(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コーティング製品を噴霧するためのボウル、そのようなボウルを含む回転噴霧装置、およびそのような噴霧装置を洗浄するための方法
(51)【国際特許分類】
B05B 3/10 20060101AFI20240221BHJP
B05B 5/04 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B05B3/10 B
B05B5/04 A
(21)【出願番号】P 2021547924
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2019079555
(87)【国際公開番号】W WO2020089242
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】板谷 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シルバン ペリネ
(72)【発明者】
【氏名】シリル メダール
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-099731(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163178(WO,A1)
【文献】特開2013-000611(JP,A)
【文献】特開2002-186883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング製品のための回転噴霧装置(2)に一体化されることを意図した、コーティング製品を噴霧するためのボウル(6)であって、この噴霧装置は、回転軸(X8)の周りでボウル
(6)を駆動するタービン(4)と、回転軸(X8)を画定する本体
(8)であって、クラウン(88)に配置された成形空気を排出するためのオリフィス(82)を備える本体(8)とを備え、ボウル
(6)は、軸(X6)を中心とし、コーティング製品を噴霧エッジ(63)に分配するための内側半径方向表面(61)および外側半径方向表面(65)を画定する本体(60)を備え、
ボウル(6)と一体であるデフレクター(66)が、ボウル(6)の外側半径方向表面(65)において突き出ていて、噴霧エッジ(63)に向かって外側半径方向表面
(65)に沿って流れる洗浄物質の流れ(F2)を、本体
(8)のクラウン(88)の方向に少なくとも部分的に
戻す(F4
)ことを特徴とする、ボウル
(6)。
【請求項2】
デフレクター(66)
は、外側半径方向表面(65)
が軸(X6)に関して向きを変える領域を形成することを特徴とする、請求項1に記載のボウル
(6)。
【請求項3】
デフレクター(66)は、回転軸
(X8)に対して半径方向の平面において、デフレクター
(66)の上流の外側半径方向表面(65)と、頂点での角度(α)が10°~170°である二面角(D、D')を画定することを特徴と
していて、二面角(D、D')が、軸(X6)の半径方向の平面におけるデフレクター(66)の上流の外側半径方向表面(65)に接する直線であるΔ65と、Δ65と同一平面で、ベースを通り、デフレクター(66)の上流面(662)の頂点を通る直線であるΔ66とによって画定され、ベースが、デフレクター(66)の上流側における、外側半径方向表面(65)とデフレクター(66)との間の接合部であり、頂点が、デフレクター(66)の外側半径方向のエッジであり、頂点での角度(α)が、デフレクター(66)の上流面(662)と、デフレクター(66)の上流の外側半径方向表面(65)との間に画定される、請求項1または2に記載のボウル
(6)。
【請求項4】
デフレクター(66)は、外側半径方向表面(65)に沿って、噴霧エッジ(63)からゼロ以外の距離(d6)に位置することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のボウル
(6)。
【請求項5】
デフレクター(66)は、洗浄物質の流れをクラウン(88)の方向に導くためのチャネル(666)を備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のボウル
(6)。
【請求項6】
チャネル(666)はデフレクター(66)を通じて配置されることを特徴とする、請求項5に記載のボウル
(6)。
【請求項7】
チャネル(666)は、デフレクター(66)の
上流面(662)上に配置されたノッチであることを特徴とする、請求項5に記載のボウル
(6)。
【請求項8】
