(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルスの複製阻害組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20240221BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240221BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20240221BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240221BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61K31/7105 ZNA
A61K31/713
A61K31/7115
A61K48/00
A61P31/20
(21)【出願番号】P 2020556176
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2019044748
(87)【国際公開番号】W WO2020100994
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2018215898
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 事業名:「感染症実用化研究事業 肝炎等克服実用化研究事業」 研究課題名:「ツパイ全ゲノム解析に基づくB型肝炎ウイルス感染感受性小動物モデルの開発に関する研究」。平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 事業名:「感染症実用化研究事業 肝炎等克服実用化研究事業 B型肝炎創薬実用化等研究事業」 研究課題名:「実用化に向けたB型肝炎新規治療薬の探索及び最適化」 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】591063394
【氏名又は名称】公益財団法人東京都医学総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】棟方 翼
(72)【発明者】
【氏名】小原 道法
(72)【発明者】
【氏名】真田 崇弘
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037656(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/190197(WO,A1)
【文献】特表2013-537423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 48/00
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
B型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を含む、B型肝炎ウイルスの複製阻害用組成物であって、
前記阻害物質が、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)に示す塩基配列の全部又は一部を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である、
前記組成物。
【請求項2】
B型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を含む、B型肝炎ウイルス感染の治療用医薬組成物であって、
前記阻害物質が、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)に示す塩基配列の全部又は一部を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である、
前記組成物。
【請求項3】
マイクロRNAが、5’側イプシロンシグナル配列の保存配列のうち少なくとも7塩基に相補的な塩基配列を含むものである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
7塩基の配列が、プレゲノムRNAの場合はCCAAGCUで示されるものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
マイクロRNAがmiR-4453である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
miR-4453が、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)で示される塩基配列からなるものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
阻害物質が、miR-4453の機能を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
