(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】肝臓の線維症を治療、予防、又は改善するためのγ-ケトアルデヒド捕捉剤の組成物とその使用の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/137 20060101AFI20240221BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240221BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240221BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240221BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20240221BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240221BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61K31/137
A61P1/16
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/522
A61K31/355
A61K31/426
(21)【出願番号】P 2020534817
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(86)【国際出願番号】 US2018049576
(87)【国際公開番号】W WO2019050967
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520075672
【氏名又は名称】エムティーアイ・バイオテク,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ラスメイチャー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アブムラド,ナジ
(72)【発明者】
【氏名】フリン,チャールズ
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-239891(JP,A)
【文献】特表2014-524918(JP,A)
【文献】特許第7189127(JP,B2)
【文献】Lisa Longato, et al,Role of gamma-ketoaldehydes as novel mediators of experimental fibrogenesis and stellate cells activation,Hepatology,2014年10月,Vol.60, No.4 (SUPPL),579A, Abstract No.785
【文献】Katrien H.J. Gaens, et al,Endogenous formation of Ne-(carboxymethyl)lysine is increased in fatty livers and induces inflammatory markers in an in vitro model of hepatic steatosis,Journal of Hepatology,2011年09月10日,Vol.56,647-655
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 45/00-45/08
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝線維症を有するか又はそのリスク状態にある被験者に対して肝線維症を治療する、予防する、又は改善することによって肝線維症を防止するか又は治療する方法に用いるための、化合物を含む組成物であって、その機能不全を哺乳動物において治療するのに有用な投与量及び量で該化合物を、肝線維症を治療、予防、又は改善する既知の副作用を有する薬物とともに、該被験者へ投与する、該化合物は、以下の式:
【化1】
によって表される
サリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミン又は2-HOBA)、またはその医薬的に許容される塩である、前記組成物。
【請求項2】
肝線維症を治療、予防、又は改善する既知の副作用を有する薬物は、ビタミンE、チアゾリジンジノン類、及びペントキシフェリンからなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
肝線維症を有するか又はそのリスク状態にある被験者に対して肝線維症を治療する、予防する、又は改善することによって肝線維症を防止するか又は治療する方法に用いるための、化合物を含む組成物であって、その機能不全を哺乳動物において治療するのに有用な投与量及び量で該化合物を、該被験者へ投与する、該化合物は、以下の式:
【化2】
によって表されるサリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミン又は2-HOBA)、またはその医薬的に許容される塩である、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願シリアル番号62/554,294(2017年9月5日出願)に対する優先権を主張する。
