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  • 特許-脱毛または皮膚炎症抑制用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】脱毛または皮膚炎症抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/14 20060101AFI20240221BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 36/11 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 36/16 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 8/9761 20170101ALI20240221BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61K36/14
A61K31/352
A61K36/11
A61K36/16
A61P17/00
A61P17/14
A61P29/00
A61P43/00 111
A61K8/49
A61K8/9761
A61Q5/00
A61Q7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021521802
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2019015797
(87)【国際公開番号】W WO2020111621
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0150304
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,セヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スナ
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ヨンジュ
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/120793(WO,A1)
【文献】特開2011-178737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0087516(US,A1)
【文献】特開2007-008900(JP,A)
【文献】特表平11-501311(JP,A)
【文献】Journal of Ethnopharmacology,2015年,Vol.175,pp.470-480
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 36/00-36/9068
A61K 8/00-8/99
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アメントフラボン(Amentoflavone)と、
柏子仁抽出物と、
を含む脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項2】
前記アメントフラボンは、前記組成物の総重量に対して0.1ないし1,000ppm含有される請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項3】
前記アメントフラボンは、イワヒバ、カタヒバ、巻柏、扁柏及び銀杏で構成された群から選択された一つ以上から抽出されたものである請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項4】
前記柏子仁抽出物は、前記組成物の総重量に対して10ないし10,000ppm含有される請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、生体内でPTGDS(Prostagladin D2 Synthase)の活性を抑制するものである請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項6】
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は化粧料である請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項7】
前記化粧料の剤形は、溶液、クリーム、ローション、シャンプー、ヘアトニック、スプレー及びゲルの中で選択される請求項に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項8】
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、経皮注射または皮下注射を通じて人体に投与されるものである請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項9】
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、皮膚外用剤または経口投与剤である請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【請求項10】
