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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】共用車両管理装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/12 20190101AFI20240221BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20240221BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
B60L58/12
B60L53/80
G06Q10/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021540743
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2020030626
(87)【国際公開番号】W WO2021033602
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2019151209
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】三村 知洋
(72)【発明者】
【氏名】石黒 慎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087247(JP,A)
【文献】特開2016-143246(JP,A)
【文献】特開2014-219749(JP,A)
【文献】特開2017-075967(JP,A)
【文献】特開2015-087799(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141291(WO,A1)
【文献】特開2013-061789(JP,A)
【文献】特開2016-130944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに共用され、それぞれバッテリが搭載された複数の共用車両を管理する共用車両管理装置であって、
ユーザの希望出発地である第1ポート及び前記ユーザの希望目的地である第2ポートを示す情報の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記第1ポート及び前記第2ポートを示す情報の入力を受け付けたことに応じて、バッテリ残量の少ない前記共用車両を集約するための第3ポートを経由地又は目的地とする推奨経路を決定する経路決定部と、
前記第1ポートに配置された複数の前記共用車両のうちバッテリ残量の少ない前記共用車両を優先的に、前記推奨経路に含まれる前記第1ポートから前記第3ポートまでの第1経路での利用を前記ユーザに推奨する第1推奨車両として決定する車両決定部と、
前記推奨経路及び前記第1推奨車両の組み合わせを前記ユーザに提示する提示部と、を備える共用車両管理装置。
【請求項2】
前記経路決定部及び前記車両決定部は、バッテリ残量が予め定められた閾値以下の前記共用車両である低バッテリ車両が前記第1ポートに存在する場合に、前記推奨経路を決定すると共に前記低バッテリ車両を前記第1推奨車両として決定する、請求項1に記載の共用車両管理装置。
【請求項3】
前記車両決定部は、前記ユーザの特性、前記共用車両の特性、及び前記第1経路を含む地域の特性に基づいて、前記第1経路における予想バッテリ消費量を算出し、前記第1ポートに配置された前記予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する前記共用車両のうちから前記第1推奨車両を決定する、請求項1又は2に記載の共用車両管理装置。
【請求項4】
前記経路決定部及び前記車両決定部は、前記推奨経路及び前記第1推奨車両の複数の組み合わせを決定し、
前記提示部は、前記組み合わせ毎に、前記第1推奨車両のバッテリ残量に基づいて優先度を算出し、前記優先度に応じて前記組み合わせを前記ユーザに提示する、請求項1~3のいずれか一項に記載の共用車両管理装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記第1推奨車両のバッテリ残量が少ないほど前記優先度が高くなるように前記優先度を算出する、請求項4に記載の共用車両管理装置。
【請求項6】
前記車両決定部は、前記第1ポートから前記第3ポートを経由して前記第2ポートへと至る経路である前記推奨経路については、前記第3ポートから前記第2ポートまでの第2経路での利用を前記ユーザに推奨する第2推奨車両を更に決定し、
前記経路決定部及び前記車両決定部は、前記第2推奨車両を更に含む前記組み合わせを決定し、
前記提示部は、前記第2推奨車両のバッテリ残量が多いほど前記優先度が高くなるように前記優先度を算出する、請求項4又は5に記載の共用車両管理装置。
【請求項7】
前記提示部により提示された前記組み合わせを利用したユーザに対して、利用された前記組み合わせの前記優先度に応じたインセンティブを付与する付与部を更に備える、請求項4~6のいずれか一項に記載の共用車両管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、共用車両管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリが搭載された共用車両(例えば、自転車、自動車等)を複数のユーザに共用させる車両共用サービスが知られている。特許文献1には、目的地まで走行するのに必要なバッテリ容量よりも多いバッテリ残容量を有する車両を利用者に供給する電動車両共用システムが開示されている。特許文献2には、貸し出し対象である車両が有するバッテリの残量と予測される消費電力量とに基づいて、利用者に対する車両の貸し出し可否を決定する仕組みが開示されている。特許文献3には、ユーザが施設で車両を乗り換えて目的地まで走行する場合に、目的地までの距離を走行可能な残電力を有する車両を検索する仕組みが開示されている。特許文献4には、共用車両の駆動に用いられるエネルギー残量が所定の残量閾値未満である共用車両に対してユーザからの貸出要求があった場合に、共用車両にエネルギーを供給するためのエネルギー供給施設を推奨目的地としてユーザに提示し、ユーザが推奨目的地を承認した場合に、当該共用車両の貸出を許可する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-313403号公報
