IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミコ セラミックス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図1
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図2
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図3
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図4
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図5
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図6
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図7
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図8
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図9
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図10
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図11
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図12
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図13
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図14
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図15
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図16
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図17
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図18
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図19
  • 特許-温度偏差特性が改善された基板加熱装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】温度偏差特性が改善された基板加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/02 20060101AFI20240221BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20240221BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H05B3/02 A
H05B3/10 A
H05B3/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022134911
(22)【出願日】2022-08-26
(65)【公開番号】P2023035957
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0114650
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テク コン キム
(72)【発明者】
【氏名】チョン チョル チン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/170800(WO,A1)
【文献】特開2003-272805(JP,A)
【文献】特開平07-230876(JP,A)
【文献】特開昭60-075546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02
H05B 3/10
H05B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加熱する基板加熱装置であって、
基板が安着する基板安着部を備えて前記基板を支持するボディー部;
前記ボディー部の内部領域に位置する第1発熱体;
前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体;
前記ボディー部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を伝達する第3発熱体;及び
前記第2発熱体と前記第3発熱体とを電気的に連結する連結部材;を含み、
前記連結部材は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成され
前記連結部材は焼鈍(annealing)工程を経たものであり、前記焼鈍工程はモリブデンの再結晶温度とタングステンの再結晶温度との範囲内でなされ、前記焼鈍工程には前記モリブデンにシグマ相(sigma phase)が生成される温度区間での急速冷却工程が含まれることを特徴とする、基板加熱装置。
【請求項2】
前記連結部材は、
球形(spherical)立体形状を有すると共に、前記連結部材の中心点から下方に所定の距離だけ離隔する第1平面の下部は除去された形状で具現され、
前記第1平面が前記基板安着部と平行に配置される構造をなすことを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項3】
前記連結部材は、
球形(spherical)立体形状が上下方向に短縮された楕円形(elliptical)立体形状で具現され、
