(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】食品加工装置及び食品の加工方法
(51)【国際特許分類】
A22C 17/00 20060101AFI20240221BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20240221BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20240221BHJP
B02C 18/20 20060101ALI20240221BHJP
B02C 18/22 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A22C17/00
B26D3/26 601A
B26D3/26 601E
B26D3/26 601G
B02C18/14 C
B02C18/20
B02C18/22
(21)【出願番号】P 2021535557
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2019086684
(87)【国際公開番号】W WO2020127976
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521162931
【氏名又は名称】マレル・サーモン・アクティエセルスカブ
【氏名又は名称原語表記】Marel Salmon A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】リンド,クリスチャン ブレクナー
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-088680(JP,U)
【文献】特開2014-236723(JP,A)
【文献】特表2017-526340(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0286077(US,A1)
【文献】国際公開第2015/198062(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00
B26D 3/00
B02C 13/00 - 13/31;18/00 - 18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り構造体(7,42)と、ナイフ(9)と、検査ユニット(40)と、を備える食品加工装置(1)であって、
前記送り構造体(7,42)は、流路の入口から流出部に下流方向に食品対象物を運搬するように配置され、
前記送り構造体は、
i.前記ナイフの上流に配置された運搬オーガを有する第1フィーダ(7)と、
ii.前記ナイフの下流に配置された第2フィーダ(42)と、
を有し、
前記ナイフ(9)は、少なくとも1つのナイフ刃を有し、前記流路において前記食品対象物を切断するように構成され、切断された塊(41)を提供し、
前記流路は、前記ナイフと前記流出部との間の妨げのない通路を画定して、切断された前記塊の前記ナイフから離れた自由な流れを促進し、
前記検査ユニット(40)は、前記ナイフ(9)の下流に配置され、切断された前記塊の中の不要物を検出するように構成さ
れ、
前記ナイフ(9)は、前記ナイフの下流に配置された下流構造体と、前記ナイフ(9)の上流に配置された上流構造体との間に固定され、
前記下流構造体は、前記ナイフに対する環形状の接触面と、切断された前記塊のためのトンネルとを形成する、
食品加工装置(1)。
【請求項2】
前記送り構造体は、切断された前記塊を前記流出部から出口に至る流路延長部において運搬するように配置され、
前記検査ユニット(40)は、前記ナイフ刃と前記出口との間に配置される、
請求項1に記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記流路延長部は、前記流出部と前記検査ユニットとの間の妨げのない通路を画定して、前記検査ユニットへの切断された前記塊の自由な流れを促進し、
切断された前記塊は、回転ナイフ刃による切断によって得られる形状で、前記ナイフ(9)から直接、前記検査ユニットに受け入れられる、
請求項2に記載の食品加工装置。
【請求項4】
前記第2フィーダ(42)は、切断された前記塊を前記検査ユニットに通して運搬するように配置されたコンベアである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【請求項5】
ノズル(47)は、前記流出部の位置において、トンネルの下流位置で前記トンネルに接続され、
