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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ガラスシート急冷構成
(51)【国際特許分類】
   C03B 27/044 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
C03B27/044
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021539911
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020013081
(87)【国際公開番号】W WO2020146729
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】62/790,976
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507367091
【氏名又は名称】グラステック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュナーベル,ジュニア,ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ニシュケ,ディーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニシュケ,デイビッド ビー.
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0189290(US,A1)
【文献】特表2010-511583(JP,A)
【文献】米国特許第4526605(US,A)
【文献】特開昭60-77135(JP,A)
【文献】米国特許第4767434(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/00-35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートを急冷するための急冷構成であって、
上側主急冷ヘッド及び下側主急冷ヘッドを有する主急冷ステーションと、
前記主急冷ステーションの下流に位置する第1下側二次急冷ヘッドと、
前記第1下側二次急冷ヘッドの下流に位置する第2下側二次急冷ヘッドと、
前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドの上方に位置する上側二次急冷システムと、
前記第2下側二次急冷ヘッドの上方に位置するコンベヤと、
ガラスシートを受けるための急冷リングと、
前記主急冷ステーションの前記上側急冷ヘッド及び前記下側急冷ヘッドの間に前記急冷リングを配置し、かつ、前記急冷リングを前記第1下側二次急冷ヘッドの上方の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、を備え、
前記主急冷ステーションは、ガラスシートが前記急冷リングに配置されかつ前記上側主急冷ヘッド及び前記下側主急冷ヘッドの間に位置するとき、前記ガラスシートを冷却するように動作可能であり、次いで、前記アクチュエータは、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間で前記ガラスシートのさらなる冷却を行うために、前記急冷リングを前記第1下側二次急冷ヘッドの上方の位置に移動させるように動作可能であり、前記急冷構成は、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間で前記ガラスシートのさらなる冷却を行うために、前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドの上方に配置するように動作可能であり、次いで、前記コンベヤは、前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドから遠ざけるように動作可能であり、
前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、及び前記上側二次急冷システムのうちの少なくとも1つは、前記主急冷ステーションの下流での前記ガラスシートの冷却を促進するように、前記ガラスシートのサイズ又は前記主急冷ヘッドのサイズに基づいて、前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように横方向に可動である、
急冷構成。
【請求項2】
前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、及び前記上側二次急冷システムのうちの少なくとも1つに冷却流体を供給するための流体供給システムをさらに備え、
前記流体供給システムは、前記流体供給システムの構成を調整するように構成された可動部分を含む、請求項1に記載の急冷構成。
【請求項3】
前記流体供給システムの前記可動部分は、空気圧シールを有する、請求項2に記載の急冷構成。
【請求項4】
前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、及び前記上側二次急冷システムのうちの前記少なくとも1つの、前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように横方向の移動を促進するための、ローラシステムをさらに備える、請求項1に記載の急冷構成。
【請求項5】
前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、及び前記上側二次急冷システムのうちの前記少なくとも1つを、前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように横方向に移動させるための、アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の急冷構成。
【請求項6】
前記上側二次急冷システムと前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドとの間に配置された追加コンベヤをさらに備え、
前記追加コンベヤは、前記ガラスシートを前記第1下側二次急冷ヘッドの上方の位置から前記第2下側二次急冷ヘッドの上方の位置に移動させるように構成されている、請求項1に記載の急冷構成。
【請求項7】
前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドのそれぞれに冷却流体を供給するための流体供給システムと、前記上側二次急冷システムに冷却流体を供給するための追加流体供給システムと、をさらに備え、
前記流体供給システム及び前記追加流体供給システムは、協働して、前記急冷リングが前記第1下側二次急冷ヘッドの上方に配置されたとき、前記急冷リングから前記追加コンベヤへの前記ガラスシートの移送を促進し、かつ、前記ガラスシートが前記第2下側二次急冷ヘッドの上方の位置に移動された後、前記追加コンベヤから前記コンベヤへの前記ガラスシートの移送を促進するように構成されている、請求項6に記載の急冷構成。
【請求項8】
前記流体供給システムは、前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドのそれぞれに可変圧力で冷却流体を供給するように構成されており、
前記追加流体供給システムは、冷却流体を一定の圧力で前記上側二次急冷システムに供給するように構成されている、請求項7に記載の急冷構成。
【請求項9】
前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドを前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように移動させるため、かつ、前記上側二次急冷システムを前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように移動させるための、少なくとも1つのアクチュエータをさらに備える、請求項7に記載の急冷構成。
【請求項10】
前記流体供給システムは、前記流体供給システムの長さを調整するように構成された可動部分を有し、
前記追加流体供給システムは、前記追加流体供給システムの長さを調整するように構成された追加の可動部分を有する、請求項9に記載の急冷構成。
【請求項11】
各可動部分は、空気圧シールを有する伸縮部分として構成されている、請求項10に記載の急冷構成。
【請求項12】
前記急冷リングを支持する急冷シャトルと、前記急冷リングの下流側の、前記急冷シャトルの一部分に取り付けられた少なくとも1つの下側支持部材と、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に配置された少なくとも1つの上側支持部材と、冷却流体を前記第1下側二次急冷ヘッドに供給するための流体供給システムと、をさらに備え、
前記流体供給システムは、前記急冷リングが前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に配置されたとき、前記急冷リングから前記少なくとも1つの上側支持部材への前記ガラスシートの移送を促進するように動作可能であり、
前記流体供給システムは、前記急冷リングが前記主急冷ステーションの前記上側主急冷ヘッド及び前記下側主急冷ヘッドの間の位置に戻された後、前記少なくとも1つの上側支持部材から前記少なくとも1つの下側支持部材への前記ガラスシートの移送を促進するようにさらに動作可能である、請求項1に記載の急冷構成。
