(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 5/36 20060101AFI20240221BHJP
B23K 26/02 20140101ALI20240221BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240221BHJP
B23K 20/10 20060101ALI20240221BHJP
B23K 20/12 20060101ALI20240221BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20240221BHJP
B29C 65/16 20060101ALI20240221BHJP
B29C 65/06 20060101ALI20240221BHJP
G05D 3/12 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B23Q5/36
B23K26/02 A
B23K26/00 A
B23K20/10
B23K20/12 D
B29C65/08
B29C65/16
B29C65/06
G05D3/12 Z
(21)【出願番号】P 2020545312
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 US2019018759
(87)【国際公開番号】W WO2019168720
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-12-28
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501410126
【氏名又は名称】ブランソン・ウルトラソニックス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルリー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ガブル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,スコット
(72)【発明者】
【氏名】アービン,マーク
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0129062(US,A1)
【文献】特開2003-103446(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130911(WO,A1)
【文献】特開平04-372344(JP,A)
【文献】特開2006-297520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 5/36
B23Q 17/09
B23K 26/00、02
B23K 20/10
B23K 20/12
B23K 31/02
B23K 37/00、04
B24B 1/04
B26D 7/08
B29C 65/06、08、16
G05D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース加工装置であって、
工具装置およびワークピースホルダと、
工具装置およびワークピースホルダの一方を工具装置およびワークピースホルダの他方に移動させる、精密力および位置を同時に制御するサーボ弾性アクチュエータシステムと、
を備え、
サーボ弾性アクチュエータシステムが、力の伝達経路内に配置された、サーボアクチュエータ、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材を含み、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材が、重量補償弾性部材によって加えられるばね力が、コンプライアンス弾性部材によって加え得られるばね力に対向し、かつ、力対
位置感度比がコンプライアンス弾性部材のばね定数と重量補償弾性部材のばね定数との組合せである複合ばね定数に等しくなるように、互いに対して配置され、ワークピース加工装置が、サーボアクチュエータに結合されたコントローラをさらに備え、
コントローラは、コンプライアンス弾性部材が、コンプライアンス弾性部材と重量補償弾性部材との組み合わせのばね撓みに基づいて偏向されるときに、ワークピースホルダによって保持されたワークピースに加えられる力を決定し、複合ばね定数に基づいてサーボアクチュエータの力および位置を同時に制御するように構成される、ワークピース加工装置。
【請求項2】
コンプライアンス弾性部材が、圧縮か引張のいずれかの状態にあり、重量補償弾性部材もまた圧縮か引張のいずれかの状態にある、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【請求項3】
ワークピースホルダがサーボアクチュエータの下に配置され、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材がサーボアクチュエータと工具装置との間に配置され、重量補償弾性部材が工具装置の重量を支持するように配置される、請求項2に記載のワークピース加工装置。
【請求項4】
ワークピースホルダがサーボアクチュエータの下に配置され、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材がサーボアクチュエータとワークピース加工装置のフレームとの間に配置され、重量補償弾性部材がサーボアクチュエータおよび工具装置の重量を支持するように配置される、請求項2に記載のワークピース加工装置。
【請求項5】
ワークピースホルダがサーボアクチュエータの上に配置され、重量補償弾性部材がワークピースホルダの重量を支持するように配置される、請求項2に記載のワークピース加工装置。
【請求項6】
コントローラは、ワークピースに加えられている力が力の設定値に達するとワークピースに加えられている力を力の設定値で維持するために、ワークピースに加えられる力および力の設定値、ならびにサーボアクチュエータの動きを制御することに基づいてサーボアクチュエータの端部位置への動きを制御するように構成される、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【請求項7】
コンプライアンス弾性部材に重量補償弾性部材を組み合わせたものの両側に配置され、コントローラに結合された第1の位置センサおよび第2の位置センサを含み、コントローラは、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材がサーボアクチュエータの動きによって偏向されるときに第1の位置センサおよび第2の位置センサによって感知された位置に基づいてコンプライアンス弾性部材に重量補償弾性部材を組み合わせたもののばね撓みを決定するように構成される、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【請求項8】
コンプライアンス弾性部材に重量補償弾性部材を組み合わせたものの両端間に配置された位置センサを含み、位置センサは、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材が偏向されるときにコンプライアンス弾性部材に重量補償弾性部材を組み合わせたもののばね撓みを感知し、位置センサがコントローラに結合されている、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【請求項9】
