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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】固定床装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20240221BHJP
   C07C 1/12 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B01J8/02 E
B01J8/02 Z
C07C1/12
C07C9/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021542264
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019076063
(87)【国際公開番号】W WO2020069974
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】102018007737.4
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521402170
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノバ エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マロルド,フライムート
(72)【発明者】
【氏名】フッター,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベーツ,ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,エイドリアン
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523337(JP,A)
【文献】特表2010-532249(JP,A)
【文献】特表2006-528612(JP,A)
【文献】特表2014-505578(JP,A)
【文献】特開2009-262135(JP,A)
【文献】特表平09-508565(JP,A)
【文献】特開2019-098263(JP,A)
【文献】米国特許第09528772(US,B1)
【文献】欧州特許第00995491(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/02、19/00
C07C 1/12
C07C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応媒体の触媒変換のための、特に水素と二酸化炭素からなる混合ガスの触媒メタン化のための反応器(100)のための挿入体(1)の形状をした固定床装置であり、前記挿入体(1)は、その軸方向上端(8)において支持リング(2)を有し前記支持リング(2)によって前記挿入体(1)が前記反応器(100)の圧力チャンバ(110)内に吊り下げられる吊り下げ挿入体の形態で設計されており、前記吊り下げ挿入体(1)は、
軸方向両端の間で円周方向に囲む外側スリーブ(10)であって、それによって、前記外側スリーブ(10)内で軸方向(A)に沿って延び、前記反応器の運転中は前記反応媒体が流れ、触媒材料を受け入れるための受入チャンバ(20)を規定する外側スリーブ(10)と、
温度制御流体のための流体流路であって、プロセスからの熱の除去及びプロセスへの熱の供給のために前記受入チャンバ(20)から空間的に分離されている流体流路を有する熱交換器(30)とを備えた固定床装置において、
前記外側スリーブ(10)は、一部において前記熱交換器(30)の第1の熱交換器プレート(31)と第2の熱交換器プレート(32)によって対向する2つの側面において形成されており、
一方、前記外側スリーブ(10)は、前記第1及び第2の熱交換器プレート(31、32)を前記反応媒体が漏れない状態で接続するUプロファイル(34)によって2つの他の側面の各々において形成されている、
固定床装置。
【請求項2】
前記流体流路への接続ライン(42)が、少なくとも軸方向端、特に、吊り下げ端に、フレキシブルに形成されている、請求項1に記載の固定床装置。
【請求項3】
前記挿入体(1)の第1の軸方向端が篩(6)によって制限されている、請求項1又は2に記載の固定床装置。
【請求項4】
前記篩(6)が前記挿入体(1)に対して移動可能である、請求項に記載の固定床装置。
【請求項5】
少なくとも1つの熱交換プレート、サーマルプレートの形態で構成される、請求項1~の何れか1項に記載の固定床装置。
【請求項6】
前記第2の熱交換器プレート(32)が前記第1の熱交換器プレート(31)と平行に配置される、請求項1~5の何れか1項に記載の固定床配置。
【請求項7】