前記皮膚は毛嚢及び頭皮を含む請求項1に記載の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月29日付韓国特許出願第10‐2018‐0150304号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、PTGDS(prostaglandin D2 synthase)活性抑制効果を有する脱毛または皮膚炎症抑制用組成物に係り、より詳しくは、アメントフラボン(Amentoflavone)及び;柏子仁抽出物、ゲニステイン(Genistein)及びビオカニンA(Biochanin A)で構成された群から選択された一つ以上の成分を含み、優れるPTGDS活性抑制効果を通じて脱毛または皮膚炎症を抑制する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、脱毛の原因としては、遺伝的要因、薬物服用、老化進行、放射線治療及び重病後ストレスなどを挙げることができる。また、生化学的観点や生理学的観点から脱毛現象は過多活動、頭皮血液循環問題及び毛髪代謝に必須である栄養素の欠乏によるものであると知られている。このような要因が単独または複合的に脱毛症を加速化させ、症状がひどくなる。特に、遺伝的要因または後天的要因によって男性ホルモンの生成、変化、認識及び信号伝逹過程が過度に作動するので、毛嚢組職が早期老化する場合、脱毛症がひどくなる確率が高くなる。
脱毛治療のために現在まで様々な方法が試みられてきたが、外科的方法では頭皮再建術、脱毛部位縮小術及び組織拡張術による頭皮成形術と自己毛髪移植術などがある。前記外科的治療方法は効果面で優れる点があるが、患者の経済的、精神的負担が非常に大きいため、広く利用し難いという短所がある。
この他、様々な治療剤が利用されているが、代表的な外用剤であるミノキシジル(Minoxidil)は毛細管拡張機能があるので、頭皮に塗ることで脱毛を防ぐが、痒み、刺激などの副作用と、脱毛治療におけるアクティブ標的がまだはっきり明かされていないという問題がある。内服薬であるフィナステリド(finasteride)は脱毛を誘発する男性ホルモンDHT(5α‐dihydrotestosterone)の生成抑制作用を有するものであり、6ヶ月~1年程度の服用により、発毛または脱毛抑制効果が表れると知られている。しかし、服用を中止すれば2ヶ月以内に元の状態に戻るという問題点があり、生殖機能障害などの副作用が発生することがあると知られている。
よって、副作用がなく、人体に無害であり、持続的な脱毛抑制効果がある脱毛抑制剤の開発が要求されている実情である。
PTGDSは、プロスタグランジン(Prostaglandin)D2(PGD2)を生成する酵素であって、PGD2は脱毛症のない男性の頭皮より脱毛症がある男性の頭皮でより高い水準で存在することが明らかにされ、脱毛を引き起こす重要な要素として知られている(Garza et al.(2012)Sci.Transl.Med.4、126ra34)。また、PTGDSはPGD2を通じて炎症反応を調節することが明らかになり(R.Rajakariar et al.、PNAS、2007、104、20979‐20984)、炎症反応の媒介物質としてPTGDSの活性を抑制し、炎症反応を阻害することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録特許第10‐1766752号(ミノキシジルを含む薬剤学的組成物)
【文献】韓国公開特許第10‐2015‐0046332号(重合フィナステリドナノ粒子、これを含む水性組成物、脱毛治療のための組成物、及びこの製造工程並びにこの組成物の用途)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは前記のような問題点を解決するために、持続的な使用による副作用が少なく、脱毛及び皮膚炎症を効果的に抑制する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはPTGDSの活性を抑制することで皮膚での炎症反応を抑制すると同時に、脱毛反応も抑制することができることを確認して本発明を完成した。
前記目的を達成するために、本発明の一実施例による脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、アメントフラボン及び柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分を含む。
前記アメントフラボンは、前記組成物の総重量に対して0.1~1,000ppm含有することができる。アメントフラボンは、イワヒバ、カタヒバ、巻柏、扁柏及び銀杏で構成された群から選択された一つ以上から抽出されたものが挙げられる。
前記柏子仁抽出物は前記組成物の総重量に対して10~10,000ppm含有することができる。
ゲニステインは前記組成物の総重量に対して1~1,000ppm含有することができる。ゲニステインは、豆及びイソフラボンで構成された群から選択された一つ以上から抽出したものとすることができる。
前記ビオカニンAは前記組成物の総重量に対して10~1,000ppm含有することができる。ビオカニンAは降真香、豆、ムラサキツメクサ及びイソフラボンで構成された群から選択された一つ以上から抽出したものとすることができる。
前記組成物は、生体内でPTGDSの活性を抑制することができる。前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、化粧料を含み、化粧料の剤形は溶液、クリーム、ローション、シャンプー、ヘアトニック、スプレー及びゲルのなかから選択することができる。
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、経皮注射または皮下注射を通して人体に投与することができ、皮膚外用剤または経口投与剤のいずれを選択してもよい。
