(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】6出力コンバージョンシステムの移送ベルトアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B21D 51/26 20060101AFI20240221BHJP
B21D 51/44 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B21D51/26 V
B21D51/44 C
(21)【出願番号】P 2021540106
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2019065974
(87)【国際公開番号】W WO2020146085
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,グレッグ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウィル,ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ソリディ,マイケル アール.
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0166131(US,A1)
【文献】特開2014-217885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバージョンプレス(10)用のツーリングセット(20)であって、
前記コンバージョンプレス(10)は、ハウジングアセンブリ(12)、ラムプレス(14)、及び移送ベルトアセンブリ(70)を含んでおり、
前記ラムプレス(14)は延設されたラム本体(16)を含んでおり、
前記延設されたラム本体(16)は、往復運動し、且つ、前記ラム本体(16)の長手方向軸に実質的に揃った作用線に沿って力を加えるように構成されており、
前記移送ベルトアセンブリ(70)は、3つの移送ベルト(80A,80B,80C)を含んでおり、
各移送ベルト(80A,80B,80C)は凹部の2つの列(90)を規定しており、
前記移送ベルトアセンブリ(70)は、上側ツーリングアセンブリ(31)と下側ツーリングアセンブリ(33)との間で複数のシェル(3)を移動させるように構成されており、
前記ツーリングセット(20)は、
幾つかの上側ダイシュー(24)及び幾つかの下側ダイシュー(28)と、
幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)及び幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)を含む幾つかのツーリングアセンブリ(30)と、
複数の複合レーンシェルダイセットを含む複数のシェルダイセット(32)と、
を備えており、
各上側ツーリングアセンブリ(31)は、前記ラムプレス(14)に動作可能に係合し、前記ラム本体(
16)と一緒に移動するように構成されており、
各下側ツーリングアセンブリ(33)は、
前記ハウジングアセンブリ(12)に結合されて、実質的に動かないように構成されており、
前記幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)は、第1の上側ダイシュー(24’)を含んでおり、
前記幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)は、第1の下側ダイシュー(28’)を含んでおり、
複数の複合レーンシェルダイセット(32)は、前記第1の上側ダイシュー(24’)及び前記第1の下側ダイシュー(28’)に結合されている、ツーリングセット。
【請求項2】
前記幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)は、第2の上側ダイシュー(24”)を含んでおり、
前記幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)は、第2の下側ダイシュー(28”)を含んでおり、
前記複数の複合レーンシェルダイセット(32)は、第1の複合レーンシェルダイセット(32A)、第2の複合レーンシェルダイセット(32B)、及び第3の複合レーンシェルダイセット(32C)を含んでおり、
前記第1の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ(36’)は、前記第1の上側ダイシューに結合されており、
前記第1の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ(36”)は、前記第1の下側ダイシューに結合されており、
前記第2の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ(36’)と前記第3の複合レーンシェルダイセットの上側ダイとは、前記第2の上側ダイシューに結合されており、
前記第2の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ(36”)と前記第3の複合レーンシェルダイセットの下側ダイとは、前記第2の下側ダイシュー(28”)に結合されている、請求項
1に記載のツーリング
セット。
【請求項3】
前記上側ツーリングアセンブリ(31)は、幾つかの上側キスブロック(42)を含んでおり、
前記下側ツーリングアセンブリ(33)は、幾つかの下側キスブロック(52)を含んでおり、
少なくとも一対のキスブロック(42,52)が、少なくとも2つの
シェルダイセット(32)から動作距離に配置されている、請求項
2に記載のツーリング
セット。
【請求項4】
全てのシェルダイセット(32)は縮小された領域を占める、請求項
3に記載のツーリング
セット。
【請求項5】
コンバージョンプレス(10)において、
ハウジングアセンブリ(12)と、
前記ハウジングアセンブリ(12)に結合されたラムプレス(14)であって、前記ラムプレス(14)は、幾つかのツーリングアセンブリ(30)に動作可能に係合するように構成されている延設されたラム本体(16)を含んでおり、前記ラム本体(16)は、前記ラム本体(16)の長手方向軸に実質的に沿った作用線に沿って力を加えるように構成されている、ラムプレス(14)と、
ツーリングセット(
20)と、
複数の移送ベルト(80)を含む移送ベルトアセンブリ(70)と、
を備えており、
各ツーリングアセンブリ(30)は、上側ダイアセンブリ(40)及び下側ダイアセンブリ(50)を含んでおり、各下側ダイアセンブリ(50)は、前記ハウジングアセンブリ(12)に結合されており、各上側ダイアセンブリ(40)は、前記ラムプレスに動作可能に係合しており、各上側ダイアセンブリ(40)は、前記上側ダイアセンブリ(40)が、関連する下側ダイアセンブリ(50)から離間している第1の位置と、前記上側ダイアセンブリ(40)が前記下側ダイアセンブリ(50)から成形距離に配置される第2の位置との間で移動し、
各移送ベルト(80)は、前記上側ダイアセンブリ(40)と前記下側ダイアセンブリ(50)との間で動くように配置されており、
各移送ベルト(80)は凹部の2つの列(90)を含んでおり、
前記複数の移送ベルト(80)は、増加した数のシェル(3)、非常に増加した数のシェル(3)、又は極めて増加した数のシェル(3)の何れかを、前記コンバージョンプレス(10)を通して移動させるように構成されて
おり、
前記ツーリングセット(20)は、
幾つかの上側ダイシュー(24)と、
幾つかの下側ダイシュー(28)と、
幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)及び幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)を含む幾つかのツーリングアセンブリ(30)と、
複数の複合レーンシェルダイセットを含む複数のシェルダイセット(32)と、
を含んでおり、
各上側ツーリングアセンブリ(31)は、前記ラムプレス(14)に動作可能に係合し、前記ラム本体(16)と一緒に移動するように構成されており、
各下側ツーリングアセンブリ(33)は、ハウジングアセンブリ(12)に結合されて、実質的に動かないように構成されており、
前記幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)は、第1の上側ダイシュー(24’)を含んでおり、
前記幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)は、第1の下側ダイシュー(28’)を含んでおり、
複数の複合レーンシェルダイセットが、前記第1の上側ダイシュー(24’)及び前記第1の下側ダイシュー(28’)に結合されている、コンバージョンプレス。
【請求項6】
前記移送ベルトアセンブリの複数の移送ベルト(80)は、側方の第1の移送ベルト(80A)、中央の第2の移送ベルト(80B)、及び側方の第3の移送ベルト(80C)を含む3つのベルトに限定され、
前記駆動アセンブリ(72)は、前記第1の移送ベルト(80A)、前記第2の移送ベルト(80B)、及び前記第3の移送ベルト(80C)の夫々に動作可能に結合されており、
各移送ベルト(80A,80B,80C)は
、耐変形幅を有している、請求項
5に記載のコンバージョンプレス。
【請求項7】
各ツーリングアセンブリ(30)は、幾つか
のキスブロック(42,52)と幾つかのスコアダイ(37)とを含んでおり、少なくとも1つ
のキスブロック(42,
52)は、各スコアダイ(37)に隣接して配置されており、各移送ベルトのシェル凹部の列(90)は
、キスブロック(42,52)から有効距離に配置されている、請求項
5に記載のコンバージョンプレス。
【請求項8】
前記移送ベルトアセンブリ(70)は、幾つかの移送ベルトアイドラ(76)を含んでおり、
前記移送ベルトアセンブリの複数の移送ベルト(80)のなかの単一の移送ベルト(80)
は、前記幾つかの移送ベルトアイドラ(76)の一つによって張られており、
各移送ベルトアイドラ(76)は高速ベルトアイドラである、請求項
5に記載のコンバージョンプレス。
【請求項9】
各移送ベルト(80)は、
各々にシェル(3)が配置される複数の凹部を備えており、前記複数の凹部は、その移送ベルト(80)の長手方向に沿って2つの列(90)
で配置されている、請求項
5に記載のコンバージョンプレス。
【請求項10】
前記幾つかの上側ツーリングアセンブリ(31)は、第2の上側ダイシュー(24”)を含んでおり、
前記幾つかの下側ツーリングアセンブリ(33)は、第2の下側ダイシュー(28”)を含んでおり、
前記複数の複合レーンシェルダイセットは、第1の複合レーンシェルダイセット(32A’)、第2の複合レーンシェルダイセット(32B’)、及び第3の複合レーンシェルダイセット(32C’)を含んでおり、