チャネル(666)は、
オリフィス(82)に向かって発散していることを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載のボウル
(6)。
【請求項9】
コーティング製品のための回転噴霧装置(2)であって:
-回転軸(X8)の周りに回転するボウル(6);
-回転軸
(X8)の周りにボウル
(6)を回転させるためのタービン(4);
-回転軸(X8)を画定し、ボウル(6)の噴霧エッジ(63)から排出されるコーティング製品の液滴の雲(N)のための成形空気を排出するためのオリフィス(82)を含む本体(8)を含み、これらのオリフィス(82)は、本体(8)のクラウン(88)上に配置されており、ボウル(6)が請求項1~
8のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする回転噴霧装置。
【請求項10】
デフレクター(66)は、回転軸(X8)に沿って、ボウル(6)のエッジ(63)に向かうコーティング製品の流れの方向に従って、回転軸
(X8)上へのクラウン(88)の正射影(P88)の上流に位置することを特徴とする、請求項
9に記載の回転噴霧装置。
【請求項11】
デフレクター(66)は、回転軸(X8)に沿って、ボウル(6)のエッジ(63)に向かうコーティング製品の流れの方向において、回転軸
(X8)上へのクラウン(88)の正射影(P88)の下流に置かれることを特徴とする、請求項
9に記載の回転噴霧装置。
【請求項12】
クラウン(88)は、本体(8)の前面を形成し、回転軸(X8)に対して全体的に垂直であることを特徴とする、請求項
9~
11のいずれか1項に記載の回転噴霧装置。
【請求項13】
請求項
9~
12のいずれか1項に記載の噴霧装置(2)を洗浄する方法であって、少なくとも以下からなるステップ:
a)ボウル
(6)が回転している間に、洗浄物質の流れ(F2)をボウル
(6)の外側半径方向表面(65)に向けるステップ、および
b)洗浄物質が、少なくともデフレクター(66)のレベルまで流れること(F2)、および少なくとも部分的に、噴霧装置(2)の本体(8)のクラウン(88)の方向に流れること(F4)を可能にするステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
ステップb)が、
-空気排出オリフィス(82)に加圧空気が供給されない第1のサブステップb1)、および、
-空気排出ポート(82)に加圧空気が供給される第2のサブステップb2)
を含むことを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
二面角(D、D')の頂点での角度(α)が45°~135°であることを特徴とする、請求項3に記載のボウル
(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング製品を噴霧するためのボウル、そのようなボウルを含む回転噴霧装置に関し、また、そのような噴霧装置を洗浄するための方法に関する。
【0002】
コーティング製品を静電気または純粋な空気圧で噴霧する分野においては、回転噴霧器のボウルを回転させて、コーティング製品の液滴が、このボウルの噴霧エッジから放出され、このエッジから、例えば、自動車の車体など、被覆されるべき物体に向けられ得る雲を形成する程度にて、コーティング製品を供給できることが知られている。このタイプの装置では、液滴の雲をコーティングされる物体に向けて方向付けるか成形するために、一般にスカートエアーまたはシェイピングエアーと呼ばれる液滴の雲をガイドする空気流を使用することが知られている。
【0003】
この種の適用において、特にコーティング製品を変更する場合、例えば車両のための意図した色に適合させるために、噴霧器を定期的に清掃する必要がある。
【0004】
この問題は、車両のコーティングシステムに限定さない。他の工業製品のコーティングプラントにも関係する。
【0005】
この文脈において、3つの別個のリンスシステムを使用することが知られており、それぞれが専用の洗浄物質供給システムを備え、これらの3つのシステムは、インジェクターチャネルと、場合によっては、ボウルの内側放射状表面用のリンスリングと、ボウルの外側用のリンスチャネルと、そして最後に、液滴の雲を成形するための空気排出オリフィスが開いている噴霧装置本体の前面を洗浄するように設計された外側リンスボックスを含む。
【0006】
このようなリンスボックスは、設計と製造が複雑である。このリンスボックスを設置し、洗浄剤を供給し、特定の方法で維持する必要があるため、その使用は、コーティング製品の切り替え時間とコーティング製品噴霧装置の操業コストを増加させる。
