(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240221BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240221BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B1/02 102
(21)【出願番号】P 2021529038
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019059665
(87)【国際公開番号】W WO2020106441
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】201811397781.7
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】クオホア リウ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-237150(JP,A)
【文献】特開2013-094758(JP,A)
【文献】特開平06-210221(JP,A)
【文献】特開2013-095116(JP,A)
【文献】特開昭62-197181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C
B05B
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルであって、
空気流入口(515)及び空気流出口(516)を有するノズル通路(512)と、
流体通路(511)であって、流体通路入口(518)及び流体通路出口(514)を有し、前記流体通路入口(518)は流体源と連通し、これにより流体が前記流体通路(511)に入ることができ、前記流体通路出口(514)は前記ノズル通路(512)と連通し、これにより前記流体は前記ノズル通路(512)に入ることができる、流体通路(511)と、
ピストンチャンバー(530)であって、ピストン(301)を収容するために使用され、前記ノズル通路(512)の前記空気流入口(515)と連通する、ピストンチャンバー(530)と、
を備え、
前記ピストン(301)は頭部(302)を有し、該頭部(302)の形状は前記ノズルの前記ピストンチャンバー(530)の形状と一致するように構成され、これにより前記ピストン(301)は、前記ノズルに対して往復運動するとき、前記ノズル通路(512)を通して空気を吸い込み及び排出し、
前記空気流入口(515)から
吸い込まれた空気流が、前記ノズル通路(512)内の流体を前記空気流出口(516)から押し出すことができることを特徴とする、ノズル。
【請求項2】
前記ノズル通路(512)は流体入口(517)を更に有し、
前記流体通路出口(514)は、前記ノズル通路の前記流体入口(517)と連通し、これにより流体が前記ノズル通路(512)に入ることができることを特徴とする、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記流体は粘性流体であり、前記流体の粘度は、1Pa・s~150Pa・sの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記ピストンチャンバー(530)と前記流体通路(511)とは別々に配置されることを特徴とする、請求項
1に記載のノズル。
【請求項5】
前記ピストンチャンバー(530)の底部は、滑らかに移行する曲面の形状であることを特徴とする、請求項
1に記載のノズル。
【請求項6】
前記空気流入口(515)は、前記ピストンチャンバー(530)の下方に位置することを特徴とする、請求項
1に記載のノズル。
【請求項7】
前記流体通路入口(518)は、前記ノズル(201)の側壁に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のノズル。
【請求項8】
前記流体通路(511)は、前記流体通路入口(518)から前記流体通路出口(514)まで斜め下向きに延びることを特徴とする、請求項3に記載のノズル。
【請求項9】
前記ノズル通路(512)は、上部ノズル通路区分(541)及び下部ノズル通路区分(542)を有し、前記下部ノズル通路区分(542)は前記上部ノズル通路区分(541)よりも細く、前記上部ノズル通路区分(541)は前記空気流入口(515)と連通していることを特徴とする、請求項3に記載のノズル。
【請求項10】
ノズルアセンブリであって、
