(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/14 20190101AFI20240221BHJP
【FI】
G06F16/14
(21)【出願番号】P 2021159794
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】鳩 康彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 豊
(72)【発明者】
【氏名】細川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲汰
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161198(JP,A)
【文献】特開平06-243022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を着脱可能で、且つ、外部から制御するための方法が
前記記憶媒体の装着及びネットワーク
からのアクセス
に限定された通信装置であって、
記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、前記通信装置を
ネットワークから
のアクセスで制御するときに指定することが必要な
前記通信装置のアドレスを含む通信情報とを記憶する記憶部と、
記憶媒体が装着されたことを検出する検出部と、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定する判定部と、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、前記通信情報を検出された記憶媒体に出力する出力部と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記出力部は、検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイルが存在するとき、前記通信情報を前記ファイルに出力する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記出力部は、検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイルが存在するとき、検出された記憶媒体に他のファイルを生成し、前記通信情報を前記他のファイルに出力する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記出力部は、検出された記憶媒体に前記パス名が示すディレクトリが存在するとき、前記通信情報を検出された記憶媒体に出力する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
記憶媒体を着脱可能で、外部から制御するための方法が
前記記憶媒体の装着及びネットワーク
からのアクセス
に限定され、且つ、記憶部を有する通信装置の制御方法であって、前記通信装置が、
記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、前記通信装置を
ネットワークから
のアクセスで制御するときに指定することが必要な
前記通信装置のアドレスを含む通信情報とを前記記憶部に記憶し、
記憶媒体が装着されたことを検出し、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定し、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、前記通信情報を検出された記憶媒体に出力する、
ことを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
記憶媒体を着脱可能で、外部から制御するための方法が
前記記憶媒体の装着及びネットワーク
からのアクセス
に限定され、且つ、記憶部を有する通信装置の制御プログラムであって、
記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、前記通信装置を
ネットワークから
のアクセスで制御するときに指定することが必要な
前記通信装置のアドレスを含む通信情報とを前記記憶部に記憶し、
記憶媒体が装着されたことを検出し、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定し、
検出された記憶媒体に前記パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、前記通信情報を検出された記憶媒体に出力する、
ことを通信装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)の発展に伴い、従来のクラウドコンピューティングに加えて、エッジコンピューティングが普及しつつある。
【0003】
例えば、非特許文献1には、エッジコンピューティングを実行するシステムの概要が記載されている。このシステムにおいて、エッジコンピューティングを実行するエッジサーバは、IoTデバイスが出力するデータを受信及び処理し、必要なデータのみをネットワークを介してクラウドに送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ソフトバンク株式会社、“〔解説〕エッジコンピューティングとは?初心者編”、[online]、2021年2月2日掲載、[2021年8月6日検索]、インターネット<URL: https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/technology/edge-computing/20210201/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、本発明が解決しようとする課題の一例を示す図である。
