定画像データを特定する必要がなく、また、設定画像データ内の第1ノズル30の座標位置を手動で指定する必要もない。したがって、作業員の負担を軽減することができ、セットアップに要する作業時間を短縮させることもできる。また、作業員による習熟度のばらつきに起因した設定のばらつきも回避できる。
【0116】
また、本セットアップ処理によれば、セットアップ部92は、例えば作業員によるセットアップの開始指示の入力に応答して、各ノズルの各停止位置についての設定画像データの全てを順次に自動的に特定する。比較のために、設定画像データを特定するための入力を、各ノズルの停止位置ごとに行う場合も考えられる。例えば、セットアップ部92は、中央位置P31で停止する第1ノズル30を含む設定画像データを特定するための入力に応答して、当該設定画像データを特定し、周縁位置P32で停止する第1ノズル30を含む設定画像データを特定するための入力に応答して、当該設定画像データを特定する場合も考えられる。しかしながら、このような入力は作業員の負担であり、作業時間を長引かせる。これに対して、上述の例では、1度の入力で全ての設定画像データが特定されるので、作業員の入力回数を低減させることができ、作業時間を短縮させることができる。なお、セットアップ部92がセットアップ撮像工程の終了をトリガとして、設定画像データ特定工程を行う場合には、作業員による入力回数をさらに低減させることができる。
【0117】
また、セットアップ部92は、例えば1度の入力に応答して、各ノズルの各停止位置についての設定座標位置の全てを順次に設定する。よって、作業員の入力回数を低減させることができ、作業時間を短縮させることができる。なお、セットアップ部92が設定画像データ特定工程の終了をトリガとして、位置設定工程を行う場合には、作業員による入力回数をさらに低減させることができる。
【0118】
なお、セットアップ処理において、適宜に作業員の入力をトリガとして採用しても構わない。例えば、設定画像データ特定工程は作業員による入力指示をトリガとして開始してもよい。例えば、セットアップ部92はセットアップ撮像工程の終了を、ユーザーインターフェース90を介して作業員に通知し、作業員は当該通知を受けて、設定画像データ特定工程の開始を指示する入力をユーザーインターフェース90に行う。セットアップ部92は当該指示の入力に応答して設定画像データ特定工程を行ってもよい。
【0119】
また、位置設定工程(ステップS16)も、作業員による入力指示をトリガとして開始してもよい。例えば、セットアップ部92は設定画像データ特定工程の終了を、ユーザーインターフェース90を介して作業員に通知し、作業員は当該通知を受けて、位置設定工程の開始を指示する入力をユーザーインターフェース90に行う。セットアップ部92は当該指示の入力に応答して設定画像データ特定工程を行ってもよい。
【0120】
<監視処理>
次に、処理レシピ工程(ステップS5)と並行して行われる監視処理の一例について説明する。
図9は、監視処理の一例を示すフローチャートである。カメラ70は処理レシピ工程と並行して、撮像領域を順次に撮像して撮像画像データを取得する(ステップS21:処理撮像工程)。上述の例では、処理レシピ工程において、第1ノズル30が中央位置P31で基板Wの上面に処理液を吐出し、その後、第2ノズル60が中央位置P61で基板Wの上面に処理液(例えばリンス液)を吐出する。
【0121】
監視処理部91は、処理撮像工程によって取得された撮像画像データに基づいて、各ノズルの位置を監視する(ステップS22:位置監視工程)。具体的には、まず、監視処理部91は、処理制御部93から処理の手順を示す情報を受け取り、第1ノズル30が待機位置P33から中央位置P31に移動する期間を当該情報に基づいて特定する。監視処理部91は、当該期間において取得された撮像画像データと、記憶媒体に記憶された参照画像データRI1とのテンプレートマッチングにより、撮像画像データ内における第1ノズル30の座標位置を検出する。複数の撮像画像データにおいて第1ノズル30の座標位置がほぼ一定であれば、第1ノズル30は中央位置P31で停止していると判断でき、当該座標位置が第1ノズル30の停止座標位置に相当する。