ワークピースに加えられている力を感知する、コントローラに結合された力センサを含む、請求項6に記載のワークピース加工装置。
【請求項10】
サーボアクチュエータの位置を感知する位置センサを含み、位置センサがコントローラに結合され、コントローラが、位置センサおよび位置設定値によって感知された位置に基づいてサーボアクチュエータの最大移動量を制限するように構成される、請求項6に記載のワークピース加工装置。
【請求項11】
コントローラが、オーバーシュート距離補償と、位置センサおよび位置設定値によって感知された位置とに基づいて、サーボアクチュエータの最大移動量を制限するように構成される、請求項10に記載のワークピース加工装置。
【請求項12】
力の伝達経路が、直線力伝達経路または回転力伝達経路である、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【請求項13】
ワークピース加工装置が、超音波溶接機、振動溶接機、レーザ溶接機、熱溶接機、スピン溶接機、赤外線溶接機、または超音波カッタのいずれかである、請求項1に記載のワークピース加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月10日に出願された米国特許出願第16/156,456号明細書の優先権を主張するものであり、2018年2月28日に出願された米国特許仮出願第62/636,366号明細書の利益も主張するものである。上記の出願の開示全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
技術分野
本開示は、重量補償弾性部材の精密な力(precision force)および位置を同時に制御するサーボ弾性アクチュエータシステム(servo-elastic actuator system)を備えたワークピース加工装置(work piece processing device)に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
本明細書で使用されるワークピース加工装置は、ワークピースの加工中にワークピース(または複数のワークピース)に力を加える装置である。いくつかの装置では、力は、溶接などにおけるワークピース(または複数のワークピース)に対する作業の一部であるとともに、その作業の遂行に寄与し、他の場合では、力は、ワークピースに対する作業の遂行の一部ではなく、むしろ、作業がワークピースに対して実行されるときにワークピースを適所にクランプ締めするために加えられる。この種のワーク加工装置は、工具をワークピースに対して動かすか、加工中にクランプをワークピースに当ててワークピースを適所に保持するなどにより、ワークピースに力を加えるアクチュエータを有する。この種のワークピース加工装置は、溶接、かしめ、スエージング、切断など、力がワークピースに加えられる、プラスチックまたは金属の超音波加工、振動加工、レーザ加工、熱加工、スピン加工、または赤外線加工のための装置を含むことができる。加工中にワークピースに力を加えるワークピース加工装置には、力と位置の両方を制御することができるアクチュエータが必要である。
【0005】
空気圧アクチュエータは、相対的に硬い表面と接触しているときにアクチュエータの位置に関係なく一定の力を与えるのが得意であるが、位置を制御するのにあまり精密ではない。一方、サーボアクチュエータは、位置制御は精密であるが、相対的に非柔軟性の(non-compliant)または硬い表面と接触しているときに力を制御するのはそれほど得意ではない。サーボアクチュエータは、位置制御のためにサーボアクチュエータの出力のフィードバックを使用して、電気入力信号に応答して機械システムにおける位置制御された運動を提供する機構である。
【0006】
超音波溶接、振動溶接、レーザ溶接、熱溶接、スピン溶接、赤外線溶接、および超音波切断にサーボアクチュエータを使用すると、位置を1000分の1インチのオーダで非常に正確に制御することができるが、力をプラスマイナス40ポンド未満に制御することはできない。この問題は、溶接中に押し付けられるワークピースの材料が相対的非コンプライアンスであることから生じる。サーボアクチュエータは位置を1000分の1インチ以内に分解することができるが、押し付けられる材料の剛性を考えると、この小さな相対運動は、力の大きな変化をもたらし、典型的なプラスチック片では約40ポンド程度となり、金属片ではさらに高くなる。こうした力対位置感度の問題は、制御システムがサーボアクチュエータにとってどれほど優れているかに関係なく、相対的に柔軟性の無い表面を押圧するときのサーボアクチュエータに固有のものである。
【0007】
サーボアクチュエータは、多くの場合、「Ultrasonic Press Using Servo Motor with Delayed Motion」という名称の米国特許第8,720,516号明細書に記載されているような、ある程度の力の制御を与えるトルク制御モードを有する。しかしこの場合も、押し付けられる表面が非コンプライアンスであるため、力は全荷重の高い割合で変化する。
【0008】
サーボアクチュエータを用いて力を精密に制御する先行技術における、よく理解されている一方法が、サーボアクチュエータを長移動量のばねに押し付けることである。この方法は、非常に優れた力制御を与えるが、位置制御を全く有していない。「Compliant Motion Servo」という名称の米国特許第4,817,848号明細書は、力を制御するサーボアクチュエータ付きの長移動量のばねの使用を開示しているが、運動の終わりに閉ループ位置制御に切り替わり、したがってプロセスの終わりに力の制御を喪失する。
【0009】
「超音波溶接装置、超音波接合方法、布線装置」という名称の特開2013-063521号公報は、本体フレーム10に対してスライド自在な超音波摺動ユニット40に取り付けられた工具ホーン44をワークピースに押圧して超音波溶接を行う超音波溶接を開示しており、超音波溶接は、工具ホーン44の移動量を測定する第1のリニアスケール50と、超音波摺動ユニットを押圧する圧縮ばねと、圧縮ばねを圧縮する駆動手段28と、圧縮ばねの圧縮量を測定する第2のリニアスケール51と、圧縮ばねによる押圧力を測定するロードセル45と、を含む。駆動手段28を駆動して圧縮ばねを圧縮したときに、ロードセル45によって測定された圧縮ばねによる押圧力と、第1のリニアスケール50によって測定された工具ホーンの移動量と、第2のリニアスケール51によって測定された圧縮ばねの圧縮量とが、駆動手段28にフィードバックされ、ワークピースに任意選択の押圧力を付与しながら超音波溶接を行うように制御される。しかしながら、圧縮ばねが圧縮のみの状態にあり得るときに、工具ホーンおよびキャリッジの重量は底値に達し、システムは、工具ホーンおよびキャリッジの重量負荷未満の力で溶接されるワークピースに及ぼされる力を区別することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第8,720,516号明細書
【文献】米国特許第4,817,848号明細書
