(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】金属層および保護コーティング層を備える熱転写リボン集成体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/42 20060101AFI20240221BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20240221BHJP
B41M 5/385 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B41M5/42 320
B41M5/42 310
B41M5/44 320
B41M5/385 300
(21)【出願番号】P 2021523204
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 US2019058550
(87)【国際公開番号】W WO2020092358
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-31
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】スウィット ジョン サンカラターナ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル スズムスキー
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-227368(JP,A)
【文献】特開2002-144369(JP,A)
【文献】特開2004-098455(JP,A)
【文献】特表2010-502488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0185084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/40-5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写印刷を利用して、1または複数の反射メタリック画像または回折メタリック画像を基板に導入する方法において、
熱転写リボンが前記基板の表面
に実質的に平行な所定の方向に移動する間、該熱転写リボンの画定部分に熱を選択的に印加することによって、該熱転写リボンのキャリアフィルムから、保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分を前記基板に同時に転写することと、
前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分の各々が重なり合うように、転写された前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分を、前記接着剤層を利用して前記基板に接着することと、
前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分の転写に続いて、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分が前記キャリアフィルムから転写された後に保護層集成体を放射源に曝露することによって、前記金属層の前記画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋し、これにより、前記基板に転写される前記金属層の前記画定部分に耐久性を与えることとを含む方法。
【請求項2】
前記保護コーティング層の前記画定部分を転写することは、前記基板に転写される前記金属層の前記
画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分のみを転写することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属層の前記画定部分を前記基板に転写することは、転写される前記金属層の前記画定部分を利用して前記基板上に連続的な金属形状を形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分を転写することは、金属層および保護コーティング層を基板の表面の大部分に転写することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分は、鋭く明確でかつ薄膜状ではない縁部を有するように転写される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
転写される前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分は、1または複数の可変画像または非可変画像を前記基板上に形成するために必要な量だけの前記保護コーティング層および前記金属層を含み、余分な量の前記保護コーティング層または前記金属層を含んでいない請求項1に記載の方法。
【請求項7】
転写された前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、転写された前記金属層の前記画定部分を覆うように、耐摩耗性かつ/または耐薬品性の層を形成するようにした請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記保護コーティング層は、ポリマー転写材料およびポリマー基部材料を含み、
前記保護コーティング層の前記
画定部分を架橋することによって、転写された前記保護コーティング層の前記画定部分において、前記ポリマー転写材料および前記ポリマー基部材料を互いに架橋するようにした請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板に転写される前記金属層の前記
画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分のみ
が転写
される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記保護コーティング層は
、前記保護コーティング層の対応す
る部分が必ず転写されるように、前記金属層に結合され