前記ノズル(47)は、切断された食品の前記塊が切断された食品の塊のストランドに形成されるように、前記流路の容積を制限する、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【請求項6】
前記第1フィーダ(7)の前に、前記食品対象物を保持して前記第1フィーダ(7)に送るためのホッパ(49)が配置される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【請求項7】
前記検査ユニット(40)の下流に配置され、切断された前記塊を刻まれた食品に挽くように構成されたグラインダ(44)を更に備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【請求項8】
前記不要物を含む切断された前記塊を除去するように構成された分離構造体を更に備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【請求項9】
除去された前記塊から分離された、切断された食品を、前記検査ユニットの下流の流路に導入するように構成された導入構造体を更に備える、請求項
8に記載の食品加工装置。
【請求項10】
前記流路において前記食品対象物をプレカットするための、前記ナイフ(9)の上流に配置されたプレカッタ(8)を更に備える、請求項1~
9のいずれか一項に記載の食品加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送り構造体と、ナイフと、検査ユニットと、を備えた食品加工装置に関する。当該送り構造体は、流路の入口から出口に下流方向に食品対象物を送り込むように配置される。当該ナイフは、流路において食品対象物を切断するように構成され、切断された塊を提供する。当該検査ユニットは、切断された塊の中の不要物を検出するように構成される。
【背景技術】
【0002】
肉挽機等の食品グラインダは、加工工場において肉や同様の食品対象物を小さく切断したり、刻んだりするために頻繁に使用されている。
【0003】
従来の肉挽機において、肉は、フィーダによって切断器具に運搬される。切断器具は、1つ又は複数の回転ナイフで構成されていることが多い。当該回転ナイフは、複数の小さい穴が設けられた、ホールプレートと呼ばれる金属板に対して直接配置されている。
【0004】
食品グラインダにおいて、肉は、シュート又はホッパに投入される。フィーダは、肉をナイフに送り込み、ホールプレートに向かって連続的に圧力を与える。ホールプレートに対して直接接触したナイフが回転することにより、肉は、ホールプレートの穴を通って運搬される間に、細かく刻まれる。このことにより、均一な性質を有し、細かく滑らかな肉製品が得られる。穴のサイズが異なるホールプレートを使用して刻みの質を変更できるように、ホールプレートは、交換できることがある。ナイフは、ホールプレートの表面に対して直接接触して、回転する。
【0005】
回転ナイフとホールプレートとの組合せにより、肉を細かく刻むことができる一方で、不要物、例えば、骨又は軟骨の断片等は、非常に小さい欠片に断片化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
断片化された物体の検出が困難であること、及び、断片化された物の除去が更に困難であることから、生産者は、通常、肉を挽く前に不要物を除去する。この段階における不要物の除去は、食肉処理場の作業員が、不要物を含む肉を切り取るために肉の大きな部分を除去することを含むことが多い。全体として、後に続く加工段階において不要物がないことをより確実にするためには、廃棄される肉の量が多くなってしまう。不要物を除去するために人が肉を取り扱うことの問題には、不要物の全てが除去されないことがある。さらに、人が肉を取り扱うことにより、例えば細菌によって肉が汚染される危険性が高まる。
【0007】
本開示の実施形態の目的は、食品の摩砕を改善することにあり、特に、後処理の量及び食品対象物の中の不要物の量を減らすことに関する。更なる目的は、食品対象物の新しい(alternative)加工を容易にすることにあり、特に、不要物を除去することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的及び他の目的に従い、本開示は、食品加工装置および食品の加工方法を提供する。
【0009】
食品加工装置は、流路の入口から流出部に至る方向に食品対象物を運搬するように配置された送り構造体を備える。ナイフは、流路において食品対象物を切断するように構成され、切断された塊を提供する。流路は、ナイフ刃と流出部との間の妨げのない通路(unhindered passage)を画定して、切断された塊のナイフから離れた自由な流れを促進する。