前記楕円形立体形状において前記上下方向の軸(axis)が前記基板安着部と垂直に配置される構造をなすことを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項4】
前記連結部材は、
円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、
前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部と垂直に配置される構造をなし、
前記第2発熱体と前記第3発熱体が挿入されて固定される各開口が、前記長さ方向の軸と垂直な方向に円筒形立体形状の側部に上下に備えられることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項5】
連結部材は、
円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、
前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部と平行に配置される構造をなし、
前記第2発熱体と前記第3発熱体が挿入されて固定される各開口が、前記円筒形立体形状の両側平面に対向して備えられることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項6】
前記モリブデン-タングステン合金中にモリブデンは40~80%、タングステンは20~60%の割合で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項7】
前記第1発熱体の終端に連結され、電源供給部から供給される電源を伝達する発熱体コネクター;がさらに含まれ、
前記発熱体コネクターは、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項8】
前記発熱体コネクターは、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経ることを特徴とする、請求項に記載の基板加熱装置。
【請求項9】
プラズマを生成するために高周波が印加される高周波電極部;及び
前記高周波電極部の終端に連結され、高周波供給部から供給される高周波を伝達する高周波コネクター;がさらに含まれ、
前記高周波電極部又は前記高周波コネクターのうち一つ以上は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項10】
前記高周波電極部又は前記高周波コネクターのうち一つ以上は、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経ることを特徴とする、請求項に記載の基板加熱装置。
【請求項11】
前記第1発熱体、前記第2発熱体又は前記第3発熱体のうち一つ以上は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の基板加熱装置。
【請求項12】
前記第1発熱体、前記第2発熱体又は前記第3発熱体のうち一つ以上は、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経ることを特徴とする、請求項11に記載の基板加熱装置。
【請求項13】
前記モリブデン-タングステン合金中にモリブデンは40~80%、タングステンは20~60%の割合で構成されることを特徴とする、請求項7又は11のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項14】
前記焼鈍(annealing)工程は、モリブデンの再結晶温度とタングステンの再結晶温度の範囲内で選択された温度でなされることを特徴とする、請求項810又は12のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項15】
前記熱処理工程には、前記第1発熱体、前記第2発熱体および前記第3発熱体の少なくとも1つを、前記モリブデンにシグマ相(sigma phase)が生成される温度区間で急速に冷却させる急速冷却工程が含まれることを特徴とする、請求項810又は12のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板加熱装置に関し、より具体的には、基板加熱装置の内部領域に位置する第1発熱体と外部領域に位置する第2発熱体、前記内部領域を横切って第2発熱体に電力を伝達する第3発熱体、及び前記第2発熱体と前記第3発熱体とを電気的に連結する連結部材を含んで構成され、前記連結部材に印加される高温及び高圧による熱膨張と圧縮応力による微細亀裂(crack)を効果的に抑制できる基板加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平板ディスプレイパネル或いは半導体素子を製造するためには、ガラス基板、フレキシブル基板又は半導体基板などの基板上に、誘電体層及び金属層を含む一連の層を順次に積層しパターニングする工程を行う。このとき、前記誘電体層及び金属層などの一連の層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)などの工程によって前記基板上に蒸着される。
【0003】
この時、前記層を均一に形成するためには前記基板を均一な温度に加熱しなければならず、前記基板を加熱し支持するために基板加熱装置を用いることができる。前記基板加熱装置は、前記基板上に形成される誘電体層又は金属層のエッチング工程(etching process)、感光膜(photo resistor)の焼成工程などにおいて基板加熱のために用いられてよい。
【0004】
なお、最近では、半導体素子の配線微細化と半導体基板の精密な熱処理の必要性から、前記基板加熱装置の温度偏差を低減できる方案が要求されつつある。特に、基板加熱装置の中心領域には、発熱体を内蔵するセラミックなどからなるボディー部を支持する支持部が位置して熱容量が増大するなどの問題があり、このため、基板加熱装置の各領域に同一の熱量が供給されても領域別に温度偏差が発生することがある。
