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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61B17/56
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020562122
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019030878
(87)【国際公開番号】W WO2019217297
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】15/973,470
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597117606
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】レーベンスクロフト、 マシュー
(72)【発明者】
【氏名】シュミーディング、 ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーニー ジュニア、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ドレイファス、 ピーター
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0209401(US,A1)
【文献】米国特許第8585773(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0150963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
ハンドルと、
前記ハンドルから延びかつ回転しないように固定されている第1ロッドと、
前記ハンドルから延びかつ折り畳み姿勢と展開姿勢との間で回転可能である第2ロッドと
を含み、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドは、前記展開姿勢よりも前記折り畳み姿勢において互いにより近くなり、
前記第2ロッドは、前記ハンドル内の前記第2ロッドを通る軸の周りで回転可能であり、近位部分からオフセットされた遠位部分を含む、外科用器具。
【請求項2】
前記第1ロッドは、前記第1ロッドへの移植片の取り付けのために構成された第1取り付け構造を含み、前記第2ロッドは、前記第2ロッドへの前記移植片の取り付けのために構成された第2取り付け構造を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造は、前記移植片を受け入れるように構成されたスロットである、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1取り付け構造及び前記第2取り付け構造は、縫合糸スロットである、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第2ロッドの近位端部分の近くに、前記第2ロッドを回転させるためのノブを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ハンドルは第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を提供し、
前記第1ロッドは前記第1開口部に受け入れられ、
前記第2ロッドは前記第2開口部及び前記第3開口部に選択的に受け入れ可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記第1ロッドは、近位部分からオフセットされた遠位部分を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記第2ロッドは、前記第2開口部及び前記第3開口部内で、折り畳み姿勢と展開姿勢との間で回転可能である、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記第2開口部は前記第1開口部から第1の距離であり、前記第3開口部は前記第1開口部から第2の距離であり、前記第2の距離は前記第1の距離とは異なる、請求項6に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不安定な関節の関節キネマティクスを改善するための外科用器具及び様々な外科技術に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月7日に出願された米国出願第15/973,470号の優先権を主張する。
【0003】
正常な関節キネマティクスは、関節の関節でつながる骨を囲むバランスのとれた軟部組織によって実現する。関節でつながる骨又は周囲の軟部組織の著しい破壊がある場合、不安定な関節が生じる可能性がある。不安定な関節は、関節形成術の後に置換された関節内に生じる可能性もある。結果として生じる関節の不安定性は、疼痛、機能障害、骨量減少の加速、軟部組織の断裂、及び早発性関節炎を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、外科用器具及び技術に関する。外科用器具は、ハンドルと、ハンドルから延びる1つ以上のロッドとを含むことができる。外科用器具は、折り畳み姿勢と展開姿勢との間で配置可能であり得る。技術は、人間の筋骨格系のあらゆる関節の関節キネマティクスを再建及び/又は改善するために使用され得る。