【0006】
図1(a)に示すように、点検業者等の利用者は、点検用の装置に表示される所定のWebUIを介してエッジサーバ等の通信装置を点検するために、通信装置が接続されたLANに点検用の装置を接続して、点検用の装置から通信装置を制御することがある。
【0007】
エッジサーバ等の通信装置は、既存の監視カメラ等のIoT端末からデータを受信するため、顧客が有する、IoT端末が接続された既存のLAN(Local Area Network)に接続して使用されることがある。他の通信装置がエッジサーバ等の通信装置と通信し、通信装置を制御するためには、他の通信装置から通信装置への通信の際に送信されるIPパケットの宛先IPアドレスに、通信装置のIPアドレスを設定することが必要である。
【0008】
例えば、通信装置は、IoT端末から受信したデータを一時的に蓄積することがあり、データの安全性を担保する等の理由により、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外にない通信装置としたい場合がある。そのような場合、通信装置は、他の通信装置が通信装置のIPアドレスを指定して送信する、所定のWebUIを介した命令のみを処理するように実装される。さらに、通信装置は、通信装置に直接接続されるキーボード等の入力装置からコマンドを入力するためのログインプロンプトを出力せず、SSH(Secure SHell)、adb(Android Debug Bridge)等による他の通信装置からの接続を処理しないように実装される。これにより、通信装置は、通信装置に直接接続される入力装置によるコマンドの入力、及び、SSH等を用いた他の通信装置によるコマンドの入力に起因する、外部からの制御を防止することができる。
【0009】
したがって、
図1(b)に示すように、利用者が、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外にない特定の通信装置に対して、ネットワーク上でアクセスするための通信情報(例えば、IPアドレス)を知らない場合、点検等を行うことができない。
【0010】
本発明に係る通信装置、通信装置の制御方法及び制御プログラムは、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外にない通信装置において、外部からアクセスするために必要な通信情報を通信装置の外部に出力する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る通信装置は、記憶媒体を着脱可能で、且つ、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外にない通信装置であって、記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、通信装置を外部から制御するときに指定することが必要なアドレスを含む通信情報とを記憶する記憶部と、記憶媒体が装着されたことを検出する検出部と、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定する判定部と、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、通信情報を検出された記憶媒体に出力する出力部と、を有する。
【0012】
本発明に係る通信装置において、出力部は、検出された記憶媒体にパス名が示すファイルが存在するとき、通信情報をファイルに出力することが好ましい。
【0013】
本発明に係る通信装置において、出力部は、検出された記憶媒体にパス名が示すファイルが存在するとき、検出された記憶媒体に他のファイルを生成し、通信情報を他のファイルに出力することが好ましい。
【0014】
本発明に係る通信装置において、出力部は、検出された記憶媒体にパス名が示すディレクトリが存在するとき、通信情報を検出された記憶媒体に出力することが好ましい。
【0015】
本発明に係る、記憶媒体を着脱可能で、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外になく、且つ、記憶部を有する通信装置の制御方法は、通信装置が、記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、通信装置を外部から制御するときに指定することが必要なアドレスを含む通信情報とを記憶部に記憶し、記憶媒体が装着されたことを検出し、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定し、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、通信情報を検出された記憶媒体に出力する、ことを含む。
【0016】
