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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】バーンイン装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240221BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G01R31/26 H
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021038582
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138609
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】迫中 和広
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-040877(JP,A)
【文献】特開平10-177056(JP,A)
【文献】特開2001-255349(JP,A)
【文献】特開2001-004693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0112025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/00
H05K 7/20
H01L 23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に装着される電子デバイスの駆動部または制御部を冷却する冷却用空気を流通させる空気通路と、を有する複数のバーンインボードと、
出し入れ口が形成された槽本体と、前記出し入れ口を開閉する扉体とを有し、前記槽本体と前記扉体とによって前記バーンインボードを収容する収容空間が形成された加熱槽と、を備え、
前記扉体には、前記複数のバーンインボードのそれぞれの空気通路との間で冷却用空気を流通させる扉側流路が形成されており、
前記扉体によって前記出し入れ口が閉じられた状態において、前記扉側流路と前記複数のバーンインボードの空気通路とが気密状に連通している、バーンイン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーンイン装置において、
前記扉側流路は、前記扉体内に設けられたダクトを有し、
前記ダクトと各バーンインボードとの間には、前記ダクトと前記空気通路とを気密状につなぐ通路を形成するパッキンが設けられている、バーンイン装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバーンイン装置において、
前記扉体に、冷却用空気の気流を生じさせる冷却ファンが設けられ、
前記冷却ファンからの冷却用空気が前記扉側流路に導入される、バーンイン装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のバーンイン装置において、
前記扉側流路は、前記複数のバーンインボードのそれぞれに対応するように配置された複数の個別流路を含み、
前記扉体には、前記複数の個別流路のそれぞれに対応して冷却ファンが設けられている、バーンイン装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のバーンイン装置において、
前記扉側流路は、少なくとも1つの主流路と、前記少なくとも1つの主流路から前記複数のバーンインボードに対応するように分岐した複数の分岐流路と、を含み、
前記扉体には、前記少なくとも1つの主流路に冷却用空気を送り込む少なくとも1つの冷却ファンが設けられている、バーンイン装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のバーンイン装置において、
前記槽本体には、前記収容空間を挟んで前記出し入れ口とは反対側の部位に冷却ファンが設けられ、
前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記空気通路から前記扉側流路に向けて流れる、バーンイン装置。
【請求項7】
請求項3から5の何れか1項に記載のバーンイン装置において、
前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記空気通路を流れた後、前記扉体に戻されて排気される、バーンイン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーンイン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温環境下で電子デバイスに電気的ストレス(電源電圧、信号等)を付加する試験を行う、バーンイン装置が知られている。バーンイン装置では、電子デバイスが装着される基板を有するバーンインボードが用いられる。電子デバイスの動作速度の高速化に伴い、基板に電子デバイス駆動用のプロセッサが設けられるようになってきているため、下記特許文献1に開示されるように、バーンインボードは、プロセッサを冷却するための冷却用空気が流通するように中空形状に形成されている。図11に示すように、特許文献1に開示されたバーンインボード91は、中空形状に形成されるとともに、一方の側面に冷却用空気を流入させる送気口92が開口し、他方の側面に冷却用空気の排気口93が開口している。そして、バーンインボード91の上面に、電子デバイス94を装着する基板95が配置されている。