る請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熱転写印刷を利用して1または複数の反射メタリック画像または回折メタリック画像を基板に導入するシステムにおいて、
保護コーティング層、金属層および接着剤層を備える熱転写リボンを具備し、
前記熱転写リボンに熱
を印加することによって、
前記金属層および前記保護コーティング層の画定部分の各々が重なり合うように、前記保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分が、該熱転写リボンのキャリアフィルムから前記基板に同時に転写され、
転写された前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分は、前記接着剤層を利用して前記基板に接着され、
前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分の転写に続いて、前記保護コーティング層の前記画定部分は、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分が前記キャリアフィルムから転写された後に前記保護コーティング層を放射源に曝露することによって架橋され、前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、前記基板に転写される前記金属層の前記画定部分に耐久性を与えるようにしたシステム。
【請求項12】
前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分は、鋭く明確でかつ薄膜状ではない縁部を有するように転写される請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
転写される前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分は、1または複数の可変画像または非可変画像を前記基板上に形成するために必要な量だけの前記保護コーティング層および前記金属層を含み、余分な量の前記保護コーティング層または前記金属層を含んでいない請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
転写された前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、転写された前記金属層の前記画定部分を覆うように、耐摩耗性かつ/または耐薬品性の層を形成する請求項
11に記載のシステム。
【請求項15】
前記保護コーティング層は、ポリマー転写材料およびポリマー基部材料を含み、
前記保護コーティング層の前記
画定部分を架橋することによって、転写された前記保護コーティング層の前記画定部分において、前記ポリマー転写材料および前記ポリマー基部材料を互いに架橋するようにした請求項
11に記載のシステム。
【請求項16】
前記基板に転写される前記金属層の前記
画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分のみが転写される請求項
11に記載のシステム。
【請求項17】
前記保護コーティング層は、前記金属層の前記画定部分を転写することによって、前記保護コーティング層の対応する前記画定部分が必ず転写されるように、前記金属層に結合され
る請求項
11に記載のシステム。
【請求項18】
転写される前記金属層の前記画定部分は反射性を有する請求項
11に記載のシステム。
【請求項19】
転写される前記金属層の前記画定部分は回折性を有する請求項
11に記載のシステム。
【請求項20】
前記金属層の前記画定部分は、転写される前記金属層の前記画定部分を利用して前記基板上に連続的な金属形状を形成する請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年10月29日付で出願された米国特許出願第16/667,190号および2018年10月31日付で出願された米国仮特許出願第62/753,428号の利益を主張する。それらの開示全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、基板上へのメタリック画像の熱転写リボン印刷に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、ドライメタリック層を用いて導入されたメタリック画像を含む既知の基板10の断面図を示している。基板10は、金属層14と、この金属層に接着された接着剤層16とを含む。金属層14および接着剤層16は、基板の表面12上に画像の一部分として配置することができる。接着剤層16は、金属層14を基板10の表面12に接着し、表面12上に個々のメタリック印刷対象のそれぞれを形成する。代替の実施形態では、金属層14は、基板10の表面12上にインク印刷またはインク滴下することができるインクまたは塗料とすることができる。
【0004】
しかしながら、識別カードの取り扱いは、金属層14の完全な状態に損傷を与える可能性がある。例えば、識別カードを財布またはポケットに出し入れするとき、金属層14は、基板10から剥がれるおそれがある。したがって、金属層14が基板10の表面12に接着された後、ラミネートフィルム18が、その後、金属層14および基板10の表面12と結合されるように、金属層14の上部を覆うように配置される。例えば、ラミネートフィルム18は、カード上の表面全体を覆って広がるラミネート材料のパッチまたはストリップとすることができる。
【0005】
このラミネートフィルム18は、磁気ストリップ、ホログラム等の識別カードの他の構成要素と干渉する場合もあるし、審美的に不快である場合等もある。加えて、ラミネートフィルム18を付着させると、金属層14の輝度、反射性等が低減する。例えば、金属層14は、フィルム18の付着前は、ミラーと同様の反射性を有する場合もあるし、輝いているメタリック仕上げである場合もある。ラミネートフィルム18を付着させた後、ラミネートフィルム18は、金属層14のメタリック仕上げの輝度を低減したり、金属層14の反射性を低減したり、等をする。ラミネートフィルムは、カードの縁部から始まって時間とともに層状に剥離する場合もある。
【0006】
