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特許7441199新規なポリオレフィン触媒およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】新規なポリオレフィン触媒およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/16 20060101AFI20240221BHJP
   C07D 235/14 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 239/06 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 277/10 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 279/06 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 281/02 20060101ALI20240221BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20240221BHJP
   C07F 15/04 20060101ALI20240221BHJP
   C08F 4/70 20060101ALI20240221BHJP
   C08F 8/04 20060101ALI20240221BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C07D233/16
C07D235/14
C07D239/06
C07D277/10
C07D279/06
C07D281/02
C07F15/00 C
C07F15/04
C08F4/70
C08F8/04
C08F10/00
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021131874
(22)【出願日】2021-08-13
(62)【分割の表示】P 2019155636の分割
【原出願日】2015-10-19
(65)【公開番号】P2021185164
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】201410555078.X
(32)【優先日】2014-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518088129
【氏名又は名称】シャンハイ ケムラン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】タン,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャシュアイ
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ウェンジェ
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0025007(US,A1)
【文献】国際公開第2006/036740(WO,A1)
【文献】特開2005-265483(JP,A)
【文献】国際公開第2012/109343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 233/
C07D 235/
C07D 239/
C07D 277/
C07D 279/
C07D 281/
C07F 15/
C08F 4/
C08F 8/
C08F 10/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式IIで表される構造を有する錯体:
【化1】
(Y1は、C1-C8アルキル基またはC1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基で、
Y2は、NR6、またはSで、R6は独立にH、C1-C4アルキル基またはハロアルキル基であるか、あるいは、Y1とY2、および両者とも結合するC-C結合は一緒に無置換または置換の5-12員環を形成しており、
【化2】
は以下の基から選択され、
【化3】
Y 5 はハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基で、
Y4、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10およびY11はそれぞれH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基であり、
ZはC1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のナフチル基であり、
ここで、上記各定義に記載の「置換の」とは前記基がC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、CF3、-O-R1、-N(R2)2、-Si(R3)3、-CH2-O-R8、-SR9、-CH2-S-R10、-CH-(R10)2、あるいは無置換またはC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基からなる群から選ばれる置換基で置換されたフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有することをいい、ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1-C4アルキル基またはハロアルキル基で、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基またはフェニル基であり、
Mはニッケル、パラジウム、またはこれらの組み合わせであり、
Xは独立にハロゲン、C1-C4アルキル基、C2-C6アルケニル基、アリル基
【化4】
-OAc、-OTfまたはベンジル基である。)
【請求項2】
【化5】
が、以下の基から選択される請求項1に記載の錯体:
【化6】
(Y5はハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基であり、
Y4、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10およびY11はそれぞれH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、または-CH2-O-R8で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基である。)
【請求項3】
5-7員の単環を含む二環が、スピロ環または縮合環であり、および化合物が下記式のいずれかの構造を有することを特徴とする請求項1に記載の錯体。
【化7】
(各nはそれぞれ1、2、3または4であり、
Y1、Y2、およびZの定義は請求項1の通りであり、
Y4はH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基で、ここで、Y4とY5が同時にハロゲン、-O-R7または-SR9である場合を除き、
Y5はハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基である。)
【請求項4】
Zが、無置換または置換のフェニル基、あるいは無置換または置換のナフチル基で、ここで、前記置換とは基にC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、CF3、-O-R1、-N(R2)2、-Si(R3)3、-CH2-O-R8、-SR9、-CH2-S-R10、-CH-(R10)2からなる群から選ばれる1-5個の置換基、あるいは無置換またはC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基からなる群から選ばれる置換基で置換されたフェニル基があることをいい、ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1-C4アルキル基またはハロアルキル基で、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基またはフェニル基で、
かつ置換のフェニル基に多くとも1つのニトロ基またはシアノ基があり、
かつ、
【化8】
からなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の錯体。
【請求項5】
金属塩が、NiCl2、NiBr2、NiI2、(DME)NiBr2、PdCl2、PdBr2、Pd(OTf)2、Pd(OAc)2、(COD)PdMeClまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の錯体。
【請求項6】
(a)塩基性条件において、式Aで表される複素環化合物を酸化させて式Bで表される化合物を形成する工程と、
【化9】
(b)式B化合物と式C化合物とを反応させ、式Iで表される化合物を形成する工程と、
【化10】
(上記各式において、Y1、Y2、Y3、Zおよび
【化11】
の定義は請求項1の通りである)
を含む、
不活性溶媒において、式Iの化合物と2価または3価の金属塩とを反応させることによって、請求項1に記載の錯体を形成し、
前記工程(a)は、不活性有機溶媒で塩基によって水素を除去した後、酸素ガス、空気またはほかの酸化試薬によって3~48時間酸化させるが、ここで、前記の塩基はn-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ジイソプロピルアミノリチウム(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)からなる群から選択され、
前記工程(b)では、0.001~100%の相応の縮合反応を促進する触媒を入れ、触媒はギ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸、TiCl4、オルトケイ酸エステルからなる群から選択され、
前記工程(b)における化合物BとCの比率が(0.7~1.2):1である、
請求項1に記載の錯体を製造する方法。
【請求項7】
オレフィン重合の触媒として用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の錯体の使用。
【請求項8】
オレフィンが、エチレン、プロピレンおよびC4-C20の末端オレフィン、内部オレフィン、ジオレフィンまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
オレフィンが極性モノマーであり、および前記の極性モノマーは極性基を含有するC3-C50のオレフィンで、前記の極性基はカルボニル基、ヒドロキシ基、-COOH、エステル基-COOR11、アルコキシ基-OR12、アミン基-NR13R14、アミド基-CONR15R16、スルフィド-SR17、セレニド-SeR18、-PR19R20、-P(=O)R19R20またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、ここで、R11およびR12は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基で、R13、R14、R15、R16、R17またはR18は独立に水素、C1-C10のアルキル基、またはC6-C20アリール基で、R19またはR20は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
オレフィン重合が、以下の工程:
(a)オレフィン重合触媒として請求項1に記載の錯体の存在下で、アルキルアルミニウム化合物を助触媒とし、オレフィンを触媒重合させることによって、油状ポリオレフィンを形成する工程、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項11】
さらに以下の工程:
(b)工程(a)で得られた油状ポリオレフィンを水素化反応させることによって、水素化された油状アルカン混合物を得ること、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
工程(a)の前に、さらに、
極性モノマーを助触媒と混合し、混合物にした後、前記混合物を工程(a)に使用すること、
あるいは前記の極性モノマーを官能基保護試薬と反応させ、官能基が保護された極性モノマーにした後、前記保護された極性モノマーを工程(a)に使用すること、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油のベース油の製造技術の分野に関し、具体的に、新規なポリオレフィン触媒およびその製造技術、並びにこのような触媒の作用下で、エチレン、プロピレン、ブテンなどの簡単なオレフィンおよび官能基を含有する極性オレフィンから油状高分岐重合体を直接製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業上では、潤滑油のベース油は、石油分解またはα-オレフィンの重合によって得られる。中では、ポリ-α-オレフィン(PAO)は、性能が優れた重要な潤滑油のベース油として、α-オレフィンの重合によって得られ、主な原料は、α-オクテン、α-デセン、α-ドデセンなどの高価の高級α-オレフィンである。
【0003】
そのため、現在では、高品質のベース油のPAOを得る前提として、エチレンの重合を触媒して選択的にα-オレフィン、特にα-デセンを得ることが必要であるが、C6以上のα-オレフィンを選択的に生産する技術はまだ未熟であるため、その価格が高い。エチレン、プロピレン、ブテンなどの低価のオレフィンから高性能のベース油を直接製造するのは、経済性が高い、効率が高いなどの利点があるが、効率的な触媒系が欠けているから、今までこの分野では目覚しい進展がない。
【0004】
1995年以前は、ニッケル錯体はずっと触媒によるオレフィン重合の触媒だけとして認識されていたが、例えば、有名なSHOP触媒は、高活性でエチレンの重合を触媒させ、Flory分布に合った一連のα-オレフィンを得ることができる。1995年に、Brookhartら(J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 6414.)は、α-ジイミンニッケル錯体によって、配位子の構造を変えて活性中心の性質を制御することで、ニッケル錯体の触媒によるエチレン重合が実現し、分岐化した高分子量のポリエチレンを得ることができ、重合体の融点(Tm)が39~132℃の間であることを初めて証明した。Du Pont社は、この技術に対し、このような重合製品を保護するために、いくつかの特許(WO 96 /23010、WO 98 /03521、WO 98 /40374、WO 99 /05189、WO 99 /62968、WO 00 /06620、US 6,103,658、US 6,660,677)を出願した。相応のカチオンパラジウム系で油状のポリエチレンを得ることができ、ポリオレフィンの分岐化度が高いが、触媒は製造が困難で、高価で、かつ触媒活性が非常に低い。
【0005】
ポリエチレンの形態、性能はその分岐度と密接に関係し、触媒の構造はポリエチレンの構造の核心を制御するものである。Brookhartらがニッケル系触媒で得たポリエチレンは、既にある程度の分岐度を有するが、製品が常温で固体の状態となっているなど、まだ要求に満足できない。2011年に特許CN201110126431.9を出願し、新規なα-ジイミンニッケル錯体を利用して高い活性でエチレンなどの簡単なオレフィンの重合を触媒して高分岐化した油状ポリエチレンなどの油状重合体を直接得る技術を公開した。
【0006】
全体的には、ポリオレフィン油は巨大な潜在の応用価値を有するが、現在低コストで当該製品を製造することができる触媒技術はまだ少ない。特に実際の応用においてほかの材料との有機複合を満足させるにはポリオレフィンの構造に特定の極性基を含有させる必要があるため、本分野では低コストの高性能油状重合体の製造を実現させる、新しい効率的な触媒系の開発が切望されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、新しい触媒系およびその重要な触媒の製造法を提供することである。触媒の構造のコントロールで、この触媒系は、エチレン、プロピレンやブテンなどの低価のオレフィンから高分岐度の油状重合体を直接製造することを実現させることができる。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、高分岐アルカンの合成のための新しい触媒系の用途を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、高級潤滑油のベース油に用いられる高分岐アルカンを提供することである。
【0009】
本発明の第一は、下記式Iで表される化合物を提供する。
【化1】
(式中において、
Y1はそれぞれ水素、C1-C8アルキル基またはC1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基で、
Y2はそれぞれCR4R5、NR6、OまたはSで、R4、R5、R6はそれぞれ独立にH、C1-C4アルキル基またはハロアルキル基であるか、
あるいは、Y1とY2、および両者とも結合するC-C結合は一緒に無置換または置換の5-12員環(たとえば、一緒に
【化2】
のような化合物を構成するが、ここで、破線は化学結合または無しを表す)を形成している。
【化3】
はY2と一緒に構成する無置換または置換の5-7員の単環、あるいは前記5-7員の単環を含む二環または三環の基で、ここで、当該5-7員の単環は1~3個のN、OまたはS原子を含有し、かつNを少なくとも1個含有する。
【0010】
Y3は前記5-7員の単環あるいは前記5-7員の単環を含む二環または三環の基に位置する一つまたは複数の任意の置換基で、各Y3は独立に水素、C1-C8アルキル基またはC1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基である。
【0011】
ZはそれぞれC1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基である。
ここで、特別に説明しない限り、上記各定義における前記の「置換の」とは前記基がC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、CF3、-O-R1、-N(R2)2、-Si(R3)3、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10からなる群から選ばれる1-5個の置換基を有することをいい、ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1-C4アルキル基またはハロアルキル基で、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基またはフェニル基である。)
【0012】
もう一つの好適な例において、
【化4】
は光学活性なものまたはラセミ体のものでもよい。
もう一つの好適な例において、
【化5】
におけるNに隣接する位置はC炭素原子で、かつ前記C原子は一つまたは二つの非水素置換基を有する。
【0013】
もう一つの好適な例において、前記の非水素置換基はC3-C8アルキル基(好ましくは分岐鎖アルキル基)またはC3-C8ハロアルキル基(好ましくは分岐鎖ハロアルキル基)、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の「Y2と一緒に構成する」というのは、Y2全体と一緒に構成すること、またはY2の一部(moiety)と一緒に構成することを含む。
【0014】
もう一つの好適な例において、
【化6】
は、
【化7】
からなる群から選ばれ、
【0015】
Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10およびY11はそれぞれH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基で、Y12はH、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基である。
【0016】
もう一つの好適な例において、
【化8】

