(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04858 20160101AFI20240221BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20240221BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20240221BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240221BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240221BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240221BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04313
H01M8/04746
H01M8/04 H
(21)【出願番号】P 2020158953
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 翔太
(72)【発明者】
【氏名】斎宮 久幸
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一
(72)【発明者】
【氏名】白井 良和
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147620(JP,A)
【文献】特開2019-160547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04858
H01M 8/04228
H01M 8/04303
H01M 8/04313
H01M 8/04746
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給管と接続され、燃料電池を有する発電モジュールと、
前記原燃料ガス供給管に設けられたガス弁と、
前記原燃料ガスの漏れを検知するガスセンサと、
前記ガス弁が閉弁された後に、前記ガスセンサへの通電を維持してから、前記ガスセンサへの通電を停止する制御を行う制御装置と、
前記制御装置と通信可能に接続されたリモートコントローラ又は操作基板と、
を備え、
前記制御装置は、前記ガス弁が閉弁された後の一定時間内に、前記リモートコントローラ又は前記操作基板の操作が無い場合に、前記ガスセンサへの通電を停止する制御を行う、
燃料電池システム。
【請求項2】
複数の補機をさらに備え、
前記制御装置は、前記燃料電池が発電停止状態で、前記複数の補機のうち前記原燃料ガス供給管に設けられたガス部品が作動状態である場合に、前記ガスセンサへの通電停止を待機し、前記燃料電池が発電停止状態で、前記ガス部品が停止した場合に、前記ガスセンサへの通電を停止する制御を行う、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置と通信可能に接続されたリモートコントローラ又は操作基板をさらに備え、
前記制御装置は、前記ガス弁が閉弁された状態で、前記リモートコントローラ又は前記操作基板が操作された場合に、前記ガスセンサへの通電を開始する制御を行う、
請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエネファーム(登録商標)と称される燃料電池システムは、現場に設置され、試運転が行われた後、実運転が開始されるまで長期間保管される場合がある。燃料電池システムの保管時には、燃料電池が発電していなくても、複数の補機が通電される場合がある。このとき、ガス漏れを検知するガスセンサも一緒に通電されると、ガスセンサが徐々に劣化する。このため、燃料電池システムの保管時にガスセンサが通電されたままであると、ガスセンサの寿命が短くなる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、複数の補機が通電された状態でも、原燃料ガス供給管に設けられたガス弁(開閉弁)が閉弁されたときには、これに応じてガスセンサの通電を停止する制御を行うようにしている。
【0004】
また、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、ガス弁が開弁されたときには、これに応じて複数のガスセンサのうち1のガスセンサのみが通電される制御を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、ガス弁が閉弁されたときには、これに応じてガスセンサの通電が即時に停止される。このため、例えば、ガス弁の閉弁後に原燃料ガス供給管等の内部に滞留する原燃料ガスの漏れや、ガス弁の閉弁後に行ったメンテナンス作業により生じた原燃料ガスの漏れを検知することができない。したがって、通電によるガスセンサの劣化を抑制しつつ、ガス弁の閉弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できるようにするためには改良の余地がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、ガス弁が開弁されたときには、これに応じて複数のガスセンサのうち1のガスセンサのみが通電される。ところが、ガスセンサの起動に時間がかかる場合には、ガス弁が開弁されてからガスセンサが起動するまでの間、原燃料ガスの漏れを検知することができない。したがって、通電によるガスセンサの劣化を抑制しつつ、ガス弁の開弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できるようにするためには改良の余地がある。