代替の実施形態では、メタリック画像は、基板上へ滴下または塗装することができる塗料またはインクとして基板上へ導入することができる。メタリック画像は、メタリックインクまたはメタリック塗料を基板の表面上に堆積させることによって基板上に導入することができる。しかしながら、インクの利用は乱雑なプロセスであり、余分なインクが基板の1つ以上の表面上へのはねとなる場合がある。加えて、輝く光沢のあるメタリック画像を生み出す金属粒子の量およびサイズが、吐出ノズルのサイズに制限される。またさらに、吐出ノズルは、塗布の間に乾いたインクまたは塗料で詰まる場合がある。
【0007】
任意選択的に、金属層14は、高度に架橋された基層を含むキャリアリボンから熱転写印刷することができる。この高度に架橋された基層は、リボンの支持キャリアと金属層14との間にあるポリマー層とすることができる。高度に架橋された基層は、金属層14を基板10に転写する前に架橋することができ、金属層14を保護するために、金属層14とともに基板10に転写することができる。しかし、高度に架橋された基層をキャリアリボンから転写することは、基層の架橋に起因して困難である可能性がある。したがって、転写される金属層14および基層の部分は、基層が架橋されていない場合よりも鮮明度および精細度が劣る可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施の形態では、熱転写印刷の利用によって反射および/または回折メタリック可変画像および/または非可変画像を基板に導入する方法が、保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分(defined portion)を、熱転写リボンに熱を印加することによって前記熱転写リボンのキャリアフィルムから前記基板に同時に転写することを含む。該方法は、転写された前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分を、前記接着剤層を利用して前記基板に接着することと、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分の転写に続いて、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分が前記キャリアフィルムから転写された後に前記保護コーティング層を放射源に曝露して、前記金属層の前記画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、前記基板に転写される前記金属層の前記画定部分に耐久性を与えることとを含む。
【0009】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施の形態では、熱転写印刷の利用によって反射および/または回折メタリック可変画像および/または非可変画像を基板に導入するシステムが、保護コーティング層、金属層および接着剤層を備える熱転写リボンを含む。前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の各々の画定部分が、前記熱転写リボンに熱を印加することによって前記熱転写リボンのキャリアフィルムから前記基板に同時に転写される。転写された前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分は、前記接着剤層を利用して前記基板に接着される。前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分の転写に続いて、前記保護コーティング層の前記画定部分は、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分が前記キャリアフィルムから転写された後に、前記保護コーティング層を放射源に曝露することによって架橋される。前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、前記基板に転写される前記金属層の前記画定部分に耐久性が与えられる。
【0010】
1つ以上の実施の形態では、方法が、保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分を、熱転写リボンに熱を印加することによって前記熱転写リボンのキャリアフィルムから前記基板に同時に転写することを含む。該方法は、転写された前記金属層および前記保護コーティング層の前記画定部分を、前記接着剤層を利用して前記基板に接着することと、前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分の転写に続いて、前記保護コーティング層を放射源に曝露して前記金属層の前記画定部分を覆う前記保護コーティング層の前記画定部分を架橋することによって、前記基板に転写される前記金属層の前記画定部分に耐久性を与えることとを含む。転写される前記保護コーティング層、前記金属層および前記接着剤層の前記画定部分は、前記基板上に導入される1または複数の可変画像または非可変画像を形成するために必要な量だけの前記保護コーティング層および前記金属層を含み、余分な量の前記保護コーティング層または前記金属層を含んでいない。
【0011】
本発明の主題は、添付図面(必ずしも縮尺通りに描かれていない)を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本明細書に記載の本発明の主題の1つ以上の実施形態による基板の上面図である。
【
図4】1つの実施形態による、
図2の基板に転写される保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分の断面図である。
【