本発明は、2-ヒドロキシベンジルアミン(2-HOBA)のようなγ-ケトアルデヒド捕捉化合物を含んでなる組成物と、肝臓の線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又は改善するためにγ-ケトアルデヒド捕捉剤を投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肝線維症は、肝臓の炎症及び/又は慢性損傷によって引き起こされる組織学的変化である。肝臓への傷害は、肝星細胞が過活動性になる原因となって、細胞外マトリックス(ECM)合成が増加することの引き金になる。肝細胞の細胞外空間では、過剰量のコラーゲン線維沈着が発生して、それは、肝細胞が血液注入を失って硬化する原因になる。線維症は、多くの肝疾患によくある側面であって、肝臓における瘢痕組織の形成と定義されている。限定されないが、肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、毒素、アルコール性肝疾患(ALD)、遺伝子疾患、胆汁鬱滞性障害、及び自己免疫疾患が含まれる、様々な病因が肝線維症を生じさせる。肝線維症の指標には、線維組織の沈着と線維形成カスケードの活性化が含まれた。線維症は、肝硬変として知られている肝組織の永久的な瘢痕形成をもたらす場合がある。
【0003】
NASHの場合には、肝臓炎と線維症という、2つの特質的な組織学的特徴がある。NASHに対するFDA承認治療薬は存在しないが、可能性があるいくつかの選択肢が研究されてきた;その中で最も有望なものには、ビタミンE、チアゾリジンジノン類、及びペントキシフェリンが含まれる。このそれぞれがぎりぎりの臨床効果を示してきたが、そのいずれも副作用及び/又は毒性の可能性により限界があって、重要にも、これらの治療薬の中で、NASHにおける死亡の最強の指標である線維症を改善したものは1つもない。
【0004】
γ-ケトアルデヒド(γ-KA、イソレブグランジン又はイソケタールとしても知られている)は、リジン残基やホスファチジルエタノールアミンと迅速に反応して付加物を生成する、高反応性の脂質アルデヒドである。数種の肝疾患動物モデルにおいて、並びにNASHのあるヒトにおいて、γ-KAの脂質及びタンパク質付加物が観測されてきた。NASHのあるヒトからの初期データも、肝臓におけるγ-KA-タンパク質付加物生成の上昇を示して、γ-KA-タンパク質付加物も、同様に肝損傷を誘発する。γ-KA-タンパク質付加物は、タンパク質機能の損失、ミトコンドリアの機能不全、ERストレス、及び好炎症性サイトカインの発現に関連している。
【0005】
2-ヒドロキシ-ベンジルアミン(2-HOBA又はサリチルアミン)(ソバの主成分)は、γ-KA-タンパク質付加物の生成速度より980倍速くγ-KAを捕捉する、γ-KAの強力な捕捉剤であることが見出された。種々の研究では、2-HOBAがγ-KAに対してリジンより980倍反応性であることが示されている。重要にも、それらは、このγ-KA捕捉剤がシクロオキシゲナーゼを阻害しないことを示した。種々の研究は、2-HOBAがH2O2誘発性の細胞毒性に抗してHepG2細胞を劇的に保護することを示してきた。
【0006】
最近、γKAがヒト肝星細胞(HSC)の好炎症性/好線維形成性の表現型への活性化を誘発することが見出された。常在性肝細胞の約10%を構成するHSCは、正常で健全な肝臓では、静止状態にある。しかしながら、肝損傷に応答すると、HSCは、活性化されて、増強された細胞外マトリックス産生を特徴とする、過剰増殖性で炎症性の筋線維芽細胞へ分化転換する。活性化HSCは、そのようなものとして、肝臓中の主要な線維形成細胞として十分に立証されていて、慢性的な肝損傷状態における肝線維症の発達との関連が強く示唆されている。酸化ストレス、特に脂質酸化の産物は、HSCに対して直接的な好炎症性/好線維形成性の影響を及ぼす。Longato et al. は、最近、一次ヒトHSCを合成品の15-E2-イソレブグランジン(15-E2-IsoLG)へ曝露することによって、γKAを新規のHSCアクチベータとして同定した。非細胞毒性レベルの15-E2-IsoLGへの曝露によって、α-SMA発現のアップレギュレーション、MAPK活性化、及びサイトカイン産生の増加によって裏付けられたように、HSC活性化が促進されたのである。
【0007】
理論や機序に束縛されることなく、本発明者は、γKAの選択的捕捉剤が肝線維症を減弱させる、抑制する、治療する、その進行を遅らせる、及び/又は改善することを発見した。さらに、本発明の組成物は、NASHのような肝疾患を治療するための既存治療薬に関連した有害効果も毒性も提示しない。
【0008】
本発明のイソケタール捕捉剤は、例えば、サリチルアミン(SA)のような化合物とその類似体である。