前記皮膚は毛嚢及び頭皮が含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって提供される組成物は、アメントフラボンに、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分を含むことによって、脱毛または皮膚炎症を抑制する相乗効果を得ることができる。また、本発明の脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、天然物質を使って長期間使用可能であり、副作用がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例によるPTDGS酵素のPGD2生成抑制効果をELISA方法を通じて示す結果グラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について理解しやすくするために本発明をより詳しく説明する。
本発明において、有効成分として使用するアメントフラボンは、抗酸化作用(Mora A.et al.、Biochem.Pharmacol.、40(4)、pp793‐7、1990)、リンパ球増殖(lymphocyte proliferation)抑制作用(Lee SJ.et al.、Life Sci.、57(6)、pp551‐558、1995)、ホスホリパーゼ(phospholipase)C‐γ1酵素活性抑制作用(Lee HS.et al.、Planta.Med.、1996、62(4)、pp293‐296)、抗‐HIV作用、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase)及びリポキシゲナーゼ(lipoxygenase)を抑制することによる抗炎症作用(Kim HP.et al.、Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids、58(1)、pp17‐24、1998)、cAMP‐ホスホジエステラーゼ(cAMP‐phosphodiesterase)抑制作用、ウイルスに対する抗生作用、抗菌作用などについて研究された(Kim HK.et al.、Arch.Pharm.Res.、21(4)、pp406‐410、1998;Lin YM.et al.、Planta.Med.、65(2)、pp120‐125、1999;Krauze‐Baranowska M.et al.、Planta.Med.、65(6)、pp572‐573、1999)。
【0010】
アメントフラボンは、イワヒバ、カタヒバ、巻柏、扁柏及び銀杏で構成された群から選択された一つ以上から抽出されたものとすることができる。イワヒバはイワヒバ科に属する多年生植物で、5~20cm内外で育ち、下で派生された根茎はとても堅くて短くて、ひげ根が多く生える特徴がある。カタヒバはイワヒバ科に属する維管束植物で、岩の上で伸びて、地下茎が土中や蘚苔植物の間で伸び、先端が真っ直ぐ育つのが特徴である。巻柏はイワヒバ科に属し、岩にくっ付いて生きる隠花植物で、乾かすと拳の形になることから付けられた名前である。扁柏はコノテガシワ科の常緑喬木で、葉は倒卵形または卵形であり、両面がいずれも緑や淡い黄緑色である。銀杏はイチョウ科の落葉喬木で、葉は扇形であり、中央で2つに割れるが、割れないものと2つ以上割れるものなどがある。
【0011】
アメントフラボンは下記化学式1で表される。
<化1>
【0012】
本発明で有効成分として使用する柏子仁(Thujae semen)はコノテガシワ(Thuja orientalis(occidentalis)(コノテガシワ科)Curpressaceae)の種子で、卵円形の中で長い卵円形であるか、または長い円柱型である。柏子仁は、東医宝監の三聖膏処方にて抜けた口ヒゲや髪の毛がまた生えるようにするものと知られており、四聖不老丹及び斑龍丸など、主に身体が衰弱したり老化症状が表れた時使う処方に含まれている。また、現代科学的側面では2つの動物モデルから育毛活性が高く表れ、アンドロゲン変換を調節して脱毛症に有用な物質として使われることが立証されている。
【0013】
本発明では、例えば下記のような方法で柏子仁抽出物を製造することができる。柏子仁を2倍容量の95%エタノールで抽出して、ろ過、濃縮した後、5倍容量の水と5倍容量のエチルアセテートを入れて振盪して層を分離する。エチルアセテート層の水分を、硫酸マグネシウムを利用して取り除いて、ろ過、濃縮して柏子仁抽出物を得る。
【0014】
本発明で有効成分として使用するゲニステインは、植物界のエストロゲン類似体として強力な抗酸化効果、抗炎症効果、坑癌効果とともに正常細胞の複製を促進する。脱毛を抑制する成分としてSCI級臨床論文が掲載され、最近は光老化を抑制する物質としても臨床結果が報告された。一実施形態では、ゲニステインのエストロゲン類似体としてのホルモン効果、細胞再生効果、光老化抑制効果、脱毛抑制及び育毛を促進する作用を有する。ポリフェノールの一種であるゲニステインは、例えば大豆イソフラボンから分離抽出することができるが、これに制限されるものではない。
【0015】
ゲニステインは下記化学式2で表される。
<化2>

【0016】
本発明で有効成分として使用するビオカニンAは、例えば、降真香、豆、ムラサキツメクサ及びイソフラボンで構成された群から選択された一つ以上から分離することができるが、これに制限されるものではない。
【0017】
ビオカニンAは下記化学式3で表される。
<化3>

【0018】