【0005】
本開示の例示的な態様による外科用器具は、特に、ハンドルと、ハンドルから延びる第1ロッドと、ハンドルから延びる第2ロッドとを含むことができる。第1及び第2ロッドの少なくとも一方は、折り畳み姿勢と展開姿勢との間で回転可能であり得る。第1及び第2ロッドは、展開姿勢よりも折り畳み姿勢において互いにより近くなり得る。
【0006】
本開示の例示的な態様による外科用器具は、特に、第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を提供するハンドルを含むことができる。第1ロッドは、ハンドルから延びることができ、第1開口部に受け入れることができる。第2ロッドは、第2開口部及び第3開口部に選択的に受け入れ可能であり得る。
【0007】
本開示の別の例示的な態様による、移植片を関節に取り付ける外科的方法は、特に、関節腔の外部で外科用器具上の移植片を丸めることを含み得る。外科用器具は、丸めた移植片と共にポータル(刺入点)から挿入され得る。移植片は、関節腔の内部で外科用ツールによって展開され得る。
【0008】
前段落、特許請求の範囲又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、それらの様々な態様又は個々の特徴のいずれかを含めて、単独で又はあらゆる組み合わせで用いることができる。一実施形態に関連して説明される特徴は、そのような特徴が相容れないものでない限り、全ての実施形態に適用可能である。
【0009】
本開示の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面は、以下のように簡単に説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】人間の筋骨格系の関節を示す。
【0011】
図2】例示的な外科用器具を示す。
【0012】
図3図2の例示的な外科用器具を示す。
【0013】
図4図2~3の例示的な外科用器具を示す。
【0014】
図5図2~4の例示的な外科用器具を示す。
【0015】
図6】別の例示的な外科用器具を示す。
【0016】
図7図6の例示的な外科用器具のハンドルの面を示す。
【0017】
図8】折り畳み姿勢にある図6~7の例示的な外科用器具を示す。
【0018】
図9】別の例示的な外科用器具を示す。
【0019】
図10】折り畳み姿勢にある図9の例示的な外科用器具を示す。
【0020】
図11】移植片を通る複数の縫合糸の回収及び通過を概略的に示す。
【0021】
図12】展開姿勢にある例示的な外科用器具における移植片の配置を概略的に示す。
【0022】
図13】折り畳み姿勢にある図10の例示的な外科用器具における移植片の配置を概略的に示す。
【0023】
図14】移植片及び図10の外科用器具が展開姿勢にある状態での、関節腔への移植片の送達を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、人間の筋骨格系の関節10を示す。関節10は、人体の筋骨格系のどの関節であってもよい。一実施形態では、関節10は肩の肩甲上腕関節である。関節10は、肩甲骨12及び上腕骨16を含む複数の骨を含む。これらの骨のいくつかは、互いに対して関節でつながる。例えば、関節10は、上腕骨16の頭部18と、頭部18を受け入れるように構成された肩甲骨12のカップ状のくぼみである関節窩14との間に形成された球関節を含む。
【0025】
被膜20は一般に、関節10を覆い、関節10の隣接する骨をまとめておく役割を果たす様々な筋肉、腱及び靱帯によって囲まれ、補強されている。関節10は、関節でつながる骨(例えば、上腕骨16及び関節窩14)、被膜20、又は他の周囲の筋肉、腱及び/又は靱帯の著しい破壊がある場合、不安定になり得る。一実施形態では、関節10は、広範囲の修復不可能な回旋腱板断裂に応答して不安定になり得る。
【0026】
本開示は、例えば広範囲の修復不可能な回旋腱板断裂又は他の損傷に応答して不安定な関節を再建するための関節キネマティクス再建術を説明する。肩関節の関節キネマティクス再建が、関節キネマティクス再建術の一例として本開示全体を通して説明されているが、本開示は、肩関節の再建に限定されることを意図していない。換言すれば、本明細書に記載した様々な技術を用いて、人間の筋骨格系のあらゆる関節の関節キネマティクスを再建及び/又は改善することができる。
【0027】
図2は、例えば関節キネマティクス再建術などの外科的処置において使用され得る例示的な外科用器具22を示す。外科用器具22は、ハンドル24と、ハンドル24から延びる第1ロッド26及び第2ロッド28とを含む。例示的なロッド26は、ハンドル24の開口部30に受け入れられ、移植片(図示せず)を受け入れるためにその遠位端34まで延びるスロット32を含むことができる。ロッド28は、開口部30から離間したハンドルの開口部36に受け入れられる。ロッド28は、移植片を受け入れるためにその遠位端40まで延びるスロット38を含むことができる。別の実施形態では、スロット32、38は遠位端まで延びていない。本実施例では移植片を受け入れるためにスロット32、38が利用されるが、いくつかの実施例では移植片をロッド26、28に取り付けるために図9~10に示すものを含む他の取り付け構造が使用され得る。