阻害物質が、AACCGCTACAGACCAAGCTC(配列番号2)で示される塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
B型肝炎ウイルスに、インビトロで請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を接触させる工程を含む、B型肝炎ウイルスの複製阻害方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を含む、
B型肝炎ウイルス感染の治療用又はB型肝炎ウイルスの複製阻害用医薬組成物。
【請求項11】
遺伝子治療用である、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎ウイルスの複製を阻害する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロRNA (miRNA) は蛋白質をコードしない、約22塩基の短いRNAであり、AGO蛋白質と複合体を形成して主に標的配列を有するmRNAの分解や翻訳阻害を介して遺伝子発現を制御する因子である(
図1)。標準的なmiRNAの産生過程は、
図1に示すように、転写により、ヘアピン構造を含む一次転写産物であるprimary miRNA(pri-miRNA)が合成される。核内でRNaseIIIであるDroshaがpri-miRNAのヘアピン基部を切断することにより、precursor miRNA(pre-miRNA)が産生される。このようにして産生されたpre-miRNAは、主にExportin-5により核から細胞質に輸送され、別のRNaseIIIであるDicerによって切断されて、20~24塩基の二本鎖RNA(miRNA duplex)の産生が起こる。二本鎖RNAはAgoタンパク質に取り込まれ、片側のRNA鎖だけがAgoタンパク質と安定な複合体を形成し、RNA誘導型サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex: RISC)を形成する。最終的に、この一本鎖化された成熟型miRNAが遺伝子発現制御のガイド役として機能し、RNA分解又は翻訳抑制をもたらす。
【0003】
miRNAは最初、線虫の発達に必要な因子として単離されたが、その後の解析でヒトを始めとする動植物に普遍的に存在する機構であると判明した。更にmiRNAはDNAウイルス及びRNAウイルスの複製や病原性をも制御することが多く報告されている(非特許文献1:Jopling CL et al., Science 309, 1577-1581, 2005;
非特許文献2:Pedersen IM et al., Nature 449, 919-922, 200
7)。B型肝炎ウイルス (HBV) は膜構造を有するDNAウイルスに分類されるが、複製過程で自身の逆転写酵素によりプレゲノムRNA (pgRNA) からゲノムDNAを合成する。HBV粒子中のゲノムDNAは環状不完全二本鎖であり、肝細胞に感染後に核内で閉環状二本鎖DNA(cccDNA)に変換され持続感染する。cccDNAからHBVのmRNAsとpgRNAが発現する。HBV mRNAsからはウイルス抗原等の蛋白質が発現する一方、HBV pgRNAはmRNAとして機能するだけでなくウイルスのカプシド形成とHBVDNA合成の素となる。HBV由来のmRNAが宿主のmiRNAにより標的とされ、発現が抑制されることは既に報告されている(
図2、非特許文献
3:Zhang GL et al., Antiviral Res
. 2010 Nov;88(2):169-75)。しかし、HBVの複製を直接促進するmiRNAは知られていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
非特許文献1:Jopling CL et al., Science 309, 1577-1581, 2005
非特許文献2:Pedersen IM et al., Nature 449, 919-922, 2007
非特許文献3:Zhang GL et al., Antiviral Res. 2010 Nov;88(2):169-75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、マイクロRNAであるmiR-4453の機能を阻害する物質を含む、B型肝炎ウイルスの複製阻害用組成物およびB型肝炎ウイルス感染の治療用医薬組成物を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、マイクロRNAであるmiR-4453の機能を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害することに成功し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)B型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を含む、B型肝炎ウイルスの複製阻害用組成物。