【0007】
EP-A-0715896、EP-A-0951942、EP-A-1426113、US-B-6578779、EP-A-2464459、EP-A-0878238、US-B-6569258、US-B-6341734、EP-A-3046675、EP-A-0785032、US-A-5813708、US-B-8840043、JP-A-2013-000611、JP-A-H10-99731、およびJP-A-2002-186883から明らかなように、回転式コーティング製品噴霧器のボウルの内側と外側の部分を洗浄するために、さまざまな技術が検討されてきた。これらの文献は、ガイドする空気排出ポートが開いている噴霧装置本体の前面をリンスすることには関係しない。
【0008】
US-B-6,569,258は、オリフィス自体を通して溶剤を供給することにより、ガイド空気排出オリフィスを洗浄することを提案している。洗浄は効果的であるが、このアプローチは、これらの空気排出オリフィスの複数の小さな供給チャネルに長い乾燥時間を引き起こす。実際、洗浄操作の最後に、これらのチャネルを注意深く乾燥して、コーティングされている物体に洗浄剤の液滴が噴霧され、適用の品質が損なわれることがないようにする必要がある。
【0009】
対照的に、US-A-2017/128969の第1の実施形態のボウルは、洗浄チャネルの出口に配置された肩を含み、これは、洗浄物質を回転軸に対して半径方向に、このボウルが実装されている噴霧装置の本体の内面に向けて、そして次に噴霧装置の正面に向けて方向付ける効果を有する。第2の実施形態のボウルは、後部が円筒形で前部が円錐台状である半径方向の外面を備える。コーティング製品は、これらの円筒形表面と円錐台状表面との間の接合によって、円錐台状の形状をとって前方に流れるように案内される。これらの異なるボウルでは、空気排出オリフィスが開いている噴霧器本体のクラウンを洗浄することはできない。したがって、このクラウンは特定の手段で洗浄する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、コーティング製品を噴霧するための、回転噴霧装置用の新しいボウルを提案することによってこれらの問題をより具体的に改善することを意図し、この洗浄が、すすぎボックスなどの追加機器を使用せずに、効果的かつ迅速な方法で実施できる範囲でこの噴霧器の洗浄を容易にする。
【0011】
この目的のために、本発明は、回転コーティング製品噴霧装置に一体化されることを意図した、コーティング製品を噴霧するためのボウルに関し、前記噴霧装置は、ボウルを回転軸の周りで回転させるためのタービンと、回転軸を画定し、クラウンに配置された成形空気排出オリフィスを含む本体とを備え、ボウルは、軸を中心とする本体を含み、コーティング製品を噴霧エッジまで分配するための内側半径方向表面、および外側半径方向表面を画定する。本発明によれば、ボウルの外側半径方向表面は、外側半径方向表面に沿って、噴霧エッジへ向かう流れを、本体のクラウン方向へ、少なくとも部分的に方向付けるために設けられたデフレクターを備えて配置される。
【0012】
本発明のおかげで、デフレクターは、空気排出オリフィスが開く本体のクラウンに洗浄物質を戻すことを可能にし、これにより、特に簡単、迅速かつ効果的な方法で、そこに形成された任意のコーティング製品堆積物のこのクラウンを洗浄することが可能になる。したがって、本発明によるボウルを備えた噴霧装置の前面は、効果的に洗浄することができる。
【0013】
本発明の有利であるが必須ではない態様によれば、そのような噴霧装置は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を組み込むことができる:
-デフレクターは、外側半径方向表面の角状のブレイク領域を形成する。
-デフレクターは、回転軸に対して半径方向の平面において、デフレクターの上流の外側半径方向表面とともに、10°~170°の間、好ましくは45°~135°の間の頂点での角度で二面角を画定する。
-デフレクターは、外側半径方向表面に沿って噴霧エッジからゼロ以外の距離に位置し、この距離は、好ましくは5mmより大きく、より好ましくは10mmより大きい。
-デフレクターは、洗浄物質の流れをクラウンに向けて導くためのチャネルを備える。
-チャネルは、デフレクターを通じて形成される。
-変形例において、チャネルは、デフレクターの表面に配置されたノッチである。
-チャネルは、回転軸に関して、オルソラジアル方向に傾斜している。
-デフレクターは、ボウルと一体である。
