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特許7441181ナプロキセンとプレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメート薬品複合体の結晶形態
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  • 特許-ナプロキセンとプレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメート薬品複合体の結晶形態 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ナプロキセンとプレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメート薬品複合体の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07C 269/04 20060101AFI20240221BHJP
   C07C 269/08 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 271/22 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 9/08 20060101ALN20240221BHJP
   A61K 31/27 20060101ALN20240221BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20240221BHJP
   A61K 47/10 20170101ALN20240221BHJP
   A61K 47/26 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 19/02 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 19/08 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 25/02 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 25/04 20060101ALN20240221BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
C07C269/04
C07C269/08
C07C69/96 CSP
C07C271/22
A61K9/08
A61K31/27
A61K45/00
A61K47/10
A61K47/26
A61P19/02
A61P19/08
A61P21/00
A61P25/02
A61P25/04
A61P29/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020563950
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 CN2019086809
(87)【国際公開番号】W WO2019219000
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/086755
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520438707
【氏名又は名称】エックスジーン ファーマシューティカル インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】アイ,シンミャオ
(72)【発明者】
【氏名】スー,フェン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リ
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0243544(US,A1)
【文献】平山令明編,有機化合物結晶作製ハンドブック -原理とノウハウ-,丸善株式会社,2008年07月25日,pp.57-84
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年01月15日,pp.20-25
【文献】小嶌隆史,医薬品開発における結晶性選択の効率化を目指して,薬剤学,2008年09月01日,Vol.68, No.5,pp.344-349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される(S)-3-(((((R)-1-(((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイル)オキシ)エトキシ)カルボニル)アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸
【化1】
の化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
化合物4で表される(S)-((R,S)-1-((2-フルオロフェノキシ)カルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート
【化2】
を、プレガバリン
【化3】
と反応させることを含む、プロセス。
【請求項2】
塩基を使用することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記塩基は、トリエチルアミンであることを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩基は、15±5℃の温度にて化合物4とプレガバリンに加えられることを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記温度は、前記塩基が加えられるとすぐに、25±3℃まで上げられることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記式Iの化合物は、再結晶化の後に得られることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記式Iの化合物は、イソプロパノールと水の中で再結晶化されることを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
化合物4で表される(S)-((R,S)-1-((2-フルオロフェノキシ)カルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート
【化4】
、ナプロキセン
【化5】
と、化合物3で表される1-クロロエチル(2-フルオロフェニル)カーボネート
【化6】
の反応から調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
CuOを使用することをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
トルエンを使用することをさらに含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応は、115±5℃にて行われることを特徴とする、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
1-(((2-フルオロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル(2S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート
【化7】
である、化合物。
【請求項13】
(R)-1-(((2-フルオロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル(S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート
【化8】
である、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この特許出願は、2018年5月14日に提出されたPCT出願No.PCT/CN2018/086755の利益を主張し、それは、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(S)-3-(((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸((S)-3-(((R)-1-((S)-2-(6-methoxynaphthalen-2-yl)propanoyloxy)ethoxy)carbonyl-amino)methyl)-5-methylhexanoic acid)はプレガバリンとナプロキセンの薬品複合体である。
【0003】
薬品のアモルファスと結晶形態は様々な物理的/化学的性質および/または生物学的利用能を持っている。あらゆる結晶性の物質の重要な特徴は多形性のふるまいである。多形体は、結晶格子が分子の異なる配置を包含しているため、様々な物性を持っている、同じ分子の結晶である。多形体によって示された様々な物理的性質は、保管、安定性、圧縮性、密度、および溶解速度などの製薬のパラメーターに影響する。これらの性質は薬物製品の製剤、生産、および生物学的利用能において重要である。多形体間の可溶性の差は、極限状況において、効力が欠如するか、または望ましくない毒性さえある、結晶形態への転移を結果としてもたらす場合がある。加えて、結晶形態の物理的性質は、製薬の加工において重要な場合がある。
【0004】
それでもなお、(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸の同質異像に対するニーズがある。本発明は、このニーズに焦点を当てるとともに、関連する利点も提供する。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、プレガバリンとナプロキセンの複合体である、((S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(「式Iの化合物」)の結晶形態を含む組成物が本明細書において提供される。動物研究において、式Iの化合物は、経口投薬の後、効率的に吸収され、吸収と同時に急速にナプロキセンとプレガバリンに変換された。前臨床医学的な毒理学および健康なボランティアの安全性薬理研究、および第I相臨床研究は、式Iの化合物がナプロキセンとプレガバリンへの接触に期待される以外の薬学的効果を引き起こさないことを実証する。
【0006】
【化1】
【0007】
1つの態様において、本発明は、式Iの化合物の結晶形態を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)ピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および、20.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする。
【0008】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする。
【0009】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、9.3、9.8、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、19.9、20.4、20.6、21.4、21.7、22.4、22.9、23.7、23.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、27.6、29.7、および、31.3度2θにあることを特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態において、結晶形態は約90%以上の化学的純度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態の化学的純度は、HPLC分析によって測定される。いくつかの実施形態において、結晶形態は約90%以上の対掌体の純度を有する。いくつかの実施形態において、結晶形態は約90%以上のジアステレオマー純度を有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、結晶形態は約100℃から約140℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、結晶形態は、約110℃から約130℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、結晶形態は、約118℃から約121℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、結晶形態は、約119℃から約121℃の範囲に融点がある。
【0012】
いくつかの実施形態において、組成物は、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含む。
【0013】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示される結晶形態を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は固体剤形である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、カプセルである。いくつかの実施形態において、医薬組成物は液体である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は懸濁液である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は水性懸濁液である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は結晶形態の水溶液を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、結晶形態を生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール溶液、またはそれらの組み合わせに溶かした溶液を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は静脈内投与用である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書において、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、安定化剤、増粘剤、平滑剤、および着色剤から成る群から選択される1つ以上の賦形剤を含む、医薬組成物がさらに提供される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含む。
【0015】
別の態様において、本開示は被験体における疾患を予防するかまたは処置するためのキットを提供し、該キットは本開示の組成物または医薬組成物、およびキットを使用するための説明書を含む。いくつかの実施形態において、被検体は動物である。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。いくつかの実施形態において、疾患は疼痛または炎症性疾患である。いくつかの実施形態において、疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患は関節炎である。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも1つの付加的な治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤である。いくつかの実施形態において、本開示の組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用する。いくつかの実施形態において、本開示の組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用する。
【0016】
別の態様において、本開示は、被験体の疾患を処置、または予防する方法を提供し、ここで、該方法は被験体に本開示の組成物または医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。いくつかの実施形態において、疾患は疼痛または炎症性疾患である。いくつかの実施形態において、疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患は関節炎である。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される処置の方法は、被験体に少なくとも1つの付加的な治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤である。いくつかの実施形態において、本開示の組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用する。いくつかの実施形態において、本開示の組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用する。いくつかの実施形態において、本開示の組成物または医薬組成物、および少なくとも1つの付加的な治療剤は、同時に投与される。
【0018】
別の態様において、本開示は、式Iの化合物の結晶形態を製造する方法を提供し、該方法は:(i)式Iの化合物の溶液を得るために溶媒に式Iの化合物を含む組成物を溶かす工程;および、(ii)前記溶液から式Iの化合物の結晶形態を単離する工程、を含む。いくつかの実施形態において、得られた結晶形態は、XRPDピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および、20.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、得られた結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、得られた結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、得られた結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする。
【0019】
いくつかの実施形態において、溶かす工程は式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を雰囲気温度より高い温度まで温めることを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を雰囲気温度より低い温度まで冷却することを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を約0℃と25℃の間の温度まで冷却することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される式Iの化合物の結晶形態を製造する方法は、式Iの化合物の溶液に付加的な溶媒を加える工程をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、溶媒は極性プロトン性溶媒を含む。例えば、いくつかの実施形態において、溶媒はイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態において、溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を約40℃から還流温度あたりの温度まで温めることを含む。いくつかの実施形態において、付加的な溶媒はアルカンを含む。いくつかの実施形態において、付加的な溶媒は、ヘプタンを含む。いくつかの実施形態において、溶媒と付加的な溶媒は約1:2から約1:3(v/v)の体積比で使用される。
【0022】
いくつかの実施形態において、溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、比率に、ヘプタンと酢酸エチルを体積比約10:1で含む。いくつかの実施形態において、溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を約50℃の温度から還流温度あたりの温度まで温めることを含む。いくつかの実施形態において、溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を約70℃の温度まで温めることを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、溶媒はメチルシクロヘキサン、メチルt-ブチルエーテル、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、メチルシクロヘキサンとメチルt-ブチルエーテルを体積比約10:1で含む。いくつかの実施形態において、溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を約20℃から約40℃の温度まで温めることを含む。
【0024】
様々な実施形態において、本明細書において提供される式Iの化合物の結晶形態を製造する方法は、種結晶形態を式Iの化合物の溶液へ導入する工程をさらに含む。
【0025】
本明細書に開示されるのは式I:
【0026】
【化2】
の化合物の結晶形態である。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)ピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および20.6度2θにあることを特徴とする。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、9.3、9.8、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、19.9、20.4、20.6、21.4、21.7、22.4、22.9、23.7、23.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、27.6、29.7、および、31.3度2θにあることを特徴とする。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、約90%より高い化学的純度を有する。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態の化学的純度は、HPLC分析によって測定される。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、約90%より高いエナンチオマー純度を有する。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は、約90%より高いジアステレオマー純度を有する。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は約100℃から約140℃の範囲に融点がある。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は約100℃から約130℃の範囲に融点がある。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は約118℃から約121℃の範囲に融点がある。結晶形態のいくつかの実施形態において、結晶形態は約119℃から約121℃の範囲に融点がある。結晶形態のいくつかの実施形態において、組成物は、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含む。
【0027】