本発明には、有害な酸化脂質(ケトアルデヒド)を捕捉して、肝臓の線維症(肝線維症)を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又は改善するための、2-HOBAが含まれるγ-ケトアルデヒド捕捉剤の使用が含まれる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の1つの目的は、肝線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又は改善するために使用される組成物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、肝線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又はその症状を改善する、及び/又は肝線維症の症状の重症度を抑えるために、本発明の化合物の調製品の治療又は有効量を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的には、肝線維症の線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又はそれを改善する新規の栄養療法を提供することが含まれる。この栄養療法は、肝臓の健康全体を改善して健全な肝機能を支援するために使用することができる。
【0011】
本発明の追加の目的には、2-HOBA(あるいは、サリチルアミン、SAM、2-ヒドロキシルベンジルアミン、及びペンチルピリドキサミン(PPM)と呼ばれる)の組成物と使用の方法を提供することが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】図面1a~図面1bは、対照マウスと2-HOBA処理マウスにおける線維症のピクロシリウスレッド(Picrosirius Red)染色を図示するスライドの画像である。
【
図2】図面2は、対照マウスと2-HOBA処理マウスにおける線維症スコアを図示するグラフである。
【
図3】図面3は、qRT-PCRによる遺伝子発現プロフィールを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において引用又は言及されるすべての出版物は、その出版物での引用に関連した方法及び/又は材料について開示及び記載するために、参照により組み込まれる。
本明細書に記載される組成物は、肝線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、及び/又は改善するために使用される。
【0014】
治療又は有効量は、肝線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又はその症状を改善する、及び/又は肝線維症の症状の重症度を抑える、本発明の化合物の調製品である。
【0015】
本発明には、肝線維症の線維症を治療する、予防する、減弱させる、抑制する、その進行を遅らせる、又はそれを改善する新規の栄養療法が含まれる。この栄養療法は、肝臓全体の健康を改善して健全な肝機能を支援するために使用することができる。
【0016】
本発明は、一群の二官能性求電子剤(BFE)の「捕捉剤」分子を使用して、肝臓中でのγKA-付加物の生成を特異的に予防するための手段を含む。好ましい態様は、ピリドキサミンとその水溶性誘導体、2-HOBA(ソバの実の天然産物)が含まれる一連のフェノール性アミンを含む。特に2-HOBAは、リジンとよりIsoLGと980倍速く反応して、タンパク質と脂質の付加を試験管内(in vitro)と生体内(in vivo)で予防する。
【0017】
本発明には、2-HOBA(あるいは、サリチルアミン、SAM、2-ヒドロキシルベンジルアミン、及びペンチルピリドキサミン(PPM)と呼ばれる)の組成物と使用の方法が含まれる。
【0018】
本発明の化合物の例には、限定されないが、以下の式:
【0019】
【0020】
[式中:
Rは、N又はCであり;
R2は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR2、R3、及びR4で置換されてもよくて、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R3は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R4は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R5は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR4とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得る]より選択される化合物又はその類似体、及びそれらの医薬的に許容される塩、並びにそれらの立体異性体と類似体が含まれる。
【0021】
本発明の別の態様には、以下の式:
【0022】
【0023】
[式中:
Rは、N又はCであり;
R2は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR2、R3、及びR4で置換されてもよくて、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R3は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R4は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R5は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR4とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得る]の化合物とそれらの立体異性体及び類似体;並びに肝線維症を有するか又はそのリスク状態にある被験者に対して肝線維症を治療する、予防する、又は改善するための方法におけるそれらの使用が含まれる。
【0024】