【0010】
一実施形態では、食品加工装置は、送り構造体と、ナイフと、検査ユニットと、を備えている。送り構造体は、流路の入口から流出部に下流方向に食品対象物を運搬するように配置されている。送り構造体は、ナイフの上流に配置された運搬オーガを有する第1フィーダと、ナイフの下流に配置された第2フィーダと、を有する。ナイフは、少なくとも1つのナイフ刃を有し、流路において食品対象物を切断するように構成され、切断された塊を提供する。流路は、ナイフと流出部との間の妨げのない通路を画定して、切断された塊のナイフから離れた自由な流れを促進する。検査ユニットは、ナイフの下流に配置され、切断された塊の中の不要物を検出するように構成されている。
【0011】
本明細書では、「妨げのない通路」という用語は、ホールプレート、又は、流れを制限する同様の障害物が回転ナイフと流出部との間にないことを意味する。
【0012】
通路に妨げがないので、不要物は、ホールプレートを有して動作する既存の機械で知られる程度までは最適化(defragmented)されない。肉はナイフによって切断され、切断された塊が刃から離れて通行することを妨げられる(hindering)ことはない。そのため、食品対象物は、ナイフとホールプレートとの組合せによって得られる欠片よりも大きい欠片に切断される。
【0013】
したがって、切断された塊において、不要物の検出及び除去を効率的に行うことができる。本開示に係る方法では、切断された塊が不要物への容易なアクセスを提供するので、食品対象物が切断される前に不要物が除去される別の方法と比較して、容易で効率が高い。本開示に係る方法では、不要物がナイフとホールプレートとの組合せによって大量の小さい断片に完全に刻まれることがない。そのため、本開示に係る方法は、ナイフとホールプレートとの組合せによる従来の方法で生じる刻まれた食品から不要物を除去する別の方法と比較して、容易で効率が高い。
【0014】
ナイフがホールプレートに対して直接接触していないので、従来から経験されているホールプレート及びナイフの摩耗を回避でき、切断された塊の中に金属片が含まれる危険性が低減される。
【0015】
さらに、ナイフとホールプレートとの組合せを有して動作する装置において達成できる速度と比較して、加工速度を向上させることができる。このことは、特に、加工速度を制限するホールプレートの表面に対する圧力が高まることに起因する。
【0016】
したがって、開示された装置及び方法は、潜在的に、食品の質を向上させ、加工速度を速めるとともに、摩耗を低減することにより装置の寿命を長くして、メンテナンスコストを低減する。
【0017】
以下では、本開示は、肉を加工するための装置に関して説明される。肉に含まれる不要物は、骨及び軟骨、並びに異物であり得る。肉は、一例として取り上げられているだけである。例えば、野菜、果物、及び同様の食品対象物の加工も、本開示の範囲内である。
【0018】
装置は、特に、肉挽機又はプレグラインダであってもよく、特に、工業用の動力付きグラインダ又はプレグラインダであってもよい。すなわち、装置は、非常に高い処理能力を有するように構成され、高張力鋼又は同様の強力かつ耐久性のある材料から作られる。
【0019】
装置は、特に、組立て及び分解されるように構成されてもよく、特に、流路に次々と配置されて摩砕を促進する部品のグラインディングトレイン(grinding train)を形成するように構成されてもよい。流路においてグラインディングトレインを形成する部品は、特に、例えば、1つの部品が隣接する部品に対して押し込まれて係合することによる工具の不要な方法によって、組み合わせられ得る。
【0020】
流路には、開口端部が形成されていてもよい。グラインディングトレインの各部品は、流路における組立てのために開口端部に1つずつ押し込まれるか、又は、流路に挿入される1つのグラインディングトレインに予め組み立てられる。その後、流路は、開口端部に取り付けられるロックナットによって閉鎖することができ、グラインディングトレインが流路から外れることが防止される。
【0021】
ナイフは、流路において回転するように構成されていてもよい。ナイフは、ハブから放射状に延びる1つ又は複数のナイフ刃、例えば、2つ又は3つのナイフ刃を有していてもよい。
【0022】
装置は、切断された塊の中の不要物を検出するように構成された検査ユニットを更に備えていてもよい。本実施形態では、送り構造体は、流出部から装置の出口に至る流路延長部において、切断された塊を運搬するように配置されていてもよい。