その内部にチャンバー(305)が配置されるケーシング(203)と、
スリーブ(360)であって、前記ケーシング(203)の前記チャンバー(305)内に配置され、前記スリーブ(360)の内壁がピストン通路(407)を画定し、該スリーブ(360)の外壁と前記ケーシング(203)の内壁との間に流体チャンバー(640)が配置される、スリーブ(360)と、
前記ケーシング(203)の前記チャンバー(305)内に配置され、前記スリーブ(360)の下方に配置される、ノズル(201)であって、
空気流入口(515)及び空気流出口(516)を有するノズル通路(512)と、
流体通路(511)であって、流体通路入口(518)及び流体通路出口(514)を有し、前記流体通路入口(518)は前記流体チャンバー(640)と連通し、これにより前記流体チャンバー(640)内の流体が前記流体通路(511)に入ることができ、前記流体通路出口(514)は前記ノズル通路(512)と連通し、これにより前記流体は、ノズル通路(512)に入ることができる、流体通路(511)と、有する、ノズル(201)と、
前記ノズル通路(512)の前記空気流入口(515)と連通するとともに前記ピストン通路(407)と連通するピストンチャンバー(530)と、
ピストン(301)であって、前記ピストン通路(407)及び前記ピストンチャンバー(530)内を上下に移動することができ、前記ノズル通路(512)を通して空気を吸い込み及び排出し、こうして前記ノズル通路(512)内の流体を前記ノズル通路(512)の前記空気流出口(516)から押し出すことができるピストン(301)と、
を備えることを特徴とする、ノズルアセンブリ。
【請求項11】
前記ケーシング(203)は入口(303)を有し、該入口(303)は前記流体チャンバー(640)と連通していることを特徴とする、請求項
10に記載のノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記スリーブ(360)は前記ノズル(201)にシール接続され、前記スリーブ(360)は前記ケーシング(203)にシール接続されることを特徴とする、請求項
10に記載のノズルアセンブリ。
【請求項13】
前記ノズル(201)は前記ケーシング(203)にシール接続されることを特徴とする、請求項
10に記載のノズルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際出願は、「A NOZZLE」と題する2018年11月22日に出願された中国特許出願第201811397781.7号に対する優先権を主張する。この中国特許出願第201811397781.7号の全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本出願は、ノズルに関し、特に電子的処理の分野で使用されるノズルに関する。
【背景技術】
【0003】
電子製品の継続的な小型化に伴い、プリント回路基板のプリントプロセスに対する要件が高まっている。したがって、プリント回路基板の処理材料を非常に少量だけ分配するためには、処理材料をより正確に分配できる装置が必要である。幾つかの処理材料は、粘性流体、例えばはんだペースト及び樹脂である。そのような粘性流体を分配するための解決策は、以下の通りである。チャンバーが設けられ、チャンバーはノズルと連通し、チャンバーは流体を収容し、チャンバー内の流体がピストンの往復運動によって押し出され、これにより流体はノズルから押し出される。粘性流体の流動性が低いため、このような流体分配による解決策には、例えば、分配効率が低い、制御性が低い、詰まり易いといった特定の欠点がある。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題を克服するために、本出願は、ノズル及びノズルアセンブリを提供する。
【0005】
本出願の第一の態様によれば、ノズルが提供され、該ノズルは、
空気流入口及び空気流出口を有するノズル通路と、
流体通路であって、流体通路入口及び流体通路出口を有し、前記流体通路入口は流体源と連通し、これにより流体が前記流体通路に入ることができ、前記流体通路出口は前記ノズル通路と連通し、これにより前記流体は前記ノズル通路に入ることができる、流体通路と、
を備え、
前記空気流入口から作用させられる空気流が、前記ノズル通路内の流体を前記空気流出口から押し出すことができる。
【0006】
上記のノズルによれば、前記ノズル通路は流体入口を更に有し、前記流体通路出口は、前記ノズル通路の前記流体入口と連通し、これにより流体が前記ノズル通路に入ることができる。