反応媒体を受け入れるための圧力チャンバ(110)と、請求項1~の何れか1項に記載の固定床装置と、前記固定床装置を支持リング(121)を介して吊るすための装置と、を備え、前記固定床装置は、前記装置内に前記固定床装置の支持リング(2)で吊るすことによって前記圧力チャンバ(110)内に挿入された、反応媒体の触媒変換のための、特に水素と二酸化炭素からなる混合ガスの触媒メタン化のための反応器。
【請求項8】
反応器の運転中、反応媒体が沿って流れる媒体流路が、前記固定床装置における前記受入チャンバ(20)を通る第1のセクション(210)と、前記固定床装置における前記外側スリーブ(10)と前記圧力チャンバ(110)の壁(112)との間を通る第2のセクション(220)とを備える、請求項に記載の反応器。
【請求項9】
前記軸方向(A)に垂直な前記挿入体(1)の切断面の表面積FEと前記軸方向(A)に垂直な圧力チャンバ(110)の切断面の表面積FDとの比(V)、V=FE/FDが、V<2/π、好ましくはV<0.5、特に好ましくはV<0.4、さらにより好ましくはV<0.3の条件を満たす、請求項7又は8に記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応媒体の触媒変換のための、特に水素と二酸化炭素からなる混合ガスの触媒メタン化のための反応器のための挿入体の形であり、外側スリーブ内で軸方向に沿って延びて反応器の運転中に反応媒体が流れる、触媒材料を受け入れるための受入チャンバと、温度制御流体のための、プロセスからの熱の除去及びプロセスへの熱の供給のために受入チャンバから空間的に分離されている流体流路を有する熱交換器とを備えた固定床装置と、反応媒体を受け入れるための圧力チャンバと前記圧力チャンバに挿入される固定床装置を備える、反応媒体の触媒変換のための、特に水素と二酸化炭素からなる混合ガスの触媒メタン化のための反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記特徴を有する固定床装置は、例えばDE 197 54 185 C1において従来技術として知られており、例えばメタン化法が実現されることができる反応器システムにおいて使用されている。そのような方法では、メタン製造に実質的に適した化学量論比で水素と二酸化炭素を含み、さらに適用可能であれば僅かな一酸化炭素、メタン他の炭化水素並びに多様な微量成分の形態の不純物及び挿入ガス(例えば、N)を有することができるエダクトガスの形態の反応媒体が所定の温度及び所定の圧力で反応器の圧力容器に挿入される。受入チャンバに配置された固定床装置(固定床触)を有する挿入体が圧力チャンバ内に設けられ、固定床装置はCHの和を形成する以下のプロセスをサポートする。
1.CO+HO<->CO+H いわゆる水ガスシフト反応
2.CO+3H<->CH+4HO CO-メタン化、及び
3.CO+4H<->CH+2HO CO2-メタン化
従って、ルテニウム、白金又はニッケルなどの触媒材料は、反応媒体によって流される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
反応が受入チャンバ内で起こると、反応熱のかなりの部分が除去される。この目的のために、固定床装置は熱交換器を有する。適切な温度制御流体を受け入れるように構成された流体流路がその中に設けられる。従って、温度制御流体の案内及び反応媒体の案内は、例えば向流法で行うことができる。
【0004】
しかしながら、DE 197 54 185 C1に開示された固定床装置に関連して、熱交換器、従って固定床装置は、反応器の圧力容器の内壁に適合されるべきである。しかしながら、このような適合は通常これらの圧力で円筒形状を有する圧力容器の場合の製造技術の点で複雑であり、従って高価である。
【0005】
固定床装置及び反応器の圧力容器のシステムを簡素化するために、エンクロージャ付きプレートパッケージからなる熱交換器を備えた反応器がEP 0 995 491 B1に開示されており、エンクローズされたプレートパッケージが圧力容器内に円周側に(流れ方向に関して)適合なしに挿入されている。その結果、熱交換器の設置は圧力容器の形状とは無関係に簡素化される。
【0006】
従って、DE 197 54 185 C1に開示された反応器と比較して、EP 0 995 491 B1に開示された固定床装置により、さらなる改良が達成されている。
【0007】
本発明の目的は、特にそれらの構造設計に関して、従来の固定床装置及び固定床装置を有する従来の反応器の更なる改良を達成することである。
【0008】
この目的は当初言及した固定床装置の更なる発展により達成され、少なくとも複数の領域において、熱交換器により外側スリーブが形成されることを本質的に特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本発明による、熱交換器自体による外側スリーブの少なくとも1つの領域の設計の結果として、例えばEP 0 995 491 B1に開示されている固定床装置の通常のエンクロージャが少なくとも複数の領域において省略されるので、かなりの構造的単純化を達成することができるという発見に基づいている。次いで、熱交換器は、少なくとも複数の領域において、触媒材料の担体の機能を引き継ぐ。従って、外側シェルは、熱交換器によって主に形成することもできる。