本発明の一実施例において、アメントフラボンを単独有効成分で含む組成物に比べて、追加的に柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分を含んで組み合わせる場合、PTGDS活性を抑制する効果がさらに優れることが確認された。
すなわち、本発明は効果的にPTGDSの活性を抑制して脱毛を引き起こす要素であるPGD2の生成を減少させて脱毛反応を抑制し、皮膚で発生する炎症反応を抑制することができる組成物を提供する。
【0019】
本発明の一実施例において、前記組成物は薬学組成物で使用されてもよい。
前記薬学組成物は、アメントフラボンと、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分とを含む有効成分以外、防腐剤、安定化剤、水和剤または乳化促進剤、浸透圧調節のための塩及び/または緩衝剤などの薬剤学的補助剤、及びその他治療的に有用な物質をさらに含んでもよく、通常の方法によって様々な経口投与剤または非経口投与剤の形態で製剤化することができる。
【0020】
前記経口投与剤は、例えば、錠剤、丸剤、硬質及び軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、粉剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ペレット剤などがあり、これらの剤形は有効成分以外に界面活性剤、希釈剤(例:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及びグリシン)、滑沢剤(例:シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウムまたはカルシウム塩及びポリエチレングリコール)を含むことができる。錠剤は、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリジンのような結合剤をさらに含むことができ、場合によって、澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩のような崩壊剤、吸収剤、着色剤、香味剤及び甘味剤などの薬剤学的添加剤を含むことができる。前記錠剤は通常の混合、顆粒化またはコーティング方法によって製造することができる。
【0021】
また、前記非経口投与の形態では、経皮、皮下、静脈及び筋肉投与型剤形であってもよく、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤、パッチなどの剤形が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0022】
前記有効成分の投与量決定は、通常の技術者の水準内にあり、薬物の1日投与量は投与する対象の進行度合い、発病時期、年齢、健康状態、合併症など様々な要因によって異なるが、大人を基準にする時、一面において、前記組成物1μg/kg~200mg/kg、他面において、50μg/kg~50mg/kgを、1日1~3回分割して投与することができる。この投与量はいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
前記薬学組成物は、皮膚外用剤であってもよく、前記皮膚外用剤は皮膚の外部で塗布される如何なるものでも含まれる総称であって、様々な剤形の医薬品がこれに含まれる。
本発明の一実施例において、前記組成物は化粧料組成物で使われてもよい。前記化粧料組成物には、ラクトコッカスラクチスW‐camellia菌株の湧出物以外、機能性添加物及び一般的化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれてもよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海草エキスからなる群から選択された成分を含むことができる。それ以外に含まれる配合成分としては、乳脂成分、保湿剤、エモリアント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0024】
前記化粧料組成物は剤形が特に限定されないし、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンジェント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション及びボディクレンザーからなる群から選択されたいずれか一つ以上の剤形で製造してもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
また、前記化粧料組成物は化粧品学または皮膚科学的に許容可能な媒質または基剤を含んで剤形化されてもよい。これは局所適用に適する全ての剤形として、例えば、溶液、ゲル、固体、練り無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微小顆粒球またはイオン型(リポソーム)及び非イオン型小嚢分散剤の形態で、またはクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシールスティックの形態で提供されてもよい。また、泡沫(foam)の形態で、または圧縮された推進剤をさらに含んだエアロゾル組成物の形態で使われてもよい。これらの組成物は、当該分野における通常の方法によって製造することができる。
【0026】
