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特許7441223入力面内で位置決め可能な入力ポインタにより少なくとも3つの調整パラメータを同時に調整する入力ユニットを備えた顕微鏡システム
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  • 特許-入力面内で位置決め可能な入力ポインタにより少なくとも3つの調整パラメータを同時に調整する入力ユニットを備えた顕微鏡システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】入力面内で位置決め可能な入力ポインタにより少なくとも3つの調整パラメータを同時に調整する入力ユニットを備えた顕微鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240221BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021533699
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2019084982
(87)【国際公開番号】W WO2020120710
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102018132337.9
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー ヴィトケ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ペルツァー
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0139541(US,A1)
【文献】米国特許第05867284(US,A)
【文献】国際公開第2018/173096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
G06F 3/033 - 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡システム(10)であって、前記顕微鏡システム(10)は、
電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する少なくとも1つの顕微鏡構成要素(20,30,40)と、
電気信号を生成して前記少なくとも1つの顕微鏡構成要素(20,30,40)に送信し、これにより前記電気的に調整可能な構成要素パラメータを調整する制御装置(50)と、
少なくとも1つの表示ユニット(70)を備えたコンピュータ(60)と、
を備え、
前記コンピュータは、前記表示ユニット(70)上に、グラフィカルユーザインタフェースの形態の入力ユニット(100;200)を形成しており、前記入力ユニット(100;200)により、少なくとも3つの調整パラメータが調整可能であり、
前記入力ユニット(100;200)は、前記少なくとも3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整するために、入力面(110;210)内で位置決め可能な入力ポインタ(120;220)を有し、
前記入力面(110;210)において、前記少なくとも3つの調整パラメータのそれぞれに対して1つの座標軸が定義されており、少なくとも1つの座標軸は、他の座標軸に対して垂直ではなく、
前記少なくとも3つの調整パラメータの値は、前記入力ポインタ(120;220)の位置の座標によって決定され、
少なくとも1つの電気的に調整可能な構成要素パラメータは、前記少なくとも3つの調整パラメータの関数として調整され、
3つの構成要素パラメータの少なくとも1つは、照明強度、波長、照明パターンの時間周波数、照明パターンの空間周波数、照明ビームの直径、光シートの厚さ、拡大率、照明開口度、f値、光路における光学構成要素の回動パラメータまたは調整パラメータ、輝度、コントラスト、ズーム、走査速度、アジマス、増幅率、オフセット、ビット深度、露光時間、サンプリングレート、ビニング、ピンホールの開口度、1枚のHDR画像に合成される画像の数、および、平均値を形成する画像の数、を含む群から選択される、
顕微鏡システム(10)。
【請求項2】
いずれの座標軸も他の座標軸に対して垂直でない、
請求項1記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項3】
前記入力面(110;210)は、多角形、特に三角形または六角形を形成する、
請求項1または2記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項4】
前記座標軸は、前記入力面(110;210)の辺に対して平行にまたは垂直に延在する、
請求項3記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項5】