【0122】
次に、監視処理部91は、中央位置P31についての設定座標位置を記憶媒体から読み出し、検出された第1ノズル30の停止座標位置と、設定座標位置とに基づいて、第1ノズル30の位置の適否を判断する。具体的には、監視処理部91は停止座標位置と設定座標位置との差が許容値以下であるか否かを判断する。許容値は例えば予め設定されており、記憶媒体に記憶される。
【0123】
当該差が許容値以下であれば、監視処理部91は、第1ノズル30が適切に中央位置P31に停止していると判断する。一方で、当該差が許容値よりも大きければ、監視処理部91は、第1ノズル30が中央位置P31からずれて停止していると判断する。つまり、監視処理部91は第1ノズル30についてのノズル位置異常を検出する。監視処理部91はユーザーインターフェース90を介して、第1ノズル30のノズル位置異常を作業員に通知してもよい。また、このとき、処理制御部93は基板Wの処理を中断してもよい。
【0124】
監視処理部91は上述と同様の処理により、第2ノズル60の位置も監視する。また、処理レシピ工程(ステップS5)において、第3ノズル65が処理液を基板Wの上面に吐出する場合には、監視処理部91は同様の処理により、第3ノズル65の位置も監視する。
【0125】
以上のように、監視処理部91は、処理レシピ工程における各ノズルの位置を監視することができる。
【0126】
<吐出監視>
図9の例では、監視処理部91は、処理レシピ工程(ステップS5)における各ノズルからの処理液の吐出状態も、撮像画像データに基づいて監視する(ステップS23:吐出監視工程)。以下、第1ノズル30を例に挙げて説明する。
【0127】
まず、監視処理部91は、撮像画像データにおいて吐出判定領域R1(
図8参照)を設定する。吐出判定領域R1は、撮像画像データにおいて第1ノズル30の先端よりも下側の領域を含む領域であり、第1ノズル30の先端から吐出された処理液を含む領域である。
【0128】
第1ノズル30の座標位置に対する吐出判定領域R1の相対的な位置関係は予め設定されており、記憶媒体に記憶されている。また、吐出判定領域R1は、例えば縦方向に延在する矩形状の形状で所定サイズに予め設定されている。このような位置関係、形状およびサイズを示す相対関係(以下、設定相対関係と呼ぶ)は記憶媒体に記憶される。
【0129】
監視処理部91は、既述のテンプレートマッチングによって検出された第1ノズル30の停止座標位置と、記憶媒体に記憶された設定相対関係とに基づいて、吐出判定領域R1を設定する。これにより、撮像画像データ内において第1ノズル30の座標位置が若干変動しても、当該座標位置に応じて吐出判定領域R1が設定される。したがって、第1ノズル30の先端から吐出される処理液が適切に含まれるように吐出判定領域R1が設定される。
【0130】
図10は、処理撮像工程(ステップS21)において取得された撮像画像データの他の一例を概略的に示す図である。
図10の撮像画像データには、中央位置P31で処理液を吐出する第1ノズル30の吐出ヘッド31が含まれている。つまり、
図10は、第1ノズル30が中央位置P31で処理液を吐出しているときに取得された撮像画像データを示している。
【0131】
図8および
図10の比較から理解できるように、吐出判定領域R1内の画素値は、第1ノズル30が処理液を吐出したときと、第1ノズル30が処理液を吐出していないときとで相違する。例えば、第1ノズル30が処理液を吐出しているときの吐出判定領域R1内の画素値の総和は、第1ノズル30が処理液を吐出していないときの吐出判定領域R1内の画素値の総和よりも大きくなる。
【0132】
そこで、監視処理部91は、第1ノズル30が処理液を吐出しているか否かを吐出判定領域R1内の画素値に基づいて判断する。具体的な一例として、監視処理部91は、吐出判定領域R1内の画素値の総和が所定の吐出基準値以上であるか否かを判断し、当該総和が吐出基準値以上であるときに第1ノズル30が処理液を吐出していると判断する。また、監視処理部91は当該総和が吐出基準値未満であるときに、第1ノズル30が処理液を吐出していないと判断する。
【0133】