(2)B型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を含む、B型肝炎ウイルス感染の治療用医薬組成物。
(3)マイクロRNAが、5’側イプシロンシグナル配列の保存配列のうち少なくとも7塩基に相補的な塩基配列を含むものである、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)7塩基の配列が、プレゲノムRNAの場合はCCAAGCUで示されるものである(3)に記載の組成物。
(5)マイクロRNAがmiR-4453である(1)又は(2)に記載の組成物。
(6)miR-4453が、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)で示される塩基配列からなるものである(5)に記載の組成物。
(7)阻害物質が、miR-4453の機能を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である(1)又は(2)に記載の組成物。
(8)阻害物質が、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)に示す塩基配列の全部又は一部を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である(1)又は(2)に記載の組成物。
(9)阻害物質が、AACCGCTACAGACCAAGCTC(配列番号2)で示される塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸を含む核酸である(1)又は(2)に記載の組成物。
(10)B型肝炎ウイルスに、インビトロで(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物を接触させる工程を含む、B型肝炎ウイルスの複製阻害方法。
(11)(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物を含む医薬組成物。
(12)遺伝子治療用である、(11)に記載の医薬組成物。
【0008】
また、本発明には、下記の発明も含まれる。
(13)(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物、又はB型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を、患者に投与することを含む、B型肝炎ウイルス感染の治療方法。ここで、該治療方法には、遺伝子治療方法も含まれる。また、該患者は、B型肝炎ウイルスに感染している患者に限らず、B型肝炎ウイルスに感染している可能性がある患者も含まれる。
(14)B型肝炎ウイルス感染の治療薬を製造するための、(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物の使用、又はB型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質の使用。ここで、該治療薬には、遺伝子治療薬も含まれる。
(15)B型肝炎ウイルス感染を治療するための、(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物の使用、又はB型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質の使用。ここで、該治療には、遺伝子治療も含まれる。
(16)B型肝炎ウイルス感染の治療用の、(1)~(9)のいずれか1項に記載の組成物、又はB型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質。ここで、該治療には、遺伝子治療も含まれる。
なお、上記(13)~(16)に係る発明における、B型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAや、該マイクロRNAに対する阻害物質の具体例に関しては、上記(3)~(9)に係る発明と同様の構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、マイクロRNAであるmiR-4453の機能を阻害する物質を含む組成物が提供される。本発明の組成物は、B型肝炎の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】マイクロRNA (miRNA) の発現と機能を示す図である。
【
図2】HBV DNAゲノムおよびRNA構造を示す図である。
【
図3】in vivo HBV感染後のmiRNA発現レベルの変化を示す図である。
【
図4】in vitroでのHBV複製および感染におけるmiRNA発現プロファイルを示す図である。
【
図5】in vitro HBV複製モデルにおける選択されたmiRNAのHBVに対する効果を示す図である。
【
図6】HBVに感染した初代ヒト肝細胞におけるHBVに及ぼす選択されたmiRNAの影響を示す図である。
【
図7】HBV RNA中のmiR-4453の標的を示す図である。
【
図8】miR-4453によるHBV複製の調節モデルを示す図である。