前記入力ユニット(100;200)は、厳密に3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項6】
前記座標軸は、対として60°の角度をなしている、
請求項5記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項7】
前記座標軸の延在状態は、予め定められている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項8】
前記座標軸は、前記入力ポインタ(120;220)の位置を通って延在する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項9】
前記少なくとも3つの調整パラメータの値は、前記入力ポインタ(120,220)の位置の座標によって絶対的に決定される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項10】
前記少なくとも3つの調整パラメータの値は、前記入力ポインタ(120;220)の位置の座標によって相互に相対的に決定される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項11】
少なくとも1つの調整パラメータは、電気的に調整可能な構成要素パラメータである、
請求項1から10までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項12】
少なくとも1つの電気的に調整可能な構成要素パラメータは、少なくとも1つの調整パラメータから得られる、
請求項1から11までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項13】
前記入力ユニット(100;200)は、少なくとも1つのトリガ面(211,212,213)を有し、前記トリガ面を操作することにより、制御コマンドがトリガ可能となる、
請求項1から12までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項14】
前記制御コマンドは、予め定められているか、または、ユーザによって構成可能である、
請求項13記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項15】
前記入力面(110;210)および前記少なくとも1つのトリガ面(211,212,213)は、相互に接している、
請求項13または14記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項16】
前記入力面(110;210)および前記少なくとも1つのトリガ面(211,212,213)は、合わせて、多角形、特に三角形を形成する、
請求項13から15までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項17】
少なくとも1つの電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する前記少なくとも1つの顕微鏡構成要素(20,30,40)は、
照明光路の出発元である光源(20)、
光学結像装置(30)、
コントラスト装置、
ピンホール、
ビーム偏向装置、
光検出器(40)、および、
表示ユニット(70)、
を含む群から選択される、
請求項1から16までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項18】
前記制御装置(50)は、前記コンピュータに組み込まれている、
請求項1から17までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載の顕微鏡システム(10)の少なくとも3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整する方法であって、入力面(110;210)における入力ポインタ(120;220)の位置が設定される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する少なくとも1つの顕微鏡構成要素と、入力面内で位置決め可能な入力ポインタにより、少なくとも3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整する入力ユニットと、を有する顕微鏡システム、およびこうした入力ユニットを用いて少なくとも3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡の操作には、複数のノブ、制御用十字ボタンなどを備えた操作ユニットを用いることができる。例えばカメラのデバイスの機能、例えば解像度、輝度、コントラスト、ホワイトバランス、デジタル画像または動画のフォーマット(例えばBMP、TIF、JPG、MPG、AVIなど)、画像または動画の圧縮方法などを制御するために、ユーザは、相互の依存関係を認識することなく非直感的に多数のパラメータを調整することを強いられている。
【0003】