【0008】
本発明の第一の目的は、通電によるガスセンサの劣化を抑制しつつ、ガス弁の閉弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の目的を達成するために、本発明の第一の態様に係る燃料電池システムは、原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給管と接続され、燃料電池を有する発電モジュールと、前記原燃料ガス供給管に設けられたガス弁と、前記原燃料ガスの漏れを検知するガスセンサと、前記ガス弁が閉弁された後に、前記ガスセンサへの通電を維持してから、前記ガスセンサへの通電を停止する制御を行う制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続されたリモートコントローラ又は操作基板と、を備え、前記制御装置は、前記ガス弁が閉弁された後の一定時間内に、前記リモートコントローラ又は前記操作基板の操作が無い場合に、前記ガスセンサへの通電を停止する制御を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第一の態様によれば、通電によるガスセンサの劣化を抑制しつつ、ガス弁の閉弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの全体構成の概略を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示される制御装置、リモコン、ガス弁、ガスセンサ及び電源基板にリレーを加えた接続構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示されるガスセンサへの通電を停止するまでの制御の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示されるガスセンサへの通電を開始するまでの制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム10の全体構成の概略を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る燃料電池システム10は、例えばエネファーム(登録商標)と称される発電システムであり、燃料電池ユニット12と、リモートコントローラ14とを備える。
【0017】
通常、燃料電池ユニット12は、ユーザの建物の外に設置され、リモートコントローラ14は、ユーザの建物の中に設置される。以降、リモートコントローラ14をリモコン14と略称する。
【0018】
燃料電池ユニット12は、原燃料ガス供給装置20と、酸化剤ガス供給装置30と、改質水供給装置40と、発電モジュール50と、排熱回収装置60と、貯湯タンク70とを備える。
【0019】
原燃料ガス供給装置20は、発電モジュール50に原燃料ガスを供給する装置である。原燃料ガスは、例えば、都市ガスやLPガス等である。原燃料ガス供給装置20は、原燃料ガス供給管21と、ガス弁22と、脱硫器23と、圧力センサ24と、流量センサ25と、原燃料ガスポンプ26とを備える。
【0020】
原燃料ガス供給管21は、発電モジュール50の気化器52に接続されている。原燃料ガス供給管21には、ガス弁22、脱硫器23、圧力センサ24、流量センサ25及び原燃料ガスポンプ26が設けられている。
【0021】
ガス弁22は、例えば電磁弁であり、原燃料ガス供給管21を開通する開弁状態と、原燃料ガス供給管21を閉止する閉弁状態とを取り得る構成である。脱硫器23は、原燃料ガス供給管21を流れる原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去し、圧力センサ24は、原燃料ガス供給管21内の原燃料ガスの圧力を検出する。流量センサ25は、原燃料ガス供給管21を流れる原燃料ガスの流量を検出し、原燃料ガスポンプ26は、原燃料ガス供給管21を通じて原燃料ガスを気化器52へ供給する。
【0022】
酸化剤ガス供給装置30は、発電モジュール50に酸化剤ガスを供給する装置である。酸化剤ガス供給装置30は、酸化剤ガス供給管31と、エアフィルタ32と、流量センサ33と、ブロワ34とを備える。
【0023】
エアフィルタ32は、後述する燃料電池ユニット12の筐体80に形成された酸化剤ガス取入口81に設けられている。酸化剤ガス供給管31は、酸化剤ガス取入口81と後述する発電モジュール50の燃料電池54とを接続している。酸化剤ガス供給管31には、流量センサ33及びブロワ34が設けられている。
【0024】
流量センサ33は、酸化剤ガス供給管31を流れる酸化剤ガスの流量を検出し、ブロワ34は、酸化剤ガス供給管31を通じて酸化剤ガスを燃料電池54へ供給する。
【0025】
改質水供給装置40は、発電モジュール50に改質水を供給する装置である。改質水供給装置40は、改質水供給管41と、改質水タンク42と、イオン交換樹脂43と、改質水ポンプ44とを備える。改質水供給管41は、改質水タンク42と後述する発電モジュール50の気化器52とを接続している。改質水供給管41には、イオン交換樹脂43及び改質水ポンプ44が設けられている。
【0026】
改質水タンク42には、後述する排熱回収装置60の熱交換器63で凝縮された凝縮水が改質水として貯留される。イオン交換樹脂43は、改質水供給管41を流れる改質水の不純物を除去し、改質水ポンプ44は、改質水供給管41を通じて改質水を気化器52に供給する。
【0027】
発電モジュール50は、モジュールケース51と、気化器52と、改質器53と、燃料電池54(燃料電池セルスタック)とを備える。気化器52、改質器53及び燃料電池54は、断熱材によって形成されたモジュールケース51に収容されている。
【0028】