【0023】
検査ユニットは、ナイフ刃と出口との間に配置されていてもよい。流路延長部は、流出部と検査ユニットとの間の妨げのない通路を画定していてもよく、切断された塊の検査ユニットへの自由な流れが促進される。このことにより、切断された塊は、ナイフによる切断によって得られる形状で、ナイフ刃から直接、検査ユニットに受け入れられる。切断された塊は、流出部の後かつ検査ユニットの上流において、切断された食品の塊の列(stream)に形成されてもよい。この切断された食品の塊の列は、検査のために検査ユニットを通過してもよい。
【0024】
ナイフは、ナイフの下流に配置された下流構造体と、ナイフの上流に配置された上流構造体との間に固定されていてもよい。
【0025】
下流構造体は、環形状であってもよく、切断された肉塊のためのトンネルを形成していてもよい。当該切断された肉塊は、環形状の構造体における中空の中心部を通じて移動できる。
【0026】
下流構造体は、グラインダ又はプレグラインダの組立て及び分解を容易にし得る。中心部が中空である流路によって、ナイフとホールプレートとの従来の組合せよりも妨げのない通路が設けられる。
【0027】
下流構造体は、ナイフに対して周方向に配置されていてもよく、軸方向においてナイフよりも大きな寸法を有していてもよい。代替の実施形態では、下流構造体は、軸方向において、下流方向にナイフに連続して配置される。この場合、下流構造体は、ナイフに対する環形状の接触面、すなわち、ナイフと接触する面を形成していてもよい。この接触は、特に、ナイフ刃の先端部に沿っていてもよい。
【0028】
一実施形態では、下流構造体は、ナイフと共に動く。一例では、ナイフが回転可能であり、下流構造体は、ナイフと共に回転するように接合されている。
【0029】
代替の実施形態では、ナイフのみが動く。後者の場合、ナイフは、前述の環形状の接触面に対して動く。このことにより、ナイフと接触面との間の接触点で摩耗が生じる可能性がある。したがって、下流構造体及び/又はナイフは、接触点において、摩擦低減面及び/又は耐摩耗面を有していてもよい。これは、硬い材料及び/又は摩擦の小さい材料の被覆層として設けられていてもよい。
【0030】
送り構造体は、ナイフの上流に配置された第1フィーダと、ナイフの下流に配置された第2フィーダとを有していてもよい。ここで、ナイフの下流とは、ナイフと流出部との間、又は、検査ユニットが装置に含まれる場合には、ナイフと出口との間である。
【0031】
第1フィーダは、運搬オーガであり得る。第2フィーダは、切断された塊を検査ユニットに通して運搬するように配置された、コンベアベルト等のコンベアであり得る。
【0032】
装置は、ノズルを更に有していてもよい。ノズルは、流出部の位置において、トンネルの下流位置でトンネルに接続されるように、流出部に配置されていてもよい。ノズルは、切断された食品の塊が、切断された食品の塊のストランドに形成されるように、流路の容積を制限するように構成されていてもよい。切断された食品の塊のストランドは、切断された食品の塊のストランドを検査ユニットに通過させるコンベアベルトによって、更に下流の位置に導かれてもよい。
【0033】
装置の上流部は、第1フィーダの前に配置されるとともに、ある量の食品対象物を保持し、これらの食品対象物を第1フィーダに送るように構成されたホッパであってもよい。
【0034】
検査ユニットの下流には、グラインダが配置されていてもよい。グラインダは、切断された肉塊を挽肉に挽くように構成されていてもよい。グラインダは、検査ユニットと出口との間にあってもよい。
【0035】
装置は、不要物を含む肉塊を除去するように構成された分離構造体を更に備えていてもよい。装置は、除去された肉塊から分離された肉を、検査ユニットの下流の流路、又は、肉塊の更なる検査を行うように検査ユニットの上流の流路に導入するように構成された導入構造体を備えていてもよい。
【0036】
装置は、ナイフの上流の流路、例えば、フィーダとナイフとの間に配置されたプレグラインダナイフ又はプレカッタを備えていてもよい。プレグラインダナイフは、食品の前加工を容易にする。当該食品の前加工では、より大きい食品の塊がナイフに到達する前により小さい塊に切断される。ナイフでは、より大きい塊が切断された塊に切断される。
【0037】
プレグラインダが設けられる場合、プレグラインダは、ナイフとプレグラインダとが互いに対して動かないように、ナイフから距離を空けて配置されていてもよい。このことにより、ナイフ及びプレグラインダの摩耗が低減される。
【0038】