【0003】
バーンイン装置の加熱槽96には、複数のバーンインボード91がセットされる。各バーンインボード91は、加熱槽96における、互いに対向する一対の側壁96aにそれぞれ形成された複数の貫通孔に挿通されるようにして、加熱槽96にセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-50691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたバーンイン装置では、バーンインボード91が一対の側壁96aを貫通するように加熱槽96にセットされる。そして、ダクト等によって送風機97を各バーンインボード91に接続する作業を行う。特に、多数のバーンインボード91がセットされるバーンイン装置においては、各バーンインボード91に対して冷却用空気が流れるように個別に接続作業を行う必要があり、この作業が手間となる。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バーンインボードに対する冷却用空気の流路の接続作業を簡略化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係るバーンイン装置は、基板と、前記基板に装着された電子デバイスの駆動部または制御部を冷却する冷却用空気を流通させる空気通路と、を有する複数のバーンインボードと、出し入れ口が形成された槽本体と、前記出し入れ口を開閉する扉体とを有し、前記槽本体と前記扉体とによって前記バーンインボードを収容する収容空間が形成された加熱槽と、を備える。前記扉体には、前記複数のバーンインボードのそれぞれの空気通路との間で冷却用空気を流通させる扉側流路が形成されている。前記扉体によって前記出し入れ口が閉じられた状態において、前記扉側流路と前記複数のバーンインボードの空気通路とが気密状に連通している。
【0008】
本発明に係るバーンイン装置では、扉体に扉側流路が形成されており、扉体が槽本体の出し入れ口を閉じた状態では、扉側流路と複数のバーンインボードの空気通路とは、気密状に連通している。このため、例えば、冷却用空気が扉側流路から空気通路に向けて流れる場合には、扉側流路を流れた冷却用空気は、バーンインボードを収容する収容空間に漏れ出すことなく、複数のバーンインボード内の空気通路に流入する。一方、冷却用空気がバーンインボードの空気通路から扉側流路に向けて流れる場合には、空気通路を流れた冷却用空気は、収容空間に漏れ出すことなく扉側流路に流入する。また、扉体が閉じられた状態では、扉側流路と複数のバーンインボードの空気通路とが気密状に連通するため、複数のバーンインボードの空気通路に対する扉側流路の接続作業を別個に行う必要はない。したがって、バーンインボードに対する冷却用空気の流路の接続作業を簡略化するができる。一方で、扉体を開くと扉側流路も扉体と一体となって移動するため、複数のバーンインボードの出し入れ時に扉側流路が邪魔になることはない。
【0009】
前記扉側流路は、前記扉体内に設けられたダクトを有し、前記ダクトと各バーンインボードとの間には、前記ダクトと前記空気通路とを気密状につなぐ通路を形成するパッキンが設けられてもよい。
【0010】
この態様では、扉体内のダクトと各バーンインボードとの間にパッキンが設けられるので、バーンインボードの配置位置を精度良く調整しなくても、扉側流路と空気通路との間の気密を確保できる。
【0011】
前記扉体に、冷却用空気の気流を生じさせる冷却ファンが設けられてもよい。この場合、前記冷却ファンからの冷却用空気が前記扉側流路に導入される。
【0012】
この態様では、冷却ファンが扉体に設けられるため、冷却ファンが扉体の開閉動作の邪魔になることがない。また、冷却ファンが扉体とは別個に配置される構成では、冷却ファンから扉体の扉側流路に冷却用空気を導く流路を扉体と別個に設ける必要があるが、冷却ファンが扉体に設けられるため、そのような流路は必要ない。
【0013】
前記扉側流路は、前記複数のバーンインボードのそれぞれに対応するように配置された複数の個別流路を含んでもよい。この場合、前記扉体には、前記複数の個別流路のそれぞれに対応して冷却ファンが設けられてもよい。
【0014】
この態様では、複数の個別流路にそれぞれ冷却ファンが設けられるため、各バーンインボードの空気通路に導入される冷却用空気の風量が偏らないようにできる。
【0015】
前記扉側流路は、少なくとも1つの主流路と、前記少なくとも1つの主流路から前記複数のバーンインボードに対応するように分岐した複数の分岐流路と、を含んでもよい。この場合、前記扉体には、前記少なくとも1つの主流路に冷却用空気を送り込む少なくとも1つの冷却ファンが設けられていてもよい。