-変形例において、デフレクターは、特に、溶接、接着、積層造形、またはねじ込みによって、ボウルの外側半径方向表面に取り付けられた部材である。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、回転軸を中心に回転するボウル、回転軸を中心に回転するボウルを回転させるためのタービン、回転軸を画定し、ボウルの噴霧エッジから排出されるコーティング製品の液滴の雲のように形成される空気を排出するためのオリフィスを備える本体を含む回転コーティング製品噴霧装置に関し、これらのオリフィスは本体のリング上に配置される。本発明によれば、ボウルは上述の通りである。
【0015】
有利には、以下のように配置することができる:
-デフレクターは、回転軸に沿って、ボウルのエッジに向かうコーティング製品の流れの方向において、回転軸上へのクラウンの正射影の上流に配置される。
-デフレクターは、回転軸に沿って、ボウルのエッジに向かうコーティング製品の流れの方向において、回転軸上へのクラウンの正射影の下流に配置される。
-クラウンは、本体の前面を形成し、回転軸に対して全体的に垂直である。
【0016】
第3の態様によれば、本発明は、上記のような回転コーティング製品噴霧装置を洗浄する方法に関し、その方法は、少なくとも以下のステップを含む:
(a)ボウルが回転している間、洗浄物質の流れをボウルの外側半径方向表面に向ける;そして
b)洗浄物質が少なくともデフレクターのレベルまで、そして少なくとも部分的に、この噴霧装置の本体のクラウンに向かって流れることを可能にする。
【0017】
有利には、ステップb)は、2つのサブステップ、b1)およびb2)、すなわち、以下を含む:
-第1のサブステップb1)の間、排出オリフィスには加圧空気が供給されない;そして
-第2のサブステップb2)では、排出オリフィスに加圧空気が供給される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
例としてのみ与えられ、添付の図面を参照して作成された、本発明によるボウルを組み込んだ、その原理に従った回転コーティング製品噴霧装置のいくつかの実施形態の以下の説明、およびそのような噴霧装置を洗浄する方法の以下の説明に照らして、本発明は、よりよく理解され、他の利点がより明確になるであろう。
【
図1】
図1は、本発明によるボウルを組み込んだ、本発明の第1の実施形態によるコーティング噴霧装置の主要な部分的縦断面図である。
【
図2】
図2は、この噴霧装置の第1の洗浄ステップの間の、
図1におけるIIIのより大きなスケールの詳細図である。
【
図3】
図3は、第2の洗浄ステップの間の、
図2と同様の詳細図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの幾何学的側面の識別を可能にする
図2と同様の詳細図である。
【
図5】
図5は、
図2と同様の図であるが、より小さなスケールであり、本発明の他の幾何学的側面の識別を可能にする。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態による噴霧装置についての
図5に類似した図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施形態に一致する噴霧装置についての
図5と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
噴霧装置2は、前部が
図1~5において断面図で示され、噴霧装置2の本体8によって画定される軸X8の周りで回転するボウル6を回転させるためのタービン4を備える。
【0020】
噴霧装置2は、静電型または非静電型であり得る。
【0021】
ボウル6は、軸X8を中心とし、ボウル6のハブ62に開口する軸方向導管10によってコーティング製品が供給される。ボウルは、ボウル6がタービン4に取り付けられる場合、軸X8と一致する、このボウルの中心軸X6に対して、内側半径方向表面61および外側半径方向表面65を画定するワンピース本体60を備える。ボウル6は、導管10から来るコーティング製品を、この製品が分配され、その下流端が、噴霧装置2の動作の間、コーティング製品の液滴の雲Nの噴霧エッジ63を構成する内側半径方向表面61の方向に戻すことを可能にする分配器64を備えている。表面61の機能は、導管10から来るコーティング製品を、軸X8に沿って厚さを減少させて、エッジ63に近づくように均一に分配することである。
【0022】
軸X6に沿って、表面65も、噴霧エッジ63まで延在する。
【0023】
表面61および65およびエッジ63は、軸X6上に中心がある。