【化9】
で、ここで、Y4、Y5、Y6およびY7のうち、1~3個の置換基がH、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基で、且つ1~3個の置換基がH、ハロゲン、C1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基である。
【0017】
もう一つの好適な例において、
【化10】

【化11】
で、ここで、Y4、Y5、Y6、Y7およびY12のうち、1~3個の置換基がH、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基で、且つ1~3個の置換基がH、ハロゲン、C1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基である。
【0018】
もう一つの好適な例において、前記のY12はハロゲンではない。
もう一つの好適な例において、Y1およびY2は両者とも結合するC-C結合と一緒に無置換または置換のC6-C18環を構成してもよく、ここで、前記の「置換の」の定義は前記の通りである。
【0019】
もう一つの好適な例において、前記化合物は、下記式の構造を有する。
【化12】
(ただし、
Y3またはZの定義は請求項1の通りである。
nは0、1、2または3である。
【0020】
【化13】
は無置換または置換の5-7員の単環、あるいは前記5-7員の単環を含む二環または三環の基である。
G1、G2、G3およびG4はそれぞれH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、ケイ素基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基で、ここで、前記の「置換の」の定義は前記の通りである。)
【0021】
もう一つの好適な例において、前記の前記5-7員の単環を含む二環はスピロ環または縮合環で、好ましくは前記化合物は下記式のいずれかの構造を有する。
【化14】
(ただし、
各nはそれぞれ1、2、3または4である。
Y1、Y2、およびZの定義は請求項1の通りである。
Y4、Y5はそれぞれH、ハロゲン、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基、-O-R7、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10で、ここで、R7、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基、無置換または置換のフェニル基で、ここで、Y4とY5が同時にハロゲン、-O-R7または-SR9である場合を除く。)
【0022】
もう一つの好適な例において、式I化合物における各キラル中心(好ましくはC炭素原子)はR型および/またはS型である。
もう一つの好適な例において、Y4および/またはY5と結合する5-7員の単環におけるC原子はR型および/またはS型である。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記のZは無置換または置換のフェニル基、あるいは無置換または置換のナフチル基で、ここで、前記置換とは基にC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、CF3、-O-R1、-N(R2)2、-Si(R3)3、-CH2-O-R8、-SR9、-CH2-S-R10、-CH-(R10)2からなる群から選ばれる1-5個の置換基、あるいは無置換またはC1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基からなる群から選ばれる置換基で置換されたフェニル基があることをいい、ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1-C4アルキル基またはハロアルキル基で、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基またはフェニル基で、
かつ置換のフェニル基に多くとも1つのニトロ基またはシアノ基がある。
【0024】
より好ましくは、Zは、
【化15】
からなる群から選ばれる。
【0025】
もう一つの好適な例において、前記の化合物では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Z、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10のいずれもぞれぞれ本発明に係る具体的な化合物における相応の基である。
【0026】
本発明の第二では、本発明の第一に係る化合物と2価または3価の金属塩とからなる錯体を提供する。
好ましくは、前記金属塩は鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる金属を含有する。
【0027】
もう一つの好適な例において、前記金属塩は2価の金属塩で、かつ前記錯体は下記式IIで表される構造を有する。
【化16】
(式中において、
Y1、Y2、Y3およびZの定義は請求項1の通りである。
Mは鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの組み合わせである。
Xは独立にハロゲン、C1-C4アルキル基、C2-C6アルケニル基、アリル基
【化17】
-OAc、-OTfまたはベンジル基である。)
【0028】
もう一つの好適な例において、前記ハロゲンはF、Cl、BrまたはIで、好ましくはClまたはBrである。
本発明の第三では、本発明の第二に記載の錯体を製造する方法であって、
不活性溶媒において、本発明の第一に係る化合物と2価または3価の金属塩とを反応させることによって、本発明の第二に係る錯体を形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記の金属塩は、NiCl2、NiBr2、NiI2、(DME)NiBr2、PdCl2、PdBr2、Pd(OTf)2、Pd(OAc)2、(COD)PdMeClまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記反応は、ほぼ無水の条件(たとえば、水含有量≦0.1%)で行われる。
もう一つの好適な例において、前記反応は、不活性雰囲気(たとえば窒素ガス)で行われる。
【0030】
本発明の第四では、式I化合物を製造する方法であって、
(a) 塩基性条件において、式Aで表される複素環化合物を酸化させて式B化合物にする工程と、
【化18】
(b) 式B化合物と式C化合物とを反応させ、式I化合物を形成する工程と、
【化19】
(上記各式において、Y1、Y2、Y3、Zおよび
【化20】
の定義は請求項1の通りである。)
を含む方法を提供する。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記工程(a)は、不活性有機溶媒で塩基によって水素を除去した後、酸素ガス、空気またはほかの酸化試薬によって3~48時間酸化させるが、ここで、前記の塩基は好ましくはn-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ジイソプロピルアミノリチウム(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)である。
もう一つの好適な例において、前記不活性有機溶媒とは本反応では、本反応で使用される化学試薬のいずれとも化学反応が発生しない溶媒である。
【0032】
もう一つの好適な例において、前記工程(b)では、0.001~100%の相応の縮合反応を促進する触媒、好ましくはギ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸、TiCl4、オルトケイ酸エステルを入れる。
もう一つの好適な例において、前記工程(b)における化合物BとCの比率が(0.7~1.2):1である。
もう一つの好適な例において、前記工程(a)における不活性有機溶媒は、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランを含む。
もう一つの好適な例において、前記工程(b)における不活性溶媒は、塩化メチレン、メタノール、エタノールまたはトルエンである。
【0033】
本発明の第五では、油状オレフィン重合体の製造方法であって、
(a) オレフィン重合触媒として本発明の第二に係る錯体の存在下で、アルキルアルミニウム化合物を助触媒とし、オレフィンを触媒重合させることによって、油状ポリオレフィンを形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記のアルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、塩化ジアルキルアルミニウム、二塩化アルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサンを含み、前記の重合は有機溶媒で行われ、アレーン、アルカンおよびハロアルカンが好ましく、トルエン、C4-C10のアルカンおよびC1-C6のハロアルカンがより好ましく、トルエン、C5-C7のアルカン、C1-C3のハロアルカンがさらに好ましく、トルエン、C5-C7アルカン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタンまたは1,1,2,2-テトラクロロエタンが最も好ましい。
【0035】
もう一つの好適な例において、工程(a)では、前記の錯体はインサイチュ(in situ)で調製されたものまたは事前に調製されたものである。
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、
(b) 工程(a)で得られた油状ポリオレフィンを水素化反応させることによって、水素化された油状アルカン混合物を得る工程、
を含む。
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、エチレン、プロピレンおよびC4-C20の末端オレフィン、内部オレフィン、ジオレフィンまたはこれらの混合物である。
【0036】
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、さらに、極性モノマーを含み、
好ましくは、前記の極性モノマーは極性基を含有するC3-C50のオレフィンで、前記の極性基はカルボニル基、ヒドロキシ基、-COOH、エステル基-COOR11、アルコキシ基-OR12、アミン基-NR13R14、アミド基-CONR15R16、スルフィド-SR17、セレニド-SeR18、-PR19R20、-P(=O)R19R20またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、ここで、R11およびR12は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基で、R13、R14、R15、R16、R17またはR18は独立に水素、C1-C10のアルキル基、またはC6-C20アリール基で、R19またはR20は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基である。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記の極性モノマーは、以下の群から選ばれる。
【化21】
【0038】
もう一つの好適な例において、前記の方法は、工程(a)の前にさらに、
前記の極性モノマーを助触媒と混合し、混合物にした後、前記混合物を工程(a)に使用すること、
あるいは前記の極性モノマーを官能基保護試薬と反応させ、官能基が保護された極性モノマーにした後、前記保護された極性モノマーを工程(a)に使用すること、
を含む。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記の官能基保護試薬は、TBS、TES、TBDPS、TMS、AlEt3、AliBu3、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、MMAO、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の助触媒は、アルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、弱配位アニオンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記のアルキルアルミニウム試薬は、AlEt3、AlMe3、AliBu3、またはAlEt2Clからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記のアルキルアルミノキサンは、MMAOまたはMAOからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の弱配位アニオンは、[B(3,5-(CF3)2C6H3)4]-または-OSO2CF3からなる群から選ばれる。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記の「MMAO」とは変性メチルアルミノキサン(Akzo Chemical社の製品)である。
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、極性モノマー、非極性モノマー、またはこれらの組み合わせである。
もう一つの好適な例において、前記の非極性モノマーは、エチレン、プロピレン、ブテンまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、エチレン、プロピレンおよび/またはブテンとほかのC5-C20オレフィンとの任意の組み合わせである。
もう一つの好適な例において、前記油状オレフィン重合体は高分岐のもので、好ましくは前記の高分岐とは、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数が100~500個であることをいう。
【0041】
もう一つの好適な例において、工程(a)では、さらに助触媒も存在する。
より好ましくは、前記の助触媒は、アルキルアルミニウム試薬(たとえば、アルキルアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウムや二塩化エチルアルミニウム)またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、工程(a)の反応温度は、0~100℃である。
もう一つの好適な例において、工程(a)の反応条件は、圧力(ゲージ圧)が0.1~10MPaで、助触媒がアルキルアルミノキサンまたは塩化ジエチルアルミニウムで、ここで、助触媒におけるアルミニウムと触媒のモル比が10~5000である。
もう一つの好適な例において、工程(a)は、トルエン、n-ヘキサン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフランまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる重合溶媒において行われる。
もう一つの好適な例において、工程(a)は、油状ポリエチレンまたは油状アルカン混合物において行われてもよい。
【0042】
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、
(b) 工程(a)で得られた油状ポリオレフィンを水素化反応させることによって、水素化された油状アルカン混合物を得る工程、
を含む。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の臭素価は0.5 g/100 g未満である。
もう一つの好適な例において、工程(a)と工程(b)との間に、さらに、油状ポリオレフィンを分離する工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(a)と同時に、水素化反応が行われる。
もう一つの好適な例において、工程(b)は、不活性溶媒で行うか、あるいは直接油状ポリオレフィンを溶媒として水素化反応を行う。
【0043】
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、本発明の油状ポリオレフィンの水素化物である。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、油状ポリエチレンの水素化物である。
【0044】
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物は、
(i)前記重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数が100~500個であること、
(ii)分子量が300~500,000 g/molであること、
(iii)密度が0.75-0.91 g/molであること、
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
【0045】
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数が100~300個、好ましくは150~300個である。
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物におけるメチレン基1000個あたりの分岐鎖数が100~300個、好ましくは150~300個である。ここで、分岐鎖の種類は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびほかの炭素4個以上の分岐鎖がある。
【0046】
もう一つの好適な例において、炭素1000個あたりの複数の末端を有するアルキル基側鎖数は40~70個である。
もう一つの好適な例において、前記の重合体は、C3-C8の直鎖または分岐鎖のアルキル基からなる群から選ばれる分岐鎖を有する。