【文献】特開2013-063521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多くのプロセスでは、精密な位置制御を維持しながら、作動の精密な力制御が必要である。具体的には、溶接、かしめ、スエージング、切断など、力がワークピースに加えられるプラスチックまたは金属の超音波加工、振動加工、レーザ加工、熱加工、スピン加工、または赤外線加工では、作動の精密力制御と位置制御を同時に行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0013】
本開示の一態様によれば、ワークピース加工装置が、工具装置と、ワークピースホルダと、工具装置およびワークピースホルダの一方を工具装置およびワークピースホルダの他方に移動させる、精密な力および位置を同時に制御するサーボ弾性アクチュエータシステムと、を含む。サーボアクチュエータシステムは、力の伝達経路内に配置されたサーボアクチュエータ、コンプライアンス弾性部材(compliance elastic member)および重量補償弾性部材を含み、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材は、重量補償弾性部材によって及ぼされるばね力がコンプライアンス弾性部材によって及ぼされるばね力に向かい合わされるように、互いに対して配置される。
【0014】
一態様では、コンプライアンス弾性部材は圧縮か引張のいずれかの状態にあり、重量補償弾性部材もまた圧縮か引張のいずれかの状態にある。
【0015】
一態様では、ワークピースホルダはサーボアクチュエータの下に配置され、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材はサーボアクチュエータと工具装置との間に配置され、重量補償弾性部材は工具装置の重量を支持するように配置される。
【0016】
一態様では、ワークピースホルダはサーボアクチュエータの下に配置され、コンプライアンス弾性部材および重量補償弾性部材はサーボアクチュエータとワークピース加工装置のフレームとの間に配置され、重量補償弾性部材は、サーボアクチュエータおよび工具装置の重量を支持するように配置される。
【0017】
一態様では、ワークピースホルダはサーボアクチュエータの上に配置され、重量補償弾性部材はワークピースホルダの重量を支持するように配置される。
【0018】
一態様によれば、コントローラがサーボアクチュエータに結合され、コントローラは、ワークピースホルダおよび力設定値によって保持されたワークピースに加えられている力、ワークピースに加えられている力が力設定値に達するとワークピースに加えられている力を力設定値に維持するようにサーボアクチュエータを動かすこと、およびサーボアクチュエータが最大移動量に達したときにサーボアクチュエータの動きを停止することに基づいてサーボアクチュエータの端部位置への動きを制御するように構成される。
【0019】
一態様によれば、コントローラは、コンプライアンス弾性部材に重量補償弾性部材を組み合わせたものがこの2つの弾性部材のばね撓みに基づいて偏向されるときに、ワークピースに加えられている力を決定するように構成される。
【0020】
一態様によれば、第1の位置センサおよび第2の位置センサは、コンプライアンス弾性部材と重量補償弾性部材の組合せの両側に配置され、コントローラに結合される。コントローラは、この2つの弾性部材がサーボアクチュエータの動きによって偏向されるときに第1の位置センサおよび第2の位置センサによって感知された位置に基づいてこの2つの弾性部材の組合せのばね撓みを決定するように構成される。
【0021】
一態様によれば、この2つの弾性部材が偏向されるときに、この2つの弾性部材の組合せのばね撓みを感知する位置センサが、コンプライアンス弾性部材と重量補償弾性部材の組合せの両端間に配置される。位置センサはコントローラに結合される。
【0022】
一態様によれば、ワークピースに加えられている力を感知する力センサがコントローラに結合される。一態様によれば、力センサは、サーボモータとアクチュエータ部材との間に加えられたトルクを感知するトルクセンサである。
【0023】
一態様によれば、コントローラは、位置センサおよび位置設定値によって感知された位置に基づいてサーボアクチュエータの最大移動量を制限するように構成される。
【0024】
一態様では、コントローラは、オーバーシュート距離補償(overshoot distance compensation)ならびに位置センサおよび位置設定値によって感知された位置に基づいてサーボアクチュエータの最大移動量を制限するように構成される。
【0025】
一態様では、ワークピース加工装置は、超音波溶接機、振動溶接機、レーザ溶接機、熱溶接機、スピン溶接機、赤外線溶接機、または超音波カッタのいずれかである。
【0026】
適用可能なさらなる分野は、本明細書に提供される記述から明らかになるであろう。この概要における記述および具体例は、例示するためだけのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0027】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実施態様ではなく、本開示の範囲を限定するものではない。図面の向きは、加工されているワークピースに対するサーボ弾性アクチュエータシステムの実際の向きを限定するものではない。「内側の(inner)」、「外側の(outer)」、「~の真下に(beneath)」、「~の下に(below)」、「下方の(lower)」、「~の上に(above)」、「上方の(upper)」、などの空間的に相対的な用語は、本明細書では説明しやすいように、諸図に示されているように1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、諸図に示されている向きに加えて、使用中または動作中の装置の様々な向きを包含するように意図されている。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴「の下に」または「の真下に」と記述される要素は、他の要素または特徴「の上に」向けられる。したがって、用語例「~の下に」は、上の向きと下の向きの両方を包含することができる。装置は、他の方法で方向付けられ(90度または他の向きに回転させられ)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図1Aに示されるサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図1B】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図1Bに示される、
図1Aのサーボ弾性アクチュエータシステムの変形形態を備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図2】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図2に示される、別のサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図3】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図3に示される、別のサーボ弾性アクチュエータを備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図4】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図4に示される、別のサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図5】