さらに、前記化粧料組成物は、頭皮用または毛髪用組成物などで使われてもよい。よって、前記化粧料組成物は頭皮及び毛髪に一緒に使用する剤形、例えば、シャンプー、リンス、スカルプトリートメント、ヘアトリートメント、頭皮毛髪兼用トリートメント、脱毛防止毛髪用トリートメント、損傷毛髪用トリートメント、残留(leave‐in)コンディショナー、ウォッシュオフ(wash‐off)コンディショナーまたはヘアエッセンスなど頭皮または毛髪、頭皮及び毛髪兼用製品などに製剤化することができる。
【0027】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合は、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などを利用することができる。
【0028】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、ケイ酸カルシウムまたはポリアミドパウダーを利用することができ、特にスプレーの場合はさらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
【0029】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として溶媒、溶媒和剤または乳濁和剤を利用することができ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3‐ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0030】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液相希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラカントなどを利用することができる。
【0031】
本発明の剤形が界面活性剤を含むクレンジングの場合は、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオン酸、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウリン、サルコシン、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、コカミドプロピルベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、リノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを利用することができる。
【0032】
本発明の一実施例による組成物は、安定度を維持する範囲内で色素、防腐剤、金属イオン封鎖剤、香料などを含むことができる。
【0033】
脱毛または皮膚炎症抑制方法
本発明は、また、脱毛または皮膚炎症抑制方法に関する。前記脱毛または皮膚炎症抑制方法は、前述したような脱毛または皮膚炎症抑制用組成物を脱毛または皮膚炎症がある対象に適用する工程を含む。前記脱毛または皮膚炎症抑制方法は、脱毛または皮膚炎症を予防、改善及び/または治療方法を意味してもよい。
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、皮膚に塗布して適用するものであってもよく、好ましくは、脱毛現象が心配されたり脱毛現象が表れた頭皮、または炎症が心配されたり炎症が表れた皮膚に塗布して適用するものであってもよい。前記組成物を顔に塗布する場合、柚オイルビードの香から心身の安定を得て熟眠を取るためにより有利である。
また、前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、1日1回、頭皮または皮膚に塗布すればよい。前記組成物に含まれたアメントフラボンと、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分との組み合わせがPTGDSの活性を抑制して脱毛を引き起こす要素であるPGD2の生成を減少させて脱毛反応を抑制し、皮膚で発生する炎症反応を抑制させて脱毛または皮膚炎症抑制に有利である。
また、前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、1日1回、3週~8週間皮膚へ塗布する時、より改善された脱毛または皮膚炎症抑制効果を示すことができる。前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物は、1日1回皮膚へ適用するだけでも優れた脱毛または皮膚炎症抑制効果を示し、通常、3週以上、好ましくは3週~8週間持続的に使用した時、とても優れる脱毛または皮膚炎症抑制効果を示す。
前記脱毛または皮膚炎症抑制用組成物の1回適用量は、脱毛または皮膚炎症を経験している対象の状態、睡眠障害度合い、塗布面積及び組成物の形態によって異なるが、通常25mg~150mgとすることができ、前記1回適用量の範囲内で適宜調節して塗布することができる。
【実施例
【0034】
以下、実施例をもって本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものとして解釈されないことは当業者にとって自明であると言える。
【0035】
<実施例>脱毛または皮膚炎症抑制用組成物の製造
<実施例1~3>
精製水1000mlに、アメントフラボンに加え、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分を添加した後、撹拌した。具体的な有効成分の含量を表1に示す。
【0036】
<比較例1~4>
比較例の組成物は、実施例1~3で利用した同一な有効成分を単独で使用するが、成分含量が10倍になるように製造した。具体的には、精製水1000mlにアメントフラボン、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAのうちの1種を添加した後、撹拌する。具体的な有効成分の含量は表1のとおりである。