ある態様において、該化合物は、本明細書に開示される化合物より選択され得る。好ましい態様において、該化合物は、サリチルアミンであり得る。
本発明の別の態様は、肝線維症を有するか又はそのリスク状態にある被験者に対して肝線維症を治療する、予防する、又は改善して、それによって肝線維症を防止するか又は治療するための方法であって、該方法は、その機能不全を哺乳動物において治療するのに有効な投与量及び量で少なくとも1つの化合物を、肝線維症を治療する、予防する、又は改善する、副作用が知られた薬物とともに該被験者へ同時投与する工程を含んでなり、該化合物は、以下の式:
【0025】
【0026】
[式中:
Rは、N又はCであり;
R2は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR2、R3、及びR4で置換されてもよくて、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R3は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R4は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR5とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得て;
R5は、結合、H、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、CF3、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C、O、S又はNを含有するC3-8員環であり、1以上のR4、R2、及びR3で置換されてもよく、1以上のR2、R3、又はR4とともに環化して、C、O、S又はNを含有する、置換されてもよいC3-8員環を形成し得る]の化合物によって表される構造を有し;そしてその立体異性体及び類似体である。
【0027】
本明細書に開示される方法で使用され得る化合物の例には、限定されないが、以下の式:
【0028】
【0029】
[式中:
Rは、N又はCであり;
R2は、独立して、H、置換又は未置換のアルキルであり;
R3は、H、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロであり;
R4は、H、置換又は未置換のアルキル、カルボキシルである]より選択される化合物、及びその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0030】
好ましい態様において、該化合物は、サリチルアミン(2-ヒドロキシベンジルアミン又は2-HOBA)である。
該化合物は:
【0031】
【0032】
又はその医薬的に許容される塩より選択され得る。
該化合物はまた:
【0033】
【0034】
又はその医薬的に許容される塩より選択され得る。
該化合物又は類似体はまた:
【0035】
【0036】
又はその医薬的に許容される塩より選択され得る。
該化合物はまた:
【0037】
【0038】
又はその医薬的に許容される塩より選択され得る。
該化合物はまた:
【0039】
【0040】
又はその医薬的に許容される塩より選択され得る。
本発明の化合物は、どの方法によっても投与し得て、そのような方法は、当業者によく知られていて、限定されないが、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、点眼投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、及び非経口投与(静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、及び皮下投与のような注射可能投与が含まれる)が含まれる。該化合物は、既存の疾患又は病態を治療するために療法的に、又は疾患又は病態の防止のために予防的に投与することができる。
【0041】
本発明の文脈内では、該組成物を含んでなるどの好適な医薬媒体も利用し得るが、好ましくは、該組成物は、デキストロース又はショ糖のような好適な医薬担体と組み合わせる。
【0042】
当該技術分野では、該組成物が投与される頻度を計算する方法がよく知られていて、本発明の文脈内では、どの好適な投与頻度(例えば、1日につき1回の6g用量、又は1日につき2回の3g用量)も、そしてどの好適な時間帯にわたっても使用し得る(例えば、単回用量を5分の時間帯にわたって投与しても、又は1時間の時間帯にわたって投与してもよく、またあるいは、頻回用量を延長された時間帯にわたって投与してもよい)。本発明の組成物は、数週、数ヶ月、又は数年のような延長された時間帯にわたって投与することができる。該組成物は、1日につき1回又は1回より多い用量(個別投与量)を含んでなる個々の投与量(servings)で投与して、1日又は24時間で投与される組成物の全体量を含んでなる1日投与量とすることができる。
【0043】
本発明の文脈内では、本組成物のどの好適な用量も使用し得る。当該技術分野では、適正用量を計算する方法がよく知られている。