本発明に係る、記憶媒体を着脱可能で、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外になく、且つ、記憶部を有する通信装置の制御プログラムは、記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、通信装置を外部から制御するときに指定することが必要なアドレスを含む通信情報とを記憶部に記憶し、記憶媒体が装着されたことを検出し、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定し、検出された記憶媒体にパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、通信情報を検出された記憶媒体に出力する、ことを通信装置に実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る通信装置、通信装置の制御方法及び制御プログラムは、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外にない通信装置において、外部からアクセスするために必要な通信情報を通信装置の外部に出力することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明が解決しようとする課題の一例を示す図である。
【
図2】通信装置における処理概要の一例を示す図である。
【
図3】通信システム1の概略構成の一例を示す図である。
【
図4】第1通信装置4の概略構成の一例を示す図である。
【
図5】第1通信装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】パス別処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】記憶媒体6に出力された通信情報の一例を示す図である。
【
図8】LAN7を構成する機器の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0020】
図2は、通信装置における処理概要の一例を示す図である。
【0021】
この通信装置に対して、他の通信装置は、通信装置を制御するための通信の宛先に通信装置のアドレスを指定することが必要である。また、通信装置は、外部から制御するための方法がネットワーク上でアクセスする以外になく、通信装置に着脱可能な記憶媒体内のファイル又はディレクトリを示すパス名と、通信装置のアドレスを含む通信情報とを記憶している。記憶媒体は、通信装置が記憶するパス名に対応するファイルを記憶している。
【0022】
最初に、通信装置の利用者は、記憶媒体を通信装置に装着する(
図2(a))。通信装置は、記憶媒体が装着されたことを検出すると、検出された記憶媒体に、通信装置が記憶するパス名が示すファイルが存在するか否かを判定する(
図2(b))。検出された記憶媒体にパス名が示すファイルが存在するとき、通信装置は、記憶する通信情報を検出された記憶媒体に出力し(
図2(c))、その他のとき、通信装置は、記憶する通信情報を検出された記憶媒体に出力しない。次に、通信装置の利用者は、記憶媒体を通信装置から取り外す(
図2(d))。
【0023】
通信装置は、着脱可能な記憶媒体に所定のファイルが存在することを判定して、その記憶媒体に通信情報を出力するため、記憶媒体を介して通信装置の外部に通信情報を出力することができる。通信装置の利用者は、記憶媒体に記憶された通信装置のアドレスを他の通信装置の通信の宛先に指定することにより、他の通信装置を通信装置と通信させ、他の通信装置から通信装置を制御することができる。
【0024】
<実施形態>
図3は、通信システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0025】
通信システム1は、ハブ2、撮像装置3、第1通信装置4、第2通信装置5、サーバ8等を有する。第1通信装置4及び第2通信装置5には、記憶媒体6が着脱可能である。撮像装置3及び第1通信装置4は、ハブ2を介して接続され、LAN7を構成する。第2通信装置5は、通常はハブ2に接続されていないが、必要に応じてハブ2に接続される。第1通信装置4は、インターネット等の通信ネットワーク9を介してさらにサーバ8に接続される。第1通信装置4は、通信装置の一例であり、第2通信装置5は、他の通信装置の一例である。また、LAN7は、ネットワークの一例である。
【0026】
ハブ2は、撮像装置3、第1通信装置4、第2通信装置5等を接続し、LANを構成するための装置である。ハブ2は、撮像装置3、第1通信装置4、第2通信装置5等とイーサネットケーブルにより接続されるが、無線LANのアクセスポイントとして動作し、撮像装置3、第1通信装置4、第2通信装置5等と無線により接続されてもよい。
【0027】
撮像装置3は、所定の個所に固定設置され、周囲を撮影するカメラである。撮像装置3は、可視光に感度を有する光電変換素子と、その光電変換素子上に像を結像する結像光学系と、光電変換素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。光電変換素子の一例は、CCD(Charge Coupled Device)素子またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)素子である。撮像装置3は、撮影したRGB各色の画像を各画素が0~255の範囲の輝度値を有するデジタルの撮影画像に変換して、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式により第1通信装置4に出力する。
【0028】