図1A、
図1B~
図4のいずれかのサーボ弾性アクチュエータシステムのサーボアクチュエータを制御するための、米国特許出願第15/343、612号明細書の
図5に示される制御論理の制御図である。
【
図6】
図5の制御論理の一変形形態である、米国特許出願第15/343,612号明細書の
図6に示される制御論理の制御図である。
【
図7】
図5の制御論理の別の変形形態である、米国特許出願第15/343,612号明細書の
図7に示される技術制御論理の制御図である。
【
図8】オフセット距離補償を決定するための、米国特許出願第15/343,612号明細書の
図8に示される制御論理の流れ図である。
【
図9】米国特許出願第15/343,612号明細書の
図9に示される、別のサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置の簡略図である。
【
図10】圧縮状態のみのコンプライアンス弾性部材を有する、
図1のワークピース加工装置の簡略図である。
【
図11】引張状態のみのコンプライアンス弾性部材を有する、
図1のワークピース加工装置の簡略図である。
【
図12】本開示の一態様による、圧縮状態のみのコンプライアンス弾性部材および圧縮状態のみの重量補償弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の一部の簡略図である。
【
図13】本開示の一態様による、圧縮状態のみのコンプライアンス弾性部材および引張状態のみの重量補償弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の一部の簡略図である。
【
図14】本開示の一態様による、引張状態のみのコンプライアンス弾性部材および引張状態のみの重量補償弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の一部の図である。
【
図15】本開示の一態様による、引張状態のみのコンプライアンス弾性部材および圧縮状態のみの重量補償弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備えるワークピース加工装置の一部の図である。
【
図16】本開示の一態様による、サーボアクチュエータと工具装置との間に配置された弾性部材組合せ体を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の簡略図である。
【
図17】本開示の一態様による、サーボアクチュエータとフレームとの間に配置された弾性部材組合せ体を有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の簡略図である。
【
図18】本開示の一態様による、ワークピースホルダの上に弾性部材組合せ体を有する上方に向けられたサーボアクチュエータを有するサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の簡略図である。
【
図19】本開示の一態様による、サーボアクチュエータと工具装置との間に配置された弾性部材組合せ体を有するある角度方向のサーボ弾性アクチュエータシステムを備える、ワークピース加工装置の簡略図である。
【0029】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、諸実施形態の例が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0031】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態例のみを説明するためのものであり、限定することを意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数形も含むように意図され得る。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、規定された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。本明細書に記載されている方法のステップ、プロセス、および動作は、それらの遂行の順序として具体的に区別されない限り、議論または図示された特定の順序でそれらの遂行を必ずしも必要とすると解釈されるべきではない。また、追加または代替のステップが使用され得ることも理解されたい。
【0032】
ある部材、構成要素、要素または層が、別の部材、構成要素、要素または層「上にある(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、または「に結合される(coupoled to)」と称される場合、その部材、構成要素、要素または層は、他の部材、構成要素、要素または層の直上にあってもよく、または他の部材、構成要素、要素または層に係合、接続、または結合されてもよく、あるいは介在する構成要素、部材、要素または層が存在してもよい。対照的に、ある部材、構成要素、要素または層が、別の部材、構成要素、要素または層「の直上にある(directly on)」、「に直接係合される(directly engaged to)」、「に直接接続される(directly connected to)」、または「に直接結合される(directly coupled to)」と称される場合、介在する部材、構成要素、要素または層が存在しなくてもよい。部材、構成要素、要素または層の間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間(between)」対「直接~の間(directly between)」、「隣接する(adjacent)」対「直接隣接する(directly adjacent)」など)。
【0033】
「Work Piece Processing Device with Servo-Elastic Actuator System with Simultaneous Precision Force and Position Control」という名称の米国特許出願第15/343,612号明細書(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、工具装置またはワークピースホルダを工具装置およびワークピースホルダの他方に動かす、精密力および位置を同時に制御するサーボ弾性アクチュエータシステムを有するワークピース加工装置の様々な構成を開示している。サーボ弾性アクチュエータシステムは、ワークピースの加工中にワークピースに力を加える。サーボ弾性アクチュエータシステムは、力対位置感度比を調整するためにシステム内に追加のコンプライアンスをもたらすように、力の伝達経路内にサーボアクチュエータと共に機械的に配置された、ばねやエラストマーなどの弾性部材を含む。これにより、正確な位置制御を維持しながら、力がサーボアクチュエータで正確に制御されることが可能になる。力の伝達経路は、直線力経路または回転力伝達経路(すなわち、トルク伝達経路)とすることができることが理解されるべきである。
【0034】