「治療」又は「~を治療すること(treating)」は、疾患、病理学的状態、又は障害を治癒する、改善する、安定化させる、又は予防することを意図した患者の医学的管理に言及する。この用語には、能動的治療、即ち、疾患、病理学的状態、又は障害の改善に対して特異的に指向される治療が含まれて、原因治療、即ち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の原因の除去に対して指向される治療も含まれる。加えて、この用語には、緩和治療、即ち、疾患、病理学的状態、又は障害の治癒よりも症状の緩和のために設計される治療;予防的治療、即ち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の発現を最小化するか又は一部又は完全に阻止することに指向される治療;並びに、支持的治療、即ち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の改善に対して指向される別の特定療法を補完するために利用される治療が含まれる。
【0044】
「~を予防する(prevent)」又は「~を予防すること(preventing)」は、事前の行動によることを含めて、何かが生じることを回避する、失速させる、停止させる、又は妨げることに言及する。
【0045】
「有効量」は、所望される結果を達成するか又は所望されない状態に影響を及ぼすのに十分である量を意味する。
「置換される(substituted)」には、有機化合物のすべての許容可能な置換基が含まれると考慮される。広い側面において、許容可能な置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分岐鎖及び非分岐鎖、炭素環式及び複素環式、並びに芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。例示の置換基には、例えば、下記に記載されるものが含まれる。許容可能な置換基は、適正な有機化合物について、1つ又はそれ以上であっても、同じでも異なってもよい。本開示の目的では、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基、及び/又はヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載される有機化合物のどの許容可能な置換基も有し得る。本開示は、有機化合物の許容可能な置換基に限定されることを決して企図しない。また、「置換(substitution)」又は「~で置換される(substituted with)」という用語には、そのような置換が置換される原子と置換基の許容原子価と一致していること、そしてその置換が安定した化合物(例えば、転位、環化、脱離、等によるような変換を自発的に受けない化合物)をもたらすことへの暗黙の条件が含まれる。
【0046】
本明細書に使用される「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル、等のような、1~24個の炭素原子の分岐鎖又は非分岐鎖の飽和炭化水素基である。アルキル基は、環式又は非環式であり得る。アルキル基は、分岐鎖又は非分岐鎖であり得る。アルキル基はまた、置換又は未置換であり得る。例えば、アルキル基は、限定されないが、本明細書に記載されるような、置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、又はチオールが含まれる1個以上の基で置換され得る。「低級アルキル」基は、1~6個(例、1~4個)の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0047】
「アルキル」は、一般的には、未置換アルキル基と置換アルキル基の両方に言及するために使用されるが、置換アルキル基はまた、該アルキル基上の特定置換基(複数)を明確にすることによって、本明細書において具体的に言及される。例えば、「ハロゲン化アルキル」という用語は、1以上のハロゲン化物、例えば、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素で置換されたアルキル基に特に言及する。「アルコキシアルキル」という用語は、下記に記載されるような、1以上のアルコキシ基で置換されたアルキル基に特に言及する。「アルキルアミノ」という用語は、下記に記載されるような、1以上のアミノ基、等で置換されたアルキル基に特に言及する。「アルキル」が1つの事例において使用されて、「アルキルアルコール」のような特定用語が別の事例において使用される場合、「アルキル」という用語が「アルキルアルコール」、等のような特定用語に言及しないことを含意するわけではない。
【0048】
この慣例は、本明細書に記載される他の基にも使用される。即ち、「シクロアルキル」のような用語が未置換シクロアルキル部分と置換シクロアルキル部分の両方に言及されるのに対し、この置換部分は、さらに、本明細書では具体的に特定され得る;例えば、特別な置換シクロアルキルは、例えば、「アルキルシクロアルキル」と言及され得る。同様に、置換アルコキシは、例えば、「ハロゲン化アルコキシ」と言及され得て、特別な置換アルケニルは、例えば、「アルケニルアルコール」、等であり得る。ここでも、「シクロアルキル」のような一般用語と「アルキルシクロアルキル」のような特定用語を使用する慣例は、一般用語に特定用語が含まれないことを含意するわけではない。
【0049】