【
図9】新規RNA合成をアクチノマイシンDで止めた状態で、pgRNAの安定性をノザンブロット法で解析した結果を示す図である。。
【
図10】mir-4453阻害剤miRIDIANによるHBVの複製抑制試験の結果を示す図である。
【
図11】mir-4453阻害剤S-TuDによるHBVの複製抑制試験の結果を示す図である。
【
図12】mir-4453阻害剤S-TuDによるHBVの複製抑制試験の結果を示す図である。
【
図13】ヒト肝臓キメラマウスにおけるmir-4453阻害剤の抗HBV効果の解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製を阻害するための組成物、並びにHBV感染を治療するための医薬組成物及び方法を提供する。本発明は、HBVのプレゲノムRNA(pgRNA)の5’ イプシロンシグナル配列にアニールするマイクロRNA(miRNA)に対する阻害物質であって、HBV複製に必須のタンパク質生産を活性化させるmiRNA又はpgRNAの安定性を上昇させるmiRNAに対する阻害物質の使用に基づくものである。当該阻害物質を用いてHBVの複製を阻害することにより、HBV感染によって引き起こされる疾患の治療、軽減を行うことができる。
【0012】
1.概要
マイクロRNA (miRNA) がDNAウイルス及びRNAウイルスの複製や病原性を制御することは広く知られている。B型肝炎ウイルス (HBV) は膜構造を有するDNAウイルスに分類されるが、複製過程で自身の逆転写酵素によりプレゲノムRNA (pgRNA) からゲノムDNAを合成する。HBVの複製を抑制するmiRNAは既に複数報告されているが、本発明者は、HBV感染により優位に発現変動するmiRNAを同定し、その中にHBV RNAに直接作用して複製を活性化させるmiRNAを見出し、また、このmiRNAがpgRNAのカプシド形成とDNA合成に必須なイプシロン配列に相互作用することも見出した。
【0013】
miRNAがウイルスRNAにポジティブに働くことは、C型肝炎ウイルス (HCV) におけるmiR-122の例が知られているが(Jopling CL, Yi M, Lancaster AM, Lemon SM, Sarnow P. Science. 2005 Sep 2;30(5740):1577-81. Modulation of hepatitis C virus RNA abundance by a liver-specific MicroRNA.)、HBVでは初めての知見である。このmiRNAの阻害剤はウイルス複製を抑制することから、HBV感染に対する新規治療剤として利用可能である。
【0014】
ここで、HBV DNAゲノムおよびRNAの構造を
図2に示す。HBVのDNAゲノムは3.2kbであり、
図2に示すように5種類のmRNAが発現している。このうち、3.5kbのプレゲノムRNA(pgRNA)は、HBVゲノムDNAの生成のための鋳型として機能する。いくつかのmiRNAがHBV複製を抑制することが報告されているが、HBV RNAを標的とすることによってHBV複製を増強するmiRNAは、今まで見出されていない。
pgRNA中にはイプシロンシグナル配列が5’側及び3’側に2か所存在する(
図8)。本発明では、5’側イプシロンシグナル配列に結合するmiRNA、中でも5’側イプシロンシグナル配列の保存配列のうち少なくとも7塩基の配列に結合するmiRNAを阻害することにより、ウイルス複製を阻害することを見出した。
【0015】
従って、本発明は、HBVのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を提供する。「マイクロRNAに対する阻害物質」とは、マイクロRNAに塩基対形成をして結合し、その機能を阻害する核酸を意味する。
本発明者は、マイクロRNAに対する阻害物質(例えばmiR-4453の機能を阻害する阻害物質)として、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、又は人工架橋核酸(Locked nucleic acid; LNA)単位などのヌクレオチド類似体を含む一本鎖オリゴヌクレオチドが、miRNAの機能阻害を引き起こすことを見出した。miRNAの機能阻害を引き起こすには、シード領域配列、特に5’側イプシロンシグナル配列の保存領域に結合するmiRNAに対し、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はLNA単位を含むオリゴヌクレオチドを使用すればよい。
【0016】
5’側イプシロンシグナル配列の保存配列のうち少なくとも7塩基の配列に結合するmiRNAとしては、miR-4453が挙げられ、miR-4453に対する阻害物質としては、miR-4453の塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸(アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はLNA)が挙げられる。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はLNAを、本明細書では「インヒビター」ともいう。