前記第1の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ(36’)は、前記第1の上側ダイシュー(24’)に結合されており、
前記第1の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ(36”)は、前記第1の下側ダイシュー(28’)に結合されており、
前記第2の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ(36’)と前記第3の複合レーンシェルダイセットの上側ダイとは、前記第2の上側ダイシュー(24”)に結合されており、
前記第2の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ(36”)と前記第3の複合レーンシェルダイセットの下側ダイとは、前記第2の下側ダイシュー(28”)に結合されている、請求項
5に記載のコンバージョンプレス。
【請求項11】
前記上側ツーリングアセンブリ(31)は、幾つかの上側キスブロック(42)を含んでおり、
前記下側ツーリングアセンブリ(33)は、幾つかの下側キスブロック(52)を含んでおり、
少なくとも1対のキスブロック(42,52)は、少なくとも2つの
シェルダイセット(32)から動作距離に配置されている、請求項
10に記載のコンバージョンプレス。
【請求項12】
前記少なくとも2つの
シェルダイセット(32)は縮小された領域を占める、請求項
11に記載のコンバージョンプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年1月10日に出願された米国特許出願第16/244,203の利益を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書の一部となる。
【0002】
<発明の技術分野>
開示及び特許請求の範囲に記載される概念はコンバージョンシステムに関しており、より具体的には、1サイクル当たり6つの缶エンドを製造するように構成されたコンバージョンプレス用の移送ベルトアセンブリに関している。
【背景技術】
【0003】
食品や飲料などの製品を収納する金属製容器(例えば、缶)には通常、イージーオープン缶エンドが設けられており、当該缶エンドでは、プルタブがティアストリップ又は可分パネル(severable panel)に取り付けられる(例えば、リベット留めされるが、これに限定されない)。可分パネルは、缶エンドの外面(例えば、公側(public side))のスコアラインによって規定される。プルタブは、持ち上げられる及び/又は引っ張られるとスコアラインが切断されて、可分パネルが屈曲される及び/又は取り除かれることで、缶の中身を出すための開口が形成されるように構成されている。以下では、12オンスの飲料缶を例として説明する。しかしながら、開示及び特許請求の範囲に記載される概念は、12オンスの飲料缶に限定されるものではないことは理解されるであろう。
【0004】
本明細書では、「缶エンド」は、「シェル」及び「タブ」で構成される。本明細書では、「シェル」とは、「缶ボディ」に結合されるように構成されている「缶エンド」の部分であって、「缶ボディ」は概ね閉じた空間を規定する。「タブ」とは、シェルに結合される構造体であって、スコアラインに隣接した位置でシェルに対して持ち上げられる及び/又は回転されることで、スコアラインが切断されて、缶の中身を出すための開口が生じる。このように、「缶エンド」は基本的に「タブ」が取り付けられた「シェル」であって、用語「缶エンド」と用語「シェル」とは、本明細書では交換可能である。
【0005】
例示的な実施形態では、シェルとタブとは別々のプレス機で作られる。シェルは、シート状金属製品(例えば、アルミシートやスチールシート)のコイルからブランクを切り出して成形することで作られる。例示的な飲料缶シェルの場合、ブランクは概ね平らであって、概ね円形である。このような飲料缶シェルでは、シェルプレスは、ブランクの外周に隣接する環状のカウンターシンクと、缶ボディに結合するように構成されるシーミングパネル(seaming panel)とを作る。例示的な実施形態では、屈曲可能なティアパネルを規定するスコアラインのような、飲料用缶のシェルに関連する更なる構造体もシェルプレスで作られる。別の例示的な実施形態では、更なる構成要素は、後述するコンバージョンプレスで作られる。更に、タブは通常、シェルにタブをかしめる(staking)、即ち結合させる前に、コンバージョンプレスで作られる。
【0006】
一般的に、シェルプレス及びコンバージョンプレスは、ラムプレスと、可動な上側ツーリング及び固定される下側ツーリングを備えたツーリングアセンブリとを含んでいる。即ち、本明細書では、「ラムプレス」は、コンバージョンプレスの構成要素として特定されるアセンブリであって、その逆はない。これは、ラムプレスが通常、完全なユニットとして販売されており、それにツーリング及びその他の構成要素を追加することで、シェル/コンバージョンプレスが形成されるからである。かなりの数のラムプレスが使用されており、新しいラムプレスは一般的に同じ仕様、特性、及び/又は寸法で作られている。このようなラムプレスには、日本電産ミンスター株式会社(240 West Fifth Street,P.O.Box 120,Minster,Ohio 45865-0120,U.S.A.)製の「Minster EC-H44-QL」が挙げられるが、これに限定されない。本明細書では、このようなラムプレスを「従来の(legacy)」ラムプレスと称する。即ち、「従来の」ラムプレスとは、既存のラムプレスの仕様、特性及び/又は寸法を持ったラムプレスのことである。以下に定義するような6つのシングルシェルレーンに特に合うような仕様、特性及び/又は寸法のラムプレスは、「従来の」ラムプレスではないことを理解のこと。
【0007】
公知のように、ラムプレスは、力を伝達する延設されたラム本体を含んでいる。即ち、本明細書では、ラムプレスは、ラム本体の長手方向軸と実質的に一致する「作用線(line of action)」(力が加わる線)を有している。このように、ラムプレスは基本的に、ラム本体の端部の1つの場所で荷重を加える。上側ツーリング及び下側ツーリングは、複数のダイが結合される幾つかのマウントデバイスを含む。以下、これらのマウントデバイスを「ダイシュー(die shoe)」と呼ぶ。即ち、幾つかの上側ダイシューと幾つかの下側ダイシューとが存在する。上側シューと下側シューは、後述するように、関連する幾つかのダイを支持する。上側ツーリングは、上側ツーリング、つまり上側ダイシューが下側ツーリング及び下側ダイシューから離間した上側位置と、それらツーリングのダイがブランクに接触して成形する第2の下側/成形位置との間で移動する。上側ツーリングが第1の位置から第2の位置に移動した後、第1の位置に戻る往復運動は、本明細書でいうところの「サイクル」である。
【0008】
公知の技術では、各ダイシューは「単一レーン」のシェルダイセット又は「複合レーン」のシェルダイセットを支持する。本明細書では、「ダイセット」とは、複数のダイであって、直列に配置されており、上側ツーリングが第2の位置にある場合に各ダイがシェル又はタブの一部を形成するように構成された複数のダイを意味する。本明細書で述べているように、各「ダイセット」は基本的に、「上側ダイ」と「下側ダイ」を含んでいる。故に、「ダイセット」の紹介を受けて、「ダイセット上段ダイ」及び「ダイセット下段ダイ」が基本的に存在することは理解される。従って、本明細書では、「ダイセット」の紹介に続いて、「ダイセット上側ダイ」及び「ダイセット下側ダイ」は、「ダイセット」の一部として基本的に導入されることから具体的に紹介される必要はない。本明細書では、「レーン」とは、ダイセットによって規定された経路であって、シェルがそれが作られる際に移動する経路のことである。故に、コンバージョンプレスでは、タブ用の1つの「ダイセット」と、シェル用の複数の「ダイセット」とがある。更に、それらシェルダイセットは互いに実質的に同じである。即ち、例示的な実施形態では、各ダイセットは、同じ順序で配置された実質的に同じダイを含む。故に、ブランク/シェルがコンバージョンプレスを通過すると、各「レーン」は、1つのシェルを実質的に同じである「缶エンド」へと成形する。
【0009】
各シェルダイセットは、ブランク/シェルに対して幾つかの成形工程を行うように構成されている。例示的な実施形態では、個々のダイがブランク/シェルに1回の成形工程を実行する。各上側ダイには関連する下側ダイがあり、上側ダイと下側ダイが協働して成形工程を行うことは理解される。この構成では、各ダイは、「ステーション」として特定される。本明細書では、「ステーション」とは、成形ダイを含むツーリング及び/又はレーン上の場所、又は、「ヌル」ステーションの場所である。「ヌル」ステーションとは、ダイがない場所、又は成形工程が行われない場所である。
【0010】
更に、ブランクは、ツーリングアセンブリを介して「割り出し」される。本明細書では、「割り出しする(index)」とは、ラムプレス/ツーリングアセンブリの各サイクル中に、ブランク又は金属ストリップがツーリングアセンブリ内を所定の距離/設定された距離だけ断続的に移動することを意味する。一般的に知られているように、上側ツーリングが第2の位置から第1の位置に移動している際に、ブランク/シェルはステーション間を移動している。幾つかのプレス機では、上側ツーリングが第2の位置に向かって移動している際に、ブランク/シェルも移動する。上側ツーリングが第2の成形位置に完全に移動する前と、上側ツーリングが第2の成形位置にある間、ブランク/シェルは、「ステーション」にて移動を停止する。このように、ブランクがツーリングアセンブリを通過すると、ブランク/シェルが次第にシェルへと成形されていく。
【0011】
タブも同様の方法で作られるが、通常金属シートに直接形成される。即ち、タブは、個別に形成された個々のブランクへと最初からカットされているわけではない。その代わりに、タブは、金属の連続シートをタブダイに通すことで製造され、タブは実質的に形成されるが、シートに結合されている。タブダイセットは、各シェルレーンのストリップに1列のタブを形成する。即ち、シェルレーンが3つあれば、タブダイは3列のタブを形成する。本明細書では、タブの「列」とは、タブが形成されている帯状の材料の長手方向軸に概ね平行な線に沿って延びる一連のタブである。最終成形工程では通常、タブがシートから切り離されている間、タブはシェルに結合されている。例示的な実施形態では、タブツーリングアセンブリは、コンバージョンプレスに直に隣接している、又はコンバージョンプレスの一部となっている。
【0012】