本明細書に開示される結晶形態を含む医薬組成物もまた、本明細書に開示される。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は固体剤形である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物はカプセルである。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は懸濁液である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は水性懸濁液である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は液体である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は結晶形態の水中の水溶液を含む。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、生理食塩水中の結晶形態の水溶液、デキストロース水性溶液、グリセロール溶液、またはそれらの組み合わせを含む。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は静脈内投与用である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用である。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、安定化剤、増粘剤、平滑剤、および着色剤から成る群から選択される1つ以上の賦形剤を含む。医薬組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含む。
【0028】
被験体における疾患を予防または処置するためのキットもまた本明細書に開示され、該キットは、本明細書に開示される結晶形態、または本明細書に開示される医薬組成物、およびキットを使用するための説明書を含む。キットのいくつかの実施形態において、被検体は動物である。キットのいくつかの実施形態において、被検体はヒトである。キットのいくつかの実施形態において、疾患は疼痛または炎症性疾患である。キットのいくつかの実施形態において、疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛である。キットのいくつかの実施形態において、炎症性疾患は関節炎である。キットのいくつかの実施形態において、キットは少なくとも1つの付加的な治療剤をさらに含む。キットのいくつかの実施形態において、少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤である。キットのいくつかの実施形態において、結晶形態または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用する。キットのいくつかの実施形態において、結晶形態または医薬組成物および少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用する。
【0029】
被験体の疾患を処置または予防する方法もまた、本明細書に開示され、該方法は、本明細書に開示される医薬組成物を被験体に投与する工程を含む。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、被験体はヒトである。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、疾患は疼痛または炎症性疾患である。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛である。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、炎症性の疾患は関節炎である。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、方法は被験体に少なくとも1つの付加的な治療剤を投与することをさらに含む。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤である。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用する。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用する。疾患を処置または予防する方法のいくつかの実施形態において、医薬組成物および少なくとも1つの付加的な治療剤は、同時に投与される。
【0030】
本明細書において、式I:
【0031】
【化3】
の化合物の結晶形態を製造する方法もまた開示され、該方法は:
(i)式Iの化合物の溶液を得るために、溶媒に式Iの化合物を溶かす工程;および、
(ii)前記溶液から式Iの化合物の結晶形態を単離する工程、を含む。
【0032】
前記方法のいくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および、20.6度2θにあることを特徴とする。前記方法のいくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする。前記方法のいくつかの実施形態において、結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする。前記方法のいくつかの実施形態において、結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする。前記方法のいくつかの実施形態において、前記溶かす工程は、式Iの化合物と溶媒を、雰囲気温度より高い温度まで温めることを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を雰囲気温度より低い温度まで冷却することを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を約0℃と25℃の間の温度まで冷却することを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、方法は付加的な溶媒を式Iの化合物の溶液に加える工程をさらに含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒は極性のプロトン性溶媒を含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒はイソプロパノールを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、前記溶かす工程は、式Iの化合物と溶媒を、約40℃から還流温度あたりの温度まで温めることを含む。方法の幾つかの実施形態において、付加的な溶媒はアルカンを含む。方法の幾つかの実施形態において、付加的な溶媒は、ヘプタンを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒と付加的な溶媒は、体積比約1:2から約1:3(v/v)で使用される。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物を含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒は、プタンと酢酸エチルを体積比約10:1で含む。前記方法のいくつかの実施形態において、前記溶かす工程は、式Iの化合物と溶媒を、約50℃から還流温度あたりの温度まで温めることを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、前記溶かす工程は、式Iの化合物と溶媒を、約70℃まで温めることを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒は、メチルシクロヘキサン、メチルt-ブチルエーテル、またはそれらの混合物を含む。前記方法のいくつかの実施形態において、溶媒は、メチルシクロヘキサンとメチルt-ブチルエーテルを体積比約10:1で含む。前記方法のいくつかの実施形態において、前記溶かす工程は、式Iの化合物と溶媒を、約20℃から約40℃の温度まで、温めることを含む。前記方法のいくつかの実施形態において、方法は、種結晶形態を式Iの化合物の溶液へ導入する工程をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】式Iの化合物の結晶形態のX線粉末回折図を示す。
図2】式Iの化合物の結晶形態のFT-IRスペクトルを示す。
図3】式Iの化合物の結晶形態のDSC&TGAオーバーレイスペクトルを示す。
図4】式Iの化合物のX線構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
他に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。
【0035】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「and」、及び「the」は、内容が他に明確に示していない限り、複数の参照を含む。
【0036】
「薬学的に許容可能なビヒクル」は、式Iの化合物が投与される希釈液、補助剤、賦形剤または担体を指す。
【0037】
「患者」は動物、例えばヒトなどの哺乳動物を指す。本明細書に記載される方法は、ヒトへの治療および獣医学的な適用の両方に有用であり得る。いくつかの実施形態では、患者は哺乳動物であり、いくつかの実施形態では、患者はヒトである。用語「患者」および「被験体」は、交換可能に使用される。
【0038】
「予防する」または「予防」は、疾患または障害を得るリスクの減少(つまり、その疾患に晒された、または罹患しやすい患者において、疾患の臨床症状の少なくとも1つが進行せずに、患者が依然としてその疾患の症状を発症または発現しないこと)を指す。
【0039】
「薬品複合体」は、化学的リンカーによって不安定な化学的結合で結合された生物学的に活性のある薬品を指す。典型的には、リンカーは、酵素的、または、非酵素的手段によって生体内で開裂される結合を介して薬品に付随する。
【0040】
あらゆる疾患もしくは障害を「処置すること」、または、あらゆる疾患もしくは障害の「処置」は、一実施形態において、疾患または障害を改善すること(つまり、疾患またはそれらの臨床症状の少なくとも1つの進行を妨げること、または低減させること)を指す。別の実施形態において、「処置すること」または「処置」は、患者によって識別可能ではないかもしれない少なくとも1つの物理的パラメーターを改善することを指す。さらに別の実施形態において、「処置する」または「処置」は、疾患または障害を物理的に阻害すること(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に阻害すること(例えば、物理的パラメーターの安定化)、またはその両方を指す。さらに別の実施形態において、「処置する」ことまたは「処置」は疾患または障害の発症を遅らせることを指す。
【0041】
「治療有効量」は、疾患を処置するために患者に投与された時に、疾患に対するそのような処置に効果のある十分な量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患とその重篤度および処置される患者の年齢、体重などによって異なり得る。
【0042】
「溶媒和物」は、薬学的に許容可能な溶媒の1つ以上の分子と物理的な関連付けにある化合物(例えば、本明細書において記載されるような化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩)を指す。
【0043】
「結晶形態」および「多形体」は、本明細書において交換可能に使用され、特定の結晶形態またはアモルファスに言及しない限り、例えば、多形体、擬多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、および、アモルファスを含む化合物の、結晶形態とアモルファスをすべて、その混合物と同様に、含むことを意図する。本発明の化合物は、例えば、化合物の多形体、擬多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、および、化合物のアモルファス形態を、それらの混合物と同様に、含む、それらの化合物の結晶形態とアモルファス形態を含む。
【0044】
用語「共投与」、「~と組み合わせて投与される」、およびそれらの文法上の同等物は、本明細書において使用されるとき、被験体への2以上の薬剤の投与を包含しており、それにより、薬剤および/またはそれらの代謝物質が、同時に被験体に存在する。共投与は、別々の組成物における同時投与、別々の組成物における異なる時間での投与、または両方の薬剤が中に存在する組成物における投与を含む。
【0045】
本明細書において詳述された化合物の薬学的に許容可能な形態は、薬学的に許容可能な塩、キレート、非共有結合型錯体、プロドラッグ、およびそれらの混合物を含む。特定の実施態様では、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。従って、「化学成分(chemical entity)」、および「化学成分(複数/chemical entities)」という用語もまた、薬学的に許容可能な塩、キレート、非共有結合型錯体、プロドラッグ、および混合物を包含する。
【0046】
組成物が多形体の混合物として存在する時、個々の多形性の構成要素のパーセンテージは、限定されないが、固体状態NMR、IR、およびXRPDを含む、当該技術分野において周知の1つ以上の手法によって決定され得る。
【0047】
以下の略語は以下の意味を持っている。略語が定義されない場合、一般に許容される意味が適用される。
Atm:雰囲気
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DIPA:ジイソプロピルアミン
DMAP:DMAP4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF:DMFN,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
g:グラム
h:時間
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
L:リットル
LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析
M:モル
min:分
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロミド
THF:テトラヒドロフラン
TFA:トリフルオロ酢酸
TLC:薄層クロマトグラフィー
TMS:トリメチルシリル
μL:マイクロリットル
μM:マイクロロモル
v/v:体積対体積
【0048】
好ましい実施形態がここで詳細に言及されるだろう。好ましい実施形態は記載されるが、本発明がそれらの好ましい実施形態に限定されないことは理解されるだろう。これとは逆に、本発明は、いずれかの請求項によって定義されるような本発明の精神と範囲内に含まれ得るような代替物、修飾、および等価物をも包含することを意図している。
【0049】
式I((S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸の化合物の結晶形態およびそれらの調合物
本明細書において記載された化学成分は、一般に周知の合成法の適切な組み合わせによって一般に合成することができる。これらの化学成分を合成するのに役立つ手法は、本開示に基づいて、関連する技術の当業者にとって即座に明白であり、かつ利用可能である。随意に置換された出発化合物および他の反応物の多くは、例えば、Aldrich Chemical Company(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)から、市販で入手可能であり、または、容易に普通に利用される合成方法論を用いて、当業者によって調製することができる。
【0050】
本発明に記載の方法で作られた結晶形態は、当該技術によるどのような方法論でも特徴づけられ得る。例えば、本発明の方法に従って作られた結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、ホットステージ顕微鏡検査法、および、分光法(例えばラマン、固体核磁気共鳴(ssNMR)、および赤外線(IR))によって特徴付けられ得る。
【0051】
XRPD
本発明による結晶形態は、X線粉末回折パターン(XRPD)によって特徴付けられる場合がある。XRPDピークの相対強度は、利用される粒径、サンプル調製手法、サンプル載置手順、および、特定の器具によって異なり得る。さらに、器具のバリエーションと他の因子は、2θの値に影響し得る。従って、XRPDピーク割付はプラスまたはマイナス約0.3度ずつ変化し得る。
【0052】
DSC
本発明による結晶形態は、図3に示されるようなその特徴的な示差走査熱量計(DSC)のトレースによって特定することができる。DSCについては、観察された温度がサンプル調製手法および利用された特定の器具と同様に、温度変化率にも依存するであろうことは知られている。従って、DSCサーモグラムに関して本明細書に報告された値はプラスまたはマイナス約4℃変化し得る。
【0053】
TGA
本発明の結晶形態は、アモルファス材料または別の多形相のそれと異なる温度特性を生じる場合がある。温度特性は熱重量分析(TGA)によって実験室において測定されてもよく、それは、何らかの多形相と他のものを区別するために使用される場合がある。1つの態様において、結晶形態は熱重量分析によって特徴付けられる場合がある。
【0054】
本発明の結晶形態は、医薬調合物の生成に役立ち、結晶形態および半結晶形態を生成するための結晶化プロセス、または、アモルファス形態を得るための凝固プロセスによって得ることができる。様々な実施形態において、結晶化は、反応混合物において式Iの化合物を生成し、および、反応混合物から所望の多形体を単離すること、または、随意に熱を用いて生の化合物を溶媒に溶かし、その後冷却(能動的な冷却を含む)することによって、および/または、ある期間逆溶媒を追加することによって、生成物を結晶化/凝固させること、のどちらかによって実行される。結晶化または凝固に続いて、目的の多形相において水および/または溶媒が所望の含有量に到達するまで、制御された状態のもとに乾燥が実行される。
【0055】
式Iの化合物の典型的な結晶形態、およびそれを作る方法は、本明細書において詳細に開示される。本明細書において記載された方法が、立体異性体または式Iに、またそのアイソトープで標識された誘導体(例えば、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、など)にも同様に適合することは理解されるに違いない。
【0056】
1つの態様において、本発明は、式Iの化合物の結晶形態を作る方法、または、式Iの化合物の再結晶化によって薬学的に許容可能な塩および/または溶媒和物を作る方法に関する。式Iの化合物はあらゆる適用可能な方法によって合成することができる。例えば、式Iの化合物は、Feng Xu,International Publication No.WO2010/042759に記載された方法に従って調製することができ、その全体が、引用によって本明細書に組み込まれる。さらに、式Iの化合物の典型的な調製法は、以下の実施例1および実施例2に記載されている。式Iの化合物の単離および精製は、所望により、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは厚層クロマトグラフィー、またはこれらの手順の組み合わせなどの、あらゆる適切な分離もしくは精製の手順によって達成することができる。適切な分離および単離手順の具体的な実例は、以下の実施例1および実施例2に詳述される。しかしながら、周知の分離または単離手順も使用することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、これらの方法によって調製されるような式Iの化合物は、凍結乾燥の後に、オフホワイトまたは白色の固形物としてアセトニトリル水溶液から単離される。これらの方法によって得られる式Iの化合物は、部分的に、または、全体的に、アモルファスであり得る。さらに、これらの方法によって得られた式Iの化合物は、吸湿性かもしれない、特定のアルカリ金属塩の形態であり得る。
【0058】
アモルファス固体は、かさ密度が少ないため、薬学的加工条件下で取り扱うことが難しい。さらに、吸湿性の固体の取り扱いは、一層、特殊な技術と装置を必要とする。またさらに、吸湿性の医薬品は、防湿層がある特別な容器で包装されるはずであり、そのことは、そのような製品のコストをかなり増加させる。従って、製薬の加工および医薬組成物において有利に使用され得る優れた物理化学的性質を伴う式Iの結晶形態に対するニーズは存在する。
【0059】
結晶化に先立ち、式Iの化合物は、約50~100%の、例えば、約60%~100%、約70%~100%、約80%~100%、または、約90%~100%の範囲の化学的純度で単離され得る。いくつかの実施形態において、結晶化に先立ち、式Iの化合物は、90%より高い、91%より高い、92%より高い、93%より高い、94%より高い、95%より高い、96%より高い、97%より高い、98%より高い、または、99%より高い化学的純度で単離される。いくつかの実施形態において、結晶化に先立ち、式Iの化合物は100%に近似する化学的純度で単離される。
【0060】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は式Iの化合物の再結晶化によって調製される。いくつかの実施形態において、再結晶化は、溶液または懸濁液を形成するために式Iの化合物を溶媒に加えることを含む。本開示において使用されるように、溶液、懸濁液、という用語は交換可能に使用され、式Iの化合物が溶解度にかかわらず溶媒または溶媒混合物内にある状況を含むことを意図する。再結晶化に使用される溶媒は、均質な溶媒、溶媒の組み合わせ、または、式Iの化合物が温度依存性溶解度を示す、溶媒または溶媒の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、再結晶化に使用される溶媒は、式Iの化合物が第1の温度範囲内では可溶性であり、第2の温度範囲内では難溶性である、溶媒または溶媒の組み合わせである。いくつかの実施形態において、再結晶化に使用される溶媒は、「優れた」溶媒と「逆溶媒」の混合物である。
【0061】
適切な「優れた」溶媒の非限定的な例は、有機アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1,2-プロパンジオール、t-ブタノール、n-ブタノール、イソプロパノール)、酢酸、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、1,2,ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、メチルt-ブチルエーテル、クロロベンゼン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、クメン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、2-エトキシエタノール、1,2,エタンジオール、ギ酸エチル、2-メトキシエタノール、1-ペンタノール、アニソール、ジクロロメタン、シスおよびトランス1,2-ジクロルエチレン、クロロホルム、ジメチルアセトアミド、酢酸プロピル、および、それらの混合を含む。
【0062】