【0005】
そこで、図1に見られるように、前記基板加熱装置を内部領域(図1のB領域)と外部領域(図1のC領域)とに分けて領域別に基板の加熱を制御することによって、内部領域(図1のB領域)と外部領域(図1のC領域)間の温度偏差を低減できる技術が試みられている。しかし、この場合、前記外部領域(図1のC領域)の発熱体に電流を供給するための導電体における発熱のため、前記導電体に対応する特定領域(図1のA領域)が過熱する問題が発生し得る。例えば、図2では、前記内部領域を横切って外部領域の発熱体に電力を伝達する導電体における発熱のため、前記導電体に対応する特定領域(図2のA領域)が過熱する問題点を示している。
【0006】
なお、前記基板加熱装置のボディー部は一般に窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成され、前記発熱体を連結するためのコネクターなどはモリブデン(Mo)などの金属で構成されるが、前記基板加熱装置の製造工程では、前記窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成されるボディー部内に前記発熱体と前記コネクターなどをあらかじめ定められた位置に配置した後、高温(例えば、約1800゜C)の環境で高い圧力を印加しながら前記セラミックを焼結(sintering)させて前記ボディー部を構成する。
【0007】
ところが、前記焼結工程では、高温環境で高圧が印加されながら、前記ボディー部をなすセラミックとコネクターの金属材質との熱膨張係数(CTE)差による熱応力及び前記高圧による圧縮応力が誘発され、前記ボディー部に微細亀裂(crack)ができることがあり、しかも、前記基板加熱装置の使用につれて前記クラックが拡散し、前記基板加熱装置の耐久性の劣化及び寿命の短縮を招くこともあった。
【0008】
このため、前記基板装置を内部領域と外部領域とに分けて加熱を制御しながらも、前記外部領域の発熱体に電流を供給する導電体における発熱によって特定領域が過熱する問題を改善でき、且つ基板加熱装置の製造過程のうち高温高圧が印加される焼結工程などで前記コネクターの金属材質と前記ボディー部のセラミックとの熱膨張係数差による熱応力及び印加される高圧による圧縮応力の発生を抑制してボディー部の微細亀裂(crack)を防止し、基板加熱装置の耐久性の劣化及び寿命の短縮を効果的に防止できる方案が要求されているが、これに対する適切な代案は未だ提示されずにいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開第2001-102157号公報(2001年4月13日に公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために創案されたものであり、基板加熱装置を内部領域及び外部領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱を制御しながらも、前記外部領域の発熱体に電流を供給する導電体による発熱によって特定領域が過熱することを防止できる基板加熱装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、基板加熱装置を内部領域、外部領域、及び前記内部領域を横切る中間領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱しながらも、前記中間領域の導電体による発熱による基板加熱の不均一性を最小化できる基板加熱装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記外部領域の発熱体及びそれに電流を供給する導電体の連結構造における熱的、構造的安定性を改善できる構造を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、基板加熱装置の製造過程のうち、高温高圧が印加される焼結工程などにおいてコネクターの金属材質とボディー部のセラミック材質との熱膨張係数差による熱応力及び印加される高圧による圧縮応力の発生を抑制してボディー部の微細亀裂(crack)を防止し、且つ基板加熱装置の耐久性の劣化及び寿命の短縮も効果的に防止できる基板加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための本発明の一側面に係る基板加熱装置は、基板を加熱する基板加熱装置であって、基板が安着する基板安着部を備えて前記基板を支持するボディー部;前記ボディー部の内部領域に位置する第1発熱体;前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体;前記ボディー部の内部領域を横切って前記第2発熱体に電流を伝達する第3発熱体;及び、前記第2発熱体と前記第3発熱体とを電気的に連結する連結部材;を含み、前記連結部材は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記連結部材は、球形(spherical)立体形状を有すると共に、前記連結部材の中心点から下方に所定の距離だけ離隔する第1平面の下部は除去された形状で具現され、前記第1平面が前記基板安着部と平行に配置される構造をなしてよい。
【0016】
また、前記連結部材は、球形(spherical)立体形状が上下方向に短縮された楕円形(elliptical)立体形状で具現され、前記楕円形立体形状において前記上下方向の軸(axis)が前記基板安着部と垂直に配置される構造をなしてよい。
【0017】
また、前記連結部材は、円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部と垂直に配置される構造をなし、前記第2発熱体と前記第3発熱体が挿入されて固定される各開口が、前記長さ方向の軸と垂直な方向に円筒形立体形状の側部に上下に備えられてよい。
【0018】