【0028】
図3は、ハンドル24の開口部36を通って延びる軸A1に沿って延びかつ軸A1内で回転可能なロッド28を有する例示的な外科用器具22を示す。ロッド28は、遠位端40から見てハンドル24の反対側にある、その近位端部分44の近くにノブ42を含む。ノブ42は、ロッド28に回転入力を与えるために操作することができる。例示的な外科用器具22では、ロッド26は固定されている。しかしながら、他の実施例では、両方のロッド26、28が回転可能であり得る。ロッド26、28の一方又は両方は、ロッド26、28に受け入れられている移植片を折り畳むために回転させてから、以下でさらに議論されるように、関節腔内などの移植部位に移植片を輸送することができる。移植片は、開口部(一例は関節鏡処置中のカニューレなどの関節鏡ポータル)からの挿入を容易にするために外科用器具22を用いて折り畳むことができる。
【0029】
ロッド28は、オフセット部分46を含むことができ、オフセット部分46は、オフセット部分46を通って延びる中心軸A2が軸A1から距離D1だけ離間されるように主要部分48からオフセットされている。オフセット部分46は、主要部分48の遠位にあり得る。しかしながら、他のオフセットの形態が本開示の範囲内で考えられる。一実施例では、主要部分48は、軸A1の周りで回転可能であり、ハンドル24に受け入れられる部分48Aと、ハンドル24から遠位に延びる部分48Bとを含む。例示的なロッド26は、オフセットを有していない。しかしながら、他の実施例では、ロッド26及び28の両方がオフセットを有し得る。ロッド26は、中心軸A3に沿って延びている。いくつかの実施例では、軸A1、A2、及びA3の2つ以上が実質的に平行であることができ、図示の実施例では、軸A1、A2、及びA3が実質的に平行である。
【0030】
図4は、外科用器具22の第1ロッド26及び第2ロッド28によって受け入れられている移植片49を示す。外科用器具22及び移植片49は、展開姿勢で示されている。一実施例では、展開姿勢において、ロッド28のオフセット部分46は、ロッド26、28による移植片49の取り扱い範囲が最大になるように、第1ロッド26から最大距離D2である。いくつかの実施例では、移植片49の展開姿勢は、処置中の移植片の所望の移植姿勢によく似ている。1つ以上のオフセットを利用することにより、距離D2をオフセットがない場合よりも大きくすることができ、これにより、処置中に移植片49を輸送して配置する際により優れた制御及び安定性が提供される。
【0031】
移植片49は、同種移植片又は自家移植片のいずれかを含むことができる。一実施形態では、移植片49は、無細胞皮膚細胞外マトリックスである。Arthrex社によって販売されているArthroFlex(登録商標)は、例示的な関節キネマティクス再建術を行うための使用に適した移植片49の一種である。
【0032】
図5は、外科用器具22の第1ロッド26及び第2ロッド28に折り畳み姿勢で受け入れられている移植片49を示す。ノブ42は、ロッド28を展開姿勢から折り畳み姿勢まで回転させるためにR方向に回転させることができる。折り畳み姿勢において、オフセット部分46は、図4に示した展開姿勢よりも第1ロッド26に近い。一実施例では、ノブ42は、1つ以上の突起47を含むことができ、ハンドル24は、回転限界で突起47と接触するように構成された1つ以上の突起51を含むことができ、回転限界は、あらゆる回転度に設定することができる。折り畳み姿勢において、移植片49及びロッド26、28は、距離D2(図4)より小さい直径又は幅を有する開口部を通して輸送され得る。
【0033】
図6は、別の例示的な外科用器具122を示す。外科用器具122は、ハンドル124に第2ロッド128を受け入れるための第3開口部150を含むことを除いて、外科用器具22と同様である。第1ロッド126は、ハンドル124の開口部130に固定されかつ受け入れられ得る。他の実施例では、第1ロッド126は開口部130内で回転可能である。第2ロッド128は、図示のように開口部136に受け入れ可能であり得、又は開口部136から除去され、次いで第3開口部150に挿入され得る。第2ロッド128の位置は、それぞれが第2ロッド128を受け入れることができる開口部136及び150を提供することによって調整することができる。いくつかの実施例では、この調整可能性は、オフセット部分146と第1ロッド126との間の所望の展開距離D3に基づいており、展開距離D3は、展開姿勢におけるオフセット部分146と第1ロッド126との間の最大幅である。実際の展開距離D3は、様々なサイズの移植片に対応するためにあらゆる寸法に設定することができる。いくつかの実施例では、第1ロッド126もオフセット部分を含み、距離D3は、展開姿勢にある第1ロッド126及び第2ロッド128のオフセット部分間の最大幅である。
【0034】
調整可能性は、追加的又は代替的に、主要部分148と第1ロッド126との間の所望の展開距離D4に基づくことができる。展開距離D4は、第1ロッド126と第2ロッド128の主要部分148との間の最大幅である。