適切な「逆溶媒」の非限定的な例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどのアルカン、シス-デカリンまたはトランス-デカリン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、およびそれらの混合物を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、溶解プロセスは上昇された温度で実行される。いくつかの実施例において、再結晶化溶媒系における式Iの化合物の溶解は、約40~90℃、50~90℃、60~90℃、70~90℃、80~90℃、40~80℃、50~80℃、60~80℃、70~80℃、40~70℃、50~70℃、60~70℃、40~60℃、50~60℃、または、40~50℃の温度で実行される。いくつかの実施例において、溶解の温度はおよそ室温から再結晶化溶媒の沸点以下の範囲内の温度である。従って、いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、加熱、および、随意に揺動または撹拌を伴って、溶媒または溶媒混合物に溶かされる。式Iの化合物の完全溶解を確かなものにするために、温められた溶液は、上昇された温度で保たれる場合がある。温められた溶液は、あらゆる溶解しない構成要素を除去するために、上昇された温度で濾過される場合もある。いくつかの実施形態において、溶解後溶液は、濾過および/または乾燥によって残存溶媒から分離されてもよい式Iの結晶形態をもたらすために、ゆっくり冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は約-25℃から約25℃の温度まで、例えば、約-15℃から約25℃、約0℃から約25℃、約-15℃から約15℃、または、約-5℃から約5℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は、約0~30℃、5~30℃、10~30℃、15~30℃、20~30℃、25~30℃、0~20℃、5~20℃、10~20℃、15~20℃、18~20℃、0~10℃、5~10℃、または、0~5℃の温度に冷却される。
【0064】
いくつかの実施形態において、得られた式Iの化合物の結晶形態は、さらに乾燥され得る。乾燥は、大気圧または減圧下で、大気温度または上昇された温度で、行なわれ得る。
【0065】
結晶化技術の当業者に周知の他の方法(例えば、溶媒蒸発、ドラウニングアウト(drowning-out)、化学反応、少量の所望の結晶形態を種付けすること、など)も、式Iの化合物の結晶形態を提供するために利用される場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、イソプロパノール(例えばイソプロパノール)を含む溶媒に式化合物の化合物を溶かす工程を包含する。いくつかの実施形態において、溶かされる式Iの化合物の量と使用される溶媒の量の比は、約10:1から約1:10w/vの範囲内、例えば、約9:1から約1:10、約8:1から約1:10、約7:1から約1:10、約6:1から約1:10、約5:1から約1:10、約4:1から約1:10、約3:1から約1:10、約2:1から約1:10、約1:2から約1:10、約1:3から約1:10、約1:4から約1:10、約1:5から約1:10、約1:6から約1:10、約1:7から約1:10、約1:8から約1:10、または、約1:9から約1:10 w/vの範囲内である。いくつかの実施形態において、溶かされる式Iの化合物の量と使用される溶媒の量の比は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10w/vである。
【0067】
いくつかの実施形態において、溶かされる式Iの化合物の量と使用される溶媒の量の比は、約1:2w/vである。いくつかの実施例において、イソプロパノールを含む溶媒に式Iの化合物を溶かす工程は、約20℃とおよそ還流温度の間の温度で実行され、例えば、約20℃~80℃、約20℃~70℃、約20℃~60℃、約20℃~50℃、約20℃~40℃、約20℃~30℃、約30℃~80℃、約30℃~70℃、約30℃~60℃、約30℃~50℃、約30℃~40℃、約40℃~80℃、約40℃~70℃、約40℃~60℃、約40℃~50℃、約50℃~80℃、約50℃~70℃、約50℃~60℃、約60℃~80℃、約60℃~70℃、または、約70℃~80℃で実行される。いくつかの実施例において、イソプロパノールを含む溶媒に式Iの化合物を溶かす工程は、約40℃の温度で、例えば、約30℃~50℃、または約35℃~45℃の温度で実行される。
【0068】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、イソプロパノールを含む溶媒中にある式Iの化合物の溶液に逆溶媒を追加する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、逆溶媒はアルカン、例えば、ヘプタンである。いくつかの実施形態において、加えられるヘプタンの量とイソプロパノールを含む溶媒の量の比は、約10:1から約1:1v/vの間であり、例えば、9:1~8:1、9:1~7:1、9:1~6:1、9:1~5:1、9:1~4:1、9:1~3:1、9:1~2:1、9:1~1:1、8:1~7:1、8:1~6:1、8:1~5:1、8:1~4:1、8:1~3:1、8:1~2:1、8:1~1:1、7:1~6:1、7:1~5:1、7:1~4:1、7:1~3:1、7:1~2:1、7:1~1:1、6:1~5:1、6:1~4:1、6:1~3:1、6:1~2:1、6:1~1:1、5:1~4:1、5:1~3:1、5:1~2:1、5:1~1:1、4:1~3:1、4:1~2:1、4:1~1:1、3:1~2:1、3:1~1:1、または、2:1~1:1v/vである。いくつかの実施形態において、加えられたヘプタンの量とイソプロパノールを含む溶媒の量の比は、約6:1から約5:1v/vの間であり、例えば、5.5:1v/vである。
【0069】
いくつかの実施形態において、逆溶媒(例えば、ヘプタン)は、ある期間にわたって、ゆっくりと(例えば1滴ずつ)加えられる。いくつかの実施形態において、逆溶媒は、約5時間から約1分の期間加えられ、例えば、約4.5時間~1分、4時間~1分、3.5時間~1分、3時間~1分、2.5時間~1分、2時間~1分、1.5時間~1分、1時間~1分、45分~1分、30分~1分、15分~1分、5分~1分、5時間~15分、4.5時間~15分、4時間~15分、3.5時間~15分、3時間~15分、2.5時間~15分、2時間~15分、1.5時間~15分、1時間~15分、45分~15分、30分~15分、5時間~30分、4.5時間~30分、4時間~30分、3.5時間~30分、3時間~30分、2.5時間~30分、2時間~30分、1.5時間~30分、1時間~30分、45分~30分、5時間~45分、4.5時間~45分、4時間~45分、3.5時間~45分、3時間~45分、2.5時間~45分、2時間~45分、1.5時間~45分、1時間~45分、5時間~1時間、4.5時間~1時間、4時間~1時間、3.5時間~1時間、3時間~1時間、2.5時間~1時間、2時間~1時間、1.5時間~1時間、5時間~2時間、4.5時間~2時間、4時間~2時間、3.5時間~2時間、3時間~2時間、2.5時間~2時間、5時間~2.5時間、4.5時間~2.5時間、4時間~2.5時間、3.5時間~2.5時間、3時間~2.5時間、5時間~3時間、4.5時間~3時間、4時間~3時間、3.5時間~3時間、5時間~3.5時間、4.5時間~3.5時間、4時間~3.5時間、5時間~4時間、4.5時間~4時間、5時間~4.5時間、加えられる。いくつかの実施形態において、逆溶媒は、約2時間~約5分の期間にわたって、例えば、約1時間にわたって、加えられる。
【0070】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、逆溶媒(例えばヘプタン)の追加の後に、式Iの化合物の溶液を冷却することをさらに包含している。いくつかの実施形態において、溶液は約0℃から約30℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、その溶液は少なくとも約0℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、その溶液は最高で約30℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は、約0℃~約5℃、約0℃~約10℃、約0℃~約15℃、約0℃~約20℃、約0℃~約25℃、約0℃~約30℃、約5℃~約10℃、約5℃~約15℃、約5℃~約20℃、約5℃~約25℃、約5℃~約30℃、約10℃~約15℃、約10℃~約20℃、約10℃~約25℃、約10℃~約30℃、約15℃~約20℃、約15℃~約25℃、約15℃~約30℃、約20℃~約25℃、約20℃~約30℃、または、約25℃~約30℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、または、約30℃まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は約15℃から約25℃の温度まで、または、例えば、約20℃まで冷却される。
【0071】
いくつかの実施形態において、溶液は、約5時間から約1分の間、この温度で維持され、例えば、約4.5時間~1分、4時間~1分、3.5時間~1分、3時間~1分、2.5時間~1分、2時間~1分、1.5時間~1分、1時間~1分、45分~1分、30分~1分、15分~1分、5分~1分、5時間~15分、4.5時間~15分、4時間~15分、3.5時間~15分、3時間~15分、2.5時間~15分、2時間~15分、1.5時間~15分、1時間~15分、45分~15分、30分~15分、5時間~30分、4.5時間~30分、4時間~30分、3.5時間~30分、3時間~30分、2.5時間~30分、2時間~30分、1.5時間~30分、1時間~30分、45分~30分、5時間~45分、4.5時間~45分、4時間~45分、3.5時間~45分、3時間~45分、2.5時間~45分、2時間~45分、1.5時間~45分、1時間~45分、5時間~1時間、4.5時間~1時間、4時間~1時間、3.5時間~1時間、3時間~1時間、2.5時間~1時間、2時間~1時間、1.5時間~1時間、5時間~2時間、4.5時間~2時間、4時間~2時間、3.5時間~2時間、3時間~2時間、2.5時間~2時間、5時間~2.5時間、4.5時間~2.5時間、4時間~2.5時間、3.5時間~2.5時間、3時間~2.5時間、5時間~3時間、4.5時間~3時間、4時間~3時間、3.5時間~3時間、5時間~3.5時間、4.5時間~3.5時間、4時間~3.5時間、5時間~4時間、4.5時間~4時間、5時間~4.5時間、の間、この温度で維持される。いくつかの実施形態において、溶液は約5時間を超える時間、この温度で維持され、例えば、約6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、または、20時間、この温度で維持される。いくつかの実施形態において、その溶液は約1時間、この温度で維持される。いくつかの実施形態において、その溶液は、約15℃から約25℃の温度まで、または、例えば、20℃まで冷却され、約1時間、この温度で維持される。いくつかの実施形態において、その溶液は第1のより低い温度まで冷却され、第1の期間その温度で維持され、その後、第2の温度まで冷却され、および、第2の期間、第2の下げられた温度で維持される。いくつかの実施形態において、溶液は約15℃から約25℃の温度まで、例えば、約20℃まで、冷却され、約1時間この温度で維持され、および次に、約0~10℃まで冷却され、そして約15時間その温度で維持される。
【0072】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、得られた結晶形態を洗浄すること、および/または、濾過することをさらに包含する。洗浄することは、あらゆる適切な溶媒によって、例えば、イソプロパノール、ヘプタン、またはそれらの混合物を含む溶媒によって、実行することができる。いくつかの実施形態において、得られた結晶形態は、ヘプタンで洗浄される。
【0073】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、酢酸エチル、ヘプタン、または、それらの混合物を含む溶媒に式Iの化合物を溶かす工程を包含する。いくつかの実施形態において、溶媒における、ヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は約20:1から約1:20v/vであり、例えば、溶媒におけるヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は約20:1である。いくつかの実施形態において、溶媒における、ヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は、少なくとも約1である。いくつかの実施形態において、溶媒における、ヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は、多くとも約20である。いくつかの実施形態において、溶媒におけるヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は、約20:15、約20:10、約20:5、約20:1、約15:10、約15:5、約15:1、約10:5、約10:1、または約5:1である.いくつかの実施形態において、溶媒におけるヘプタンの量と酢酸エチルの量の比は、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15、または約1:20ある。いくつかの実施形態において、ヘプタンの量と溶媒におけるヘプタンの量の比は、v/vで約10:1である。いくつかの実施形態において、ヘプタンおよび酢酸エチルを含む溶媒への式Iの化合物の溶解は、雰囲気温度の上の温度で、例えば、約50℃とおよそ還流温度の間の温度で、行われる。いくつかの実施形態において、溶解は、約50℃~80℃、約60℃~80℃、約70℃~80℃、約50℃~70℃、約60℃~70℃、または、約50℃~60℃で実行される。いくつかの実施形態において、溶解は約70℃の温度で実行される。
【0074】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、ヘプタンおよび酢酸エチル中の式Iの化合物の溶液を約0℃から約30℃の温度まで冷却することを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、ヘプタンおよび酢酸エチル中の式Iの化合物の溶液を少なくとも約0℃の温度まで冷却することを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、ヘプタンおよび酢酸エチル中の式Iの化合物の溶液を最高で約30℃の温度まで冷却することを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、ヘプタンおよび酢酸エチル中の式Iの化合物の溶液を、約0℃~約5℃、約0℃~約10℃、約0℃~約15℃、約0℃~約20℃、約0℃~約25℃、約0℃~約30℃、約5℃~約10℃、約5℃~約15℃、約5℃~約20℃、約5℃~約25℃、約5℃~約30℃、約10℃~約15℃、約10℃~約20℃、約10℃~約25℃、約10℃~約30℃、約15℃~約20℃、約15℃~約25℃、約15℃~約30℃、約20℃~約25℃、約20℃~約30℃、または、約25℃~約30℃の温度まで冷却することを含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、式Iの化合物がヘプタンおよび酢酸エチル中にある溶液を約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、または約30℃の温度まで冷却することを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、得られた結晶形態を洗浄すること、および/または、濾過することをさらに包含する。洗浄することは、あらゆる適切な溶媒によって、例えば、酢酸エチル、および/またはヘプタン、を含む溶媒によって、実行することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、メチルシクロヘキサン、および/または、メチルt-ブチルエーテルに式Iの化合物を溶かす工程を包含する。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、メチルシクロヘキサンとメチルt-ブチルエーテルの混合物に式Iの化合物を溶かす工程を包含している。メチルシクロヘキサンの量とメチルt-ブチルエーテルの量の比は、約1:1から約30:1v/vの間であり得る。いくつかの実施形態において、メチルシクロヘキサンの量とメチルt-ブチルエーテルの量の比は、少なくとも約1であり得る。いくつかの実施形態において、メチルシクロヘキサンの量とメチルt-ブチルエーテルの量の比は、多くとも約30である。いくつかの実施形態において、メチルシクロヘキサンの量とメチルt-ブチルエーテルの量の比は、約1:5、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約5:10、約5:15、約5:20、約5:25、約5:30、約10:15、約10:20、約10:25、約10:30、約15:20、約15:25、約15:30、約20:25、約20:30、または、約25:30であり得る。いくつかの実施形態において、メチルシクロヘキサンの量とメチルt-ブチルエーテルの量の比は、約1、約5、約10、約15、約20、約25、または約30であり得る。
【0077】
メチルシクロヘキサンおよび/またはメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒への式Iの化合物の溶解は、約10℃と約60℃の間の温度で実行される。いくつかの実施形態において、溶解は少なくとも約10℃の温度で実行される。いくつかの実施形態において、溶解は最高で約60℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、溶解は、約10℃~約15℃、約10℃~約20℃、約10℃~約25℃、約10℃~約30℃、約10℃~約35℃、約10℃~約40℃、約10℃~約45℃、約10℃~約50℃、約10℃~約55℃、約10℃~約60℃、約15℃~約20℃、約15℃~約25℃、約15℃~約30℃、約15℃~約35℃、約15℃~約40℃、約15℃~約45℃、約15℃~約50℃、約15℃~約55℃、約15℃~約60℃、約20℃~約25℃、約20℃~約30℃、約20℃~約35℃、約20℃~約40℃、約20℃~約45℃、約20℃~約50℃、約20℃~約55℃、約20℃~約60℃、約25℃~約30℃、約25℃~約35℃、約25℃~約40℃、約25℃~約45℃、約25℃~約50℃、約25℃~約55℃、約25℃~約60℃、約30℃~約35℃、約30℃~約40℃、約30℃~約45℃、約30℃~約50℃、約30℃~約55℃、約30℃~約60℃、約35℃~約40℃、約35℃~約45℃、約35℃~約50℃、約35℃~約55℃、約35℃~約60℃、約40℃~約45℃、約40℃~約50℃、約40℃~約55℃、約40℃~約60℃、約45℃~約50℃、約45℃~約55℃、約45℃~約60℃、約50℃~約55℃、約50℃~約60℃、または、約55℃~約60℃、の温度で実行される。いくつかの実施形態において、溶解は、約10℃、15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、または、約60℃の温度で実行される。いくつかの実施形態において、溶解は、約20℃から約40℃の温度で実行される。
【0078】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物を含む組成物の再結晶化は、メチルシクロヘキサンとメチルt-ブチルエーテル中の式Iの化合物の溶液を約0℃から約30℃の温度まで冷却することをさらに含む。いくつかの実施形態において、その溶液は少なくとも約0℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、その溶液は最高で約30℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は、約0℃~約5℃、約0℃~約10℃、約0℃~約15℃、約0℃~約20℃、約0℃~約25℃、約0℃~約30℃、約5℃~約10℃、約5℃~約15℃、約5℃~約20℃、約5℃~約25℃、約5℃~約30℃、約10℃~約15℃、約10℃~約20℃、約10℃~約25℃、約10℃~約30℃、約15℃~約20℃、約15℃~約25℃、約15℃~約30℃、約20℃~約25℃、約20℃~約30℃、または、約25℃~約30℃の温度まで冷却される。いくつかの実施形態において、溶液は、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、または、約30℃まで冷却される。いくつかの実施形態において、結晶性の(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸を提供するために、溶液は約0℃から約25℃の温度に冷却される。
【0079】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の再結晶化は、得られた結晶形態を濾過すること、および/または、洗浄することをさらに包含する。洗浄することは、あらゆる適切な溶媒によって、例えば、メチルシクロヘキサン、および/または、メチルt-ブチルエーテルを含む溶媒によって、実行することができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法によって得られる式Iの化合物の結晶形態は、8.6度±0.3度、15.5度±0.3度、16.4度±0.3度、17.9度±0.3度、および、20.6度±0.3度に特性吸収ピークを有する。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、少なく1つの付加的な特性吸収ピークを有し、該ピークは、6.4度±0.3度、9.3度±0.3度、9.8度±0.3度、17.2度±0.3度、17.5度±0.3度、19.9度±0.3度、20.4年の度±0.3度、21.4度±0.3度、21.7度±0.3度、22.4度±0.3度、22.9度±0.3度、23.7度±0.3度、23.9度±0.3度、24.3度±0.3度、25.0度±0.3度、25.6度±0.3度、26.4度±0.3度、26.9度±0.3度、27.6度±0.3度、29.7度±0.3度、および、31.3度±0.3度、にあるピークから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、6.4度±0.3度、8.6度持っている±0.3度、9.3度±0.3度、9.8度±0.3度、15.5度±0.3度、16.4度±0.3度、17.2度±0.3度、17.5度±0.3度、17.9度±0.3度、19.9度±0.3度、20.4度±0.3度、20.6度±0.3度、21.4度±0.3度、21.7度±0.3度、22.4度±0.3度、22.9度±0.3度、23.7度±0.3度、23.9度±0.3度、24.3度±0.3度、25.0度±0.3度、25.6度±0.3度、26.4度±0.3度、26.9度±0.3度、27.6度±0.3度、29.7度±0.3度、および、31.3度±0.3度に特性吸収ピークを有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法によって得られた式Iの結晶形態は、X線粉末回折図において、8.6度±0.3度、15.5度±0.3度、16.4度±0.3度、17.9度±0.3度、および、20.6度±0.3度に特性吸収ピークを有する。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態のX線粉末回折図は、少なくとも1つの付加的な特性吸収ピークを有し、該ピークは、6.4度±0.3度、9.3度±0.3度、9.8度±0.3度、17.2度±0.3度、17.5度±0.3度、19.9度±0.3度、20.4度±0.3度、21.4度±0.3度、21.7度±0.3度、22.4度±0.3度、22.9度±0.3度、23.7度±0.3度、23.9度±0.3度、24.3度±0.3度、25.0度±0.3度、25.6度±0.3度、26.4度±0.3度、26.9度±0.3度、27.6度±0.3度、29.7度±0.3度、および、31.3度±0.3度にあるピークから成る分類群から選択される。他の実施形態において、式Iの結晶形態は、X線粉末回折図において、6.4度±0.3度、8.6度±0.3度、9.3度±0.3度、9.8度±0.3度、15.5度±0.3度、16.4度±0.3度、17.2度±0.3度、17.5度±0.3度、17.9度±0.3度、19.9度±0.3度、20.4度±0.3度、20.6度±0.3度、21.4度±0.3度、21.7度±0.3度、22.4度±0.3度、22.9度±0.3度、23.7度±0.3度、23.9度±0.3度、24.3度±0.3度、25.0度±0.3度、25.6度±0.3度、26.4度±0.3度、26.9度±0.3度、27.6度±0.3度、29.7度±0.3度、および、31.3度±0.3度に特性吸収ピークを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法によって得られた式Iの結晶形態のX線粉末回折図は、図1に示されるX線粉末回折と本質的に同一である。