また、連結部材は、円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部と平行に配置される構造をなし、前記第2発熱体と前記第3発熱体が挿入されて固定される各開口が、前記円筒形立体形状の両側平面に対向して備えられてよい。
【0019】
また、前記連結部材は、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経たものであってよい。
【0020】
また、前記第1発熱体の終端に連結され、電源供給部から供給される電源を伝達する発熱体コネクター;がさらに含まれ、前記発熱体コネクターは、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい。
【0021】
また、前記発熱体コネクターは、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経たものであってよい。
【0022】
また、プラズマを生成するために高周波が印加される高周波電極部;及び、前記高周波電極部の終端に連結され、高周波供給部から供給される高周波を伝達する高周波コネクター;がさらに含まれ、前記高周波電極部又は前記高周波コネクターのうち一つ以上は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい。
【0023】
また、前記高周波電極部又は前記高周波コネクターのうち一つ以上は、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経たものであってよい。
【0024】
なお、前記第1発熱体、前記第2発熱体又は前記第3発熱体のうち一つ以上は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい。
【0025】
また、前記第1発熱体、前記第2発熱体又は前記第3発熱体のうち一つ以上は、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経てよい。
【0026】
このとき、前記モリブデン-タングステン合金中にモリブデンは40~80%、タングステンは20~60%の割合で構成されてよい。
【0027】
ここで、前記焼鈍(annealing)工程は、モリブデンの再結晶温度とタングステンの再結晶温度の範囲内で選択された温度でなされてよい。
【0028】
なお、前記熱処理工程には、前記モリブデンにシグマ相(sigma phase)が生成される温度区間で急速に冷却させる急速冷却工程が含まれてよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、基板加熱装置を内部領域及び外部領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱を制御しながら、外部領域に位置する第2発熱体に電流を供給する第3発熱体のワイヤーの直径を前記第2発熱体のワイヤーの直径よりも厚くすることにより、前記第3発熱体による発熱によって特定領域が過熱することを抑制することが可能になる。
【0030】
また、本発明は、基板加熱装置を内部領域、外部領域、及び前記内部領域を横切る中間領域を含む複数の領域に分けて領域別に加熱しながらも、前記中間領域における第3発熱体による発熱量と前記第2発熱体の発熱量との和を所定の範囲に調節することにより、前記中間領域の導電体による発熱に起因する基板加熱の不均一性を最小化することが可能になる。
【0031】
また、本発明は、前記外部領域に位置する第2発熱体及び前記中間領域の第3発熱体と同じ材質で構成された連結部材を用いて前記第2発熱体と前記第3発熱体とを連結することにより、前記基板加熱装置の製作過程及び基板工程中における加熱による温度変化に対しても熱的、構造的安定性を維持することが可能になる。
【0032】
また、本発明は、基板加熱装置の製造過程のうち、高温高圧が印加される焼結工程などにおいて、コネクターなどの金属材質とボディー部のセラミック材質との熱膨張係数差による熱応力及び印加される高圧による圧縮応力の発生を抑制してボディー部の微細亀裂(crack)を防止し、基板加熱装置の耐久性の劣化及び寿命の短縮を効果的に防止することが可能になる。
【0033】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明に係る実施例を提供し、詳細な説明と一緒に本発明の技術的思想を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術に係る基板加熱装置の上面図である。
図2】従来技術に係る基板加熱装置において不均一な加熱によって特定領域が過熱する場合を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る基板加熱装置の構造を例示する図である。
図4】本発明の一実施例として、第3発熱体のワイヤー直径による発熱量の変化を示す表である。
図5】本発明の一実施例に係る基板加熱装置において、特定領域における過熱が解消された場合を示す図である。
図6】本発明の一実施例に係る基板加熱装置において、第2発熱体と第3発熱体とを連結する連結部材の構造を例示する図である。
図7】本発明の一実施例として、基板加熱装置の中間領域における発熱量と対称領域における発熱量の偏差を減らす場合を説明するための図である。
図8】本発明の一実施例として、基板加熱装置の中間領域における発熱量と前記中間領域に垂直な領域における発熱量の偏差を減らす場合を説明するための図である。
図9】本発明の一実施例に係る基板加熱装置の構成を例示する図である。
図10】本発明の一実施例に係る連結部材の形状を例示する図である。
図11】本発明の一実施例に係る連結部材の形状を例示する図である。
図12】本発明の一実施例に係る連結部材の形状を例示する図である。
図13】本発明の一実施例に係る連結部材の形状を例示する図である。
図14】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターを説明する図である。