【文献】特開2016-143246号公報
【文献】特開2013-61789号公報
【文献】国際公開第2015/141291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような車両共用サービスにおいては、バッテリ残量の少ない車両が複数のポート(車両置き場)に分散してしまい、各車両のバッテリ交換又は充電等(以下単に「バッテリ交換」)を効率的に実施できない場合がある。一方、バッテリ残量の少ない車両をバッテリ交換を行うことが可能な特定地点に集約させることにより、当該特定地点において各車両のバッテリ交換を効率的に実施することができると考えられる。しかし、車両共用サービスの事業者がバッテリ残量の少ない車両を特定地点へと移送させる場合には、移送コストが発生する。ここで、上記特許文献4に記載された仕組みによれば、エネルギー残量が所定の残量閾値未満の共用車両に対してユーザからの貸出要求があった場合に、ユーザに当該共用車両をエネルギー供給施設へと移送させることができる。しかし、上記仕組みにおいては、ユーザが残量閾値未満の共用車両を指定して貸出要求を行わない限り、当該共用車両がエネルギー供給施設へと移送されることはない。このため、上記仕組みには、複数ポートに分散配置されたバッテリ残量の少ない共用車両を特定地点に効果的に集約する観点において、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、バッテリ残量の少ない共用車両を特定地点に効果的に集約することができる共用車両管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る共用車両管理装置は、複数のユーザに共用され、それぞれバッテリが搭載された複数の共用車両を管理する共用車両管理装置であって、ユーザの希望出発地である第1ポート及びユーザの希望目的地である第2ポートを示す情報の入力を受け付ける受付部と、受付部が第1ポート及び第2ポートを示す情報の入力を受け付けたことに応じて、バッテリ残量の少ない共用車両を集約するための第3ポートを経由地又は目的地とする推奨経路を決定する経路決定部と、第1ポートに配置された複数の共用車両のうちバッテリ残量の少ない共用車両を優先的に、推奨経路に含まれる第1ポートから第3ポートまでの第1経路での利用をユーザに推奨する第1推奨車両として決定する車両決定部と、推奨経路及び第1推奨車両の組み合わせをユーザに提示する提示部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る共用車両管理装置においては、受付部がユーザの希望出発地(第1ポート)及び希望目的地(第2ポート)を示す情報を受け付けた際に、経路決定部により、第3ポートを経由地又は目的地とする推奨経路が決定される。また、車両決定部により、第1ポートから第3ポートまでの第1経路での利用をユーザに推奨する第1推奨車両として、第1ポートに配置されたバッテリ残量の少ない共用車両が優先的に決定される。従って、上記共用車両管理装置によれば、ユーザからの第1ポート及び第2ポートの入力を受け付けたことに応じて、第1ポートに配置されたバッテリ残量の少ない共用車両を利用して第3ポートへと移動することをユーザに促すことができる。その結果、バッテリ残量の少ない共用車両を特定地点(第3ポート)に効果的に集約することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、バッテリ残量の少ない共用車両を特定地点に効果的に集約することができる共用車両管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】共用車両管理装置の機能構成を示す図である。
図2】推奨経路の例を示す図である。
図3】補正情報の一例を示す図である。
図4】補正情報の一例を示す図である。
図5】共用車両管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】共用車両管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る共用車両管理装置の機能構成を示す図である。共用車両管理装置10は、複数のユーザに共用され、それぞれバッテリが搭載された共用車両を管理する装置である。各共用車両は、複数のポートのうちのいずれかに配置される。ポートは、共用車両の置き場であり、複数の地点に点在している。ユーザは、例えば、第1のポートに配置されている共用車両を借りた後、当該共用車両を用いて第1のポートとは異なる第2のポートまで移動し、当該第2のポートで当該共用車両を返却することができる。
【0012】
本実施形態では一例として、共用車両は、バッテリ電力によるアシスト機能を備えた電動自転車である。ただし、共用車両は、上記に限られず、例えば、バッテリ電力により駆動される電動自動車等であってもよい。いずれにしても、カーシェアリング、バイクシェアリング等の共用車両を複数のユーザ間で共用させる車両共用サービスにおいては、ユーザが快適に共用車両を利用できるように、各ポートにバッテリ残量が十分な共用車両が配置されていることが好ましい。
【0013】