【0007】
上記のノズルによれば、前記流体は粘性流体であり、前記流体の粘度は、1Pa・s(1000cps)~150Pa・s(150000cps)の範囲である。
【0008】
上記のノズルは、ピストンチャンバーを更に備え、該ピストンチャンバーはピストンを収容するために使用され、前記ピストンチャンバーは、前記ノズル通路の前記空気流入口と連通している。
【0009】
上記のノズルによれば、前記ピストンチャンバーと前記流体通路とは別々に配置される。
【0010】
上記のノズルによれば、前記ピストンチャンバーの底部は、滑らかに移行する曲面の形状である。
【0011】
上記のノズルによれば、前記空気流入口は、前記ピストンチャンバーの下方に位置する。
【0012】
上記のノズルによれば、前記流体通路入口は、前記ノズルの側壁に配置される。
【0013】
上記のノズルによれば、前記流体通路は、前記流体通路入口から前記流体通路出口まで斜め下向きに延びる。
【0014】
上記のノズルによれば、前記ノズル通路は、上部ノズル通路区分及び下部ノズル通路区分を有し、前記下部ノズル通路区分は前記上部ノズル通路区分よりも細く、前記上部ノズル通路区分は前記空気流入口と連通している。
【0015】
本出願の第二の態様によれば、ノズルアセンブリが提供され、該ノズルアセンブリは、
その内部にチャンバーが配置されるケーシングと、
スリーブであって、前記ケーシングの前記チャンバー内に配置され、前記スリーブの内壁がピストン通路を画定し、前記スリーブの外壁と前記ケーシングの内壁との間に流体チャンバーが配置される、スリーブと、
前記ケーシングの前記チャンバー内に配置され、前記スリーブの下方に配置されるノズルであって、
空気流入口及び空気流出口を有するノズル通路と、
流体通路であって、流体通路入口及び流体通路出口を有し、前記流体通路入口は前記流体チャンバーと連通し、これにより前記流体チャンバー内の流体が前記流体通路に入ることができ、前記流体通路出口は前記ノズル通路と連通し、これにより前記流体は、ノズル通路に入ることができる、流体通路と、を有するノズルと、
前記ノズル通路の前記空気流入口と連通するとともに前記ピストン通路と連通するピストンチャンバーと、
ピストンであって、前記ピストン通路及び前記ピストンチャンバー内を上下に移動することができ、前記ノズル通路を通して空気を吸い込み及び排出し、こうして前記ノズル通路内の流体を前記ノズル通路の前記空気流出口から押し出すことができる、ピストンと、
を備える。
【0016】
上記のノズルアセンブリによれば、前記ピストンは頭部を有し、該頭部の形状は前記ノズルの前記ピストンチャンバーの形状と一致するように構成され、これにより前記ピストンは、前記ノズルに対して往復運動するとき、前記ノズル通路を通して空気を吸い込み及び排出することができる。
【0017】
上記のノズルアセンブリによれば、前記ケーシングは入口を有し、該入口は前記流体チャンバーと連通している。
【0018】
上記のノズルアセンブリによれば、前記スリーブは前記ノズルにシール接続され、前記スリーブは前記ケーシングにシール接続される。
【0019】
上記のノズルアセンブリによれば、前記ノズルは前記ケーシングにシール接続される。
【0020】
本出願によって提供されるノズルは、少量の粘性流体を分配することができ、詰まり難い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本出願のノズルアセンブリの1つの実施形態の側面図である。
【
図2】
図1に示されるノズルアセンブリの分解図である。
【
図3A】
図1に示されるノズルアセンブリのケーシングの3次元の図である。
【
図3B】
図3Aに示されるノズルアセンブリのケーシングの軸方向切断図である。
【
図4A】
図1に示されるノズルアセンブリのスリーブアセンブリの3次元の図である。
【
図4B】
図4Aに示されるスリーブアセンブリの分解図である。
【
図4C】
図4Aに示されるスリーブアセンブリの軸方向切断図である。
【
図5A】
図1に示されるノズルアセンブリのノズルの一方向における3次元の図である。
【
図5B】図
1に示されるノズルアセンブリのノズルの別の方向における3次元の図である。
【
図6】