サーボアクチュエータは、位置を所与の精度に制御する。線形ばね定数を使用する場合の弾性部材のばね定数は、次の式によって一定の力の精度を達成するように選択される、
K=ΔF/Δx (1)
ただし、
K=弾性部材のばね定数、
ΔF=力の精度、
Δx=サーボアクチュエータの位置の所与の精度。
【0035】
ねじりばね定数を使用する場合、ねじりばね定数は、次の式によって一定のトルク精度を達成するように選択される、
KΘ=ΔT/ΔΘ (2)
ただし、
KΘ=ばねまたはエラストマーのばね定数、
ΔT=トルクの精度、
ΔΘ=角度回転の精度。
【0036】
一実施形態では、弾性部材は、
図1A、
図1B~
図3を参照して以下でより詳細に論じられるように、フレームに対してサーボアクチュエータと直列であるか、または
図4を参照して以下でより詳細に論じられるように、フレーム自体上のサーボアクチュエータと並列である。いずれの場合にも、弾性部材は、力の伝達経路内でサーボアクチュエータと直列であり、総ばね定数は、サーボアクチュエータの力感度を高めるために押し付けられている表面に対して低減される。
【0037】
図1~
図4は、サーボ弾性アクチュエータシステムを有する、このようなワークピース加工装置の様々な実施形態例を示す。ワークピース加工装置は、加工中にワークピースに力を加える任意の装置とすることができる。ワークピース加工装置は、例えば、溶接、かしめ、スエージング、切断など、ワークピースに力が加えられるプラスチックまたは金属の超音波加工、振動加工、レーザ加工、熱加工、スピン加工、または赤外線加工のための装置とすることができる。ワークピース加工システムは、ワークピースを加工中に適所に保持するために、力がワークピースに加えられる装置とすることもできる。
【0038】
図1Aを参照すると、ワークピース加工装置100は、サーボ弾性アクチュエータシステム102を含む。サーボ弾性アクチュエータシステム102は、サーボアクチュエータ104および弾性部材106を含む。サーボアクチュエータ104は、サーボモータ108とサーボモータ108に結合されたアクチュエータ部材110とを含み、アクチュエータ部材110はサーボモータ108によって(図面に示されているように)上下に動かされる。サーボモータ108は、サーボモータ108を制御するコントローラ112に結合される。サーボモータ108は、装置100のフレーム114に取り付けられる。弾性部材106の一方の端部105はアクチュエータ部材110の端部116に取り付けられ、弾性部材106の反対側の端部107は工具装置120に取り付けられる。装置100はワークピースホルダ122も含み、ワークピースホルダ122、例えば、超音波溶接機または超音波チューブシーラのアンビルとすることができる。ワークピースホルダ122は、装置100のフレーム114に取り付けられる。ワークピース124は、相対的に柔軟性の無い、または硬い表面126を有しており、ワークピースホルダ122上に位置を定められる。ワークピース124は、装置100によって加工されるべきワークピースである。ワークピース124は、例えば、装置100が超音波溶接機である場合には、超音波で一体に溶接されるべき2つのプラスチック片または金属片とすることができる。ワークピース124は、例えば、装置100が超音波チューブシーラである場合には、端部を超音波でシールされるべき管とすることができる。工具装置120は、ワークピース124を加工するためにサーボアクチュエータ104の動きによってワークピース124に押し付けられるワークピース加工装置のその部分である。工具装置120は、例えば、超音波溶接機または超音波シーラの超音波スタックであってもよく、超音波スタックの超音波ホーンの先端は、ワークピース124と物理的に接触するものである。そのような場合、工具装置120は、該当する場合、そのように超音波溶接または超音波シーリングにより、ワークピース124に作用してワークピース124を加工するために超音波で付勢される。
【0039】
図1Bでは、ワークピース加工装置100’は、アクチュエータ部材110とサーボモータ108との間に配置された弾性部材106を有する。他の点では、ワークピース加工装置100’は、
図1Aの装置100と同じである。
【0040】
図2では、ワークピース加工装置200は、サーボアクチュエータ104のサーボモータ108とフレーム114との間に配置された弾性部材106を有し、工具装置120は、アクチュエータ部材110の端部116に取り付けられる。他の点では、ワークピース加工装置200は、ワークピース加工装置100と同じである。
【0041】
図3では、ワークピース加工装置300は、ワークピースホルダ122とワークピース加工装置300のフレーム114との間に配置された弾性部材106を有する。他の点では、ワークピース加工装置300は、ワークピース加工装置100と同じである。
【0042】
図4では、ワークピース加工装置400は、上側フレーム部分404(
図4に方向付けられている)および下側フレーム部分406と、上側フレーム部分404と下側フレーム部分406との間に配置された弾性部材106と、を有するフレーム402を備える。ワークピースホルダ122は、下側フレーム部分406に取り付けられる。サーボモータ108のサーボモータ108は、上側フレーム部分404に取り付けられる。他の点では、ワークピース加工装置400は、ワークピース加工装置100と同じである。
【0043】
動作中、サーボアクチュエータ104は、工具装置120を駆動してワークピース124と接触した状態にし、それによって、サーボアクチュエータ104は、ワークピース124の相対的に柔軟性の無い表面を押圧している。相対的に柔軟性の無い表面を押圧しているとき、サーボアクチュエータの力対位置感度の比は、押圧されている材料のばね定数によって決定される。工具装置120がワークピース124と接触した状態にされるときに、力がワークピース124に対して加えられる力の伝達経路内に、サーボアクチュエータ104と直列に弾性部材106を有することは、システムにさらなるコンプライアンスを付加し、それにより総ばね定数を減少させる。このことは、サーボアクチュエータ104の位置に対するサーボアクチュエータ104の力の感度を高める。このことは、正確な位置制御を維持しながら、力がサーボアクチュエータ104で正確に制御されることを可能にする。弾性部材106のばね定数は、所望の力対位置の忠実度を与えるように選択される。
【0044】
サーボ弾性アクチュエータシステム102では、ワークピース124が超音波溶接や超音波シーリングなどの場合の動作中に融解されるとき、サーボアクチュエータ104が工具装置120の動作を停止させた後で弾性部材106が展張し、したがって、工具装置120の動きが停止した後で弾性部材106の位置を変化させる。すなわち、サーボの動きは停止しているが、工具装置120は、弾性部材106の圧縮のために動き続ける。2つの部品が溶接されて融解するなど、ワークピース124が融解するとき、その融解物自体は凝固するまで圧縮または保持される。以下でより詳細に論じられる反応性制御は、弾性部材106のこの動きに逆らうことにより、これを補償するために使用される。この補償を用いて、位置の精度が高められる。
【0045】
実施形態では、工具装置120がサーボアクチュエータ104によってワークピース122と接触した状態にされるときにワークピース122に加えられる力を計算するために、弾性部材106のばね定数およびばね撓みを使用する簡単なアルゴリズムが使用される。ばね撓みは、弾性部材106が偏向される距離の量である。弾性部材106の、この計算された力の閉ループが、サーボアクチュエータ104の位置を制御する。こうした手段により、ワークピース124に加えられている力の精密制御が、工具装置120の位置を同時に精密に監視しながら実現されることができる。