独国特許出願公開第102010063392号明細書から、対象物の画像を生成して、対象物を光学的にデジタルで検出するように構成された画像検出装置と、対象物画像を表示領域に表示し、表示領域内の入力を検出するように構成されたセンサスクリーンと、を有する顕微鏡システムであって、センサスクリーンの表示領域において、検出された入力に基づき、顕微鏡システムの電動化されたかつ/または電気的に制御可能な顕微鏡構成要素の設定を変更するように構成された顕微鏡システムが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
本発明によれば、独立請求項に記載の特徴を有する、電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する少なくとも1つの顕微鏡構成要素を備えた顕微鏡システム、および入力面内で位置決め可能な入力ポインタにより、少なくとも3つの調整パラメータに対してそれぞれ1つの値を調整する方法が提案されている。各従属請求項および以下の説明においては、有利な実施形態が対象となっている。
【0005】
本発明は、入力ポインタを入力面内で位置決めすることにより顕微鏡システムを操作する際に、対応する座標軸が相応に定義されておりかつ特に相互に垂直でない場合、少なくとも3つの調整パラメータを同時に調整することができるという着想を基礎としている。こうした手段により、(理解されるように)すべてが互いに独立しているわけではないが、2次元平面の1つの位置から3つ以上の座標を得ることができる。調整パラメータにつきそれぞれ1つの値を設定するために、入力面内の入力ポインタの位置がユーザにより設定される。
【0006】
本発明は、それぞれ少なくとも1つの電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する少なくとも1つの顕微鏡構成要素、特に、照明光路の出発元である光源(例えばLED、レーザー)、光学結像装置(例えば対物レンズまたは光学ズームレンズ)、コントラスト装置(例えば位相差顕微鏡のフェーズリング、DICプリズム、偏光フィルタ、または変調板)、ピンホール、ビーム偏向装置(例えば走査ミラー)、光検出器(例えば光電子増倍管またはデジタルカメラ)、または表示ユニット(例えば、モニタ付き計算ユニット/PC)を備えた顕微鏡システムに関する。
【0007】
光源の構成要素パラメータには、特に照明強度、波長、照明パターンの(時間的かつ/または空間的)周波数、照明ビームの直径および光シートの厚さが含まれる。
【0008】
光学結像装置の構成要素パラメータには、特に拡大率および照明開口度が含まれる。
【0009】
コントラスト装置の構成要素パラメータには、特に、例えばDICプリズム、フェーズリング、変調板、またはフィルタキューブ(フィルタキューブ=特に蛍光顕微鏡用の光学フィルタおよびミラーのセット)などの、光路上の(特にコントラストを発生させる)光学構成要素のf値および回動パラメータまたは調整パラメータが含まれる。
【0010】
ビーム偏向装置の構成要素パラメータには、特に、走査速度(単位時間あたりの走査ライン数)、ズーム(ガルバノメータ駆動部の回転範囲の縮小)、TIRF照明光路のアジマスが含まれる。
【0011】
光検出器の構成要素パラメータには、特に、増幅率(ゲイン)、オフセット、ビット深度または色深度、露光時間(カメラ)、走査速度(光検出器)、サンプリングレート(一連の撮影(経過時間)の周波数またはライブ画像の周波数)、ビニング(隣接する画像要素(ピクセル)の仮想画素への結合)が含まれる。
【0012】
ピンホールの構成要素パラメータには、特にアパーチャの開口寸法が含まれる。
【0013】
表示部の構成要素パラメータには、特に、例えば、輝度(brightness)およびコントラスト(contrast)などの描写に関するパラメータおよび/または一枚のHDR画像(“High Dynamic Range Image”「ハイダイナミックレンジ画像」)に合成される画像の数および平均値を形成する画像の数、などの画像処理のパラメータが含まれる。
【0014】
特に、本発明はまた、3つ以上のパラメータを調整することができ、これらのパラメータ間に実際に依存関係が存在するかまたは望ましくは存在し、適切な座標軸の設定により実施することができる状況において有利に用いることができる。
【0015】
好ましくは相互依存性のあるこうしたパラメータは、例えば、組織の画像を撮影する際の露光時間および照明強度である。組織の損傷を回避するために、導入されるエネルギ(すなわち強度×時間)は、可能な限り閾値を超えないようにする必要がある。この場合、座標軸は、強度を上げると自動的に露光時間が短くなり、またその逆も同様であるように設定されてよい。別の調整パラメータとしては、ここでは、例えば照明の波長(色)であってよく、これも同様に損傷に影響する。周知のごとく、短波長の光(青)の方が長波長の光(赤)よりも与える損傷が大きい。したがって、本発明による入力ユニットは、例えば、色、強度および時間から、損傷を与えない組み合わせのみを選択可能とするように用いることができる。
【0016】