【請求項13】
前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に配置された少なくとも1つの追加上側支持部材をさらに備え、
前記流体供給システムは、冷却流体を前記第2下側二次急冷ヘッドに供給するようにさらに構成され、
前記流体供給システムは、前記少なくとも1つの下側支持部材が前記第2下側二次急冷ヘッドの上方に配置されたとき、前記少なくとも1つの下側支持部材から前記少なくとも1つの追加上側支持部材への前記ガラスシートの移送を促進するように動作可能である、請求項12に記載の急冷構成。
【請求項14】
冷却流体を前記上側二次急冷システムに供給するための追加流体供給システムをさらに備え、
前記追加流体供給システムは、前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドから遠ざけるために、前記流体供給システムと協働して、前記少なくとも1つの追加上側支持部材から前記第2下側二次急冷ヘッドの上方に配置された前記コンベヤへの前記ガラスシートの移送を促進する、請求項13に記載の急冷構成。
【請求項15】
前記上側二次急冷システムは、前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドのそれぞれの上方に配置された第1上側二次急冷ヘッド及び第2上側二次急冷ヘッドを有し、
前記追加流体供給システムは、前記第1上側二次急冷ヘッド及び前記第2上側二次急冷ヘッドのそれぞれに接続された第1流体供給セクション及び第2流体供給セクションを有し、
前記第1流体供給セクション及び前記第2流体供給セクションのそれぞれは、可変圧力で冷却流体を供給するように構成されている、請求項14に記載の急冷構成。
【請求項16】
前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記第2下側二次急冷ヘッドを前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように移動させるため、かつ、前記上側二次急冷システムを前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように移動させるための、少なくとも1つのアクチュエータをさらに備える、請求項14に記載の急冷構成。
【請求項17】
前記流体供給システムは、前記流体供給システムの長さを調整するように構成された可動部分を有し、
前記追加流体供給システムは、前記追加流体供給システムの長さを調整するように構成された追加の可動部分を有する、請求項16に記載の急冷構成。
【請求項18】
各可動部分は、空気圧シールを有する伸縮部分として構成されている、請求項17に記載の急冷構成。
【請求項19】
成形されたガラスシートを急冷構成で急冷するための方法であって、
加熱されて成形されたガラスシートを受けるために、急冷リングを曲げステーションに移動させることと、
前記ガラスシートが主急冷ステーションの上側急冷ヘッド及び下側主急冷ヘッドの間に位置するように、前記急冷リングにある前記ガラスシートを前記曲げステーションから前記主急冷ステーションに移動させることと、
前記ガラスシートを冷却するために、前記上側主急冷ヘッド及び前記下側主急冷ヘッドを通して冷却流体を供給することと、
前記急冷リングにある前記ガラスシートを第1下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることであって、前記第1下側二次急冷ヘッドは、前記主急冷ステーションの下流に位置する、ことと、
前記ガラスシートをさらに冷却するために、前記第1下側二次急冷ヘッド及び前記上側二次急冷システムを通して冷却流体を供給することと、
前記ガラスシートを第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることであって、前記第2下側二次急冷ヘッドは、前記第1下側二次急冷ヘッドの下流に位置する、ことと、
前記ガラスシートをさらに冷却するために、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムを通して冷却流体を供給することと、
移送コンベヤによって前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドから遠ざけることと、
を含み、
前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、及び前記上側二次急冷システムのうちの少なくとも1つは、前記主急冷ステーションの下流での前記ガラスシートの冷却を促進するように、前記ガラスシートのサイズ又は前記主急冷ヘッドのサイズに基づいて、前記主急冷ステーションに向かう又は離れるように横方向に可動である、
方法。
【請求項20】
前記急冷リングにある前記ガラスシートが前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に配置されたとき、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記第2下側二次急冷ヘッドとの間に延びる上側コンベヤに前記急冷リングから前記ガラスシートを移送するために、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間の前記冷却流体の相対圧力差を増加させることをさらに含み、
前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることは、前記上側コンベヤを使用して行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ガラスシートが前記上側コンベヤにあり、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に位置決めされるとき、前記上側コンベヤから前記移送コンベヤに前記ガラスシートを移送するために、前記上側二次急冷システムと前記第2下側二次急冷ヘッドとの間の前記冷却流体の相対圧力差を増加させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記急冷構成が、前記急冷リングを移動させるための前記急冷リングに関連するシャトルを備え、前記方法は、前記急冷リングにある前記ガラスシートが前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に位置決めされるとき、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に位置決めされた少なくとも1つの上側支持体に前記急冷リングから前記ガラスシートを移送するために、前記第1下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間での前記冷却流体の相対圧力差を増加させ、その後、前記急冷リングが前記主急冷ステーションの前記上側主急冷ヘッド及び前記下側主急冷ヘッドの間の位置に戻された後、前記急冷リングの下流に位置された前記シャトルの部分に取り付けられた少なくとも1つの下側支持部材に前記少なくとも1つの上側支持部材から前記ガラスシートを移送するために、前記上側二次急冷システムと前記第1下側二次急冷ヘッドとの間での前記冷却流体の相対圧力差を増加させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ガラスシートを前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることが、前記シャトルを移動させることを含み、前記方法は、前記ガラスシートが前記少なくとも1つの下側支持部材に支持され、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に位置決めされるとき、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間に位置決めされた少なくとも1つの追加上側支持部材に前記少なくとも1つの下側支持部材から前記ガラスシートを移送するために、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷ヘッドとの間での前記冷却流体の相対圧力差を増加させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ガラスシートが前記少なくとも1つの追加上側支持部材に対して位置決めされるとき、前記ガラスシートを前記少なくとも1つの追加上側支持部材から前記移送コンベヤに移送するために、前記第2下側二次急冷ヘッドと前記上側二次急冷システムとの間での前記冷却流体の相対圧力差を減少させることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ガラスシートが前記急冷構成を通って搬送方向に可動であり、前記方法が、前記ガラスシートの対応する寸法よりも小さい前記搬送方向での寸法を有する追加のガラスシートの冷却を促進するために、前記第1及び第2下側二次急冷ヘッド並びに前記上側二次急冷システムを前記主急冷ステーションに向けて移動させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び第2下側二次急冷ヘッド及び前記上側二次急冷システムを前記主急冷ステーションに向けて移動させることが、1つ又は複数のローラシステムを使用して前記第1