上記プレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列の7塩基の保存配列は「CCAAGCU」で示され、このような保存配列を含むmiR-4453に対する阻害物質としては、例えばmiR-4453(例えば、GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)で表されるもの)に対するインヒビターが挙げられる。
【0017】
本発明においては、LNA等のインヒビターの塩基配列は、miR-4453の成熟配列に対する相補配列であるが、長さは特に限定されるものではないが、例えば16~27塩基、であり、好ましくは20塩基である。例えばLNAの塩基配列は、少なくとも1つがLNAモノマーであっても、2個以上がLNAモノマーであってもよく、本発明においては20個がLNAモノマーであることが好ましい。
例えば、miR-4453の成熟配列、及びmiR-4453成熟配列に対するLNAを含むインヒビターの塩基配列を以下に示す。
1. miR-4453の成熟配列:GAGCUUGGUCUGUAGCGGUU(配列番号1)
2. miR-4453の成熟配列に対するLNAの配列:AACCGCTACAGACCAAGCTC(配列番号2)
【0018】
本発明は、HBVのプレゲノムRNAの5’側イプシロンシグナル配列に結合するマイクロRNAに対する阻害物質を含む、HBVの複製阻害用組成物、及びHBV感染の治療用医薬組成物に関する。HBV感染に基づく疾患としては、B型肝炎のほか、HBV関連疾患、例えば、肝線維症、慢性肝炎、肝硬変や肝癌などが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物の投与形態としては注射が挙げられ、通常の静脈内、動脈内等の全身投与のほか、筋肉、関節内、皮下、皮内等に局所投与することができる。さらに、カテーテルを用いた投与形態を採用することも可能である。この場合、通常は単位投与量アンプル又は多投与量容器の形態で提供され、使用する際に適当な担体、例えば滅菌水で再溶解させる粉体であってもよい。
また、本発明の組成物の投与形態として、上記注射のほか、坐剤、鼻腔又は口腔粘膜からの投与、経口投与などもある。
【0020】
また、上記剤形に対しては、製剤上一般に使用される添加剤を含有させることもできる。添加剤は、薬剤製造上一般に用いられる賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤及び等張化剤等が挙げられ、これらを適宜選択して使用し、常法により調製することができる。
投与量は、治療目的、投与対象の年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができ、本発明の医薬組成物に含まれる核酸の量は、当業者であれば適宜設定することができる。
【0021】
その他の治療法として、標的miRNAの機能を阻害するshRNAを発現する遺伝子治療ベクターを用いた遺伝子治療もある。
遺伝子治療ベクターは、適当なベクターに上記shRNA配列などの阻害物質(DNA)を挿入することにより得ることができる。阻害物質を挿入するためのベクターは、非ウイルスベクターとウイルベクターに大別される。例えば、非ウイルスベクターとしては、pCAGGSなどを有するベクターが挙げられる。
一方、ウイルスベクターとしては、例えば、アデノウイルス、レンチウイルス等が挙げられる。
【0022】
ウイルスベクターを用いるためのキットは市販されており(例えばタカラバイオ社製のAdeno-X Adenoviral System 3やアプライド・ヴィロミクス社のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター等)、容易にウイルスベクターを構築することができる。
本発明において、遺伝子治療ベクターのHBV関連疾患患者への導入法としては、直接患者組織に導入する方法、及び、患者から標的細胞を取り出して体外で遺伝子治療ベクターを当該細胞に導入し、その細胞を体内に戻す方法などがある。
【0023】
例えば、本発明の医薬組成物の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組合せとして投与される有効量は、一回につき体重1kgあたり10mg~200mgの範囲であり、1週間間隔から1か月間隔で投与される。
遺伝子治療ウイルスの投与量は、患者の病期、年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、有効量として1×1012~2×1013genome copies/kgである。この投与量で1~数回投与する。
【0024】
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
1.方法