【0024】
噴霧エッジ63の直径はD63として示される。
【0025】
この説明において、上流は、
図1から7の左側のコーティングまたは洗浄物質の供給源に面する方向に対応し、下流は、これらの図の右側の噴霧エッジ63に面する反対方向に対応する。
【0026】
タービン4のローター42とボウル6との間の回転接続は、磁気の引力によって、特にこのローターに組み込まれた磁石47およびボウル6に組み込まれた強磁性リング67によって、その外側半径方向表面65のレベルで行われ得る。変形例において、回転に対してローター42をボウル6に固定する他の手段、例えば、ねじ込みによって固定する手段を使用することができる。
【0027】
本体8には、図示されていないが、被覆されるべき対象物の方向にエッジ63を離れるコーティング製品液滴の雲Nを案内または成形することを目的としたスカート空気排出オリフィス82が配置されている。
図1において、オリフィス82を離れる空気ジェットは、矢印F1によって示される。実際には、オリフィス82は、軸X8の周りに2°~15°の角度間隔で均等に分布している。
【0028】
オリフィス82には、通常「スカート」と呼ばれる、本体2の部分86に配置された加圧空気導管84が供給される。
【0029】
オリフィス82は、本体2の環状表面に開いており、軸X8およびボウル6が噴霧装置2に取り付けられる場合、軸X8およびボウル6を取り囲むリング88を形成する。リング88は、本体8の前面、すなわち、噴霧装置2の動作の間、被覆されるべき対象物に向けられたその端面を形成する。
【0030】
クラウン88は、軸X8に対して全体的に垂直である、すなわち、図のそれのように軸X8に対して半径方向の平面において、それは、軸X8と80°~100°の間の角度を形成する。
【0031】
本発明が特に解決する問題は、特にコーティング製品を変更する場合の、このクラウン88の洗浄に関する。
【0032】
デフレクター66は、ボウル6の外側半径方向表面65上に配置され、前記デフレクター66は、表面65上を流れる洗浄物質の流れの少なくとも一部をクラウン88に向けて屈折させる、すなわち方向付けるように配置される。
【0033】
図1~5の例において、デフレクター66はボウル6と一体であり、外側半径方向表面65を機械加工することによって作ることができる。変形例において、このデフレクターは、溶接、接着、積層造形、ねじ込みまたは任意の他の適切な機械的組み立て手段によって本体60に取り付けられる。
【0034】
デフレクターは、外側半径方向表面65の全外周、すなわち、本体60の全周にわたって連続的に延在する。
【0035】
デフレクター66は、外側半径方向表面65に角状ブレイク領域、すなわち、この表面が軸X6に関して急に向きを変える領域を形成する。
【0036】
したがって、ボウル6の半径方向外面65を洗浄することが適切である場合、
図2の矢印F2によって表されるように、ある量の洗浄物質をその表面に向けることができる。このように作られた洗浄物質の流れは、表面65全面に広がり、デフレクター66にぶつかるまで、エッジ63に向かって進み、デフレクター66が、
図2の矢印F4によって表されるクラウン88に向かってその流れを返すことによってその流れの方向を変更する。
【0037】
エッジ63に向かう洗浄物質の流れの方向において、デフレクター66の上流および下流に位置する外側半径方向表面65の部分は、それぞれ652および654で示される。下流部分654は、軸X6に沿って、デフレクター66と噴霧エッジ63との間に位置する。軸X6に対して半径方向の平面においてこの表面に平行に測定されたこの部分654の長さは、d6として示される。この長さは、デフレクター66とエッジ63との間の距離に対応する。この距離は、デフレクター66の下流端とエッジ63との間で測定される。この距離はゼロ以外であり、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mmより大きい。
【0038】
デフレクター66を、表面65、より具体的にはクラウン88に近い中間領域に配置することにより、表面65を洗浄することを目的とした液体製品を使用して、クラウン88によって形成される環状表面も洗浄することが可能になる。
【0039】
したがって、噴霧装置2の洗浄は、導管10を介して洗浄物質を注入することによって内側半径方向表面61を洗浄する従来のステップに加えて、矢印F2によって表され、洗浄物質の流れをボウル6の外側半径方向表面65の上流部分652に向けて方向付けることからなる第1のステップを含み、ボウルは軸X6およびX8の両軸の周りでタービン4によって回転駆動される。この第1のステップは、ボウルの外側半径方向表面が洗浄される特定の噴霧装置で既に知られています。この方法は、洗浄物質が部分652上をデフレクター66のレベルにまで流れることを可能にし、その後、矢印F4によって表される、クラウン88に向かい屈折または再方向付けされる点までの追加のステップを含む。