【0016】
この態様では、少なくとも1つの冷却ファンからの冷却用空気が少なくとも1つの主流路に導入される。この冷却用空気は、複数の分岐流路を経由して複数のバーンインボードの空気通路のそれぞれに導入される。したがって、各バーンインボードに対応する数の冷却ファンが設けられる構成に比べ、冷却ファンの数を減らすことができる。
【0017】
前記槽本体には、前記収容空間を挟んで前記出し入れ口とは反対側の部位に冷却ファンが設けられてもよい。この場合、前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記空気通路から前記扉側流路に向けて流れる。
【0018】
この態様では、冷却ファンから吹き出された冷却用空気が、加熱槽における出し入れ口とは反対側の部位(背面側の部位)から複数のバーンインボードに向けて流れ、その後、扉側流路に流れる。この構成でも、複数のバーンインボードの空気通路に対する扉側流路の接続作業が別個に必要になることはない。
【0019】
前記冷却ファンからの冷却用空気は、前記空気通路を流れた後、前記扉体に戻されて排気されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、バーンインボードに対する冷却用空気の流路の接続作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るバーンイン装置を概略的に示す図である。
図2】前記バーンイン装置の内部を上から見た状態で概略的に示す図である。
図3】バーンインボードと扉側流路との連通構造を説明するための図である。
図4】前記バーンイン装置の変形例の内部を上から見た状態で概略的に示す図である。
図5】(a)~()前記バーンイン装置に用いられるバーンインボードを示す図である。
図6】第2実施形態に係るバーンイン装置を概略的に示す図である。
図7】バーンインボードと扉側流路との連通構造を説明するための図である。
図8】第2実施形態の変形例に係るバーンイン装置を概略的に示す図である。
図9】第2実施形態の変形例に係るバーンイン装置を概略的に示す図である。
図10】その他の実施形態に係るバーンイン装置の内部を上から見た状態で概略的に示す図である。
図11】従来のバーンイン装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るバーンイン装置10は、バーンインボード12内に配置された多数の電子デバイス14に高温環境下で電気的ストレスを付加して、電子デバイス14のスクリーニングを行うための装置である。
【0024】
バーンイン装置10は、多数のバーンインボード12を収容する収容空間を区画する槽本体16aと、槽本体16aに形成されたバーンインボード12の出し入れ口を開閉する扉体16bと、を有する加熱槽16を備えている。槽本体16a及び扉体16bは、それぞれ断熱パネルによって構成されている。
【0025】
収容空間には、収容空間内の空気を加熱する加熱器18と、収容空間内で空気を循環させる送風機19と、が配設されている。収容空間内において、多数のバーンインボード12は、上下方向に互いに間隔をおいて配置される。なお、図示省略しているが、加熱槽16には、各バーンインボード12を所定位置に配置できるように、バーンインボード12の案内部が設けられている。
【0026】
加熱槽16の背面側には、図2にも示すように、背面室21が隣接している。背面室21には、各バーンインボード12に対応して設けられる多数のドライバーボード23が収容されている。各ドライバーボード23には、それぞれ対応する中継ボード25が接続されている。各中継ボード25は、槽本体16aにおける背面側壁16cを貫通するとともに背面側壁16cに支持されている。各中継ボード2の槽本体16a側の先端には、対応のバーンインボード12に設けられた後述するボード側コネクタ35a(図5(a)参照)に接続可能な槽側コネクタ27が設けられている。すなわち、加熱槽16は、後述するボード側コネクタ35aに結合可能に構成された槽側コネクタ27を有している。なお、背面室21には、ドライバーボード23を制御する信号発生装置33等も収容されている。
【0027】
加熱槽16は、バーンインボード12との間で冷却用空気を流通させる槽側流路を有している。槽側流路は、扉体16bに設けられた扉側流路29と、槽本体16aに設けられた本体側流路30と、を含む。扉側流路29は、収容される複数のバーンインボード12に対応するように配置された複数の個別流路31を含む。また、本体側流路30は、収容される複数のバーンインボード12に対応するように配置された複数の本体側個別流路32を含む。各バーンインボード12は、それぞれ対応する個別流路31と本体側個別流路32との間に配置される。
【0028】