及び第2下側二次急冷ヘッド及び前記上側二次急冷システムを移動させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記急冷構成が、前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、又は前記上側二次急冷システムの少なくとも1つに冷却流体を供給するための流体供給システムを含み、前記流体供給システムが、前記主急冷システムに向かう及び離れる前記第1下側二次急冷ヘッド、前記第2下側二次急冷ヘッド、又は前記上側二次急冷システムの前記少なくとも1つの移動に対処するために前記流体供給システムの構成を調整するように構成された可動部分を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記ガラスシートのサイズに基づいて前記主急冷ヘッドを選択することと、前記主急冷ステーションに前記主急冷ヘッドを取り付けることと、前記主急冷ヘッドのサイズに基づいて、前記主急冷ステーションに対して前記下側二次急冷ヘッド及び前記上側二次急冷システムを位置決めすることとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年1月10日に出願された米国仮特許出願第62/790,976号の利益を主張するものであり、上記出願の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、ガラスシートを急冷するための急冷構成に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
成形されたガラスシートを急冷して、それらの機械的特性を高めることができる。そのような成形されたガラスシートは、車両のサイドウィンドウ及びバックウィンドウとして、並びに建築用途など他の用途でも使用することができる。例示的な急冷方法及び装置は、米国特許第8,074,473号に開示されており、その特許全体を参照により本明細書に援用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示によるガラスシートを急冷するための急冷構成は、上側及び下側主急冷ヘッドを有する主急冷ステーションと、主急冷ステーションの下流に位置される第1の下側二次急冷ヘッドと、第1の下側二次急冷ヘッドの下流に位置される第2の下側二次急冷ヘッドと、第1及び第2の下側二次急冷ヘッドの上方に位置決めされる上側二次急冷システムとを含むことがある。急冷構成は、第2の下側二次急冷ヘッドの上方に位置されるコンベヤと、ガラスシートを受け取るための急冷リングと、主急冷ステーションの上側及び下側急冷ヘッドの間に急冷リングを位置決めして、第1の下側二次急冷ヘッドの上方の位置に急冷リングを移動させるように構成されたアクチュエータとをさらに含むことがある。主急冷ステーションは、ガラスシートが急冷リングに位置決めされ、上側及び下側主急冷ヘッドの間に位置されるとき、ガラスシートを冷却するように動作可能であり得る。次いで、アクチュエータが、急冷リングを第1の下側急冷ヘッドの上方の位置に移動させるように動作可能であり得て、それにより第1の下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムとの間でガラスシートのさらなる冷却を行うことができる。急冷構成は、ガラスシートを第2の下側二次急冷ヘッドの上方に位置決めするように動作可能であり得て、それにより、第2の下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムとの間でガラスシートのさらなる冷却を行うことができる。次いで、コンベヤが、ガラスシートを第2の下側二次急冷ヘッドから離れるように移動させるように動作可能であり得る。さらに、第1の下側二次急冷ヘッド、第2の下側二次急冷ヘッド、又は上側二次急冷システムの少なくとも1つが、ガラスシートのサイズ又は主急冷ヘッドのサイズに基づいて、主急冷ステーションに向かう及び離れるように横方向に可動であり得て、主急冷ステーションの下流でのガラスシートの冷却を促進する。
【0005】
本開示による成形されたガラスシートを急冷構成で急冷するための方法は、加熱されて成形されたガラスシートを受け取るために、急冷リングを曲げステーションに移動させることと、ガラスシートが主急冷ステーションの上側及び下側の主急冷ヘッドの間に位置決めされるように、急冷リングにあるガラスシートを曲げステーションから主急冷ステーションに移動させることと、ガラスシートを冷却するために、上側及び下側主急冷ヘッドを通して冷却流体を供給することと、を含むことがある。この方法は、急冷リングにあるガラスシートを第1の下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることであって、第1の下側二次急冷ヘッドが、主急冷ヘッドの下流に位置される、ことと、ガラスシートをさらに冷却するために、第1の下側二次急冷ヘッド及び上側二次急冷システムを通して冷却流体を供給することと、をさらに含むことがある。さらに、この方法は、ガラスシートを第2の下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムとの間の位置に移動させることであって、第2の下側二次急冷ヘッドが、第1の下側二次急冷ヘッドの下流に位置される、ことと、ガラスシートをさらに冷却するために、第2の下側二次急冷ヘッドと上側二次急冷システムを通して冷却流体を供給することと、を含むことがある。この方法は、移送コンベヤによってガラスシートを第2の下側二次急冷ヘッドから離れるように移動させることも含むことがある。さらに、第1の下側二次急冷ヘッド、第2の下側二次急冷ヘッド、又は上側二次急冷システムの少なくとも1つが、ガラスシートのサイズ又は主急冷ヘッドのサイズに基づいて、主急冷ステーションに向かう及び離れるように横方向に可動であり得て、主急冷ステーションの下流でのガラスシートの冷却を促進する。
【0006】
例示的実施形態を図示して開示するが、そのような開示は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び代替の設計を行うことができることが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
図1】ガラスシートを加熱するための加熱ステーションと、ガラスシートを曲げるための曲げステーションと、加熱及び成形されたガラスシートを急冷するための本開示による急冷構成とを含むガラス処理システムの概略図であって、急冷構成が、主急冷ステーションと、ガラスシートの搬送方向で主急冷ステーションの下流に位置された二次急冷ステーションとを含み、主急冷ステーションが、第1のサイズの上側及び下側主急冷ヘッドを有して示されている、図である。
図2】二次急冷ステーションの第1の下側二次急冷ヘッドの斜視図であって、第1の下側二次急冷ヘッドが、第1の下側二次急冷ヘッド本体と、第1の下側二次急冷ヘッド本体の反対側に位置決めされた2つの翼とを含む、図である。
図3図2に示される第1の下側二次急冷ヘッドの正面図であって、翼がそれぞれ、実線で示される平坦位置から想像線で示される上昇位置まで可動である、図である。
図4】可動伸縮部分を含む急冷構成の流体供給システムの一部分の断面図である。
図5図1のガラス処理システムの概略図であるが、主急冷ステーションは、図1に示される主急冷ステーションによって急冷されるガラスシートの対応する寸法よりも小さい搬送方向での寸法を有する急冷ガラスシートのための、第1のサイズよりも小さい第2のサイズの上側及び下側主急冷ヘッドを含み、第2の急冷ステーションが、主急冷ヘッドのより小さいサイズを補償するために曲げステーションに向けて移動されて示されている、図である。
図6A】ガラスシートを加熱するための加熱ステーションと、ガラスシートを曲げるための曲げステーションと、加熱及び成形されたガラスシートを急冷するための本開示による急冷構成の第2の実施形態とを含むガラス処理システムの概略図であって、急冷構成が、主急冷ステーションと、ガラスシートの搬送方向で主急冷ステーションの下流に位置された二次急冷ステーションとを含み、主急冷ステーションが、第1のサイズの上側及び下側主急冷ヘッドを有して示されている、図である。
図6B図6Aに示されるガラス処理システムの拡大部分図であって、急冷リング及び対応する急冷シャトルを、図6Aに示されるそれらの構成要素の位置と比較して下流にシフトされた状態で示す図である。
図7図6Aのガラス処理システムの概略図であるが、主急冷ステーションは、図6Aに示される主急冷ステーションによって急冷されるガラスシートの対応する寸法よりも小さい搬送方向での寸法を有する急冷ガラスシートのための、第1のサイズよりも小さい第2のサイズの上側及び下側主急冷ヘッドを含み、第2の急冷ステーションが、主急冷ヘッドのより小さいサイズを補償するために曲げステーションに向けて移動されて示されている、図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
必要に応じて、詳細な実施形態を本明細書に開示する。しかし、開示する実施形態は単に例示的なものにすぎず、様々な代替の形態を採用することができることを理解されたい。図面は、必ずしも縮尺通りには描かれていない。特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張又は最小化されていることがある。したがって、本明細書に開示する具体的な構造的及び機能的な詳細は、限定的なものと解釈すべきではなく、単に当業者に教示するための代表的な基本形態と解釈すべきである。