なお、吐出判定領域R1内の画素値に基づく処理液の吐出の有無判定はこれに限らず、種々の手法を採用できる。例えば、第1ノズル30が処理液を吐出しているときの吐出判定領域R1内の画素値の分散は、第1ノズル30が処理液を吐出していないときの分散よりも大きい。よって、監視処理部91は当該分散を算出し、その分散の大小に基づいて処理液の吐出の有無を判断してもよい。また、分散に替えて標準偏差を採用することも可能である。
【0134】
監視処理部91は、カメラ70によって順次に取得された撮像画像データの各々に対して上述の処理を行うことで、第1ノズル30が処理液の吐出を開始する開始タイミング、および、第1ノズル30が処理液の吐出を終了する終了タイミングを検出することができる。また、監視処理部91は開始タイミングおよび終了タイミングに基づいて、処理液が吐出される吐出時間を算出し、当該吐出時間が規定時間となっているかを監視することができる。具体的には、吐出時間と規定時間との差が許容時間以上となっているときに、吐出異常が生じたと判断する。許容時間は例えば予め設定されて、記憶媒体に記憶されている。
【0135】
監視処理部91は、同様の処理により、必要に応じて、第2ノズル60および第3ノズル65からの処理液の吐出状態を監視する。例えば、処理レシピ工程(ステップS5)において第2ノズル60も中央位置P61で処理液を吐出する場合、監視処理部91は第2ノズル60の処理液の吐出状態も監視する。
【0136】
また、処理レシピ工程(ステップS5)において、第1ノズル30が周縁位置P32で処理液を吐出する場合もあり得る。この場合には、監視処理部91は、周縁位置P32における第1ノズル30の処理液の吐出状態を監視する。具体的には、まず、監視処理部91は、第1ノズル30が周縁位置P32に移動する期間を、処理制御部93から受け取った処理の手順を示す情報に基づいて特定する。監視処理部91は、当該期間において取得された撮像画像データから、周縁位置P32で停止する撮像画像データを特定し、当該撮像画像データ内における第1ノズル30の停止座標位置を検出する。そして、監視処理部91は第1ノズル30の停止座標位置と、記憶媒体に記憶された設定相対関係とに基づいて吐出判定領域R1を設定し、吐出判定領域R1内の画素値に基づいて処理液の吐出状態を監視する。
【0137】
第2ノズル60および第3ノズル65がそれぞれ適宜の停止位置で処理液を吐出する場合にも、監視処理部91は同様にして、第2ノズル60および第3ノズル65の各々からの処理液の吐出状態を監視する。
【0138】
<判定領域>
ところで、異なる第1停止位置および第2停止位置で停止した第1ノズル30の撮像画像データ内の大きさは互いに相違し得る。具体的には、第1停止位置および第2停止位置がカメラ70から見た奥行き方向において互いにずれている場合に、第1ノズル30の撮像画像データ内の大きさは互いに相違する。例えば、カメラ70の奥行き方向において、中央位置P31、周縁位置P32および周縁位置P34は互いに相違する。よって、中央位置P31、周縁位置P32および周縁位置P32で停止した第1ノズル30の撮像画像データ内おける大きさは、互いに相違する。
【0139】
図11は、第1ノズル30の撮像画像データ内の大きさの相違を示す図である。
図11では、右側の第1ノズル30が左側の第1ノズル30よりも大きくなっている。つまり、右側の第1ノズル30は、奥行き方向においてカメラ70に近い位置で停止した第1ノズル30を示しており、左側の第1ノズル30は、奥行き方向においてカメラ70から遠い位置で停止した第1ノズル30を示している。
【0140】
左側の第1ノズル30はカメラ70から遠い停止位置で停止しているので、左側の第1ノズル30の先端から吐出される処理液は、撮像画像データ内においてより小さく示されている。逆に、右側の第1ノズル30はカメラ70に近い停止位置で停止しているので、右側の第1ノズル30の先端から吐出される処理液は、撮像画像データ内においてより大きく示される。
【0141】
このような撮像画像データにおいて、吐出判定領域R1の位置および大きさが停止位置によらず、つまり、第1ノズル30の大きさによらずに設定されると、吐出判定領域R1が処理液に対して適切な位置からずれたり、あるいは、処理液の大きさに比べて大きくなりすぎたりする。