図1に示されるノズルアセンブリのA-A方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の種々の具体的な実施態様が、本説明の一部を構成する図面を参照することによって説明される。本出願における種々の例証された構造部品及び構成要素を説明するために、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「頂」及び「底」等の方向を表す用語が使用されるが、これらの用語は、例示の便宜のためにのみ使用され、図面で例証された方向に基づいて決定されることを理解されたい。本出願に開示される実施形態は種々の方向に設定することができるので、方向を表すこれらの用語は、制限ではなく例示としてのみ使用される。
【0023】
図1は、本出願のノズルアセンブリの1つの実施形態の側面図である。
図1に示されるように、ノズルアセンブリ100は、本体101、ピストン103及び流体輸送管105を備え、本体101の底部に本体液体出口111が配置される。流体輸送管105から本体101に流体が入り、本体101内の流体は、本体101に対するピストンの上下運動によって、本体液体出口111から押し出すことができる。本出願のノズルアセンブリ100は、例えば粘度が1Pa・s(1000cps)~150Pa・s(150000cps)である、粘性流体の分配に適用可能である。粘性流体は、電子的処理の分野では、はんだペースト又は導電性材料とすることができる。
【0024】
図2は、
図1に示されるノズルアセンブリ100の分解図である。
図2に示されるように、本体101は、ケーシング203、スリーブアセンブリ205及びノズル201を備える。スリーブアセンブリ205及びノズル201はケーシング203内に位置しており、ピストン103は、スリーブアセンブリ205及びノズル201に挿入されることができる。流体輸送管105の一端をケーシング203に挿入することができる。ピストン103は、円筒状のロッド部134及び丸い頭部135を有し、頭部135はノズル201内に挿入されることができる。さらに、ノズル201とケーシング203との間にノズルシール250が配置される。
【0025】
図3Aは、
図1に示されるノズルアセンブリ100のケーシング203の一方向における3次元の図であり、
図3Bは、
図3Aに示されるケーシング203の、
図3Aの入口303を通過する方向における軸方向切断図であり、ケーシングの構造を示すために使用される。
図3A及び
図3Bに示されるように、ケーシング203はほぼ円筒の形状である。ケーシング203は、外壁341及び内壁342を有し、内壁342は、ケーシング203のチャンバー305を画定している。チャンバー305は、上部開口部316及び下部開口部318を有する。チャンバー305はほぼ円筒の形状である。
【0026】
ケーシング203は、下部ケーシング部分332及び上部ケーシング部分331を含み、チャンバー305と連通する入口303が、上部ケーシング部分331の側壁に配置される。流体輸送管105の一端が入口303に挿入され、これにより流体輸送管105はチャンバー305と連通することができる。上部ケーシング部分331の側壁の厚さは、流体輸送管105を設置することができるように厚くされる。本出願の1つの実施形態において、上部ケーシング部分331の外径は、下部ケーシング部分332の外径よりも大きくされ、上部ケーシング部分331の厚い側壁を形成している。
【0027】
チャンバー305は、上部区分381、中間区分382及び下部区分383を含む。上部区分381は上部開口部316と連通し、下部区分383は下部開口部318と連通している。中間区分382の直径は上部区分381の直径よりも小さいため、中間区分382と上部区分381との間にノズル制限段部355が形成される。下部区分383の直径は中間区分382の直径よりも小さいため、下部区分383と中間区分382との間にシール制限段部365が形成される。ノズル制限段部355は、ケーシング203のチャンバー305に取り付けられるノズル201がケーシング203の下部開口部318から脱落するのを防止するために使用される。シール制限段部365は、ノズル201とケーシング203との間のノズルシール250がケーシング203の下部開口部318から脱落するのを防止するために使用される。
【0028】
図4A及び
図4Bは、それぞれ、スリーブアセンブリ205の3次元の図及び分解図であり、
図4Cは、
図4Aに示されるスリーブアセンブリの軸方向断面図であり、スリーブアセンブリ205の構造を示すために使用される。
図4A及び