図6】1つの実施形態による、メタリック画像を基板に導入する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の技術の幾つかの利用例が、金融カード、セキュリティカードおよび識別カード等のカードを代表する基板とともに説明されるが、本技術は、他の印刷用途にも利用することができる。例えば、本明細書に記載の本発明の主題の1つ以上の実施形態は、可変情報(例えば、情報が、印刷されている幾つかの個々のユニットのそれぞれについて異なる)および/または不変情報(例えば、情報が、印刷されている全ての個々のユニットについて同じである)を、医療容器(例えば、IVバッグ、薬物ボトル等)、パッケージング(例えば、箱、バッグ、封筒、出荷ラベル等)、衣類ラベル(例えば、衣類のサイズ、タグ等)、家財道具(例えば、皿、ボウル、カップ等の品物のラベル等)、電子機器(例えば、ロゴ、製造番号等)、消耗品(例えば、ワインボトルまたはビールボトル、缶またはジャー等の容器ラベル等)、消費者製品(例えば、メガネ、サングラス、宝飾品等)、購買時点表示等に印刷するのに利用することができる。例えば、熱転写が行われる基板は、多様な表面のいずれも含むことができ、多様な表面は、セキュリティカード、識別カード、金融カード、パッケージング(例えば、豪華なパッケージング、封筒、箱等)、医療デバイス(例えば、薬瓶、IVバッグ等)等であるが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供される印刷を行うことができる対象物の例は、本発明の主題を利用して画像を印刷することができる全ての可能な対象物であるとは限らない。本明細書に記載の本発明の主題を利用すると、熱転写印刷を行うことができる任意の対象物に印刷することができる。印刷される画像は、数字、文字、文字記号、ロゴ、形状等の1つ以上のメタリック画像を含むことができる。これらのメタリック画像は、基板上にドライメタリック層として導入することができる。
【0014】
図2は基板102の上面図を示している。
図3は基板102の側面図を示している。基板102は、画像106が熱転写リボン108を利用することから感熱印刷される表面104を有する。表面104は、基板102の前面であってもよいし、背面であってもよく、画像106は、基板102の前面上で可視である場合もあるし、背面上で可視である場合もある。基板102は、識別カード、セキュリティカード、または金融カード等の平坦または実質的に平坦なカードとすることができる。代替の実施形態では、基板102は、任意の代替の平坦でない形状および/またはサイズを有することができる。例えば、基板102の表面104は、曲面または波状面、基板102の本体に対して平坦でないもの等とすることができる。図示した実施形態では、画像106は文字「A」である。画像106は、可変画像(例えば、異なる文字が、印刷されている幾つかの個々の基板のそれぞれに印刷される)であってもよいし、非可変画像(例えば、同じ文字「A」が、印刷されている全ての個々の基板に印刷される)であってもよい。例えば、基板102は、識別カードまたはセキュリティカードとすることができる。あらゆるカード上の画像106は、同じロゴ(例えば、非可変画像)を含むことができおよび/またはカードの各所有者の一意の名称、番号等(例えば、可変画像)を含むことができる。1つ以上の実施形態では、画像106は、ホログラフィーとすることができ、反射ホログラムおよび/または回折ホログラムとすることができる。
【0015】
1つ以上の代替の実施形態では、基板102は、薬物ボトルとすることができ、あらゆる薬物ボトルが、同じ処方名(例えば、非可変情報)を含むことができおよび/または薬物の個々のユーザーごとに一意の処方プロトコル(例えば、可変情報)を含むことができる。代替の一実施形態では、基板102は、輸送容器とすることができ、あらゆる輸送容器が、同じ会社ロゴ(例えば、非可変情報)を含むことができおよび/または各輸送容器の宛先に一意の発送先住所(例えば、可変情報)を含むことができる。或いは、基板102は、製品が販売前に格納されるバッグまたは箱等の豪華なパッケージングの表面とすることができる。
【0016】
熱転写リボン108は、キャリアフィルム126上に基板102の表面104にわたって方向122に担持される複数の材料層を含む。熱転写リボン108は、接着剤層116、金属層114および保護コーティング層112を含む。保護コーティング層112の構成要素については、以下でより詳細に説明する。熱転写リボン108のこれらの層は、
図2、3に示す基板102とともに、単なる例示のためのものにすぎず、一律の縮尺で描かれていない場合がある。例えば、リボン108の複数の層のそれぞれは、共通とすることができる厚さ、または、リボン108の他の各層の厚さに対して一意とすることができる厚さを有することができ、リボン108の各層は、基板102の厚さよりも小さな厚さを有することができる。
【0017】
熱転写リボン108が、基板102の表面104と実質的に平行な方向122に移動すると、熱124が熱転写リボン108に印加される。熱124の印加によって、保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の各々の画定部分110A、110Bが、熱転写リボン108のキャリアフィルム126から基板102の表面104に転写される。例えば、
図2に示すように、画定部分110A、110Bは、画像106のエリアを画定し、非画定部分120は、画像106の外部のエリアを画定する。
【0018】
画像106を基板102上に形成するために必要とされるものは、画定部分110A、110Bだけであり、それ以上のものは必要とされない。例えば、保護コーティング層112の画定部分110A、110Bのみが、金属層114および接着剤層116の画定部分とともに基板102上に転写される。保護コーティング層112は、例えば
図1に示すように金属層114および接着剤層116の側部を覆って広がらない。
【0019】
金属層114の画定部分110A、110Bを基板102に転写することによって、転写される金属層114の部分を利用した連続的な金属形状が基板102上に形成される。例えば、連続的な金属形状は、単一の文字、単一の数字、または単体の本体を有するロゴの対象物とすることができる。或いは、連続的な金属形状は、基板102全体にわたる連続的な金属シートでもコーティングでもない。図示した
図2の実施形態では、画像106は文字Aの画像であるが、画像は、任意の単数または複数の異なる文字、数字、ロゴまたは装飾画像等であってもよい。金属層114の転写された画定部分110A、110Bは、基板102上で画像106の金属形状を形成する。基板102上に転写される金属層114の画定部分110A、110Bは、反射性および/または回折性を有するものである。画像106を形成する金属層114の画定部分110A、110Bは、金属層114が光または他の放射線を反射することができるかまたは反射する能力を有することができるようにミラーと同様にすることができる。任意選択的に、金属層114は、金属層114の縁部の周囲に波(例えば、光の波)を回折または屈曲させることができる。