【0046】
ばねおよびエラストマーが、弾性部材106の例として上記で論じられたが、弾性部材は、必須のばね定数(該当する場合は線形またはねじれ)を有する任意のタイプの部材とすることができ、ワークピース加工装置内の異なる位置に配置される複数の弾性部材106などの要素を組み合わせたものを含むことができることが理解されるべきである。
図9は、ワークピース加工装置900内の異なる位置に配置された複数の弾性部材106を有するワークピース加工装置900の一例を示す。この例では、異なる位置は、
図1A、
図1B~
図4を参照して上述された位置である。複数の弾性部材は、これらすべての位置以外の位置に配置され得ることが理解されるべきである。例えば、複数の弾性部材は、これらの位置の内のいくつかに配置されるが、すべての位置に配置されることはできない。
【0047】
ワークピース加工装置は、ワークピースホルダがサーボアクチュエータ104によって工具装置120に抗して駆動されるように構成され得ることが理解されるべきである。
【0048】
図5は、サーボ弾性アクチュエータシステム102のサーボモータ108を制御するための例示的な制御論理500の制御図を示す。制御論理500は、例示的にはコントローラ112に実装される。制御論理500は、弾性部材106のばね撓みを決定するために、2つの位置センサ502、504(例えば位置エンコーダ)を使用する。位置センサ502、504は、位置センサ502、504が弾性部材106の両側にあるように、ワークピース加工装置内に配置される。例示であって限定するものではないが、
図1に示される装置100を参照すると、位置センサ502は弾性部材106の端部105の位置を感知し、位置センサ504は、サーボアクチュエータ104が工具装置120を動かしてワークピース124と接触した状態にすると、弾性部材106の端部107の位置を感知する。位置センサ502、504によって感知された位置の差は、位置センサ502によって感知された位置から位置センサ504によって感知された位置を減算する加算器506によって決定され、この差は、弾性部材106のばね撓みである。ワークピース124に加えられている力は、508で上記の式1を使用して計算され、508で計算された力はPID(比例積分微分)コントローラ510に入力される。あるいは、PI(比例積分)、P(比例)またはI(積分)コントローラが使用され得ることが理解されるべきである。力設定値512もまたPIDコントローラ510に入力される。PIDコントローラ510はサーボモータ108を制御し、したがって、弾性部材106の計算された力(508で計算済み)に基づいてサーボアクチュエータ104の位置を制御する。あるいは、計算または測定された力を使用する任意の適切な閉ループ制御方法が使用され得ることも理解されるべきである。
【0049】
位置センサ504によって感知された位置は、サーボアクチュエータ104の最大移動量を制限するためにも使用される。位置設定値514は、オーバーシュート距離補償518および位置センサ504によって感知された位置と同様に、加算器516に入力される。加算器516は、位置設定値514からオーバーシュート距離補償518と位置センサ504によって感知された位置との和を減算し、位置センサ504によって感知された位置とオーバーシュート距離補償518との和が位置設定値514を上回ると、サーボモータ108を停止させる。サーボモータ108をいつ停止させるべきかを決定することに加えて、この決定は、加工を開始または終了する、目標の力または強度を変更する、サーボアクチュエータ104の後退を開始する、などのためにも使用され得ることが理解されるべきである。これらの決定は、計算された力(508で計算済み)に基づいてなされ得ることも理解されるべきである。一態様では、オーバーシュート距離補償518は、
図9を参照して以下でより詳細に論じられる、オーバーシュート距離補償として使用するオーバーシュート距離を測定するために試験サンプルを使用して決定されるか、またはオーバーシュート距離補償を推定するために過去のサンプルの反復法を使用して決定される。
【0050】
図6は、制御論理500の一変形形態である、サーボ弾性アクチュエータシステム102のサーボモータ108を制御するための制御論理600の制御図を示しており、相違点のみが論じられる。弾性部材106の端部105、107(
図2)の間など、弾性部材106の両端間に配置された位置センサ602が、弾性部材106のばね撓みを感知し、位置センサ502、504の代わりに弾性部材106のばね撓みを得るために使用される。位置センサ504は、サーボアクチュエータ104の最大移動量を制限する制御において依然として使用される。
【0051】
図7は、制御論理500の変形形態である、サーボ弾性アクチュエータシステム102のサーボモータ108を制御するための制御論理700の制御図を示しており、相違点のみが論じられる。制御論理700は、ワークピース124に加えられている力を得るために、この力を弾性部材106のばね定数および弾性部材106のばね撓みに基づいて計算する力の代わりに、力センサ702を使用する。力センサ702によって感知された力は、この力が制御論理500および制御論理700において508で計算される代わりに、PIDコントローラ510に入力され、したがって位置センサ502も使用しない。位置センサ504は、サーボアクチュエータ104の最大移動量を制限する制御において依然として使用される。力センサ702は、例示的にはサーボモータ108とアクチュエータ部材110との間に加えられたトルクを感知するトルクセンサである。
【0052】
図8は、オーバーシュート距離補償518として使用するオーバーシュート距離を測定するために、試験サンプルを使用することによりオーバーシュート距離補償518を決定するための制御論理800の流れ図を示す。以下の記述は、超音波溶接機などの溶接機であるワークピース加工装置の文脈にあるものであるが、以下の記述は他のタイプのワークピース加工装置に適用できることが理解されるべきである。制御論理800は802で開始する。804で、制御論理800は、ワークピース加工装置が、サンプル溶接を使用するオーバーシュート距離の測定に使用されているのか、それとも通常溶接に使用されているのかを決定する。この文脈では、通常溶接とは、ワークピースの所期の用途にワークピースを一体に溶接することである。通常溶接の場合、制御論理800は806に分岐し、806で、ワークピース加工装置は通常溶接に使用され、そこでワークピース加工装置はオーバーシュート距離補償518(上述)で溶接を実行し、次いで808に分岐し、808で、制御論理800は、ワークピース加工装置が別の溶接を実行するために使用されることになるかどうかを決定する。そうである場合、制御論理800は分岐して804に戻る。そうでない場合、制御論理は810に分岐し、810で、制御論理はワークピース加工装置を「停止させる」、例えば、ワークピース加工装置が再び使用されるまでワークピース加工装置をアイドル状態にする。804で、制御論理は、オーバーシュート距離補償として使用するオーバーシュート距離がサンプル溶接を使用して測定されると決定した場合、812に分岐し、812で、制御論理は、オーバーシュート距離518補償がゼロに設定されてサンプル溶接を実行する。814で、サンプル溶接の圧潰後にオーバーシュート距離が測定され、オーバーシュート距離補償518として設定される。次に、制御論理800は816に分岐し、816で、全圧潰は、全圧潰が許容範囲内にあるかどうかを確認するために、所望の圧潰と比較される。そうでない場合、制御論理800は818に分岐し、818で、制御論理800は、オーバーシュート距離補償518を使用してサンプル溶接を実行する。818からは、制御論理は814に続き、次いで816に続く。全圧潰が816で所望の圧潰の許容範囲内にある場合、制御論理800は804に分岐する。このようにして、制御論理800は、サンプル溶接の逐次反復により所望のオーバーシュート距離518にホーニングする。