各構成要素パラメータは、少なくとも1つの調整パラメータに依存する。特に、この場合、各構成要素パラメータは同時に調整パラメータであってもよく、すなわち、構成要素パラメータは、入力ポインタの位置によって直接に調整することができる。ただし、1つまたは複数の構成要素パラメータは、例えば、機能的な関係、特性曲線、特性マップ、ルックアップテーブルなどに基づき、1つまたは複数の調整パラメータから間接的にしか得られないことも想定される。例えば、調整パラメータを「明るい」に設定すると、照明強度および/または検出器増幅率が増大する、かつ/または露光時間が長くなる場合がある。調整パラメータを「試料にやさしい」に設定すると、照明強度が減少し、かつ/または露光時間が短くなると同時に検出器増幅率が増大する場合がある。
【0017】
好ましくは、入力面は多角形を形成しており、さらに、特に頂点または辺の数は、座標軸に対して整数となる関係にある。このようにして、多角形の辺に対し座標軸をきわめて容易に定義することができる。例えば、座標軸は、入力面の辺に対して平行にまたは垂直に延在してよい。後者の場合、入力面の中心が座標原点となり、好適である。
【0018】
好ましくは、座標軸は所定の位置に延在する。これは、座標軸の従来の使い方に対応しており、特に、座標軸が入力面の辺により形成されている場合、または座標軸が入力面の中心により形成される座標原点から辺に対して平行または垂直に延在する場合を含む。このような実施形態を特に図2および図3に示す。
【0019】
別の実施形態によれば、座標軸の延在状態は可変であり、特に、座標軸が通過する入力ポインタのその時点の位置により設定されている。これは、座標軸の特定の使用方式に対応しており、特に、座標軸上の入力ポインタの位置が、2つの構成要素パラメータの相対的な値を決定する場合を含む。このような実施形態を特に図4および図5に示す。
【0020】
厳密に3つのパラメータを調整できる場合は、入力面が三角形または六角形である実施形態が有利であり、その場合、特に座標軸は対として60°の角度をなしている。これにより、きわめて直感的な操作性を有し、視覚的に訴える解決手段が得られる。
【0021】
本発明のさらなる利点および実施形態は、本明細書および添付の図面から明らかになる。
【0022】
もちろん、上述および下述の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、それぞれ示されている組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせによって、または単独で、用いることもできる。
【0023】
本発明を一実施例に基づき概略的に図示し、以下に図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による顕微鏡システムの好ましい実施形態を示すブロック図である。
図2】本発明による入力ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3】本発明による入力ユニットの別の好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図4】本発明による入力ユニットの別の好ましい実施形態を分図a)およびb)において概略的に示す図である。
図5】本発明による入力ユニットの別の好ましい実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、全体が10により示された本発明による顕微鏡システムの好ましい実施形態をブロック図として示す。ここでは、顕微鏡システム10は、顕微鏡構成要素として、例えばLED光源などの光源20と、光学結像装置30と、例えばデジタルカメラなどの光検出器40と、を有する。光学結像装置30は、レンズもしくは光学ズームレンズとして形成されていてよく、またはこれら2つの構成要素の少なくとも1つを有してよい。光学結像装置には、さらなる顕微鏡構成要素として、コントラスト装置および/またはビーム偏向装置も設けられていてよい。
【0026】
光源20からは照明光路が出発し、光学結像装置を経て試料1に、次にそこから検出器40へと導かれる(落射照明)。いわゆる透過照明の場合には、照明光路は結像装置30とは反対側から試料1へと導かれる(破線)。さらに、いわゆる光シート顕微鏡の場合は、光源20と試料との間にも追加の光学結像装置30’が設けられる。
【0027】
また、いわゆる共焦点顕微鏡の場合は、光源20と結像装置30との間にさらに走査ミラー92が設けられ、また走査ミラー92と光検出器40との間にさらにいわゆるピンホール91が設けられる。ピンホール91がない場合でも、このような構成は光シート顕微鏡として用いることができる。
【0028】
各顕微鏡構成要素は、少なくとも1つの電気的に調整可能な構成要素パラメータを有する。顕微鏡システム10はさらに、電気信号を生成して顕微鏡構成要素20,30,40に送信し、これにより電気的に調整可能な構成要素パラメータを調整する制御装置50を有する。
【0029】