【0020】
接着剤層116、金属層114および保護コーティング層112の各々の画定部分110A、110Bは、熱転写リボン108が基板102に対して方向122に移動するとき、キャリアフィルム126から基板102上に同時に転写される。例えば、接着剤層116、金属層114および保護コーティング層112の画定部分110A、110Bは、一度に全て一群として基板102上に転写される。加えて、非画定部分120は、熱転写リボン108が基板102に対して方向122に移動するとき、キャリアフィルム126から基板102上に転写されない。金属層114および保護コーティング層112の画定部分110A、110Bは、接着剤層116を利用して基板102に接着される。
【0021】
転写される画定部分110A、110Bは、基板102上に導入される可変画像および/または非可変画像106を形成するために必要な量だけの保護コーティング層112および金属層114を含み、余分な量の保護コーティング層112または金属層114を含んでいない。例えば、金属層114の部分を覆う保護コーティング層112の部分しか基板102に転写されない。1つの実施形態では、金属層114の画定部分を転写すると、保護コーティング層112の対応する画定部分が必ず転写されるように、保護コーティング層112は、金属層114と結合することができる。
【0022】
保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の画定部分110A、110Bは、鋭く薄膜状ではない縁部を有する。例えば、画定部分110A、110Bのみを転写することによって、不必要な量の保護コーティング層112を基板102上に転写することに比べて画像106の画定された縁部の明瞭な輪郭または明瞭な細部が残される。しるし(例えば、数字、文字、文字記号、装飾デザイン等)を基板102上に形成するのに利用される金属層114の画定部分110A、110Bのみが基板102に転写され、それよりも多くのものは転写されない。1つの例として、鋭角の縁部は、画像106を数字8として示すことができるが、非鋭角のまたは薄膜状の縁部は、画像を雪だるまとして示す場合がある。例えば、数字8の内部の穴は、熱転写リボン108の層のそれぞれが鋭角の縁部(例えば、画像106の明瞭な細部または輪郭)を保持して基板102に転写されるときにのみ画定することができる。或いは、熱転写リボン108の層が鋭角の縁部を有していないか、またはあまり鋭角でない縁部(例えば、画像106の不明瞭な細部または不明瞭な輪郭)を有する場合には、数字8の内部の穴は可視でない場合がある。
【0023】
図4は、1つの実施形態による、基板102に転写される保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の画定部分110A、110Bの断面図を示している。
図5は、これらの画定部分の拡大断面図を示している。熱転写リボン108の各層の画定部分110A、110Bは、基板102の表面104から或る距離まで延在して示されているが、
図4、5は一律の縮尺で描かれておらず、画定部分110A、110Bの各層は、基板102から最小限の距離だけ延在する。例えば、画定部分110A、110Bは、画定部分110A、110Bが基板102の表面104とともに視覚的に実質的に平坦になることができるような厚さを有することができる。例えば、基板102の表面104上の画定部分110A、110Bの厚さは、拡大図でない限り見ることができないものとすることができる。
【0024】
保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の各々の画定部分110A、110Bの基板102への転写に続いて、画定部分110A、110Bは、放射源(図示せず)からの放射線140に曝露される。放射源は、紫外線、キセノン等を放出するランプまたは代替の光源とすることができる。画定部分110A、110Bを放射線140に曝露することは、金属層114の画定部分110A、110Bを覆う保護コーティング層112の画定部分110A、110Bを架橋することによって耐久性を画定部分110A、110Bに与える。保護コーティング層112は、単一の保護コーティング層112として組み合わされるポリマー転写材料およびポリマー基部材料を含む。1つの実施形態では、ポリマー転写材料は、熱転写リボン108が基板102を横切るときにキャリアフィルム126(
図3)上に配置することができ、ポリマー基部材料は、ポリマー転写材料と金属層114との間に配置することができる。保護コーティング層112は、ポリマー基部材料およびポリマー転写材料の実質的に均等な部分から作製することができる。或いは、保護コーティング層112は、ポリマー転写材料またはポリマー基部材料のうちの一方の重量の割合を他方よりも大きくすることができる。1つ以上の実施形態では、保護コーティング層112は、ポリマー転写材料およびポリマー基部材料の個別の層を含むことができる。例えば、保護コーティング層112は、ポリマー転写材料およびポリマー基部材料の2つ以上の層の集成体とすることができる。
【0025】
1つ以上の実施形態では、保護コーティング層112の部分を架橋することによって、転写された保護コーティング層112の画定部分110A、110Bにおいてポリマー転写材料およびポリマー基部材料を互いに架橋することができる。例えば、保護コーティング層112の画定部分110A、110Bを放射線140に曝露することによって、ポリマー転写材料の分子は、ポリマー基部材料の分子と共有結合または化学結合によって化学的に接合される。加えて、保護コーティング層112の画定部分110A、110Bは、放射線140の曝露時に、歪み、変化、融解等を起こさない。例えば、放射線140は、ポリマー転写材料および/またはポリマー基部材料の完全な状態を変化させることなく保護コーティング層112を架橋し、それによって、保護コーティング層112の画定部分110A、110Bに対応する金属層114の完全な状態を維持する。
【0026】