ここで、利用される共用車両及び経路の選択を完全にユーザに委ねてしまうと、複数のポートにバッテリ残量の少ない共用車両が分散するおそれがある。この場合、各共用車両のバッテリ交換又は充電等(以下単に「バッテリ交換」)を実施するためには、各ポートに作業者が出向いたり、各ポートに配置されたバッテリ残量の少ない共用車両をバッテリ交換を実施可能な拠点に一旦移送したりしなければならない。そこで、共用車両管理装置10は、バッテリ残量の少ない共用車両のバッテリ交換を効率的に実施するために、各ポートに分散配置されたバッテリ残量の少ない共用車両を特定地点に効果的に集約する仕組みを備えている。
【0014】
図1に示されるように、共用車両管理装置10は、受付部11と、経路決定部12と、車両決定部13と、提示部14と、付与部15と、記憶部16と、を備えている。本実施形態では、共用車両管理装置10は、共用車両を利用したいユーザが所持するユーザ端末20と通信可能とされている。ユーザ端末20は、例えばスマートフォン等の携帯端末等である。一例として、ユーザ端末20には、共用車両管理装置10により管理される共用車両を利用するための専用アプリケーションがインストールされている。ユーザは、当該専用アプリケーションを操作することにより、共用車両管理装置10にデータを送信したり、共用車両管理装置10から受信したデータをユーザ端末20のディスプレイ上で確認したりすることができる。
【0015】
受付部11は、ユーザの希望出発地である乗車ポート(第1ポート)及びユーザの希望目的地である降車ポート(第2ポート)を示す情報の入力を受け付ける。本実施形態では一例として、ユーザがユーザ端末20にインストールされた専用アプリケーションを起動し、当該専用アプリケーションに対して所定の入力操作を行うことにより、乗車ポート及び降車ポートを指定する。その結果、ユーザにより指定された乗車ポート及び降車ポートの情報が、ユーザ端末20から共用車両管理装置10へと送信される。受付部11は、このように送信された乗車ポート及び降車ポートの情報を取得する。
【0016】
経路決定部12は、受付部11が乗車ポート及び降車ポートを示す情報の入力を受け付けたことに応じて、バッテリ残量の少ない共用車両を集約するためのハブポート(第3ポート)を経由地又は目的地とする推奨経路を決定する。ハブポートは、乗車ポートでユーザに貸し出された共用車両から他の共用車両への乗換をユーザに実行させる拠点である。これにより、乗車ポートでユーザに貸し出された共用車両(後述する車両決定部13により決定される第1推奨車両V1)を、ユーザにハブポートまで移送させることができる。
【0017】
ハブポートは、例えば、共用車両のバッテリ交換を実施するための設備を備えた拠点である。或いは、ハブポートは、バッテリ交換を必要とする共用車両(例えば、バッテリ残量が予め定められた閾値以下の共用車両)を一旦集約するための拠点であって、バッテリ交換を実施する拠点とは異なる拠点であってもよい。また、ハブポートは、予め定められた静的な拠点(例えば、上述したバッテリ交換を実施するための設備を備えた拠点)であってもよいし、動的に設定される拠点(例えば、期間限定でハブポートとして利用される拠点)であってもよい。
【0018】
図2は、推奨経路の例を示す図である。図2において、P1及びP2は、受付部11により受け付けられた乗車ポート及び降車ポートを示す。P3は、経路決定部12により検索されたハブポートを示す。例えば、経路決定部12は、推奨経路を決定するにあたって、まず、乗車ポートP1から降車ポートP2までの移動に通常利用される経路R上、或いは経路Rの周辺に存在するハブポートP3を検索する。経路Rは、例えば、乗車ポートP1から降車ポートP2までの最短経路(最短距離又は最短時間で移動可能な経路)である。経路Rは、例えば公知の経路探索アルゴリズム等によって求められる。また、経路Rの周辺とは、例えば、経路Rからの距離(経路Rの任意の地点からの距離)が予め定められた閾値距離以下のエリアである。或いは、経路決定部12は、ハブポートP3を通る推奨経路を利用した場合に想定される移動時間と経路Rを利用した場合に想定される移動時間との差が予め定められた閾値時間以内となるようなハブポートP3を、経路Rの周辺に存在するハブポートとして取得してもよい。すなわち、経路決定部12は、経路Rを利用する場合と比較して、ユーザの移動負担(移動距離又は移動時間等)が極端に大きくならない範囲で、ハブポートP3を検索する。
【0019】
図2の(A)は、ハブポートP3を経由地とする推奨経路RAの例を示している。推奨経路RAは、乗車ポートP1からハブポートP3までの経路R1(第1経路)とハブポートP3から降車ポートP2までの経路R2(第2経路)とを含む経路である。
【0020】
図2の(B)は、ハブポートP3を目的地(変更された降車地)とする推奨経路RBの例を示している。推奨経路RBは、乗車ポートP1からハブポートP3までの経路R1と一致する。例えば、経路決定部12は、降車ポートP2の近傍(例えば降車ポートP2から予め定められた距離(例えば数十m)以内の徒歩圏内のエリア)にハブポートP3が存在する場合、当該ハブポートP3を目的地とする推奨経路RBを決定してもよい。
【0021】
経路決定部12は、上述したような条件に合致する推奨経路RA,RBが複数検索された場合には、複数の推奨経路RA,RBを決定し、これらの複数の推奨経路RA,RBを推奨経路リストとして保存する。
【0022】
車両決定部13は、経路決定部12により決定された推奨経路RA,RB(すなわち、推奨経路リストに含まれる各推奨経路)においてユーザに利用を推奨する推奨車両Vを決定する。具体的には、車両決定部13は、推奨経路RA(図2の(A)参照)については、経路R1での利用をユーザに推奨する第1推奨車両V1と、経路R2での利用をユーザに推奨する第2推奨車両V2と、を決定する。一方、車両決定部13は、推奨経路RB(図2の(B)参照)については、経路R1での利用をユーザに推奨する第1推奨車両V1のみを決定する。以下、推奨経路RAについての車両決定部13の処理を説明する。推奨経路RBについての車両決定部13の処理は、推奨経路RAについての車両決定部13の処理から第2推奨車両V2を決定する処理を省略した処理である。
【0023】
(第1推奨車両を決定する処理)