シェルと、幾つかの実施形態ではタブとは、コンバージョンプレスに搬送される。本明細書では、「コンバージョンプレス」とは、ラムプレスと幾つかのダイアセンブリ又はダイセットとを含むアセンブリであって、タブをシェルに結合して缶エンドを作るように構成されている。シェルプレスによってシェルに対して実行される成形工程の数は、コンバージョンプレスによってシェルに対して実行される成形工程の数に影響を与える。即ち、シェルプレス又はコンバージョンプレスの何れかは、限定ではないが、ティアパネルのスコアを作るなどの特定の工程を行うように構成されている。例示的な実施形態では、コンバージョンプレスステーションは、パネル、スコア、及び一体にされたリベットをシェルに形成する。シェルのリベットは、タブが結合される要素/構造である。しかしながら、別の実施形態では、リベットは、シェルプレスで形成されることは理解される。
【0013】
故に、通常、コンバージョンプレスでは、ブランク/シェルは、幾つかのレーンを規定するように延設されたダイセットを通って割出しする移送ベルトに供給される。各シェルが1つのレーンを通ることは理解される。つまり、例えば、2つのダイレーンを支持するダイシューは、2組のシェルを同時に処理する。言い換えると、1つのダイセットを支持するダイシューは、1つのレーンで一組のシェルを缶エンドへと成形する。逆に、複数のダイセットを支持するツーリングは、各ダイセットがレーンを規定しており、各レーンが一組のシェルを缶エンドに成形するだけであるにしても、複数の組のシェルを缶エンドに成形する。
【0014】
シェルがコンバージョンプレスの中を移動するのと同時に、タブも、コンバージョンプレスに隣接するプレス又はコンバージョンプレスで形成されて、シェルの移動方向とほぼ垂直に移動する。言い換えると、タブダイの列の長手方向軸は、シェルダイのレーンの長手方向軸にほぼ垂直に配置される。
【0015】
最終ツーリングステーション又はその近くで、タブがシェルに結合され、それによって缶エンドが作られる。前と同じように、コンバージョンプレスの各ツールステーションは、ラムプレスの作動時に下側ツールダイに向かって進むように構成された上側ツールダイを含む。シェルは、上側ツーリングと下側ツーリングの間で受け取られる。言い換えると、シェルは、上側ツーリングアセンブリと下側ツーリングアセンブリの間で受け取られる。上側ツーリングアセンブリは、下側ツーリングアセンブリから離れた上側位置と、下側ツーリングアセンブリに隣接した下側位置との間を往復するように構成されている。故に、上側ツーリングアセンブリが第2の位置にあると、上側ツーリングダイはシェルに係合し、上側ツーリングダイ及び/又は下側ツーリングダイが夫々、シェルの公側、外側、及び/又は製品側(例えば、缶ボディに面する内側)に作用して、前述の幾つかの変換工程を実行する。
【0016】
更に、例示的な実施形態では、ダウンスタッカは、単一のシェルを収容する大きさにされたキャビティ又は凹部を有する移送ベルト上に個々のシェルを供給する。つまり、移送ベルトは、凹部の幾つかの「列」を含んでいる。本明細書では、凹部の「列」とは、一連の凹部を意味しており、「列」の各凹部の中心は、移送ベルトの長手方向軸に実質的に平行に延びる線に沿って配置される。タブの「列」は、シェルの「列」に対してほぼ垂直に動く。
【0017】
使用中、シェルは各凹部に配置されて、移送ベルトはレーンを通じて割り出しされる。移送ベルトは、ゴムなどの弾性体で作られているが、ゴムに限定されない。通常、ダイセットごとに1つの移送ベルトがある。4つのレーンを規定する2つのツーリングアセンブリを備えた構成では、各々が2つの列を持つ2つの移送ベルトがあるだろう。この構成では、移送ベルトの列の各々が1つのレーンに関連している。
【0018】
2レーンダイセットの場合、各ダイセットの移送ベルトは、凹部の隣接する組を含んでおり、1組の凹部が各レーンを通される。移送ベルトの復元力には限界があることから、移送ベルトの幅を制限することが望ましい。通常、移送ベルトは凹部の2つの列を収めている。つまり、各ダイセットに関連付けられた1つの移送ベルトがあり、各移送ベルトは、コンバージョンプレスを通ってシェルの2つの列を動かして、シェルの各列は隣り合ったレーンを通った。更に、4つのシェルレーンがある場合には、タブを含むシートは、隣り合った4列のタブも含む。この構成では、最初の列のタブは最初のシェルレーンのシェルに結合され、2番目の列のタブは2番目のシェルレーンのシェルに結合される。
【0019】
コンバージョンプレスの一般的な構成は、3レーンダイセットを支持する1つのダイシューを含んでいた。故に、各サイクル中にブランク/シェルを缶エンドに成形する3つのレーンがあった。このようなコンバージョンプレスは、「3出力(three-out)」コンバージョンプレスとして認識される。別の一般的な構成には、各々が2レーンダイセットを支持する2つのダイシューが含まれていた。つまり、各々が単一のダイセットを支持する2つのダイシューがあり、ダイセットには複合レーンがあった。各々が2つのレーンを有する2つのダイセットを用いることで、コンバージョンプレスは各サイクルで4つの缶エンドを製造した。即ち、このコンバージョンプレスは「4出力(four-out)」のコンバージョンプレスであった。これは、しばらくの間、コンバージョンプレスによって製造される缶エンドの数の限界であった。即ち、「4出力」コンバージョンプレスは、通常、毎分750ストローク/サイクルで動作した(750サイクル×4シェルレーン=3000「毎分シェル数」(以下、「SPM」))。
【0020】
1分間に処理されるシェルの数を増やすことが望まれている。各サイクルで処理されるブランク/シェルの数を制限している1つの要因は、従来のラムプレスの特性である。即ち、従来のラムプレスには、各サイクル中に4つを超えるブランク/シェルを作る能力/強度が不足しており、及び/又は、従来のラムプレスには、各サイクルで4つを超えるブランク/シェルを製造するコンバージョンプレスの構成要素を収容する空間が無かった。
【0021】
限定ではないが、種々のラムプレス構成要素(又は、コンバージョンプレス構成要素)の重量を減らすこと、及び/又はラムプレスの強度を改善することなどによる、従来のラムプレスの改善により、コンバージョンプレスで一度に4つを超える缶エンドを製造できるようになっている。つまり、「6出力(six-out)」コンバージョンプレスが存在している。しかしながら、この6出力コンバージョンプレスにも多くの問題がある。例えば、6出力コンバージョンプレスは毎分750サイクルに制限されているので、4500SPMになる。3000SPMの4出力コンバージョンプレスよりも改善されているが、今なお改善の余地がある。つまり、出力が4500SPMに制限されているコンバージョンプレスは問題である。
【0022】
更に、6出力コンバージョンプレスには他の問題もある。例えば、従来のラムプレスの制限の1つは、シェルレーンを配置できるスペースである。上記のように、各シェルレーンにはスペースが必要であり、従来のプレスが収容する最大限度が2つのダイシューであって、各々が2レーンダイセットを支持することから、前述のような4出力コンバージョンプレスが実現されていた。既知の「6出力」コンバージョンプレスは、各々が3レーンダイセットを支持する2つのダイシューを使用している。しかしながら、この構成は望ましくなく、2つの3レーンダイセットの使用は問題である。言い換えると、既知のツーリングセットは、従来のラムプレスに結合された3つの2レーンシェルダイセットで構成されていない。これは問題である。
【0023】
更に、移送ベルトの弾性により、移送ベルトは自然に変形することができる。しかしながら、3つの列がある移送ベルトでは、変形し過ぎてしまう。つまり、移送ベルトの幅が広いほど、移送ベルトが変形しやすいことが知られている。同様に、(凹部を作るために)ベルトから除去される材料が多いと、移送ベルトは変形しやすくなる。ベルトが変形すると、移動しているシェルが、レーン及び/又はレーン内の個々のダイとずれてしまう。これにより、シェルの形が損なわれる。例えば、シェルとダイの位置がずれていると、リベットが誤った位置に形成されてしまう。このような変形したシェルは廃棄する必要がある。そのため、凹部の列が多すぎるベルトは問題である。同様に、移送ベルトの幅が広すぎるのも問題である。
【0024】
故に、6出力コンバージョンプレスを作るための1つの解決策は、3つの2レーンダイセット/2列の移送ベルトを使用して、各移送ベルトをより狭くすることである。しかしながら、前述のように、従来のラムプレスはスペースが限られており、現在の構成では2レーンダイセットを3つ収容することはできない。即ち、現在の2レーンダイセットの構成では、そのようなダイセットを従来のラムプレスに使用して6出力コンバージョンプレスを構成することができないという問題がある。言い換えると、既知の技術では、ダイシューごとに1つのダイセットの構成を有するコンバージョンプレスの要素を使用して、6出力コンバージョンプレスを作ることはできない。つまり、ダイシューと関連する構成要素とがかなりのスペースを占めるため、6出力コンバージョンプレスを得るには、ダイセットを3レーンダイセットにする必要がある。これは問題である。
【0025】
更に、従来のラムプレスで3つの2レーンダイセットを使用することが可能であると仮定しても、そのような構成のコンバージョンプレスはまだ十分な速度を欠いている。つまり、移送アセンブリは4500SMPを動かすことに制限されている。これも問題である。言い換えると、このようなコンバージョンプレスの移送ベルトアセンブリは、4500SPMを変換プレスに通すことに制限されている。コンバージョンプレスが製造する缶エンドの数を増やしたいという要望は常にあって、そのため、4500SPMの制限とこのシェル数に制限された移送ベルトアセンブリとが問題になる。
【0026】
更に、コンバージョンプレスは、それが配置されている場所の温度の変化によって変化を受ける。一般的に、ほぼ金属製であるコンバージョンプレスは、暖かいと膨張し、冷たいと収縮する。このような変化は、コンバージョンプレス要素の位置/並びに悪影響を及ぼして、ひいては、形成される缶エンドにも悪影響を及ぼす。温度変化による缶エンドの変化を抑えるために、コンバージョンプレスは幾つかの「キスブロック」を含んでいる。本明細書では、「キスブロック(kiss block)」とは、金属製構造体であって、例示的な実施形態では、硬化鋼製構造体である。キスブロックは、対向するペアで設けられる。つまり、上側ツーリングに1つのキスブロックがあり、対向するキスブロックが下側ツーリングにある。ツーリングが第2の位置に移動すると、成形ダイがシェル/タブを形成する直前に、キスブロックが互いに係合(即ち、「キス」)する。この構成では、キスブロックが成形ダイに予圧をかけ、温度変化によるダイの垂直位置の変化を阻止する。キスブロックは、ダイセットによって規定されたレーンの横側又はレーン内の何れかに配置されていた。例えば、2つのダイセットを持つプレス機では、各ダイセットの横側に夫々幾つかのキスブロックがあった。故に、ダイセット間には2組のキスブロックが配置されていた。即ち、キスブロックは、単一のダイセットに関連付けられていた。言い換えると、2つ以上のダイセットがキスブロックを共有していなかった。これは、キスブロックが、他の目的に使用できるであろうダイシュー上のスペースを占めることから不利である。更に、上側ツーリングにある鋼製キスブロックをラムプレスで動かす必要があった。キスブロックの数が多いことで重量が増えるのは問題である。