顕微鏡システム10は、さらに、マンマシンインタフェースとして、表示ユニット70を備えたコンピュータ60を有し、当該コンピュータは、表示ユニット70上に、グラフィカルユーザインタフェースの形態の入力ユニット100,200を形成しており、これにより、電気的に調整可能な少なくとも3つの構成要素パラメータが調整可能となる。コンピュータ60は、コンピュータ入力手段80、例えばマウスおよび/またはキーボードおよび/または(例えば、センサスクリーンまたはタッチスクリーンの)タッチセンサシステムおよび/またはジェスチャセンサシステムを有する。
【0030】
コンピュータ60は、制御装置50とデータ送信可能に接続されており、制御装置50に、構成要素パラメータの調整値に応じた電気信号を生成させ、対応する顕微鏡構成要素へと出力させる。制御装置50は、例えばインタフェースカードの形態でコンピュータ60に組み込まれていてもよい。
【0031】
図2に、全体が100により示された入力ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す。入力ユニット100は、入力面110と、入力面内で自由に位置決め可能な入力ポインタ120と、を有する。図示された例において、入力面110は三角形を形成しており、座標軸x,y,zは、辺に対して平行に延在するか、または辺によって形成されている。ここでは特に、座標軸の延在状態が予め定められている。これにより、入力面110における入力ポインタ120の位置により、図のように3つの座標x,y,zが定められる。ここで、座標は、当該位置をそれぞれの座標軸に対して垂直に投影することにより得られる。これにより、入力ポインタを入力面内で位置決めした後、座標軸に対する入力ポインタの相対位置により、同時に、対応する調整パラメータに対する調整値が特に絶対的に調整される。
【0032】
この意味において、入力面110の辺は、それぞれ対応する調整パラメータの調整領域を定義する。代替的な実施形態によれば、座標軸は、入力面110の辺に対して垂直に延在してよく、例えばそれぞれの垂直二等分線によって形成されていてよく、この場合、垂直二等分線は、それぞれの調整パラメータに対する調整領域を定義する。この場合、特に、入力面の中心は座標原点も定義している。
【0033】
例えば、このような入力ユニットを3つの調整パラメータの値の設定のために用いることができ、この場合、これらの値は相互に完全には独立していないものとする。
【0034】
例えば、画像の露光に関しては、光検出器の増幅率(ゲイン)、照明強度および露光時間が構成要素パラメータとして関連している。例えば、増幅率gはx軸上で左(最小)から右(最大)に向かって減少し、露光時間tはy軸上で右下(短、最小)から中上(長、最大)に向かって増大し、強度Iはz軸上で左下(高、最大)から中上(低、最小)に向かって増大するように設定されていてよい。このように、強度を上げると自動的に露光時間が短くなり、その逆も同様である。また、増幅率を下げると自動的に露光時間が長くなり、その逆も同様である。最後に、増幅率を上げると強度が下がり、その逆も同様である。このようにして、ユーザにとってきわめて直感的であり、用途に対しきわめて適切であってかつ安全なパラメータ入力方法を提供することができる。図示の実施形態の場合、特に、各調整パラメータは同時に構成要素パラメータでもある。
【0035】
入力ユニット100は、顕微鏡システム10を制御するためのコンピュータ60の表示ユニット70、特にセンサスクリーン(タッチスクリーン)上にグラフィカルユーザインタフェース(英語:“graphical user interface”,GUI)として形成されており、その上に入力面110(および場合により軸表記など)が表示される。この場合、入力ポインタ120は、従来のコンピュータ入力手段80を用いて、直接的に(例えば、タッチスクリーンの場合は指またはスタイラスなど)または間接的に(例えば、マウスまたはジョイスティックなど)位置決めされうる。入力ポインタの位置によって調整された値をそのまま採用するためには、例えば確定フィールドの押下げまたはクリックなどによる確定が必要であることが想定されうる。当該採用の後、コンピュータ60は、制御装置50に、対応する調整パラメータが調整値となるように設定させる。
【0036】
図3に、全体が200により示された入力ユニットの別の実施形態を概略的に示す。入力ユニット200も、入力面210と、入力面内で自由に位置決め可能な入力ポインタ220と、を有する。ただし、入力ユニット100とは異なり、入力ユニット200の入力面210は六角形を形成している。つまり、図2の入力ユニット100では、入力ポインタを三角形の1つの頂点に位置決めすることで第3の座標に対する変動の可能性が低減されている。この問題を解決するために、三角形の頂点へのアクセスを不可能にしてもよく、すなわち、この場合、入力面は六角形を形成する。したがって、座標軸x,y,zは、図示のように縮小されていてよい。
【0037】