【0082】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、100℃から140℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、約110℃から約130℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、約115℃から約125℃の範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、約117℃から約123℃までの範囲に、例えば、約118℃から約122℃までの範囲に融点がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、約119℃から約121℃の範囲に融点がある。
【0083】
治療用途
式Iの結晶形態および/または医薬組成物は、被験体の疾患の処置のために使用され得る。適切な被験体は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類(限定されないが、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、またはサルを含む)、げっ歯動物(限定されないが、マウス、ラット、モルモット、または、アレチネズミを含む)イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ラビット、または、ヤギであり得る。いくつかの実施形態において、被験体は哺乳動物であり、例えば、ヒトである。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与されることで、神経異常、癲癇、または、疼痛を処置し、限定されないが、該疼痛は、中枢に伝わる疼痛、末梢に伝わる疼痛、構造的または軟部組織損傷に関連する疼痛、進行性の疾患に関連する疼痛(つまり腫瘍学的)、筋骨格の疼痛、および、神経障害性の疼痛状態を含み、それらのすべては、急性(つまり、急性損傷または外傷、手術全後の、片頭痛などの頭痛)、慢性(つまり、糖尿病の末梢神経障害、および、帯状疱疹後神経痛などの神経障害性の疼痛症状)、および、炎症性症状(つまり、骨の、またはリウマチ性の関節炎、急性損傷または外傷の後遺症)の疼痛状態を含み、前記結晶形態はさらに、うつ病、不安、精神病、浮動性めまい発作、運動低下、頭蓋の障害、神経変性の障害、パニック、不眠症、胃腸障害、依存性の障害(例えばエタノール、コカイン)、下肢不安症候群、を処置する。
【0085】
他の実施形態において、本発明の結晶形態は、神経異常、癲癇、疼痛になりやすい体質を含む様々な障害に対する予防(preventative/prophylactic)手段として、哺乳動物に、例えばヒトに、投与され、様々な障害は、限定されないが、疼痛であって、中枢に伝わる疼痛、末梢に伝わる疼痛、構造的または軟部組織損傷に関連する疼痛、進行性の疾患に関連する疼痛(つまり腫瘍学的)、筋骨格の疼痛、および、神経障害性の疼痛状態を含み、それらのすべては、急性(つまり、急性損傷または外傷、手術全後の、片頭痛などの頭痛)、慢性(つまり、糖尿病の末梢神経障害、および、帯状疱疹後神経痛などの神経障害性の疼痛症状)、および、炎症性症状(つまり、骨の、またはリウマチ性の関節炎、急性損傷または外傷の後遺症)の疼痛状態を含み得る、疼痛、うつ病、不安、精神病、浮動性めまい発作、運動低下、頭蓋の障害、神経変性の障害、パニック、不眠症、胃腸障害、依存性の障害(例えばエタノール、コカイン)、および、下肢不安症候群、を含む。
【0086】
さらなる実施形態において、本発明の結晶形態は、1つの障害の予防のために使用され、および、同時に上記の別の障害の処置のために使用され、例えば、結晶形態は、精神病または依存症の予防、および、疼痛の処置のために使用することができる。または、例えば、結晶形態は、疼痛の予防のために、および、炎症性疾患の処置のために使用することができる。または、例えば、結晶形態は、炎症性疾患の予防および疼痛の処置のために使用することができる。
【0087】
疼痛(例えば、神経障害性の疼痛、および、筋骨格の疼痛)、炎症性疾患(例えば、関節炎)の処置における、本発明の結晶形態またはその医薬組成物の適切性は、当該技術分野で周知の方法によって決定される場合がある。典型的な方法は、例えば、米国特許第5,563,175号、米国特許第6,001,876号、米国特許第6,028,214号、米国特許第6,117,906号、米国特許第8,268,887号、国際出願公開第WO 1992/09560号、国際出願公開第WO 1993/23383号、国際出願公開第WO 1997/29101号、国際出願公開第1997/33858号、国際出願公開第1997/33859号、国際出願公開第 WO 1998/ 17627号、国際出願公開第WO 1999/08671号、国際出願公開第WO 1999/21824号、国際出願公開第WO 1999/31057号、国際出願公開第WO 1999/37296号、国際出願公開第WO 1999/31075号、国際出願公開第W0 1999/61424号、国際出願公開第WO 2000/23067号、国際公開第WO 2000/31020号、国際公開第WO 2000/50027号、および、国際公開WO 2002/00209号、に見られ、これらの各々はその全体を引用することによって本明細書に組み込まれる。
【0088】
本発明の結晶形態および/またはその医薬組成物は、当該技術分野で記載された手法を使用して、疼痛(例えば、神経障害性の疼痛、および、筋骨格の疼痛)、および/または、炎症性疾患(例えば、関節炎)を処置または予防するために使用されてもよい。本明細書に開示される結晶形態は、開示された結晶形態がインビボでナプロキセンおよびプレガバリンの両方を放出するため、疼痛(例えば、神経障害性の疼痛および筋骨格の疼痛)、または炎症性疾患(例えば、関節炎)の処置、または予防において、対応するアモルファスおよび/または親薬物分子(プレガバリンおよび/またはナプロキセン)よりも効果的であり得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、各々の親薬品が血液中で治療効果のある濃度に達するための量よりも、少ない量しか必要とされない場合があり、つまり、理論によって制限されずに、本明細書に開示される式Iの化合物の結晶形態は、胃腸の内腔から血液中へと吸収される前に安定しており、その後、血液中で、ナプロキセンおよびプレガバリンを放出するように加水分解される、と考えられる。従って、本明細書において開示される式Iの化合物の結晶形態は、経口摂取されたとき、ナプロキセンと比較してGI毒性がより少ない。例えば、ナプロキセンなどのNSAIDは、COX-1およびCOX-2酵素の両方を非選択的に阻害すると考えられる。これはプロスタグランジン合成および白血球活性化の阻害を結果としてもたらす。プロスタグランジンは炎症を誘発する信号分子として体中で働く。従って、COX-1/2の阻害によって、ナプロキセンは抗炎症効果、および、鎮痛効果を誘発する。非特異的なNSAIDに誘発されるGI損傷の主な理由は、重炭酸、プロスタグランジンの生成を低下させ、胃の粘膜上皮を直接破損させ、修復プロセスを害することによる粘膜関門の破壊が原因であると提唱されている。その損傷は、上部GIシステムに対するNSAIDの全身および局所の効果の正味の効果である。しかしながら、多くの研究は、ナプロキセン濃縮などの高いNSAIDの局所暴露が、GI損傷(例えば潰瘍または出血)を引き起こす際に、全身曝露に匹敵する重大な役割を果たすことを示唆した(Banoob,D. W.; et al.,Ann Pharmacother. 2002,36(1)、163-6; Petroski,D.; Clin Ther. 1993,15(2)、314-20; Van,G. A.; et al.,Dig. Dis. Sci. 1993,38(11)、1970-7; D’Haens,G.; et al.,J. Clin. Gastroenterol. 1993,17(3)、207-12. 34. Ivey,K. J.; et al.,Dig Dis Sci.,1980,25(2)、97-99)。興味深いことに、吸収プロセスの間、プロドラッグ戦略を用いてNSAIDの生物活性を「マスクする」ことによって、GI損傷を著しく最小限にすることができる(Ruchita,S.; et al,Curr Drug Deliv.,2017,14(1)、16-26)。ナプロキセンとの比較において、本明細書に開示される結晶形態は、完全なまま胃腸管に沿う腸壁をわたって吸収され、従って、ナプロキセンによって誘発されるGIの副作用は著しく低減され得る。
【0090】
式Iの化合物の結晶形態は、疼痛(例えば、神経障害性の疼痛、および筋肉と骨格の疼痛)、帯状疱疹後神経痛、炎症性疾患(例えば、関節炎)の処置または予防において、ナプロキセンおよびプレガバリンの単独療法よりも効果的な場合がある(Haruhiko N.; et al.,J. Med. Sci.,2012,28,59-68; Seiji Ohtori,at el. Yonsei Med. J. 2013,54(5)、1253-1258; Carlo Luca Romano,et al,J. Orthopaed Traumatol,2009,10,185-191)。
【0091】
医薬組成物
対象の医薬組成物は、典型的に、有効成分として、本発明の結晶形態の、または薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはそれらの誘導体は、治療有効量を提供するために製剤化される。所望される場合、医薬組成物は、本明細書に開示される結晶形態、または、薬学的に許容可能な塩および/またはそれらの配位化合物と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤、不活性固体の希釈剤および充填剤を含む担体、無菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤、および、アジュバントとを含有する。
【0092】
対象の医薬組成物は、単独で、または1つ以上の他の剤と組み合わせて投与することができ、典型的に医薬組成物の形で投与される。所望されるに応じて、本発明の結晶形態および他の剤は、調合物へ混合される場合があり、または、両方の構成要素は、それらを併用して別々にまたは同時に使用するために、個別の調合物へ製剤化される場合がある。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物における式Iの結晶形態の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または、0.0001% w/w、w/v、またはv/v、未満である。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物における式Iの結晶形態の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、1.25%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003% 0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%w/w、w/v、またはv/v、より高い。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物における式Iの結晶形態の濃度は、およそ0.0001%からおよそ50%、およそ0.001%からおよそ40%、およそ0.01%からおよそ30%、およそ0.02%からおよそ29%、およそ0.03%からおよそ28%、およそ0.04%からおよそ27%、およそ0.05%からおよそ26%、およそ0.06%からおよそ25%、およそ0.07%からおよそ24%、およそ0.08%からおよそ23%、およそ0.09%からおよそ22%、およそ0.1%からおよそ21%、およそ0.2%からおよそ20%、およそ0.3%からおよそ19%、およそ0.4%からおよそ18%、およそ0.5%からおよそ17%、およそ0.6%からおよそ16%、およそ0.7%からおよそ15%、およそ0.8%からおよそ14%、およそ0.9%からおよそ12%、およそ1%からおよそ10%w/w、w/v、またはv/v、の範囲にある。
【0096】
いくつかの実施形態において、医薬組成物1mL中の式Iの結晶形態の量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、または0.0001g以下である。
【0097】
いくつかの具体化では、医薬品組成物の1mLの中の式Iの結晶性形態の量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、または、10gより多い。
【0098】
いくつかの実施形態において、医薬組成物1mL中の式Iの結晶形態の量は、0.0001~10g、0.0005~9g、0.001~8g、0.005~7g、0.01~6g、0.05~5g、0.1~4g、0.5~4g、または1~3gの範囲にある。
【0099】
本発明による式Iの結晶形態は、広い投与量範囲にわたって効果的である。例えば、成人のヒトの処置において、1日につき0.01から1000mg、0.5から100mg、1から50mg1、および1日につき5から40mgの投与量が、使用され得る投与量の例である。典型的な投与量は1日につき100から2000mgである。正確な投与量は、投与経路、式Iの結晶形態が投与される形態、処置される被験体、処置される被験体の体重、および主治医の優先度および経験によるであろう。
【0100】
以下に、非限定的で典型的な医薬組成物および同組成物を調製するための方法が記載される。
【0101】
経口投与のための医薬組成物
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の式Iの結晶形態を含んでいる経口投与用の医薬組成物、および、経口投与のために適切な製薬の賦形剤を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)本発明の式Iの結晶形態の有効量;随意に、(ii)第2剤の有効量;および、(iii)経口投与に適した1つ以上の薬学的賦形剤、を含有する、経口投与用の固体の医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は(iv)第3剤の有効量、をさらに含有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口摂取に適した液体の医薬組成物であり得る。経口投与に適している本発明の医薬組成物は、各々が、粉末として、または果粒剤、溶液、または水性あるいは非水性の液体中の懸濁液、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンに、有効成分の所定量を含有している、カプセル剤、カシェ剤、または錠剤、または、液剤またはエアロゾルのスプレーなどの、離散的な剤形として提供され得る。そのような剤形は、いずれの薬学的方法によっても調製することができるが、すべての方法は、1つ以上の必須成分を構成するように、有効成分を担体に結びつける工程を含む。一般に、組成物は、有効成分を液体担体または細かく分割された固体担体、あるいはその両方と、一様かつ密に混合することによって調製され、そして、必要に応じて、生成物から所望の体裁に形成される。例えば、錠剤は随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成型によって調製され得る。圧縮錠剤は、限定されないが、結合剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、および/または、界面活性剤、または分散剤などの、賦形剤と随意に混合された、粉末剤または果粒剤などの、自由流動性の形態の有効成分を適切な機械において圧縮することによって調製することができる。成型された錠剤は、粉末化された化合物を不活性の液体希釈剤で湿らせた混合物を適切な機械で成型することによって作ることができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、経口の送達のための医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、果粒剤、粉末剤、エマルジョン、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態をとる場合がある。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能なビヒクルは経口のカプセルである。
【0105】
経口投与される組成物は、薬学的に快い調合物を提供するために、例えば、果糖、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤、ペパーミント、ウインターグリーン油のなどの香料、チェリー着色剤、および保存剤などの、1つ以上の任意の薬剤を含有し得る。さらに、錠剤またはピルの形態であるとき、医薬組成物は、腸管における崩壊および吸収を遅らせるために、コーティングされ、それによって長期間にわたって保持される作用がもたらされる合がある。浸透活性のある駆動化合物を囲む選択的透過膜もまた、本明細書に開示される化合物および組成物の経口投与に適している。これらの後者のプラットフォームにおいて、駆動化合物はカプセル剤を取り囲む環境から液体を吸収し、開口を通して薬剤または薬剤組成物を排出するように膨張する。これらの送達プラットフォームは、即時放出のスパイクがあるプロファイルとは反対に、本質的に0次の送達プロファイルを提供し得る。モノステアリン酸グリセロール、またはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料が使用されてもよい。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム、二酸化ケイ素などの、標準的なビヒクルを含み得る。そのようなビヒクルは、好ましくは医薬品グレードである。例えば、懸濁液、エリキシル剤、および溶液などの、経口用液体調合物に適した担体、賦形剤、または希釈剤は、水、食塩水、アルキレングリコール類(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキルエングリコール油(例えば、ポリエチレングリコール油)、アルコール、pH 4からpH 6の間の弱酸性の緩衝剤(例えば、約5mMから約50mMの間のアセテート、シトレート、アスコーベイト)などを含む。加えて、香料、保存料、着色剤、胆汁塩、アシルカルニチンなどが加えられてもよい。
【0106】
本発明は、式Iの結晶形態を含む無水の医薬組成物および剤形をさらに包含する。本発明の無水の医薬組成物および剤形は、無水の、または少ない湿気を含有する成分を使用して、および、少ない湿気の、または低湿度の状況で調製することができる。製造、包装、および/または保管の間に湿気および/または湿度との相当な接触が想定される場合、ラクトースを包含している本発明の医薬組成物および剤形は無水にすることができる。無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように、調製されており保存され得る。従って、無水組成物は、適切な処方キットにそれらを含むことができるように、水への露出を予防することが知られる材料を使用して包装される場合がある。適切な包装の例は、限定されないが、密封された箔やプラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、ストリップパックを含む。
【0107】
式Iの結晶形態は、従来の薬学的な合成の技術によって、薬学的担体と密接に混合して組み合わせる事ができる。担体は、投与のために望まれる調合物の形態に応じて種々様々な形態をとることができる。経口剤形のために組成物を調製することにおいて、通常の薬学的媒質のうちのいずれも、例えば、経口用の液体調合物(懸濁液、溶液およびエリキシル剤などの)、またはエアロゾル剤の場合には、水、グリコール、油、アルコール、香料、保存料、着色剤などと、担体として利用することができ;または、経口用の固形調合物の場合には、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、および崩壊剤などの担体は、ラクトースを使用しないいくつかの実施形態において、使用され得る。例えば、適切な担体は、固体の経口用調合物と共に、粉末剤、カプセル剤、および錠剤を含む。所望の場合、錠剤は標準的な水性または非水性の手法によってコーティングすることができる。
【0108】
医薬組成物および剤形の用途に適した結合剤は、限定されないが、コーンスターチ、バレイショデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギナート、トラガント粉末、グアーガムなどの天然および合成ゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、およびそれらの混合物を含む。
【0109】
本明細書に開示される医薬組成物および剤形の用途に適した充填剤の例は、限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、果粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、およびそれらの混合物を含む。
【0110】
水性環境に晒された時に崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物に崩壊剤が使用されてもよい。多すぎる崩壊剤は、ボトル内で崩壊するかもしれない錠剤をもたらす場合がある。少なすぎると、崩壊が起きるのに不十分かもしれず、故に、剤形から有効成分が放出される速度および範囲を変えてしまう場合がある。従って、少なすぎることも多すぎることもないがために有効成分の放出を有害に変更することがない崩壊剤の十分な量は、本明細書に開示される多形体の剤形を形成するために使用され得る。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプおよび投与の様式に基づいて、異なる場合があり、および、当業者に容易に識別可能であり得る。崩壊剤の約0.5から約15重量パーセント、または、崩壊剤の約1から約5重量パーセントが、医薬組成物において使用されてもよい。本発明の形態医薬組成物および剤形に使用することができる崩壊剤は、限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、他のデンプン、α化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、またはそれらの混合物を含む。