もう一つの好適な例において、前記の重合体が有する複数の末端を有するアルキル基側鎖はs-ブチル基で、かつ炭素1000個あたりのs-ブチル基の数は15~30個である。
もう一つの好適な例において、前記の油状とは-50℃以上(好ましくは-40℃~50℃、より好ましくは-40℃~35℃)の全部または一部の温度範囲内で、前記オレフィン重合体が油状であることをいう。
【0047】
もう一つの好適な例において、当該発明で得られる油状オレフィン重合体またはその水素添加の水素化産物は、100 ℃における動粘度が4-50 mm2/sで、粘度指数(VI値)が160-300で、表面張力が20 mM/m超である。ここで、動粘度の試験方法はGB/T 265-1988(2004)を、粘度指数(VI値)の試験方法はGB/T 1995-1998(2004)を参照する。
もう一つの好適な例において、前記油状アルカン混合物の分子量は500~50,000 g/molである。
もう一つの好適な例において、当該発明で得られる油状オレフィン重合体の水素化物は優れた酸化安定性を有する。酸化安定性(回転ボンベ式酸化安定度試験法)の試験はSH/T 0193-2008の試験方法を使用する。
【0048】
本発明の第六では、油状オレフィン重合体またはその水素添加の水素化物であって、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物は、
(i)前記重合体における極性基の数は、メチレン基1000個あたりの極性基の数が0.1~1000個、好ましくは5~200個、より好ましくは5~50個であること、
(ii)前記重合体におけるメチル基の数は、メチレン基1000個あたりのメチル基の数が100~500個であること、
(iii)分子量が300~500,000 g/molであること、
(iv)密度が0.75~0.91 g/molであること、
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有するものを提供する。
【0049】
もう一つの好適な例において、前記の油状とは-50℃以上(好ましくは-40℃以上)の全部または一部の温度範囲内で、前記オレフィン重合体が油状であることをいう。
もう一つの好適な例において、前記油状アルカン混合物の流動点は、-60℃~-20℃である。
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物は、カルボニル基、ヒドロキシ基、-COOH、エステル基-COOR11、アルコキシ基-OR12、アミン基-NR13R14、アミド基-CONR15R16、スルフィド-SR17、セレニド-SeR18、-PR19R20、-P(=O)R19R20またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる極性基を含有し、ここで、R11およびR12は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基で、R13、R14、R15、R16、R17またはR18は独立に水素またはC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基で、R19またはR20は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基である。
【0050】
本発明の第七では、本発明の第六に係る油状オレフィン重合体またはその水素添加の水素化産物の使用であって、潤滑油のベース油、潤滑油の添加剤、可塑剤または樹脂の加工助剤として用いられることを特徴とする使用を提供する。
本発明の第八では、炭素1000個あたりの複数の末端を有するアルキル基側鎖数が20~100個であることを特徴とする油状アルカン混合物を提供する。
【0051】
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、本発明の第五に係る方法で得られる。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、重合モノマーとしてエチレンを使用し、本発明の第五に係る方法で得られる。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物では、メチレン基1000個あたりのメチル基数(CH3)が100~300個である。
もう一つの好適な例において、炭素1000個あたりの複数の末端を有するアルキル基側鎖数は40~70個である。
もう一つの好適な例において、前記の重合体における炭素1000個あたりのs-ブチル基の数は15~30である。
【0052】
もう一つの好適な例において、前記の重合体は、C1-C8の直鎖または分岐鎖のアルキル基からなる群から選ばれる分岐鎖を有する。
もう一つの好適な例において、前記の重合体は、C3-C8の直鎖または分岐鎖のアルキル基からなる群から選ばれる分岐鎖を有する。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の流動点は、-40℃~-20℃、好ましくは-60℃~-20℃である。
もう一つの好適な例において、前記の重合体は、無色透明の油状物である。
【0053】
もう一つの好適な例において、前記油状アルカン混合物の分子量は500~50,000 g/mol、より好ましくは500~10,000 g/molである。
もう一つの好適な例において、前記油状アルカン混合物におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数(CH3)が100~300個である。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の100℃における動粘度は4~50 mm2/sである。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の粘度指数(VI値)は、160~300である。
【0054】
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の表面張力は、20 mM/m超である。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の表面張力は、20 mM/m~40 mM/mである。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の密度は、0.75~0.91 g/molである。
もう一つの好適な例において、前記の水素添加の油状アルカン混合物の酸化安定性は50 min超、好ましくは70 min超、より好ましくは90 min超である。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、-50℃~200℃の温度範囲内で無色透明の油状物で、好ましくは-40℃~50℃の温度範囲内で無色透明の油状物である。
【0055】
本発明の第九では、本発明の第六に係る油状オレフィン重合体および/またはその水素添加の水素化産物(すなわち油状アルカン混合物)、あるいは本発明の第八に係る油状アルカン混合物を含有する潤滑油を提供する。もう一つの好適な例において、前記潤滑油の粘度指数(VI値)は130~200である。
【0056】
もう一つの好適な例において、前記潤滑油は、0.1~100wt%(好ましくは1~90wt%)の前記油状アルカン混合物を含有する。
本発明の第九では、オレフィン重合の触媒として用いられる、本発明の第二に係る錯体の使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記のオレフィン重合は、均相の条件下で行われる。
もう一つの好適な例において、前記の触媒は、無機担体または有機担体に担持されている。
【0057】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上述の各技術特徴および下述(例えば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、又は好ましい技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、本発明の実例125で製造された重合体の炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
図2図2は、本発明の実施例57の錯体2~9の分子構造を示す。
図3図3は、本発明の実例198で製造された重合体の炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
図4図4は、本発明の実例201の反応過程におけるオートクレーブの内温およびエチレンの流量の時間に対する変化の状況を示す。
図5図5は、本発明の実例201で製造された重合体の炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
図6図6は、本発明の実例208で製造された重合体の炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
図7図7は、本発明の実例245で製造された重合体の炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
図8図8は、異なる温度におけるサンプルP1-hydrogenation、P2-hydrogenationおよびP3-hydrogenation(アルカン混合物)の動的剪断粘度の剪断速度に対する変化を示す。
図9図9は、本発明の実施例248で製造された重合体の実物図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明者は、幅広く深く研究したところ、新規な配位子化合物、錯体および触媒系を製造することによって、高活性で非極性オレフィンモノマーおよび/または官能基を含有する極性オレフィンモノマーを直接重合させて高分岐度の油状重合体を得ることを実現させた。本発明の触媒技術では、極性官能基を含有するポリオレフィン油を含む、一連の異なる粘度の新規でクリーンな油状オレフィン重合体を製造することができ、高品質の潤滑油のコストを大幅に低下させる。これに基づき、発明者らが本発明を完成した。
【0060】
用語
特別に説明しない限り、本発明に係るすべての化合物は、光学配置のキラル中心が表記されていない場合、任意の配置、たとえばR型、S型、ラセミ体などでもよい。
「アルキル基」とは、飽和の脂肪族炭化水素基をいい、炭素原子1~10個の直鎖及び分岐鎖の基を含む。炭素原子1~6個の中等の大きさのアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基などが好ましい。炭素原子1~4個の低級アルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などがより好ましい。
「アルケニル基」とは、炭素-炭素二重結合(C=C)を有する不飽和の脂肪族炭化水素基をいい、炭素原子2~10個(好ましくは2~6個)の直鎖及び分岐鎖の基を含む。
「アルキニル基」とは、炭素-炭素三重結合を有する不飽和の脂肪族炭化水素基をいい、炭素原子2~10個(好ましくは2~6個)の直鎖及び分岐鎖の基を含む。
【0061】
「シクロアルキル基」とは、3~8員の全炭素単環、全炭素の5員/6員もしくは6員/6員の縮合環または多環縮合環基をいい、ここで、一つまたは複数の環が一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がない。シクロアルキル基の実例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、アダマンチル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基などがある。
「炭素環」とは、環骨格がすべて炭素原子の飽和または不飽和の環をいい、ここで、一つまたは複数の環が一つまたは複数の二重結合を含んでもよい。
「複素環」とは、環骨格にN、S、OまたはPからなる群から選ばれるヘテロ原子の少なくとも一つが存在する飽和または不飽和の環をいい、ここで、一つまたは複数の環が一つまたは複数の二重結合を含んでもよい。
「5~7員の単環」とは、5~7員を有する単環(一つだけの環構造を有する)をいい、前記の単環は飽和または不飽和の環でもよいが、たとえばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基が挙げられる。
【0062】
「二環または三環の基」とは、二つまたは三つの環構造を含有する基をいい、たとえば縮合環、スピロ環または橋架け環の構造で、たとえばインドリル基、キノリニル基などが挙げられる。本発明において、好適な二環または三環の基は8~20員の環である。「単環Aを含有する二環または三環の基」とは、前記の二環または三環の基における一つまたは複数の環が単環Aであることをいう。
「アリール基」とは、共役のπ電子系を有する芳香族環をいい、炭素環アリール基、ヘテロアリール基を含む。
「ヘテロアリール基」とは、環原子として酸素、硫黄、窒素を含むヘテロ原子を1個有し、ほかの環原子が炭素のアリール基をいう。前記環は、5員または6員または7員の環でもよい。ヘテロアリール基の実例として、フリル基、チエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ピリジル基、ピロール、N-アルキルピロリル基を含むが、これらに限定されない。
【0063】
「アルコキシ基」とは、-O-(アルキル基)をいう。代表的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを含む。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0064】
本発明の配位子化合物は、一つ又は複素の不斉中心を有することによって、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー化合物や単一ジアステレオマーの様態で現れてもよい。存在し得る不斉中心は、分子における各種の置換基の性質によって決まる。このような不斉中心ごとに、それぞれ独立で、二つの光学異性体が生じ、そして、全ての可能な光学異性体とジアステレオマー混合物および単離または一部単離の化合物が本発明の範囲に含まれる。本発明は、配位子化合物の全てのこのような異性体の様態を含む。本発明の一部の配位子化合物は、一つまたは複数の二重結合の転移が伴ってもよい異なる水素結合サイトを有する、互変異性体の様態で存在してもよい
【0065】
ここで用いられるように、用語「不活性溶媒」とは、それと混合するほかの成分と化学反応が発生しない溶媒をいう。
特別に、本発明において、
【化22】
のような形の構造は、Y3が前記環における任意の(位置と数が限定されない)置換基であることを表し、当該置換基の位置と数は特に限定されず、本明細書における定義および本分野で公知の置換規則に合う任意の置換基でもよい。
【0066】
本発明において、前記の「DME」はエチレングリコールジメチルエーテルで、前記の「OTf-」はトリフルオロメタンスルホン酸マイナスイオンで、前記の「OAc-」は酢酸マイナスイオンで、前記の「COD」はシクロオクタジエンである。
特別に説明しない限り、ここで、「置換の」基における水素原子は、C1-C4アルキル基およびC1-C4ハロアルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、CF3、-O-R1、-N(R2)2、-Si(R3)3、-CH2-O-R8、-SR9または-CH2-S-R10からなる群から選ばれる置換基で置換されたが、ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1-C4アルキル基またはハロアルキル基で、R8、R9およびR10はそれぞれC1-C8アルキル基またはフェニル基である。
ここで用いられるように、用語「複数の末端を有するアルキル基」とは、一つ以上のメチル基を有するアルキル基、たとえばt-ブチル基、イソプロピル基などをいう。
【0067】
配位子化合物
本発明は、式Iの配位子化合物を提供する。
【化23】
式中において、各基の定義は前記の通りである。
【0068】
好ましくは、Y1は水素、メチル基、トリフルオロメチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、C1-C4アルキル-フェニル基からなる群から選ばれる。ここで、前記のフェニル基はアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、C1-C4アミン基、ニトロ基、シアノ基、トリメチルシリルで置換されたフェニル基でもよい。前記のハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。前記のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。前記のアルキル基はC1-C6のアルキル基が好ましく、C1-C4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基が最も好ましく、置換基はベンゼン環の任意の置換可能な位置に存在してもよい。
【0069】
好ましくは、Zはイソプロピル基、t-ブチル基、フェニル基、C1-C4アルキル-フェニル基である。ここで、前記のフェニル基はアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基またはアルコキシ-アルキル基で置換されたフェニル基でもよい。前記のハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。前記のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。前記のアルキル基はC1-C6のアルキル基が好ましく、C1-C4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基が最も好ましく、置換基はベンゼン環の任意の置換可能な位置に存在してもよい。
【0070】
好ましくは、
【化24】