図4Bに示されるように、スリーブアセンブリ205は、スリーブ401及び複数のシールを含む。スリーブ401はほぼ円筒の形状であり、スリーブ401内には、スリーブ401の軸方向に延びてスリーブ401を通過するチャンバー406が形成され、チャンバー406は、ピストン通路407を形成しており、ピストン103を収容するために使用される。本出願の1つの実施形態において、スリーブ401は、上部スリーブ部分411及び下部スリーブ部分412を有する。上部スリーブ部分411は上部チャンバー451を有し、下部スリーブ部分412は下部チャンバー452を有し、上部チャンバー451及び下部チャンバー452は、互いに連通して、共同でピストン通路407を画定している。上部スリーブ部分411は頭部421及び端部422を含み、端部422は、頭部421の下方から下向きに延びている。頭部421の外径は、ケーシングのチャンバー305の上部区分381の直径にほぼ等しく、端部422の外径は頭部421の外径よりも小さい。下部スリーブ部分412の外径も、上部スリーブ部分411の頭部421の外径よりも小さい。
【0029】
頭部421上には、頭部421上で円周方向に延びる環状溝429が配置され、環状溝429は、頭部421の外側表面から内向きに窪んでいる。環状溝429は、頭部シール441を取り付けるために使用され、頭部シール441は、上部スリーブ部分411とケーシング203との間をシールするために使用される。下部チャンバー452の直径は、シール収容部分461及び462を形成するように下部スリーブ部分412の上端及び下端においてより大きく、シール収容部分461及び462は、それぞれ下部スリーブ部分の第1シール442及び下部スリーブ部分の第2シール443を収容するために使用される。下部スリーブ部分の第1シール442は、上部スリーブ部分411と下部スリーブ部分412との間をシールするために使用され、下部スリーブ部分の第2シール443は、下部スリーブ部分412とノズル201との間をシールするために使用される。本実施形態において、頭部シール441、下部スリーブ部の第1シール442及び下部スリーブ部の第2シール443は、全て弾性材料、例えばゴム製のOリングシールである。
【0030】
本出願の別の実施形態において、スリーブ401は一体型構造であり、この場合、上部スリーブ部分と下部スリーブ部分との間にシールは必要とされない。
【0031】
図5A及び
図5Bは、それぞれノズル201の2つ方向における3次元の図であり、
図5Cは、ノズル201の流体通路入口518の方向における軸方向切断図であり、ノズルの具体的な構造を示すために使用される。
図5A、
図5B及び
図5Cに示されるように、ノズル201は、ほぼ円筒の形状であり、上部ノズル区分501、中間ノズル区分503及び下部ノズル区分502を有する。下部ノズル区分502の外径は中間ノズル区分503の外径よりも小さく、これにより中間ノズル区分503は、下部ノズル区分502に対してフランジ538を形成する。下部ノズル区分502がケーシングの下部開口部318へ上から下に挿入されると、フランジ538は、ケーシング203のノズル制限段部355によって止められるため、ノズル201は、ケーシング203の下部開口部318から脱落しない。また、中間ノズル区分503の直径は上部ノズル区分501の直径よりも大きく、これによりノズル201がケーシング203に取り付けられとき、上部ノズル区分501と、ケーシング203のチャンバー305の上部区分381の内側壁との間には所定の間隔がある。
【0032】
ノズル201は、ピストンチャンバー530、ノズル通路512及び流体通路511を有し、ノズル通路512はピストンチャンバー530と連通し、流体通路511はノズル通路512と連通している。ピストンチャンバー530は、ノズル201の上面581から内向きに窪んでおり、ピストン103を収容するために使用される。ピストンチャンバー530の形状はピストン103の形状と一致しており、これによりピストン103は、ピストンチャンバー530の内壁に密接に接触することができる。ピストンチャンバー530の上部531の内壁は円筒の形状であり、下部532の内壁は、上部531の内壁から下向きに延びるとともに滑らかに移行する球面であり、下部532に開口部537が配置される。ノズル通路512は、ピストンチャンバー530の下方に配置され、空気流入口515、空気流出口516及び流体入口517を有する。ここで、流体入口517は空気流入口515の下方に配置され、空気流出口516は流体入口517の下方に配置される。空気流入口515は、ピストンチャンバー530の開口部537と連通又は整列しており、これによりピストンチャンバー530がノズル通路512と連通している。流体通路511は、流体通路入口518及び流体通路出口514を有し、流体通路入口518は、流体源と連通して流体を流体通路511に導き、流体通路出口514は、ノズル通路512の流体入口517と連通し又は整列し、これにより流体は、流体通路511からノズル通路512に入ることができる。