さらに別の好ましい実施形態によれば、頂点の解放されたスペースは、有利には、他の機能、例えば図3に示しているようにトリガ面に用いることができる。したがって、特に、入力面210に隣接して、3つのトリガ面211,212,213が配置されている。ここでは、入力面210および3つのトリガ面211,212,213は、合わせて1つの三角形を形成している。例えば、入力ポインタ120を3つのトリガ面211,212,213のいずれかに位置決めするか、クリック(コンピュータの入力手段)により、それぞれのトリガ面に関連付けられた機能をトリガすることができる。これは、特に、上述のとおり、入力ポインタ120の位置に対する解除機能または確定機能に好適である。
【0038】
好ましくは、入力ユニット200は、1つまたは複数のトリガ面の機能が、ユーザにより割り当て可能であるように構成されている。このようにして、操作者は特に自身にとって重要な機能を併せて入力ユニットに設定することができる。
【0039】
図4に、全体が300により示された入力ユニットの別の実施形態を概略的に示す。入力ユニット300は、入力面310と、入力面内で自由に位置決め可能な入力ポインタ320と、を有する。図示の例において、入力面310は三角形を形成しており、座標軸x,y,zは、入力ポインタ320のその時点の位置を通って、ここでは辺に対して平行に延在する(同様に、例えば辺に対して垂直に延在してもよい)。ここでは特に、座標軸の延在状態は特定されておらず、可変である。
【0040】
本実施形態は、特に、対応する調整パラメータに対する調整値を相互に相対的に設定するのに適している。
【0041】
特に、本実施例のa)では、特に座標軸xは、座標軸が全体で重み付け100を定義するとき、強度Iおよび露光時間tの重み付け、具体的には、例えばI=20,t=80を定義する。さらに、座標軸yは、露光時間tおよび増幅率gの重み付け、具体的には、例えばt=80,g=20を定義する。さらに、座標軸zは、増幅率gおよび強度Iの重み付け、具体的には、例えばg=50,I=50を定義する。
【0042】
全体として、これらから、調整パラメータとして、I=70,t=160,g=70であって特に合計が300となる相対的な調整値が3つの座標軸に関して得られる。したがって、第3の調整値も、他の2つの調整値から常に算出することができる。これに関連付けられている、構成要素パラメータに対する具体的な調整値は、工場で予め定められているか、または用途ごとにユーザにより定義されてよい。この場合、定義は、機能的な関係、特性曲線、特性マップ、またはルックアップテーブルとして、制御ソフトウェアに保存されていてよい。
【0043】
これにより、入力ポインタを入力面内で位置決めした後は、座標軸に対する入力ポインタの相対的な位置により、同時に、対応する調整パラメータの調整値が、特に相互に相対的に調整される。この実施形態には、入力面の頂点に接近しても調整領域が制限されることがなく、調整パラメータに対して(頂点自体を除き)常に調整領域0~100の全体を利用できるという利点がある。
【0044】
本実施例のb)では、座標軸xから、強度Iおよび露光時間tの重み付けとしてI=0,t=100が得られ、座標軸yから、露光時間tおよび増幅率gの重み付けとしてt=50,g=50が得られ、座標軸zから、増幅率gおよび強度Iの重み付けとして、具体的には、例えばλ=100,I=0が得られ、全体で調整パラメータとしてI=0,t=150,g=150が得られる。
【0045】
図5に、全体が400により示された入力ユニットの別の実施形態を概略的に示す。入力ユニット400は、入力面410と、入力面内で自由に位置決め可能な入力ポインタ420と、を有しているが、図3と同様に、三角形の頂点へのアクセスは不可能となっている。
【0046】
さらに別の好ましい実施形態によれば、頂点の解放されたスペースは、有利には、他の機能、例えば図5に示しているような座標軸の表記に用いることができる。したがって、当該表記は特に調整パラメータと称されてよく、またはこれに関連したものであってもよい。
【0047】
調整パラメータは、必ずしも技術的なパラメータである必要はなく、むしろ「試料にやさしい撮影」、「高速撮影」、または「良好な撮影」のような定性的なパラメータ(例えば、ユーザに伝わりやすい用語)であってよい。ここでは、ユーザは、より高速の撮影またはより高画質な撮影の背後にいかなる技術的な変換が潜んでいるのかを知る必要は特にない。より高速であるとは、特に、露光時間/スキャナ速度を変更するということだけでなく、露光量を一定に保つために、光量の増大または検出器の増幅率の変更によりさらなる処理が必要となるということも意味しうる。逆に、増幅率の低減または複数回の撮影にわたる平均化により、画質を向上させることができる。この場合、それぞれの調整に関連する構成要素パラメータに対する値は、調整パラメータ値から、例えば機能的関連性、特性曲線、特性マップ、ルックアップテーブルなどに基づいて得られ、ここでは境界条件も考慮することができる。境界条件としては、例えば、画像が正しく露光されなければならないことおよび/または試料が損傷されてはならないことが挙げられる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5