保護コーティング層112を架橋することによって、耐摩耗性かつ/または耐薬品性の層が、転写された金属層114の画定部分110Aを覆うように形成される。例えば、転写材料および基部材料の化学的に接合された分子は、金属層114を覆う耐摩耗性層を与え、架橋していない転写材料および基部材料に対してまたはそれ自体と架橋していない転写材料に対して、金属層114の耐久性を改善する。耐摩耗性層は、金属層114の画定部分110A、110Bの耐久性(例えば、耐摩損性、耐摩耗性、耐薬品性等)を改善する。例えば、耐摩耗性かつ耐薬品性の層は、画像106が擦傷するリスクまたは基板102から剥離するリスクを低減する。架橋された保護コーティング層112は、金属層114の画定部分110A、110Bの上にのみ耐久性を与え、画像106の外部の非画定部分120(
図2、3)の上には耐久性を与えない。
【0027】
保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の画定部分110A、110Bが基板102に転写された後に保護コーティング層112を架橋することによって、画定部分110A、110Bは、より鋭く薄膜状ではない縁部を有する。例えば、保護コーティング層112を架橋することによって、保護コーティング層112の耐久性が高まり、それによって、画像のクリーンな輪郭または細部の切断または転写の困難さが増す。保護コーティング層112を架橋する前に熱転写リボン108の画定部分110A、110Bを基板102上に転写することによって、保護コーティング層112を架橋した後に画定部分110A、110Bを転写することに比べて、基板102上の画像106の鮮明さ、輪郭または細部等が改善される。
【0028】
図6は、熱転写印刷の利用によって反射および/または回折メタリック可変画像および/または非可変画像を基板102に導入する方法600の1つの実施形態のフローチャートを示している。方法600は、金融カード、セキュリティカードおよび識別カード等のカードに関して可変メタリック画像および/または非可変メタリック画像を導入するのに利用することができる。任意選択的に、方法600は、可変メタリック画像および/または非可変メタリック画像を医療容器、パッケージング材料、衣類ラベル、家財道具、電子機器等に導入するのに利用することもできる。メタリック画像は、メタリックシルバーまたはメタリックゴールドの色合いまたは色調とすることもできるし、任意選択的に、メタリック画像を虹の任意の色のメタリック色合いまたはメタリック色調にすることができるような染色または着色を含むこともできる。これらの色合いまたは色調は、メタリックレッド、メタリックオレンジ、メタリックイエロー、メタリックグリーン、メタリックブルー、メタリックインディゴ、メタリックバイオレット等であるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
602において、熱124を熱転写リボン108に印加することによって、保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の各々の画定部分が、熱転写リボン108のキャリアフィルム126から基板102に同時に転写される。例えば、転写される保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の画定部分は、基板102上に導入される可変画像および/または非可変画像を形成するために必要な量だけの保護コーティング層112および金属層114を含む。余分な量の保護コーティング層112または金属層114は、基板102上に転写されない。例えば、金属層114の部分を覆う保護コーティング層112の画定部分のみが基板102に転写される。
【0030】
604において、金属層114および保護コーティング層112の転写された画定部分が、接着剤層116を利用して基板102の表面104に接着される。606において、保護コーティング層112、金属層114および接着剤層116の画定部分の転写に続いて、保護コーティング層112の画定部分が、放射源からの放射線に曝露され、金属層114の画定部分を覆う保護コーティング層112の画定部分が架橋される。例えば、保護コーティング層112を架橋することによって、金属層114の画定部分に耐久性が与えられる。加えて、保護コーティング層112は、ポリマー転写材料と、このポリマー転写材料と金属層114との間に配置されたポリマー基部材料とを含む。保護コーティング層112を架橋することによって、ポリマー転写材料およびポリマー基部材料が互いに架橋される。任意選択的に、保護コーティング層112を架橋することによって、ポリマー転写材料がそれ自体と架橋される。加えてまたは代替的に、保護コーティング層112を架橋することによって、転写された金属層114の画定部分の上に耐摩耗性かつ/または耐薬品性の層が形成される。
【0031】
上記説明は、文字、数字、文字記号、ロゴを形成するために必要な保護コーティング層、金属層および接着剤層の材料の量のみを基板上に転写し、それよりも多くを転写しないことを述べているが、代替的に、熱転写リボン108は、金属層および保護コーティング層の更に多くを基板に付着させることもできる。例えば、熱転写リボン108は、金属層および保護コーティングを、例えば、基板の表面全体(例えば、金融カードまたは識別カードの片側の面全体)、基板の表面の大部分、基板の表面の一部分のみ等といったより大きなエリア上に付着させることもできる。
【0032】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、熱転写印刷の利用によって反射および/または回折メタリック可変画像および/または非可変画像を基板に導入する方法が、保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分を、熱転写リボンに熱を印加することによって熱転写リボンのキャリアフィルムから基板に同時に転写することを含む。本方法は、転写された金属層および保護コーティング層の画定部分を、接着剤層を利用して基板に接着することと、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分の転写に続いて、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分がキャリアフィルムから転写された後に保護コーティング層を放射源に曝露して金属層の画定部分を覆う保護コーティング層の画定部分を架橋することによって、基板に転写される金属層の画定部分に耐久性を与えることとを含む。
【0033】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分は、鋭く明確でかつ薄膜状ではない縁部を有するように転写される。