気化器52は、改質水及び原燃料ガスの供給を受け、この改質水及び原燃料ガスを加熱し、改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガスを予熱する。改質器53は、気化器52から水蒸気及び予熱された原燃料ガスの供給を受け、原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質して、水素を含む燃料ガスを生成する。
【0029】
燃料電池54は、改質器53から燃料ガスの供給を受けると共に、酸化剤ガス供給装置30から酸化剤ガスの供給を受け、燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。また、燃料電池54は、発電に伴い発熱する。
【0030】
排熱回収装置60は、燃料電池54の発電に伴って発生する熱を回収する装置であり、往路管61と、復路管62と、熱交換器63と、循環ポンプ64とを備える。熱交換器63と貯湯タンク70は、往路管61及び復路管62によって接続されており、往路管61には、循環ポンプ64が設けられている。
【0031】
貯湯タンク70に供給された水は、往路管61を通じて熱交換器63に供給され、熱交換器63では、燃料電池54から排出された排気ガスにより水が加熱されて湯が生成される。この湯は、復路管62を通じて貯湯タンク70に供給される。貯湯タンク70に供給された湯は、貯湯タンク70に貯留され、貯湯タンク70に貯留された湯は、給湯に利用される。燃料電池54から熱交換器63に供給された排気ガスは、筐体80の外部に排出される。
【0032】
燃料電池ユニット12は、上記構成に加え、筐体80を備える。上述の原燃料ガス供給装置20、酸化剤ガス供給装置30、改質水供給装置40、発電モジュール50、排熱回収装置60及び貯湯タンク70は、筐体80に収容されている。筐体80には、換気口82が設けられており、この換気口82には、換気フィルタ83が設けられている。
【0033】
また、燃料電池ユニット12は、ガスセンサ90と、外気温センサ91と、操作基板92と、表示パネル93と、パワーコンディショナ94と、電源基板95と、制御装置100とを備える。ガスセンサ90、外気温センサ91、操作基板92、表示パネル93及びパワーコンディショナ94は、制御装置100と電気的に接続されている。また、リモコン14及び制御装置100は、熱源機200と通信可能に接続されている。
【0034】
ガスセンサ90は、例えば、筐体80の内部に設けられている。このガスセンサ90は、原燃料ガスの漏れを検知する。すなわち、ガスセンサ90は、原燃料ガスを検知した場合には、ガス検知信号を出力する構成とされている。
【0035】
外気温センサ91は、外気温を検出し、外気温に応じた信号を出力する。操作基板92は、制御装置100と有線又は無線により通信可能に接続されており、操作者の操作に応じた操作信号を制御装置100に出力する。表示パネル93は、制御装置100から出力された表示信号に応じた表示を行う。
【0036】
パワーコンディショナ94は、燃料電池54の出力端子と商用電源110から負荷111への交流電力ライン112との間に接続されている。以降、パワーコンディショナ94をパワコン94と略称する。パワコン94は、燃料電池54からの直流電力を交流電力に変換し商用電源110からの交流電力に付加する。
【0037】
電源基板95は、パワコン94から分岐した直流電力ライン113に接続されている。この電源基板95は、上述のガス弁22、圧力センサ24、流量センサ25、原燃料ガスポンプ26、流量センサ33、ブロワ34、改質水ポンプ44及び循環ポンプ64等の複数の補機や制御装置100等に直流電力を供給する。
【0038】
上述のガス弁22、圧力センサ24、流量センサ25、原燃料ガスポンプ26、流量センサ33、ブロワ34、改質水ポンプ44及び循環ポンプ64は、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、ガス弁22、原燃料ガスポンプ26、ブロワ34、改質水ポンプ44及び循環ポンプ64等の複数の補機を制御することにより、燃料電池システム10全体の動作を制御する。
【0039】
図2は、
図1に示される制御装置100、リモコン14、ガス弁22、ガスセンサ90及び電源基板95にリレー96を加えた接続構成を示すブロック図である。リモコン14は、制御装置100と通信可能に接続されている。電源基板95には、制御装置100及びガス弁22が接続されている。また、電源基板95には、リレー96を介してガスセンサ90が接続されている。ガス弁22及びリレー96は、制御装置100と電気的に接続されている。
【0040】
リレー96は、制御装置100からの制御信号に応じて、電源基板95からガスセンサ90に直流電力を供給する閉状態と、電源基板95からガスセンサ90への電力供給を停止する開状態とを取り得る構成である。ガスセンサ90は、リレー96を介して電源基板95に接続されており、リレー96の開閉により、他の補機とは独立して直流電力の供給と停止が行われる。
【0041】
制御装置100は、コンピュータによって構成されている。この制御装置100は、ハードウェア構成として、プロセッサ101と、メモリ102とを有する。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成される。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージ等によって構成される。
【0042】
ROMは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する。
【0043】