【0053】
コントローラ112は、上述の論理を実装するソフトウェアでプログラムされる、デジタルプロセッサ(DSP)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のプログラマブルデバイスのいずれかとすることができるかまたはこれを含む。あるいは、コントローラ112は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの他の論理装置とすることができるかまたはその論理装置を含むことが理解されるべきである。コントローラ112が機能を実行するか、または機能を実行するように構成されることが規定された場合、コントローラ112は、適切な論理で(ソフトウェア、論理装置、またはこれらを組み合わせたものなどで)、例えば、制御論理500、600または700、さらに該当する場合は制御論理800などでそうするように構成されることが理解されるべきである。コントローラ112が機能のための論理を有することが規定された場合、この種の論理は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらを組み合わせたものを含むことができることが理解されるべきである。
【0054】
上述の弾性部材106(以下、コンプライアンス弾性部材と称される)は、引張から圧縮までの範囲内で作動するように取り付けられることができる。コンプライアンス弾性部材がこのようにして取り付けられた場合、システムは、工具(
図1~
図4および
図9の工具装置120など)と関連キャリッジ構成要素との重量に起因する、工具およびキャリッジの負荷を反映することができ、関連キャリッジ構成要素には、工具が取り付けられており、関連キャリッジ構成要素は、工具がワークピースへ行き来して動かされるときにツーリングを支持する。例えば、
図1の実施形態に示されるように、工具装置120は、コンプライアンス弾性部材106の端部107に取り付けられる。工具装置120の重量は、コンプライアンス弾性部材106に下向きの力を及ぼし、
図1では、工具装置120は支持された構成要素である。
【0055】
上述のサーボ弾性アクチュエータシステム102に関する問題は、引張と圧縮の両方のために取り付けられたコンプライアンス弾性部材106を有することが、しばしば実用的でないことである。コンプライアンス弾性部材106が、
図10のように単に圧縮状態にあるか、または
図11のように単に引張状態にある場合、サーボ弾性アクチュエータシステム102は、工具装置124の重量およびキャリッジの負荷を反映することができない。したがって、サーボ弾性アクチュエータシステム102によって及ぼされ得る最小の力は、単に圧縮構成または引張構成のコンプライアンス弾性部材106だけを使用する工具装置124およびキャリッジ負荷の重量に等しい。
【0056】
上述のサーボアクチュエータシステム102の諸実施形態では、2つの位置センサの組合せ、または位置エンコーダがコンプライアンス弾性部材106の圧縮または引張(ばね撓み)を決定する。圧縮または引張はコンプライアンス弾性部材のばね定数と共に、サーボアクチュエータ104によってワークピース124に及ぼされる力を決定する。コンプライアンス弾性部材106が圧縮のみの状態にあり得るときに、工具装置124およびキャリッジの重量は底に達し、したがって、サーボアクチュエータシステム102は、工具装置124およびキャリッジの重量負荷未満の力でワークピース124に及ぼされる力を区別することができない。この状況は
図10および
図11に示されている。
【0057】
上記に対処するために、本開示の一態様によるサーボ弾性アクチュエータシステム102’は、
図12に示されるように、負荷の重量を補償するためにサーボと負荷との間に重量補償弾性部材1200を有する。このようにして、サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、力をゼロに至るまで精密に制御することができ、同時に位置を精密に制御することができる。また、一態様では、コンプライアンス弾性部材106の一端または両端が、力の連続的な伝達経路においてサーボ弾性アクチュエータシステム102’の隣接する構成要素に取り付けられるのではなく、隣接する1つまたは複数の構成要素に単に当接するだけである。例えば、
図12に示される実施形態では、コンプライアンス弾性部材106の端部105は、アクチュエータ10に取り付けられている取付部材1202に当接するが取り付けられておらず、コンプライアンス部材106の端部107は、取付部材1204に当接するが取り付けられてはいない、あるいはその両方である。サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、他の点ではサーボアクチュエータシステム102と同じである(上述のサーボアクチュエータシステム102の変形形態のいずれかを含む)ことが理解されるべきであり、したがって以下の記述では相違点に焦点を当てる。また、これらの相違点により、サーボアクチュエータシステム102’は、他の点では上述のサーボアクチュエータシステム102の変形形態のいずれかとすることができることも理解されるべきである。
【0058】
重量補償弾性部材1200は、サーボアクチュエータシステム104’内に配置され、それによって、
図12~
図16に示されるように、コンプライアンス弾性部材106および重量補償弾性部材1200によって及ぼされるばね力が互いに対向する。これに関して、重量補償弾性部材は、この部材のばね力が工具およびキャリッジの負荷に上向きの力を及ぼすように配置される。
【0059】
工具およびキャリッジ負荷の重量を補償するために、重量補償弾性部材1200がコンプライアンス弾性部材106に向かい合わされることを追加することで、力対位置感度比は、コンプライアンス弾性部材106と重量補償弾性部材1200の組合せに等しい、
【0060】
【数1】
ただし、
【数2】
であり、
重量補償弾性部材1200の全移動量は、工具およびキャリッジの全重量(工具および関連するキャリッジ構成要素の全重量)を反映しなければならず、コンプライアンス弾性部材106の全移動量は、サーボアクチュエータ104によって及ぼされる全力を反映しなければならない。すなわち、完全圧縮(または該当する場合は伸長)での重量補償弾性部材1200は、工具およびキャリッジの全有効重量を反映しなければならず、完全圧縮(または該当する場合は伸長)でのコンプライアンス弾性部材106は、サーボアクチュエータ104によって及ぼされる全ての力を反映しなければならない。完全圧縮(または該当する場合は伸張)下でコンプライアンス弾性部材106および重量補償弾性部材1200のそれぞれによって移動させられる距離は同じ(全移動距離)であるので、