【0040】
この第2のステップは、有利には、それぞれ
図2および3に示される2つのサブステップに分解される。
【0041】
第1のサブステップにおいて、オリフィス82には加圧空気が供給されない。これにより、デフレクター66で方向転換した洗浄物質の流れが、オリフィス82の半径方向外側に位置するリングの部分882を含むリング88全体を効果的に洗浄することができる。
【0042】
図3に示される第2のサブステップにおいて、矢印F1によって示されるように、加圧空気ジェットがオリフィス82を出る程度まで加圧空気がオリフィス82に供給され、それにより、矢印F6によって示されるように、洗浄物質の流れを表面65の下流部分654の方向に転換する。
【0043】
このようにして、表面65の完全な洗浄は、デフレクター66の上流の表面部分652上およびその下流の表面部分654上の両方において達成することができる。
【0044】
図4からより特に明らかなように、デフレクター66は、軸X8に沿って軸方向に、その軸上への表面88の投影P88の下流に位置する。言い換えれば、デフレクター66は、軸X8に沿って、オリフィス82の下流に位置する。
【0045】
変形例において、そして
図4に混合線で示されるように、デフレクター66’を使用して、これをオリフィス82の上流に位置することができる。
【0046】
図示されていない別の変形によれば、デフレクター86は、軸X8に沿って、オリフィス82と位置合わせすることができる。
【0047】
半径方向の断面において、デフレクター66は、
図3に見られるように、2つのわずかに凹状の表面を備えたほぼ三角形の形状を有する。
【0048】
デフレクター6の上流および下流表面は、それぞれ662および664として示され、すなわち、表面部分652および表面部分654にそれぞれ面する表面であり、すなわち、噴霧装置2においてボウル6が取り付けられた構成において、タービン4および噴霧エッジ63に面する。
【0049】
Δ65は、軸X6の半径方向の平面におけるデフレクター66の上流の表面65に接する直線として示され、これは
図4のものである。さらに、Δ66は、同じ平面内で、ベースを通り、表面662の頂点を通る直線として示され、ベースは、このデフレクターの上流側で、表面65とデフレクター66との間の接合部であり、頂点は、デフレクター66の外側半径方向エッジである。直線Δ66は、
図4の平面における表面662の平均的配向を表わす。
【0050】
直線Δ65とΔ66は、
図3の平面において、頂点での角度がαとして示される二面角Dを画定する。
【0051】
この角は、約135°の値を有する。
【0052】
変形例において、
図4に図式化された代替の実施形態の混合線で示されるように、直線Δ65およびΔ66'によって形成される二面角D'は、鋭い頂角α'、すなわち、90°未満を有し得る。
【0053】
実際には、デフレクター6の上流面662とこのデフレクターの上流の外側半径方向表面65との間に画定される二面角DまたはD'の頂角αまたはα'は、10°~170°、好ましくは45°~135°の値を有する。
【0054】
P66は、上記で画定された直線Δ65とΔ66との間の接合部として示される。
図4の左側に示される代替の実施形態について、直線Δ65とΔ66'との間の交点P66'は、同じ方法で画定することができる。点P66またはP66'は、
図4の平面において、デフレクター66または66'が洗浄物質の流れに作用する円の形の線を表わす。デフレクター66または66'は、この点P66またはP66'の、軸X8上のクラウン88の正射影P88に関する位置に応じて、クラウン88の上流または下流にあると考えられる。
【0055】
図5に示されるように、この点P66は、この軸X8上のクラウン88の正射影P88のように、軸X8に沿って、点P66Aのように上流に、または点P66Bのように下流に、または点66Bのように同じレベルに、位置することができる。
【0056】
図5および6に示される本発明の第2および第3の実施形態において、第1の実施形態の要素と同様の要素は同じ参照を有する。以下において、これらの実施形態を第1の実施形態と区別するもののみを説明する。
【0057】