【0111】
本発明の医薬組成物および剤形を形成するために使用され得る潤滑剤は、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウレエート(ethyl laureate)、寒天、および、それらの混合物を含む。付加的な潤滑剤は、例えば、サイロイドシリカゲル、合成シリカの凝結エアロゾル、または、それらの混合を含む。潤滑剤は、医薬品組成物の約1重量パーセント未満の量で随意に加えることができる。
【0112】
いくつかの場合において、膠質粒子は、少なくとも1つのカチオン剤と、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、または、ステアリン酸ポリオキシルなどの、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの場合において、カチオン剤は、アルキルアミン、第三アルキルアミン、第四アンモニウム化合物、カチオン脂質、アミノアルコール、ビグアニジン(biguanidine)塩、カチオン性化合物、または、それらの混合物である。いくつかの場合において、カチオン剤は、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン(polyaminopropyl biguanidine)、フェンホルミン、アルキルビグアニジン(alkylbiguanidine)などのビグアニジン塩、またはそれらの混合物である。いくつかの場合において、第四アンモニウム化合物は、ハロゲン化ベンズアルコニウムハロゲン化ラウルアルコニウム(lauralkonium halide)、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium halide)、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム(tetradecyltrimethylammonium halide)、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム(dodecyltrimethylammonium halide)、ハロゲン化セトリモニウム(cetrimonium halide)、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘナルコニウム(behenalkonium halide)、ハロゲン化セトアルコニウム(cetalkonium halide)、ハロゲン化セテチルジモニウム(cetethyldimonium halide)、ハロゲン化セチルピリジニウム(cetylpyridinium halide)、ハロゲン化ベンゾドデシニウム(benzododecinium halide)、ハロゲン化クロロアリルメテナミン、ハロゲン化ミリスチルアルコニウム(rnyristylalkonium halide)、ハロゲン化ステアルアルコニウム(stearalkonium halide)、または2つ以上のそれらの混合物である。いくつかの場合において、カチオン剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウルアルコニウム(lauralkonium chloride)、臭化ベンゾドデシニウム(benzododecinium bromide)、塩化ベンズエテンイウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide)、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム(tetradecyltrimethylammonium bromide)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、または2つ以上のそれらの混合物である。いくつかの場合において、油相は、鉱油および軽油、中鎖トリグリセライド(MCT)、やし油;硬化綿実油、硬化パーム油、硬化ヒマシ油、または、硬化大豆油を含む、硬化油;ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル60硬化ヒマシ油、またはポリオキシル100硬化ヒマシ油を含む、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体である。
【0113】
水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与用に所望されるとき、その中の有効成分は、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または染料、および所望されるならば、乳化剤および/または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびそれらの組み合わせなどの希釈剤と一緒に、混合され得る。
【0114】
錠剤は、胃腸管において崩壊と吸収を遅らせ、それによってより長い期間にわたって持続する作用を提供するため、周知の手法によってコーティングされない、または、コーティングされる場合がある。例えば、モノステアリン酸グリセリル、または、グリセリルジステアラートなどの時間遅延材料は利用することができる。経口用の製剤はまた、有効成分が不活性固体希釈剤と、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される、硬ゼラチンカプセル剤として、または、有効成分が例えば、落花生油、流動パラフィン、またはオリーブオイルなどの油媒体と、または水と混合される、軟ゼラチンカプセル剤として与えられ得る。
【0115】
医薬組成物と本明細書でされる剤形を形成するために使用され得る界面活性剤は、限定されないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、およびそれらの混合物を含む。すなわち、親水性界面活性剤の混合物が利用される、または、親油性界面活性剤の混合物が利用される、または、少なくとも1つの親水性界面活性剤と少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物が利用される、場合がある。
【0116】
適切な親水性界面活性剤はHLB値が少なくとも10であってよく、一方で適切な親油性界面活性剤は約10の、または約10未満のHLB値を有する場合がある。非イオン性の両親媒性化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために使用される経験的なパラメーターは、親水-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性または疎水性であり、油中でより大きな可溶性を有し、一方でより高いHLB値を有する界面活性剤はより親水性であり、水溶液中でより大きな可溶性を有する。親水性界面活性剤は一般的に、HLB尺度が一般的に適用可能でない陰イオン、陽イオン、または両性イオンの化合物と同様に、約10より大きなHLB値を有する化合物であると考えられる。同様に、親油性(即ち、疎水性)の界面活性剤は、約10に等しいまたは約10未満のHLB値を有する化合物である。しかし、界面活性剤のHLB値は、産業上、製薬用、および化粧用のエマルジョンの処方を可能にするために一般的に使用される、単に大まかな目安である。
【0117】
親水性界面活性剤はイオン性の、または、非イオン性の場合がある。適切なイオン性界面活性剤は、限定されないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化したレシチン;リソレシチンおよび水素化したリソレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ナトリウムドクセート;アシルアクチレート(acylactylates);モノ-グリセリド、およびジ-グリセリドのモノアセチル化、およびジアセチル化の酒石酸エステル;スクシニル化したモノ-グリセリド、およびジ-グリセリド;モノ-グリセリド、およびジ-グリセリドのクエン酸エステル;および、それらの混合物が挙げられる。
【0118】
前述の群の中の、イオン性界面活性剤の例として、レシチン、リソレシチン、リン脂質、リゾ燐脂質、および、それらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;硫酸アルキルの塩;脂肪酸塩;ナトリウムドクセート;アシルアクチレート(acylactylates);モノ-グリセリドおよびジ-グリセリドのモノアセチル化およびジアセチル化の酒石酸エステル;スクシニル化したモノ-グリセリドおよびジ-グリセリド;モノ-グリセリドおよびジ-グリセリドのクエン酸エステル;および、それらの混合物が挙げられる。
【0119】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リソレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾフォスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、ステアロイル-2-ラクチラート、ステアロイルラクチラート、スクシニル化したモノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン(cholylsarcosine)、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレナート、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸、テラセシル(teracecyl)硫酸塩、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、およびそれらの塩並びに混合物の、イオン化した形態であり得る。
【0120】
親水性の非イオン性界面活性剤は、限定されないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴルグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールから成る群の少なくとも1つのメンバーを有する、ポリオールの親水性のエステル交換反応生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体、およびアナログ;ポリオキシエチル化したビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;およびそれらの混合物;トリグリセリド、植物油、および硬化植物油から成る群の少なくとも1つのメンバーを有するポリオールのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよび親水性のエステル交換反応の生成物を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、または糖類であり得る。
【0121】
他の親水性の非イオン性界面活性剤は、限定されないが、PEG-10ラウリン酸塩、PEG-12ラウリン酸塩、PEG-20ラウリン酸塩、PEG-32ラウリン酸塩、PEG-32ジラウリン酸塩、PEG-12オレイン酸塩、PEG-15オレイン酸塩、PEG-20オレイン酸塩、PEG-20ジオレイン酸塩、PEG-32オレイン酸塩、PEG-200オレイン酸塩、PEG-400オレイン酸塩、PEG-15ステアリン酸塩、PEG-32ジステアリン酸塩、PEG-40ステアリン酸塩、PEG-100ステアリン酸塩、PEG-20ジラウリン酸塩、PEG-25トリオレイン酸グリセリル、PEG-32ジオレイン酸塩、PEG-20ラウリン酸グリセリル、PEG-30ラウリン酸グリセリル、PEG-20ステアリン酸グリセリル、PEG-20オレイン酸グリセリル、PEG-30オレイン酸グリセリル、PEG-30ラウリン酸グリセリル、PEG-40ラウリン酸グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50硬化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-60コーン油、PEG-6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG-8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ポリグルセリル-10ラウリン酸塩、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、PEG-20トリオレイン酸塩、PEG-40オレイン酸ソルビタン、PEG-80ラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100コハク酸塩、PEG-24コレステロール、ポリグルセリル-10オレイン酸塩、Tween40、Tween60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、およびポロキサマーを含む。
【0122】
適切な親油性界面活性剤は、あくまでも例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ-グリセリドおよびジ-グリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールから成る群の少なくとも1つのメンバーを有する、ポリオールの親水性のエステル交換反応生成物;脂溶性ビタミン/ビタミン誘導体;および、それらの混合物が挙げられる。この群の中で、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびその混合物を含むか、または、植物油、硬化植物油、およびトリグリセリドから成る群の少なくとも1つのメンバーを有するポリオールの疎水性エステル交換反応生成物である。
【0123】
一実施形態において、組成物は、本発明の化合物の十分な可溶化および/または溶解を確かなものにするために、および、に、および本発明の化合物の沈澱を最小限にするために、可溶化剤を含む場合がある。このことは、非経口の用途の組成物、例えば、注射用の組成物、にとって特に重要であり得る。可溶化剤もまた、親水性の薬品、および/または、界面活性剤などの他の構成要素の溶解性を増加させるために、または、組成物を安定したもしくは均一な溶液あるいは分散液として維持するために、付け加えられる場合がある。
【0124】
適切な可溶化剤の例は、限定されないが、以下を含む:エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体などの、アルコールおよびポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEGなどの、約200から約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールエーテル;2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、およびポリビニルピロリドンなどの、アミドおよび他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル(tributylcitrate)、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、モノ酢酸プロピレングリコール、ジ酢酸プロピレングリコール、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体などの、エステル;並びに、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水などの、当該技術分野で周知の他の可溶化剤。様々な実施形態において、12-ヒドロキシステアリン酸および約30%遊離ポリエチレングリコール(Solutol HS 15として入手可能)のポリグリコールのモノ-エステルとジ-エステルを含む可溶化剤は、可溶化剤として使用される。
【0125】
可溶化剤の混合物も使用されてよい。例として、限定されないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール(glycofurol)、トランスクトール(transcutol)、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドが挙げられる。特に好ましい可溶化剤は、ソルビトール、グリセリン、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、およびプロピレングリコールを含む。
【0126】
含むことができる可溶化剤の量は特に限定しない。所与の可溶化剤の量は生物学的に許容可能な(bioacceptable)量に制限される場合があるが、それは当業者によって容易に決定され得る。いくつかの状況において、例えば、薬品の濃度を最大限にするために、生物学的に許容可能な量よりはるかに多くの量の可溶化剤を含めることは有利な場合があり、過剰な可溶化剤は、被験体に組成物を提供する前に蒸留または蒸発などの従来の手法を使用して取り除かれる。従って、可溶化剤は、存在する場合、薬品と他の賦形剤の総合重量に基づいて、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、または約200重量%までの重量比であり得る。所望の場合、例えば、5%、2%、1%などの微少な量の可溶化剤、または、さらに少ない量が使用されてもよい。典型的には、可溶化剤は、約1重量%から約100重量%、より典型的には、約5重量%から約25重量%の量で存在し得る。
【0127】
組成物はさらに1つ以上の薬学的に許容可能な混合剤および賦形剤を含み得る。そのような混合剤および賦形剤は、限定されないが、脱粘着剤(detackifiers)、抗発泡剤、緩衝剤、ポリマー、酸化防止剤、保存料、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulators)、等張化剤(tonicifiers)、風味剤(flavorants)、着色剤、臭気剤、乳白剤、沈殿防止剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、およびそれらの混合物を含む。
【0128】
加えて、酸または塩基は、加工を容易にするため、安定性を高めるため、または他の理由で、組成物に組込まれる場合がある。薬学的に許容可能な基剤の例として、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成のヒドロカルサイト(hydrocalcite)、マグネシウム水酸化アルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。酢酸などの薬学的に許容可能な酸の塩である基剤、例えば、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸である、アルカンスルホン酸(alkanesulfonic)、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquinosulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸なども、適している。リン酸ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、および燐酸二水素ナトリウムなどの多塩基酸の塩も使用され得る。基剤が塩である時、カチオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの、あらゆる好都合で薬学的に許容可能なカチオンであり得る。例には、限定されなかいが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムが含まれ得る。
【0129】
適切な酸は、薬学的に許容可能な有機酸、または無機酸である。適切な無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。適切な有機酸の例として、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸(alkanesulfonic)、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
【0130】
注射用の医薬組成物
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物、および注射に適した薬学的賦形剤を含有する、注射用の医薬組成物を提供する。組成物中の成分および薬剤の量は、本明細書において記載された通りである。
【0131】
本発明の新しい組成物が注射による投与のために組込まれる場合がある形態は、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、または、落花生油、また同様にエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または無菌水溶液、および同類の薬学的なビヒクルを伴う、水性または油性の懸濁液、またはエマルジョンを含む。
【0132】
食塩水中の水溶液も、従来通り、注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体のポリエチレングリコールなど(および、それらの適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および、植物油も用いられる場合がある。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合には要求される粒径を維持するためにレシチンなどのコーティングを使用することによって、および、界面活性剤を使用することによって、維持され得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤と抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、などによってもたらされ得る。
【0133】
無菌の注入可能な溶液は、本発明の化合物を必要とされる量、適切な溶媒中に、必要に応じて上に列挙されるような様々な他の成分と共に、組み入れることによって調製され、その後、濾過滅菌法が行われる。一般に、分散剤は、上に列挙されたものからの塩基性分散媒と必要な他の成分を含有する無菌のビヒクルに、様々な殺菌された有効成分を組み入れることにより調製されている。無菌の注射可能な溶液に調製するための無菌の粉末剤の場合には、特定の所望の調製方法は、真空乾燥と冷凍乾燥の手法であり、これらにより、あらかじめ無菌濾過したそれらの溶液から有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる。