【0061】
【0062】
この重量補償弾性部材1200とコンプライアンス弾性部材106の組合せにより、サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、コンプライアンス弾性部材106が圧縮または引張のみの状態にあるときに、力がゼロに至るまでの値に決定されることを可能にしながら、力および位置を精密に同時に制御することができる。一態様では、サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、
図5~
図8を参照して上述された制御論理のいずれかで制御され、
図5および
図6を参照して記述された制御論理の場合は、ばね定数としてコンプライアンス弾性部材106と重量補償弾性部材1200の組合せのばね定数を利用するように修正されることが理解されるべきである。
【0063】
重量補償弾性部材1200およびコンプライアンス弾性部材106は、コイルばね、板ばね、円錐ばね、空気ばね、エラストマーなど、ばね力を有する任意のタイプの装置とすることができることが理解されるべきである。重量補償弾性部材1200は、圧縮構成または引張構成であり得ることも理解されるべきである。
【0064】
一態様では、コンプライアンス弾性部材106と重量補償弾性部材1200の4つの異なる組合せがある。
図12に示されるように、コンプライアンス弾性部材106は圧縮のみの状態にあり、重量補償弾性部材1200もまた圧縮のみの状態にあり、これは好ましい一実施形態である。
図13に示されるように、コンプライアンス弾性部材106は圧縮のみの状態にあり、重量補償弾性部材1200は引張のみの状態にある。
図14に示されるように、コンプライアンス弾性部材106は引張のみの状態にあり、重量補償弾性部材も引張のみの状態にある。
図15に示されるように、コンプライアンス弾性部材106は引張のみの状態にあり、重量補償弾性部材は圧縮のみの状態にある。
【0065】
例示的には、コンプライアンス弾性部材106および重量補償弾性部材1200は、組み合わせて一体に構成され、本明細書では弾性部材組合せ体1600(
図16)と称される。弾性部材組合せ体1600は、サーボ弾性アクチュエータシステム102’内の異なる場所に配置されることができる。弾性部材組合せ体1600は、
図16に示されるように、サーボアクチュエータ104と工具装置120との間に配置されることができ、その場合、重量補償弾性部材は、工具装置120および関連するキャリッジ構成要素(図示せず)の重量を補償し、これは上述のように好ましい一実施形態である。弾性部材組合せ体1600は、
図17に示されるように、サーボアクチュエータ104とフレーム114との間に配置されることができ、その場合、重量補償弾性部材1200は、サーボアクチュエータ104、工具装置120および関連するキャリッジ構成要素の重量を補償する。
【0066】
逆にされた状況では、サーボアクチュエータ104は上方に向けられ、コンプライアンス弾性部材は、
図18に示されるようにワークピースホルダ122の上に配置され、例示的にはワークピースホルダ122とフレーム14との間に配置される。この変形形態では、重量補償弾性部材1200は、ワークピースホルダ122の重量を補償する。
【0067】
サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、正確な力と位置制御の両方が望ましい相対的に非柔軟性の表面をサーボアクチュエータが押す場合に有用であることが理解されるべきである。例示であって限定するものではないが、サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、溶接、切断、かしめ、スエージングなどの任意の超音波プロセスに対応するために使用されることができる。サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、レーザ溶接、レーザ印刷、レーザ切断、レーザかしめ、またはレーザスエージングにも使用されることができ、レーザ加工される1つまたは複数のワークピースは、サーボアクチュエータ104によってクランプ締めされる。サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、スピン溶接、振動溶接、およびホットプレート溶接にも使用されることができる。
【0068】
コンプライアンス弾性部材を有するサーボ弾性アクチュエータシステムに重量補償弾性部材を追加することの一つの利点は、力が支持された構成要素の重量未満のレベルに精密に制御されることができ、同時に位置を精密に制御することができることである。
【0069】
図12~
図18に示されるサーボ弾性アクチュエータシステム102’の前述の実施形態例は、アクチュエータ部材110が垂直方向上下に移動するように垂直に向けられたサーボアクチュエータ104を有する垂直に向けられたサーボ弾性アクチュエータシステムとして示されているが、サーボアクチュエータシステム102’は、垂直に向けられる以外のものであり得ることが理解されるべきである。サーボ弾性アクチュエータシステム102’が垂直方向に向けられる以外のものである場合、サーボ弾性アクチュエータシステム102’は、任意の重力ベクトルの非軸線方向成分を打ち消すためにリニアガイドを例示として含むことになる。すなわち、サーボアクチュエータ104のアクチュエータ部材110に関して軸線方向ではない、重力ベクトルの任意の成分である。垂直方向に向けられたサーボ弾性アクチュエータシステム102’は、リニアガイドも含み得ることが理解されるべきである。
【0070】
図19は、垂直と水平との間の角度で向けられているサーボ弾性アクチュエータシステム102”の例示的な例である。サーボ弾性アクチュエータシステム102”は、以下の相違点があるが、
図16に示されるサーボ弾性アクチュエータシステム102’と同じであり、以下の記述ではその相違点に焦点を当てる。サーボ弾性アクチュエータシステム102”は、アクチュエータ部材110および工具装置120を含むサーボアクチュエータ104が、垂直に対して非ゼロの角度Φで軸線方向に位置合わせされ、水平に対しても非ゼロの角度で位置合わせされるという点で、角度方向を有する。サーボ弾性アクチュエータシステム102”は、工具装置120が受容されるリニアガイド126を含み、リニアガイド126は、工具装置120を支持して重力ベクトルの非軸線方向成分を打ち消す。
【0071】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されてきた。前述の説明は、網羅的であること、または開示を制限することを意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるものではなく、該当する場合は交換可能であり、具体的に図示または記述されていなくても、選択された実施形態で使用されることができる。同じことが多くの方法で変更されることもある。そのような変更は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、そのようなすべての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。