【0010】
挿入体は、吊り下げ挿入体の形態で設計することができる。このようにして、反応器内に吊り下げることによって、固定床装置を反応器に容易に接続することができる。さらに、このような実施形態は、また、例えば保守及び/又は修理の目的のために、固定床装置の特に容易な交換を可能にする。この接続において、吊り下げ挿入体は反応器断面形状に適合するように設計することができ、支持リングを有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
固定床装置の好ましい実施形態では、流体流路への接続ラインが少なくとも軸方向端、特に吊り下げ端でフレキシブルな様式で形成することができる。これにより、接続ラインは反応器の長手方向の膨張に沿って移動することができるので、反応器の運転中熱交換器の熱的な長手方向の膨張を補償することができる。このようにして、温度上昇の場合の材料膨張による問題が回避される。
【0012】
本発明の一実施形態では、挿入体の軸方向端は篩によって制限することができる。篩は、挿入体の重力方向の下端に配置することができる。次いで、固定床触媒を篩上に堆積させ、それによって運ぶことができる。これに関連して、篩は、好ましくは挿入体に対して移動可能である。特に好ましくは、篩は重力方向を横切る方向に変位可能、例えば延長可能である。これにより、触媒材料を特に容易に交換することができる。
【0013】
本発明の有利な実施形態では、熱交換器が特にサーマルプレートで作られた少なくとも1つの第1の熱交換器プレートを有する。したがって、サーマルプレートは、熱交換器の外側スリーブ上に領域を形成することができる。サーマルプレートは従来技術として知られており、好ましくはステンレス鋼からなる少なくとも2枚のシート板を有し、これらのシート板は所定の複数の点で一緒に溶接され、クッション形成を伴って成形される。例えば、クッション状の設計のために、流れの乱れを増大させ、従って、特に好ましい熱伝達条件をもたらすことができるような楕円形の流路が生じるような方法で、クッション形成がなされる。したがって、温度制御流体は、流路を通って案内されることができる。サーマルプレートは自立型であり、流動不感帯のない大きな加熱面密度を有するコンパクトな熱交換器の構築を可能にする。例えば、熱交換器は、サーマルプレートのプレートパッケージを有することができる。
【0014】
好ましくは、熱交換器が第1の熱交換器プレートとほぼ平行に配置された少なくとも1つの第2の熱交換器プレートを有し、第1及び第2の熱交換器プレートはそれぞれ外側スリーブの少なくとも1つの領域を形成する。第2の熱交換器プレートは、サーマルプレートとして設計することができる。2つの熱交換器プレートが平行に配置されている結果として、基本的に箱型構造の挿入体が達成される。更なる実施形態では、第1及び第2の熱交換器プレートに実質的に平行に配置されたさらなる熱交換器プレートを、第1及び第2の熱交換器プレートの間に配置し、プレートパッケージを形成することができる。すべての熱交換器プレートは、サーマルプレートとして構成することができる。熱交換器プレートは、互いに間隔を置いて配置され、触媒材料を受け入れるための受入チャンバを形成する。次いで、触媒材料を熱交換器プレートの間に堆積させることができる。
【0015】
第1及び第2の熱交換器プレートは、媒体密封方式で、特にUプロファイルによって、互いに接続することができる。これにより、第1及び第2の熱交換器プレートを互いに溶接することができる。これは実質的に立方体構造を有する挿入体を生じ、この挿入体では立方体の対向する2つの側面が熱交換器プレートによって形成され、立方体のさらに2つの側面がUプロファイルによって形成され、さらに、立方体の対向する2つの側面が開いている。好ましくは2つの開放側面が挿入体の上端および下端を形成し、下端は篩によって制限されてもよい。これにより、反応器の圧力容器の大きさに応じた特に簡単な方法で、任意の寸法の熱交換器を製造することができる。
【0016】
さらに、本発明は、反応媒体を受け入れるための圧力チャンバと圧力チャンバ内に挿入され上述の特徴を有する固定床装置とを有する、反応媒体の触媒変換のための、特に水素と二酸化炭素からなる混合ガスの触媒メタン化のための反応器に関する。この接続において、固定床装置は圧力チャンバ内に挿入可能であり、圧力チャンバから着脱可能である。好ましくは、この目的のために、反応器は固定床装置内に吊るすための装置を特に支持リングを介して有する。これにより、固定床装置の特に簡単な交換が可能になる。
【0017】