【0134】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は静脈内投与用の液体製剤として製剤化される。式Iの結晶形態が静脈内に投与される時、水は好ましいビヒクルである。食塩水と、デキストロースおよびグリセロールの水溶液も、液体ビヒクルとして、特に注射可能な溶液として、用いることができる。適切な賦形薬は、また、デンプン、セルロース、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コウベイ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含む。本発明の組成物は、所望により、少量の湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。加えて、助剤、安定剤、厚化剤、潤滑剤、および着色剤が使用されてもよい。
【0135】
式Iの結晶形態を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣(dragee-making)、湿式粉砕(levigating)、乳化、カプセル化、包括、凍結乾燥のプロセスによって製造される場合がある。医薬組成物は、式Iの結晶形態を薬学的に使用可能な調合物へ加工すること容易にする1つ以上の生理学上許容可能な担体、希釈剤、賦形剤または助剤を使用して、従来の方法において製剤化される場合がある。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本発明の医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含有しているカプセル、粉末剤、徐放性の製剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁液、といった形態、または用途に適した他の形態をとることができる。
【0136】
局所(例えば、経皮)送達用の医薬組成物
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物、および経皮送達に適した少なくとも1つの薬学的賦形剤を包含する経皮送達用の医薬組成物を提供する。
【0137】
本発明の組成物は、ゲル、水、可溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、泡、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)ベースの溶液などの、局部的または局所的投与に適した固体、半固体、または液体の形態の調合物に製剤化することができる。一般的に、より高い密度を伴う担体は、領域に有効成分への長期間の接触をもたらすことができる。これに対して、溶液製剤は、選択された領域に有効成分のより即時の接触をもたらす。
【0138】
医薬組成物は、固体またはゲル相の適切な担体または賦形剤を含み、それらの担体または賦形剤は、治療効果のある分子の、皮膚角質層の透過障壁を越える浸透を増加させる、または、その送達を支援することができる化合物である。これらの浸透を増強する分子の多くは、局所用製剤の技術に熟練した者に知られている。そのような担体および賦形剤の例として、限定されないが、湿潤剤(例えば尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、イソプロピルミリステートやラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
【0139】
本発明の方法において使用される別の典型的な製剤は、経皮用送達デバイス(「パッチ」)を利用する。そのような経皮用パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続的に、または不連続に注入するために、別の薬剤と共に、または別の薬剤を伴わずに、のどちらかで使用され得る。
【0140】
製薬剤の送達の経皮用パッチの構築および使用は、当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、および第5,001,139号を参照されたい。こうしたパッチは、医薬品の連続的、パルス的、またはオンデマンドな送達のために構築されてもよい。
【0141】
吸入のための医薬組成物。
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容可能な水性の溶媒または有機溶媒中の溶液および懸濁液、またはその混合物、および、粉末剤を含んでいる。液体または固体の組成物は、上に記載されたように、適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含有している場合がある。好ましくは、組成物は、局部的か全身的な効力のための経口または鼻の呼吸器系の経路によって投与される。好ましく薬学的に許容可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスを使用することによって噴霧される場合がある。噴霧される溶液は、噴霧するデバイスから直接吸い込まれてもよく、または、噴霧するデバイスがフェイスマスクテント、または、間欠的陽圧呼吸機に付属していてもよい。溶液、懸濁液、または、粉末の組成物は、適切な方法で製剤を送達するデバイスから、好適には経口で、または鼻から投与される場合がある。
【0142】
噴霧器および液体スプレーデバイスおよびEHDエアロゾルデバイスを伴う用法に適した液体の製剤は、典型的には式Iの結晶形態を薬学的に許容可能なビヒクルと共に含むだろう。好ましくは、薬学的に許容可能なビヒクルは、アルコール、水、ポリエチレングリコール、または、パーフルオロカーボンなどの液体である。随意に、本明細書に開示される化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル性質を変更するために、別の材料が付け加えられ得る。好ましくは、この材料は、アルコール、グリコール、ポリグリコール、または脂肪酸などの液体である。エアロゾルデバイスでの使用に適切な液剤の溶液または懸濁液を製剤化する他の方法は、当業者に知られている(例えば、Biesalski、米国特許第5,556,611号参照)。
【0143】
眼科の障害を処置するための医薬組成物
組成物は眼における投与のために製剤化され、および、それは1つ以上の本発明の結晶形態の有効量と、眼における投与に適した賦形剤を含有している。眼における投与に適した本発明の医薬組成物は、溶液において有効成分の所定量を各々含有している滴剤またはスプレー、または、水性か非水性の液体による懸濁液、水中油型エマルジョン、または、油中水型エマルジョンなどの、離散的な剤形として与えられ得る。点眼剤は、生理食塩水、緩衝溶液などの無菌水溶液に有効成分を溶解させることによって、または、粉末組成物を使用の前に溶解されるように組み合わせることによって、調製される場合がある。当該技術分野で知られているように、以下のものを含むが、これらに限定されない他のビヒクルが選ばれる場合がある:バランス塩溶液、生理食塩水、ポリエチレングリコールなどの水可溶性ポリエーテル、ポリビニルアルコールおよびポビドンなどのポリビニル、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、鉱油および白色ワセリンなどの石油系誘導体、ラノリンなどの動物脂、カルボキシポリメチレンゲルなどのアクリル酸のポリマー、落花生油などの植物性脂肪、およびデキストランなどの多糖類、およびヒアルロン酸ナトリウムなどのグリコサミノグリカン。所望される場合、点眼剤において通常使用される添加剤加えることができる。そのような添加剤は、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸モノ水素ナトリウム塩(sodium monohydrogen phosphate)、リン酸二水素ナトリウム(sodium dihydrogen phosphate)など)、保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなどの糖類;ヒアルロン酸、または、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなどの、ヒアルロン酸の塩;例えば、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または当業者に知られている他の薬剤)を含む。
【0144】
他の医薬組成物
医薬組成物はまた、本明細書に記載の組成物と、舌下の、バッカルの、直腸の、骨内の、眼内の、鼻腔内の、硬膜上の、脊髄内の投与に適した1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とから調製されてもよい。そのような医薬組成物のための調製は、当該技術分野において周知である。例えば、Anderson,Philip O.;Knoben,James E.;Troutman,William G,eds.,Handbook of Clinical Drug Data,Tenth Edition,McGraw-Hill,2002;Pratt and Taylor,eds.,Principles of Drug Action,Third Edition,Churchill Livingston,New York,1990;Katzung,ed.,Basic and Clinical Pharmacology,Ninth Edition,McGraw Hill,20037ybg;Goodman and Gilman,eds.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition,McGraw Hill,2001;Remingtons Pharmaceutical Sciences,20th Ed.,Lippincott Williams & Wilkins.,2000;Martindale,The Extra Pharmacopoeia,Thirty-Second Edition(The Pharmaceutical Press,London,1999);が挙げられ、これらはすべてそのまま参照されることによって本明細書に組み入れられる。
【0145】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有して、坐剤あるいは停留浣腸剤などの、直腸または膣用の組成物に製剤化される。
【0146】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態はデポ調合物として製剤化される場合もある。そのような長時間作用型の製剤は、移植によって(例えば、皮下に、または筋肉内に)、または筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、式Iの結晶形態は、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は純粋な有効薬剤として製剤化される。
【0148】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態は、式Iの他の結晶形態との混合物として製剤化される。
【0149】
投与の様式
式Iの化合物の結晶形態または本発明の医薬組成物の投与は、結晶形態の作用部位への送達を可能にするあらゆる方法によって達成することができる。これらの方法は、限定されないが、カテーテルまたはステントによる局部的送達を介した、または吸入を通じた、経口経路、十二指腸内の経路、非経口的注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、または点滴を含む)、局所(例えば経皮的適用)、直腸投与を含む。式Iの化合物の結晶形態、または本発明の医薬組成物は、脂肪内(intraadiposally)または髄腔内にも投与することができる。
【0150】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口で投与される。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態、および/またはそれらの医薬組成物は、例えば、点滴、ボーラス注射、皮膚を通した局所投与、上皮のまたは粘膜皮膚の内膜(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通した吸収によって投与される。
【0151】
式Iの化合物の結晶形態の投与は全身的または局部的であり得る。式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物を投与するために使用可能な様々な送達システムは知られている(例えば、リポソーム内カプセル化、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなど)。投与の方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、鞘内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所的に、特に耳、鼻、目、または皮膚に対するものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口で、例えば、経口のカプセルの形態で、投与される。
【0152】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態は、制御(controlled)/徐放性システムによって投与される。本発明の結晶形態は、例えば、ステントのストラットからの、ステントグラフトからの、グラフトからの、あるいはステントのカバーまたはシースからの、局部送達によって投与される場合がある。いくつかの実施形態において、本発明の結晶形態はマトリックスと混合される。そのようなマトリックスは高分子マトリックスである場合があり、ステントに化合物を結合する役割を果たし得る。そのような使用に適した高分子マトリックスは、例えば、ラクトンベースのポリエステル、または、ポリラクチド、ポリカプロラクトングリコリド(polycaprolactonglycolide)(ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリ無水物(polyanhydrides)、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー(例えば、PEO-PLLA))などのコポリエステル;ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル、アクリル酸塩ベースのポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、ポリビニルピロリジノン)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化重合体、およびセルロースエステル、を含む。
【0153】
適切なマトリックスは、分解しないか、または化合物または複数の化合物を放出しながら、経時的に分解してもよい。本発明の結晶形態と共に使用することができる付加的な適切な高分子材料は、例えば、Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.)、CRC Pres.,Boca Raton,Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.)、Wiley,New York(1984);Langer et al.,1983,J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23161;Levy et al.,1985,Science 228: 190;During et al.,1989,Ann. Neurol. 251351;および、Howard et al.,1989,J. Neurosurg. 711105、に記載されており、各々の全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0154】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態は徐放性送達システムを介して投与される。経口の徐放に使用可能なポリマーは、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含む。あらゆる適切なセルロースエーテルも経口の徐放性送達システムのために使用することができる。
【0155】
さらに別の実施形態において、腸溶性の調合物は経口の徐放性投与のために使用することができる。コーティング材料は、例えば、pH依存の溶解性を有するポリマー(つまり、pHに制御された放出)、遅いもしくはpH依存の膨張、溶解、または侵食の速度を有するポリマー(つまり、時間に制御された放出)、酵素によって分解されるポリマー(つまり、酵素に制御された放出)、および、圧力の増加によって破壊される堅い層を形成するポリマー(つまり圧力に制御された放出)を含む。
【0156】
さらに別の実施形態において、浸透送達システムが経口の徐放性投与のために使用される(Verma et al.,Drug Dev. Ind. Pharm. 2000,261695-708)。いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第3,845,770号、および米国特許第3,916,899号に開示されるように、OROS(商標)浸透デバイスが経口の徐放性送達デバイスのために使用される。
【0157】
さらに他の実施形態において、経口の徐放性投与のためにワックスが使用され得る。適切な徐放性ワックスの例は、米国特許第3,402,240号(カルナウバワックス、カンデリラワックス、エスパルトワックス、およびオーリキュリー(ouricury)ワックス);米国特許第4,820,523号(水添植物油、蜜蝋、カルナウバワックス、パラフィン、カンデリラ、オゾケライト、およびそれらの混合);および、米国特許第4,421,736号(パラフィンとキャスターワックスの混合)に開示されている。
【0158】
いくつかの実施形態において、薬品を放出する脂質マトリックスは、経口の徐放性投与のために使用され得る。例えば、米国特許第6,375,987号および米国特許第6,379,700号に開示されるように、本明細書に開示される組成物および/または化合物の固体の微粒子は、脂質(例えば、グリセリルベヘネート(glyceryl behenate)、および/またはグリセリルパルミトステアレート(glyceryl palmitostearate))の薄い制御放出層でコーティングされる場合がある。脂質でコーティングされた粒子は、錠剤を形成するために随意に圧縮することができる。徐放性経口投与に適している別の制御放出の脂質ベースのマトリックス材料は、米国特許第6,171,615号に開示されるように、ポリグリコール化されたグリセリドを含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される異なる制御放出システムは、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の標的のすぐ近くに置くことができ、従って全身的な投与量の数分の1だけを必要とする(例えば、Goodson,in “Medical Applications of Controlled Release,” supra,vol.2,pp. 115-138(1984))。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態が必要とされる量は、全身的な投与量の約1/20、1/15、1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、または1/2である。Langer,1990,Science 24911527-1533 において論じられた他の制御放出システムが使用されてもよい。
【0160】
さらに別の実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の送達のために、局所送達システムが使用される。例えば、LeBon,B.,et al,Journal of Pain and Symptom Management,2009,37(5)、913、および、Singh,V.,et al.,Asian Journal of Pharmaceutics,2013,January-March,pp.1-7に記載されたシステムは使用することができる。
【0161】
式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、好ましくは、患者へのインビボでの投与に対してナプロキセンおよびプレガバリンを提供する。理論に束縛されることを望むものではないが、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の薬品複合体のリンカーは、化学的に、および/または酵素によってのどちらかで、開裂される場合がある。胃、腸管腔、腸の組織、血液、肝臓、脳および/または哺乳動物のあらゆる他の適切な組織の中にある1つ以上の酵素は、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物のリンカーを開裂する場合がある。開裂のメカニズムは重要ではない。理論に束縛されることを望むものではないが、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物のリンカーは、胃腸管による吸収の前に(例えば、胃または腸管腔内において)、および/または、胃腸管による吸収の後に(例えば、腸の組織、血液、肝臓、または哺乳動物の他の適切な組織において)、開裂される場合がある。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物のリンカーは、胃腸管による吸収の前に開裂され、および、ナプロキセンとプレガバリンの両方は、通常は体循環へ吸収される。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物のリンカーは、胃腸管による吸収の後で開裂され、および、ナプロキセンとプレガバリンは受動拡散と能動輸送のどちらか、またはその両方で、体循環へ吸収される。
【0162】
式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物のリンカーが胃腸管による吸収の後に開裂される場合、ナプロキセンとプレガバリンが大腸から体循環へ吸収される機会があり得る。この状況において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、徐放性システムとして好ましく投与される。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口の徐放性投与によって送達される。これらの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、1日につき1回か2回、例えば1日につき1回投与される。
【0163】
投与量
式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、一般に、意図した用途を達成するのに効果的な量で使用されるだろう。疼痛(例えば、神経障害性の疼痛や筋骨格の疼痛)、および炎症性疾患(例えば、関節炎)などの疾患や障害を処置または予防する用途のために、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、治療有効量を投与または適用される。式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物が本明細書に開示される特定の障害または状態の処置において効果を有する量は、障害または状態の性質に依存すると考えられ、先に記載されたように、当該技術分野で知られている標準的な臨床の手法によって決定され得る。加えて、インビトロまたはインビボのアッセイは、最適な投与量範囲の特定を支援するために随意に使用されてもよい。
【0164】