図11では、左側の第1ノズル30の先端と吐出判定領域R1の上端との間隔は、右側の第1ノズル30の先端と吐出判定領域R1の上端との間隔と等しく、両吐出判定領域R1の大きさも互いに等しい。この場合、左側の吐出判定領域R1は処理液に対して適切な位置から下方にずれており、また、処理液の大きさに比べて大きく設定される。
【0142】
そこで、第1ノズル30に対する吐出判定領域R1の位置および大きさを示す設定相対関係を、停止位置別に設定しておくことが望ましい。
【0143】
<判定領域設定工程>
図7のセットアップ処理の一例では、位置設定工程(ステップS16)の後に判定領域設定工程(ステップS17)が実行される。この判定領域設定工程では、セットアップ部92は、各ノズルの設定座標位置と吐出判定領域R1との幾何学的な相対関係(位置および大きさ)を示す設定相対関係を、各ノズルの停止位置ごとに設定する。
【0144】
ただし、第1ノズル30の中央位置P31に対する設定相対関係は予め設定され、記憶媒体に記憶されている。この設定相対関係は、例えば、次のようにして作業員によって手動で設定される。例えば、作業員は、中央位置P31で停止した第1ノズル30を含む設定画像データの表示を指示する入力をユーザーインターフェース90に対して行う。制御部9は当該入力に応答して、当該設定画像データをユーザーインターフェース90に表示させる。作業員は当該設定画像データを視認して、当該設定画像データ内で吐出判定領域R1の位置および大きさを指定する入力をユーザーインターフェース90に対して行う。セットアップ部92は、当該設定画像データにおける第1ノズル30の設定座標位置と、入力された吐出判定領域R1との幾何学的な相対関係を示す設定相対関係を作成し、当該設定相対関係を記憶媒体に記憶させる。
【0145】
セットアップ部92は、他の停止位置で停止する第1ノズル30に対応する設定相対関係を、第1ノズル30の中央位置P31についての設定相対関係に基づいて自動で作成する。具体的には、まず、セットアップ部92は、周縁位置P32で停止した第1ノズル30を含む設定画像データに含まれる第1ノズル30の大きさを検出する。例えば、セットアップ部92は、当該設定画像データと第1ノズル30の参照画像データRI1とを用いたテンプレートマッチングを行う。このテンプレートマッチングでは、参照画像データRI1の大きさを順次に変更して、設定画像データ内で参照画像データRI1と類似度の高い領域を特定する。これにより、設定画像データにおいて参照画像データRI1に相当する領域の、参照画像データRI1に対する倍率M1を得ることができる。
【0146】
図12は、中央位置P31および周縁位置P32における吐出判定領域R1の一例を概略的に示すである。
図12では、中央位置P31での第1ノズル30の大きさ(つまり、参照画像データRI1の大きさ)に対する周縁位置P32での第1ノズル30の大きさの倍率M1が、ブロック矢印で模式的に示されている。
【0147】
図12では、周縁位置P32での第1ノズル30の大きさは、中央位置P31での第1ノズル30の大きさよりも小さいので、倍率M1は1よりも小さい。ただし、周縁位置P32が中央位置P31よりもカメラ70に近い場合には、周縁位置P32での第1ノズル30がより大きく映るので、倍率M1は1よりも大きくなる。
【0148】
セットアップ部92は、周縁位置P32についての吐出判定領域R1の大きさを、中央位置P31についての吐出判定領域R1の大きさに倍率M1を乗じた値に設定する。これにより、撮像画像データ内における処理液の大きさに応じた吐出判定領域R1を設定することができる。
【0149】
また、セットアップ部92は、第1ノズル30の領域に対する吐出判定領域R1の相対的な位置も調整してもよい。例えば倍率M1が小さいほど、吐出判定領域R1の位置を第1ノズル30に近く設定する。つまり、倍率M1が小さいほど、吐出判定領域R1をより上側に設定するとよい。これによれば、第1ノズル30と吐出判定領域R1との設定相対関係を、倍率M1に応じて適切に設定することができる。セットアップ部92は、周縁位置P32についての設定相対関係を記憶媒体に記憶させる。