前述の上流構造体は、プレグラインダ、又は、プレグラインダとナイフとの間に配置されたディスタンスリングによって構成され得る。上流構造体は、特に、プレグラインダとナイフとを分離するように、プレグラインダナイフとナイフとの間に配置されていてもよい。一実施形態では、上流構造体は、開口した中心部を有する環形状を有する。プレグラインダは、開口した中心部を通って動くことができる。上流構造体は、プレグラインダナイフ及びナイフの少なくとも一方に接触してもよく、例えば、前述の回転刃の先端部に接触してもよい。上流構造体は、プレグラインダが軸方向においてプレグラインダの残りの部分よりも寸法の大きい円周部を有するように、プレグラインダナイフと一体に形成されていてもよい。
【0039】
前述したように、ナイフは、一体化された円周リムを有していてもよい。このリムは、軸方向においてナイフの刃よりも大きい寸法を有していてもよい。このことは、本質的に、ナイフと一体で形成されたディスタンスリングの一体化に対応する。このような一体化されたディスタンスリングには、肉挽機における部品の数が減少することにより、組立て、分解、清掃、及びメンテナンスが複雑にならないという利点がある。
【0040】
本開示は、第2態様において、肉の加工方法を提供する。当該方法は、切断された肉塊を提供するように、回転ナイフを横切って下流方向に肉を送り込むことと、切断された肉塊を検査し、不要物を検出することと、検出された不要物を除去することと、を含む。当該方法は、切断された肉塊を挽き、挽肉を提供することを任意に含む。
【0041】
検出された不要物を除去することには、検出された不要物を含む、切断された食品の塊の一部を除去することが含まれていてもよい。
【0042】
本方法は、除去された物体から肉を分離するステップと、分離された肉を挽くステップと、を含んでいてもよい。
【0043】
本方法は、本開示の第1態様に係る装置から暗示されるステップのいずれかを含んでいてもよい。
【0044】
加工される食品対象物は、肉、例えば重量が4kg以下の肉の部分等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施形態は、図面を参照しながら更に説明される。
【0046】
【
図1】
図1は、肉挽機の軸方向に沿った断面の斜視図である。
【
図4】
図4は、流路用のナイフセットを示す図である。
【
図6】
図6は、ナイフの代替の実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、ナイフの代替の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8は、検査ユニットを備えた装置を示す図である。
【
図9】
図9は、検査ユニットとグラインダとを備えた装置を示す図である。
【
図10】
図10は、第1フィーダとナイフとノズルとを備えた装置の一部を示す図である。
【
図11】
図11は、検査ユニットを備えた装置を示す図である。
【
図12】
図12は、検査ユニットと分離構造体と導入構造体とを備えた装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
<実施形態の詳細な説明>
本発明の実施形態を示す一方で、詳細な説明及び具体的な例は、例示のみのために提供されると理解されるべきである。この詳細な説明から、本発明の精神及び本発明の範囲内における様々な変更及び修正が当業者によって明らかであるためである。
【0048】
本開示の装置は、任意の種類の食品対象物を加工するためのものであり得る。しかしながら、特に、不要物が発見され得る食品対象物を加工するのに有利であってもよい。当該食品対象物は、特に、不要な種等を有する可能性のある野菜又は果物を含む。当該食品対象物は、不要な骨又は軟骨を有する可能性のある肉が含まれてもよい。当該食品対象物は、切断された塊又は刻まれた塊に加工される任意の種類の食品であってもよい。
【0049】
以下では、食品対象物を加工するためのこのような装置の例として、好ましくは食肉加工工場において大量の肉を加工するために構成された、肉挽機1について説明する。
【0050】
図1は、断面斜視図である。
図2は、分解図である。
図3は、断面を示す側面図である。図において、同じ番号は、肉挽機の同じ特徴に付される。
【0051】
肉挽機は、矢印4で示す軸方向に延びる筐体3によって形成された流路2を有する。筐体は、肉塊が肉挽機に進入する入口5から、挽かれた肉が挽機から排出される流出部6に延びている。
【0052】
流路には、スクリュフィーダ7が配置されている。スクリュフィーダ7は、肉を流路に通して軸方向に送り込む。スクリュフィーダは、図示しない電気モータによって駆動される。