【0035】
図示の実施例では、第2ロッド128は、オフセットを有する。しかしながら、他の実施例では、第1ロッド126が代替的にオフセットを有することができ、又は第1ロッド126及び第2ロッド128の両方がオフセットを有することができる。別の実施例では、ロッド126、128のうちのオフセットされていないものは、取り外し可能かつ交換可能なロッドである。
【0036】
図7は、ハンドル124の遠位面152の端面図を示す。第1ロッド126及び第2ロッド128は、見やすくするために図7では取り除かれている。開口部130の中心と開口部136の中心とは、距離D5だけ離れている。開口部130の中心と開口部150の中心とは、距離D6だけ離れている。開口部136の中心と開口部150の中心とは、距離D7だけ離れている。一実施例では、距離D5は距離D6と異なる。一実施例では、開口部130、136、150は、実質的に直線的に整列している。しかしながら、開口部130、136、150の直線でない配置を代替的に利用することができる。また、本実施例では3つの開口部を示しているが、他の実施例では4つ以上の開口部を使用することができる。
【0037】
図8は、折り畳み姿勢にある例示的な外科用器具122を示す。図示のように、一実施例では、オフセット部分146の一部は、折り畳み姿勢において第1ロッド126を越えて回転することができる。他の実施例では、オフセット部分146は、折り畳み姿勢において第1ロッド126を越えて回転しないか、又は第1ロッド126と実質的に一直線になるように回転する。したがって、外科用器具122の調整可能性は、追加的に又は代替的に、折り畳み姿勢に配置されたときのロッド126、128間の所望の展開距離D8に基づくことができる。オフセット部分146が折り畳み姿勢において第1ロッド126を越えて回転する図示の実施例では、距離D8は、ロッド128の主要部分148とオフセット部分146の最大幅である。距離D8は、他の要因の中でもとりわけ、使用される関節鏡ポータルのサイズに基づいて選択され得る。
【0038】
図9は、展開姿勢にある例示的な外科用器具222を示す。本実施例では、ロッド226は軸A3の周りで回転可能であり、ロッド228は軸A1の周りで回転可能である。いくつかの実施例では、両方のロッド226、228が0~90度の間で回転可能である。他の実施例では、ロッド226、228の一方を固定することができる。本実施例では、ロッド226はオフセット部分245を含み、ロッド228はオフセット部分246を含む。他の実施例では、ロッド226、228の一方のみがオフセット部分を含む。ロッド226は、オフセット部分245に設けることができる縫合糸スロット232を含む。ロッド228は、オフセット部分246に設けることができる縫合糸スロット238を含む。本実施例では、各ロッド226、228は2つの縫合糸スロット232、238を含むが、それより多いか又は少ない縫合糸スロットを利用することができる。縫合糸スロット232、238は、移植片に取り付けることができる、1つ以上の縫合ストランド、縫合テープ、あらゆる他の縫合糸様製品、又はあらゆる糸状材料を受け入れるように構成される。一実施例では、縫合糸が移植片の四隅に取り付けられ、縫合糸はスロット232、238に受け入れられる。
【0039】
各縫合糸スロット232、238は、それぞれのロッド226、228に沿って延びる細長い部分270と、細長い部分270を横切ってそれぞれのロッド226、228の外側面まで延びるアクセス部分272とを含むことができる。いくつかの実施例では、縫合糸は、アクセス部分272を通してロッド226、228に受け入れられ、細長い部分270に固定される。
【0040】
図10は、折り畳み姿勢にある例示的な外科用器具222を示す。ロッド226、228は、オフセット部分245及び246が展開姿勢にあるときよりも互いにより近くなるように回転される。
【0041】
例示的な外科用器具22/122/222は、関節キネマティクス再建術において利用され得る。これらの技術は、例えば、優れた被膜再建を含み得る。他の実施例では、例示的な外科用器具22/122/222は、移植片が骨に対して配置され得るあらゆる技術で利用され得る。
【0042】
図11に示すように、外科医は、関節腔356内に様々な縫合糸354を固定するための所望のポジショニングを選択することによって、例示的な関節キネマティクス再建術300を開始することができる。縫合糸354の固定位置は、外科医の好みに基づいて選択することができ、修復される関節の関節キネマティクスを最も良く元の状態に戻すように選択される。縫合糸354は、個々の縫合ストランド、複数の縫合ストランド、縫合テープ、あらゆる他の縫合糸様製品、又はあらゆる糸状材料を含むことができる。縫合糸354は、様々な縫合糸アンカー358を用いて関節腔356の内部に固定することができる。いくつかの実施例では、ドリル、パンチ、及び/又は他のツール(図示せず)などを用いて、縫合糸アンカー358を受け入れるために任意選択で穴360が事前に形成され得る。
【0043】
縫合糸354を取り付けるために任意の数の縫合糸アンカー358を関節腔356の内部に固定することができ、本開示は、本実施形態に示す特定の数の縫合糸アンカーに限定されない。使用される縫合糸アンカー358の実際の数は、手術に特有のものであり、不安定な関節の1つ又は複数の骨への移植片の固定を達成するために必要な縫合糸アンカーの最小数として定量化され得る。