【0009】
太陽光発電用途のガラスミラーパネル、車両のリアウィンドウ、サイドウィンドウ、又は任意の他の適切な製品などガラスシート製品の製造中、機械的特性を高めるために、加熱されたガラスシートを急冷することが望ましいことがある。例えば、焼戻し又は強化を提供するために、ガラスシートが急冷されることがある。本開示では、ガラスシートを効率的に急冷してガラス処理を改良するための方法及び装置が提供される。
【0010】
図1を参照すると、ガラスシートGを処理するためのガラス処理システム10が示されている。システム10は、ガラスシートGを加熱するための加熱装置又はステーション、例えば炉12と、各ガラスシートGを所望の形状に成形する又は曲げるための成形又は曲げステーション14と、各ガラスシートGを冷却するように構成された冷却装置、例えば急冷システム又は構成16と、炉12、曲げステーション14、及び急冷構成16の動作を制御するための制御システム18とを含む。
【0011】
炉12は、ガラスシートGを加熱するための任意の適切な構成を有することがある。例えば、炉12は、コンベヤ22(例えばローラコンベヤシステム)の上方及び/又は下方に位置決めされた任意の適切な加熱要素20を含むことがある。コンベヤ22を使用して、ガラスシートGを、炉12を通して搬送方向Cで搬送することができる。より詳細な例として、加熱要素20は、電気ヒータなどの放射加熱要素、及び/又は高温ガス若しくは熱風分配器などの対流加熱要素を含むことがある。
【0012】
同様に、曲げステーション14は、各ガラスシートGを特定の形状に成形する又は曲げるための任意の適切な構成を有することができる。例えば、曲げステーション14は、加熱されたガラスシートGを受け取るための、別個のコンベヤシステムでもコンベヤ22の一部でもよいコンベヤ(図示せず)と、ガラスシートGを曲げるための、図1に概略的に示されている曲げ装置24とを有することがある。曲げ装置24は、上側プレス金型及び下側周辺プレスリングなど、1つ又は複数の適切な金型を含むことがある。曲げ装置24は、プレス金型とプレスリングとが互いに位置合わせされているときに、プレス金型をプレスリングに対して垂直に移動させるため、及び/又はプレスリングをプレス金型に対して垂直に移動させるための1つ又は複数のアクチュエータをさらに含むことがある。そのような構成では、例えば、上側プレス金型の曲面とプレスリングとの間でガラスシートGをプレス曲げ加工することができる。例示的な成形又は曲げステーションのさらなる詳細は、米国特許第4,282,026号、同第4,661,141号、同第7,958,750号、同第8,132,428号、及び同第9,452,948号に開示されており、上記特許の全体を参照により本明細書に援用する。
【0013】
急冷構成16は、曲げステーション14から各ガラスシートGを受け取り、例えば、熱強化若しくは焼戻しのために各ガラスシートGを急冷する、又は単に各ガラスシートGを冷却するように構成される。図1に示される実施形態では、急冷構成16は、一次又は主急冷ステーション26と、搬送方向Cで主急冷ステーション26の下流に位置された二次急冷ステーション28とを含む。
【0014】
主急冷ステーション26は、急冷ヘッドマウント34に取り付けられたそれぞれ下側及び上側の主急冷ヘッド30及び32を含み、急冷ヘッドマウント34は、支持構造に可動に取り付けられ、それにより、主急冷ヘッド30、32は、実線で示されている閉位置と、想像線で部分的に示されている開位置との間で可動である。例えば、各主急冷ヘッド30、32は、主急冷ヘッド30、32を他の主急冷ヘッド30、32に向けて又は離れるように移動させるためのアクチュエータ35に接続されることがある。さらに、図示の実施形態では、各主急冷ヘッド30、32は、急冷対象の各ガラスシートGと同じ全体的な形状を有し、各主急冷ヘッド30、32は、ガラスシートGに冷却流体を提供するための複数の出口を有する。
【0015】
二次急冷ステーション28は、それぞれ下側及び上側の二次急冷システム36及び37を含む。下側二次急冷システム36は、搬送方向Cで主急冷ステーション26の下流に位置された第1の下側吹出しヘッドなどの第1の下側二次急冷ヘッド38と、搬送方向Cで第1の下側二次急冷ヘッド38の下流に位置された第2の下側吹出しヘッドなどの第2の下側二次急冷ヘッド40とを含む。上側二次急冷システム37は、それぞれ第1及び第2の下側二次急冷ヘッド38及び40の上方に位置決めされ、上側二次急冷システム37は、各ガラスシートGをさらに冷却するために下側二次急冷ヘッド38及び40と協働するように構成される。図1に示される実施形態では、上側二次急冷システム37は、下側二次急冷ヘッド38、40の上に延びる単一の上側二次急冷ヘッド44を含み、各二次急冷ヘッド38、40、44は、各ガラスシートGに冷却流体を提供するための複数の出口を有する。さらに、各二次急冷ヘッド38、40、44は、急冷対象のガラスシートGに面する概して平坦な急冷面を有することがあり、上側二次急冷ヘッド44は、下側二次急冷ヘッド38及び40から約19~23cm(例えば21.6cm)離間されていることがある。別の例として、二次急冷ヘッド38、40、44の1つ又は複数は、急冷対象のガラスシートGと同じ全体的な形状を有する湾曲した急冷面を有することがある。
【0016】
図2及び3を参照すると、二次急冷ヘッド38、40、44の1つ又は複数は、対応する急冷面の形状を変えるための可動翼を含むことがある。図2及び3に示される実施形態では、第1の下側二次急冷ヘッド38は、第1の下側二次急冷ヘッド本体46と、第1の下側二次急冷ヘッド本体46の両側に枢動可能に取り付けられ、搬送方向Cに延びる可動翼48とを含む。図3を参照すると、各翼48は、搬送方向Cに垂直な方向で第1の下側二次急冷ヘッド38の急冷面の形状を変えるために、搬送方向Cに延びる軸の周りで、実線で示される平坦な位置から想像線で示される上昇位置まで枢動可能である。例えば、翼48がそれぞれ上昇位置にあるとき、第1の下側二次急冷ヘッド38は、平坦な主要部分及び角度の付いた側面部分を有することがある。同様に、第2の下側二次急冷ヘッド40及び/又は上側二次急冷ヘッド44も同様の構成を有することがある。
【0017】
図1に戻ると、第1の下側二次急冷ヘッド38、第2の下側二次急冷ヘッド40、又は上側二次急冷システム37(例えば上側二次急冷ヘッド44)の少なくとも1つは、主急冷ステーション26の下流のガラスシートGの冷却を促進するために、急冷対象のガラスシートGのサイズ及び/又は主急冷ヘッド30及び32のサイズに基づいて、主急冷ステーション26に向かう及び離れるように横方向に可動であり得る。図示の実施形態では、二次急冷ヘッド38、40、及び44はすべて、1つ又は複数の支持構造に可動に取り付けられ、したがって、二次急冷ヘッド30、40、及び44は、主急冷ステーション26に向かう及び離れるように可動である。例えば、下側二次急冷ヘッド38及び40は、互いに、及びアクチュエータ50に固定接続されて、両方の下側二次急冷ヘッド38及び40を一緒に、主急冷ステーション26に向かう及び離れるように支持構造に対して移動させることができる。さらに、上側二次急冷ヘッド44は、主急冷ステーション26に向かう及び離れるように支持構造に対して上側二次急冷ヘッド44を移動させるためのアクチュエータ52に接続されることがある。別の実施形態では、1つ又は複数のアクチュエータを使用して、二次急冷ヘッド38、40、及び44を1つのユニットとして一緒に移動させることができる。
【0018】
急冷構成16は、第1の下側二次急冷ヘッド38、第2の下側二次急冷ヘッド40、又は上側二次急冷システム37(例えば上側二次急冷ヘッド44)の少なくとも1つを主急冷ステーション26に向かう及び離れるように横方向に移動させるための1つ又は複数の移動促進システム、例えば滑動及びベアリングシステム又はローラシステムをさらに含む。図示の実施形態では、急冷構成16は、主急冷ステーション26に向かう及び離れる二次急冷ヘッド38、40、44の移動を可能にするための、下側二次急冷ヘッド38、40及び上側二次急冷ヘッド44のそれぞれのための1つ又は複数のローラシステム54を含む。より具体的な例として、各ローラシステム54は、二次急冷ヘッド38、40、44に回転可能に取り付けられた1つ又は複数のローラ56と、ローラの移動を案内するための固定支持構造60に取り付けられた対応するガイド58、例えばレール又はトラックとを含むことがある。別の実施形態では、各ローラシステム54は、支持構造に取り付けられた1つ又は複数のローラと、二次急冷ヘッド38、40、44に取り付けられ、ローラに対して可動な対応するガイドとを含むことがある。
【0019】
さらに、急冷構成16は、空気などの冷却流体を主急冷ステーション26及び二次急冷ステーション28に供給するための1つ又は複数の流体供給システムを含む。図示の実施形態では、急冷構成16は、主急冷ヘッド30、32のそれぞれに冷却流体を供給するための主流体供給システム62と、下側二次急冷ヘッド38及び40に冷却流体を供給するための下側二次流体供給システム64と、上側二次急冷ヘッド44に冷却流体を供給するための上側二次流体供給システム66とを含む。
【0020】
下側二次流体供給システム64又は上側二次流体供給システム66の少なくとも一方は、対応する二次急冷ヘッド38、40、44の移動を補償するために流体供給システム64、66の構成を調整するように構成された可動部分68を含むことがある。図示の実施形態では、下側二次流体供給システム64及び上側二次流体供給システム66はそれぞれ、下側二次急冷ヘッド38、40及び上側二次急冷ヘッド44の移動に対処するために、対応する二次流体供給システム64、66の長さを調整するように構成された可動部分68を含む。