【化25】
で、ここで、Y4、Y5、Y6、Y6置換基はC1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ-アルキル基、フェニル基、C1-C4アルキル-フェニル基、またはC1-C6アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基で置換されたフェニル基である。前記のハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。前記のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。前記のアルキル基はC1-C4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基が最も好ましく、置換基はベンゼン環の任意の置換可能な位置に存在してもよい。
【0071】
あるいは、Y4、Y5のうちの一つとY6、Y7のうちの一つは置換または無置換のフェニル基を形成する。
好ましくは、Y4およびY5が隣接の炭素原子と一緒に無置換または置換のC5-C8飽和炭素環を構成してもよい。
好ましくは、Y6およびY7が隣接の炭素原子と一緒に無置換または置換のC5-C8飽和炭素環を構成してもよい。
【0072】
好ましくは、
【化26】

【化27】
で、ここで、Y4、Y5、Y6、Y6置換基はイソプロピル基、t-ブチルル基、フェニル基、またはC1-C6アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基で置換されたフェニル基である。前記のハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。前記のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。前記のアルキル基はC1-C4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびブチル基が最も好ましく、置換基はベンゼン環の任意の置換可能な位置に存在してもよい。Y12はH、C1-C8アルキル基、C1-C8ハロアルキル基、無置換または置換のフェニル基、無置換または置換のベンジル基である。あるいは、Y4、Y5のうちの一つとY6、Y7のうちの一つは置換または無置換のフェニル基を形成する。
【0073】
好ましくは、Y4およびY5が隣接の炭素原子と一緒に無置換または置換のC5-C8飽和炭素環を構成してもよい。
好ましくは、Y6およびY7が隣接の炭素原子と一緒に無置換または置換のC5-C8飽和炭素環を構成してもよい。
【0074】
もう一つの好適な例において、式I化合物は、以下の構造を有する。
【化28】
(ただし、
Y3、Z、G1、G2、G3およびG4の定義は前記の通りである。
nは0、1、2または3である。
前記のアルキル基は置換のアルキル基でもよいが、好ましい置換基はハロゲン、アルコキシ基、ベンジル基で、前記のハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。前記のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。)
【0075】
1種類の特に好ましい配位子は、実施例1~48で示される配位子L1-1~L1-48を含む。
本発明において、最も好ましい配位子の構造は、以下のものを含む。
【化29】
【0076】
錯体
本発明において、式Iの化合物が2価のニッケルまたは2価のパラジウムの金属塩と作用して相応のニッケルまたはパラジウムの錯体を形成してもよい。
本発明において、式IIの錯体が好ましい。
【化30】
(式中において、各基の定義は前記の通りである。
Xはハロゲン、C1-C4アルキル基、C2-C6アルケニル基、アリル基
【化31】
ベンジル基でもよい。前記のC1-C4アルキル基はメチル基が好ましい。前記のハロゲンは臭素、塩素またはヨウ素が好ましい。)
【0077】
もう一つの好適な例において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、メチル基、アリル基
【化32】
またはベンジル基である。
もう一つの好適な例において、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。
【0078】
本発明において、不活性溶媒において、本発明の配位子化合物Iと相応の2価の金属前駆体とを反応させることで、錯体を形成することができる。
本発明において、前記の2価のニッケルまたは2価のパラジウムの金属塩は、反応の金属前駆体として、NiCl2、NiBr2、NiI2、(DME)NiBr2、(DME)NiCl2、(DME)NiI2、PdCl2、PdBr2、Pd(OTf)2およびPd(OAc)2を含む。
【0079】
本発明の金属錯体は、助触媒の作用下でエチレン、プロピレン、ブテン、およびC4-C20の末端オレフィン、内部オレフィン、ジオレフィンまたはこれらの混合物の重合を触媒して油状の重合体を得ることができる。上記簡単なオレフィン、ジオレフィンなどの簡単なオレフィンと極性官能基を含有する極性モノマーの重合を触媒し、極性官能基を含有する機能的ポリオレフィン油を得ることもできる。
【0080】
配位子化合物および錯体の製造
さらに、本発明は、以下の工程を含む式Iの配位子化合物の合成を提供する。
(a) 相応の複素環化合物Aを酸化してBを得る。
(b) Bをアミン化合物Cと反応させて配位子Iを得る。
前記の化合物A、B、Cは、以下のような構造式を有する。
【化33】
【0081】
具体的に、複素環化合物Aは不活性有機溶媒で塩基によって水素を除去した後、酸素ガス、空気またはほかの酸化試薬によって生成したマイナスイオンを化合物Bに酸化する。不活性溶媒において、化合物Bを縮合反応を促進する触媒の作用下で化合物Cと縮合させて配Iを得る。前記の不活性溶媒は、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロ炭化水素、エーテル、エステル系溶媒を含み、芳香族炭化水素系溶媒、たとえばトルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどが好ましい。前記の縮合反応を促進する触媒は、ギ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸、TiCl4、オルトケイ酸エステルを含む。
【0082】
前記工程(a)は、不活性溶媒においてそれぞれ3~48時間反応することが好ましい。
前記工程(b)において、好ましくは反応物に対するモル比が0.001~100%の相応の縮合反応を促進する触媒、好ましくはギ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸、TiCl4、オルトケイ酸エステルを入れる。
【0083】
前記工程(b)において、化合物BとCの比率が(0.7~1.2):1であることが好ましい。
前記工程(a)における好適な不活性溶媒は、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランである。
前記工程(b)における好適な不活性溶媒は、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロ炭化水素、エーテル、エステル系溶媒である。
工程(a)で形成されたBが分離・精製した後、または分離・精製せずに直接工程(b)を行う。
【0084】
また、本発明は、錯体の製造方法を提供する。ニッケル錯体を例とすると、無水・無酸素の条件下で、化合物IとNiCl2、NiBr2、NiI2または(DME)NiBr2、(DME)NiCl2、(DME)NiI2を含む金属塩とを不活性溶媒で作用させることによって得ることができる。前記の不活性溶媒は、通常使用されるこの反応に影響しないいずれの溶媒でもよいが、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロ炭化水素、エーテル、エステル系、ニトリル系の溶媒を含み、ハロ炭化水素系溶媒が好ましく、その中では、ハロ炭化水素およびエステル系溶媒ではより好適な結果が得られるため、より好ましい例は、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフランである。
【0085】
(ただし、Y1~Y12、Z、Xの定義は前記の通りである。)DMEとはエチレングリコールジメチルエーテルで、Xが炭化水素基の場合、たとえばメチル基またはベンジル基である時、通常、相応の塩化物または臭化物IIとメチルグリニャール試薬またはベンジルグリニャール試薬とを通常の類似の反応の反応条件下で作用させることによって得ることができ、且つ錯体IIにおけるXがハロゲンまたは炭化水素基または他の金属ニッケルと配位できるいずれの基、例えば窒素含有化合物、酸素含有化合物でも、この錯体がアルキルアルミニウムの作用下でNi-C結合またはNi-H結合が形成できれば、この触媒作用が実現でき、これらの化合物がエチレン重合を触媒する過程でいずれも同様な活性中心を持つことで、相同または類似の性質が現れる。
【0086】
触媒系および応用
本発明は、1)ニッケル、パラジウム金属塩および式Iで表される配位子からなる錯体と、2)水素化系とを含む、オレフィンの重合を触媒して高分岐アルカン混合物を得る触媒系を提供する。
【化34】
(式中において、各基の定義は前記の通りである。)
【0087】
上記の触媒および水素化触媒からなる触媒系は、エチレンから高分岐アルカンを直接製造することが実現できる。前記の高分岐アルカンとは、重合体鎖において、メチレン基1000個あたりのメチル基数が100~500で、臭素価が0.5 g/100 g未満の脂肪族炭化水素のことである。通常、この方法は、以下の2つの工程を含む。
(1)上記の金属錯体および助触媒の共同作用で、オレフィンから高分岐度の油状ポリオレフィンを直接製造する。
(2)工程(1)で得られた油状ポリオレフィンを水素化反応させることによって、水素化された油状アルカン混合物を得る工程、
【0088】
前記の金属錯体は、化合物Iと2価のニッケルまたはパラジウムからなる錯体で、構造式IIで表されるニッケル錯体が好ましい。
前記の助触媒は、この触媒反応を促進できる試薬で、アルキルアルミニウム化合物または有機ホウ素試薬でもよい。
【0089】
前記のアルキルアルミニウム化合物は、任意の1種類の炭素-アルミニウム結合を有する化合物を含み、メチルアルミノキサン(MAO)、MMAO、トリアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウムおよび二塩化エチルアルミニウムなどを含む。ここで、助触媒におけるアルミニウムと触媒におけるニッケルまたはパラジウムのモル比は10~5000である。メチルアルミノキサン、MMAOまたはアルキルアルミニウム試薬は、助触媒として、いずれもニッケルまたはパラジウム錯体を助けてエチレンの重合を触媒して油状ポリエチレンを得ることが実現でき、且つメチルアルミノキサンまたはアルキルアルミニウム試薬の構造はこのような助触媒作用に影響せず、得られた重合体の分岐度や分子量は助触媒の構造によって異なるが、そのうちメチルアルミノキサンや塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウムは最適な結果が得られる。もう一つの場合、AlCl3が単独でまたはアルキルアルミニウム化合物と一緒に助触媒作用を担い、また理想の効果を果たすことができる。
【0090】
前記の工程(1)において、前記の金属錯体は事前に調製して反応系に入れるものでもよく、インサイチュ(in situ)で調製されたものでもよい。すなわち、反応系に直接金属錯体を入れてもよく、反応系に前記の金属錯体の調製に使用される本発明の配位子および金属前駆体を入れ、反応過程で金属錯体を生成させてもよい。
【0091】
本発明の高分岐ポリエチレンは、水素化で高分岐アルカンを形成することができる。
前記の高分岐ポリエチレンの構造は、13C NMRおよび高温GPCで測定された分子量と高温レーザー光散乱で測定された実際の分子量との比較で確定される。前記の高分岐アルカンは、分子量が500~50万 g/molで、清澄で透明の油状物である。
具体的な要求によって、工程1においてエチレンとニッケルまたはパラジウム錯体およびアルキルアルミニウム化合物が不活性溶媒で接触する時間が0.5時間~72時間の範囲内で変化し、反応温度の変化範囲が0~100度で、圧力(ゲージ圧で)の変化範囲が0.1~3MPa(1~30大気圧)である。
【0092】
工程(2)において、工程(1)で得られた高分岐の油状ポリエチレンを還元試薬と作用させ、あるいは1種類または複数種類の還元触媒の共同作用下で油状ポリエチレンを水素ガスと接触させ、得られる高分岐の油状アルカン混合物の臭素価が0.5 g/100 g未満である。還元触媒はこの水素化過程を促進できるいずれの触媒でもよいが、好ましくはPd/C、Pd(OH)2、PtO2、ロジウム、ニッケル、ルテニウムなどの水素化触媒から選ばれ、還元試薬は、通常の二重結合を還元できるいずれの試薬でもよいが、主にボラン化合物、トリエチルシランなどがある。
【0093】
もう一つの好適な例において、工程(1)と工程(2)との間に、さらに、油状オレフィン重合体を分離する工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(1)と同時に、さらに水素化反応を行う。
もう一つの好適な例において、工程(2)は、不活性溶媒で行うか、あるいは直接油状オレフィン重合体を溶媒として水素化反応を行うことができ、工程(1)は、不活性溶媒で行うか、あるいは油状オレフィン重合体(たとえば油状ポリエチレン)を溶媒として重合を行うことができる
【0094】
具体的に、工程(2)は以下のように完成させることもできる。a) 工程(1)を行う時、同時に水素ガスを導入することによって、直接高分岐の油状アルカンを得る。b) 工程(1)を行った後、処理せず、重合系に水素ガスを導入することによって、高分岐の油状アルカンを得る。c) 工程(1)を行った後、処理せず、直接重合系に1種類または複数種類の還元触媒を入れて水素化することによって、高分岐の油状アルカンを得る。d) 工程(1)を行った後、油状オレフィン重合体を分離して水素化反応を行う。
【0095】
上記反応は不活性溶媒で完成され、アルコール、アルカン、芳香族炭化水素およびハロ炭化水素が好ましいが、そのうち、工程(1)においてC5-C12の飽和炭化水素、たとえばヘキサン、ヘプタン、ハロ炭化水素、たとえば塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエチレン、芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレンが好ましい。工程(2)において、C5-C12の飽和炭化水素、たとえばヘキサン、ヘプタン、ハロ炭化水素、たとえば塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエチレン、芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレンが好ましい。
【0096】
非極性モノマーのほか、触媒における置換基の構造を調整することによって、この触媒系は、効率的に極性モノマーの触媒重合を触媒すること、あるいは極性モノマーと非極性モノマーの任意の組み合わせに対して触媒重合を行うことによって、官能基を含有する機能的油状重合体を得ることもできる。
【0097】
エチレン、プロピレンまたはブテンの体系に部分的に他のC5-C12のオレフィン、例えばヘキセン、オクテンが含まれる場合、上述の触媒重合の結果に影響せず、得られた重合体がまだ油状物で、高分岐度を有し、枝状または球形、ほぼ球形の重合体で、この重合体も同様に水素化工程(2)で高分岐アルカンを得ることができる。
【0098】
もう一つの好適な例において、工程(1)と同時にさらに水素化反応を行う。もう一つの好適な例において、工程(2)は、不活性溶媒で行うか、あるいは直接油状ポリオレフィンを溶媒として水素化反応を行うことができ、工程(1)は、不活性溶媒で行うか、あるいは油状ポリオレフィンを溶媒として重合を行うことができる
【0099】
エチレン以外に、他の本発明で使用されるオレフィンは、二重結合が末端にあるか、内部オレフィンで、いずれも触媒効果に影響しない。ここでの内部オレフィンとは、末端以外の任意の位置にあることをいい、応用の時は同じオレフィンの内部オレフィンは複数種類の異性体の混合物または単一の1種類の内部オレフィンでもよく、たとえば、ブテンでは、1-C4、2-C4があるが、中では、2-C4はまたシスとトランスの2種類の異性体があり、使用の時は1-C4またはシス2-C4またはトランス2-C4に限定されず、上記の重合に影響せず同時に1種類または複数種類の異性体の混合物を使用することができる。
【0100】
油状オレフィン重合体および油状アルカン混合物