図4は、第1通信装置4の概略構成の一例を示す図である。
【0029】
第1通信装置4は、第1通信部41と、第2通信部42と、装着部43と、記憶部44と、処理部45とを有する。
【0030】
第1通信部41は、有線LAN等の有線の通信インターフェース回路、又は、無線LAN等の無線の通信インターフェース回路を有する。第1通信部41は、ハブ2を介して、撮像装置3、第2通信装置5等とTCP/IP等の通信方式により通信を実行する。第1通信部41は、撮像装置3、第2通信装置5等から受信したパケットからデータを抽出し、処理部45に供給する。第1通信部41は、処理部45から供給されたデータをパケットに格納して、撮像装置3、第2通信装置5等に送信する。なお、第1通信装置4を外部から制御するための方法は、LAN7上でアクセスする以外になく、そのアクセスは、第1通信部41によって受信される。
【0031】
第2通信部42は、5G等の無線の通信インターフェース回路を有する。第2通信部42は、通信ネットワーク9を介して、サーバ8等とTCP/IP等の通信方式により通信を実行する。第2通信部42は、サーバ8等から受信したデータを処理部45に供給する。第2通信部42は、処理部45から供給されたデータをサーバ8等に送信する。
【0032】
装着部43は、記憶媒体6を着脱可能に保持するスロットを備える。例えば、装着部43は、記憶媒体6がSD(Secure Digital)メモリカードである場合、SDカードスロットを備え、記憶媒体6がUSB(Universal Serial Bus)ストレージである場合、USBポートを備える。装着部43は、記憶媒体6が装着されたことを処理部45に通知する機能、記憶媒体6が取り外されたことを処理部45に通知する機能、記憶媒体6に記憶された各種情報を読み出す機能、及び記憶媒体6に各種情報を記録する機能を有する。
【0033】
記憶部44は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。記憶部44は、処理部45による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。本実施形態において、オペレーティングシステムは、Linux(登録商標)であるが、他の種類のオペレーティングシステムであってもよい。また、記憶部44は、書き換え可能なフラッシュメモリをさらに有し、ドライバプログラム及びオペレーティングシステムプログラムの一部は、ファームウェアとしてフラッシュメモリに記憶される。
【0034】
例えば、記憶部44は、ドライバプログラムとして、第1通信部41、第2通信部42等を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部44は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶部44は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を実行するデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部44にインストールされてもよい。
【0035】
記憶部44は、データとして、パス名、通信情報、動作ログ等を記憶している。パス名は、着脱可能な記憶媒体6内のファイル又はディレクトリを示す。パス名は、ディレクトリに代えてフォルダを示してもよい。パス名は、記憶媒体6上の最上位のディレクトリを起点とした相対パスで示されるが、第1通信装置4のディレクトリ構造全体を対象とした絶対パスで示されてもよい。
【0036】
通信情報は、第1通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラムにより使用される通信設定を示す情報であり、第1通信装置4のIPアドレス、LAN7で使用されるサブネットマスク及びデフォルトゲートウェイ等を含む。第1通信装置4のIPアドレスは、第2通信装置5等の他の通信装置が第1通信装置4と通信する際に、その通信の宛先に指定することが必要なアドレスであり、第1通信装置4を外部から制御するときに指定することが必要なアドレスの一例である。通信情報は、第1通信装置4の利用者が設定可能である。記憶部44は、通信情報の現在値、及び利用者により設定される前の初期値を記憶している。動作ログは、処理部45で実行される各動作の履歴情報である。
【0037】
処理部45は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有し、第1通信装置4の全体的な動作を統括的に制御する。処理部45は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、処理部45は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等でもよい。
【0038】
処理部45は、第1通信装置4の各種処理が記憶部44に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部41等の動作を制御する。処理部45は、記憶部44に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部45は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0039】