図15】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターを説明する図である。
図16】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターを説明する図である。
図17】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターを説明する図である。
図18】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターを説明する図である。
図19】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターに対する熱処理を説明する図である。
図20】本発明の一実施例に係る基板加熱装置における連結部材とコネクターに対する熱処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例が可能であるところ、以下では、特定の実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
本発明を説明するに当たって、関連する公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0037】
第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの構成要素は前記用語によって限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使われる。
【0038】
以下では、本発明に係る基板加熱装置の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
上述したように、基板加熱装置の熱的均一性を高めるために、基板加熱装置の領域を内部領域と外部領域を含む複数の領域に分けて加熱をする場合に、前記内部領域を横切って外部領域の発熱体に電力を伝達するための導電体における発熱によって特定領域が過熱する問題が発生し得る。
【0040】
そこで、本発明では、基板加熱装置の内部領域に位置する第1発熱体と外部領域に位置する第2発熱体、及び前記内部領域を横切って第2発熱体に電力を伝達する第3発熱体を含んで構成され、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径を前記第2発熱体を構成するワイヤーの直径よりも厚くすることにより、前記第3発熱体の発熱によって過熱領域が発生することを抑制できる基板加熱装置を開示する。
【0041】
図3では、本発明の一実施例に係る基板加熱装置の構造300を例示している。図3に見られるように、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300は、基板を支持するボディー部(図示せず)、前記ボディー部の内部領域に位置する第1発熱体310、前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体320、及び前記ボディー部の内部領域を横切って前記第2発熱体320に電流を伝達する第3発熱体330を含んで構成されてよく、このとき、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径を、前記第2発熱体320を構成するワイヤーの直径よりも厚くすることにより、前記第3発熱体330の抵抗値を下げ、且つ前記第3発熱体330における発熱を抑制し、前記第3発熱体330の発熱によって特定領域が過熱することを防止可能になる。
【0042】
このとき、前記基板加熱装置300にはガラス基板、フレキシブル(flexible)基板、半導体基板などの基板が安着し、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)などの工程によって、誘電体層及び金属層を含む一連の層が積層されパターニングされる工程が行われる。この時、前記基板加熱装置300では、工程に要求される所定の温度で前記基板を均一に加熱する。
【0043】
前記基板加熱装置300のボディー部(図示せず)は、その用途又は使用される工程によってセラミック又は金属などで構成されてよく、前記ボディー部には、プラズマ工程などで用いられる高周波電極(図示せず)などと共に、前記基板を加熱するための発熱体が含まれてよい。なお、前記基板加熱装置300には、前記ボディー部の上面に基板を安着させたり外部にアンロード(unloading)したりするリフトピンが動き得るように複数のピンホール(図示せず)が形成されてもよい。
【0044】
高温の工程における安定性などのために、前記基板加熱装置300のボディー部をセラミック材質で構成でき、このとき、使用可能なセラミックは、Al、Y2O、Al/Y2O、ZrO、AlC、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、BxCy、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト、AlFなどであってよく、これらのセラミックの2種以上が複合的に使用されてもよい。
【0045】
前記発熱体は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)又はそれらの合金によって形成されてよい。
【0046】
図3(b)に見られるように、一般に、同一直径の単一のワイヤーを用いて前記第2発熱体320と前記第3発熱体330を構成することにより、比較的容易に前記基板加熱装置を複数の領域に分けて加熱する構造を構成することができる。しかし、この場合、外部領域の第2発熱体320の加熱のために電力を印加すると、前記第3発熱体330でも前記第2発熱体320と同一に発熱が発生しながら、前記第3発熱体330の位置する中間領域が過熱する問題が発生し得る。
【0047】