反応器の好ましい実施形態では、反応器の運転中に反応媒体が流れる媒体流路は、固定床装置の受入チャンバを通る第1のセクションと、固定床装置の外側スリーブと圧力チャンバの壁との間を通る第2のセクションとを有する。このような構成では、エダクトガスを供給ラインから圧力容器に導入することができ、そこで、エダクトガスは、次に、挿入体の受入チャンバ内に配置された固定床触媒を通って流れる。反応媒体は、触媒を通って流れた後、生成ガスとして固定床装置の受入チャンバから出る。生成ガスは、これに対応して焼戻され、例えば熱交換器に流れる温度制御媒体によって冷却される。しかしながら、温度制御は加熱であってもよい。その後、生成ガスは、固定床装置の外側スリーブと圧力チャンバの壁との間の第2のセクションを通って案内される。これにより、固定床装置の外側スリーブが、熱交換器によって、少なくとも複数の領域において形成されるので、生成ガスの更なる温度制御、例えば冷却が達成できる。この更なる温度制御工程のために、反応器ジャケットが反応の温度のために設計される必要はない。したがって、圧力チャンバの壁の温度負荷は、温度制御媒体の温度に制限され、それによって、圧力チャンバの構造材料の選択に対する要件が軽減される。
【0018】
反応器の一実施形態では軸方向(A)に垂直な挿入体の切断面の表面積Fと、軸方向(A)に垂直な圧力チャンバの切断面の表面積Fとの比率V、V=F/Fは、V<2/π、好ましくはV<0.5、特に好ましくはV<0.4、さらにより好ましくはV<0.3の条件を満たすことができる。
【0019】
さらに、壁の外側に沿って、反応器の圧力チャンバに絶縁材料を設けることができる。このようにして、反応器の熱放射を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を例示的に説明する。
図1図1は本発明の反応器の圧力容器の斜視図である。
図2a図2aは、図1に示す圧力容器用の挿入体の形の本発明による固定床装置の斜視図である。
図2b図2bは、圧力容器の円筒形の壁を有していない、図1の圧力容器に挿入された挿入体の斜視図である。
図3図3は、圧力容器とその内部に挿入された挿入体の概略断面図である。
図4a図4aは、支持リングを備えた圧力チャンバの平面図である。
図4b図4bは、吊り下げ挿入体の平面図である。
【0021】
図1は、反応器100の圧力チャンバ110の斜視図を示す。圧力チャンバ110は、円筒形の壁112によって制限される。したがって、円筒形の軸線は、重力方向と平行に走る軸方向Aを規定する。圧力チャンバ110は、第1の端(上端)で着脱可能な蓋102によって閉じられている。蓋102を取り外すことによって、圧力チャンバ110の内部へのアクセスが達成される。したがって、固定床装置は圧力チャンバ110に挿入可能であり、そこから着脱可能である。
【0022】
さらに、反応器の圧力チャンバ110は、異なるアクセスを有する。例えば、メタン生成に実質的に適した化学量論比で水素及び二酸化炭素を含有するエダクトガスを、エダクトガス入口114を通して圧力チャンバ110に導入することができる。エダクトガスが後述する固定床装置を通って流れ、そこでメタン化された後、得られた生成ガスは生成ガス出口115を通って圧力チャンバから流出することができる。反応中に生じる反応熱を除去するために、温度制御流体、例えば水を、温度制御流体入口116を通して圧力チャンバ110の内部に導入することができる。温度制御流体が生成された熱を受け取った後、次いで、温度制御流体出口117を通って圧力チャンバ110から流出することができる。
【0023】
図2aは、図1に示す圧力チャンバ110への挿入用の挿入体1の形態の本発明による固定床装置を示す。挿入体1は外側スリーブ10を有する。図2に示す例示的な実施形態では、外側スリーブ10が第1の熱交換器プレート31と、第1の熱交換器プレート31とほぼ平行に配置されてそこから離間して配置された第2の熱交換器プレート32と、第1の熱交換器プレート31と第2の熱交換器プレート32とを連結している2つのUプロファイル34とによって形成されている。これにより、図3に示す触媒材料を受け入れる受入チャンバ20が限定される。第1の軸方向端4(下端)において、受入チャンバ20は、篩によって制限されてもよい。第1の軸方向端4とは反対側の第2の軸方向端8(上端)において、挿入体1は、後述するように挿入体1が圧力チャンバ110内に吊り下げられる第1の支持リング2を有する。
【0024】
第1の軸方向端4において、挿入体1は温度制御流体入口36を有する。温度制御流体入口36は、圧力チャンバ110の温度制御流体入口116に接続されているので、温度制御流体入口36と接続ライン42を介して外部から温度制御流体を挿入体1の受入チャンバ20に導入することができる(図2b参照)。本発明による一例では、接続ライン42が第1の軸方向端4においてフレキシブルに形成されている。それにより、熱交換器の熱膨張を反応器の運転中に補償することができる。また、第2軸方向端8において、挿入体は、温度制御流体出口37に接続された接続ライン44を有する。温度制御流体出口37は、圧力チャンバ110の温度制御流体出口117に接続することができる(図2b参照)。その結果、温度制御流体は反応中に生成された熱を受け取った後、挿入体1の受入チャンバ20および反応器の圧力チャンバ110から外部に案内されることができる。
【0025】