処理部45は、検出部451、判定部452及び出力部453等を有する。処理部45が有するこれらの各部は、処理部45が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、処理部45が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして第1通信装置4に実装されてもよい。処理部45は、新たな動作を実行すると、新たな動作に関連する情報を記憶部44に記憶された動作ログに追加する。
【0040】
第2通信装置5は、第1通信装置4を点検するための装置である。第2通信装置5は、TCP/IP等の通信方式により、ハブ2を介して第1通信装置4と通信し、第1通信装置4の制御、及び第1通信装置4との通信の内容に応じた表示を実行する。
【0041】
記憶媒体6は、第1通信装置4及び第2通信装置5に着脱可能な、SDメモリカード、USBストレージ等の可搬型記憶媒体である。記憶媒体6は、ファイル及びディレクトリを記憶することができる。記憶媒体6は、ファイル又はディレクトリに対応づけられた、第1通信装置4のファームウェア及び通信情報を記憶することもできる。
【0042】
サーバ8は、第1通信装置4から送信される各種データを受信及び処理して記憶する装置である。サーバ8は、第1通信装置4による制御に応じて、TCP/IP等の通信方式により、通信ネットワーク9を介して第1通信装置4と通信する。
【0043】
図5は、第1通信装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
以下、
図5に示したフローチャートを参照しつつ、第1通信装置4の動作の例を説明する。以下に説明する動作は、予め記憶部44に記憶されているプログラムに基づき、主に処理部45により各要素と協働して実行される。
【0045】
最初に、検出部451は、記憶媒体6が装着されたことを示す装着部43からの通知を受信し、装着部43に記憶媒体6が装着されたことを検出する(S11)。
【0046】
次に、判定部452は、記憶部44が記憶するパス名を読み取り(S12)、検出された記憶媒体6に、読み取ったパス名が示すファイル又はディレクトリが存在するか否かを判定する(S13)。
【0047】
パス名が示すファイル又はディレクトリが存在するとき、出力部453は、パス別処理を実行する(S14)。パス別処理の詳細は、後述する。パス名が示すファイル又はディレクトリが存在しないとき、出力部453は、パス別処理を実行せず、処理をステップS15に進める。
【0048】
次に、検出部451は、記憶媒体6が取り外されたことを示す装着部43からの通知を受信し、装着部43に装着されている記憶媒体6が取り外されたことを検出する(S15)。以上により、一連の処理は終了する。
【0049】
図6は、パス別処理の一例を示すフローチャートである。パス別処理は、
図5のステップS14で実行される。
【0050】
最初に、出力部453は、判定部452がステップS13で存在すると判定したパス名を特定する(S21)。
【0051】
特定したパス名が「ファイルA」のとき、出力部453は、記憶部44に記憶された通信情報をパス名が示すファイル(すなわち記憶媒体6のファイルA)に出力し(S22)、一連の処理を終了する。
【0052】
図7は、記憶媒体6に出力された通信情報の一例を示す図である。
【0053】
図7に示す例では、通信情報は、第1通信装置4のIPアドレス及びLAN7で使用されるサブネットマスクを含む。
【0054】
特定したパス名が「ファイルB」のとき、出力部453は、記憶媒体6に「ファイルZ」という名称の新たなファイルを生成する(S23)。次に、出力部453は、記憶部44に記憶された通信情報を新たに生成したファイル(すなわちファイルZ)に出力し(S24)、一連の処理を終了する。
【0055】
特定したパス名が「ファイルC」のとき、出力部453は、記憶部44に記憶された動作ログを記憶媒体6に出力し(S25)、一連の処理を終了する。
【0056】
特定したパス名が「ファイルD」のとき、出力部453は、第1通信部41が受信したパケットをキャプチャする(S26)。出力部453は、例えばtcpdumpコマンドを実行して、第1通信部41が受信したパケットをキャプチャする。次に、出力部453は、キャプチャしたパケットを記憶媒体6に出力し(S27)、一連の処理を終了する。
【0057】
特定したパス名が「ファイルE」のとき、出力部453は、第1通信装置4の通信設定をリセットする(S28)。出力部453は、記憶部44が記憶する通信情報の初期値によって、第1通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラムの通信設定を更新し、一連の処理を終了する。
【0058】
特定したパス名が「ファイルF」のとき、出力部453は、第1通信装置4の通信設定を、記憶媒体6に記憶された通信情報によって更新する(S29)。出力部453は、記憶部44に記憶された通信情報を記憶媒体6に記憶された通信情報によって更新する。出力部453は、更新した通信情報によって第1通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラムの通信設定を変更し、一連の処理を終了する。
【0059】
特定したパス名が「ファイルG」のとき、出力部453は、記憶部44に記憶されたファームウェアを、記憶媒体6に記憶されたファームウェアによって更新し(S30)、一連の処理を終了する。
【0060】
図8は、LAN7を構成する機器の動作の一例を示す図である。