【0053】
スクリュフィーダは、プレグラインダ8及びナイフ9を駆動する。本明細書では、スクリュフィーダ、プレグラインダ、及びナイフを「グラインダトレイン(grinder train)」と呼ぶ。グラインダトレインは、ロックナット10によって流路に固定されている。ロックナット10は、ねじによって、フランジ11を介して筐体3に取り付けられている。フランジによって、長さの異なるグラインダトレインを適合させることができる。
【0054】
グラインダトレインは、上流構造体及び下流構造体を形成する2つのディスタンスリング12,13を有する。2つのディスタンスリングのうち、上流構造体である第1ディスタンスリング12は、プレグラインダとナイフとの間に配置され、ナイフの上流側にフィーダに対する間隙を設ける。2つのディスタンスリングのうち、下流構造体である第2ディスタンスリング13は、ナイフとロックナット10との間に配置され、ナイフの下流側に流出部に対する間隙を設ける。2つのディスタンスリングの各々には、肉がディスタンスリングを通って流れるための内部流路14,15が形成されている。
【0055】
肉挽機は、Dナット16と、ベアリング17とを更に備えている。ベアリング17は、スクリュフィーダ先端部18と係合することにより、スクリュフィーダの端部において、プレグラインダ及びナイフを支持して回転駆動するように構成されている。肉挽機は、入口において肉挽機を電力及び肉の供給源に接続し、反対側の端部においてフランジ11を筐体に接続する連結リング19,20を更に備えている。
【0056】
スプライン21は、第1ディスタンスリング12、プレグラインダ8、及びフランジ11における溝と係合することにより、第1ディスタンスリング12及びプレグラインダ8が回転するのを防止する。
【0057】
図4は、流路用のナイフセットを示す図である。ナイフセットは、ナイフ9とディスタンスリング12とを有する。
【0058】
この図には、スプライン21と係合するための切欠部22が明確に示されている。切欠部とスプラインとの係合により、ディスタンスリングの回転が防止される。
【0059】
ナイフは、ハブ23と3つの刃24とを有する。ハブは、回転軸まわりに回転するように構成されている。刃の各々は、刃の取付部25、すなわち、刃がハブに取り付けられているところから、中央部26を介して、刃が径方向外側で終わりをなす先端部27に、放射状に延びている。
【0060】
図5に示すように、刃の各々には、軸方向の面29と接線方向の面30との間に延びる切断縁部28が形成されている。軸方向の面29は、回転軸の方向を向いている。接線方向の面は、軸方向及び径方向に対して直交する方向を向いている。回転軸は、鎖線31で示されている。径方向は、矢印32で示されている。
【0061】
図6及び
図7は、ナイフの代替の実施形態を示す図である。本実施形態では、ナイフ33は、ハブ34と、ハブから放射状に延びる一体刃35とを有する。刃の各々は、分離した切断部品36を取り付けるための取付具を有する。各切断部品には、切断縁部37が形成されている。ディスタンスリング38は、リベット39によって刃に固定され、ナイフと共に回転する。したがって、ディスタンスリングは、ナイフに一体化され、ナイフに隣接するこれらの要素に接触して回転する。ディスタンスリングは、低摩擦材料、例えば、真鍮から形成される。分離した切断部品36は、取付け時に、固定具に対してスライドされ、ナイフ機構の最外部である、一体刃25の端部を残すように、一体刃35の固定具に取り付けられる。
【0062】
図8は、検査ユニット40を備えた食品加工装置の断面図である。検査ユニットは、ナイフの下流に配置されている。装置は、流出部と検査ユニットとの間の妨げのない通路(unhindered passage)を画定する流路延長部を有する。
【0063】
切断された塊41は、流出部から排出され、検査ユニットに受け入れられる。検査ユニットでは、X線又は当技術分野において既知の同様の技術によって、不要物が検出される。
【0064】
切断された塊は、ナイフを離れたときに得られたサイズで受け入れられる。肉はナイフによって切断され、ナイフの後に妨げ(hindrance)がないので、塊は、従来のナイフとホールプレートとの組合せによって得られるミンチと比較して、相対的に大きい。
【0065】