各個別流路31は、図2及び図3に示すように、扉体16b内に設けられたダクト31aを有しており、各ダクト31aと、対応するバーンインボード12との間には、それぞれパッキン31bが設けられている。パッキン31bは、扉体16bから突出するように設けられ、ダクト31aと後述するバーンインボード12の空気通路41とを気密状につなぐ通路を形成する。なお、パッキン31bは、扉体16bに固定されていてもよく、あるいはバーンインボード12に固定されていてもよい。
【0029】
ダクト31aは、角筒状の部材で形成されており、扉体16bをその厚み方向に貫通するように扉体16b内に配置されている。ダクト31aの外端は、扉体16bの外面に開口し、ダクト31aの内端は、扉体16bの内面に開口している。ダクト31aは、外端から内端に向かって中間部分まで次第に上下方向の幅が狭くなり、扉体16bの中間部分から内端にかけて上下方向の幅が一定となっている。
【0030】
パッキン31bは、角筒状の柔軟な部材で構成され、ダクト31aの内端に接続されるとともに扉体16bの内面から収容空間内に向けて延びる形状となっている。これにより、ダクト31aとバーンインボード12内の後述の空気通路41とをつなぐ通路がパッキン31bによって形成される。パッキン31bの断面は、空気通路41に対応する形状に形成されている。なお、パッキン31bを省略して、ダクト31aがバーンインボード12に直接、気密状につながる構成としてもよい。
【0031】
各本体側個別流路32は、槽本体16a内に設けられたダクト32aを有し、各本体側個別流路32と、対応するバーンインボード12との間には、それぞれパッキン32bが設けられている。パッキン32bは、槽本体16aの背面側壁16cから突出する位置に設けられ、ダクト32aと後述するバーンインボード12の空気通路41とを気密状につなぐ通路を形成する。なお、パッキン32bは、槽本体16aに固定されていてもよく、あるいはバーンインボード12に固定されていてもよい。
【0032】
ダクト32aは、角筒状の部材で形成されており、槽本体16aにおける背面側壁16cをその厚み方向に貫通するように、背面側壁16cに配置されている。ダクト32aの外端は、背面側壁16cの背面に開口している。ダクト32aの内端は、背面側壁16cの前面から僅かに突出し、収容空間内で開口している。
【0033】
パッキン32bは、角筒状の柔軟な部材で構成され、ダクト32aの内端に接続されるとともにダクト32aから収容空間内に向けて延びる形状となっている。パッキン32bの断面は、バーンインボード12に形成された後述の空気通路41に対応する形状に形成されている。なお、パッキン32bを省略して、ダクト32aがバーンインボード12に直接繋がる構成としてもよい。
【0034】
扉体16bには、冷却用空気の気流を生じさせる冷却ファン45が設けられている。各バーンインボード12に対して複数の冷却ファン45が配置されているが、各バーンインボード12に対して1つの冷却ファン45が設けられてもよい。冷却ファン45から吹き出された冷却用空気は、扉体16b内に設けられたダクト31a及びパッキン31bを通してバーンインボード12内の後述する空気通路41に導入される。また、各空気通路41を流れた冷却用空気は、対応する本体側個別流路32に流入する。
【0035】
各本体側個別流路32は、図2に示すように、冷却用空気がドライバーボード23の両側に分かれて流れるように2つの流路に分岐した構成となっている。ただし、これに限られるものではなく、図4に示すように、各本体側個別流路32は、冷却用空気をドライバーボード23の一方側に向けて案内する構成であってもよい。
【0036】
バーンインボード12は、図5(a)~()に示すように、多数の電子デバイス14を装着可能に構成された基板35と、基板35を覆うカバー36と、を備えている。
【0037】
基板35は矩形状に形成されており、基板35の上面には、多数の電子デバイス14を取り付けるための図略の多数のソケットが設けられ、基板35の下面には、電子デバイス14の駆動部または制御部(図示省略)が各電子デバイス14の真下に位置するように設けられている。駆動部は、例えば電子デバイス14の電源、スイッチング部品等であり、制御部は、例えば電子デバイス14の制御回路(電子デバイス14の駆動プロセッサ等の制御回路)等である。
【0038】
基板35には、矩形の一辺に沿ってボード側コネクタ35aが設けられている。すなわち、基板35の一端部にボード側コネクタ35aが設けられている。ボード側コネクタ35aは、基板35に形成された図略の導通部を介して駆動プロセッサと電気的に接続されている。なお、図5(b)では、3つのボード側コネクタ35aが設けられる構成を示すが、これに限られない。
【0039】
カバー36は、基板35の下面側に配置される下側カバー39を有する。下側カバー39は断熱性を有する材質である
【0040】
下側カバー39は、駆動プロセッサが配置される基板35の下側を覆う一方で、基板35との間に空気通路41を形成するように構成されている。そして、下側カバー39は、図1及び図5(a)(b)等に示すように、空気通路41と加熱槽16側の個別流路31(扉側流路29)及び本体側個別流路32(本体側流路30)との間で冷却用空気の流通が可能になるように、扉体16b側の側面及び加熱槽16の背面側の側面が開放されている。つまり、空気通路41は、バーンインボード12におけるボード側コネクタ35aが設けられた一端部側の端面に開口するとともに、ボード側コネクタ35aとは反対側の端面に開口している。