本発明者は、HBV感染の動物モデルとしてヒト肝臓キメラマウスを利用した。感染源として遺伝子型AのAeJPN株 (AB246338.1) と遺伝子型CのCJPNAT株 (AB246345.1) のHBVを用いた。感染10週後にマウスの肝臓からRNAを調製し、RNA-seq解析を行った。初代ヒト肝臓細胞としてはPhoenixBio社のPXB細胞を使用した。miRNAはDharmacon社のmiRIDIAN microRNA mimicsを、miRNAの阻害剤としてはExiqon社のmiRCURY LNA microRNA Power Inhibitors (YI04104482)を使用した。初代ヒト肝細胞へのmiRNAのデリバリーにはmultifunctional envelope-type nanodevice (MEND) を利用した(Yamamoto N, Sato Y, Munakata T, Kakuni M, Tateno C, Sanada T, Hirata Y, Murakami S, Tanaka Y, Chayama K, Hatakeyama H, Hyodo M, Harashima H, Kohara M. J Hepatol. 2016 Mar;64(3):547-55. Novel pH-sensitive multifunctional envelope-type nanodevice for siRNA-based treatments for chronic HBV infection.)。培養細胞によるHBV複製解析では、恒常的にHBVを発現するHepG2.2.15由来細胞を用いた。また、HBV受容体と考えられるhNTCPを過剰発現したHepG2-hNTCP-C4及びHepG2-hNTCP-30細胞を感染実験に使用した。pgRNA解析では、HBVのコア蛋白質を分泌型ルシフェラーゼに置き換え、同時にHBpolが発現しないレポーターを利用した。
【0026】
2.結果
キメラマウスへのHBV感染により有意に発現変動したmiRNAとして、遺伝子型Aでは三種類(MIR663A (up), MIR210HG (up), MIR4453 (down))、遺伝子型Cでは三種類のmiRNA(MIR3648 (up), MIR663A (up), MIR4453 (down))を同定した(
図3)。このうち、MIR210HGはHBV複製依存に発現上昇して、HBVのmRNAを標的にして蛋白質発現を抑制するmiRNAとして既に報告されていた。
【0027】
図3は、in vivo HBV感後のmiRNA発現レベルの変化を示す図である。パネルA~Fの内容は以下の通りである。
(A)ヒト化肝臓でのキメラマウスのHBV感染の実験スケジュール。(B)HBVに感染したキメラマウスにおけるHBV RNAの定量。(CおよびD) Volcanoプロットは、RNA-seq分析によって定量化されたmiRNA発現の各々について、X軸が発現の変化の対数値を、Y軸がq値の負の対数値を示す。
有意なmiRNA(q < 0.05)を赤色でプロットする。倍率変化値は、HBV遺伝子型A/非感染(C)またはHBV遺伝子型C/非感染(D)としてスコア付けした。(EおよびF)有意に(q<0.05)変化したmiRNAの各々についてのLog2(倍数変化)のプロット。
【0028】
次に、本発明者は培養細胞のHBV複製・感染系から、miR-210-5p, miR-3648, miR-4453のHBVによる発現変動が動物モデルと同様であることを見出した(
図4)。
図4は、in vitroでのHBV複製および感染におけるmiRNA発現プロファイルを示す図である。
図4において、パネルA~Fの内容は以下の通りである。
(A)限界希釈によるHepG2.2.15-58のクローニング。HepG2.2.15からクローニングした各細胞株のHBV DNA力価を示した。HepG2.2.15-58の位置を円で示した。(B)ヒトNTCPを異所的に発現するHepG2由来細胞のHBVによる感染。HepG2-hNTCP-C4およびHepG2-hNTCP-30を、示されたGEq/細胞でHBVに感染させ、7日毎に回収した培地中のHBV DNA力価を定量した。正常HepG2細胞を陰性対照として使用した。(C、DおよびE)それぞれmiR-210-5p、miR-3648およびmiR-4453の発現レベルを、HepG2とHepG2.2.15-58細胞間、ナイーブとHBV感染HepG2-hNTCP-C4細胞間、またはナイーブとHBV感染HepG2-hNTCP-30細胞間で比較した。細胞には、示されたゲノム等価(GEq)/cellでHBVで接種した。
【0029】
さらに、HepG2.2.15由来細胞でHBV複製への上記のmiRNAsの効果を見た結果、miR-4453にHBV DNAとHBs蛋白質の量を増加させる機能があることが明らかとなった(
図5)。
図5は、in vitro HBV複製モデルにおける選択されたmiRNAのHBVに対する効果を示す図である。
図5において、パネルA~Fの内容は以下の通りである。