送り構造体は、ナイフの上流に配置された第1フィーダを有する。第1フィーダは、肉を押してナイフ9に通す運搬オーガ7である。送り構造体は、ナイフ9の下流において、切断された塊41を検査ユニット40に通して運搬するように配置されたコンベア形式の第2フィーダ42を有する。肉は、異なる機構によって運搬されたり、スクリーン43によって向きを変えられたりしたとしても、流路を通って妨げられることなく流れることができる。ナイフ9の後には、ホールプレートはない。
【0066】
図9は、検査ユニット40の下流に配置されたグラインダ44を更に備えた装置を示す図である。当該装置は、切断された肉塊41を挽肉45に挽くように構成されている。切断された肉塊41は、検査ユニット40における検査の後に刻まれる。したがって、不要物は、刻まれる前に除去される。
【0067】
図10は、管46を備えた加工装置の一部を示す図である。管46は、運搬オーガ、プレカッタ8、ナイフ9、及びノズル47を保持するように構成されている。矢印48は、食品対象物の流れる方向を示す。プレカッタ8及びナイフ9は、管46の中に配置される。ノズル47は、第1フィーダの最後の部分として配置されている。プレカッタ8は、食品を、後にナイフ9によって更に切断される小さな断片に分割する。ここでは、ナイフ9は、3つのナイフ刃を有するリングナイフとして説明される。ノズル47は、切断された食品の塊を、切断された食品の塊の列(stream)のように形成することができる。このような切断された食品の塊の列は、例えば、約60mmの高さと、約250mmの幅をそれぞれ有していてもよい。ノズルは、切断された食品の塊の列を第2フィーダ(例えば、
図11参照)に送ってもよい。当該第2フィーダは、切断された食品の塊の列を検査ユニット(例えば、
図11参照)に向けて運搬する。プレカッタ8は、本装置の一部である必要はない。ノズル47は、本装置の一部である必要はなく、図示されたものとは異なるように構成され、他の形状及び/又は寸法の、切断された食品の塊の列を形成することができる。
【0068】
図11は、肉の部分(meat parts)等の食品が入れられるホッパ49を備えた装置の一実施形態を示す図である。ホッパ49は、食品対象物のための緩衝として機能する。食品対象物は、ホッパ49から、ここでは運搬オーガとして示される第1フィーダ7に送られる。当該運搬オーガは、食品対象物をナイフ9に導き、更にノズル47に導く。ナイフ9では、食品対象物は、食品の塊に切断される。ノズル47は、食品の塊を切断された食品の塊の列50に成形する。切断された食品の塊の列50は、ここでは運搬ベルトとして説明される第2フィーダ42によって運搬される。当該運搬ベルトは、切断された食品の塊の列50を、切断された食品の塊の列50の中の不要物を検出する検査ユニット40を通して運搬する。矢印48は、装置において食品が流れる方向を示す。同様の装置は、切断された食品の塊の列にされない切断された食品の塊に使用されてもよい。
【0069】
図12は、
図11の実施形態の一部に加えて、分離構造体と導入構造体とを示す図である。当該分離構造体は、切断された食品の塊の列50から不要物を除去するように構成されている。当該導入構造体は、肉をグラインダ44に導くように、不要物を含まない切断された食品の塊の列50を検査ユニットの下流の流路に戻すように構成されている。
【0070】
検査ユニット40によって、切断された食品の塊の列50の中に不要物が検出されると、切断された食品の塊の列50は、検査ユニット40が不要物を検出した領域において、ナイフ51によって切断される。ナイフ51は、例えば、湾曲したスライサ刃を有するスライサナイフ等である。ナイフ51は、切断された食品の塊の列50における不要物の前及び後を切断する。その結果、切断された食品の列の切り出し部52が生じる。ナイフ51による切断は、切断された食品の塊の列50を運搬する2つのコンベアベルトの間など、2つのフィーダ42の間に設けられた通路を通して行われてもよい。切断された食品の列の切り出し部52は、2つのフィーダ42の間の通路を通って落下でき、他のコンベアベルト53又は箱(図示せず)に到達してもよい。
【0071】
切り出し部52は、矢印54で示す上流方向に運搬されてもよい。さらに、切り出し部52は、ハンドリング領域55において、それぞれ例えば30~400gの重量を有し得る切り出し部52が、より小さいサイズの食品対象物56になり、その結果、不要物を含まないより小さいサイズの食品対象物56と、不要物を含むより小さいサイズの食品対象物57とになるように、取り扱われてもよい。より小さいサイズの食品対象物56,57は、更なるコンベア、例えば、コンベアベルト58に導かれる。コンベアベルト58は、コンベアベルト42の近傍に配置され、検査ユニット40を通過した、切断された食品の塊の列50に向かうものであってもよい。
【0072】