ROM又はストレージには、燃料電池システム10全体の動作を制御するためのプログラム103が格納されている。プロセッサ101は、プログラム103を読み出し、RAMを作業領域としてプログラム103を実行する。燃料電池システム10の全体構成の概略は以上の通りである。
【0044】
ところで、上記構成の燃料電池システム10は、現場に設置され、試運転が行われた後、実運転が開始されるまで長期間保管される場合がある。燃料電池システム10の保管時には、燃料電池54が発電していなくても、複数の補機が通電される場合がある。このとき、ガス漏れを検知するガスセンサ90も一緒に通電されると、ガスセンサ90が徐々に劣化する。このため、燃料電池システム10の保管時にガスセンサ90が通電されたままであると、ガスセンサ90の寿命が短くなる。
【0045】
そこで、複数の補機が通電された状態でも、原燃料ガス供給管に設けられたガス弁22(開閉弁)が閉弁されたときには、これに応じてガスセンサ90の通電を停止する制御を行うことが考えられる。
【0046】
しかしながら、このような制御を行う場合、ガス弁22が閉弁されたときには、これに応じてガスセンサ90の通電が即時に停止される。このため、例えば、ガス弁22の閉弁後に原燃料ガス供給管21等の内部に滞留する原燃料ガスの漏れや、ガス弁22の閉弁後に行ったメンテナンス作業により生じた原燃料ガスの漏れを検知することができない。したがって、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制しつつ、ガス弁22の閉弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できることが望まれる。
【0047】
また、ガス弁22が開弁されたときに、ガスセンサ90の通電を停止したままであると、ガス弁22の開弁後に原燃料ガスの漏れを検知できないため、ガス弁22の開弁に応じてガスセンサ90を通電する制御を行うことが考えられる。
【0048】
しかしながら、ガスセンサ90の起動に時間がかかる場合には、ガス弁22が開弁されてからガスセンサ90が起動するまでの間、原燃料ガスの漏れを検知することができない。したがって、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制しつつ、ガス弁22の開弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知できることが望まれる。
【0049】
そこで、制御装置100は、次の機能を有する。すなわち、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後に、ガスセンサ90への通電を維持してから、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行う機能を有する。具体的には、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内に、リモコン14又は操作基板92の操作が無い場合に、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行う機能を有する。
【0050】
また、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された状態で、リモコン14又は操作基板92が操作された場合に、ガスセンサ90への通電を開始する制御を行う機能を有する。以上の制御装置100の各機能は、プロセッサ101がプログラム103を実行することで実現される。
【0051】
次に、本実施形態に係る燃料電池システム10の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0052】
先ず、ガスセンサ90への通電を停止するまでの制御の流れについて説明する。
図3は、
図1に示されるガスセンサ90への通電を停止するまでの制御の流れを示すフローチャートである。このガスセンサ90への通電を停止するまでの制御は、燃料電池システム10が、現場に設置され、試運転が行われた後、実運転が開始されるまで長期間保管される場合に実行される。このガスセンサ90への通電を停止するまでの制御では、次のステップS1~ステップS3が実行される。
【0053】
ステップS1では、制御装置100が、ガス弁22に出力した制御信号の履歴又はガス弁22の開閉状態に応じて出力される状態信号等に基づいて、ガス弁22が開弁状態であるかを判断する。
【0054】
燃料電池システム10が長期間保管される状態になっておらず、まだガス弁22が開弁状態である場合には、制御装置100は、ガス弁22が開弁状態であると判断し(ステップS1:Yes)、リターンする。そして、制御装置100は、ガス弁22が閉弁状態になったと判断するまで、ステップS1を繰り返し実行する。
【0055】
ステップS1が繰り返し実行される間に、燃料電池システム10が長期間保管される状態とされ、ガス弁22が閉弁されると、制御装置100は、ステップS1でガス弁22が閉弁状態になったと判断し(ステップS1:No)、ステップS2に移行する。
【0056】
ステップS2では、制御装置100が、リモコン14又は操作基板92から出力された操作信号の履歴等に基づいて、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が有ったか否かを判断する。一定時間は、予め任意に設定され、例えば、60分である。
【0057】
ガス弁22が閉弁された後であっても、燃料電池システム10の設定やメンテナンス等を行うために、操作者がリモコン14又は操作基板92を操作すると、このリモコン14又は操作基板92から制御装置100に操作信号が出力される。
【0058】