車両決定部13は、まず、乗車ポートP1に配置された複数の共用車両のうちから、第1推奨車両V1として利用可能な共用車両(以下「第1候補車両」)を選出する。車両決定部13は、各共用車両に搭載されたバッテリ残量と、経路R1における予想バッテリ消費量と、に基づいて、第1候補車両を選出する。具体的には、車両決定部13は、予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両を第1候補車両として選出する。
【0024】
本実施形態では、記憶部16は、各ポートの位置情報(緯度及び経度等)及び各ポートの状態を示す情報(例えば、各ポートに配置されている共用車両の一覧、及び各共用車両のバッテリ残量等の情報)等を記憶している。また、記憶部16は、過去の共用車両の利用実績に基づく情報を記憶している。例えば、記憶部16は、各ポート間の経路毎に過去の共用車両の利用実績に基づく平均バッテリ消費量を示す情報を記憶している。また、記憶部16は、個別の状況に応じて上記平均バッテリ消費量を補正するための補正情報(ここでは、単位距離当たりのバッテリ消費量の補正値)も記憶している。車両決定部13は、記憶部16に記憶されたこれらの情報を参照することにより、第1候補車両を選出する。
【0025】
図3及び図4は、記憶部16に記憶された補正情報の一例を示す図である。図3は、ユーザ毎に記憶されたユーザの特性を示す情報の一例を示している。ユーザの特性を示す情報は、ユーザの特性(性格、傾向等)に基づく補正情報である。ここでは一例として、ユーザの特性を示す情報は、ユーザを特定するためのユーザ識別子と、ユーザの特性(ここでは一例として、アシストレベル選択傾向、寄り道傾向(例えば、寄り道により増加が予測される移動距離の大きさに応じた重み)、性急状況(例えば、急いでいる度合いに応じた重み)、利用目的、及び年齢/性別)と、ユーザの特性に応じた時刻(例えば、曜日及び日時等)別の補正値と、を互いに対応付けた情報である。なお、補正値は、上述したようなユーザの特性と予め定められた算出ルール(算出式等)とに基づいて予め算出された値である。ユーザ識別子は、例えば、ユーザ端末20から共用車両管理装置10へと乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報が送信される際に、併せて送信されてもよい。この場合、車両決定部13は、受付部11により取得されたユーザ識別子を検索キーとして用いて記憶部16を参照することにより、当該ユーザ識別子に対応するユーザの特性に基づく補正値を取得することができる。
【0026】
図4の(A)は、車種毎に記憶された共用車両の特性を示す情報の一例を示している。共用車両の特性を示す情報は、共用車両の特性に基づく補正情報である。ここでは一例として、共用車両の特性を示す情報は、車種を特定するための情報(型番等)と、共用車両の特性(ここでは一例として、アシストレベル、ライト点灯等の機能の設定値(利用の有無を含む)の組み合わせ)と、補正値と、を互いに対応付けた情報である。なお、補正値は、上述したような共用車両の特性と予め定められた算出ルール(算出式等)とに基づいて予め算出された値である。
【0027】
図4の(B)は、地域の特性を示す情報の一例を示している。地域の特性を示す情報は、地域の特性に基づく補正情報である。ここでは一例として、地域の特性を示す情報は、地域を特定するための地域メッシュIDと、地域の特性(ここでは一例として、坂道距離、坂道の方角、細道の多さ、道の混雑度、信号数等)と、地域の特性に応じた時刻(例えば、曜日及び日時等)別の補正値と、を互いに対応付けた情報である。なお、補正値は、上述したような地域の特性と予め定められた算出ルール(算出式等)とに基づいて予め算出された値である。
【0028】
車両決定部13は、推奨経路RAに含まれる経路R1(乗車ポートP1とハブポートP3とを結ぶ経路)の平均バッテリ消費量を記憶部16から取得する。また、車両決定部13は、記憶部16に記憶された各種補正情報(ユーザの特性を示す情報、共用車両の特性を示す情報、及び地域の特性を示す情報)を取得する。具体的には、車両決定部13は、受付部11により取得されたユーザ識別子に対応するユーザの特性を示す情報(補正値)と、乗車ポートP1に配置された共用車両の車種に対応する共用車両の特性を示す情報(補正値)と、経路R1と重なる地域(地域メッシュID)に対応する地域の特性を示す情報(補正値)と、を取得する。上述したように、本実施形態では、補正値は時刻別に記憶されているため、車両決定部13は、利用時刻に応じた補正値を取得する。例えば、利用時刻が夜間帯(ライト灯火が必要な時間帯)である場合には、ライト点灯が考慮された補正値(例えば、図4の(A)に示される「ライト点灯」が「有」の場合の補正値)が取得される。そして、車両決定部13は、これらの取得された情報(補正値)を用いて上記平均バッテリ消費量を補正することにより、乗車ポートP1に配置された共用車両毎の経路R1における予想バッテリ消費量を算出する。
【0029】
なお、推奨経路RAに含まれる経路R1についての過去の利用実績がない場合(すなわち、記憶部16に上述した平均バッテリ消費量及び各種補正情報が記憶されていない場合)には、車両決定部13は、例えば、経路R1と類似するポート間の経路の利用実績(平均バッテリ消費量及び各種補正情報)に基づいて、乗車ポートP1に配置された共用車両毎の経路R1における予想バッテリ消費量を算出してもよい。ここで、経路R1と類似するポート間の経路とは、例えば、移動距離及び上述した地域の特性等において経路R1と類似する特徴を有する経路である。或いは、車両決定部13は、例えば、経路R1の移動距離に基づいて、予想バッテリ消費量を算出してもよい。
【0030】
以上のように乗車ポートP1に配置された共用車両毎の経路R1における予想バッテリ消費量を算出した後、車両決定部13は、乗車ポートP1に配置された共用車両のうち予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両を第1候補車両として選出する。