特に、前記第3発熱体330による発熱量に、前記中間領域に近接している第1発熱体310における発熱が加えながら、前記中間領域がさらに加熱されることがあり、このため、先に図2で説明したように特定領域が過熱し、熱的均一性(thermal uniformity)が大きく悪化する問題が発生してしまう。
【0048】
そこで、前記第1発熱体310における発熱による影響を減らすために、前記第1発熱体310を前記第3発熱体330から離隔させる方案も考慮できよう。しかし、この場合、各領域に対する電力印加状態によって、前記第3発熱体330の位置する中間領域における発熱量が、前記ボディー部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域における発熱量と大きく異なってくることもあり、場合によっては基板加熱装置の熱的均一性(thermal uniformity)が却って悪くなることもある。
【0049】
このため、前記中間領域における第1発熱体310の構造とそれに対応する対称領域における第1発熱体310の構造を、可能な限り同一の対称構造とすることが好ましく、前記第3発熱体330の布線などのために前記対称構造を構成できないとしても、可能な限り類似の構造とすることが好ましい。
【0050】
したがって、前記第1発熱体310の対称構造を極力保持しながら前記第3発熱体330における発熱量を減らすことが、より好ましい接近方案になるであろう。そこで、本発明では、図3(c)に見られるように、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径(X+Y)を、第2発熱体を構成するワイヤーの直径(X)よりも大きくして抵抗値を減らすことにより、前記第3発熱体330による発熱を抑制させている。
【0051】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記第3発熱体330の位置する中間領域には前記第1発熱体310が位置しないようにして前記第1発熱体310と前記第3発熱体330とが重なって配置されることを防止し、相互離隔して配置されるようにすることにより、前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱が重複される効果を低減させることが好ましい。
【0052】
なお、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300は、必ずしも、図3(a)に見られるように基板加熱装置の領域を内部領域及び外部領域の2つの領域のみに分割して構成するわけではなく、前記内部領域及び外部領域の他にも、一つ以上の他の領域をさらに含んで複数の領域で構成してもよい。
【0053】
また、前記ボディー部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸を基準に、前記第1発熱体310、前記第2発熱体320及び前記第3発熱体330が対称の形状となるようにすることにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300が前記中心軸を基準に対称の熱的分布を有するようにすることができ、且つ前記基板加熱装置300の熱的均一性をさらに改善することが可能になる。
【0054】
図4では、本発明の一実施例によって、第3発熱体を構成するワイヤーの直径を変えながらワイヤーの抵抗値及び発熱量を算出した表を示している。図4に見られるように、第3発熱体を構成するワイヤーの直径が0.50ミリメートル(mm)の場合に、ワイヤーの抵抗値は0.030オーム(Ohm)になり、前記ワイヤーに14.5アンペア(A)の電流を印加する場合に、前記ワイヤーでは6.27ワット(W)の発熱量を示すことが分かる。
【0055】
これに対し、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径が1.00ミリメートル(mm)の場合に、ワイヤーの抵抗値は0.007オーム(Ohm)になり、前記ワイヤーに14.5アンペア(A)の電流を印加する場合に、前記ワイヤーでは1.57ワット(W)の発熱量を示すので、前記ワイヤーの直径が0.50ミリメートル(mm)から1.00ミリメートル(mm)へと2倍増えることにより、抵抗値と発熱量がそれぞれ約1/4レベルに下がるということが確認できる。
【0056】
類似に、前記第3発熱体を構成するワイヤーの直径が0.5ミリメートル(mm)から0.70ミリメートル(mm)へと約1.4倍増えることにより、抵抗値と発熱量がそれぞれ約1/2レベルに下がるということが確認できる。
【0057】
したがって、前記ワイヤーの直径を増やすことによって前記ワイヤーによる発熱量を減少させることができる。ただし、前記ワイヤーの直径を無制限に増やすことはできないことから、前記ワイヤーの直径、前記ワイヤー間の離隔距離、及び前記第1発熱体による発熱などを考慮して、前記第3発熱体330の位置する中間領域における発熱量が他の領域における発熱量に近似し得るように調節することが好ましい。
【0058】
図5では、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において特定領域における過熱が抑制されて熱的均一性が改善された場合を示している。図5(a)に見られるように、中間領域の第3発熱体330による発熱を適切に抑制できないと、中間領域に発熱量が集中しながら過熱が発生することがある。本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記第3発熱体330を構成するワイヤーの直径を、前記第2発熱体320を構成するワイヤーの直径よりも厚くして、前記第3発熱体330の抵抗値を下げ、前記第3発熱体330による発熱を抑制することにより、前記中間領域における過熱の発生を効果的に抑制できることを示している。
【0059】