【0034】
任意選択的に、転写される保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分は、基板上に導入される可変画像および/または非可変画像を形成するために必要な量だけの保護コーティング層および金属層を含み、余分な量の保護コーティング層または金属層を含んでいない。
【0035】
任意選択的に、転写された保護コーティング層の画定部分を架橋することによって、転写された金属層の画定部分を覆う1または複数の耐摩耗性または耐薬品性の層を形成される。
【0036】
任意選択的に、保護コーティング層は、キャリアフィルム上のポリマー転写材料と、ポリマー転写材料上のポリマー基部材料とを含み、保護コーティング層の部分を架橋することは、転写された保護コーティング層の画定部分においてポリマー転写材料およびポリマー基部材料を互いに架橋する。
【0037】
任意選択的に、保護コーティング層はポリマー転写コートを含む。保護コーティング層の部分を架橋することは、転写された保護コーティング層の画定部分のポリマー転写材料を架橋する。
【0038】
任意選択的に、保護コーティング層の画定部分を転写することは、基板に転写される金属層の部分を覆う保護コーティング層の画定部分のみを転写することを含む。
【0039】
任意選択的に、保護コーティング層は、金属層の画定部分を転写することによって、保護コーティング層の対応する画定部分が必ず転写されるように、金属層に結合される。
【0040】
任意選択的に、転写される金属層の画定部分は反射性を有する。
【0041】
任意選択的に、転写される金属層の画定部分は回折性を有する。
【0042】
任意選択的に、金属層の画定部分を基板に転写することは、転写される金属層の画定部分を利用して基板上に連続的な金属形状を形成することを含む。
【0043】
任意選択的に、金属層によって基板上に形成される画像は可変画像である。
【0044】
任意選択的に、金属層によって基板上に形成される画像は非可変画像である。
【0045】
任意選択的に、可変画像および/または非可変画像は、基板の前面または背面上で可視である。
【0046】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分を転写することは、識別カード、金融カード、セキュリティカード、医療容器、医療デバイス、パッケージング材料、衣類、電子機器、消耗品、または消費者製品のうちの1つ以上に数字、文字、またはロゴを印刷することを含む。
【0047】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分を転写することは、金属層および保護コーティング層を基板の表面の大部分に転写することを含む。
【0048】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、熱転写印刷の利用によって反射および/または回折メタリック可変画像および/または非可変画像を基板に導入するシステムが、保護コーティング層、金属層および接着剤層を備える熱転写リボンを含む。保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分が、熱転写リボンに熱を印加することによって熱転写リボンのキャリアフィルムから基板に同時に転写される。転写された金属層および保護コーティング層の画定部分は、接着剤層を利用して基板に接着される。保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分の転写に続いて、保護コーティング層の画定部分は、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分がキャリアフィルムから転写された後に保護コーティング層を放射源に曝露することによって架橋される。保護コーティング層の画定部分を架橋することは、基板に転写される金属層の画定部分に耐久性を与える。
【0049】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分は、鋭く明確でかつ薄膜状ではない縁部を有するように転写される。
【0050】
任意選択的に、転写される保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分は、基板上に導入される可変画像および/または非可変画像を形成するために必要な量だけの保護コーティング層および金属層を含み、保護コーティング層または金属層の余分な量の材料を含まない。
【0051】
任意選択的に、転写された保護コーティング層の画定部分を架橋することによって、転写された金属層の画定部分を覆う耐摩耗性または耐薬品性の層を形成するようにしてもよい。
【0052】
任意選択的に、保護コーティング層は、キャリアフィルム上のポリマー転写材料と、ポリマー転写材料上のポリマー基部材料とを含む。保護コーティング層の部分を架橋することは、転写された保護コーティング層の画定部分においてポリマー転写材料およびポリマー基部材料を互いに架橋する。
【0053】
任意選択的に、保護コーティング層はポリマー転写材料を含む。保護コーティング層の部分を架橋することは、転写された保護コーティング層の画定部分のポリマー転写材料を架橋する。
【0054】
任意選択的に、基板に転写される金属層の部分を覆う保護コーティング層の画定部分のみが転写される。
【0055】
任意選択的に、保護コーティング層は、金属層の画定部分を転写することによって、保護コーティング層の対応する画定部分が必ず転写されるように、金属層に結合するようにしてもよい。
【0056】
任意選択的に、転写される金属層の画定部分は反射性を有する。
【0057】
任意選択的に、転写される金属層の画定部分は回折性を有する。
【0058】
任意選択的に、金属層の画定部分は、転写される金属層の画定部分を利用して基板上に連続的な金属形状を形成する。
【0059】
任意選択的に、金属層によって基板上に形成される画像は可変画像である。
【0060】
任意選択的に、金属層によって基板上に形成される画像は非可変画像である。
【0061】
任意選択的に、可変画像および/または非可変画像は、基板の前面または背面上で可視である。