【0031】
そして、車両決定部13は、選出された第1候補車両のうちバッテリ残量の少ない共用車両を優先的に、第1推奨車両V1として決定する。例えば、車両決定部13は、第1候補車両のうちバッテリ残量が最小である共用車両のみを第1推奨車両V1として決定してもよい。或いは、車両決定部13は、複数の第1推奨車両V1を決定してもよい。例えば、車両決定部13は、複数の第1候補車両をバッテリ残量が少ない順に順位付けした場合における上位N個(N≧2)の第1候補車両のそれぞれを、第1推奨車両V1として決定してもよい。なお、車両決定部13は、推奨経路RAが複数ある場合には、推奨経路RA毎に上記処理を実行することにより、推奨経路RA毎に第1推奨車両V1を選出してもよい。
【0032】
(第2推奨車両を決定する処理)
車両決定部13は、ハブポートP3に配置された複数の共用車両のうちから、第2推奨車両V2として利用可能な共用車両(以下「第2候補車両」)を選出する。すなわち、車両決定部13は、各共用車両に搭載されたバッテリ残量と、経路R2における予想バッテリ消費量と、に基づいて、第2候補車両を選出する。具体的には、車両決定部13は、予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両を第2候補車両として選出する。第2候補車両を選出する処理は、上述した第1候補車両を選出する処理と同様の処理により行われる。すなわち、第2候補車両を選出する処理は、上述した第1候補車両を選出する処理における乗車ポートP1及び経路R1をそれぞれハブポートP3及び経路R2に置き換えた場合に実行される処理である。
【0033】
車両決定部13は、選出された第2候補車両のうちバッテリ残量の多い共用車両を優先的に、第2推奨車両V2として決定する。例えば、車両決定部13は、第2候補車両のうちバッテリ残量が最大である共用車両のみを第2推奨車両V2として決定してもよい。或いは、車両決定部13は、複数の第2推奨車両V2を決定してもよい。例えば、車両決定部13は、複数の第2候補車両をバッテリ残量が多い順に順位付けした場合における上位N個(N≧2)の第2候補車両のそれぞれを、第2推奨車両V2として決定してもよい。なお、車両決定部13は、推奨経路RAが複数ある場合には、推奨経路RA毎に上記処理を実行することにより、推奨経路RA毎に第2推奨車両V2を選出してもよい。
【0034】
上述した経路決定部12及び車両決定部13の処理によれば、推奨経路RAと第1推奨車両V1と第2推奨車両V2との組み合わせが決定される。また、推奨経路RBについては、推奨経路RBと第1推奨車両V1との組み合わせが決定される。このような組み合わせは、複数取得され得る。
【0035】
ここで、経路決定部12及び車両決定部13は、バッテリ残量が予め定められた閾値以下の共用車両(低バッテリ車両)が乗車ポートP1に存在する場合に、推奨経路RA,RB(少なくとも経路R1を含む経路)を決定すると共に低バッテリ車両を第1推奨車両V1として決定してもよい。具体的には、乗車ポートP1にバッテリ交換を必要とする低バッテリ車両が存在しない場合には、乗車ポートP1にはハブポートP3に移動させるべき共用車両は存在しない。このような場合には、ユーザに上述した推奨経路RA,RBをわざわざ利用させる必要はない。従って、このような場合には、経路決定部12及び車両決定部13は、上述した推奨経路RA,RB、第1推奨車両V1、及び第2推奨車両V2を決定する必要はない。また、後述する提示部14及び付与部15の処理も実行する必要がない。このように、低バッテリ車両が乗車ポートP1に存在しない場合に、経路決定部12、車両決定部13、提示部14及び付与部15の処理が省略されることにより、無駄な処理(すなわち、推奨経路RA,RBの利用をユーザに推奨する処理)の実行を防止できると共にユーザの利便性を向上させることができる。
【0036】
提示部14は、経路決定部12及び車両決定部13により決定された推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせをユーザに提示する。すなわち、提示部14は、推奨経路RAについては、推奨経路RAと第1推奨車両V1と第2推奨車両V2との組み合わせをユーザに提示し、推奨経路RBについては、推奨経路RBと第1推奨車両V1との組み合わせをユーザに提示する。具体的には、提示部14は、組み合わせの情報をユーザ端末20に送信し、ユーザ端末20にインストールされた専用アプリケーションの機能により、ユーザ端末20のディスプレイ上に組み合わせの一覧を表示させる。
【0037】
経路決定部12及び車両決定部13により決定された推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせが複数存在する場合、提示部14は、組み合わせ毎に、推奨車両Vのバッテリ残量に基づいて優先度を算出する。
【0038】
ここで、複数のポート(ハブポートP3以外のポート)にバッテリ残量の少ない共用車両が分散配置される状況を是正する観点から、乗車ポートP1からハブポートP3へと移動させる対象となる第1推奨車両V1は、なるべくバッテリ残量の少ない共用車両であることが好ましい。また、ハブポートP3から降車ポートP2へと移動させる対象となる第2推奨車両V2は、なるべくバッテリ残量の多い共用車両(例えば、ハブポートP3においてバッテリ交換又は充電が完了している共用車両等)であることが好ましい。以上の観点から、提示部14は、第1推奨車両V1のバッテリ残量が少ないほど優先度が高くなるように優先度を算出してもよい。また、提示部14は、第2推奨車両V2のバッテリ残量が多いほど優先度が高くなるように優先度を算出してもよい。
【0039】