(A-C)外因性miRNAのHepG2.2.15-58細胞へのトランスフェクションによるmiRNAの機能獲得(Gain-of-function)分析。miRNAトランスフェクション後、培地中のHBV DNA量を定量し(A)、各トランスフェクションにおける細胞生存率を測定した(B)。HBsおよびアクチン(ローディングコントロール)の免疫ブロットも行った(C)。(D-F)HepG2.2.15-58細胞へのmiRNAのLNAインヒビターのトランスフェクションによるmiRNAの機能喪失(Loss-of-function)分析。LNAインヒビタートランスフェクション後、HBV DNA量(D)、細胞生存率(E)、およびHBs量(F)を観察した。
【0030】
miR-4453の阻害剤を用いた解析では、逆にHBV DNAとHBs蛋白質の量は減少した。PXB細胞へのHBV感染実験でもmiR-4453はウイルス複製を増加させ、miR-4453阻害剤はウイルス複製を抑制したことから、miR-4453の標的はHBV複製に重要な役割を果たす因子であると考えられる。
【0031】
図6は、HBVに感染した初代ヒト肝細胞におけるHBVに及ぼす、選択されたmiRNAの影響を示す図である。
図6において、パネルA~Iの内容は以下の通りである。
(A)ヒト初代肝細胞(PHH)へのHBV感染の説明図。(B)感染後の培地中のHBV DNA量。(C-E) PHHへの外因性miRNAのトランスフェクションによるmiRNAの機能獲得分析。トランスフェクション10日後、培地(C)または細胞(E)中のHBV DNA量を定量し、それぞれのトランスフェクションにおける細胞生存率を測定した(D)。(F-I)初代ヒト肝細胞(PHH)へのmiRNAのLNAインヒビターのトランスフェクションによるmiRNAの機能喪失分析。100nMのインヒビターをトランスフェクションした後、培養培地中のHBV DNA量を定量し(F)、各トランスフェクションでの細胞生存率を測定した(G)。HBV複製阻害剤の陽性対照として、IFN-λ1を100ng/mLで添加した。非感染およびHBV感染PHH中のHBV DNA量も測定し(H)、同じ条件でのHBsおよびアクチン(ローディングコントロール)のイムノブロットを行った(I)。
【0032】
miR-4453の標的を考える上で(
図6)、ウイルス複製の向上という点でHCVに対するmiR-122の効果と同じメカニズムをまず検討して、HBV由来のRNA中に標的配列候補があるか探索した。
結果を
図7に示す。
図7は、HBV RNA中のmiR-4453の標的を示す図である。パネルA~Fの内容は以下の通りである。
【0033】
(A)HBV RNA中の推定miR-4453結合部位。miR-4453結合部位を同定するために、RNA22v2マイクロRNA標的ディテクションプログラムを使用した。miR-210-5pはHBV RNAと相互作用することが報告されている。miR-122およびHCV RNAをプログラムのバリデーションに使用した。なお、パネルAに示す標的RNA、及びmiRNAの塩基配列を配列番号3~12に示す。(B)5つの異なる遺伝子型からのHBV イプシロン(ε)領域のアラインメント。miR-4453シードマッチ配列を赤色で示した。X02763(HBV遺伝子型A)のEcoR1制限部位を、HBVゲノムのナンバリングのための+1として使用した。なお、パネルBに示すイプシロン領域の塩基配列を配列番号13~22に示す。(C)miR-4453とHBV RNAの相互作用。RNA免疫沈降アッセイを、抗Ago2 mAbを使用して、miRNAトランスフェクション後の指示された細胞からの抽出物で行い、共沈したHBV RNAをqRT-PCRによって定量した。
【0034】
(D)miR-4453によるHBV pgRNAレポーター活性の増強。HBV pgRNAレポーター、pHBV/Glucを、miR-4453の有りと無しの場合でHepG2細胞にトランスフェクトし、分泌されたルシフェラーゼ活性を測定した。陰性対照として、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによってGluc発現が駆動されるpCMV/Glucを使用した。(E)ε領域のmiR-4453結合部位の変異がpgRNAレポーターに及ぼす影響。5'εMTおよび3'εMTは、それぞれ5'UTRおよび3'UTRのε領域の点変異を表す。pgRNAレポーターの増強には5'εのmiR-4453結合部位が必要である。(F)イプシロン領域のmiR-4453結合部位の変異がHBVキャプシド形成に及ぼす影響。HBVレポーターの感染力価は、分泌されたルシフェラーゼ活性によって測定される。5’ε変異と3’ε変異で差は無かった。
【0035】
図7の結果より、全ての遺伝子型で保存されている、HBVのカプシド形成とDNA合成に必須なイプシロン・シグナル中に、計算上最も安定に結合できるmiR-4453標的候補配列が存在することが分かった(
図7A, 7B)。そこでAgo2に対する抗体を用いたRNA免疫沈降解析を行い、HBV RNAsとmiR-4453は相互作用することが示された(
図7C)。
【0036】
また本発明者は、miR-4453がどのようにウイルス複製を活性化するのか検討するため、pgRNAレポーター解析を行い、miR-4453はHBpolとは無関係にルシフェラーゼ活性を上げることを見出した(