【0027】
また、移送ベルトに3列の凹部がある場合、キスブロックを中央列の凹部から有効距離だけ離すことができない。つまり、キスブロックはシェルレーン内の成形ステーションの直ぐ隣に配置されるべきである。シェルレーンが2つしかない場合、キスブロックは移送ベルト経路の何れかの側に配置され、故に、シェルレーンの何れかの側のダイに直ぐ隣にあることから、移送ベルトに隣接したキスブロックの配置が可能である。しかしながら、移送ベルトに3列の凹部がある場合には、中央レーンのダイの直ぐ隣にキスブロックを配置することはできない。即ち、移送ベルトがキスブロックに揃えられた場所で固いならば、キスブロックは互いに接触しない(又は、移送ベルトを圧縮して損傷するだろう)。故に、3列の凹部を備えた移送ベルトは、そのような構成では、キスブロックが、凹部の中央列に関連するスコアダイから有効距離に配置されることを妨げることから、問題である。
【0028】
この問題の明らかな解決策は、移送ベルトにおいてキスブロック通路を切り開けることに留意のこと。しかしながら、このような解決策を受け入れられないものにする別の考慮事項がある。例えば、真空システムを使用して、移送ベルト及びシェルを下側ツーリングアセンブリに対して保持することが一般的である。ベルトに通路が含まれているならば、その通路は真空通路と揃えられている可能性がある。この構成では、真空を引くことができないであろう。更に、上記のように、移送ベルトが上側ツーリングのキスブロックが通過するための開口を含む場合、移送ベルトの材料は更に少なくなって変形しやすく、これは問題である。
【0029】
4500SPMを超えて動作するコンバージョンプレスに関連する別の問題は、たるみと同様の変形が弾性移送ベルトに発生することである。一般的に、移送ベルトへの損傷を回避するためには、移送ベルトに接触する構造体の数を制限することが望ましい。故に、従来、コンバージョンプレスは、移送ベルト用のベルトアイドラなどの構造体を含んでいない。つまり、アイドラは移送ベルトの損耗を増加させ、そして、移送ベルトアセンブリの複雑さを増加させる。これは問題である。
【0030】
4500SPMを超えて動作するコンバージョンプレスに関する更なる問題は、コンバージョンプレスの要素がより速く動いていること、及び/又は、動いているより多くの要素が存在することである。これは問題である。何故ならば、より速い動き/動いているより多くの要素が反力を発生させて、コンバージョンプレスの他の要素に損耗が発生するからである。これらの要素の多くは、耐久性を持たせるために、限定ではないが、鋼などの金属で作られている。これは、鋼製要素は質量が大きく、そのため、より多くの損耗を引き起こすことから問題である。そのため、選択される要素の質量を減らすことが望ましい。
【0031】
それ故に、ダイの数/ダイシューの数がラムプレスの作用線の何れかの側でバランスが取られている/概ねバランスが取られているような、改良された移送ベルトアセンブリが必要である。過剰な幅及び/又は過剰な数の凹部の列に起因して移送ベルトが容易に変形しないような移送ベルトアセンブリが更に必要である。キスブロックをダイから有効距離に配置できるように構成された移送ベルトアセンブリが更に必要である。選択された要素の質量が低減された移送ベルトアセンブリが更に必要である。
【発明の概要】
【0032】
これらの必要性と他の必要性とは、開示及び特許請求の範囲に記載される概念の少なくとも1つの実施形態によって満たされ、当該実施形態は、複数の移送ベルトを含み、複数の移送ベルトが増加した数のシェルを移動するように構成されている移送ベルトアセンブリを提供する。これにより、上述した課題は解決される。更に、開示及び特許請求の範囲に記載される概念の少なくとも1つの実施形態は、複式ダイシューを含むコンバージョンプレスを提供する。複式ダイシューにより、複数のダイセットを単一のダイシューに結合することが可能になり、それにより、ツーリングアセンブリに必要なスペースが削減され、上記の問題が解決される。更に、後述するコンバージョンプレスは、上記の問題点を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、添付図面と併せて読むことで、好適な実施形態に関する以下の説明から十分に理解することができる。
【0034】
【
図1】
図1は、コンバージョンプレスの部分等角図である。つまり、ラムプレス、上側ツーリングアセンブリ、及び選択された他の要素は、明確化のために示されていない。
【
図2】
図2は、コンバージョンプレスの部分平面図である。つまり、ラムプレス、上側ツーリングアセンブリ、及び選択された他の要素は、明確化のために示されていない。
【
図3】
図3は、コンバージョンプレスの模式的な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面に示されており、以下の説明に記載されている具体的な要素は単に、開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されることは理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用される構成要素の数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特性は、開示される概念の範囲に関する限定とみなされるべきではない。
【0036】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、本明細書に明示されない限り請求項を限定するものではない。
【0037】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0038】
本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように形成された、サイズ決めされた、配置された、結合された、及び/又は構成された構造を有することを意味する。例えば、「動くように構成された」部材は、別の要素に動作可能に結合されており、その部材を動かす要素を含んでいるか、或いは、当該部材は、別のやり方で別の要素又はアセンブリに応答して動くように構成されている。よって、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、機能ではなく構造を述べている。更に、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように意図及び設計されることを意味する。よって、特定された動詞を単に実行できるだけで、特定された動詞を実行するように意図及び設計されていない要素は、「[動詞]するように構成され」ていない。
【0039】
本明細書では、「関連する」は、要素が同じアセンブリの一部である、及び/又は共に動作する、又は何らかの方法で相互に作用することを意味する。例えば、自動車は4つのタイヤと4つのハブキャップとを有する。全ての要素が自動車の部品と結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連する」と理解される。
【0040】
本明細書では、「結合アセンブリ」は、2つの又は2つを超えるカップリング若しくはカップリング構成要素を含む。カップリング又は結合アセンブリの構成要素は概して、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。よって、「結合アセンブリ」の構成要素は、以下の説明で同時に記載されないことがある。
【0041】
本明細書では、「カップリング」又は「カップリング構成要素」は、結合アセンブリの1又は複数の構成要素である。つまり、結合アセンブリは、互いに結合されるように構成された少なくとも2つの構成要素を含む。結合アセンブリの構成要素は、相互に適合可能であると理解される。例えば、結合アセンブリでは、一方のカップリング構成要素がスナップソケットである場合には、他方のカップリング構成要素はスナッププラグであって、一方のカップリング構成要素がボルトである場合には、他方のカップリング構成要素はナット又はねじ穴である。更に、要素の通路は、「カップリング」又は「カップリング構成要素」の一部である。例えば、2枚の木製のボードが、それらの通路を通って延びるナット及びボルトによって結合されているアセンブリにおいて、ナット、ボルト、及び2つの通路は夫々「カップリング」又は「カップリング構成要素」である。
【0042】
本明細書では、「締結具」は、2つ以上の要素を結合するように構成された別個の構成要素である。よって、例えば、ボルトは「締結具」であるが、さねはぎ(tongue-and-groove)継ぎは「締結具」ではない。つまり、さねはぎ要素は、結合されている要素の一部であって、別個の構成要素ではない。
【0043】
本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される」という表現は、リンクが発生する限り、それらの部品が、直接的、又は間接的に、即ち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して、共に接合される又は動作することを意味する。本明細書では、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触することを意味する。本明細書では、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら移動するように結合されることを意味する。本明細書では、「調節可能に固定される」は、2つの構成要素が互いに一定の全体的な向き又は位置を維持しながら1つのものとして移動するように結合し、限られた範囲又は1つの軸を中心に動くことができることを意味する。例えば、ドアノブはドアに対して「調節可能に固定」されており、ドアノブは回転可能であるが、通常、ドアノブはドアに対して1つの位置に固定される。更に、リトラクタブルペンのカートリッジ(ペン先及びインクタンク)は、ハウジングに対して「調節可能に固定」されており、カートリッジは収納位置と伸長位置の間を移動するが、ハウジングに対する姿勢は概ね維持される。従って、2つの要素が結合されると、これらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合される、例えば、車軸の第1の端部が第1の車輪に結合されるというような記載は、第1の要素の特定の部分が、第1の要素の他の部分に比べて第2の要素により近く配置されることを意味する。更に、重力によってのみ別の物体上の適所に載置されている物体は、上側の物体がそれ以外の方法でほぼ適所に保持されない限り、下側の物体に「結合」されていない。つまり、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されていないが、テーブルに糊付けされた本はテーブルに結合されている。