一例として、提示部14は、推奨経路RAと第1推奨車両V1と第2推奨車両V2との組み合わせの優先度PR1を、下記式1に基づいて算出してもよい。下記式1において、「第2推奨車両のバッテリ残量」は、ハブポートP3に存在する時点(すなわち、ユーザが経路R3の移動のために第2推奨車両V2を利用する前の時点)における第2推奨車両V2のバッテリ残量である。「第1推奨車両のバッテリ残量」は、乗車ポートP1に存在する時点(すなわち、ユーザが経路R2の移動のために第1推奨車両V1を利用する前の時点)における第1推奨車両V1のバッテリ残量である。「α」は所定のパラメータである。αは、例えば共用車両管理装置10の管理者等によって任意に定められ得る。αは、例えば任意の観点(例えば、推奨経路RAの移動にかかる所要時間等のユーザの利便性の観点)に基づいて、推奨経路RA毎に設定されてもよい。例えば、αは、推奨経路RAの移動にかかる所要時間が短いほど高い値に設定される。
式1:PR1=第2推奨車両のバッテリ残量+α-第1推奨車両のバッテリ残量
【0040】
また、提示部14は、推奨経路RBと第1推奨車両との組み合わせの優先度PR2を、下記式2に基づいて算出してもよい。例えば、αは、推奨経路RBの移動にかかる所要時間が短いほど高い値に設定される。
式2:PR2=α-第1推奨車両のバッテリ残量
【0041】
そして、提示部14は、優先度に応じて組み合わせをユーザに提示する。例えば、提示部14は、優先度順(優先度が高い順)に、上記組み合わせの一覧をユーザに提示する。ただし、優先度に応じた組み合わせの提示方法は、上記例に限られない。例えば、提示部14は、優先度に応じて、複数の組み合わせを順次提示してもよい。例えば、提示部14は、最初に最大の優先度を有する組み合わせのみをユーザに提示し、ユーザが専用アプリケーションに対して当該組み合わせの利用を拒否する操作を行った場合に、2番目に高い優先度を有する組み合わせをユーザに提示してもよい。或いは、提示部14は、優先度が高い組み合わせを、優先度が低い組み合わせよりも強調してユーザに提示してもよい。
【0042】
付与部15は、提示部14により提示された組み合わせを利用したユーザに対して、利用された組み合わせの優先度に応じたインセンティブを付与する。例えば、提示部14の処理によってユーザ端末20上に表示された組み合わせをユーザが受諾すると共に、実際にユーザが当該組み合わせを利用したことが確認された場合(例えば、推奨経路RAが利用され、第2推奨車両V2が降車ポートP2に返却されたことが確認された場合)に、付与部15は、当該ユーザにインセンティブを付与してもよい。インセンティブの態様は特定の形態の限定されないが、付与部15は、例えば、ユーザの登録されたアカウントに対して、車両共用サービスの支払に利用可能なポイント(優先度が高いほど多いポイント)をインセンティブとして割り当ててもよい。
【0043】
次に、図5に示されるフローチャートを参照して、共用車両管理装置10の動作の一例について説明する。まず、受付部11が、乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報の入力を受け付ける(ステップS1)。本実施形態では、受付部11は、ユーザ端末20から送信された乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報を取得する。続いて、乗車ポートP1にバッテリ残量が予め定められた閾値以下の共用車両(低バッテリ車両)が存在しない場合(ステップS2:NO)には、処理を終了する。一方、乗車ポートP1に低バッテリ車両が存在する場合(ステップS2:YES)には、ステップS3以降の処理を実行する。
【0044】
続いて、経路決定部12が、一以上の推奨経路RA,RBを決定する(ステップS3)。すなわち、経路決定部12は、乗車ポートP1に配置された低バッテリ車両をハブポートP3へとユーザに移動させるための経路R1を含む推奨経路RA,RBを決定する。経路決定部12は、利用可能なハブポートP3が複数存在する場合には、各ハブポートP3に対応する複数の推奨経路RA,RBを決定してもよい。
【0045】
続いて、車両決定部13が、推奨経路RA,RBと共用車両との組み合わせ毎の予想バッテリ消費量を算出する(ステップS4)。具体的には、ハブポートP3を経由地とする推奨経路RAについては、車両決定部13は、推奨経路RAに含まれる経路R1と乗車ポートP1に配置された低バッテリ車両との組み合わせ毎の予想バッテリ消費量を算出する。本実施形態では、車両決定部13は、記憶部16に記憶された過去の共用車両の利用実績に基づく情報(例えば、経路R1についての平均バッテリ消費量を示す情報、及び上述した各種補正情報)に基づいて、予想バッテリ消費量を算出する。そして、車両決定部13は、乗車ポートP1に配置された低バッテリ車両のうち予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両を第1候補車両として選出する。また、車両決定部13は、推奨経路RAに含まれる経路R2とハブポートP3に配置された共用車両との組み合わせ毎の予想バッテリ消費量を算出する。本実施形態では、車両決定部13は、記憶部16に記憶された過去の共用車両の利用実績に基づく情報(例えば、経路R2についての平均バッテリ消費量を示す情報、及び上述した各種補正情報)に基づいて、予想バッテリ消費量を算出する。そして、車両決定部13は、ハブポートP3に配置された共用車両のうち予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両を第2候補車両として選出する。ハブポートP3を目的地とする推奨経路RBについては、車両決定部13は、上述した第1候補車両のみを選出する。
【0046】
続いて、車両決定部13が、推奨車両Vを決定する(ステップS5)。具体的には、ハブポートP3を経由地とする推奨経路RAについては、車両決定部13は、ステップS4において選出された第1候補車両のうちバッテリ残量の少ない共用車両を優先的に第1推奨車両V1として決定する。また、車両決定部13は、ステップS4において選出された第2候補車両のうちバッテリ残量の多い共用車両を優先的に第2推奨車両V2として決定する。ハブポートP3を目的地とする推奨経路RBについては、車両決定部13は、上述した第1推奨車両V1のみを決定する。ここでは一例として、経路決定部12及び車両決定部13により、推奨経路RA,RB及び推奨車両V(推奨経路RAについては第1推奨車両V1及び第2推奨車両V2、推奨経路RBについては第1推奨車両V1)の複数の組み合わせが決定される。