【0021】
各可動部分68は、ベローズ部分又は伸縮部分など任意の適切な構成を有することができる。図1に示される実施形態では、下側二次流体供給システム64はベローズ部分70を含み、上側二次流体供給システム66は伸縮部分72を含む。別の実施形態では、下側二次流体供給システム64及び上側二次流体供給システム66はそれぞれ、ベローズ部分70又は伸縮部分72のいずれかを含むことがある。
【0022】
例示的な伸縮部分72が図4にさらに詳細に示されている。この実施形態では、伸縮部分72は、特定の二次流体供給システム64、66の第1のセクション76(例えば第1の導管セクション)に接続された重畳セクション74を含み、重畳セクション74は、二次流体供給システム64、66の第1のセクション76よりも小さいサイズ(例えば直径又は周囲長)を有する二次流体供給システム64、66の第2のセクション78(例えば第2の導管セクション)に重なるように構成される。伸縮部分72は、重畳セクション74に取り付けられた空気圧シール80も含む。空気圧シール80は、流体供給源(図示せず)に接続され、流体供給源は、それぞれ二次流体供給システム64、66の第1及び第2のセクション76及び78が互いに対して所望の位置にあるときに空気圧シール80を膨張させ、また、二次流体供給システム64、66の長さを調整するためにセクション76、78の一方が他方のセクション76、78に対して移動できるように空気圧シール80を収縮させるように動作可能である。図示の実施形態では、二次流体供給システム64、66の第2のセクション78は、二次流体供給システム64、66の第1のセクション76に伸縮自在に受け取られる。
【0023】
図1に戻ると、急冷構成16は、二次流体供給システム64、66の移動を促進するための1つ又は複数の移動促進システム、例えば滑動及びベアリングシステム又はローラシステムをさらに含むことがある。図示の実施形態では、急冷構成16は、二次流体供給システム64、66の移動を可能にするために、下側二次流体供給システム64及び上側二次流体供給システム66のそれぞれのためのローラシステム84を含む。より具体的な例として、各ローラシステム84は、特定の二次流体供給システム64、66のセクション(例えば導管セクション)に回転可能に取り付けられた1つ又は複数のローラ86と、ローラ86の移動を案内するための固定支持構造90に取り付けられた1つ又は複数の対応するガイド88、例えばレールとを含むことがある。別の実施形態では、各ローラシステム84は、支持構造に取り付けられた1つ又は複数のローラと、特定の二次流体供給システム64、66のセクション(例えば導管セクション)に取り付けられ、ローラに対して可動な対応するガイドとを含むことがある。さらに、各二次流体供給システム64、66の一部分は、対応する二次急冷ヘッド38、40、44の移動に基づいて移動するように構成されることがある。別の実施形態では、急冷構成16は、各二次流体供給システム64、66の一部分を二次流体供給システム64、66の別の部分に対して移動させるように構成された1つ又は複数の追加のアクチュエータを含むことがある。
【0024】
急冷構成16は、曲げステーション14でガラスシートGを受け取るための急冷リング92と、急冷リング92に接続又は他の方法で関連付けられ、曲げステーション14、主急冷ステーション26、及び二次急冷ステーション28の間で急冷リング92を移動させるように構成されたアクチュエータ94とをさらに含む。例えば、アクチュエータ94は、急冷リング92を支持する急冷リングシャトルに接続されることがあり、アクチュエータ94は、曲げ操作後にガラスシートGを受け取るために曲げ装置24のプレス金型の下(破線の位置)に急冷リング92を位置決めするように動作可能でよい。次いで、アクチュエータ94は、ガラスシートGが支持された急冷リング92を、曲げステーション14の壁の開口部(図1ではドア95によって覆われて示されている)を通して、初期急冷操作のために主急冷ステーション26のそれぞれ下側及び上側の主急冷ヘッド30及び32の間の位置に移動させることができる。次に、アクチュエータ94は、ガラスシートGが支持された急冷リング92を、第1の下側二次急冷ヘッド38の上方の位置(想像線で示される)に移動させることができ、それにより、第1の下側二次急冷ヘッド38と上側二次急冷システム37(例えば上側二次急冷ヘッド44)との間でガラスシートGのさらなる冷却を行うことができる。
【0025】
さらに、急冷構成16は、上側二次急冷ヘッド44とそれぞれ第1及び第2の下側二次急冷ヘッド38及び40との間に位置決めされた上側コンベヤ96と、第2の下側二次急冷ヘッド40の上方に位置された下側コンベヤ97とを含む。上側コンベヤ96は、以下でより詳細に説明するように、ガラスシートGを第1の下側二次急冷ヘッド38の上方の位置から第2の下側二次急冷ヘッド40の上方の位置に移動させるように構成され、それにより、第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷ヘッド44との間でガラスシートGのさらなる冷却を行うことができる。次いで、下側コンベヤ97は、さらなる冷却のためにガラスシートGを第2の下側二次急冷ヘッド40から離れるように移動させるように動作可能であり、又は例えば保管若しくはさらなる処理のためにガラスシートGを下側コンベヤ97から降ろすことができる。
【0026】
図示の実施形態では、上側コンベヤ96は、ガラスシートGを搬送方向Cに移動させるように構成された穿孔されたベルトコンベヤであり、上側コンベヤ96は、上側二次急冷システム37(例えば上側二次急冷ヘッド44)に取り付けられる、又は他の形で支持される。さらに、下側コンベヤ97は、ガラスシートGを搬送方向Cに垂直な方向に(例えば、図1に示される実施形態では紙面の奥又は手前に)移動させるように構成されたローラコンベヤであり、下側コンベヤ97は、第2の下側二次急冷ヘッド40に取り付けられる、又は他の形で支持される。別の実施形態では、上側コンベヤ96及び下側コンベヤ97はそれぞれ、任意の適切なコンベヤシステム(例えばローラコンベヤ又はベルトコンベヤ)でよい。さらに、下側コンベヤ97は、ガラスシートGを任意の適切な方向に(例えば搬送方向Cに平行な方向に)移動させるように構成されることがある。
【0027】
それぞれ下側及び上側の二次急冷システム36及び37は、それぞれの二次急冷ヘッド及びすべての関連構成要素をそれぞれ含むことがある。例えば、下側二次急冷システム36は、下側二次急冷ヘッド38及び40、ローラシステム54、下側二次流体供給システム64、関連のローラシステム84、及び下側コンベヤ97を含むことがある。同様に、上側二次急冷システム37は、上側二次急冷ヘッド44、関連のローラシステム54、上側二次流体供給システム66、関連のローラシステム84、及び上側コンベヤ96を含むことがある。
【0028】
上述した制御システム18は、ガラス処理システム10の様々な構成要素、例えば、炉12(例えば加熱要素20及びコンベヤ22)、曲げステーション14(例えば曲げ装置24並びに関連のアクチュエータ及びシャトル)、及び急冷構成16(例えばアクチュエータ35、50、52、及び94、流体供給システム62、64、及び66、コンベヤ96及び97など)と接続するための接続バンドルを含むことがある。さらに、制御システム18は、各ガラスシートGのプレス成形及び急冷を実施するために上記の構成要素の動作を制御するため(例えば本明細書で述べる機能によって表される特定のアルゴリズムを実施するため)の任意の適切なハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、制御システム18は、1つ又は複数の記憶装置又はメモリユニットと通信する1つ又は複数のプロセッサを含むことがあり、記憶装置又はメモリユニットは、炉12、曲げステーション14、急冷構成16などの動作を制御システム18が制御することができるように1つ又は複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む。制御システム18はさらに、又はその代わりに、1つ又は複数の特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理デバイス、及び/又はデジタル信号プロセッサを含むことがある。それらの接続の代わりに、制御システム18は、上記の構成要素の1つ又は複数に無線で接続されてもよい。
【0029】
次に、ガラス処理システム10の動作について、より詳細に述べる。まず、急冷構成16で急冷対象の各ガラスシートGのサイズ(例えば、各ガラスシートGの高さ又は搬送方向Cでの寸法)に基づいて、対応するサイズのそれぞれ下側及び上側の主急冷ヘッド30及び32を選択して、図1に示される主急冷ステーション26のマウント34に取り付けることができる。それに関して、主急冷ヘッド30、32はそれぞれ、急冷対象の各ガラスシートGのサイズ及び形状に合致する特定のサイズ及び形状を有することがある。
【0030】