【0044】
本明細書では、「着脱可能に結合される」又は「一時的に結合される」という表現は、ある構成要素が別の構成要素に実質的に一時的に結合されることを意味する。つまり、2つの構成要素は、構成要素どうしの接合又は分離が容易であり、構成要素にダメージを及ぼさないように結合される。例えば、限られた数の、容易にアクセス可能な締結具、即ち、アクセスが難しくない締結具によって相互に固定された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ており、溶接された、又はアクセスが困難な締結具によって接合された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ていない。「アクセスが困難な締結具」は、締結具へのアクセス前に1又は複数の他の構成要素を取り外す必要がある締結具のことであり、「他の構成要素」は、限定はされないが、例えばドアなどのアクセス手段ではない。
【0045】
本明細書では、「動作可能に結合される」は、第1の位置と第2の位置の間で、又は第1の配置と第2の配置の間で移動可能な複数の要素又はアセンブリが、第1の要素が一方の位置/配置から他方の位置/配置に動き、第2の要素も両者の位置/配置間で動くように結合されることを意味する。なお、逆が成り立たないように、第1の要素が別の要素に「動作可能に結合され」てもよい。
【0046】
本明細書では、「機能的に結合される」は、幾つかの要素又はアセンブリが互いに結合されており、その結果、1つの要素/アセンブリの特徴及び/又は機能が他の要素/アセンブリによって連絡され、又は使用可能であることを意味する。例えば、延長コードの特性は、電気を伝達する機能である。2本の延長コードが「機能的に結合される」場合、2本の延長コードは、電気が両方の延長コードを通って伝達できるように結合される。別の例では、データ通信の特徴を有する2つの無線ルーターは、両方のルーターを介してデータが通信可能であるように互いに繋がっている(物理的には互いに結合されていない)場合、「機能的に結合される」。
【0047】
本明細書では、2つの又は2つを超える部品又は構成要素が相互に「係合する」という表現は、それらの要素が、直接的に、或いは、1又は複数の中間要素若しくは構成要素を介して相互に力を及ぼすこと、又は付勢することを意味する。更に、移動する部品について、本明細書では、移動する部品は、ある位置から別の位置への移動中に別の要素に「係合し」てよく、及び/又は、一旦記載された位置に至ると別の要素に「係合し」てよい。故に、「要素Aは、要素の第1の位置に移動すると、要素Bに係合する」と、「要素Aは、要素の第1の位置にあると、要素Bに係合する」とは等価の表現であり、この表現は、要素Aは、要素の第1の位置に移動する間に要素Bに係合する、及び/又は要素の第1の位置にある間、要素Bに係合することを意味すると理解される。
【0048】
本明細書では、「作動的に係合する」は、「係合し、移動する」ことを意味する。つまり、「作動的に係合する」は、移動可能又は回転可能な第2の構成要素を動かすように構成された第1の構成要素について使用される場合、第1の構成要素が、第2の構成要素を動かすために十分な力を加えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじと接触させて配置できる。力がねじ回しに加えられないと、ねじ回しは、単にねじに「一時的に結合される」だけである。軸方向の力がねじ回しに加えられると、ねじ回しがねじに押しつけられて、ねじに「係合する」。しかしながら、回転力がねじ回しに加えられると、ねじ回しは、ねじに「作動的に係合し」て、ねじを回転させる。更に、電子部品の場合、「作動的に係合する」とは、ある部品が制御信号又は電流によって別の部品を制御することを意味する。
【0049】
本明細書では、「一時的に配置される」は、第1の要素を分離すること又はそれ以外の形で操作することなく第1の要素/アセンブリを動かせるように、第1の要素又はアセンブリが第2の要素又はアセンブリにあることを意味する。例えば、テーブルに単に載っている本、即ち、テーブルに糊付け又は固定されていない本は、テーブルに「一時的に配置される」。
【0050】
本明細書では、「対応する」は、2つの構造構成要素が相互に類似したサイズと形状を有し、最小摩擦量で結合できることを示す。故に、部材に「対応する」開口は、その部材が最小摩擦量で開口を通過できるように、部材よりも僅かに大きいサイズを有する。この定義は、2つの構成要素が「ぴったりと」嵌まる場合には変更される。かかる状況では、構成要素間の寸法差が更に小さくなることで、摩擦量が増加する。開口を画定する要素及び/又は開口に挿入される構成要素が、変形可能又は圧縮可能な材料から作られている場合、開口は、開口に挿入される構成要素よりも僅かに小さくてよい。表面、形状、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、形状、又は線はほぼ同一のサイズ、形状、及び輪郭を有する。
【0051】
本明細書では、「移動経路」又は「経路」は、移動する要素に関連して使用される場合、移動中に要素が通る空間を含む。よって、移動する要素は、「移動経路」又は「経路」を本質的に有する。更に、「移動経路」又は「経路」は、識別可能な1つの構造体における、別の物体に対する全体としての動きに関連している。例えば、道路が完全に滑らかである仮定すると、自動車の回転する車輪(識別可能な構造体)は、自動車の車体(別の物体)に対してほとんど移動しない。即ち、車輪は全体として、例えば隣接するフェンダーに対して位置を変えない。故に、回転する車輪には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」はない。逆に、その車輪の空気吸入弁(識別可能な構造体)には、自動車の車体に対する「移動経路」又は「経路」がある。つまり、車輪が回転して動いている間、吸気弁全体は、自動車の車体に対して移動する。
【0052】
本明細書では、「一体型」という文言は、単一の片又はユニットとして作製されている構成要素を意味する。つまり、別個に作製された後に互いにユニットとして結合された複数の片を含む構成要素は、「一体型」構成要素又は「一体型」構造体ではない。
【0053】
本明細書では、「幾つかの」という用語は、1又はそれを超える整数(即ち、複数)を意味する。即ち、例えば、「幾つかの要素」という語句は、1つの要素又は複数の要素を意味する。「幾つかの[x]」は、単一の[x]を含むことに特に留意のこと。
【0054】
本明細書では、「[x]が第1の位置と第2の位置との間を移動する」、又は「[y]が、第1の位置と第2の位置との間で[x]を移動させるように構成される」という表現において、「[x]」は、要素又はアセンブリの名称である。更に、[x]が複数の位置の間で移動する要素又はアセンブリである場合、「その」という代名詞は、「[x]」、即ち、「その」という代名詞の後に言及される要素又はアセンブリを意味する。
【0055】
本明細書では、円状体又は円柱体の「径方向側面/面」は、その中心又は中心を通る高さ線の周りに延びる、或いは、その中心又は中心を通る高さ線を囲む側面/面である。本明細書では、円状体又は円柱体の「軸方向側面/面」は、円柱の中心を通る高さ線にほぼ垂直に延びる平面内に延びる面である。つまり、一般的には、円柱状スープ缶の場合、「径方向側面/面」は略円状側壁であり、「軸方向側面/面」はスープ缶の頂部と底部である。更に、本明細書では、「径方向に延びる」は、半径方向に延びる、又は、半径方向線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「径方向に延びる」線は、円又は円柱の中心から径方向側面/面へ向けて延びる。更に、本明細書では、「軸方向に延びる」は、軸方向に延びる、又は、軸線に沿って延びることを意味する。即ち、例えば、「軸方向に延びる」線は、円柱の底部から円柱の頂部へ向かって、円柱の長手方向中心軸と略平行に延びる。
【0056】
本明細書では、「略曲線状」は、複数の曲線部、曲線部及び平坦部の組合せ、或いは、相互に角度を成すように配置されて曲線を形成する複数の平坦部又はセグメントを有する要素である。
【0057】
本明細書では、「板状体」又は「板状部材」は、概ね薄い要素であって、対向しており、広くて概ね平行な表面、即ち、板状部材の平面と、広い平行な表面の間で延びるより細い端面とを含んでいる。即ち、本明細書では、「板状」要素が2つの対向する平面を有することが本質的である。外周、そして端面は、例えば長方形の板状部材の場合のように概ね真っ直ぐな部分を含んでよく、又は円盤の場合のように曲ってよく、又は他の任意の形状を有してよい。
【0058】
本明細書では、境界を共有する任意の隣接範囲、例えば、0%~5%と5%~10%、或いは、0.05インチ~0.10インチと0.001インチ~0.05インチに関して、より低い範囲の上限、即ち先の例の低い範囲では5%及び0.05インチは、その特定されている境界よりも僅かに小さいことを意味する。即ち、先の例では、0%~5%の範囲は0%~4.999999%を意味し、0.001インチ~0.05インチの範囲は0.001インチ~0.04999999インチを意味する。
【0059】
本明細書では、「上向きに付随する」とは、別の要素から上向きに概ね垂直に延びる要素を意味する。
【0060】
本明細書では、「缶」及び「容器」という用語は、任意の既知の又は適切な容器を指すためにほぼ置換可能に使用され、中身(限定ではなく、例えば、液体、食品やその他の適切な物質)を収容するように構成され、限定ではないが、ビールやソーダ缶などの飲料缶だけでなく食料缶も明確に含む。
【0061】
本明細書では、「缶ボディ」は、底部と、付随する、又は上向きに付随する側壁とを有する。「缶ボディ」は一体型である。この構成では、「缶ボディ」は概ね閉じた空間を規定する。故に、「缶ボディ」、即ち底部及び側壁は、外面及び内面も含む。従って、例えば、「缶ボディ」は、側壁内面及び側壁外面を含む。
【0062】
本明細書では、金属を「成形」するとは、金属製の構造体の形状を変えることを意味する。
【0063】
本明細書では、「[要素、点、又は軸]を中心に配置される」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に延びる」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に[X]度」などの表現における「中心に」は、それを中心に囲う、延びる、又は測定されることを意味する。測定値に関連して又はそれに類似した状況で使用される場合、「約」は、「おおよそ」、即ち、当業者によって理解される、測定値に関する近似的な範囲を意味する。
【0064】
本明細書では、「延設された」要素は、延出方向に延びる長手方向軸及び/又は長手方向線を本質的に含む。
【0065】