図7D)。このレポーターには二つのイプシロン・シグナルが含まれるため、そのmiR-4453標的候補配列に変異を入れて同様にpgRNAレポーター解析をしたところ、miR-4453依存のルシフェラーゼ活性上昇は、5’側のイプシロン配列の変異体で消失した(
図7E)。従って、miR-4453がHBV pgRNAの5’イプシロン・シグナルに結合して、HBVの翻訳を活性化する、或いはpgRNAの安定性を上昇させることが示唆された。イプシロン・シグナル中のmiR-4453結合配列変異体はウイルスの粒子形成には影響を与えなかった(
図7F)。つまり、変異導入してもイプシロンの高次構造には大きな変化はなかったと考えられる。
【0037】
3.考察
miRNAがウイルスRNAにポジティブに働くことはHCV とmiR-122の例が知られているが、HBVでは初めての知見である(
図8)。
図8は、miR-4453によるHBV複製の調節モデルを示す図である。
HBV pgRNAは2つのイプシロンシグナルを有し、5'UTRに位置するイプシロンはmiR-4453の標的であり、pgRNAからの翻訳の活性化またはpgRNAの安定化によってHBV複製を増強する。HBV複製はmiR-4453発現のダウンレギュレーションを引き起こし、負のフィードバックループを示す。しかし、HBV複製は、依然として低レベルのmiR-4453によっても維持されている。
【0038】
miR-4453の阻害剤はウイルス複製を抑制することから、miravirsen (miR-122阻害剤:HCV感染治療剤)(Lanford RE, Hildebrandt-Eriksen ES, Petri A, Persson R, Lindow M, Munk ME, Kauppinen S, Orum H. Science. 2010 Jan 8;327(5962):198-201. Therapeutic silencing of microRNA-122 in primates with chronic hepatitis C virus infection.)のようにHBV感染の新たな治療法の開発につながることが期待される。miR-122の場合、HCV RNAの安定性に働くメカニズムと、HCV RNAからの翻訳に寄与するメカニズムが提唱されているが、miR-4453の場合も、その機能解析によれば両者のメカニズムを有する可能性がある。
【実施例2】
【0039】
メカニズムについて
miR-4453がpgRNAの5’ イプシロンを標的とすることが判明したため、本発明者は3.5 kbのpgRNAの挙動をノザンブロット法で解析した。その結果、HBVが恒常的に複製しているHepG2.2.15細胞において、miR-4453を加えることでpgRNAの量が増加し、miR-4453の阻害剤を加えることでpgRNAの量が減少することを見出した。また、我々はアクチノマイシンDを培養系に添加することで新規のRNA合成を止めた状態で、pgRNAの安定性をノザンブロット法で解析した。その結果、miR-4453依存にpgRNAの安定性が上昇することを見出した(
図9)。
【0040】
異なるmiR-4453阻害剤の効果について
これまでのmiR-4453阻害剤の解析では、エキシコン社製の阻害剤を用いてHBVに対する効果を検討してきた。miR-4453阻害の効果がエキシコン社の製品特異的である可能性を排除する目的で、我々は別種のmiR-4453阻害剤を用いて同様の阻害実験を行った。まずダーマコン社製の阻害剤であるmiRIDIAN microRNA Hairpin Inhibitorを用いてHepG2.2.15細胞で解析した結果、これまでと同様にmiR-4453の阻害剤は濃度依存的にHBVの複製を抑制した(
図10)。更に別のシグマ社の販売しているmiRNA阻害剤S-TuDを用いて同様に実験した結果、HepG2.2.15細胞でHBV複製の抑制が濃度依存的に観察できた(
図11)。miR-4453のS-TuDは、HepG2-hNTCP-30細胞を用いた感染実験においても、HBVの複製を抑制した。また、細胞の生存率には影響を与えなかった(
図12)。これらの結果から、miR-4453の3種類の異なる阻害剤がHBV複製を抑えることが判明した。
【0041】
miR-4453阻害剤のHBV感染動物モデルでの効果の解析について
ヒト肝臓キメラマウスを用いて、HBVが持続感染している時にmiR-4453阻害剤が抗HBV効果を有するか実験した。HBV感染後10週間経過して持続感染が成立したキメラマウスに阻害剤(エキシコン社)を投与して、血清中のHBV DNA量を継時的に測定した。その結果、投与から14日後にコントロール群とmiR-4453阻害剤投与群を比較すると、HBV DNA量がmiR-4453により有意に低下していることが判明した。一方で、ヒト血清アルブミン量と体重には変化は見られなかった(
図13)。従って、miR-4453阻害剤は、培養細胞系だけでなく、HBV感染動物モデルでも抗HBV効果を有することが示された。
【配列表フリーテキスト】
【0042】
配列番号1、3~12:合成RNA
配列番号2、13~22:合成DNA
【配列表】