図8は、
図6のステップS22、又はステップS23~S24が実行された場合の動作の一例を示す。なお、撮像装置3の記載は、省略している。
【0061】
図8(a)に示すように、
図6のステップS22、又はステップS23~S24において、第1通信装置4は、記憶部44に記憶された通信情報を記憶媒体6に出力する。
【0062】
次に、
図8(b)に示すように、利用者が記憶媒体6を
図5のステップS15で第1通信装置4から取り外し、第2通信装置5に装着すると、第2通信装置5は、利用者の指示に応じて記憶媒体6から通信情報を読み出す。また、利用者は、第2通信装置5をハブ2に接続する。
【0063】
次に、
図8(c)に示すように、利用者が第2通信装置5に第1通信装置4と通信するように指示すると、第2通信装置5は、通信情報に含まれるIPアドレスを通信の宛先に指定して、第1通信装置4との通信を開始し、第1通信装置4を制御する。第2通信装置5は、LAN7がルータ(図示せず)を介して他のネットワークと接続されているとき、通信情報に含まれるサブネットマスクを利用して、IPアドレスを宛先とするパケットを内包するイーサネットフレームの送信先を決定してもよい。
【0064】
このように、第1通信装置4は、記憶媒体内のファイルを示すパス名を記憶部44に記憶し、着脱可能な記憶媒体6にパス名が示すファイルが存在することを判定して、第1通信装置4のIPアドレスを含む通信情報を記憶媒体6に出力する。このため、第1通信装置4は、自らのIPアドレスを第1通信装置4の外部に出力することができる。第1通信装置4の利用者は、記憶媒体6に記憶された第1通信装置4のアドレスを第2通信装置5の通信の宛先に指定することにより、第2通信装置5から第1通信装置4にアクセスし、第1通信装置4を制御することができる。また、記憶媒体6内のファイルを示すパス名を関係者以外の第三者に開示しないとき、第三者は、記憶媒体6を介して通信情報を取得することが困難である。
【0065】
また、第1通信装置4は、検出された記憶媒体6にパス名が示すファイルが存在するとき、通信情報をそのファイルに出力する。通信情報を出力するファイルを新たに生成しなくてよいため、第1通信装置4は、通信情報の出力をより簡単な動作で実行することができる。
【0066】
また、第1通信装置4は、検出された記憶媒体6にパス名が示すファイルが存在するとき、検出された記憶媒体6に他のファイルを生成し、生成した他のファイルに通信情報を出力する。通信情報の出力を指示するためのファイルと通信情報を出力するファイルとが記憶媒体6上で別々に記憶されるため、利用者は、記憶媒体6に記憶されたファイル名を参照することにより、記憶媒体に通信情報が記憶されているか否かを簡単に判断することができる。
【0067】
なお、記憶部44は、ディレクトリを示すパス名を記憶し、出力部453は、ステップS21の処理で特定したパス名に応じた所定の処理を実行してもよい。例えば、記憶部44は、「DIR-B/」というディレクトリを示すパス名を記憶し、出力部453は、ステップS21の処理で「DIR-B/」というディレクトリを特定すると、ステップS23及びS24の処理を実行する。
【0068】
また、第1通信装置4は、複数のパス名に対応するファイル又はディレクトリが記憶媒体6に全て存在するとき、複数のパス名の組に応じた所定の処理を実行してもよい。記憶部44は、複数のパス名を記憶し、判定部452は、ステップS13の処理で、記憶媒体6に、複数のパス名に対応するファイル又はディレクトリが全て存在するか否かを判定する。ファイル又はディレクトリが全て存在するとき、出力部453は、判定部452が存在すると判定したパス名をステップS21の処理で全て特定し、特定した全てのパス名の組に応じた所定の処理を実行する。
【0069】
例えば、記憶部44は、「ファイルA」及び「DIR-B/ファイルB」というファイルを示すパス名を記憶する。判定部452は、ステップS13の処理で、記憶媒体6に「ファイルA」及び「DIR-B/ファイルB」というファイルが全て存在するか否かを判定する。これらのファイルが全て存在するとき、出力部453は、ステップS21の処理で「ファイルA」及び「DIR-B/ファイルB」というパス名を特定すると、ステップS22の処理を実行する。第1通信装置4は、記憶媒体6に複数のファイル又はディレクトリが存在することを通信情報を出力する条件とするため、第三者は、記憶媒体を介して通信情報を取得することがより困難になる。
【0070】
また、ファイル名又はディレクトリ名に応じて実行される動作は、パス別処理のステップS22~S30に記載したものに限らない。例えば、記憶部44は、「ファイルH」というファイルを示すパス名を記憶し、判定部452は、ステップS13の処理で、記憶媒体6に「ファイルH」というファイルが存在するか否かを判定する。ファイルが存在するとき、出力部453は、ステップS21の処理で「ファイルH」というパス名を特定すると、第1通信装置4をリブートする。
【0071】
また、本実施形態において使用されるアドレスは、IPアドレスに限らず、他の通信装置により通信の宛先に指定されるネットワーク層のアドレスであれば、他の種類のアドレスであってもよい。
【0072】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0073】
4 第1通信装置(通信装置)
5 第2通信装置(他の通信装置)
6 記憶媒体
7 LAN(ネットワーク)
44 記憶部
451 検出部
452 判定部
453 出力部