本明細書では、「一般的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「一般的な方法で」を意味する。
【0066】
本明細書では、「実質的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「ほとんど」を意味する。
【0067】
本明細書では、「にて」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して位置及びその近傍を意味する。
【0068】
本明細書では、「複式ダイシュー(plural die shoe)」とは、複合レーンダイセットに結合されるように構成された単一のダイシューを意味する。例示的な実施形態では、「複式ダイシュー」は、複合レーンダイセットが結合される「一体型構造体」を含み、そのような複式ダイシューは、本明細書では、「一体型構造複式ダイシュー」とされる。
【0069】
本明細書では、キスブロックとダイセットの間の間隔に関して使用される場合、「動作距離」とは、キスブロックの変形が2つの異なるダイセットのダイを予圧する位置にキスブロックが配置されていることを意味する。言い換えると、キスブロックは複数のダイセットと関連しており、それらダイセットに作用する。キスブロックが複数のダイセットに関連付けられており、それらに作用する場合、それらダイセットの各々は独自の専用キスブロックを必要としない。故に、ツーリングセット、又は集合的にそれらダイセットは、「縮小された領域」を占める。本明細書では、「縮小された領域」を占めるツーリングセット/ダイセットは、3つの2レーンシェルダイセットを従来のラムプレスに結合することを可能にする。
【0070】
本明細書では、「長手方向軸と実質的に一致する作用線」とは、作用線と長手方向軸が実質的に同一の広がりを持つ(co-extensive)ことを意味する。
【0071】
本明細書では、「凹部の限定された数の列」とは、凹部の2つの列を意味する。
【0072】
本明細書では、「耐変形幅(deformation resistant width)」を持つ移送ベルトとは、横方向の幅が9.0インチ未満の移送ベルトを意味する。
【0073】
本明細書では、シェルの凹部の列とキスブロックとの間の間隔に関して使用される場合、「有効距離」は、約3.5インチの距離を意味する。この「有効距離」は、関連するキスブロックから、そのキスブロックに最も近いシェルの凹部の最も近い表面までで測定される。即ち、以下に説明するように、例示的な実施形態では、複数のキスブロックと幾つかの移動する凹部とが存在する。「関連するキスブロック」とは、「有効距離」が測定されるキスブロックのことである。「関連するキスブロックに最も近いシェルの凹部」とは、あるサイクル中に関連するキスブロックに最も近いシェルの凹部のことである。「あるサイクル中に関連するキスブロックに最も近いシェルの凹部」は、ラムプレスの各サイクル中で変化することは理解される。
【0074】
本明細書では、リフトゲート部材に関して、「低減された質量」は、鋼製であって実質的に同様の寸法及び特性を有するリフトゲート部材の質量よりも小さい質量を意味する。
【0075】
本明細書では、「増加した数のシェル」とは、4506乃至4799SPMを意味する。本明細書では、「非常に増加した数のシェル」とは、4800乃至5099SPMを意味する。本明細書では、「極めて増加した数のシェル」とは、1分間当たり5100シェル以上を意味する。
【0076】
図1及び
図2に示すように、コンバージョンプレス10は、金属ブランク1及び/又は金属シート2を缶エンド5に成形するように構成されている。以下の開示では、概ね円形の缶エンド5に成形される概ね円形のブランク1を例として用いる。この形状は例示的なものであり、ブランク1/缶エンド5は任意の形状であってよいことは理解される。例示的な実施形態では、最初にブランク1は、アルミニウム、鋼、或いは、アルミニウム及び/又は鋼の合金などの金属シートから切り出される。更に、例示的な実施形態では、ブランク1は、「シェル」3に成形されるか又は部分的に成形される。公知のように、本明細書では、「シェル」とは、限定ではないがセンターパネルやカウンターシンクなどの幾つかの構造を有するが、タブを含まないブランクを意味する。図示の実施形態では、シェル3がコンバージョンプレス10に提供される。図示されていない別の実施形態では、コンバージョンプレス10は、金属シート2からブランク1を切り出して、ブランクをシェル3に成形する。本明細書では、シェル3にタブ(図示せず)が結合されると、シェル3は「缶エンド」5となる。
【0077】
コンバージョンプレス10は、ハウジング/フレームアセンブリ12(以下、「ハウジングアセンブリ」12)、ラムプレス14(
図3)、ツーリングセット20、及び移送ベルトアセンブリ70を含む。ハウジングアセンブリ12は、コンバージョンプレス10の他の要素を支持するように構成されている。概して、ラムプレス14の具体的な詳細は、ラムプレス14が延設されたラム本体16(
図3)を含む従来のラムプレス14であり、このラム本体16は、往復運動で移動し、以下に説明するように、複数の成形ステーションで金属を成形するのに十分な力を加えるように構成されていることに留意する以外には、本開示には関係ない。公知のように、ラムプレス14は、ラム本体16を介してその力を加える。故に、ラム本体16は、ラム本体16の長手方向軸に実質的に揃っている作用線に沿って力を加えるように構成されている。更に、ラム本体16は、以下に説明するように、幾つかのツーリングアセンブリ30、例示的な実施形態では上側ダイアセンブリ40に(例示的な実施形態では間接的に)結合するように構成されている。例示的な構成では、ラム本体16は、ツーリングアセンブリ30の概ね上方に配置され、以下に説明するように、第2の位置へと上側ダイアセンブリ40を下方に移動させる。
【0078】
即ち、本明細書で使用される用語は、以下の通りである:「ツーリングセット20」は、幾つかの上側ダイシュー24と、幾つかの下側ダイシュー28と、幾つかの「ツーリングアセンブリ30」とを含む。即ち、「ツーリングセット」とは、基本的には、コンバージョンプレス10が異なるタイプの缶エンド5を作るように構成されている場合に、ラムプレス14で交換される又は交換できる全ての要素を意味する。各「ツーリングアセンブリ30」は、「上側ツーリングアセンブリ31」と「下側ツーリングアセンブリ33」とを含む。開示されている実施形態では、各「上側ツーリングアセンブリ31」は、ハウジングアセンブリ12に移動可能に結合され、ラムプレス14と動作可能に係合しており、「上側ツーリングアセンブリ31」及びそれに結合された要素が、関連する「下側ツーリングアセンブリ33」及びそれに結合された要素から離間している第1の位置と、「上側ツーリングアセンブリ31」及びそれに結合された要素が、関連する「下側ツーリングアセンブリ33」及びそれに結合された要素から成形距離に配置された第2の位置との間で移動するように構成されている。更に、各「上側ツーリングアセンブリ31」は、上側ダイシュー24の1つと上側ダイアセンブリ40とを含む。同様に、各「下側ツーリングアセンブリ33」は、下側ダイシュー28の1つと、下側ダイアセンブリ50とを含む。即ち、本明細書では、上側ダイシュー24及び下側ダイシュー28は、集合的にツーリングセット20の一部として認識され、個別には、上側ツーリングアセンブリ31/下側ツーリングアセンブリ33の一部として認識される。更に、各上側ダイアセンブリ40は、関連する下側ダイアセンブリ50を有しており、即ち、互いに対向して配置される上側ダイアセンブリ及び下側ダイアセンブリは関連しており、本明細書では、後述するように、「シェルダイセット32」としてまとめて認識される。例示的な実施形態では、ツーリングセット20、言い換えると、全てのシェルダイセット32は、縮小された領域を占めており、従来のラムプレス14に結合されるように構成されている。これにより、上記の問題が解決する。
【0079】
例示的な実施形態では、上側ダイシュー24は、ラムプレス14/ラム本体16に結合、直接結合、又は固定されており、それと共に移動する。言い換えると、ラム本体16は、上側ダイシュー24と作動的に係合している。各下側ダイシュー28は、ハウジングアセンブリ12に結合、直接結合、又は固定されており、実質的に静止している。各上側ダイアセンブリ40は、上側ダイシュー24に結合、直接結合、又は固定されており、それと共に移動する。各下側ダイアセンブリ50は、下側ダイシュー28に結合、直接結合、又は固定されており、実質的に静止している。このようにして、ツーリングセット20、ツーリングアセンブリ30、及びダイセット32(後述)は、ブランク1/シェル3を作るように構成されている。この構成では、上側ダイアセンブリ40は、上側ダイアセンブリ40が関連する下側ダイアセンブリ50から離間している第1の位置と、上側ダイアセンブリ40が関連する下側ダイアセンブリ50から成形距離に配置される第2の位置との間で移動するように構成されている。上側ダイアセンブリ40が第2の位置にある場合、対向する一対のダイ36’,36”は成形距離だけ離れており、それらの間にあるブランク1はそれらで成形工程が行われることは理解される。
【0080】
ツーリングセット20は、複数のシェルダイセット32とタブダイセット35とを含む。シェル3を作るように構成されている各ツーリングアセンブリ30は、複数のシェルダイセット32を含み、各シェルダイセット32は、少なくとも1つの延設されたシェルレーン34を規定する。本明細書では、「シェルレーン」34とは、直列に配置されており、ブランク1/シェル3が通過して成形される複数のダイ36’,36”(後述する)を意味する。本明細書では、シェルダイセット32は、シェルダイセット32が単一のシェルレーン32を規定することを意味する「単一レーン」シェルダイセット32、又は、シェルダイセット32が複数のシェルレーン32を規定することを意味する「複合レーン」シェルダイセット32の何れかである。単一レーンのコンバージョンプレスと複合レーンのコンバージョンプレスとは公知である。
【0081】
例えば、3つの単一レーンを含むコンバージョンプレスが知られている。3つの単一レーン構成とトリプルレーン構成とを区別するために、次の定義が提供される。本明細書では、「複合レーン」のシェルダイセット32では、複数のレーンは互いに直ぐ隣にある。本明細書では、「直ぐ隣」とは、2.9インチ未満の間隔を意味する。故に、例えば上述の3つの単一レーンのコンバージョンプレスでは、全てのレーンは約7.45インチを超えて離間している。これらのレーンは互いに「直ぐ隣」にないため、それらのレーンは「複合レーン」シェルダイセット32の一部ではない。
【0082】