【0041】
具体的に、下側カバー39は、矩形状の底面部39aと、底面部39aにおいてボード側コネクタ35aが設けられた一辺に対して一方側に隣接する位置で底面部39aの一辺に沿って設けられた第1下側面部39cと、ボード側コネクタ35aが設けられた一辺に対して他方側に隣接する位置で底面部39aの一辺に沿って設けられた第2下側面部39dと、からなる。下側カバー39において、扉体16b側の側面及び加熱槽16の背面側の側面が開放されていることにより、これらの部分が空気通路41における冷却用空気の流入口41a及び流出口41bとなっている。
【0042】
扉側流路29と空気通路41と本体側流路30とは、気密状に連通している。すなわち、加熱槽16には、扉体16bを槽本体16aにロックするロック機構47(図1参照)が設けられており、このロック機構47によって扉体16bが槽本体16aにロックされた状態において、扉体16bの扉側流路29の各個別流路31が、対応するバーンインボード12の空気通路41に気密状に連通するとともに、各バーンインボード12の空気通路41が、背面側壁16cの対応する本体側流路30に気密状に連通している。
【0043】
本実施形態では、ロック機構47によって扉体16bが槽本体16aにロックされることによって、扉体16bの各ダクト31aが、対応するパッキン31bを介してバーンインボード12に押圧されて、各個別流路31が、対応する空気通路41と気密状に連通する。なお、ロック機構47の作動によって扉体16bがバーンインボード12に押圧されることによって、扉側流路29と空気通路41との間の気密が確保される構成に限られるものではない。例えば、扉側流路29を背面側に付勢する図示省略する装置が設けられていて、この装置による付勢によって扉側流路29と空気通路41が気密状に連通する構成であってもよい。
【0044】
空気通路41と本体側流路30とが気密状に連通するのは、バーンインボード12のボード側コネクタ35aが背面側壁16c側の槽側コネクタ27に接続されることによって、バーンインボード12がパッキン32bを介して背面側壁16cのダクト32aに押圧されることによるものである。ただし、これ以外の手段によって、空気通路41と本体側流路30とが気密状に連通する構成としてもよい。
【0045】
本実施形態のバーンイン装置10において、バーンインボード12を収容空間内にセットするときには、扉体16bを開放する。この状態で、バーンインボード12のボード側コネクタ35aが槽側コネクタ27に接続されるように各バーンインボード12を所定の位置に配置する。これにより、各バーンインボード12の空気通路41は、対応する本体側個別流路32と気密状に連通する。そして、所定枚数のバーンインボード12を収容した後、扉体16bを閉じると、扉体16bに設けられたパッキン31bが、対応するバーンインボード12に接触し、各個別流路31は、対応するバーンインボード12の空気通路41と連通する。そして、ロック機構47によって扉体16bが槽本体16aにロックされると、各個別流路31と空気通路41との間の気密が確保される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、扉体16bに扉側流路29が形成されており、扉体16bが槽本体16aの出し入れ口を閉じた状態では、扉側流路29と複数のバーンインボード12の空気通路41とは、気密状に連通している。このため、冷却用空気が扉側流路29から空気通路41に向けて流れる場合には、扉側流路29を流れた冷却用空気は、バーンインボード12を収容する収容空間に漏れ出すことなく、複数のバーンインボード12内の空気通路41に流入する。また、扉体16bが閉じられた状態では、扉側流路29と複数のバーンインボード12の空気通路41とが気密状に連通するため、複数のバーンインボード12の空気通路41に対する扉側流路29の接続作業を別個に行う必要はない。したがって、バーンインボード12に対する冷却用空気の流路の接続作業を簡略化することができる。一方で、扉体16bを開くと扉側流路29も扉体16bと一体となって移動するため、複数のバーンインボード12の出し入れ時に扉側流路29が邪魔になることはない。
【0047】
また本実施形態では、扉体16b内のダクト31aと各バーンインボード12との間にそれぞれパッキン31bが設けられているので、バーンインボード12の配置位置を精度良く調整しなくても、扉側流路29と空気通路41との間の気密を確保できる。
【0048】
また本実施形態では、冷却ファン45が扉体16bに設けられるため、冷却ファン45が扉体16bの開閉動作の邪魔になることがない。また、冷却ファン45から扉体16bの扉側流路29に冷却用空気を導く流路を扉体と別個に設ける必要がない。
【0049】
また本実施形態では、扉側流路29の各個別流路31にそれぞれ冷却ファン45が設けられるため、各バーンインボード12の空気通路41に導入される冷却用空気の風量が偏らないようにできる。