主急冷ヘッド30、32の取付け中、二次急冷ステーション28は、主急冷ステーション26から離れるように移動されることがある。主急冷ヘッド30及び32がマウント34に取り付けられた後、二次急冷ステーション28が主急冷ステーション26に向けて移動されることがあり、それにより、第1の下側二次急冷ヘッド38及び上側二次急冷ヘッド44が、それぞれ下側主急冷ヘッド30及び上側主急冷ヘッド32の近位に(例えば、それぞれの主急冷ヘッド30、32から約5~7.5cm離されて)位置決めされる。例えば、下側二次急冷ヘッド38及び40並びに上側二次急冷ヘッド44は、アクチュエータ50及び52並びにローラシステム54を使用して、主急冷ステーション26に向かう又は離れるように移動させることができる。上述したように、流体供給システム64、66はまた、そのような移動を促進するように構成されることがある。例えば、各流体供給システム64、66の可動部分70、72により、流体供給システム64、66は、関連の二次急冷ヘッド38、40、44の移動に基づいて長さを調整でき、ローラシステム84は、特定の流体供給システム64、66の1つのセクションが流体供給システム64、66の別のセクションに対して移動するのを促進することがある。
【0031】
ガラスシートGの処理は、ガラスシートGを炉12のコンベヤ22に順次に装填し、ガラスシートGが炉12を通って搬送方向Cに搬送されるときにガラスシートGを加熱することを含むことがある。次に、それぞれのガラスシートGは曲げステーション14に移送されることがあり、曲げステーション14において、曲げ装置24を閉じることによってガラスシートGをプレス又は成形して所望の形状にすることができる。次いで曲げ装置24が開かれる(例えば上側プレス金型と下側プレスリングとが互いに離れるように移動される)とき、例えば上側プレス金型に加えられる真空によって、ガラスシートGを上側プレス金型に保定することができる。次いで、急冷リング92を上側プレス金型と下側プレスリングとの間で移動させることができ(急冷リング92の破線の位置を参照)、真空を下げることができ、ガラスシートGを上側プレス金型から急冷リング92に移送できるようにする。
【0032】
次に、急冷リング92をアクチュエータ94によって主急冷ヘッド30及び32の間の位置に移動させることができ、主急冷ヘッド30及び32を互いに向けて移動させることができ、それにより、各主急冷ヘッド30、32が、主急冷操作を実施するためにガラスシートGから約40~60mm(例えば50mm)離して位置決めされる。例えば、ガラスシートGが、曲げステーション14を出た後に厚さ3.8mm及び初期温度643℃を有する場合、26~45℃の範囲内の温度の空気(例えば、周囲プラント空気)及び25~30水柱インチ(IWC)の範囲内の初期圧力が、対応する主流体供給システム62によって主急冷ヘッド30、32のそれぞれに供給されることがあり、それにより、主急冷ヘッド30及び32は、ガラスシートGの初期冷却を実施するために、ガラスシートGに向けて空気を約0.5~1秒(例えば約0.75秒)送ることがある。初期空気圧は、一時的なガラスシート表面張力を約14~20MPaの範囲内に維持するように選択することができる。なぜなら、必要以上の空気圧は、より高いガラス割れ可能性及び場合によってはガラスシートGでのより顕著な光沢により、急冷構成16の性能に悪影響を及ぼすことがあるからである。この初期冷却は、第1の急冷段階と呼ばれることがある。
【0033】
次に、空気圧は、主急冷ヘッド30及び32に出入りする際に、2~2.75秒(例えば2.2~2.5秒)間、20~100%(例えば50~100%)増加されることがあり、ガラスシートGの冷却速度を上げて、急冷時間を短縮し、より高いガラス割れ可能性及び場合によってはより顕著なガラスシートGの光沢により急冷構成16の性能に悪影響を与えないようにする。例えば、ガラスシートGが厚さ3.8mmを有する場合、主急冷ヘッド30及び32に出入りする際の空気圧は、40~60IWCの範囲内の圧力に増加されることがある。主急冷ステーション26におけるこのさらなる冷却は、第2の急冷段階と呼ばれることがある。
【0034】
次いで、主急冷ヘッド30及び32を開位置に移動させることができ、ガラスシートGが支持された急冷リング92を、第1の下側二次急冷ヘッド38と上側二次急冷ヘッド44との間の位置(想像線で示される)に移送することができ、それにより、第1の下側二次急冷ヘッド38と上側二次急冷システム37との間でガラスシートGのさらなる冷却を行うことができる。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、ガラスシートGは2.4~3.4秒間冷却されることがあり、ガラスシートGが中断なく冷却され続ける。
【0035】
次に、急冷構成16は、ガラスシートGを二次急冷ステーション28の第2の下側二次急冷ヘッド40の上方に位置決めするように動作可能であり、それにより、第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷システム37との間でガラスシートGのさらなる冷却を行うことができる。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、ガラスシートGは、第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷ヘッド44との間で2.7~7.3秒間冷却されることがあり、ガラスシートGが400℃未満の温度に達する。
【0036】
図1に示される実施形態では、下側二次流体供給システム64と上側二次流体供給システム66とは、急冷リング92が第1の下側二次急冷ヘッド38の上方に位置決めされるときに、急冷リング92から上側コンベヤ96へのガラスシートGの移送を促進するように協働するように構成され、それにより、上側コンベヤ96は次いで、さらなる冷却のために、ガラスシートGを第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷ヘッド44との間の位置に移動させるように動作することができる。下側二次流体供給システム64と上側二次流体供給システム66とはまた、ガラスシートGが第2の下側二次急冷ヘッド40の上方の位置に移動された後、上側コンベヤ96から下側コンベヤ97へのガラスシートGの移送を促進するように協働するように構成され、それにより、下側コンベヤ97は次いで、さらなる冷却のためにガラスシートGを第2の下側二次急冷ヘッド40から離れるように移動させることがあり、又は保管若しくはさらなる処理のためにガラスシートGを下側コンベヤ97から降ろすことができる。
【0037】
より具体的な例として、上側二次流体供給システム66によって上側二次急冷ヘッド44に供給される流体の圧力を一定に保つことができる。例えば、上側二次急冷ヘッド44内の流体圧力は、5~7IWCの範囲内、例えば6IWCでよい。しかし、下側二次流体供給システム64は、例えばダンパ98を使用して、下側二次急冷ヘッド38及び40内の流体圧力を異なる圧力に制御することができる。図示の実施形態では、下側二次流体供給システム64は、それぞれ第1及び第2の下側二次急冷ヘッド38及び40に接続された第1及び第2の流体供給セクションを含み、各流体供給セクションは、それぞれの下側二次急冷ヘッド38、40への流体圧力を変えるための1つ又は複数のダンパ98を含む。それに関して、下側二次流体供給システム64内の流体圧力は、例えば20~35IWC(例えば26~30IWC)の範囲内でよいが、ダンパ98は、下側二次急冷ヘッド38及び40内の圧力を変更又は変化させるために異なる開位置又は閉位置に制御されることがある。一実施形態では、例えば、第1の下側二次急冷ヘッド38内の流体圧力は、4IWC~35IWC(例えば6IWC~30IWC)で変化することがあり、第2の下側二次急冷ヘッド40内の流体圧力は、0IWC~35IWC(例えば0IWC~30IWC)で変化することがある。急冷リング92にあるガラスシートGが第1の下側二次急冷ヘッド38の上方の位置に割り出されるとき、ガラスシートGが急冷リング92に留まるように、上側二次急冷ヘッド44に出入りする圧力は5~7IWC(例えば6IWC)でよく、第1の下側二次急冷ヘッド38に出入りする圧力も5~7IWC(例えば6IWC)でよい。ガラスシートGが第1の下側二次急冷ヘッド38の上方に完全に位置決めされた後、第1の下側二次急冷ヘッド38に出入りする流体圧力は、例えば26~30IWCに増加されることがあり、それにより、ガラスシートGは、急冷リング92から上側コンベヤ96に持ち上げられることがあり、それにより、急冷リング92は、曲げステーション14に戻って次のガラスシートを得ることができるようになる。この圧力差は、ガラスシートGを上側コンベヤ96まで持ち上げ、ガラスシートGの上面と下面との両方で冷却を継続するのに十分である。ガラスシートGは、第1の下側二次急冷ヘッド38の上方の位置に最大3.2秒間留まることがあり、下流のガラスシートがあればそれを上側コンベヤ96から下側コンベヤ97に移送し、第2の下側二次急冷ヘッド40の上方から離れるように搬送することを可能にする。次いで、第2の下側二次急冷ヘッド40に出入りする流体圧力を、例えば26~30IWCに上昇させることができ、それにより、上側コンベヤ96は、第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷ヘッド44との間でのさらなる冷却のために、ガラスシートGを第2の下側二次急冷ヘッド40の上の位置に移送することができる。ガラスシートGが第1の下側二次急冷ヘッド38から離れるように移動されると、二次急冷ステーション28に入る次のガラスを受け入れるように、第1の下側二次急冷ヘッド38に出入りする流体圧力を5~7IWC(例えば6IWC)に低下させることができる。さらに、第2の下側二次急冷ヘッド40と上側二次急冷ヘッド44との間でガラスシートGの十分な冷却が行われると、第2の下側二次急冷ヘッド40に出入りする流体圧力を低下させることができ(例えば、又は0IWC又はその付近)、ガラスシートGを上側コンベヤ96から下側コンベヤ97に移送し、それにより、下側コンベヤ97がガラスシートGを第2の下側二次急冷ヘッド40から離れるように輸送することができる。