【表1】
【0037】
<試験例>PTGDS活性抑制効果(ELISA assay)
PTGDSに酵素反応の基質であるプロスタグランジンH2(PGH2)を処理してプロスタグランジンD2(PGD2)を生成するが、実施例1~実施例3で製造された組成物を一緒に投入した後、PGD2の生成減少量を測定してPTGDS活性抑制効果を確認した。
前記PGD2の生成量測定は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定した。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)の実施は以下の工程で行われた。
(a)実施例1~3を固体基質の表面にコーティングする工程、
(b)PTGDSと前記PGH2を反応させる工程、
(c)前記工程(b)の結果物を酵素が結合された二次抗体と反応させる工程及び
(d)前記酵素の活性をELISA readerで410nmでの吸光度測定を通じて示す工程を含む。
【0038】
前記固体基質として適するものは炭化水素ポリマー(例えば、ポリスチレン及びポリプロピレン)、ガラス、金属またはゲルであり、最も好ましくは、マイクロタイタープレートである。前記二次抗体に結合された酵素は、発色反応、蛍光反応、発光反応または赤外線反応を触媒する酵素を含むが、これに限定されず、例えば、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ及びシトクロムP450を含む。前記二次抗体に結合する酵素として、アルカリホスファターゼが利用される場合は、基質としてブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、ナフトール‐ASB1‐リン酸(naphthol‐AS‐B1‐phosphate)及びECF(enhanced chemifluorescence)のような発色反応基質が利用され、ホースラディッシュペルオキシダーゼが利用される場合は、クロロナフトール、アミノエチルカルバゾール、ジアミノベンジジン、D‐ルシフェリン、ルシゲニン(ビス‐N‐硝酸メチルアクリジニウム)、レゾルフィンベンジルエーテル、ルミノール、アームフレックスレッド試薬(10‐アセチル‐3,7‐ジヒドロキシフェノキサジン)、TMB(3,3,5,5‐tetramethylbenzidine)、ABTS(2,2'‐Azine‐di[3‐ethylbenzthiazoline sulfonate])及びo‐フェニレンジアミン(OPD)のような基質を利用してもよい。
【0039】
分析結果、図1に示すように、本発明の実施例1~3は、成分含量が10倍多い比較例1~4に比べて、PGD2の生成量が低減した。よって、前記結果を通じて本発明者らはアメントフラボンと、柏子仁抽出物、ゲニステイン及びビオカニンAで構成された群から選択された一つ以上の成分とを組み合わせた組成物は、前記成分物質を単独で利用した時に比べてPTGDS活性抑制能に優れることが分かった。
【0040】
本発明の一実施例による組成物の剤形例を以下で説明するが、これらの剤形例以外も様々な剤形で応用可能であり、これは本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの剤形例によって限定されるものではない。
【0041】
<剤形例1>錠剤
本発明の実施例1~3によって製造された組成物100mg、ラクトース400mg、とうもろこし澱粉400mg及びステアリン酸マグネシウム2mgを混合した後、通常の錠剤の製造方法にしたがって打錠して錠剤を製造した。
<剤形例2>カプセル剤
本発明の実施例1~3によって製造された組成物100mg、ラクトース400mg、とうもろこし澱粉400mg及びステアリン酸マグネシウム2mgを混合した後、通常のカプセル剤の製造方法にしたがってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
<剤形例3>顆粒剤
本発明の実施例1~3によって製造された組成物50mg、無水結晶葡萄糖250mg及び澱粉550mgを混合し、流動層顆粒機を利用して顆粒に成形した後、袋に充填した。
<剤形例4>ドリンク剤
本発明の実施例1~3によって製造された組成物50mg、葡萄糖10g、クエン酸0.6g及び液相オリゴ糖25gを混合した後、精製水300mlを加えて各ボトルに200mlずつ充填した後、130℃で4~5秒間殺菌してドリンク剤を製造した。
【0042】
<剤形例5>注射剤
表2に記載された組成によって通常の方法で注射剤を製造した。
【表2】
【0043】
<剤形例6>柔軟化粧水(スキンローション)
下記表3に記載された組成によって通常の方法で柔軟化粧水を製造した。
【表3】
【0044】
<剤形例7>栄養化粧水(ミルクローション)
表4に記載された組成によって通常の方法で栄養化粧水を製造した。
【表4】
【0045】
<剤形例8>マッサージクリーム
表5に記載された組成によって通常の方法でマッサージクリームを製造した。
【表5】
【0046】
<剤形例9>ヘアローションの製造
表6に記載された組成で通常の方法によってヘアローションを製造した。
【表6】
【0047】
<剤形例10>シャンプー組成物の製造
表7に記載された組成で通常の方法によってシャンプー組成物を製造した。
【表7】
【0048】
<剤形例11>ヘアトリートメントの製造
表8に記載された組成で通常の方法によってヘアトリートメントを製造した。
【表8】
図1