図2bは、図2aに示す挿入体1を反応器100の圧力チャンバ110に挿入した状態で示す。圧力チャンバ110の円筒形の壁112(図1参照)は、図には示されていない。
【0026】
図3は、本発明による固定床装置が挿入体1の形態で挿入された上記圧力チャンバ110の断面を概略的に示す。圧力チャンバ110は、円筒形の壁112によって制限され、その上端において、取り外し可能な蓋102を有する。また、挿入体1は、熱交換器プレート31、32、33a、33b、33cの形態の熱交換装置を有している。第1の熱交換器プレート31と、第1の熱交換器プレート31と平行に配置され、そこから離間して配置された第2の熱交換器プレート32とが、受入チャンバ20の外側スリーブ10の領域を形成している。図示の例では、第1の熱交換器プレート31と第2の熱交換器プレート32との間にさらに3つの熱交換器プレート33a、33b、33cが配置されている。しかしながら、本発明に係る固定床装置は、この実施の形態に限定されるものではなく、第1の熱交換器プレート31と第2の熱交換器プレート32との間に任意の適当な数の熱交換器プレートを配置することができる。
【0027】
反応器100の運転中、熱の供給及び除去のための温度制御流体が挿入体1の温度制御流体入口36を介して、熱交換器プレート31、32、33a、33b、33cを備えた熱交換器30に案内されることができ、温度制御流体入口は、圧力チャンバ110の温度制御流体入口116に接続される。温度制御流体は、温度制御流体入口36の側から始まって熱交換器プレート31、32、33a、33b、33cを通って、挿入体1の温度制御流体出口37の側に流れる。温度制御流体は圧力チャンバ110の温度制御流体出口117を介して反応器100を出ることができ、前記温度制御流体出口は、温度制御流体出口37に接続されている。第1の熱交換器プレート31と第2の熱交換器プレート32は、図示しないUプロファイル34によってその側端で互いに接続されている(図4b参照)。
【0028】
挿入体1の第1の軸方向端4(下端)の領域において、挿入体1は、図3には示されていない篩によって制限されている。触媒材料は、熱交換器プレート31、32、33a、33b、33cの間で、触媒材料を支持する篩上に堆積させることができる。
【0029】
第2の軸方向端8(上端)において、挿入体1は第1の支持リング2を有する。第1の支持リング2は、圧力チャンバ110の第2の支持リング121と相補的に設計されている。このように、挿入体1は圧力チャンバ110内に吊り下げることができ、従って吊り下げ挿入体として設計される。
【0030】
反応器100の運転中、反応媒体、例えば、エダクトガス入口114を介して供給されるエダクトガスは、ここで、受入チャンバ20内に配置された触媒材料を通って流れることができる。反応中に必要とされる又は除去されるべき熱は、熱交換器装置30を通って流れる温度制御流体との相互作用によって供給又は除去されることができる。次いで、得られた生成ガスは、一実施形態では生成ガス出口115’を通って反応器100を出ることができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、反応媒体、例えば、エダクトガスは最初に、受入チャンバ20内の第1のセクション210を通って(すなわち、第1の熱交換器プレート31、第2の熱交換器プレート32、及びUプロファイルによって制限される受入チャンバ20を通って)流れ、次いで、固定床装置の外側スリーブ10と圧力チャンバ110の壁112との間を延びる第2のセクション220に沿って、生成ガス出口115’(図1を参照)の代わりに提供される生成ガス出口115(図3に破線で示される)に生成ガスとして案内され、次いで、圧力チャンバ110を出る。これは、この実施形態では、生成ガス出口115’が存在せず、代わりに生成ガス出口115が圧力チャンバ110の壁112に設けられていることを意味する。第2のセクション220の領域における外側スリーブ10が少なくとも複数の領域において、第1の熱交換器プレート31及び第2の熱交換器プレート32によって制限されることに起因して、得られた生成ガスは、熱交換器30の熱交換器プレート31、32を介して追加の熱を交換することができる。これにより、生成ガスの特に良好な温度制御を得ることができる。
【0032】
図4a及び図4bは、第1の支持リング2(図4b)並びに第2の支持リング121(図4a)を備えた吊り下げ挿入体の平面図を示す。図4aは、圧力チャンバ110で設計された第2の支持リング121を示す。そこには、挿入体1の挿入を可能にするために、固定床装置の挿入体1の形態の凹部が設けられている。図4bから分かるように、挿入体1は、第1の支持リング2を有しており、その第1の支持リング2が第2の支持リング121に対して相補的に設計されている。これにより、挿入体1と圧力チャンバ110との間の中レベルの密接続を得ることができる。第1の支持リング2は、ねじ122のような固定手段によって第2の支持リング121にねじ止めされることができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b