【0038】
第2の急冷ステーション28でのさらなる冷却はすべて、第3の急冷段階と呼ばれることがある。さらに、二次流体供給システム64、66のそれぞれによって供給される流体(例えば空気)は、周囲温度の流体又は温度調整された流体でよい。例えば、各二次流体供給システム64、66は、26~45℃の範囲内の温度で空気を供給することができる。さらに、下側二次流体供給システム64は、下側二次急冷ヘッド38及び40に異なる流体圧力を提供するための任意の適切な手段を含むことができる。例えば、下側二次流体供給システム64は、各下側二次急冷ヘッド38、40に関して個別の流体供給源を含むことができる。
【0039】
図5を参照すると、図1に示されるガラスシートGに比べてサイズが小さい(例えば、より小さい高さ又は搬送方向Cでの寸法の)ガラスシートG’を処理することを望むとき、主急冷ステーション26は、ガラスシートG’に対して適切なサイズのそれぞれ下側及び上側の主急冷ヘッド130及び132を備えることもある。主急冷ヘッドを交換するために、まず、二次急冷ヘッド38、40、及び44を急冷ステーション26から離れるように移動させることができる。主急冷ヘッド130及び132がマウント34に取り付けられた後、二次急冷ステーション28を主急冷ステーション26に向けて移動させることができ、それにより、第1の下側二次急冷ヘッド38及び上側二次急冷ヘッド44が、それぞれ下側主急冷ヘッド130及び上側主急冷ヘッド132の近位に(例えば、それぞれの主急冷ヘッド130、132から約5~7.5cm離されて)位置決めされる。
【0040】
図5に示されるように、より小さな急冷リング192を使用して、曲げステーション14、主急冷ステーション26、及び二次急冷ステーション28の間でガラスシートG’を輸送することもできる。次いで、ガラス処理システム10の動作は、図1に関して上述したのと同様に進めることができる。
【0041】
本開示による急冷構成16では、主急冷ステーション26で使用される主急冷ヘッドのサイズに関係なく、主急冷ステーション26と二次急冷ステーション28との間隔を一定に保つことができる。したがって、急冷されるガラスシートのサイズに関係なく、ガラスシートが主急冷ステーション26と二次急冷ステーション28との間で移送されている間にガラス温度を上昇させずに、急冷操作を効率的及び効果的に行うことができる。その結果、急冷ステーション26及び28の間でガラスシートの連続冷却を行うことができ、したがって、改良された焼戻しを行うことができる(例えば、十分な粒子計数試験結果を実現することができる)。さらに、急冷ステーション26及び28で連続的に冷却し、急冷ステーション26及び28間で冷却を中断することなく、焼戻しプロセスを主急冷ステーション26で開始し、二次急冷ステーション28で完了することができる上記の構成では、完全な焼戻しを実現するための急冷時間を、典型的な急冷時間と比較して短縮することができる。例えば、特定のガラスシートに関する焼戻しプロセスを12秒から10秒に短縮することができる。
【0042】
本開示によるガラス処理システムの第2の実施形態10’が、図6A及び6Bに示されている。ガラス処理システム10’は、上述した炉12と同一又は同様でよい炉12’などの加熱ステーションと、上述した曲げステーション14と同一又は同様でよい曲げステーション14’と、本開示による急冷構成の第2の実施形態16’と、炉12’、曲げステーション14’、及び急冷構成16’の動作を制御するための、上述した制御システム18と同一又は同様でよい制御システム18’とを含む。
【0043】
急冷構成16’は、一次又は主急冷ステーション26’と、搬送方向Cで主急冷ステーション26’の下流に位置された二次急冷ステーション28’とを含む。主急冷ステーション26’は、急冷構成16に関して上述した主急冷ステーション26と同一又は同様であり、同様の構成要素は同様の参照番号で識別されるが、それらの同様の参照番号は、図6A及び6Bではそれぞれプライム記号を付されている。
【0044】
二次急冷ステーション28’は、それぞれ下側及び上側の二次急冷システム36’及び37’を含む。下側二次急冷システム36’は、急冷構成16に関して上述した下側二次急冷ステーション36と同一又は同様であり、同様の構成要素は同様の参照番号で識別されるが、それらの同様の参照番号は、図6A及び6Bではそれぞれプライム記号を付されている。しかし、図6Aに示される実施形態では、下側二次流体供給システム64’は、図1に示されるベローズ部分70ではなく、伸縮部分72’として構成された可動部分を含む。
【0045】
上側二次急冷システム37’は、上側二次急冷システム37’の構成要素と同様のいくつかの構成要素を含み、それらの同様の構成要素は、図6A及び6Bではそれぞれがプライム記号を含む同じ参照番号で識別される。図6A及び6Bに示される実施形態では、上側二次急冷システム37’は、それぞれ第1及び第2の上側二次急冷ヘッド100及び102を含み、上側二次急冷ヘッド100及び102は、アクチュエータ52’によって一緒に可動であるように互いに固定接続されることがある。それぞれ第1及び第2の上側二次急冷ヘッド100及び102は、それぞれ第1及び第2の下側二次急冷ヘッド38’及び40’から約9~20cm(例えば17cm)離間されることがある。さらに、上側二次急冷システム37’は、以下でより詳細に説明するように、各上側二次急冷ヘッド100、102と、対応する下側二次急冷ヘッド38’、40’との間に位置決めされた、ガラスシートGを受け取るための支持管又は棒などの1つ又は複数の上側支持部材104を含む。例えば、複数の上側支持部材104を各上側二次急冷ヘッド100、102に取り付けることができ、それにより、上側支持部材104は、上側二次急冷ヘッド100、102の対応する急冷面の下方に延びる。
【0046】
上側二次急冷システム37’は、上側二次急冷ヘッド100、102に流体を供給するための上側二次流体供給システム106も有する。下側二次流体供給システム64’と同様に、上側二次流体供給システム106は、ダンパ108又は任意の他の適切な手段を使用して、上側二次急冷ヘッド100、102内の流体圧力を異なる圧力に制御することができる。図示の実施形態では、上側二次流体供給システム106は、それぞれ第1及び第2の上側二次急冷ヘッド100及び102に接続された第1及び第2の流体供給セクションを含み、各流体供給セクションは、それぞれの上側二次急冷ヘッド100、102への流体圧力を変えるための1つ又は複数のダンパ108を含む。
【0047】
急冷構成16’は、アクチュエータ94’に接続された急冷シャトル93’に取り付けられた急冷リング92’も含む。図6A及び6Bに示される実施形態では、急冷シャトル93’は、以下でより詳細に説明するように、急冷リング92’の下流に位置されたシャトル93’の一部分に取り付けられた、ガラスシートGを受け取るための支持管又は棒などの1つ又は複数の下側支持部材110を含む。
【0048】
ここで、ガラス処理システム10’の動作を、図6A及び6Bを参照してより詳細に述べる。最初に、ガラス処理システム10に関して上述したのと同様にガラスシートGを処理することができる。主急冷ステーション26’内で第1のガラスシートGに対して一次急冷操作が実施された後、第1のガラスシートGは、図6Bに示されるように、さらなる冷却のために急冷リング92’によって第1の下側二次急冷ヘッド38’の上方の位置に移送されることがある。次いで、第1のガラスシートGを、急冷リング92’から第1の上側二次急冷ヘッド100の上側支持部材104へ上方向に吹き付ける、又は持ち上げることができる。次に、急冷リング92’を曲げステーション14’に戻して、第2のガラスシートを受け取ることができる。第2のガラスシートが急冷リング92’上で主急冷ヘッド30’及び32’の間の急冷位置に移動された後、第1のガラスシートGは、急冷シャトル93’の下側支持部材110に吹き落とされる、又は下げられることがある。次いで、急冷リング92’が第2のガラスシートを主急冷ステーション26’から第1の下側二次急冷ヘッド38’の上方の位置に搬送するとき、同時に、急冷シャトル93’によって、第1のガラスシートGを、さらなる冷却のために第1の下側二次急冷ヘッド38’の上方の位置から第2の下側二次急冷ヘッド40’の上方の位置まで搬送することができる。第1のガラスシートGが第2の下側二次急冷ヘッド40’と第2の上側二次急冷ヘッド102との間に位置決めされるとき、第1のガラスシートGは、第2の上側二次急冷ヘッド102の静止した上側支持部材104へ上方向に吹き付けられる、又は持ち上げられる。急冷リング92’が第3のガラスシートを取り上げるために曲げステーション14’に戻されるとき、第1のガラスシートGは、第2の上側二次急冷ヘッド102の上側支持部材104に対して保持される。急冷シャトル93’の下側支持部材110が第2の下側二次急冷ヘッド40’を通過した後、第1のガラスシートGは、第2の上側二次急冷ヘッド102内の流体圧力又は流体の流れを増加させることによって下側コンベヤ97’に吹き落とされる、又は下げられる。次いで、急冷シャトル93’が第2のガラスシートを第2の下側二次急冷ヘッド40’の上に移動させる直前に、第1のガラスシートGを、さらなる冷却のために、下側コンベヤ97’上で第2の下側二次急冷ヘッド40’から離れるように輸送することができ、又は第1のガラスシートGを、例えば保管又はさらなる処理のために下側コンベヤ97’から降ろすことができる。