このように、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が有った場合には、制御装置100は、一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が有ったと判断し(ステップS2:Yes)、リターンする。そして、制御装置100は、一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が無いと判断するまで、ステップS1~ステップS2を繰り返し実行する。これにより、ガスセンサ90がオン(作動状態)に維持される。
【0059】
一方、ガス弁22が閉弁された後の燃料電池システム10の設定やメンテナンス等が終了し、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が無い場合には、制御装置100は、一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が無いと判断し(ステップS2:No)、ステップS3に移行する。
【0060】
ステップS3では、制御装置100が、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行い、ガスセンサ90をオフにする。具体的には、制御装置100は、リレー96に開指令である制御信号を出力し、リレー96を開状態とする。リレー96が開状態になると、電源基板95からガスセンサ90への電力供給が停止され、ガスセンサ90がオフ(停止状態)になる。
【0061】
このように、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が有ったか否かを判断し、一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が無い場合には、ガスセンサ90への通電を停止する。つまり、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後に、ガスセンサ90への通電を即時に停止するのではなく、ガスセンサ90への通電を維持してから、ガスセンサ90への通電を停止する。
【0062】
したがって、例えば、ガス弁22の閉弁後に原燃料ガス供給管21等の内部に滞留する原燃料ガスの漏れや、ガス弁22の閉弁後に行ったメンテナンス作業により生じた原燃料ガスの漏れがあっても、ガスセンサ90が通電されている間は、この原燃料ガスの漏れをガスセンサ90によって適切に検知することができる。
【0063】
また、その後、ガスセンサ90への通電が停止され、燃料電池システム10の保管時には、ガスセンサ90の通電が停止された状態に保たれるので、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制することができる。
【0064】
このように、本実施形態に係る燃料電池システム10によれば、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制することができる。
【0065】
なお、上述のガスセンサ90への通電を停止するまでの制御において、制御装置100は、上述のステップS2で一定時間内にリモコン14又は操作基板92の操作が無いと判断した場合(ステップS2:No)に、次のように動作してもよい。
【0066】
すなわち、制御装置100は、複数の補機に出力した制御信号の履歴又は複数の補機の作動状態に応じて出力される状態信号等に基づいて、燃料電池54が発電停止状態であるか否かを判断すると共に、複数の補機のうち原燃料ガス供給管21に設けられたガス部品の一例である原燃料ガスポンプ26が停止状態であるか否かを判断してもよい。
【0067】
そして、制御装置100は、燃料電池54が発電停止状態で、かつ、原燃料ガスポンプ26が作動状態である場合に、ガスセンサ90への通電停止を待機する制御を行い、ガスセンサ90をオンに維持してもよい。
【0068】
その後、制御装置100は、燃料電池54が発電停止状態で、かつ、原燃料ガスポンプ26が停止状態になった場合に、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行い、ガスセンサ90をオフにしてもよい。
【0069】
このようにすると、原燃料ガスポンプ26が作動状態であるにもかかわらず、ガスセンサ90への通電が停止されることを防止できる。これにより、原燃料ガスポンプ26の作動に伴う原燃料ガスの漏れを検知することができる。
【0070】
また、上述のガスセンサ90への通電を停止するまでの制御において、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後の一定時間内に、リモコン14又は操作基板92の操作が無い場合に、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行うが、リモコン14又は操作基板92の操作の有無にかかわらず、ガス弁22が閉弁された後に、一定時間、ガスセンサ90への通電を維持してから、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行ってもよい。以上がガスセンサ90への通電を停止するまでの制御の説明である。
【0071】
続いて、ガスセンサ90への通電を開始するまでの制御の流れについて説明する。
図4は、
図1に示されるガスセンサ90への通電を開始するまでの制御の流れを示すフローチャートである。このガスセンサ90への通電を開始するまでの制御は、燃料電池システム10を長期間保管するために、ガス弁22が閉弁された場合に実行される。このガスセンサ90への通電を開始するまでの制御では、次のステップS11~ステップS13が実行される。
【0072】