コンベアベルト58は、矢印62で示す下流方向に走行している。より小さいサイズの食品対象物56,57は、検査ユニット40によって検査される。不要物を含まないより小さいサイズの食品対象物56は、グラインダ44に導かれるように、検査ユニット40の下流の流路に導入される。不要物を含むより小さいサイズの食品対象物57は、例えば、コンベアベルト58とコンベアベルト61との間に一時的な開口を形成することにより、例えば箱60に廃棄される。
【0073】
図において、点線の矢印は、切り出し部52がナイフ51の切断領域からコンベアベルト53に向かうことを示す。コンベアベルト58は、検査ユニット40を通過する第2フィーダ42に応じた正しい高さ(level)で示していないことを説明するために、鎖線で示されている。コンベアベルト58と、検査ユニット40の下に配置された第2フィーダ42とは、同じ高さにあることが好ましい。
【0074】
同様の装置は、切断された食品の塊の列にされていない、切断された食品の塊に使用されてもよい。
【0075】
<実施形態>
1.送り構造体(7,42)と、ナイフ(9)と、を備える食品加工装置(1)であって、
送り構造体(7,42)は、流路の入口から流出部に下流方向に食品対象物を運搬するように配置され、
ナイフ(9)は、流路において食品対象物を切断するように構成され、切断された塊(41)を提供し、
流路は、ナイフ刃と流出部との間の妨げのない通路を画定して、切断された塊のナイフから離れた自由な流れを促進する、
食品加工装置(1)。
【0076】
2.切断された塊の中の不要物を検出するように構成された検査ユニット(40)を更に備える、実施形態1に記載の食品加工装置。
【0077】
3.送り構造体は、切断された塊を流出部から出口に至る流路延長部において運搬するように配置され、
検査ユニットは、ナイフ刃と出口との間に配置される、
実施形態2に記載の食品加工装置。
【0078】
4.流路延長部は、流出部と検査ユニットとの間の妨げのない通路を画定して、検査ユニットへの切断された塊の自由な流れを促進し、
切断された塊は、回転ナイフ刃による切断によって得られる形状で、ナイフ刃から直接、検査ユニットに受け入れられる、
実施形態3に記載の食品加工装置。
【0079】
5.ナイフは、ナイフの下流に配置された下流構造体と、ナイフの上流に配置された上流構造体との間に固定され、
下流構造体は、ナイフに対する環形状の接触面と、切断された塊のためのトンネルとを形成する、
実施形態1~4のいずれか1つに記載の食品加工装置。
【0080】
6.送り構造体は、ナイフの上流に配置された第1フィーダ(7)と、ナイフの下流に配置された第2フィーダ(42)と、を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の食品加工装置。
【0081】
7.第1フィーダは、運搬オーガである、実施形態6に記載の食品加工装置。
【0082】
8.第2フィーダは、切断された塊を検査ユニットに通して運搬するように配置されたコンベアである、実施形態2及び実施形態6、又は、実施形態2及び実施形態7に記載の食品加工装置。
【0083】
9.検査ユニットの下流に配置され、切断された肉塊を挽肉に挽くように構成されたグラインダを更に備える、実施形態2~8のいずれか1つに記載の食品加工装置。
【0084】
10.不要物を含む塊を除去するように構成された分離構造体を更に備える、実施形態1~9のいずれか1つに記載の食品加工装置。
【0085】
11.除去された塊から分離された肉を、検査ユニットの下流の流路に導入するように構成された導入構造体を更に備える、実施形態10に記載の食品加工装置。
【0086】
12.ナイフの上流に配置されたプレグラインダナイフを更に備える、実施形態1~11のいずれか1つに記載の食品加工装置。
【0087】
13.送り構造体と、ナイフと、を備える食品加工装置であって、
送り構造体は、流路の入口から流出部に上流方向に食品対象物を運搬するように配置され、
ナイフは、流路において食品対象物を切断するように構成され、切断された塊を提供し、
流路は、ナイフ刃と流出部との間の妨げのない通路を画定して、切断された塊のナイフから離れた自由な流れを促進する、
食品加工装置。
【0088】
14.切断された肉塊を提供するように、回転ナイフを横切って上流方向に肉を送り込むことと、
切断された肉塊を検査し、不要物を検出することと、
検出された不要物を除去することと、
切断された肉塊を挽き、挽肉を提供することと、
を含む、肉の加工方法。
【0089】
15.除去された物から肉を分離し、分離された肉を挽く、実施形態14の加工方法。