【0150】
第1ノズル30の他の停止位置についても同様であり、また、第2ノズル60および第3ノズル65についても同様である。
【0151】
<チェック処理>
セットアップ処理により設定された設定情報(設定座標位置および設定相対関係)が適切であるか否かを判断するチェック処理を行ってもよい。
図13は、チェック処理の一例を示すフローチャートである。まず、カメラ70が撮像領域の撮像を開始する(ステップS31:チェック撮像工程開始)。次に、処理制御部93は、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65の各々を各停止位置で停止させて、各停止位置で処理液を吐出させる(ステップS32:チェックレシピ工程)。例えば、ノズル移動機構37は第1ノズル30を待機位置P33から周縁位置P32に移動させて周縁位置P32で停止させる。第1ノズル30が周縁位置P32で停止しているときに、バルブ35が開くことにより、第1ノズル30が処理液を吐出する。次に、バルブ35が閉じることにより、第1ノズル30が処理液の吐出を停止する。以後、第1ノズル30を各停止位置で停止させつつ、都度、処理液を吐出させる。第2ノズル60および第3ノズル65も同様である。
【0152】
処理制御部93は、各ノズルが各停止位置に位置する時刻および処理液を吐出する時刻をノズル移動機構およびバルブに出力される制御信号に基づいて、記憶媒体に記憶しておく。
【0153】
次に、カメラ70が撮像を終了する(ステップS33:チェック撮像工程終了)。カメラ70によるチェック撮像工程はチェックレシピ工程と並行して行われるので、複数の撮像画像データには、各停止位置で処理液を吐出する各ノズルが含まれている。
【0154】
次に、セットアップ部92は、設定座標位置および設定相対関係が適切に設定されているか否かを判断する(ステップS34:チェック工程)。まず、セットアップ部92は、各停止位置で停止した各ノズルを含む撮像画像データを、その取得時刻と、記憶媒体に記憶された時刻に基づいて特定する。また、セットアップ部92は、各停止位置で処理液を吐出する各ノズルを含む撮像画像データを、その取得時刻と、記憶媒体に記憶された時刻に基づいて特定する。
【0155】
次に、セットアップ部92は撮像画像データに基づいて、チェックレシピ工程における各ノズルの位置および処理液の吐出を監視する。各ノズルの位置の監視は、位置監視工程(ステップS22)と同じ処理によって行われ、ノズルの吐出状態の監視は、吐出監視工程(ステップS23)と同じ処理によって行われる。
【0156】
セットアップ部92はノズル位置異常を検出すると、そのノズルの位置異常を検出したノズルおよび停止位置についての設定座標位置が適切に設定されていないと判断する。このとき、セットアップ部92は、当該ノズルの当該停止位置について設定座標位置が適切に設定されていない旨をユーザーインターフェース90を介して作業員に通知する。
【0157】
また、セットアップ部92は、処理液の吐出異常を検出すると、処理液の吐出異常を検出したノズルおよび停止位置についての設定相対位置が適切に設定されていないと判断する。セットアップ部92は、当該ノズルの当該停止位置について設定相対関係が適切に設定されていない旨をユーザーインターフェース90を介して作業員に通知する。
【0158】
作業員は、設定情報が適切に設定されていない旨の通知を認識すると、再度、セットアップ処理を実行することにより、設定情報を再設定してもよい。この場合、適切に設定されていなかった設定情報のみを再設定するとよい。例えば入力工程において、再設定するノズルと停止位置のみを入力してもよい。あるいは、作業員は、適切に設定されていなかった設定情報のみを、ユーザーインターフェース90を用いて手動で再設定してもよい。
【0159】
<処理カップ>
上述の例では、チャンバー10内で移動する監視対象物の一例として、第1ノズル30、第2ノズル60および第3ノズル65を例示した。しかるに、監視対象物として処理カップ40を採用してもよい。この処理カップ40の内カップ41、中カップ42および外カップ43は、カップ移動機構59によって上位置および下位置との間で昇降する。以下では、説明の簡単のために、外カップ43について述べる。