式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物が投与される量は、もちろん、処置される被験体、被験体の体重、罹患の重症度、投与の方式および処方する医師の判断、といった他の要因の間で左右されるであろう。例えば、医薬組成物中の投与量は、1回の投与で、複数回の適用で、または制御放出によって送達される場合がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口の徐放性投与によって送達される。これらの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、1日につき5回、4回、3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口の徐放性投与によって1日につき2回送達される。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、経口の徐放性投与によって1日につき1回送達される。
【0165】
薬注は断続的に繰り返される場合があり、単独で、または他の医薬品と組み合わせて提供される場合があり、および、病態または障害の効果的な処置のために必要なだけ、継続される場合がある。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合体を約0.5mg/日から約20,000mg/日の間で提供するように調整され得る。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合体を少なくとも約0.5mg/日提供するように調整され得る。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合を最大で約20,000mg/日提供するように調整され得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合体を約0.5mg/日から約5mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約50mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約100mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約200mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約300mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約0.5mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約50mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約100mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約200mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約300mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約5mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約100mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約200mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約300mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約50mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約200mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約300mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約100mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約300mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約200mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約500mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約300mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約500mg/日から約1,000mg/日の間で、薬品複合体を約500mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約500mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約500mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約500mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約1,000mg/日から約2,000mg/日の間で、薬品複合体を約1,000mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約1,000mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約1,000mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約2,000mg/日から約5,000mg/日の間で、薬品複合体を約2,000mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約2,000mg/日から約20,000mg/日の間で、薬品複合体を約5,000mg/日から約10,000mg/日の間で、薬品複合体を約5,000mg/日から約20,000mg/日の間で、または、薬品複合体を約10,000mg/日から約20,000mg/日の間で、提供するように調整され得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合体を約0.5mg/日、薬品複合体を約5mg/日、薬品複合体を約50mg/日、薬品複合体を約100mg/日、薬品複合体を約200mg/日、薬品複合体を約300mg/日、薬品複合体を約500mg/日、薬品複合体を約1,000mg/日、薬品複合体を約2,000mg/日、薬品複合体を約5,000mg/日、薬品複合体を約10,000mg/日、または、薬品複合体を約20,000mg/日、提供するように調整され得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、薬品複合体を約50mg/日と約2000mg/日の間で、提供するように調整され得る(ナプロキセンを約25mg/日、レガバリンを約17mg/日、およびナプロキセンを約1000mg/日、プレガバリンを約690mg/日に相当)。
【0169】
投与量の範囲は、熟練した当業者に知られている方法によって容易に決定され得る。
【0170】
式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、ヒトにおける使用に先立ち、所望の治療効果および予防的な活性について、インビトロおよびインビボで分析される場合がある。いくつかの実施形態において、治療上本明細書に記載の式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の有効投与量は、実質的な毒性を生じることなく、治療上の利点をもたらすだろう。式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の毒性は、標準的な薬学の手法を使用して決定され得る。毒性と治療効果との間の投与量の比は治療指数である。本明細書において記載された式Iの結晶形態および/またはそれらの医薬組成物の投与量は、毒性がほとんどない有効投与量を含む、一連の循環する濃度内にある場合がある。
【0171】
併用療法
特定の実施形態において、式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物は、少なくとも1つの他の治療剤との併用療法において使用することができる。式Iの化合物の結晶形態および/またはそれらの医薬組成物と別の治療剤は、付加的に、または相乗的に作用し得る。いくつかの実施形態において、式Iの化合物の結晶形態と別の治療剤は、付加的に作用する。いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態と別の治療剤は相乗的に作用する。
【0172】
いくつかの実施形態において、式Iの結晶形態を含む医薬組成物は、別の治療剤の投与と同時に投与されるが、その別の治療剤は、式Iの結晶形態と同じ医薬組成物の部分であるか、または異なる医薬組成物の部分であり得る。他の実施形態において、式Iの結晶形態を含む医薬組成物は、別の治療剤の投与に対して事前または事後に投与される。
【0173】
いくつかの実施例において、式Iの化合物の結晶形態は、式Iの化合物のアモルファス、式Iの別の結晶形態、ナプロキセンおよび/またはプレガバリンと組み合わせて投与される。
【0174】
実施形態
実施形態1:式I:
【0175】
【化4】
の化合物の結晶形態を含む組成物。
【0176】
実施形態2:結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)ピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および、20.6度2θにあることを特徴とする、実施形態1に記載の組成物。
【0177】
実施形態3:結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする、実施形態2に記載の組成物。
【0178】
実施形態4:結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする、実施形態1に記載の組成物。
【0179】
実施形態5:結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする、実施形態2から4のいずれか1つに記載の組成物。
【0180】
実施形態6:結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、9.3、9.8、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、19.9、20.4、20.6、21.4、21.7、22.4、22.9、23.7、23.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、27.6、29.7、および、31.3度2θにあることを特徴とする、実施形態1から5のいずれか1つに記載の組成物。
【0181】
実施形態7:結晶形態は、約90%より高い化学的純度を有することを特徴とする、実施形態1から6のいずれか1つに記載の組成物。
【0182】
実施形態8:結晶形態の化学的純度は、HPLC分析によって測定されることを特徴とする、実施形態7に記載の組成物。
【0183】
実施形態9:結晶形態は、約90%より高いエナンチオマー純度を有することを特徴とする、実施形態1から8のいずれか1つに記載の組成物。
【0184】
実施形態10:結晶形態は、約90%より高いジアステレオマー純度を有することを特徴とする、実施形態1から9のいずれか1つに記載の組成物。
【0185】
実施形態11:結晶形態は約100℃から約140℃の範囲に融点があることを特徴とする、実施形態1から10のいずれか1つに記載の組成物。
【0186】
実施形態12:結晶形態は約100℃から約130℃の範囲に融点があることを特徴とする、実施形態1から11のいずれか1つに記載の組成物。
【0187】
実施形態13:結晶形態は約118℃から約121℃の範囲に融点があることを特徴とする、実施形態1から12のいずれか1つに記載の組成物。
【0188】
実施形態14:結晶形態は約119℃から約121℃の範囲に融点があることを特徴とする、実施形態1から13のいずれか1つに記載の組成物。
【0189】
実施形態15:組成物は、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含むことを特徴とする、実施形態1から14のいずれか1つに記載の組成物。
【0190】
実施形態16:実施形態1から15のいずれか1つに記載の組成物を含む医薬組成物。
【0191】
実施形態17:医薬組成物は固形剤形であることを特徴とする実施形態16に記載の医薬組成物。
【0192】
実施形態18:医薬組成物はカプセル剤であることを特徴とする、実施形態16または17に記載の医薬組成物。
【0193】
実施形態19: 医薬組成物は懸濁液であることを特徴とする、実施形態16に記載の医薬組成物。
【0194】
実施形態20:医薬化合物は水性懸濁液であることを特徴とする、実施形態19に記載の医薬化合物。
【0195】
実施形態21:医薬組成物は液体であることを特徴とする、実施形態16に記載の医薬組成物。
【0196】
実施形態22:医薬組成物は結晶形態の水中の水溶液を含むことを特徴とする、実施態様21に記載の医薬組成物。
【0197】
実施形態23:医薬組成物は、生理食塩水中の結晶形態の水溶液、デキストロース水溶液、グリセロール溶液、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0198】
実施形態24:医薬組成物は静脈内投与用であることを特徴とする、実施形態22または23に記載の医薬組成物。
【0199】
実施形態25:医薬組成物は経口投与用であることを特徴とする、実施形態16から23のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0200】
実施形態26:医薬組成物は、実施形態16から25、医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、安定化剤、増粘剤、平滑剤、および着色剤から成る群から選択された、1つ以上の賦形剤さらに含むことを特徴とする、実施形態16から25のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0201】
実施形態27:医薬組成物が、式Iの化合物の少なくとも2つの結晶形態を含むことを特徴とする、実施形態16から26のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0202】
実施形態28:被験体における疾患を予防または処置するためのキットであって、該キットは、実施形態1から15のいずれか1つに記載の組成物、または、実施形態16から27のいずれか1つに記載の医薬組成物、および該キットを使用するための説明書を含む、キット。
【0203】
実施形態29:被験体が動物であることを特徴とする、実施形態28に記載のキット。
【0204】
実施形態30:被験体はヒトであることを特徴とする、実施形態28または29に記載のキット。
【0205】
実施形態31:疾患は疼痛または炎症性の疾患であることを特徴とする、実施形態28から30のいずれか1つに記載のキット。
【0206】
実施形態32:疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛であることを特徴とする、実施形態31に記載のキット。
【0207】
実施形態33:炎症性疾患は関節炎であることを特徴とする、実施形態31のキット。
【0208】
実施形態34:キットは少なくとも1つの付加的な治療剤をさらに含むことを特徴とする、実施形態28から33のいずれか1つに記載のキット。
【0209】
実施形態35:少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤であることを特徴とする、実施形態34に記載のキット。
【0210】
実施形態36:組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用することを特徴とする、実施形態34または35に記載のキット。
【0211】
実施形態37:組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用することを特徴とする、実施形態34または35に記載のキット。
【0212】
実施形態38:被験体の疾患を処置または予防する方法であって、該方法は、実施形態1から15のいずれか1つに記載の組成物または実施形態16から27のいずれか1つに記載の医薬組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、方法。
【0213】
実施形態39:被験体はヒトであることを特徴とする、実施形態38に記載の方法。
【0214】
実施形態40:疾患は疼痛または炎症性疾患であることを特徴とすることを特徴とする、実施形態38または39に記載の方法。
【0215】
実施形態41:疼痛は神経障害性の疼痛または筋骨格の疼痛であることを特徴とする、実施形態40に記載の方法。
【0216】
実施形態42:炎症性疾患は関節炎であることを特徴とする、実施形態40に記載の方法。
【0217】
実施形態43:被験体に少なくとも1つの付加的な治療剤を投与する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態38から42のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
実施形態44:少なくとも1つの付加的な治療剤は、疼痛または神経系疾患を処置するための薬剤であることを特徴とする、実施形態43に記載の方法。
【0219】
実施形態45:組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、付加的に作用することを特徴とする、実施形態43または44に記載の方法。
【0220】
実施形態46:組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、相乗的に作用することを特徴とする、請求項43または44に記載の方法。
【0221】
実施形態47:組成物または医薬組成物と、少なくとも1つの付加的な治療剤は、同時に投与されることを特徴とする、実施形態43から46のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
実施形態48:式I:
【0223】
【化5】
の化合物の結晶形態を製造する方法であって、該方法は:式Iの化合物の溶液を得るために、溶媒に式Iの化合物を含む組成物を溶かす工程;および、前記溶液から式Iの化合物の結晶形態を単離する工程、を含む、方法。
【0224】
実施形態49:結晶形態は、XRPDピークが約8.6、15.5、16.4、17.9、および、20.6度2θにあることを特徴とする、実施形態48に記載の方法。
【0225】
実施形態50:結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約6.4、17.2、17.5、20.4、21.4、22.4、23.7、23.9、または、27.6度2θにあることを特徴とする、実施形態49に記載の方法。
【0226】
実施形態51:結晶形態は、XRPDピークが約6.4、8.6、15.5、16.4、17.2、17.5、17.9、20.4、20.6、21.4、22.4、23.7、23.9、および、27.6度2θにあることを特徴とする、実施形態48に記載の方法。
【0227】
実施形態52:結晶形態は、少なくとも1つの付加的なXRPDピークが約9.3、9.8、19.9、21.7、22.9、24.3、25.0、25.6、26.4、26.9、29.7、または、31.3度2θにあることを特徴とする、実施形態49から51のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
実施形態53:溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒を雰囲気温度よりも高い温度まで温めることを含むことを特徴とする、実施形態48から52のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
実施形態54:式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を雰囲気温度より低い温度まで冷却することを含む、実施形態48から53のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
実施形態55:式Iの化合物の溶液から結晶形態を単離する工程は、式Iの化合物の溶液を約0℃と25℃の間の温度まで冷却することを含むことを特徴とする、実施形態48から54のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
実施形態56:付加的な溶媒を式Iの化合物の溶液に加える工程をさらに含む、実施形態48から55のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
実施形態57:溶媒は極性のプロトン性溶媒を含むことを特徴とする、実施形態48から56のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態58:溶媒はイソプロパノールであることを特徴とする、実施形態48から57のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態59:溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を、約40℃から還流温度あたりの温度まで温めることを含むことを特徴とする、実施形態48から58のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態60:付加的な溶媒はアルカンを含むことを特徴とする、実施形態57から59のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態61:付加的な溶媒は、ヘプタンを含むことを特徴とする、実施態様57から60のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態62:溶媒と付加的な溶媒は、体積比約1:2から約1:3(v/v)で使用されることを特徴とする、実施形態56から61のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
実施形態63:溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする、実施形態48から56のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
実施形態64:溶媒は、ヘプタンと酢酸エチルを体積比約10:1で含むことを特徴とする、実施形態63に記載の方法。
【0240】
実施形態65:溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を、約50℃から還流温度あたりの温度まで温めることを含むことを特徴とする、実施形態63または64に記載の方法。
【0241】
実施形態66:溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を、約70℃の温度まで温めることを含むことを特徴とする、実施形態63から65のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