ステップS11では、制御装置100が、ガスセンサ90に接続されたリレー96に出力した制御信号の履歴又はリレー96の開閉状態に応じて出力される状態信号等に基づいて、リレー96が閉状態であるか否か、すなわちガスセンサ90がオン(作動状態)になっているか否かを判断する。
【0073】
燃料電池システム10を長期間保管するためにガスセンサ90がオフになっておらず、まだガスセンサ90がオンである場合には、制御装置100は、ガスセンサ90がオンであると判断し(ステップS11:Yes)、リターンする。そして、制御装置100は、ガスセンサ90がオフになったと判断するまで、ステップS11を繰り返し実行する。
【0074】
ステップS11が繰り返し実行される間に、燃料電池システム10が長期間保管される状態とされ、ガスセンサ90がオフになると、制御装置100は、ステップS11でガスセンサ90がオフになったと判断し(ステップS11:No)、ステップS12に移行する。
【0075】
ステップS12では、制御装置100が、リモコン14又は操作基板92の操作が有ったか否かを判断する。
【0076】
燃料電池システム10を長期間保管するための設定やメンテナンス等が終了し、ガスセンサ90がオフになった後にリモコン14又は操作基板92の操作が無い場合には、制御装置100は、リモコン14又は操作基板92の操作が無いと判断し(ステップS12:No)、リターンする。そして、制御装置100は、リモコン14又は操作基板92の操作が有ったと判断するまで、ステップS11~ステップS12を繰り返し実行する。これにより、ガスセンサ90がオフ(停止状態)に維持される。
【0077】
一方、ガスセンサ90がオフになった後でも、ガス弁22の開弁を伴う設定やメンテナンス等を行うために、操作者がガス弁22を開弁する前にリモコン14又は操作基板92を操作することがある。このように、操作者がガス弁22を開弁する前にリモコン14又は操作基板92を操作すると、このリモコン14又は操作基板92から制御装置100に操作信号が出力される。
【0078】
このように、ガスセンサ90がオフになった後にリモコン14又は操作基板92の操作が有った場合には、制御装置100は、リモコン14又は操作基板92の操作が有ったと判断し(ステップS12:Yes)、ステップS13に移行する。
【0079】
ステップS13では、制御装置100が、ガスセンサ90への通電を開始する制御を行い、ガスセンサ90をオンにする。具体的には、制御装置100は、リレー96に閉指令である制御信号を出力し、リレー96を閉状態とする。リレー96が閉状態になると、電源基板95からガスセンサ90への電力供給が開始され、ガスセンサ90がオンになる。
【0080】
このように、制御装置100は、燃料電池システム10を長期間保管するために、ガス弁22が閉弁され、ガスセンサ90がオフになった場合でも、その後、ガス弁22の開弁を伴う設定やメンテナンス等を行うべくリモコン14又は操作基板92が操作された場合には、ガスセンサ90への通電を開始する。
【0081】
したがって、ガスセンサ90の起動に時間がかかる場合でも、ガス弁22が開弁される前にガスセンサ90を起動させることができるか、又は、ガス弁22が開弁されてからすぐにガスセンサ90を起動させることができる。これにより、ガス弁22が開弁された後に、原燃料ガスの漏れをしばらく検知することができない事態が生じることを防ぐことができるので、ガス弁22の開弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知することができる。
【0082】
また、ガス弁22が閉弁された状態で、リモコン14又は操作基板92の操作が無い場合には、ガスセンサ90の通電が停止された状態に保たれるので、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制することができる。
【0083】
このように、本実施形態に係る燃料電池システム10によれば、通電によるガスセンサ90の劣化を抑制しつつ、ガス弁22の開弁後に原燃料ガスの漏れを適切に検知することができる。
【0084】
なお、制御装置100は、ガス弁22が閉弁された後に、ガスセンサ90への通電を維持してから、ガスセンサ90への通電を停止する制御を行う機能(ステップS1~ステップS3を実行する機能)と、ガス弁22が閉弁された状態で、リモコン14又は操作基板92が操作された場合に、ガスセンサ90への通電を開始する制御を行う機能(ステップS11~ステップS13を実行する機能)の両方を有するが、これらの機能のうちいずれか一方のみを有していてもよい。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0086】
10…燃料電池システム、12…燃料電池ユニット、14…リモートコントローラ(リモコン)、20…原燃料ガス供給装置、21…原燃料ガス供給管、22…ガス弁、23…脱硫器、24…圧力センサ、25…流量センサ、26…原燃料ガスポンプ、30…酸化剤ガス供給装置、31…酸化剤ガス供給管、32…エアフィルタ、33…流量センサ、34…ブロワ、40…改質水供給装置、41…改質水供給管、42…改質水タンク、43…イオン交換樹脂、44…改質水ポンプ、50…発電モジュール、51…モジュールケース、52…気化器、53…改質器、54…燃料電池、60…排熱回収装置、61…往路管、62…復路管、63…熱交換器、64…循環ポンプ、70…貯湯タンク、80…筐体、81…酸化剤ガス取入口、82…換気口、83…換気フィルタ、90…ガスセンサ、91…外気温センサ、92…操作基板、93…表示パネル、94…パワーコンディショナ(パワコン)、95…電源基板、96…リレー、100…制御装置、101…プロセッサ、102…メモリ、103…プログラム、110…商用電源、111…負荷、112…交流電力ライン、113…直流電力ライン