ノズル通路512は、上部ノズル通路区分541及び下部ノズル通路区分542を有し、下部ノズル通路区分542は上部ノズル通路区分541よりも細い。空気流入口515は、上部ノズル通路区分541の頂部に配置され、空気流出口516は、下部ノズル通路区分542の底部に配置される。流体入口517は、上部ノズル通路区分541と連通しており、流体入口517は、上部ノズル通路区分541と下部ノズル通路区分542との間にかつ上部ノズル通路区分541の側壁にある結合部付近に配置される。空気が加速されて、流体を太い上部ノズル通路区分541から細い下部ノズル通路区分542に流した後、ノズル通路512から押し出すことができる。
【0033】
ノズル201は、ノズル201の底面582から内向きに窪んだ溝560を更に備え、溝560の底部567から突出部分561がノズル201の底面582に向かって延び、ノズル通路512は突出部分561を貫通するため、ノズル通路512の空気流出口516は、突出部分561の下端に位置する。空気流出口516は溝560内に位置しており、すなわち
図5Cに示す水平方向において、空気流出口516の位置はノズル201の底面582よりも高い。
【0034】
本出願の1つの実施形態では1つの流体通路511が存在し、他の実施形態では複数の流体通路511が存在することができる。
【0035】
本出願の上記実施形態において、スリーブ401とノズル201とは分離された構成要素であるが、本出願の他の実施形態によれば、スリーブ401とノズル201とは、一体型構成要素にできることに留意されたい。
【0036】
図6は、
図1に示されるノズルアセンブリ100のA-A方向における切断図であり、ノズルアセンブリにおける種々の構成要素間の接続部を示す。
図6に示されるように、スリーブ401及びノズル201はケーシング203のチャンバー305に取り付けられ、スリーブ401はノズル201に取り付けられ、これによりピストン通路407は、ピストンチャンバー530と連通することができる。ピストン103は、ピストン通路407及びピストンチャンバー530内に挿入され、ピストン通路407及びピストンチャンバー530内で往復運動することができる。ピストンの頭部135の形状は、ピストンチャンバー530の形状と一致し、これによりそれらの間で表面同士が互いに適合し、ピストン103は、ノズル201に対して往復運動するとき、ノズル通路512を通して空気を吸い込み及び排出することができる。
【0037】
上部スリーブ部分411の頭部421の外径は、ケーシングのチャンバー305の上部区分381の直径とほぼ等しいので、上部スリーブ部分411の頭部421の外側は、ケーシング203の内壁に接触している。下部ノズル区分502はケーシング203の下部開口部318を通過し、中間ノズル区分503はケーシング203のノズル制限段部355上に取り付けられる。したがって、ノズル201及びスリーブ401の外側とケーシング203の内側との間に流体チャンバー640が形成され、流体チャンバー640は、ケーシング203の外側から導入される流体を収容するために使用される。ケーシング203の入口303に流体輸送管105が取り付けられ、流体輸送管105は、一端が流体源と連通し、他端が流体チャンバー640と連通して、流体を流体チャンバー640内に導入する。流体通路511の流体入口517が流体チャンバー640と連通し、これにより流体は、流体チャンバー640から流体通路511に入ることができる。
【0038】
スリーブ401とケーシング203との間の結合部に頭部シール441が配置され、頭部シール441は、ケーシング203の内壁342とスリーブ401の外側との間で圧力を受けると変形するため、ケーシング203とスリーブ401との間にシールが形成されて、流体チャンバー640内の流体が結合部からケーシング203の外側に漏れるのを防止する。ノズル201とケーシング203との間の結合部にノズルシール250が配置される。ノズル201及びノズルシール250がケーシング203内に取り付けられた後、ノズルシール250は、中間ノズル区分503のフランジ538とシール制限段部365との間に閉じ込められ、中間ノズル区分503の下部とシール制限段部365との間で圧搾を受けると変形するため、ケーシング203とノズル201との間にシールが形成され、流体チャンバー640内の流体が結合部からケーシング203の外側に漏れるのを防止する。下部スリーブ部分412とノズル201との間の結合部に第2シール443が配置され、第2シール443は、下部スリーブ部分412とノズル201の上面581との間で圧力を受けると、変形してシールを形成し、流体がピストン通路407及びピストンチャンバー530に流入するのを防止する。したがって、流体は、入口303からのみ流体チャンバー640に入ること及びノズル201の流体通路511から流出することができるが、ケーシング203の外側に漏れること、又はピストン通路407又はピストンチャンバー530に入ることはない。