実施形態67:溶媒は、メチルシクロヘキサン、メチルt-ブチルエーテル、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする、実施形態48から56のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
実施形態68:溶媒は、メチルシクロヘキサンとメチルt-ブチルエーテルを体積比約10:1で含むことを特徴とする、実施形態67に記載の方法。
【0244】
実施形態69:溶かす工程は、式Iの化合物を含む組成物と溶媒の混合物を、約20℃から約40℃の温度まで温めることを含むことを特徴とする、実施形態67または68に記載の方法。
【0245】
実施形態70:種結晶形態を式Iの化合物の溶液へ導入する工程をさらに含む、実施形態48から69のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者の心に思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
【0247】
実施例
以下の実施例は、式Iの化合物とそれらの結晶形態の調製を詳細に記載する。材料と方法の両方に対する多くの改良が本発明の範囲から外れずに実行され得ることは、当業者に明白だろう。
【0248】
実施例1:式Iの化合物の典型的な合成およびその結晶化
【0249】
【化6】
【0250】
工程A:1-クロロエチル-2-フルオロフェニルカーボネート(1-chloroethyl 2-fluorophenyl carbonate)(3)の合成
適切な反応容器に水と重炭酸ナトリウム、続いて出発物質の2-フルオロ-フェノール(1)を注入した。混合物を約0~5℃の温度に冷却し、および、約0~5℃の温度を維持しながら、1-クロロエチルクロロホルメート(1-chloroethyl chloroformate)(2)をゆっくりと加えた。温度を約15±5℃に上げた。2-フルオロ-フェノールの消失によって反応が完了していると判断した時(基準:2.0%以下、HPLCにより)、反応は実行された。n-ヘプタンを加えて有機相を分離し、水とブラインで洗浄した。その溶液を濃縮し、次に、トルエンを加え、また、再び溶液を濃縮した。トルエン追加と濃縮のサイクルをもう一度繰り返した。
【0251】
工程B:(S)-((R,S)-1-((2-フルオロフェノキシ)カルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート((S)-((R,S)-1-((2-fluorophenoxy)carbonyloxy)ethyl 2-(6-methoxynaphthalen-2-yl)propanoate)(4)の合成
適切な反応容器中にあるトルエン中のナプロキセンの溶液に、1-クロロエチル2-フルオロフェニルカーボネート(1-chloroethyl 2-fluorophenyl carbonate)(3)と亜酸化銅を加えた。温度を約115±5℃に上げた。1-クロロエチル2-フルオロフェニルカーボネートの消失(基準:2.5%以下、HPLCにより)によって反応が完了していると判断した時、反応は実行された。メチルtert-ブチルエーテルを約50±5℃において加えた。結果の混合物を濾過し、濾液を約25±5℃において収集した。精製水を濾液へ加え、次に、混合物を約0±5℃まで冷却した。混合物を水酸化アンモニウムでpH約9~11までアルカリ化し、有機相を分離し、そして水酸化アンモニウムとブラインで洗浄した。その溶液を濃縮し、次に、アセトニトリルを加え、そして、再び溶液を濃縮した。残留トルエンが10%未満(GC法で)になるまで、アセトニトリル追加と濃縮のサイクルを何回か繰り返した。
【0252】
工程C:(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(式Iの化合物)の合成
適切な反応容器中にあるアセトニトリルとメチルtert-ブチルエーテル中の、(S)-((R,S)-1-((2-フルオロフェノキシ)カルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート(4)の混合物の溶液に、精製水とプレガバリンを注入した。約15±5℃に温度を維持しながらトリエチルアミンをゆっくりと加えた。反応のために温度を約25±3℃に上げた。反応が(S)-((R,S)-1-((2-フルオロフェノキシ)カルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアートの消失によって完了していると判断された時(基準:0.5%以下、HPLCにより)、反応は実行された。結果の混合物は、pH 3~5までKHSOで酸性化され、メチルtert-ブチルエーテルで抽出された。組み合わされた有機層を精製水とブラインで洗浄した。その後、有機相を濃縮した。イソプロパノールを加え、そして、溶液を再び濃縮した。前記イソプロパノール追加と前記濃縮のサイクルを合計残留アセトニトリルおよびメチルtert-ブチルエーテルが5%未満(GC法による)になるまで1回以上繰り返した。約40~45℃において、n-ヘプタンを混合物中に加えて撹拌し、その後、その系から(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(5)を結晶化させるために、設定された適切な間隔で温度を徐々に下げた。析出が完了した時、不均質な混合物を遠心分離機にかけ、固体を収集した。
【0253】
(S)-3-(((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸の粗生成物を適切な容器中にあるイソプロパノールと水の溶液に加えた。温度を45±3℃まで上げながら、固体がすべて溶けるまでその混合物を撹拌し、その後、その系から(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸を再結晶化させるために、設定された適切な間隔で温度を徐々に下げた。析出が止まった時、不均質混合物を遠心分離機にかけ、そして、期待した純粋な(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(式I)を収集した。
【0254】
(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸のFT-IR(フーリエ変換赤外分光法)をIS10 Fourier Transform Infrared Spectrometer(Thermo)を使用して実行した。約1重量%のサンプルを含有している混合物を生成するために、サンプルを乾燥して粉砕された臭化カリウム(KBr)と混合した。その混合物を高圧力下の真空においてディスクへと圧縮した。主要な吸収周期数の割付は表1にリストされる。また、FT-IRスペクトルは図2に示される。
【0255】
【表1】
【0256】
Bruker Altra Shield TM 400 NMRを使用して、DMSO-d6中の溶液として(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸のNMRスペクトル(H-NMR、13C-NMR)を得た。H-NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 7.78(d,J=8.8 Hz,1H)、7.76(d,J=7.2 Hz,1H)、7.69(brs,1H)、7.35(オーバーラップ,1H)、7.28(d,J=2.4 Hz,1H)、7.15(d,J=8.8,2.4 Hz,1H)、6.73(q,J=5.2 Hz,1H)、3.90(q,J=7.2 Hz,1H)、3.87(s,3H)、2.89(m,1H)、2.82(m,1H)、2.17(dd,J=15.6,5.6 Hz,1H)、1.99(dd,J=15.6,7.2 Hz,1H)、1.89(m,1H)、1.57(hept,J=6.8 Hz,1H)、1.45(d,J=7.2 Hz,3H)、1.38(d,J=5.6 Hz,3H)、1.05(m,1H)、0.98(m,1H)、0.80(d,J=6.8 Hz,3H)、0.80(d,J=6.8 Hz,3H).13C NMR(DMSO-d6,101MHz)δ 174.35、172.60、157.67、154.49、135.70、133.75,129.64、128.83、127.36、126.72、126.18、119.14、106.12、89.34、55.60、44.88、44.02、41.17、37.43、33.40、25,08、23.22、22.90、20.07、18.92。
【0257】
MS(質量分析)をXevo G2-XS QTof HRMS Systemを備えたWaters Acquity I Class UPLCを使用して、ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化で実施した。サンプルを0.1mg/mLの濃度のアセトニトリルに溶かした。MSのスペクトルは、m/z 482.2154(計算値:482.2155、C2533NO.Na)に[M+Na]のイオン・ピークを示した。
【0258】
実施例2:(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸の代替的合成経路
【0259】
【化7】
【0260】
工程A:O-1-クロロエチル S-メチルカルボノチオアート(O-1-Chloroethyl S-Methyl Carbonothioate)(6)の合成
の雰囲気圧力下において、DCM(2.0vol.)、1-クロロエチルクロロホルメート(1.0eq.)(2)、およびTBAB(0.01eq.)をリアクターに加え、そして、温度を約0±5℃まで冷却した。NaSMe(aq.,20%、w/w)(1.15eq.)を約0±5℃のリアクターに滴加した。1-クロロエチルクロロホルメートがクロマトグラムで1.5%未満(ピーク面積)になるまで、0±5℃で4時間撹拌した後に、GC分析のために反応混合物をサンプリングした。その混合物を3回洗浄するために、脱イオン水(2.0vol.)をその系に加え、そして、有機相を分離し、収集した。有機相を5%NaCl水溶液(3.0vol.)でさらに洗浄し、その後、分離して収集した。20℃より下の温度で、減圧下で、残留量が1.0±0.2vol.になるまで、有機相を濃縮した。GC分析のために反応生成物O-1-クロロエチル S-メチルカルボノチオアート(6)をサンプリングした。O-1-クロロエチル S-メチルカルボノチオアートのGC純度は95%以上である。
【0261】
工程B:(S)-((R,S)-1-(メチルチオカルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート((S)-((R,S)-1-(methylthiocarbonyloxy)ethyl 2-(6-methoxynaphthalen-2-yl)propanoate)(7)の合成
窒素雰囲気下で、リアクターにおいて、O-1-クロロエチル S-メチルカルボノチオアート(1.0 eq.)、ナプロキセン(1.1 eq.)、およびK I(0.1 eq.)を、1,4-ジオキサン(2.0vol.)中に溶かした。その混合物を約50±5℃まで温めた。DIPA(1.0 eq.)をリアクターに滴加し、および、温度を約60℃未満に保ち、その後、約20~30分、その混合物を撹拌した。その後、反応温度を約75±5℃まで上げた。HPLC解析のために、反応混合物のサンプを、約75±5℃において20時間にわたり2.0±0.2時間ごとに採取した。HPLCで測定してナプロキセンが30%以下(ピーク面積)になるまで、その反応を冷却した。その後、脱イオン水(8.0vol.)とMTBE(8.0vol.)を反応混合物中に加え、撹拌した。撹拌を止め、次に、層を分離し、そして、有機相を集めた。有機相を脱イオン水(8.0vol.)で洗浄し、分離して収集した。その後、有機相を18%のKCO水溶液(wt./wt.,8.0vol.)で2回にわたって洗浄した。有機相を分離し、収集した。ナプロキセンがHPLCに基づいて1.0%未満(ピーク面積)になるまで、HPLCによってその混合物を分析した。
【0262】
15%のNaCl水溶液(5.0vol.)で有機相を洗浄し、有機相を分離および収集した。40℃未満において、減圧下で有機相を濃縮した。リアクターにヘプタン(5.0vol.)を注入し、40℃未満の減圧下で残留量が2~3vol.になるまで、再び混合物を濃縮した。このプロセスをもう一回繰り返した。その後、ヘプタン(5vol.)の一部をリアクター中に加えた。その溶液はスラリーに変わり、20~25℃で16時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、そして固体をヘプタン(0.5vol.)で2度洗浄した。固体サンプルをHPLC解析のために収集した。(S)-((R,S)-1-(メチルチオカルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート(7)の純度が95%以上になるまで、その手順を繰り返した。固体生成物を30±5℃の真空下で乾燥した。分離した生成物は所望のジアステレオマーであって、以下の特性があった:mp:65~66℃。IR(KBr)νmax:3055、2986、2937、2916、2848、1750、1719、1606、1451、1392、1264、1177、1134、1050、910、854、747cm-1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.56(d,J=2.8Hz,1H)、7.54(t,J=2.1Hz,1H)、7.51(s,0.5H)、7.50(s,0.5H)、7.26~7.24(m,0.5H)、7.24~7.21(m,0.5H)、7.01(t,J=2.2Hz,0.5H)、6.99(t,J=2.2Hz,0.5H)、6.96(s,1H)6.85(dq,J=10.9,5.4Hz,1H)、3.75~3.67(m,4H)、2.14(s,1.5H)、1.98(s,1.5H)、1.44(d,J=1.6Hz,1.5H)、1.43(d,J=1.6Hz,1.5H)、1.33(d,J=5.5 Hz,1.5H)、1.24(d,J=5.5 Hz,1.5H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 171.43、171.32、169.00、168.80、156.64、156.60、133.92、133.79、132.70、132.66、128.26、128.21、127.85(2)、126.16、126.08、125.14、125.02、124.97(2)、117.97、117.85、104.49、104.46、89.31、89.05、54.12(2)、44.15、44.11、18.34、18.24、17.38、17.18、12.15、11.97。
【0263】
工程C:(S)-((R,S)-1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-1イルオキシ)カルボニルオキシ)エチル)2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート((S)-((R,S)-1-((2,5-dioxopyrrolidin-1-yloxy)carbonyloxy)ethyl)2-(6-methoxynaphthalen-2-yl)propanoate)(9)の合成
雰囲気下で、(S)-((R,S)-1-(メチルチオカルボニルオキシ)エチル)2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート(1.0eq.)(7)とNHS(20.0eq.)(8)をリアクターにおいてDCM(10.0vol.)中に溶かした。48時間前に調製された過酢酸溶液(15%wt)(2.5eq.)を25℃未満で2~3時間、リアクターに滴加した。追加の1~2時間、15±5℃で、その混合物を撹拌し続け、その後、反応混合物が20~25℃まで暖まることを許容した。20~25℃で6時間撹拌した後、HPLC解析のために反応混合物をサンプリングした。(S)-(R、S)(-1-(メチルチオカルボニルオキシ)エチル 2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアートがピーク面積に基づいて5.0%以下になるまで、撹拌を継続した。
【0264】
5%のNaCl水溶液(5.0vol.)の一部をリアクターに加えた。層を分離し、有機相を収集した。HPLCクロマトグラムにおいてナプロキセンが1.5%以下(ピーク面積)になるまで、有機相を5%のNaHCO(5.0vol.)で数回にわたって洗浄した。
【0265】
10%のNa(5.0vol.)水溶液で有機相を洗浄した。相を分離し、有機相を収集した。celatomを介して有機相を濾過した。DCM(1.0vol.)で濾過ケークを2度洗浄し、および、濾液を組み合わせ、収集した。濾液を15%のNaCl(5.0vol.)でさらに洗浄し、その後、有機相を分離し、濃縮した。粗製の(S)-((R,S)-1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-1イルオキシ)カルボニルオキシ)エチル)2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート(9)を、直接次の工程に渡す。結果として所望のジアステレオマーが得られ、以下の特性があった:白い結晶、融点:145~146℃。IR(KBr)νmax:2992、2942、1819、1792、1744、1632、1606、1506、1486、1454、1393、1373、1260、1234、1202、1048、910、879、812、735、644cm-1H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71(dd,J=8.5,4.5Hz,2H)、7.65(s,1H)、7.38(s,0.5H)、7.36(s,0.5H)、7.17~7.08(m,2H)、6.88~6.79(m,1H)、3.98~3.83(m,4H)、2.82(s,2H)、2.73(s,2H)、1.58(m,4.5H)、1.48(d,J=5.4Hz,1.5H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ 172.31、172.18、168.39(2)、168.24(2)、157.75、157.68、149.87、149.73、134.66、134.40、133.80、133.74、129.45、129.33、128.93、128.90、127.36、127.32、126.18、126.15(2)、126.09、119.09、118.85、105.58(2)、93.89、93.79、55.33(2)、45.27、45.04、25.44(2)、25.29(2)、19.27、19.19、18.41、18.34。HRMS(ESI)found 438.1157、([M+Na],calcd for C2121NO 438.1159)。
【0266】
工程D:(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(式I)の合成
のもとで、粗製の(S)-((R,S)-1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-1イルオキシ)カルボニルオキシ)エチル)2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアート(9)(理論収量×HPLCによる純度、1.0eq.)をリアクター中にあるDCM(10.0vol.)の中に溶かした。プレガバリン(1.0eq.)および脱イオン水(1.5vol.)をリアクターに加えた。HPLC解析のためにサンプリングされる前に、反応混合物を25±3℃において撹拌した。その後、(S)-((R,S)-1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-1イルオキシ)カルボニルオキシ)エチル)2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノアートのピーク面積がHPLC解析において1.0%である時、脱イオン化HO(5.0vol.)の一部をリアクターに加えた。層を分離し、および、有機相を収集した。有機相を脱イオン化HO(5.0vol.)で、続いて15%のNaCl(5.0、vol.)水溶液で、さらに洗浄した。層を分離し、および、有機相を収集した。
【0267】
粗製の(S)-3-((((R,S)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(理論的生成量×純度、1.0eq.)をシリカゲル(100~200mesh)(2.0wt.%)と混合した。その後、この混合物を、移動相として、ヘプタン(165vol.)とEtOAc(50vol.)の混合物と共にシリカゲル(100~200 mesh,5.5 wt.%)のカラム充填剤上に載せた。90%より高いHPLC純度がある(S)-3-((((R,S)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸の分留を収集し、45℃未満の減圧下で濃縮した。
【0268】
雰囲気下で、(S)-3-((((R,S)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(1.0 eq.)をリアクターにおいてIPA(2.0vol.)中に溶かした。その混合物を約40±5℃まで温め、清澄溶液を得るために撹拌した。ヘプタン(5.5vol.)をリアクターに滴加し、および、その混合物を1.0時間撹拌した。その混合物を20±5℃まで冷却し、1時間撹拌した。その後、それを約5±5℃まで冷却し、15時間撹拌した。その不均質混合物を濾過し、得られた固体をヘプタン(0.5vol.)で2度洗浄した。(S)-3-((((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸(式I)の固体を収集した。
【0269】
実施例3:式Iの結晶形態の示差走査熱量測定分析
TA-Q200 Differential Scanning Calorimetric Analyzerを使用して、式Iの結晶形態の示差走査熱量を計測した。サンプルパージフローは50mL/minであり、また、加熱速度は10℃/minであった。サンプルセルにおける平衡温度は25℃であり、また、最終温度を300℃に設定した。スペクトルは、開始温度117.88℃、およびΔH127.7J/gで、119.90℃において鋭い吸熱転移(融点)を示した。119~120℃のピーク吸熱において、サンプルは目に見えて融解した。DSCとTGAのカーブのオーバーラップを図3に示す。DSCとTGAの結果を組み合わせて、式Iの結晶形態の結晶化度を確認した。
【0270】
実施例4:立体化学の測定
(S)-3-(((R)-1-((S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパノイルオキシ)エトキシ)カルボニル-アミノ)メチル)-5-メチルヘキサン酸は3つのキラル中心を含む。合成の間に、ナプロキセン部分のS-配置をS-ナプロキセンの出発物質のエナンチオマー純度を介して制御し、および、プレガバリン部分のS-配置をS-プレガバリンの出発物質のエナンチオマー純度を介して制御する。リンカー部分の新しく形成されたアシルオキシ炭素は、単離される主要なジアステレオマーにおいてR-立体化学配置を有する。単結晶X線回折分析を介して、主要なジアステレオマー(結晶化した)のアシルオキシ炭素配置を明白に割付けた。単結晶X線回折のデータ情報と確認された立体構造を以下に示し、および、式Iの化合物のX線構造を図4に示す。
【0271】
【表2】
【0272】
実施例5:式Iの化合物の旋光
式Iの化合物(MeOH溶液5mg/mL)の観察された比旋光度は、およそ+31度から+33.0度である。
図1
図2
図3
図4