本発明で公開された触媒は、今産業上で既に使用された各種のエチレン、プロピレン、ブテンの重合プロセスの設備および通常の還元プロセスの設備に応用することができる。均相の条件下で使用してもよく、無機担体または有機担体に担持して非均相の条件下で使用してもよい。
【0101】
さらに、本発明は、油状オレフィン重合体およびその製造方法を提供する。本発明の油状ポリエチレンは、高分岐のもので、且つ前記の高分岐とは、ポリエチレンにおけるメチレン基(CH2)1000個あたりのメチル基数が100~500個であることである。
【0102】
本発明において、エチレンを例として、代表的な製造方法は以下の工程を含む。
(a)オレフィン重合触媒として本発明の錯体の存在下で、0~100℃で、圧力(ゲージ圧で)の変化範囲が0.1~3MPa(1~30大気圧)、エチレンの触媒重合を行うことで、油状ポリエチレンを形成する。
【0103】
この工程において、さらに助触媒が存在することが好ましい。より好ましくは、前記の助触媒がアルキルアルミニウム試薬(たとえばアルキルアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウムや二塩化エチルアルミニウム)から選ばれ、ここで、助触媒におけるアルミニウムと触媒におけるニッケルのモル比が10~5000である。
【0104】
もう一つの好適な例において、工程(a)は、トルエン、n-ヘキサン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフランまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる重合溶媒において行われる。
一つの好適な例において、前記の助触媒はMAOまたはMMAO、アルキルアルミニウムまたは有機ホウ素試薬でもよい。ここで、助触媒と触媒におけるニッケルまたはパラジウムのモル比が10~5000である。
【0105】
このようなニッケル、パラジウム錯体は反応過程で、1)迅速のβ-H脱離を行い、二重結合を含有するポリオレフィンおよびNi(Pd)-H結合を含有する活性種を生成することができる、2)Ni(Pd)-H結合を含有する活性種とα-オレフィンの再配位、挿入でNi(Pd)-C結合を得る、3)得られたNi(Pd)-C結合はさらに体系におけるエチレンと重合反応が開始する、4)最終的にβ-H脱離で触媒循環反応を終了させるといった特徴を有する。そのため、生成する重合体は大量の分岐鎖を含有し、分岐鎖の合計数は、13C NMRでCH2とCH3の信号(積分面積)を判断して定量的分析をすることができる。そして、触媒循環の終了方法は、金属のβ-H脱離なので、不可避的に重合体鎖に二重結合が含まれる。
【0106】
本発明では、代表的な製造方法において、工程(a)は、オレフィン重合触媒として本発明の錯体の存在下で、0~100℃で、圧力(ゲージ圧で)の変化範囲が0.1~3MPa(1~30大気圧)で、プロピレン、ブテンまたはエチレン、プロピレン、ブテン、C4-C20の末端オレフィン、内部オレフィン、ジオレフィンまたはこれらの混合物および極性官能基を含有する極性モノマーの任意の組み合わせに対して触媒重合を行うことによって、官能基を含有するか、または含有しない油状ポリオレフィンを形成し、油の用途によって適切なモノマーおよび触媒を選択して異なる構造の製品を製造することもできる。極性基はカルボニル基、ヒドロキシ基、-COOH、エステル基-COOR11、アルコキシ基-OR12、アミン基-NR13R14、アミド基-CONR15R16、スルフィド-SR17、セレニド-SeR18、-PR19R20、-P(=O)R19R20またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、ここで、R11およびR12は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基で、R13、R14、R15、R16、R17またはR18は独立に水素、C1-C10のアルキル基、またはC6-C20アリール基で、R19またはR20は独立にC1-C10のアルキル基またはC6-C20アリール基である。
【0107】
もう一つの好適な例において、前記の極性モノマーは、以下の群から選ばれる。
【化35】
【0108】
また、前記の方法は工程(a)の前にさらに前記の官能基を含有する極性オレフィンモノマーを助触媒と混合し、混合物にした後、前記混合物を工程(a)に使用すること、
あるいは前記の官能基を含有する極性オレフィンモノマーを官能基保護試薬と反応させ、官能基が保護された極性モノマーにした後、前記保護された極性モノマーを工程(a)に使用することを含む。
【0109】
もう一つの好適な例において、前記の官能基保護試薬は、TBS、TES、TBDPS、TMS、AlEt3、AliBu3、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、MMAO、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の助触媒は、アルキルアルミニウム試薬、アルキルアルミノキサン試薬、弱配位アニオンまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記のアルキルアルミニウム試薬は、AlMe3、AlEt3、AliBu3、または或AlEt2Clからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記のアルキルアルミノキサン試薬は、MMAOまたはMAOからなる群から選ばれる。
【0110】
もう一つの好適な例において、前記の弱配位アニオンは、[B(3,5-(CF3)2C6H3)4]-または-OSO2CF3からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の「MMAO」とは変性メチルアルミノキサン(Akzo Chemical社の製品)である。
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、官能基を含有する極性オレフィンモノマー、非極性オレフィンモノマー、またはこれらの組み合わせである。
もう一つの好適な例において、前記の非極性モノマーは、エチレン、プロピレン、ブテンまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0111】
もう一つの好適な例において、前記のオレフィンは、エチレン、プロピレンおよび/またはブテンとほかのC5-C20オレフィンとの任意の組み合わせである。
もう一つの好適な例において、前記油状オレフィン重合体は高分岐のもので、好ましくは前記の高分岐とは、重合体におけるメチレン基(CH2)1000個あたりのメチル基数が100~500個であることをいう。
もう一つの好適な例において、工程(a)では、さらに助触媒も存在する。
より好ましくは、前記の助触媒は、アルキルアルミニウム試薬(たとえば、アルキルアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウムや二塩化エチルアルミニウム)またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0112】
もう一つの好適な例において、工程(a)の反応温度は、0~100℃である。
もう一つの好適な例において、工程(a)の反応条件は、圧力(ゲージ圧)が0.1~3MPaで、助触媒がアルキルアルミノキサンまたは塩化ジエチルアルミニウムで、ここで、助触媒におけるアルミニウムと触媒のモル比が10~5000である。
もう一つの好適な例において、工程(a)は、トルエン、n-ヘキサン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフランまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる重合溶媒において行われる。
もう一つの好適な例において、工程(a)は、油状ポリエチレンまたは油状アルカン混合物において行われてもよい。
【0113】
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、
(b) 工程(a)で得られた油状ポリオレフィンを水素化反応させることによって、水素化された油状アルカン混合物を得る工程、
を含む。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物の臭素価は0.5 g/100 g未満である。
もう一つの好適な例において、工程(a)と工程(b)との間に、さらに、油状ポリオレフィンを分離する工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(a)と同時に、水素化反応が行われる。
もう一つの好適な例において、工程(b)は、不活性溶媒で行うか、あるいは直接油状ポリオレフィンを溶媒として水素化反応を行う。
【0114】
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、本発明の油状ポリオレフィンの水素化物である。
もう一つの好適な例において、前記の油状アルカン混合物は、油状ポリエチレンの水素化物である。
【0115】
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物は、
(i)前記重合体における極性基の数は、炭素1000個あたりの極性基の数が0.1~1000個、好ましくは5~200個、より好ましくは5~50個であること、
(ii)前記重合体におけるメチル基の数は、メチレン基1000個あたりのメチル基の数が100~500個であること、
(iii)分子量が300~500,000 g/molであること、
(iv)密度が0.75~0.91 g/molであること、
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
【0116】
もう一つの好適な例において、前記の油状とは-50℃~70℃(好ましくは-40 ℃~50 ℃、より好ましくは-40℃~35℃)の全部または一部の温度範囲内で、前記オレフィン重合体が流動性がよく、無色透明の油状物であることをいう。
【0117】
また、本発明は、本発明の油状ポリオレフィンの水素化物である高分岐の油状アルカン混合物を提供し、ここで、油状ポリオレフィンは、油状ポリエチレン、油状ポリプロピレン、油状ポリブテンまたは上記の混合ガスが触媒作用下で得られた油状共重合体を含む。本発明の油状アルカン混合物は、分子量が500~500,000 g/molで、メチレン(CH2)1000個あたりのメチル基数(CH3)が100~500個である。もう一つの好適な例において、油状アルカン混合物は、分子量が500~500,000 g/molで、より好ましくは分子量が500~10,000 g/molで、メチレン(CH2)1000個あたりのメチル基数(CH3)が100~500個で、流動点が-20℃未満である。
【0118】
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物は、
(i)前記重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数が100~500個であること、
(ii)分子量が300~500,000 g/molであること、
(iii)密度が0.75-0.91 g/molであること、
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
【0119】
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数が100~300個、好ましくは150~300個である。
もう一つの好適な例において、前記の油状オレフィン重合体またはその水素化物におけるメチレン基1000個あたりの分岐鎖数が100~300個、好ましくは150~300個である。ここで、分岐鎖の種類は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびほかの炭素4個以上(好ましくは4~8個)の分岐鎖アルキル基がある。
【0120】
もう一つの好適な例において、炭素1000個あたりの複数の末端を有するアルキル基側鎖数は40~70個である。
もう一つの好適な例において、前記の重合体は、C3-C8の直鎖または分岐鎖のアルキル基からなる群から選ばれる分岐鎖を有する。
もう一つの好適な例において、前記の重合体が有する複数の末端を有するアルキル基側鎖はs-ブチル基で、かつ炭素1000個あたりのs-ブチル基の数は15~30個である。
もう一つの好適な例において、前記の油状とは-50℃以上(好ましくは-40℃~50℃、より好ましくは-40℃~35℃)の全部または一部の温度範囲内で、前記オレフィン重合体が油状であることをいう。
【0121】
もう一つの好適な例において、当該発明で得られる油状オレフィン重合体またはその水素添加の水素化産物は、100 ℃における動粘度が4-50 mm2/sで、粘度指数(VI値)が160-300で、表面張力が20 mM/m超である。ここで、動粘度の試験方法はGB/T 265-1988(2004)を、粘度指数(VI値)の試験方法はGB/T 1995-1998(2004)を参照する。
もう一つの好適な例において、当該発明で得られる油状オレフィン重合体の水素化物は優れた酸化安定性(50 min以上)を有する。酸化安定性(回転ボンベ式酸化安定度試験法)の試験はSH/T 0193-2008の試験方法を使用する。
【0122】
本発明の好適な実施例において、得られた油状オレフィン混合物は流動点以上では無色透明の液体である。不活性ガスの雰囲気において、高温、好ましくは300℃超で安定して存在することができる(酸化などの反応が発生しない)。
その相応の物理的性能を高めるため、このような高分岐の飽和アルカンは、使用時に各種の添加剤または強化剤、たとえば防凍液を添加することができる。また、このような高分岐の飽和アルカンは、添加剤として樹脂の加工性を改善すること、たとえば重合体の加工過程における可塑剤とすることができる。もう一つの好適な例において、前記潤滑油は、0.1~100wt%(好ましくは1~90wt%)の前記油状アルカン混合物を含有する。
【0123】
前記の重合において、前記の金属錯体はインサイチュ(in situ)で調製されたものでもよい。すなわち、(i)有機溶媒に順に必要な配位子および金属塩を入れ、(ii)反応液を0~72 h撹拌した後、全部または一部の溶液を単独でまたは助触媒と一緒にオレフィンと接触させ、オレフィンの重合を触媒して油状重合体を得る。あるいは、一部または全部のオレフィンモノマーが極性官能基を含有する場合、前記の方法は工程(i)の前にさらに前記の極性モノマーおよび助触媒と混合し、混合物にした後、前記混合物を工程(i)に使用すること、または前記の極性オレフィンモノマーを官能基保護試薬と反応させ、官能基が保護された極性オレフィンモノマーにした後、前記保護された極性オレフィンモノマーを工程(i)に使用することを含む。
【0124】
インサイチュ(in situ)で調製された金属錯体でも、事前に金属錯体を調製・分離してから当該錯体で必要な重合を実施しても、重合の効果に影響せず、同様の重合プロセスおよび重合条件でいずれも同様の製品を得ることができる。
【0125】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(a)新規な触媒系を使用し、高活性で簡単なオレフィンモノマー、たとえばエチレンから直接高分岐度の油状アルカンを得ることを実現し、コストを大幅に低下させる。
(b)本発明の触媒系は官能基を含有する極性オレフィンモノマーの重合を触媒することができるため、得られるオレフィン重合体は様々な極性基を有し、異なる場面に適用することが可能になる。
(c)本発明で公開された高分岐アルカン混合物は、低い臭素価、高い粘度指数を有し、高級潤滑油のベース油または加工助剤に適用できる。
【0126】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に説明しない限り、百分率および部は重量百分率および重量部である。
動態学試験では、触媒の安定性がよく、少なくとも3時間以内で活性がほぼ劣らないことが示された。
重合体の13Cスペクトルから、重合体の分岐鎖の種類が非常に豊富で、具体的な分岐鎖の種類の分析は、文献:Galland, G. B.; de Souza, R. F.; Mauler, R. S.;Nunes, F. F. Macromolecules 1999, 32, 1620.およびWiedemann, T.; Voit, G.; Tchernook, A.; Roesle, P.; Gottker-Schnetmann, I.; Mecking, S. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 2078を参照する。
【0127】
配位子の調製