更なる例として、よく知られている4出力コンバージョンプレスは、4つのレーンを備えており、第1ペアのレーン(第1レーンと第2レーン)は2.7825インチ未満の間隔で配置され、第2ペアのレーン(第3レーンと第4レーン)もまた2.7825インチ未満の間隔で配置されている。更に、第1のペアのレーンと第2のペアのレーンは、7.45インチを超える間隔で配置されている。この構成では、コンバージョンプレスは2つの複合レーンダイセットを有している。つまり、レーンのペアは2.9インチを超えて離れているが、各ペアを構成するレーンは2.9インチ未満で離れている。故に、レーンの各ペアは、「複合レーン」シェルダイセット32の一部である。
【0083】
更に、本明細書では、「複合レーン」のダイセットは、具体的なレーン数によって特定できる。例えば、本明細書では、「2レーン」ダイセットは、2つのレーンを規定するシェルダイセット32であり、「3レーン」ダイセットは、3つのシェルレーンを規定するシェルダイセット32である。
【0084】
ツーリングセット20はまた、タブを作るように構成されている1つのツーリングアセンブリ30を含む。これは、タブ上側ツーリングアセンブリ31とタブ下側ツーリングアセンブリ33とタブダイセット35とを含むタブツーリングアセンブリ30である。タブダイセット35は、タブ上側ダイアセンブリ及びタブ下側ダイアセンブリ(どちらも符号なし)を含む。タブツーリングアセンブリ30は複数のタブレーンを規定しているが、タブツーリングアセンブリ30、即ちタブダイセット35は、本明細書でいうところの「複合レーン」ダイセットではない。即ち、本明細書では、「複合レーン」という用語は、シェルダイセット32にのみ適用される。従って、本明細書では、タブダイセット35は「複合レーン」ダイセットであり得ず、「複合レーン」ダイセットを開示するものでもない。
【0085】
上述の定義に加えて、本明細書では、「シェルダイセット」32は、対向するダイ36’,36”、即ち上側ダイ36’及び下側ダイ36”の複数の対を含んでおり、ダイ36’,36”の各対が成形ステーション38を規定する。例示的な実施形態では、対向するダイ36’,36”の複数の対は、直列に且つ実質的に直線状に配置される。各成形ステーション38は、ブランク1/シェル3に対して複数の成形工程を行う。例示的な実施形態では、各成形ステーション38は、ブランク1/シェル3に対して単一の成形工程を行う。
【0086】
例示的な「6出力」コンバージョンプレス10では、複数のシェルダイセット32は、複数の複合レーンダイセット32を含む。図示されている実施形態では、6つのシェルレーン34を規定する3つの「2レーン」ダイセット32がある。即ち、例示的な実施形態では、第1のシェルレーン34A及び第2のシェルレーン34Bを規定する第1の複合レーンシェルダイセット32Aと、第3のシェルレーン34C及び第4のシェルレーン34Dを規定する第2の複合レーンシェルダイセット32Bと、第5のシェルレーン34E及び第6のシェルレーン34Fを規定する第3の複合レーンシェルダイセット32Cとがある。上述したように、ツーリングセット20、言い換えると全てのシェルダイセット32は、縮小された領域を占める。本明細書では、「全てのシェルダイセット32」とは、先に延べた全てのシェルダイセット32を意味することは理解される。このように、本実施形態では、第1の複合レーンシェルダイセット32A、第2の複合レーンシェルダイセット32B及び第3の複合レーンシェルダイセット32Cは、全体として縮小された領域を占める。これにより、上記の問題が解決する。
【0087】
上述したように、各ツーリングアセンブリ30は、上側ツーリングアセンブリ31と下側ツーリングアセンブリ33とを含む。各上側ツーリングアセンブリ31は、上側ダイシュー24の1つと、上側ダイアセンブリ40とを含む。各下側ツーリングアセンブリ33は、下側ダイシュー28の1つと、下側ダイアセンブリ50とを含む。公知のように、各上側ダイアセンブリ40は、上側ダイシュー24に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合されており、そして、各下側ダイアセンブリ50は、下側ダイシュー28に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合されている。更に、ダイ36’,36”は夫々、上側ダイシュー24/下側ダイシュー28に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合されている。
【0088】
以下の説明は、一対の関連する「複式ダイシュー」、即ち、「第1の」上側ダイシュー24と「第1の」下側ダイシュー28とを含む第1のツーリングアセンブリ30を扱う。第1のツーリングアセンブリ30及び/又は第1の上側ダイシュー24及び第1の下側ダイシュー28に関連して使用される「第1の」という用語は、単なる識別子であって、これらのダイシューが上流位置に配置されていること、或いは、これらのダイシューが他のツーリングアセンブリ及び/又はダイシューよりも重要である又は意義があることを意味するものではないことは理解される。
【0089】
例示的な実施形態では、ツーリングセット20は、第1の上側ダイシュー24と第1の下側ダイシュー28とを含む第1のツーリングアセンブリ30を含む。第1の上段ダイシュー24と第1の下段ダイシュー28の夫々は、複式ダイシューである。これにより、上述した課題は解決される。即ち、第1の上側ダイシュー24及び第1の下側ダイシュー28の各々は、複数の複合レーンダイセット32に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合されるように構成されている。別々のダイセット32を支持するために2つのダイシューを使用しないということで、ツーリングアセンブリ30が占有するスペースがより小さくなって、6レーンを規定するダイセット32を従来のラムプレス14に結合することができ、それにより上述の問題を解決することができる。
【0090】
図示されているように、第1の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ36’及び第2の複合レーンシェルダイセットの上側ダイ36は、第1の上側ダイシュー24に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合される。同様に、第1の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ36と第2の複合レーンシェルダイセットの下側ダイ36とは、第1の下側ダイシュー28に結合、直接結合、固定、又は一時的に結合される。
【0091】
例示的な実施形態では、ツーリングセット20は、2つのツーリングアセンブリ30と、2組の上側/下側ダイシュー24,28と、1組のタブレーンダイシュー24,28とを含むだけである。即ち、ツーリングセット20は、上述した第1のツーリングアセンブリ30と、第2の上側ダイシュー24及び第2の下側ダイシュー28を含む第2のツーリングアセンブリ30とを含む。故に、例示的な実施形態では、第1の上側/下側ダイシュー24/28は、第1の複合レーンシェルダイセット32Aに結合され、第2の上側/下側ダイシュー24/28は、第2の複合レーンシェルダイセット32B及び第3の複合レーンシェルダイセット32Cに結合され、タブ上側/下側ダイシュー24/28は、タブダイセット35に結合される。この構成では、第1の上側/下側ダイシュー24/28は、第1のシェルレーン34A及び第2のシェルレーン34Bを支持する、又は含む。更に、第2の上側/下側ダイシュー24/28は、第3のシェルレーン34C、第4のシェルレーン34D、第5のシェルレーン34E及び第6のシェルレーン34Fを支持する、又は含む。タブ上側/下側ダイシュー24/28は、タブダイセット35を支持する、又は含む。上述したように、ダイセット32が上側/下側ダイシュー24/28に結合される場合、上側ダイ36’は上側ダイシュー24に結合、直接結合、固定又は一時的に結合され、下側ダイ36”は下側ダイシュー28に結合、直接結合、固定又は一時的に結合されることが理解される。
【0092】
ツーリングアセンブリ30はまた、複数のキスブロック42,52を含む。即ち、各上側/下側ツーリングアセンブリ31,33、各ダイセット32、及び/又は、各上側ダイアセンブリ40及び各下側ダイアセンブリ50は、幾つかの上側キスブロック42及び幾つかの下側キスブロック52を含む。先に詳述したように、キスブロック42,52は、互いに連動して動作する。このように、各上側キスブロック42は、下側キスブロック52と関連していることは理解される。即ち、本明細書では、関連するキスブロック42,52は、「一対のキスブロック」42,52として認識される。更に、本明細書では、全ての上側キスブロック42は、関連する下側キスブロック52を有する。従って、任意のキスブロック42,52を導入することは、関連するキスブロック42,52と、関連するキスブロック42,52によって定義される「キスブロックのペア」42,52とを本質的に導入することになる。
【0093】
キスブロック42,52は、選択されたダイ36’,36”に隣接して配置される。上側ダイアセンブリ40が第2の位置にある場合、上側キスブロック42は下側キスブロック52と係合し、両者は変形する。キスブロック42,52が変形すると、当該分野で知られているように、キスブロック42,52は、隣接するダイ36’,36”と作動的に係合し、ダイ36’,36”を所望の位置に配置する。例示的な実施形態では、キスブロック42,52は、幾つかのスコアダイ37’,37”から有効距離に配置される。公知のように、スコアダイ37’,37”は、ブランク1にスコアを形成するダイ36である。
【0094】
キスブロック42,52は、後述するように、ダイセット32間の「動作距離」とシェルの凹部の列90からの「有効距離」の両方に配置される。動作距離の観点から、キスブロック42,52は、別々のダイセット32に隣接して配置される。キスブロック42,52は、少なくとも2つのダイセット32に隣接し、且つ、ダイセット32から動作距離に配置される。図示されているように、キスブロック42,52は、第1の複合レーンシェルダイセット32A及び第2の複合レーンシェルダイセット32Bに隣接し、それらから動作距離に配置される。この位置では、キスブロック42,52は、第1の複合レーンシェルダイセット32Aと第2の複合レーンシェルダイセット32Bの両方のダイ36を予圧する。故に、第1の複合レーンシェルダイセット32A及び第2の複合レーンシェルダイセット32Bの各々は、別個のキスブロック42,52を必要としない。このように、各ダイセット32が占めるスペースは小さく、従来のラムプレス14に6つのシェルレーン34を収容することができ、上述の問題を解決することができる。
【0095】