図6の実施形態において、デフレクター66は、デフレクター66の近くのボウル5の外側半径方向表面65の部分652にほぼ平行な第1の分岐666A、および部分666Aに接続されてクラウン88方向に向けられる部分666Bをそれぞれ含むチャネル666を伴って配置される。
【0058】
したがって、
図6の矢印F2によって表されるような洗浄物質の流れは、様々なチャネル部分666Aに入り、チャネル部分666Bを通ってクラウン88に向けて再方向付けされ得、したがって、効果的に洗浄され得る。
図6において、矢印F4は、デフレクター66内の洗浄物質の経路と、チャネル666内でのその方向の変化を示している。
【0059】
図7に示される第3の実施形態では、オープンチャネル666は、デフレクター66の上流面662上のノッチによって形成され、第1の実施形態の様に画定される。
【0060】
有利には、チャネル666は、軸X6の周りに均等に分散されている。
【0061】
第2および第3の実施形態のチャネル666の数および分布は、出口ポート82の数および分布に従って選択することができる。しかしながら、これは必須ではない。
【0062】
チャネル666は、それらの直径によって特徴付けられ得、これは、実際には、0.1~3mmの間、好ましくは、0.5~2mmの間である。チャネルが断面において円形でない場合、それらの最大横方向寸法は、0.1~3mm、好ましくは0.5~2mmである。
【0063】
チャネル666は、また、回転軸X8に関するそれらの角度方向、およびそれらがその軸に関してオルソラジアル成分を有し得るかどうかによって特徴付けられる。言い換えれば、チャネル666は、ポート82に向かって発散し、洗浄物質の流れF2+F4に渦運動を与えることができる。
【0064】
図に示される例において、デフレクター66は、内側半径方向表面61および外側半径方向表面65を形成するボウル6の本体60と一体である。しかしながら、変形例において、デフレクター66は、ボウル6に取り付けることもできる。
【0065】
上で検討されたように、特に、第1および第3の実施形態の形状を伴って、デフレクター66は、溶接またはろう付けシームの形態で表面65に堆積された金属のストリップによって形成され得る。
【0066】
第2および第3の実施形態において、チャネル666は、デフレクターがボウルに取り付けられている場合、ボウル6に実装される前または後に、デフレクター66内またはデフレクター66上に機械加工され得る。
【0067】
本発明は、矢印F2によって表されるすべての流れが、デフレクター66によってクラウン88に向けて発散される場合について、上で説明される。変形例において、この流れの一部のみがこのクラウンに向けられ、流れの残りはエッジ63に向かって進み続け、したがって、デフレクター66とエッジ63との間に軸方向に位置する外側半径方向表面65の部分654が、
図3を参照して上で検討されたスカート空気の作用とは無関係に、通過時に洗浄されることを許容する。
【0068】
変形例において、デフレクターは、成形空気の作用とは無関係に、表面部分654への洗浄物質の流れを容易にするために局所的に中断され得る。
【0069】
実際には、表面65への洗浄物質の供給は、ボウル内からボウルを通して起こり得る。ボウルの内部容積は、デフレクター64および本体60の近くに洗浄物質が供給され、洗浄物質を表面65に循環させるためのチャネルが貫通されている。上述のように、洗浄物質の供給は、
図2および3に示されるように、ボウルの外側半径方向表面65に開口して配置され、デフレクター66によって方向転換され得る。変形例において、洗浄物質の供給は、
図6および7に示されるように、ボウルの半径方向外面65に開き、デフレクター66のチャネル666に入り、遠心力の効果によって出る。示されていない別の変形によれば、洗浄物質の供給は、デフレクター66のチャネル666に直接開く。さらに、インジェクター10を含む、2つの洗浄物質ラインによって、表面61および65を洗浄するための洗浄物質の同じ供給源を使用するための準備がなされ得る。変形例において、インジェクターを出る洗浄物質の経路に制限を設けることができ、流れの一部が外側半径方向表面65に駆動され、洗浄する程度に、内側半径方向表面61に流れる洗浄物質の流速を制限する。
【0070】
上記で検討された実施形態および変形例は、本発明の新しい実施形態を生成するために組み合わされ得る。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