【0050】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
第1実施形態では、扉側流路29が、互いに独立した複数の個別流路31によって構成され、個別流路31の数に対応した数以上の冷却ファン45が設けられている。つまり、各個別流路31には少なくとも1つの冷却ファン45が設けられており、各個別流路31には、1つ以上の冷却ファン45から冷却用空気が送られる。言い換えると、バーンインボード12の数に対応する数以上の冷却ファン45が設けられていることになる。これに対し、第2実施形態では、バーンインボード12の数よりも少ない数の冷却ファン45が設けられ、冷却用空気が1つの冷却ファン45から複数のバーンインボード12の空気通路41に導入される。
【0052】
図6に示すように、扉側流路29は、1つの主流路29aと、この主流路29aから分岐した複数の分岐流路29bとを含んでいる。分岐流路29bの数は、バーンインボード12の数に対応している。
【0053】
主流路29aは、扉体16b内において上下方向に延びるように形成されたダクトによって構成されている。主流路29aは、扉体16bの上端に開口しており、この上端から主流路29a内に空気を取り込むことが可能となっている。
【0054】
主流路29aには、上端から外気(冷却用空気)を取り込み、各分岐流路29bに向けた気流を生成するための冷却ファン45が設けられている。なお、冷却ファン45は扉体16b内に配置されてもよく、あるいは、扉体16bの外面に取り付けられてもよい。
【0055】
分岐流路29bは、図7に示すように、扉体16b内に配置されたダクト29cと、扉体16b外に配置されるとともにダクト29cに接続された通路を形成するパッキン29dと、によって構成される。
【0056】
なお、図6は、1つの主流路29aが設けられて、1つの主流路29aが全ての分岐流路29bにつながる構成を示すが、これに限られるものではない。例えば、図8に示すように、複数の主流路29aが設けられ、このうちの一部の主流路29aが、複数の分岐流路29bのうちの一部の分岐流路29bにつながり、他の主流路29aが残りの分岐流路29bにつながる構成であってもよい。この場合、主流路29aの数に対応した数の冷却
ファン45が設けられる。
【0057】
本実施形態では、少なくとも1つの冷却ファン45からの冷却用空気が少なくとも1つの主流路29aに導入される。この冷却用空気は、複数の分岐流路29bを経由して複数のバーンインボード12の空気通路41のそれぞれに導入される。したがって、各バーンインボード12に対応する数の冷却ファン45が設けられる構成に比べ、冷却ファン45の数を減らすことができる。
【0058】
なお、図6に示す形態では、扉体16bに冷却ファン45が設けられるが、これに限られない。例えば、図9に示すように、複数の冷却ファン45が背面側壁16cに設けられてもよく、この場合、各冷却ファン45は、対応する本体側個別流路32に連通するように設けられる。すなわち、冷却ファン45は、槽本体16aにおいて、収容空間を挟んで出し入れ口とは反対側の部位に設けられてもよい。この場合、冷却用空気は、本体側個別流路32から空気通路41に流入し、空気通路41内を流れた冷却用空気は、分岐流路29b及び主流路29aを流れて排気される。
【0059】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0060】
(その他の実施形態)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、加熱槽16が扉側流路29と本体側流路30とを含み、冷却用空気が空気通路41を一方向にのみ流れるが、これに限られるものではない。例えば、図10に示すように、本体側流路30が省略されて、扉側流路29から空気通路41に流入した冷却用空気が扉側流路29に戻る構成であってもよい。この場合、扉側流路29には、冷却ファン45が設けられた給気流路29eと、区画壁によって給気流路29eから離隔された排気流路29fとが含まれる。給気流路29eでは、冷却ファン45から吹き出された冷却用空気が空気通路41に向けて流れ、排気流路29fでは、空気通路41を流れた冷却用空気が流入する。この構成では、空気通路41内にも、仕切り壁39eが形成され、バーンインボード12内において冷却用空気が折り返す構成となる。すなわち、冷却ファン45からの冷却用空気は、空気通路41を流れた後、扉体16bに戻されて排気される。この構成は、図1図6及び図8の何れの構成でも採用できる。
【符号の説明】
【0061】
10 :バーンイン装置
12 :バーンインボード
14 :電子デバイス
16 :加熱槽
16a :槽本体
16b :扉体
29 :扉側流路
29a :主流路
29b :分岐流路
29c :ダクト
29d :パッキン
31 :個別流路
31a :ダクト
31b :パッキン
35 :基板
41 :空気通路
45 :冷却ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11