【0039】
本出願の1つの実施形態において、ノズルシール250は、ノズル201の下部ノズル区分502上に置かれて中間ノズル区分503の近くにあるため、ノズルシール250のフランジ538は、シール制限段部365に接触してシールを形成する。別の実施形態において、ノズルシール250は、中間ノズル区分503のフランジ538の下方に配置され、ノズル制限段部355に接触してシールを形成する。更なる実施形態において、ノズルシール250は、中間ノズル区分503の外側に配置され得るため、ノズルシール250の半径方向外側は、ケーシングの内壁342に接触してシールを形成する。
【0040】
流体を分配するために本出願のノズルアセンブリを使用するとき、以下のステップが含まれる。
【0041】
(1)流体がノズル通路に入る。
流体が分配される前に、ピストン103は、ノズル201よりも高い位置、すなわちピストン103の初期位置にある。このとき、ピストン103の頭部はピストンチャンバー530を完全には占めず、ピストンチャンバー530は空気を含んでいる。通常流体の粘度が非常に大きいので、流体は、流体チャンバー640からノズル通路512に自然に流入することができず、流体輸送管105が接続される流体源に適切な圧力が加えられ、適切な量の流体をノズル通路512内に押し込むことができる。加えられる圧力は流体の特性によって変化する。さらに、流体が重力によってノズル通路512に入り得る幾つかの特別な場合には、流体源に圧力を加える必要はない。
【0042】
(2)液体を分配する。
ノズルアセンブリが処理すべき位置に移動されると、ピストン103を下方に移動させてピストンチャンバー530内の空気を圧搾し、圧搾された空気は流体を押してノズル通路512から流出させるとともに処理すべき位置に落下させ、これによって1回の流体分配を完了する。
【0043】
(3)ピストンを再設定する。
流体分配が完了した後、ピストン103を上方に移動させて初期位置に戻し、ピストンは次の流体分配に備えて準備をする。流体の粘度が大きいため、ノズル通路512内の流体がピストン103の移動により圧搾された空気によって押し出された後、流体は、短時間で自然にノズル通路512内に流入することはできない。このとき、ピストン103は、直ちに上方に移動し、ノズル通路512を通して周囲空気をピストンチャンバー530内に吸い込み、ピストン103の空気吸引プロセスを完了する。ピストン103は、初期位置に戻り、次の流体分配の準備をする。
【0044】
流体分配プロセス全体においてピストン103が流体と接触しないので、流体にとってピストン103に付着することは困難であるため、ピストン103の往復運動の順応性は影響を受けない。ピストン103と流体とが接触しないことにより、粘性流体がノズル201に詰まる可能性も低下する。また、本出願のノズルアセンブリを採用することにより、分配すべき流体の量は、ノズル通路512及び流体通路511の太さ及び長さを設計することによって制御することができる。したがって、本出願のノズルアセンブリは、少量の流体分配に適用可能であり、チップレベルの電子的処理分野に適用することができる。
【0045】
この文書には、本発明の幾つかの特徴のみを例示及び説明するが、当業者であれば、様々な改善及び変更を行うことができる。したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲内に属する全ての改善及び変更を保護範囲に含むことを意図することを理解されたい。
なお、本発明の構成として以下に示すものがある。
[構成1]
ノズルであって、
空気流入口(515)及び空気流出口(516)を有するノズル通路(512)と、
流体通路(511)であって、流体通路入口(518)及び流体通路出口(514)を有し、前記流体通路入口(518)は流体源と連通し、これにより流体が前記流体通路(511)に入ることができ、前記流体通路出口(514)は前記ノズル通路(512)と連通し、これにより前記流体は前記ノズル通路(512)に入ることができる、流体通路(511)と、
を備え、
前記空気流入口(515)から作用させられる空気流が、前記ノズル通路(512)内の流体を前記空気流出口(516)から押し出すことができることを特徴とする、ノズル。