コーティング製品のための回転噴霧装置(2)に一体化されることを意図した、コーティング製品を噴霧するためのボウル(6)であって、この噴霧装置は、回転軸(X8)の周りでボウルを駆動するタービン(4)と、回転軸(X8)を画定する本体であって、クラウン(88)に配置された成形空気を排出するためのオリフィス(82)を備える本体(8)とを備え、ボウルは、軸(X6)を中心とし、コーティング製品を噴霧エッジ(63)に分配するための内側半径方向表面(61)および外側半径方向表面(65)を画定する本体(60)を備え、ボウルの外側半径方向表面(65)は、噴霧エッジ(63)に向かって外側半径方向表面に沿って流れる洗浄物質の流れ(F2)を、本体のクラウン(88)の方向に少なくとも部分的に向ける(F4)ために提供されるデフレクター(66)を含むことを特徴とする、ボウル。
(付記2)
デフレクター(66)が外側半径方向表面(65)の角状ブレイキング領域を形成することを特徴とする、付記1に記載のボウル。
(付記3)
デフレクター(66)は、回転軸に対して半径方向の平面において、デフレクターの上流の外側半径方向表面(65)と、頂点での角度(α)が10°~170°、好ましくは45°~135°である二面角(D、D')を画定することを特徴とする、付記1または2に記載のボウル。
(付記4)
デフレクター(66)は、外側半径方向表面(65)に沿って、噴霧エッジ(63)からゼロ以外の距離(d6)に位置し、このゼロ以外の距離は、好ましくは5mmより大きく、より好ましくは10mmより大きいことを特徴とする、付記1~3のいずれか1項に記載のボウル。
(付記5)
デフレクター(66)は、洗浄物質の流れをクラウン(88)の方向に導くためのチャネル(666)を備えていることを特徴とする、付記1~4のいずれか1項に記載のボウル。
(付記6)
チャネル(666)はデフレクター(66)を通じて配置されることを特徴とする、付記5に記載のボウル。
(付記7)
チャネル(666)は、デフレクター(66)の表面(662)上に配置されたノッチであることを特徴とする、付記5に記載のボウル。
(付記8)
チャネル(666)は、回転軸(X8)に関して、オルソラジアル方向に傾斜していることを特徴とする、付記5~7のいずれか1項に記載のボウル。
(付記9)
デフレクター(66)は、ボウル(6)と一体になっていることを特徴とする、付記1~8のいずれか1項に記載のボウル。
(付記10)
デフレクター(66)は、特に、溶接、接着、積層造形またはねじ込みによって、ボウル(6)の外側半径方向表面(65)に取り付けられた部材であることを特徴とする、付記1~8のいずれか1項に記載のボウル。
(付記11)
コーティング製品のための回転噴霧装置(2)であって:
-回転軸(X8)の周りに回転するボウル(6);
-回転軸の周りにボウルを回転させるためのタービン(4);
-回転軸(X8)を画定し、ボウル(6)の噴霧エッジ(63)から排出されるコーティング製品の液滴の雲(N)のための成形空気を排出するためのオリフィス(82)を含む本体(8)を含み、これらのオリフィス(82)は、本体(8)のクラウン(88)上に配置されており、ボウル(6)が付記1~10のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする回転噴霧装置。
(付記12)
デフレクター(66)は、回転軸(X8)に沿って、ボウル(6)のエッジ(63)に向かうコーティング製品の流れの方向に従って、回転軸上へのクラウン(88)の正射影(P88)の上流に位置することを特徴とする、付記11に記載の回転噴霧装置。
(付記13)
デフレクター(66)は、回転軸(X8)に沿って、ボウル(6)のエッジ(63)に向かうコーティング製品の流れの方向において、回転軸上へのクラウン(88)の正射影(P88)の下流に置かれることを特徴とする、付記11に記載の回転噴霧装置。
(付記14)
クラウン(88)は、本体(8)の前面を形成し、回転軸(X8)に対して全体的に垂直であることを特徴とする、付記11~13のいずれか1項に記載の回転噴霧装置。
(付記15)
付記11~14のいずれか1項に記載の噴霧装置(2)を洗浄する方法であって、少なくとも以下からなるステップ:
a)ボウルが回転している間に、洗浄物質の流れ(F2)をボウルの外側半径方向表面(65)に向けるステップ、および
b)洗浄物質が、少なくともデフレクター(66)のレベルまで流れること(F2)、および少なくとも部分的に、噴霧装置(2)の本体(8)のクラウン(88)の方向に流れること(F4)を可能にするステップ、
を含むことを特徴とする方法。
(付記16)
ステップb)が、
-空気排出オリフィス(82)に加圧空気が供給されない第1のサブステップb1)、および、
-空気排出ポート(82)に加圧空気が供給される第2のサブステップb2)
を含むことを特徴とする、付記15に記載の方法。