実施例1
配位子L1-1の合成
【化36】
(1) 100mL卵形フラスコに、フェニル酢酸 (2.72 g, 20mmol)、エタノールアミン (1.22 g, 20mmol)、キシレン(50mL)を入れ、170℃で還流させて水を抜き、NMRで反応終了が確認されたら、回転蒸留して濃縮し、減圧で蒸留し、2-ベンジル-4,5-ジヒドロオキサゾールを得、産物は淡黄色の液体で、収率は63%であった。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ= 7.31-7.24 (5 H, m), 4.22 (2 H, t), 3.82 (2 H, t), 3.60 (2 H, s)。
【0128】
(2) 100mL乾燥された反応フラスコに、乾燥されたテトラヒドロフラン(50mL)を入れ、ジイソプロピルアミン (1.70 mL, 12 mmol)を入れ、氷水浴で2.4 Mのn-ブチルリチウム(5 mL, 12 mmol)を滴下し、滴下終了室温に戻して2時間反応させた。その後、ドライアイス-アセトン浴で、2-ベンジル-4,5-ジヒドロオキサゾール(1.61 g, 10.0 mmol)のテトラヒドロフラン溶液をリンジポンプで調製されたLDA溶液に滴下し、滴下終了後ドライアイス-アセトン浴で3時間反応させ、最後にドライアイス-アセトン浴で酸素ガスを導入し、反応終了までTLCでモニタリングした。飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を入れて反応をクエンチングし、ジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過し、回転濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トリエチルアミンでカラムを洗浄、酢酸エチル/石油エーテル=1/20)にかけ、2-ベンゾイル-4,5-ジヒドロオキサゾールを得、産物は黄色の液体で、収率は71%であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ=8.31 (2 H, dd), 7.63 (1 H, m), 7.49 (2 H, m) , 4.49 (1 H, dd), 4.20 (1 H, dd), 3.74 (2 H, m)。
【0129】
(3)50 mL反応管に、2-ベンゾイル-4,5-ジヒドロオキサゾール(0.88 g, 5.0 mmol)を入れ、塩化メチレン25 mLを入れ、四塩化チタン(0.6 mL, 5.5 mmol)を入れた後、2,6-ジイソプロピルアニリン(0.94 mL, 5.0 mmol)を入れ、さらにトリエチルアミン(1.05 mL, 7.5 mmol)を入れ、反応終了までTLCでモニタリングした。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を入れて反応をクエンチングし、セライトでろ過し、塩化メチレンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過し、回転濃縮し、中性酸化アルミニウムカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/30)にかけて粗産物を得、さらにメタノールで再結晶させて配位子L1-1を得、産物は黄色の液体で、収率は38%であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ= 8.01 (2 H, dd), 7.50(3 H, m), 7.05 (3 H, m), 4.56 (0.5 H, t), 4.18 (0.5 H, t), 4.01 (1.5 H, t), 3.82 (1.5 H, t), 2.86 (2 H, m),1.19 (4.5 H, d) ,1.14 (1.5H, d), 1.11 (4.5 H, d), 0.86 (1.5 H, d)。
【0130】
実施例2~48では、実施例1おける相応の原料の代わりに、異なるラセミ体または光学的に単一の原料を使用することによって、配位子L1-2~L1-48を得、すべての結果を表1にまとめた。
【0131】
【表1-1】
【0132】
【表1-2】
【0133】
【表1-3】
【0134】
【表1-4】
【0135】
【表1-5】
【0136】
錯体の調製
実施例49
錯体2-1の合成
【化37】
NiBr2(DME)を1mmol取って1.05 mmolのL1-1と混合した後、反応系を窒素ガス3回置換し、20mLの無水塩化メチレンを入れて一晩撹拌した。反応液をろ過し、ろ液から減圧で溶媒を除去し、塩化メチレン/n-ヘキサン(2mL/20mL)の混合溶媒を入れて固体を2~3回洗浄し、ろ過して残った固体を真空で乾燥した。得られた産物は赤色の固体で、収率は87%であった。Anal. Calcd. For C22H26Br2N2NiO: C, 47.79;H, 4.74;N, 5.07. Found:C, 48.04;H, 4.65;N, 4.95。
【0137】
実施例50~103では、実施例49おける相応の配位子または金属前駆体の代わりに、異なる配位子または金属前駆体を使用することによって、錯体2-2~2-55を得、すべての結果を表2にまとめた。
【0138】
【表2-1】
【0139】
【表2-2】
【0140】
【表2-3】
【0141】
【表2-4】
【0142】
【表2-5】
【0143】
高分岐油状ポリオレフィンの調製
実施例104
250mLの重合フラスコを窒素ガスで3回換気した後、さらにエチレンに置換し、エチレンの雰囲気において、溶媒としてトルエンを40mL入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウムのトルエン溶液1.10mL(0.9 mol/L)を入れ、30℃で1 atmのエチレンの圧力で、錯体2-9(2.0μmol)を入れ、30min重合させ、エチレンを断ち、1.0 mLのメタノールを入れて反応をクエンチングし、反応液から溶媒を除去した後油状ポリエチレンを得、触媒効率は6.6×106 g/mol・h・atmで、油状ポリエチレンにおけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は120であった。
【0144】
実施例105
錯体のインサイチュ調製は、まずグローブボックス中でそれぞれ60 μmolの配位子L1-9および(DME)NiBr2を量り、30 mLの塩化メチレンに溶解させ、室温で2h反応させ、2 μmol/mLの溶液にして使用に備えた。
250mLの重合フラスコを窒素ガスで3回換気した後、さらにエチレンに置換し、エチレンの雰囲気において、溶媒としてトルエンを40mL入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウムのトルエン溶液1.10mL(0.9 mol/L)を入れ、30℃で1 atmのエチレンの圧力で、上記インサイチュ調製の錯体(2.0μmol)を入れ、30min重合させ、エチレンを断ち、1.0 mLのメタノールを入れて反応をクエンチングし、反応液から溶媒を除去した後油状ポリエチレンを得、触媒効率は6.7×106 g/mol・h・atmで、油状ポリエチレンにおけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は126であった。
【0145】
実施例106
実施例104を繰り返したが、相違点は、エチレンの代りにプロピレンを使用したことにある。
結果:油状重合体8.7 gを得、触媒効率は8.7×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は276であった。