[構成2]
前記ノズル通路(512)は流体入口(517)を更に有し、
前記流体通路出口(514)は、前記ノズル通路の前記流体入口(517)と連通し、これにより流体が前記ノズル通路(512)に入ることができることを特徴とする、構成1に記載のノズル。
[構成3]
前記流体は粘性流体であり、前記流体の粘度は、1Pa・s~150Pa・sの範囲であることを特徴とする、構成1に記載のノズル。
[構成4]
ピストンチャンバー(530)を更に備え、該ピストンチャンバー(530)はピストンを収容するために使用され、前記ピストンチャンバー(530)は、前記ノズル通路(512)の前記空気流入口(515)と連通していることを特徴とする、構成3に記載のノズル。
[構成5]
前記ピストンチャンバー(530)と前記流体通路(511)とは別々に配置されることを特徴とする、構成4に記載のノズル。
[構成6]
前記ピストンチャンバー(530)の底部は、滑らかに移行する曲面の形状であることを特徴とする、構成4に記載のノズル。
[構成7]
前記空気流入口(515)は、前記ピストンチャンバー(530)の下方に位置することを特徴とする、構成4に記載のノズル。
[構成8]
前記流体通路入口(518)は、前記ノズル(201)の側壁に配置されることを特徴とする、構成3に記載のノズル。
[構成9]
前記流体通路(511)は、前記流体通路入口(516)から前記流体通路出口(514)まで斜め下向きに延びることを特徴とする、構成3に記載のノズル。
[構成10]
前記ノズル通路(512)は、上部ノズル通路区分(541)及び下部ノズル通路区分(542)を有し、前記下部ノズル通路区分(542)は前記上部ノズル通路区分(541)よりも細く、前記上部ノズル通路区分(541)は前記空気流入口(515)と連通していることを特徴とする、構成3に記載のノズル。
[構成11]
ノズルアセンブリであって、
その内部にチャンバー(305)が配置されるケーシング(203)と、
スリーブ(360)であって、前記ケーシング(203)の前記チャンバー(305)内に配置され、前記スリーブ(360)の内壁がピストン通路(407)を画定し、該スリーブ(360)の外壁と前記ケーシング(203)の内壁との間に流体チャンバー(640)が配置される、スリーブ(360)と、
前記ケーシング(203)の前記チャンバー(305)内に配置され、前記スリーブ(360)の下方に配置される、ノズル(201)であって、
空気流入口(515)及び空気流出口(516)を有するノズル通路(512)と、
流体通路(511)であって、流体通路入口(518)及び流体通路出口(514)を有し、前記流体通路入口(518)は前記流体チャンバー(640)と連通し、これにより前記流体チャンバー(640)内の流体が前記流体通路(511)に入ることができ、前記流体通路出口(514)は前記ノズル通路(512)と連通し、これにより前記流体は、ノズル通路(512)に入ることができる、流体通路(511)と、有する、ノズル(201)と、
前記ノズル通路(512)の前記空気流入口(515)と連通するとともに前記ピストン通路(407)と連通するピストンチャンバー(530)と、
ピストン(301)であって、前記ピストン通路(407)及び前記ピストンチャンバー(530)内を上下に移動することができ、前記ノズル通路(512)を通して空気を吸い込み及び排出し、こうして前記ノズル通路(512)内の流体を前記ノズル通路(512)の前記空気流出口(516)から押し出すことができるピストン(301)と、
を備えることを特徴とする、ノズルアセンブリ。
[構成12]
前記ピストン(301)は頭部(302)を有し、該頭部(302)の形状は前記ノズル(201)の前記ピストンチャンバー(530)の形状と一致するように構成され、これにより前記ピストン(301)は、前記ノズル(201)に対して往復運動するとき、前記ノズル通路(512)を通して空気を吸い込み及び排出することができることを特徴とする、構成10に記載のノズルアセンブリ。
[構成13]
前記ケーシング(203)は入口(303)を有し、該入口(303)は前記流体チャンバー(640)と連通していることを特徴とする、構成10に記載のノズルアセンブリ。
[構成14]
前記スリーブ(360)は前記ノズル(201)にシール接続され、前記スリーブ(360)は前記ケーシング(203)にシール接続されることを特徴とする、構成10に記載のノズルアセンブリ。
[構成15]
前記ノズル(201)は前記ケーシング(203)にシール接続されることを特徴とする、構成10に記載のノズルアセンブリ。