本明細書に使用される「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子から構成される非芳香族で炭素ベースの環である。シクロアルキル基の例には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、等が含まれる。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、上記に定義されるようなシクロアルキル基の一種であって、「シクロアルキル」という用語の意味内に含まれて、ここでは、該環の炭素原子の少なくとも1個が、限定されないが、窒素、酸素、イオウ、又はリンのようなヘテロ原子に置き換わっている。シクロアルキル基とヘテロシクロアルキル基は、置換でも未置換でもよい。シクロアルキル基とヘテロシクロアルキル基は、限定されないが、本明細書に記載されるような、置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、又はチオールが含まれる1以上の基で置換され得る。
【0050】
本明細書に使用される「ポリアルキレン基」は、互いに連結した2以上のCH2基を有する基である。ポリアルキレン基は、式:-(CH2)a-(ここで「a」は、2~500の整数である)によって表すことができる。
【0051】
本明細書に使用される「アルコキシ」及び「アルコキシル」という用語は、エーテル結合を介して結合するアルキル又はシクロアルキル基に言及し、即ち、「アルコキシ」基は、-OA1(ここでA1は、上記に定義されるようなアルキル又はシクロアルキルである)と定義され得る。「アルコキシ」には、直前に記載されたアルコキシ基のポリマーも含まれ、即ち、アルコキシは、-OA1-OA2又は-OA1-(OA2)a-OA3(ここで「a」は、1~200の整数であって、A1、A2、及びA3は、アルキル基及び/又はシクロアルキル基である)のようなポリエーテルであり得る。
【0052】
本明細書に使用される「アミン」又は「アミノ」という用語は、式:NA1A2A3(ここでA1、A2、及びA3は、独立して、水素、又は本明細書に記載されるような、置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、又はヘテロアリール基であり得る)によって表される。
【0053】
本明細書に使用される「ヒドロキシル」という用語は、式:-OHによって表される。
本明細書に使用される「ニトロ」という用語は、式:-NO2によって表される。
【実施例】
【0054】
実験の実施例
実施例1
DIAMOND(非アルコール性脂肪性肝疾患の食餌性動物モデル)は、高脂肪、高糖分の食餌に反応して、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、線維症、及び肝細胞癌を順次発症する、専用の同系マウス系統である。DIAMONDマウスにおける疾患進行は、ヒトの疾患進行と、組織病理学を含めて、比類なく相似する。
【0055】
12匹の8週齢雄性DIAMONDマウスを高脂肪食(Harlan-ENVIGO TD.88317)とブドウ糖(18.9%(w/v))及び果糖(23.1%(w/v))含有水の自由摂取下に置いて;この試験プロトコールを通してすべてのマウスでこの食餌を続けた。12週齢の時点で、マウスを2つの群:1)2-HOBA(n=6)群と2)担体対照群(n=6)に分けた。2-HOBA群の動物には、飲料水中の2-HOBA(1Lのブドウ糖及び果糖含有水につき1g)を与えた。担体対照群には、2-HOBA無しの水(ブドウ糖と果糖を含む)を与えた。体重と摂食量を週1回測定した。約23週齢の時点で、すべての動物に耐糖能試験(GTT)とMRI造影法を実施して、肝脂肪について評価した。GTTでは、動物を12時間絶食させてから、ブドウ糖(100mg/mLの無菌水中グルコースの2g/kg(体重))を強制経口摂取により投与した。ブドウ糖投与後0、15、30、45、60、90、及び120分で血液をサンプリングして、曲線下面積を計算した。24週齢(12週の2-HOBA又は担体処理)で動物を犠牲にした。組織と血清を分析用に採取した。
【0056】
肝切片をヘマトキシリンとエオジン(脂肪化、肝細胞風船化、及び炎症のスコア付け用)、及びシリウスレッド(線維症の評価用)で染色した。スコア付けは、以下の判定基準1を使用して、脂肪化、風船化、炎症、及び壊死について盲検形式で実施した:脂肪化(0~4):0=<5%;1=5~25%;2=25~50%;3=50~75%;4=75~100%。風船化(0~3):0=無し;1=軽度(3個未満の肝細胞を含む限局性);2=中等度(3個より多い肝細胞を含む限局性、又は多巣性);3=顕著(3個以上の肝細胞の病巣が2より多い多巣性)。炎症(0~4):0=無し;1=軽微(20x視野につき0~1個の病巣);2=軽度(2個の病巣);3=中等度(3個の病巣);4=強度(4個以上の病巣)。グルコース、アラニントランスアミナーゼ、及びアスパラギン酸トランスアミナーゼの血清レベルを測定した。肝臓mRNAの発現について、RT-qPCRにより、以下の遺伝子を評価した:Tnfa、Nlrp1a、Il1b、Il18、Timp1、Col1a1、ProCard、Nlrp3、Casp1、ProIl1b、Tgfb1、Bambi、Pdk4、及びGapdh。二元独立標本t検定を使用して、2-HOBA処理群と担体処理群の間でエンドポイントを比較した。有意差をα=0.05で設定した。
【0057】
図面1a~図面1bは、対照と2-HOBA処理DIAMONDマウスの肝臓のピクロシリウスレッド(Picrosirius Red)染色を示す。スコア付けを0~4のスケールで定義した。すべての非処理マウス(4匹のうち4匹)が1の線維症スコアであった。2-HOBA処理マウスでは、3匹が0のスコアであったが、残る2匹は、1のスコアであった。
【0058】