実施例107
実施例104を繰り返したが、相違点は、エチレンの代りにシス/トランス-2-ブテンの混合物を使用したことにある。
結果:油状重合体10.8 gを得、触媒効率は10.8×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は279であった。

実施例108
実施例104を繰り返したが、相違点は、エチレンの代りに1-ヘキセンを使用したことにある。
結果:油状重合体8.3 gを得、触媒効率は8.3×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は235であった。

実施例109
実施例104を繰り返したが、相違点は、エチレンの代りに1-デセンを使用したことにある。
結果:油状重合体9.1 gを得、触媒効率は9.1×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は208であった。
【0146】
実施例110
実施例104を繰り返したが、相違点は、エチレンの代りにシクロヘキセンを使用したことにある。
結果:油状重合体3.5 gを得、触媒効率は3.5×106 g/mol・h・atmであった。

実施例111
実施例104を繰り返したが、相違点は、トルエンの代りにn-ヘキサンを使用したことにある。
結果:油状ポリエチレン5.3 gを得、触媒効率は5.3×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は134であった。

実施例112
実施例104を繰り返したが、相違点は、トルエンの代りにDCEを使用したことにある。
結果:油状ポリエチレン5.8 gを得、触媒効率は5.8×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は140であった。

実施例113
実施例104を繰り返したが、相違点は、塩化ジエチルアルミニウムの代りにMMAOを使用したことにある。
結果:油状ポリエチレン6.0 gを得、触媒効率は6.0×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は132であった。

実施例114
実施例104を繰り返したが、相違点は、塩化ジエチルアルミニウムの代りにMAOを使用したことにある。
結果:油状ポリエチレン5.5 gを得、触媒効率は5.5×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は138であった。
【0147】
実施例115
実施例39を繰り返したが、相違点は、重合温度が4℃であったことにある。
結果:油状ポリエチレン5.2gを得、触媒効率は5.2×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は156であった。

実施例116
実施例104を繰り返したが、相違点は、重合温度が50℃であったことにある。
結果:油状ポリエチレン4.6gを得、触媒効率は4.6×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は175であった。

実施例117
実施例104を繰り返したが、相違点は、重合温度が70℃であったことにある。
結果:油状ポリエチレン2.3gを得、触媒効率は2.3×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は214であった。
【0148】
実施例118
300 mLオートクレーブを事前に120oCで一晩真空乾燥し、30oCで窒素ガスでオートクレーブを3回換気し、トルエン 100 mLを入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウム1.10 mL(0.9 mol/L)を入れ、10 min撹拌した後、錯体2-9(5 μmol)を入れ、すぐにエチレンの圧力を3 atmに増加し、1 h重合させ、エチレンを止めた。
反応液から溶媒を除去した後、油状ポリエチレンを得、触媒効率は7.0×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は94であった。

実施例119
実施例118を繰り返したが、エチレンの圧力を5 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は4.3×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は85であった。
【0149】
実施例120~149では、実施例104おける相応の錯体2-9の代わりに、異なる錯体を使用することによって、実施例120~149における異なる油状重合体を得、すべての重合結果を表3にまとめた。
【0150】
【表3】
【0151】
エチレンと極性モノマーの共重合
(注:以下のすべての極性モノマーの番号は「具体的な実施形態」の部分における極性モノマーの番号を参照する)
【0152】
実施例150
250mLの重合フラスコを窒素ガスで3回換気した後、さらにエチレンに置換し、エチレンの雰囲気において、溶媒としてトルエンを40mL入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウムのトルエン溶液4.40mL(0.9 mol/L)を入れ、30℃で1 atmのエチレンの圧力で、2 mmolの極性モノマーM3を入れ、5 min後錯体2-9(2.0 μmol)を入れ、30min重合させ、エチレンを断ち、1.0 mLのメタノールを入れて反応をクエンチングし、反応液から溶媒を除去した後油状ポリエチレンを得、触媒効率は3.8×105 g/mol・h・atmで、油状重合体におけるメチレン基1000個あたりの極性基数は59であった。
【0153】
実施例151
真空で高温乾燥して窒素ガスで置換した反応瓶に、AliBu3(60 mmol)および20mLのトルエンを入れた後、-78℃で極性モノマーM3(50 mmol)のトルエン溶液をゆっくり上記溶液に滴下し、2h反応させた後、室温に昇温して12h反応させ、ある程度のトルエンを追加して極性モノマーのモル濃度が1.0 mol/Lのトルエン溶液とし、使用に備えた。
250mLの重合フラスコを窒素ガスで3回換気した後、さらにエチレンに置換し、エチレンの雰囲気において、溶媒としてトルエンを40mL入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウムのトルエン溶液1.10mL(0.9 mol/L)を入れ、30℃で1 atmのエチレンの圧力で、2 mmolの極性モノマーM3を入れ、5 min後錯体5-9(2.0 μmol)を入れ、30min重合させ、エチレンを断ち、1.0 mLのメタノールを入れて反応をクエンチングし、反応液から溶媒を除去した後油状ポリエチレンを得、触媒効率は4.6×105 g/mol・h・atmで、油状重合体におけるメチレン基1000個あたりの極性基数は64であった。
【0154】
実施例152~166では、実施例150おける相応の極性モノマーM3の代わりに、異なる極性モノマーを使用することによって、実施例152~166における異なる油状重合体を得、すべての重合結果を表4にまとめた。
【0155】
【表4】
【0156】
実施例167~177では、実施例151おける相応の極性モノマーM3の代わりに、異なる極性モノマーを使用することによって、実施例167~177における異なる油状重合体を得、すべての重合結果を表5にまとめた。
【0157】
【表5】
【0158】
実施例178
50mL卵形フラスコに実施例104で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを2.5g入れ、Pd/C 50mg、n-ヘキサン10mLを入れ、窒素ガスで3回換気し、常圧の水素雰囲気下で、室温で一晩反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.31 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は140で、粘度指数VIは241で、100℃における動粘度は7.9 cStであった。
【0159】
実施例179
50mL卵形フラスコに実施例104で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを2.5g入れ、Pd/C 50mgを入れ、窒素ガスで3回換気し、常圧の水素雰囲気下で、室温で一晩反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.33 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は146であった。
【0160】
実施例180
実施例178を繰り返したが、Pd/CをPd(OH)2にした。
結果:臭素価は0.30 g/100 gであった。

実施例181
実施例178を繰り返したが、水素化基質を実施例115で得られた油状ポリエチレンにした。
結果:油状高分岐アルカンの臭素価は0.35 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は170で、粘度指数VIは290であった。