移送ベルトアセンブリ70は、複数のブランク1/シェル3をツーリングセット20/ツーリングアセンブリ30を通して移動させるように構成されている。即ち、移送ベルトアセンブリ70は、各上側ツーリングアセンブリ31と下側ツーリングアセンブリ33との間において複数のシェルを移動させるように構成されている。移送ベルトアセンブリ70は、割出し駆動アセンブリ72と幾つかの移送ベルト80とを含む。割出し駆動アセンブリ72は、各移送ベルト80に動作可能に結合された出力シャフト74を含む。例示的な実施形態では、全ての移送ベルト80は、単一の割出し駆動アセンブリ72によって駆動される。上述したように、「割出し」動作とは、ラムプレス14/ツーリングアセンブリ30の各サイクル中に、割出し駆動アセンブリ72が出力シャフト74を回転させて、移送ベルト80を所定の/設定された距離だけ移動させることを意味する。即ち、通常、割出し駆動アセンブリ72が出力シャフト74を回転させて、移送ベルト80が動く。例示的な実施形態では、割出し駆動アセンブリ72の動作及び移送ベルト80の動きは、上側ダイアセンブリ40が第2の位置から第1の位置に移動している場合に制限される。即ち、上側ダイアセンブリ40が下側ダイアセンブリ50から離れていく際に、移送ベルト80が動く。別の例示的な実施形態では、割出し駆動アセンブリ72の動作及び移送ベルト80の動きは、上側ダイアセンブリ40が第1の位置から第2の位置に向かう最初の動作の間に生じる。全ての実施形態において、割出し駆動アセンブリ72の動作及び移送ベルト80の動きは、上側ダイアセンブリ40が第2の位置にある時間の前に、そして、その間において停止する。故に、ブランク1/シェル3は成形工程中に移動しない。
【0096】
例示的な実施形態では、3つの移送ベルト80があり、後述するように、側方の第1の移送ベルト80Aと、中央の第2の移送ベルト80Bと、側方の第3の移送ベルト80Cとがある。移送ベルト80は実質的に同じであって、一般的な移送ベルト80が以下で説明される。移送ベルト80は、端部(符号なし)を有する延設された本体82を含んでおり、当該端部は、移送ベルト本体82が延設されたループを形成するように、互いに結合、直接結合、又は固定されている。即ち、移送ベルト本体82は、ループ状にされた場合でも、中心線又は長手方向軸84(以下、「長手方向軸」84)を有している。例示的な実施形態では、各移送ベルト80、即ち、各移送ベルト本体82は、限定ではないがネオプレンゴムのような弾性材料から作られている。移送ベルト本体82は、複数の凹部86を含んでいる。各移送ベルト本体の凹部は、ブランク1/シェル3に対応した大きさ及び形状にされる。即ち、各凹部86内に1つのシェル3/ブランク1が収まる。凹部86は、移送ベルト本体の長手方向軸84と概ね平行に延びる幾つかの列90で配置される。以下では、本明細書では、集合的な用語「凹部の列90」は「列」を意味し、適切な符号は、「86」ではなく「90」である。即ち、符号「86」は、個々の凹部86を特定するのに対して、符号「90」は、凹部の列90を特定する。
【0097】
例示的な実施形態では、各移送ベルト80は、凹部の限定された数の列90を含む。即ち、各移送ベルト80は、凹部の2つの列90を含み、凹部の各列90は、移送ベルト本体の長手方向軸84の両側に配置される。更に、各移送ベルト80、即ち、各移送ベルト本体82は、耐変形幅を有している。耐変形幅の移送ベルト80は、上述の問題点を解決する。更に、凹部の2つの列90を有する移送ベルト80は、シェルの凹部の列90とキスブロック42,52との間の間隔を、先に定義した「有効距離」とすることができるように構成されている。このような構成の移送ベルト80は、上述した問題点を解決する。即ち、この構成の移送ベルト80は、キスブロック42,52が選択されたダイ36’,36”から「有効距離」にあることを可能にする。
【0098】
更に、移送ベルトアセンブリ70は、幾つかの移送ベルトアイドラ76を含む。即ち、第1の移送ベルトアイドラ76と、第2の移送ベルトアイドラ76と、第3の移送ベルトアイドラ76とがある。上述したように、当該分野では、移送ベルト80用のアイドラを遠ざけている。開示及び特許請求の範囲に記載された実施形態は、しかしながら、各移送ベルト80にアイドラ76を必要とするような十分な速度で動作する。即ち、増加した数のシェル3、非常に増加した数のシェル3、又は極めて増加した数のシェル3の何れかをコンバージョンプレス10を介して移送ベルトアセンブリ70が移動できるように構成された移送ベルトアイドラ76は、本明細書でいうところの「高速ベルトアイドラ」である。移送ベルトアイドラ76は、高速ベルトアイドラである。
【0099】
例示的な実施形態では、各移送ベルトアイドラ76は、ハウジングアセンブリ12に回転可能に結合されたローラー78を含む。各移送ベルトアイドラ76は、下側ツーリングアセンブリ50に隣接して配置されており、関連する移送ベルト80を引っ張るように構成されている。
【0100】
移送ベルトアセンブリ70は任意の数の移送ベルト80を含むが、例示的な実施形態では、上述したように、移送ベルトアセンブリ70は3つの移送ベルト80;側方の第1の移送ベルト80Aと、中央の第2の移送ベルト80Bと、側方の第3の移送ベルト80Cとを含む。即ち、移送ベルト80は、長手方向軸84が互いに概ね平行に延び、上側の外周面が概ね同一平面上に配置された状態で、ハウジングアセンブリ12に配置される。更に、例示的な実施形態では、移送ベルトループの端部は概ね揃えられている。即ち、移送ベルト80は、互いに横方向にオフセットされていることを除いて、互いにオフセットされていない。この構成では、1つの移送ベルト80が他の2つの間に配置されると、その移送ベルト80が中央の第2の移送ベルト80Bとなる。このように、上述したように、中央の第2の移送ベルト80Bの一方の側に側方の第1の移送ベルト80Aが配置され、中央の第2の移送ベルト80Bの他方の側に側方の第3の移送ベルト80Cが配置される。
【0101】
更に、上述したように、各移送ベルト80は、凹部の限定された数の列90を含む。即ち、第1の移送ベルト80Aは、シェル凹部の第1の列90Aとシェル凹部の第2の列90Bとを規定しており、第2の移送ベルト80Bは、シェル凹部の第3の列90Cとシェル凹部の第4の列90Dとを規定しており、第3の移送ベルト80Cは、シェル凹部の第5の列90Eとシェル凹部の第6の列90Fとを規定している。更に、各移送ベルト80A,80B,80Cは、関連するシェルダイセット32A,32B,32Cの間を移動するように構成されている。即ち、図示されているように、第1の移送ベルト80Aは、第1のシェルダイセット32A間を移動し、故に、シェル凹部の第1の列90Aは第1のシェルレーン34Aを通って移動し、シェル凹部の第2の列90Bは第2のシェルレーン34Bを通って移動する。同様に、第2の移送ベルト80Bは、第2のシェルダイセット32B間を移動し、故に、シェル凹部の第3の列90Cは第3のシェルレーン34Cを通って移動し、シェル凹部の第4の列90Dは第4のシェルレーン34Dを通って移動する。最後に、第3の移送ベルト80Cは、第3のシェルダイセット32C間を移動し、これにより、シェル凹部の第5の列90Eは第5のシェルレーン34Eを通って移動し、シェル凹部の第6の列90Fは第6のシェルレーン34Fを通って移動する。この構成では、コンバージョンプレス10の各サイクルで6つの缶エンドが製造される。つまり、コンバージョンプレス10は、「6出力」コンバージョンプレス10である。
【0102】
更に、コンバージョンプレス10は、増加した数のシェル3、非常に増加した数のシェル3、又は極めて増加した数のシェル3の何れかを処理するように構成されている。これにより、上述した課題は解決される。更に、コンバージョンプレス10で処理されたシェル3は移送ベルトアセンブリ70によって移動するので、移送ベルトアセンブリ70は、増加した数のシェル3、非常に増加した数のシェル3、又は極めて増加した数のシェル3の何れかをコンバージョンプレス10を通して移動させるように構成されている。後述するように、例示的な実施形態では、移送ベルトアセンブリ70は、複数の移送ベルト80を含む。このように、言い換えると、複数の移送ベルトは、増加した数のシェル、非常に増加した数のシェル3、又は極めて増加した数のシェル3を移動させるように構成されている。これにより、上述した課題は解決される。
【0103】
しかしながら、前述したように、1分当たりに処理されるシェル3の数を増やすと、このような高速処理に関連して追加/増加する力に問題が生じる。そのようなより速い処理に関連する、選択された数の追加/増加した力に対処するために、移送ベルトアセンブリ70は、凹部の限定された数の列90を含む。これにより、上述した課題は解決される。
【0104】
更に、追加/増加した力と高速処理に関連する問題とに対処するために、移送ベルトアセンブリ70は、リフトゲート部材102が低減された質量を有するリフトゲートアセンブリ100を含む。即ち、リフトゲートアセンブリ100は、延設されたリフトゲート部材102と、リフティングアセンブリ104と、アクチュエータアセンブリ106とを含む。リフトゲート部材102は通常、一連の凹部を有する平らな部材である(どちらも符号なし)。リフトゲート部材の凹部は、シェル3及び/又は移送ベルトの凹部86よりも僅かに大きい。各リフトゲート部材102は、シェルレーン34に配置される。リフティングアセンブリ104は、リフトゲート部材102を、リフトゲート部材102が下側ダイアセンブリ50から離間している上側の第1の位置と、リフトゲート部材102が下側ダイアセンブリ50から離間している下側の第2の位置との間で移動させるように構成されている。例示的な実施形態では、リフティングアセンブリ104は、リフトゲート部材102を第1の位置に付勢するバネを含む。アクチュエータアセンブリ106は、リフティングアセンブリ104を作動させるように構成されている。例示的な実施形態では、アクチュエータアセンブリ106は、上側ダイアセンブリ40から延びており、下向きに付随するロッド(符号なし)を含む。本実施形態では、アクチュエータアセンブリ106は、上側ダイアセンブリ40が第2の位置に向かって移動するとリフトゲート部材102に接触し、リフティングアセンブリ104のバイアスに打ち勝って、リフティングアセンブリ104にリフトゲート部材102を第2の位置に移動させる
【0105】
コンバージョンプレス10が、増加した数のシェル3、非常に増加した数のシェル3、又は極端に増加した数のシェル3の何れかを処理する場合、或いは、リフトゲートアセンブリ100が重すぎる場合、リフトゲートアセンブリ100の往復運動は好ましくない。それ故に、例示的な実施形態では、リフトゲートアセンブリ100は、低減された質量を有するリフトゲート部材102を含む。本明細書では、「低減された質量」とは、密度が約0.065 lb./in.3である構造体を意味する。このような密度を持つ、及び/又は複合材料から作られたリフトゲート部材102は、上述の問題を解決する。
【0106】
発明の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示であることのみを意図されており、添付の特許請求の範囲及びその任意の且つ全ての均等物の全範囲として与えられる本発明の範囲に対する限定ではない。