【0062】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分を転写することは、識別カード、金融カード、セキュリティカード、医療容器、医療デバイス、パッケージング材料、衣類、電子機器、消耗品、または消費者製品のうちの1つ以上に数字、文字、またはロゴを印刷することを含む。
【0063】
任意選択的に、保護コーティング層、金属層および接着剤層は、基板の表面の大部分に転写される。
【0064】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、方法が、保護コーティング層、金属層および接着剤層の各々の画定部分を、熱転写リボンに熱を印加することによって熱転写リボンのキャリアフィルムから基板に同時に転写することを含む。方法は、転写された金属層および保護コーティング層の画定部分を、接着剤層を利用して基板に接着することと、保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分の転写に続いて、保護コーティング層を放射源に曝露して金属層の画定部分を覆う保護コーティング層の画定部分を架橋することによって、基板に転写される金属層の画定部分に耐久性を与えることとを含む。転写される保護コーティング層、金属層および接着剤層の画定部分は、基板上に導入される1または複数の可変画像または非可変画像を形成するために必要な量だけの保護コーティング層および金属層を含み、余分な量の保護コーティング層または金属層を含んでいない。
【0065】
上記記載は、限定的ではなく例示であることが意図されていることが理解されるべきである。例えば、上述した実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて利用することができる。さらに、本発明の主題の範囲から逸脱することなく、その教示に対して特定の状況または材料を適合させるように、多くの変更を行うことができる。本明細書に記載する材料の寸法およびタイプは、本発明の主題のパラメーターを定義するように意図されているが、決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。上記記載を検討して、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。したがって、本発明の主題の範囲は、添付の請求項を、こうした請求項に権利が与えられる均等物の全範囲とともに参照することにより、判断されるべきである。添付の請求項において、「including」および「in which」という用語は、それぞれ「comprising」および「wherein」という用語のプレインイングリッシュの同義語として用いられている。さらに、添付の請求項において、「第1の」、「第2の」および「第3の」等の用語は、単に標識(labels)として用いられており、それらの対象物に対して数値的要件を課すようには意図されていない。さらに、添付の請求項の限定は、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)形式で書かれておらず、こうした請求項の限定が更なる構造を記述しない機能的表現に伴い「~手段(means for)」という句を明示的に利用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるようには意図されていない。例えば、「~機構」、「~モジュール」、「~デバイス」、「~ユニット」、「~構成要素」、「~要素」、「~部材」、「~装置」、「~機械」または「~システム」の列挙は、米国特許法第112条(f)を行使するものとして解釈されるべきではなく、これらの用語のうちの1つ以上を列挙するいかなる請求項も、ミーンズプラスファンクションクレームとして解釈されるべきではない。
【0066】
この記述(written description)は、例を用いて、本発明の主題の幾つかの実施形態を開示するとともに、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作製し利用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、本発明の主題の実施形態を実施するのを可能にする。本発明の主題の特許可能な範囲は請求項によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。こうした他の例は請求項の文字通りの言語と相違のない構造的要素を有する場合、または請求項の文字通りの言語と実質的には相違のない均等の構造的要素を含む場合請求項の範囲内にあるように意図される。
【0067】
本発明の主題の幾つかの実施形態の上述した記載は、添付の図面とともに読まれるときによりよく理解されるであろう。図が様々な実施形態の機能ブロックの図を示す範囲内で、機能ブロックは、ハードウェア回路部間の分割を必ずしも示すものではない。様々な実施形態は、図面に示す配置および手段(instrumentality)に限定されない。
【0068】
本明細書で用いる、単数で列挙され「1つの(aまたはan)」といった語が先行する要素またはステップは、複数の上記要素またはステップの排除が明示的に述べられていない限り、これらを排除しないものとして理解されるべきである。さらに、本明細書に記載する本発明の主題の「1つの実施形態」または「一実施形態」に言及する場合、それは、列挙された特徴を同様に組み込む更なる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるようには意図されていない。さらに、明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する単数または複数の要素を「備えている」、「備える」、「含んでいる」、「含む」、「有している」または「有する」実施形態は、その特性を有していない更なるこうした要素を含む可能性がある。
【符号の説明】
【0069】
10 基板
12 表面
14 金属層
16 接着剤層
18 ラミネートフィルム
102 基板
104 表面
106 画像
108 熱転写リボン
110A 画定部分
110B 画定部分
112 保護コーティング層
114 金属層
116 接着剤層
120 非画定部分
122 方向
124 熱
126 キャリアフィルム
140 放射線
600 方法