実施例182
実施例178を繰り返したが、水素化基質を実施例118で得られた油状ポリエチレンにした。
結果:油状高分岐アルカンの臭素価は0.32 g/100 gであった。
【0161】
実施例183
実施例104を繰り返したが、オレフィン重合触媒とエチレンと接触させると同時に、水素ガスを導入し、完全に水素化した後、ろ過し、ろ液から溶媒を除去した後、高分岐の油状アルカンを得、臭素価は0.46 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は230で、粘度指数は196であった。
【0162】
実施例184
実施例104を繰り返したが、オレフィン重合触媒とエチレンと接触させて30min後、処理せず、Pd/Cを50mg入れ、さらに水素ガスを導入し、完全に水素化した後、ろ過し、ろ液から溶媒を除去した後、高分岐の油状アルカンを得、油状高分岐アルカンにおけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は207であった。
【0163】
実施例185
実施例104において、オレフィン重合触媒とエチレンと接触させて30min後、処理せず、直接雰囲気を水素ガスにし、水素ガスの雰囲気下で完全に水素化するまで反応させ、ろ過し、ろ液から溶媒を除去した後、高分岐の油状アルカンを得、臭素価は0.33 g/100 gであった。
【0164】
実施例186
300mLのオートクレーブを120oC油浴で一晩真空乾燥し、窒素ガスで3回換気し、50oCの油浴において、トルエン 50 mL、塩化ジエチルアルミニウムのトルエン1.10 mL(0.9 mol/L)を入れ、0.5 atmの水素ガス雰囲気において、5 μmolの錯体2-9を入れ、エチレンを導入し、30 min重合反応をさせた後、反応を止めた。反応液をろ過し、ろ液から溶媒を除去した後、油状のアルカン混合物4.0 gを得、産物の臭素価は0.45 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は約235であった。
【0165】
実施例187
実施例118を繰り返したが、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は9.3×106 g/mol・h・atmで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は85であった。

実施例188
実施例118を繰り返したが、エチレンの圧力を20 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.1×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は79であった。

実施例189
実施例118を繰り返したが、重合温度を50℃に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は6.9×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は103であった。
【0166】
実施例190
実施例118を繰り返したが、重合温度を70℃に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は4.4×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は128であった。

実施例191
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンをn-ヘキサンに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は5.7×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は89であった。

実施例192
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、重合時間は4時間であった。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は6.6×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は157であった。
【0167】
実施例193
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを1,2-ジクロロエタン(DCE)に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は4.7×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は165であった。

実施例194
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は7.8×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は175であった。

実施例195
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を20 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は5.5×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は184であった。
【0168】
実施例196
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを1,2-ジクロロエタン(DCE)に変え、エチレンの圧力を20 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は6.1×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は178であった。

実施例197
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を5 atmに変え、錯体2-9を錯体2-2に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は9.0×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基炭素1000個あたりのメチル基数は267であった。
【0169】
実施例198
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-2に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.3×107 g/mol・h・atmで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は283で、臭素価は23.41 g/100 gで、酸化安定性は56分間であった。重合体の13Cスペクトルは図3に示すように、13Cスペクトルでは、重合体の分岐鎖の種類は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびほかの炭素4個以上の分岐鎖を含み、中では、炭素1000個あたりのs-ブチル基数は24個であったことが示された。
【0170】
実施例199
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを1,2-ジクロロエタン(DCE)に変え、エチレンの圧力を5 atmに変え、錯体2-9を錯体2-2に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は1.9×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は271であった。

実施例200
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを1,2-ジクロロエタン(DCE)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-2に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は4.8×106 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は246であった。
【0171】
実施例201
1 Lオートクレーブを事前に120oCで3時間真空乾燥し、30oCに降温した後、塩化メチレン(DCM)400 mLを入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウム2.50 mL(2.0 mol/L)を入れ、10 min撹拌した後、錯体2-2(10 μmol)を入れ、5 atmのエチレンの圧力で3時間反応させた後、エチレンを止めた。反応液から溶媒を除去した後、油状ポリエチレンを得、触媒効率は3.9×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は282であった。GPCによって重合体を測定したところ、Mn=349、Mw=673、PDI=1.69であった。
反応過程におけるオートクレーブの内温およびエチレンの流量の時間に対する変化の状況は図4に示す。
重合体の13Cスペクトルは図5に示すように、13Cスペクトルから、重合体に存在する分岐鎖の種類は豊富であることがわかる。
【0172】
実施例202
実施例201を繰り返したが、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は5.3×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は264であった。

実施例203
実施例201を繰り返したが、反応温度を20℃に下げた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は8.0×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は257であった。

実施例204
実施例201を繰り返したが、反応温度を50℃に上げた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は5.0×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は278であった。
【0173】
実施例205
実施例201を繰り返したが、溶媒を1,2-ジクロロエタン(DCE)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は6.3×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は264であった。

実施例206
実施例201を繰り返したが、溶媒をトルエンに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は8.7×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は231であった。

実施例207
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-4に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は8.4×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は278であった。
【0174】
実施例208
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-5に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は9.1×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は261であった。
重合体の13Cスペクトルは図6に示す。

実施例209
実施例208を繰り返したが、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は1.6×108 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は273であった。
【0175】
実施例210(実施例201と比較)
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-56に変えた。
【化38】
結果:得られた重合体は固体産物と液体の混合物で、中では、固体産物は123.70 gで、液体産物は37.63 gであった。
【0176】
実施例211
20 Lオートクレーブを事前に120oCで5時間真空乾燥し、30oCに降温した後、塩化メチレン(DCM)400 mLを入れ、助触媒として塩化ジエチルアルミニウム25.0 mL(2.0 mol/L)を入れ、30 min撹拌した後、錯体2-2(100 μmol)を入れ、5 atmのエチレンの圧力で3時間反応させた後、エチレンを止めた。
反応液から溶媒を除去した後、油状ポリエチレンを得、触媒効率は3.5×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は277であった。
【0177】
実施例212
実施例211を繰り返したが、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は7.6×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は239であった。

実施例213
実施例211を繰り返したが、反応温度を50℃に上げた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は4.8×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は286であった。
【0178】
実施例214
実施例211を繰り返したが、溶媒を1,2-ジクロロエタン(DCE)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は9.2×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は272であった。
【0179】
実施例215~225では、実施例1おける相応の原料の代わりに、異なるラセミ体または光学的に単一の原料を使用することによって、配位子L1-49~L1-59を得、すべての結果を表6にまとめた。
【0180】
【表6】
【0181】
実施例226~234では、実施例49おける相応の配位子または金属前駆体の代わりに、異なる配位子または金属前駆体を使用することによって、錯体2-57~2-64を得、すべての結果を表7にまとめた。
【0182】
【表7】
【0183】
実施例235
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-57に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.3×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は201であった。

実施例236
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-59に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.8×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は214であった。
【0184】
実施例237
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-61に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.0×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は254であった。

実施例238
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-63に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は3.3×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は243であった。
【0185】
実施例239
実施例118を繰り返したが、溶媒のトルエンを塩化メチレン(DCM)に変え、エチレンの圧力を10 atmに変え、錯体2-9を錯体2-64に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は8.1×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は182であった。

実施例240
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-57に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は3.4×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は212であった。
【0186】
実施例241
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-59に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は3.8×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は225であった。
実施例242
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-61に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は2.4×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は262であった。
【0187】
実施例243
実施例201を繰り返したが、錯体2-2を錯体2-63に変えた。
結果:油状ポリエチレンの触媒効率は5.4×107 g/mol・h・atmで、重合体におけるメチレン基1000個あたりのメチル基数は282であった。
【0188】
実施例244
100 mL卵形フラスコに実施例198で得られた高分岐油状ポリエチレンを2.0 g入れ、Pd/C 150 mgを入れ、15 mLのn-ヘキサン + 5 mLの酢酸エチルを入れ、3回換気し、常圧の水素ガス雰囲気において、室温で一晩反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.31 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は265で、臭素価は0.43 g/100 gで、酸化安定性は107分間であった。
【0189】
実施例245
100 mL卵形フラスコに高分岐油状ポリエチレンを2.0 g入れ、Pd/C 150 mgを入れ、n-ヘキサン15 mL + 酢酸エチル5 mLを入れ、3回換気し、常圧の水素ガス雰囲気において、40℃で6時間反応させた後、水素化を止めた。
【化39】
【0190】
下記表に数種類の油状ポリエチレンの同様の条件における水素化転化率を示す。P1は実施例198で得られた油状ポリエチレンで、P2は実施例211で得られた油状ポリエチレンで、中では、高分岐油状ポリエチレンP3は上記パラジウム触媒(錯体2-65)を使用して特許(Guan、WO1999047572)のexample 6の条件を参照して重合させて得られた油状ポリエチレンである。
【0191】
【表8】
上記条件では、P1、P2の水素化転化率は100%で、P3の水素化転化率は63%であった。中では、P1の水素化後のアルカン混合物の分岐鎖の種類の分析は図7を参照する。
【0192】
実施例246
利用Anton Parr回転式レオメーター(MCR 302、同軸円筒スピンドルCC27)によって実施例244における水素化後の重合体および245における油状サンプルの水素化後の産物P1-hydrogenationとP2-hydrogenationのレオロジー性質を測定した。結果を図8に示す。結果から、40~120℃の区間では、サンプルの粘度は剪断速度の増加に伴って変化せず、ニュートン流体の性質を有することがわかり、このような重合体は超分岐化の構造の特徴を有することが示された。
【0193】
実施例247
250 mL卵形フラスコに実施例201で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを10.0 g入れ、Pd/C 150mg、n-ヘキサン100 mL+酢酸エチル30 mLを入れ、3回換気し、常圧の水素雰囲気下で、室温で一晩反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.33g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は274で、粘度指数VIは253で、100℃における動粘度は8.4 cStで、表面張力は24.6 mM/mであった。
【0194】
実施例248
2 L反応瓶に実施例201で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを500 g入れ、Pd/C 1.5 g、n-ヘキサン1 L+酢酸エチル300 mLを入れ、3回換気し、常圧の水素雰囲気下で、50℃で一晩反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.38 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は269で、粘度指数VIは259で、100℃における動粘度は8.6 cStで、表面張力は24.0 mM/mであった。
油状高分岐アルカンの実物は図9に示すように、無色透明の油状物であった。
【0195】
実施例249
2 Lオートクレーブに実施例201で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを500 g入れ、Pd/C 1.5 g、n-ヘキサン1 L+酢酸エチル300 mLを入れ、3回換気し、20 barの水素雰囲気下で、50℃で6時間反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.40 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は273で、粘度指数VIは261で、100℃における動粘度は8.2 cStで、表面張力は24.7 mM/mであった。
【0196】
実施例250
2 Lオートクレーブに実施例208で得られた高分岐度の油状ポリエチレンを500 g入れ、Pd/C 1.5 g、n-ヘキサン1 L+酢酸エチル300 mLを入れ、3回換気し、20 barの水素雰囲気下で、50℃で6時間反応させ、サンプリングして核磁気共鳴水素スペクトルを行って原料の完全水素化がわかった時水素化を止め、ろ過して溶媒と除去した後、油状高分岐アルカンを得、臭素価は0.50 g/100 gで、メチレン基1000個あたりのメチル基数は287で、粘度指数VIは272で、100℃における動粘度は4.2 cStで、表面張力は22.0 mM/mであった。
【0197】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9