【0044】
移植片349は、不安定な関節を再建するために使用することができる。移植片349を貫通して、穴360の間隔に対応する穴362を打ち抜くことができる。穴362は、移植される縫合糸アンカー358に取り付けられる縫合糸354を収容するように配向されかつ構成される。穴362は、移植片349を関節腔356の内部の適所に輸送し、引っ張り、動かし、又は他の方法で操作するときに、縫合糸354が移植片349に対して摺動することを可能にする。
【0045】
図11に示すように、移植片349は最初に、その移植姿勢によく似るように、関節腔356と無関係の位置又は関節腔356の外部の位置で位置合わせされ、配向される。次いで、関節腔356の内部に既に固定されている縫合糸354が、それぞれの移植されている縫合糸アンカー358から取り出され、カニューレ364を通して外側に引っ張られ、次いで、移植片349が関節腔356の外部に位置する間に移植片349を通して挿入され得る。移植片349のそれぞれの穴362は、1つ以上の縫合糸354を収容するように構成される。当業者は、関節鏡処置を行うために必要とされる様々な関節鏡ポータルを配置することができるであろう。別の実施形態では、縫合糸354は、関節腔356から1つずつ(すなわち、順番に)取り出され、移植片349の適切な穴362に通され、次いで、カニューレ364を通してさらなる縫合糸354を往復させる前に張力がかけられる。他の実施形態では、1つ以上の縫合糸354を、移植片349が関節腔356に輸送された後に移植片349に通すことができる。
【0046】
図12は、関節腔356に対してカニューレ364の外側で移植片349を受け入れる外科用器具322を示す。外科用器具322は、展開姿勢にあり、移植片349をそのよく似た移植姿勢で受け入れる。図示の実施例では、ロッド326、328は、移植片349に対して開口部362の内側に配置される。別の実施例では、ロッド326、328は、移植片349に対して開口部362の外側に配置され得る。図9~10を参照すると、この姿勢にあるいくつかの実施例では、移植片349に通した縫合糸354は、ロッド326、328の縫合糸開口部に受け入れられる。図6~8に示す実施形態を参照すると、いくつかの実施例では、第1ロッド326及び第2ロッド328の一方は、移植片349又関節腔356の寸法に対するロッド326、328の所望の間隔に基づいて、ハンドル324の開口部内で調整可能であり得る。
【0047】
図13は、関節腔356に対してカニューレ364の外側で移植片349を受け入れ、折り畳み姿勢に回転された外科用器具を示す。ロッド328は、外科用器具322及び移植片349が折り畳み姿勢になるように回転されている。他の実施例では、一方又は両方のロッド326及び328がオフセット部分を有する実施例を含めて、両方のロッド326及び328を回転させることができる。折り畳み姿勢において、ロッド326、328及び移植片349は、移植片349を関節腔356に輸送するためにカニューレ364の開口部366を通り抜けることができる。したがって、移植片349は、開口部366を通って、折り畳み姿勢で関節腔356に輸送される。いくつかの実施例では、挿入前に、外科医が手で、移植片349の端部368に更なる折り畳みを設けることができる。
【0048】
図14は、関節腔356に輸送された後の関節腔356内の移植片349を示す。図示のように、外科用器具322は、今や展開姿勢に回転され、移植片349がその移植姿勢で配置されることを可能にする。すなわち、ロッド326、328及び移植片349がカニューレ364を通して輸送された後、ロッド328は、移植片349をその移植姿勢での配置のために広げるべく展開姿勢へと回転される。次いで、ロッド326、328は、例えば、いくつかの実施例では、ロッド326、328のスロット(図示せず)から移植片349を取り外すことによって、又はロッド326、328の縫合糸スロット(図示せず)から縫合糸354を取り外すことによって、移植片349から解放することができる。縫合糸354の張力付与は、移植片349を配置するためのロッド326、328の解放の前及び/又は後に起こり得る。次いで、移植片349を関節の骨に固定することができる。
【0049】
様々な実施形態は特定の構成要素を有するものとして示されているが、本開示の実施形態はそれらの特定の組み合わせに限定されない。実施形態のいずれかからの構成要素又は特徴のいくつかを、他の実施形態のいずれかからの構成要素又は特徴と組み合わせて使用することが可能である。
【0050】
同様の符号がいくつかの図面を通して対応する又は同様の要素を特定していることを理解されたい。また、これらの例示的な実施形態では、特定の構成要素の配置が開示及び図示されているが、他の配置もまた本開示の教示から利益を得ることができることを理解されたい。
【0051】
前述の説明は、限定的な意味ではなく、例示的なものとして解釈されるものとする。当業者は、特定の修正が本開示の範囲内に入り得ることを理解するであろう。これらの理由から、本開示の真の範囲及び内容を決定するために、以下の請求項を検討すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14