【0160】
監視処理部91は、撮像画像データにおいて処理カップ40の状態を監視する。ここでは、具体的には、外カップ43が上位置に上昇した状態での撮像領域をカメラ70が予め撮像して撮像画像データを取得し、その撮像画像データに含まれる外カップ43の一部(例えば、外カップ43の上端の一部)を、参照画像データRI2(
図8も参照)として記憶媒体に記憶しておく。
【0161】
そして、監視処理部91は、処理レシピ工程(ステップS5)において取得された撮像画像データと、参照画像データRI2とのテンプレートマッチングにより、外カップ43の座標位置を検出する。監視処理部91は、外カップ43の座標位置と、外カップ43の上位置についての設定座標位置との差を算出し、当該差が許容値以上であるときに、カップの位置異常を検出する。
【0162】
このような外カップ43の設定座標位置も、セットアップ処理によって設定される。具体的には、セットアップレシピ工程(ステップS12)において、カップ移動機構59が外カップ43を下位置から上位置に移動させて、所定時間に亘って上位置で停止させる。そして、位置設定工程(ステップS14)において、セットアップ部92が、上位置で停止する外カップ43を含む撮像画像データを、カップ移動機構59への制御信号に基づいて特定し、当該撮像画像データと参照画像データRI2とのテンプレートマッチングにより、外カップ43の座標位置を検出する。セットアップ部92は当該座標位置を、外カップ43の上位置についての設定座標位置として記憶媒体に記憶させる。
【0163】
これによれば、外カップ43の設定座標位置も自動で設定することができ、セットアップ処理に要する時間を短縮することができる。中カップ42および内カップ41も同様である。
【0164】
以上のように、基板処理方法および基板処理装置100は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において、例示であって、この基板処理装置がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施の形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【0165】
上述の例では、基板処理装置100の据え付け時にセットアップ処理を行っているものの、例えば、カメラ70に人の手が衝突してカメラ70の姿勢が変化した場合にも、セットアップ処理を行ってもよい。カメラ70の姿勢が変化すれば、撮像画像データ内における各ノズルの座標位置が変化するからである。
【0166】
また、上述の例では、ノズルアーム32の先端には、1つの第1ノズル30が取り付けられているものの、複数の第1ノズル30が取り付けられていてもよい。この場合、複数の第1ノズル30は一体に移動する。この場合、入力工程(ステップS11)において、作業員は、ノズルアーム32に取り付けられている複数の第1ノズル30の情報をユーザーインターフェース90に入力する。セットアップ部92は、例えば、中央位置P31で停止した複数の第1ノズル30を含む設定画像データにおける、各第1ノズル30の座標位置を検出し、各座標位置を設定座標位置として設定してもよい。つまり、中央位置P13について第1ノズル30ごとに設定座標位置が設定される。他の停止位置についても同様である。また設定相対関係も同様に第1ノズル30ごとに設定されればよい。第2ノズル60および第3ノズル65も同様である。
【0167】
また、上述のセットアップ処理では、1つの処理ユニット1に対する設定情報を設定しているものの、基板処理装置100に属する複数の処理ユニット1に対して設定情報を設定してもよい。
【符号の説明】
【0168】
1 処理ユニット
10 チャンバー
20 基板保持(スピンチャック)
30,60,65 監視対象物(ノズル)
37 移動機構(ノズル移動機構)
40 監視対象物(処理カップ)
59 移動機構(カップ移動機構)
9 制御部
70 カメラ
100 基板処理装置
W 基板