【0047】
続いて、提示部14が、推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせ毎に優先度を算出する(ステップS6)。本実施形態では、提示部14は、各組み合わせについて、上述した式1又は式2を用いることにより、優先度PR1,PR2を算出する。
【0048】
続いて、提示部14が、推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせを優先度に応じてユーザに提示する(ステップS7)。例えば、提示部14は、優先度順に、複数の組み合わせの一覧をユーザに提示する。ステップS7において提示された組み合わせをユーザが利用した場合(ステップS8:YES)、付与部15が、当該ユーザにインセンティブを付与する(ステップS9)。一方、ステップS7において提示された組み合わせをユーザが利用しなかった場合(ユーザが利用を拒否した場合)(ステップS8:NO)には、上述したインセンティブを付与することなく処理を終了する。
【0049】
以上説明した共用車両管理装置10においては、受付部11が乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報を受け付けた際に、経路決定部12により、ハブポートP3を経由地又は目的地とする推奨経路RA,RBが決定される。また、車両決定部13により、乗車ポートP1からハブポートP3までの経路R2での利用をユーザに推奨する第1推奨車両V1として、乗車ポートP1に配置されたバッテリ残量の少ない共用車両が優先的に決定される。従って、共用車両管理装置10によれば、ユーザからの乗車ポートP1及び降車ポートP2の入力を受け付けたことに応じて、乗車ポートP1に配置されたバッテリ残量の少ない共用車両を利用してハブポートP3へと移動することをユーザに促すことができる。その結果、乗車ポートP1に配置されたバッテリ残量の少ない共用車両を特定地点(ハブポートP3)に効果的に集約することができる。以上により、バッテリ残量の少ない共用車両のバッテリ交換を効率的に実施することが可能となる。具体的には、作業者が複数のポートに分散したバッテリ残量の少ない共用車両のバッテリ交換を行うために複数のポートの各々に出向く必要がなくなるため、バッテリ交換の手間を効果的に削減できる。
【0050】
また、車両決定部13は、ユーザの特性、共用車両の特性、及び経路R1(推奨経路RA又は推奨経路RBに含まれる経路R1)を含む地域の特性(すなわち、記憶部16に記憶された各種補正情報)に基づいて、経路R1における予想バッテリ消費量を算出し、乗車ポートP1に配置された予想バッテリ消費量以上のバッテリ残量を有する共用車両のうちから第1推奨車両V1を決定する。上述した各種補正情報に基づいて、予想バッテリ消費量を精度良く算出することができる。その結果、乗車ポートP1からハブポートP3までの移動に利用可能な共用車両を、第1推奨車両V1の候補(第1候補車両)として適切に選出することができる。
【0051】
また、経路決定部12及び車両決定部13は、推奨経路RA,RB及び第1推奨車両V1の複数の組み合わせを決定することができる。また、提示部14は、組み合わせ毎に、第1推奨車両V1のバッテリ残量に基づいて優先度を算出し、優先度に応じて組み合わせをユーザに提示することができる。例えば、提示部14は、経路R1での利用を推奨する第1推奨車両V1のバッテリ残量が少ないほど優先度が高くなるように優先度を算出する。本実施形態では、提示部14は、上述した式1又は式2に基づいて、優先度PR1,PR2を算出する。上記構成によれば、バッテリ残量の少ない共用車両をより効果的にハブポートP3に集約することが可能な組み合わせの優先度を高くして、ユーザに当該組み合わせの利用を促すことができる。
【0052】
また、車両決定部13は、乗車ポートP1からハブポートP3を経由して降車ポートP2へと至る経路である推奨経路RAについては、ハブポートP3から降車ポートP2までの経路R2での利用をユーザに推奨する第2推奨車両V2を更に決定する。そして、推奨経路RAについては、経路決定部12及び車両決定部13により、第2推奨車両V2を更に含む組み合わせ(すなわち、推奨経路RA、第1推奨車両V1、及び第2推奨車両V2の組み合わせ)が決定される。このとき、提示部14は、第2推奨車両V2のバッテリ残量が多いほど優先度が高くなるように優先度を算出する。本実施形態では、提示部14は、上述した式1又は式2に基づいて、優先度PR1,PR2を算出する。上記構成によれば、バッテリ残量がなるべく多い共用車両がハブポートP3以外のポート(この場合、降車ポートP2)に配置される組み合わせの優先度を高くして、ユーザに当該組み合わせの利用を促すことができる。その結果、ハブポートP3においてバッテリ交換を行った後の共用車両(十分なバッテリ残量を有する共用車両)の再配置(ハブポートP3以外のポートへの移送)をユーザに実行させることができる。
【0053】
また、付与部15が、提示部14により提示された組み合わせを利用したユーザに対して、利用された組み合わせの優先度に応じたインセンティブを付与する。付与部15の上記処理によれば、ユーザに対して当該組み合わせの利用を効果的に促すことができる。つまり、ユーザが当該組み合わせを利用する確率を高めることができる。また、インセンティブは優先度に応じて決定されているため、優先度の高い組み合わせを利用することをユーザに効果的に促すことができる。
【0054】
なお、上記実施形態において、記憶部16に記憶された各種補正情報は、時刻(時間帯)毎の補正値を保持していたが、各種補正情報は、バッテリ使用量と相関のある他の要素(例えば天候等)毎の補正値を保持していてもよい。
【0055】