図面2は、対照と2-HOBA処理DIAMONDマウスにおける線維症スコアを示す。同程度の肝脂肪化と肝細胞風船化にもかかわらず、線維症の発生率は、担体処理DIAMONDマウスに比較して、2-HOBA(処理DIAMONDマウス)において有意に低かった(p=0.03)。
【0059】
図面3は、肝炎症と線維症進行における重要な遺伝子の測定を含めて、qRT-PCRによる遺伝子発現プロフィールを示す。組織性メタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)のレベルが上昇すると、コラーゲンのような細胞外マトリックスタンパク質が肝組織に蓄積することを可能にするメタロプロテアーゼ(MMP)が阻害される。2-HOBAは、DIAMONDマウスにおける肝臓Timp1 mRNAの発現を低下させたが、線維症の発現に対する観測された2-HOBAの有益な効果を説明するものである。さらに、Col1a1 mRNAの発現レベルもより低い傾向にあった。この差は、統計学的には有意でなかった(p=0.08)。
【0060】
肝線維症に対する2-HOBAの観測された有益な効果は、これまで多くのNASH治療薬が線維症の重症度を改善することに失敗してきただけに、予想外で驚くべきものである。肝線維症の重症度は、肝臓関連の罹病率及び死亡率を独立的に予測する唯一のNASH因子であるので、線維症発現を予防するか又は減弱させることが可能な治療薬には、NASH患者のアウトカムを劇的に改善する可能性がある。2-HOBAがNASHの治療薬になると考えられる機序は、肝臓における炎症性変化の減弱化による。しかしながら、肝線維症は、病態形成の機序が異なる、第二段階の病態形成である。2-HOBAは、炎症のマーカーを変化させることなく、DIAMONDマウスにおける肝線維症を非従属的に減弱させる。本明細書に記載される結果は、そのこと自体、予想外で驚くべきことである。
【0061】
実施例2
γ-KAは、肝線維症の主要な推進因子である、肝星細胞(HSC)の活性化を誘導する。HSCの好炎症性/好線維形成性の表現型への活性化を予防すれば、肝臓における線維症の発現を阻止し得るだろう。肝線維症にはHSCの筋線維芽細胞への変換が必須であると考えられるので、固定肝切片に関する免疫組織化学によって、デズミン(HSCのマーカー)とα-平滑筋アクチン(SMA)(活性化HSCのマーカー)を使用して、HSC活性化について測定する。
【0062】
実験デザイン:すべての実験を24時間血清飢餓HSCで実施する。培養基成分へのγKA付加を防止するために、最初の15分の曝露の間は、アミノ酸及び脂質フリーのハンクス(Hank’s)緩衝塩類溶液において実験処理を開始する。この曝露時間は、ヒトHSCにより十分忍容されることがすでに確認されている。ヒトHSCを多数の用量(1~500μM)の2-HOBA又は担体とプレインキュベートした後で、0.5μMの15-E2-IsoLGへ曝露する。2-HOBAと15-E2-レブグランジンを用いた時間経過実験を実施して、プレ処理と15-E2-IsoLG曝露に最適の時間を決定する。15-E2-IsoLG曝露に続いて培地を回収して、mRNA及びタンパク質の分析用に、細胞を洗浄して擦過する。別の反復(replicate)プレートをROS測定用に調製する。
【0063】
ヒトHSC:ヒト星細胞は、ZenBio(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)より入手して、HSC完全培地(20%胎仔ウシ血清、2mMグルタミン、1X非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、及び1X抗生物質-抗真菌剤を補充した、イスコブ改変DMEM)において培養する。すべての実験を継代3と継代5の間の細胞で実施する。
【0064】
15-E2-イソレブグランジン:DMSO中の合成15-E2-IsoLGは、自社顧問による以前の記載のように合成する。
エンドポイント:RNA:線維形成性の活性化、サイトカイン産生、及び接着分子に関連した選択される転写産物の発現について、RT2ProfilerTMPCR Array(キアジェン、メリーランド州フレデリック)と単一遺伝子プローブベースのqRT-PCR遺伝子発現アッセイを適宜使用して測定する。タンパク質:免疫ブロット分析を使用して、主要な細胞シグナル伝達経路(ERK1/2、JNK、NFκB、及びp38MAPK)の含量及び活性化状態について測定する。サイトカイン:15-E2-IsoLGと2-HOBAとのインキュベーション後に採取する培地における、炎症性サイトカインの濃度を決定する。ROS/RNS:5-(及び-6-)-カルボキシ-2’-7’-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(カルボキシ-H2)蛍光プローブ(ThermoFisher Scientific)を使用して、細胞内ROS/RNS形成について測定する。ヘキスト(Hoechst)33342での核染色によって、全細胞分布を可視化する。蛍光顕微鏡により画像を獲得する。
【0065】
統計処理:すべての実験を同一3検体で実施する。ボンフェローニ(Bonferroni)多重比較検定法を用いて、データについて、一元配置(用量)又は二元配置(用量x時間)のANOVA(検定デザインについて適宜)によって解析する。
【0066】
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