【0049】
二次流体供給システム64’及び106は、二次急冷ステーション28’に関連して上述した様々な位置への各ガラスシートGの移送を促進するために互いに協働することができる。例えば、特定の下側二次急冷ヘッド38’、40’と、対応する上側二次急冷ヘッド100、102との相対圧力差を増加させることによって、ガラスシートGを上方向に持ち上げることができる。同様に、特定の下側二次急冷ヘッド38’、40’と、対応する上側二次急冷ヘッド100、102との相対圧力差を低減することによって、ガラスシートGを下げることができる。さらに、どちらの二次流体供給システム64’及び106も、対応する二次急冷ヘッド38’及び40’又は100及び102に可変流体圧力を供給することができるので、ガラスシートの移動を最適化することができる。
【0050】
より具体的な例として、各二次流体供給システム64’、106内の流体圧力は、20~35IWC(例えば、26~30IWC)の範囲内でよいが、対応するダンパ98’、108は、対応する二次急冷ヘッド38’、40’又は100、102の圧力を変えるために異なる開位置又は閉位置に制御することができる。一実施形態では、例えば、第1の下側二次急冷ヘッド38’内の流体圧力は、20IWC~35IWC(例えば26IWC~30IWC)で変化することがあり、第2の下側二次急冷ヘッド40’内の流体圧力は、5IWC~25IWC(例えば12IWC~17IWC)で変化することがあり、第1の上側二次急冷ヘッド100内の流体圧力は、4IWC~35IWC(例えば6IWC~30IWC)で変化することがあり、第2の上側二次急冷ヘッド102内の流体圧力は、0IWC~20IWC(例えば3IWC~16IWC)で変化することがある。
【0051】
上述した第1のガラスシートGが急冷リング92’に支持され、第1の下側二次急冷ヘッド38’と第1の上側二次急冷ヘッド100との間に位置決めされるとき、第1のガラスシートGは、急冷リング92’から、第1の上側二次急冷ヘッド100の上側支持部材104まで持ち上げられることがあり、その後、急冷リング92’は、第2のガラスシートのために曲げステーション14’に戻る。これは、第1の上側二次急冷ヘッド100に出入りする流体圧力(例えば空気圧)を28~32IWCから4~8IWC(例えば30IWCから6IWC)に変え、第1の下側二次急冷ヘッド38’に出入りする流体圧力を24~28IWCから28~32IWC(例えば26IWC~30IWC)に変えることによって行われる。言い換えると、流体圧力を、24~28IWC対28~32IWC(例えば30IWC対26IWC)から、4~8IWC対28~32IWC(例えば6IWC対30IWC)に変えることができる。次いで、第2のガラスシートが主急冷ステーション26’の急冷位置に到達し、(例えば、第1のガラスシートGが第1の上側二次急冷ヘッド100の上側支持部材104に吹き上げられた時点から約5~6秒後に)主急冷ステーション26’が振動し始める前に、第1のガラスシートGは、急冷シャトル93’の下側支持部材110に吹き落される又は移送されることがあり、これは、流体圧力を4~8IWC対28~32IWC(例えば6IWC対30IWC)から28~32IWC対24~28IWC(例えば30IWC対26IWC)に変えることによって行われる。次に、(例えば、第1のガラスシートGが上側二次急冷ヘッド100の第1の上側支持部材104に吹き上げられた時点から約8~9秒後に)主急冷ステーション26’で第2のガラスシートの一次急冷が完了した後、急冷リング92’が第2のガラスシートを主急冷ステーション26’から第1の下側二次急冷ヘッド38’の上方の位置に搬送するとき、同時に、第1のガラスシートGは、急冷シャトル93’によって第1の下側二次急冷ヘッド38’の上方の位置から第2の下側二次急冷ヘッド40’の上方の位置に搬送され、第2の上側二次急冷ヘッド102内の流体圧力は14~18IWC(例えば16IWC)に制御され、第2の下側二次急冷ヘッド40’内の流体圧力は、10~14IWC(例えば12IWC)に制御される。その結果、各二次流体供給システム64’、106の利用可能な冷却流体の大部分を、対応する第1の二次急冷ヘッド38’、100に向けることができ、そこで、焼戻しに対してより大きな効果を有することがある(例えば、結果として、より高い粒子計数が得られる)。第2の下側二次急冷ヘッド40’の上方に位置決めされると、第1のガラスシートGは、第2の上側二次急冷ヘッド102の上側支持部材104に吹き上げられる、又は持ち上げられることがある。これは、流体圧力を、第2の上側二次急冷ヘッド102での14~18IWC対第2の下側二次急冷ヘッド40’での10~14IWC(例えば16IWC対12IWC)から、1~5IWC対15~19IWC(例えば3IWC対17IWC)に変えることによって行われる。次いで、第1のガラスシートGがその位置に約0.8~2秒間保持され、その後、急冷リング92’が第3のガラスシートのために曲げステーション14’に戻るときに、急冷シャトル93’の下側支持部材110が第2の下側二次急冷ヘッド40’の上方から離れるように移動する。その時点で、第1のガラスシートGは、流体圧力を1~5IWC対15~19IWC(例えば3IWC対17IWC)から、14~18IWC対10~14IWC(例えば16IWC対12IWC)に戻るように変えることによって、下側コンベヤ97’に吹き下げられる。次いで、第1のガラスシートGは、最後の瞬間(例えば約3~5秒)までその位置に保持されることがあり、次いで、急冷シャトル93’の後端にある下側支持部材110が第2のガラスシートと共に第2の下側二次急冷ヘッド40’の上方の位置に戻る直前に、第1のガラスシートGは、下側コンベヤ97’によって第2の下側二次急冷ヘッド40’から離れるように割り出される。上述したプロセスは、すべての所望のガラスシートGが処理されるまで継続することができる。
【0052】
二次流体供給システム64’、106のそれぞれによって供給される流体(例えば空気)は、周囲温度の流体又は温度調整された流体でよい。例えば、各二次流体供給システム64’、106は、26~45℃の範囲内の温度で空気を供給することができる。さらに、各二次流体供給システム64’、106は、それぞれの二次急冷ヘッド38’、40’、又は100、102に異なる流体圧力を提供するための任意の適切な手段を含むことができる。例えば、各二次流体供給システム64’、106は、各二次急冷ヘッド38’、40’、又は100、102に関して個別の流体供給源を含むことができる。
【0053】
図7を参照すると、図6Aに示されるガラスシートGに比べてサイズが小さい(例えば、より小さい高さ又は搬送方向Cでの寸法の)ガラスシートG’を処理することを望むとき、主急冷ステーション26’は、ガラスシートG’に対して適切なサイズのそれぞれ下側及び上側の主急冷ヘッド130’及び132’を備えることもある。主急冷ヘッドを交換するために、急冷構成16の二次急冷ステーション28に関して上述したのと同様に、まず、二次急冷ヘッド38’、40’、100、102を、急冷ステーション26’から離れるように移動させることができる。主急冷ヘッド130’及び132’がマウント34’に取り付けられた後、二次急冷ステーション28’が主急冷ステーション26’に向けて移動されることがあり、それにより、第1の下側二次急冷ヘッド38’及び第1の上側二次急冷ヘッド100が、それぞれ下側主急冷ヘッド130’及び上側主急冷ヘッド132’の近位に(例えば、それぞれの主急冷ヘッド130’、132’から約5~7.5cm離されて)位置決めされる。
【0054】
図7に示されるように、より小さな急冷リング192’を使用して、曲げステーション14’、主急冷ステーション26’、及び二次急冷ステーション28’の間でガラスシートG’を輸送することもできる。次いで、ガラス処理システム10の動作は、図6A及び6Bに関して上述したのと同様に進めることができる。
【0055】
本開示による急冷構成16’でも、主急冷ステーション26’で使用される主急冷ヘッドのサイズに関係なく、主急冷ステーション26’と二次急冷ステーション28’との間隔を一定に保つことができる。したがって、急冷されるガラスシートのサイズに関係なく、ガラスシートが主急冷ステーション26’と二次急冷ステーション28’との間で移送されている間に冷却を中断させずに、急冷操作を効率的及び効果的に行うことができる。さらに、急冷ステーション26’及び28’で連続的に冷却し、急冷ステーション26’及び28’間で冷却を中断することなく、焼戻しプロセスを主急冷ステーション26’で開始し、二次急冷ステーション28’で完了することができる上記の構成では、完全な焼戻しを実現するための急冷時間を、典型的な急冷時間と比較して短縮することができる。例えば、特定のガラスシートに関する焼戻しプロセスを12秒から10秒に短縮することができる。
【0056】
例示的実施形態を上述してきたが、これらの実施形態は、本開示によるすべての可能な形態を記載することを意図するものではない。その点で、本明細書で使用する言葉は、限定ではなく説明のための言葉であり、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることを理解されたい。さらに、様々な実装形態の特徴を組み合わせて、本開示によるさらなる実施形態を形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7