また、記憶部16に記憶された情報の一部又は全部は、共用車両管理装置10とは異なる装置(データベース等)に記憶されてもよい。また、上述した共用車両管理装置10の一部機能は、ユーザ端末20(専用アプリケーション)上に実装されてもよい。この場合、共用車両管理装置とユーザ端末とを合わせた装置が、上記実施形態において説明した共用車両管理装置10として機能する。
【0056】
また、上記実施形態では、ユーザ端末20が、専用アプリケーションを介して、ユーザからの乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報の入力を受け付けたり、推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせを表示したりする機能を備えているが、このような機能を有する端末は、ユーザ端末20に限られない。例えば、ユーザは、各ポートに設置された端末装置を介して、乗車ポートP1及び降車ポートP2を示す情報を入力したり、推奨経路RA,RB及び推奨車両Vの組み合わせの情報を取得したりしてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0058】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0059】
例えば、本開示の一実施の形態における共用車両管理装置10は、本開示の通信制御方法を行うコンピュータとして機能してもよい。図6は、本開示の一実施の形態に係る共用車両管理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の共用車両管理装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0060】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。共用車両管理装置10のハードウェア構成は、図1に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0061】
共用車両管理装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0062】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0063】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、経路決定部12は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0064】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る通信制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0065】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0066】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0067】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0068】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0069】
また、共用車両管理装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0070】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0071】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0072】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0073】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0074】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0075】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0076】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0077】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0078】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0079】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0080】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0081】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0082】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0083】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0084】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…共用車両管理装置、11…受付部、12…経路決定部、13…車両決定部、14…提示部、15…付与部、P1…乗車ポート(第1ポート)、P2…降車ポート(第2ポート)、P3…ハブポート(第3ポート)、R1…経路(第1経路)、R2…経路(第2経路)、RA,RB…推奨経路、V…推奨車両、V1…第1推奨車両、V2…第2推奨車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6