図6では、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において第2発熱体320と第3発熱体330とを連結する連結部材の構造を例示している。図6(a)に見られるように、本発明の一実施例として、前記第2発熱体320はXの直径を有し、前記第3発熱体330はX+Yの直径を有する、互いに異なる直径を有する別個のワイヤーで構成されてよい。したがって、図6(b)に見られるように、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを連結する連結部材340を用いて、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを連結させることができる。
【0060】
このとき、前記連結部材340は、前記第2発熱体320及び前記第3発熱体330を構成する互い異なる直径のワイヤーを圧入して固定する開口を含んで構成されてよい。なお、前記第2発熱体320、前記第3発熱体330及び前記連結部材340はいずれも同じ材質で構成されてよい。
【0061】
これにより、前記第2発熱体320、前記第3発熱体330及び前記連結部材340は、セラミックの焼結などの、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の製作工程、又は基板に対する化学気相蒸着(CVD)などの基板処理工程における高温環境などでも安定して結合構造を保持することが可能になる。
【0062】
なお、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において前記連結部材340は必ずしも用いられない。より具体的な例として、図6(c)に見られるように、前記2発熱体320と前記第3発熱体330を単一のワイヤーで構成しながら、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330の連結部分はテーパリング (tapering)形状にすることもできる。この場合、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330との連結部分における熱的、構造的安定性がより改善され得、非常に高い高温又は反復した熱的環境変化に対してもより安定した連結構造を保持することが可能になる。又は、図6(d)に見られるように、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330との連結部分を溶接(welding)などで接合させることもできる。
【0063】
図7では、本発明の一実施例として、基板加熱装置300の中間領域(図7でC領域)における発熱量と対称領域(図7でD領域)における発熱量との偏差を減らす構造を説明している。すなわち、前記基板加熱装置300においてボディー部の中心点を基準に前記中間領域と対称をなす対称領域に対して、前記ボディー部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸(図7のC1-C2)における前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の平均値は、前記ボディー部の中心点を通過する前記対称領域の中心軸(図7のC2-C3)における前記第1発熱体310の発熱による表面温度の平均値と実質的に同一にさせることができる。そのために、前記中間領域における中心軸周辺の第3発熱体330の直径、前記第3発熱体330間の離隔距離、前記第3発熱体330と前記第1発熱体310との離隔距離などを調節することができる。
【0064】
したがって、前記中間領域の中心軸における温度及び前記対称領域の中心軸における表面温度の平均値を同一にさせることにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することが可能になる。
【0065】
また、本発明の他の実施例として、基板加熱装置300は、前記ボディー部の中心点を通過する前記中間領域(図7でC領域)の中心軸(図7のC1-C2)における前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の最大値と最小値との差を、前記ボディー部の中心点を通過する前記対称領域(図7でD領域)の中心軸(図7のC2-C3)における前記第1発熱体310の発熱による表面温度の最大値と最小値との差よりも小さくする又は同一にすることにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することもできる。
【0066】
図8では、本発明の一実施例として、基板加熱装置300の中間領域(図8でC領域)における発熱量と前記中間領域に垂直な領域(図8でE領域)における発熱量との偏差を減らす構造を説明している。まず、前記基板加熱装置300における中間領域と前記中間領域に対する垂直領域に対して、前記ボディー部の中心点を通過する前記中間領域の中心軸(図8のC1-C2)における前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の平均値は、前記中心領域に対する垂直領域の中心軸(図8のC2-C4)における前記第1発熱体310の発熱による表面温度の平均値と実質的に同一にさせることができる。そのために、前記中間領域における中心軸周辺の第3発熱体330の直径、前記第3発熱体330間の離隔距離、前記第3発熱体330と前記第1発熱体310との離隔距離などを調節することができる。
【0067】
したがって、前記中間領域の中心軸における温度及び前記中間領域に対する垂直領域の中心軸における表面温度の平均値を同一にさせることにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することが可能になる。
【0068】
また、本発明の他の実施例として、基板加熱装置300は、前記ボディー部の中心点を通過する前記中間領域(図8でC領域)の中心軸(図8のC1-C2)における前記第1発熱体310及び前記第3発熱体330の発熱による表面温度の最大値と最小値との差を、前記中間領域に対する垂直領域(図8でE領域)の中心軸(図8のC2-C4)における前記第1発熱体310の発熱による表面温度の最大値と最小値との差よりも小さくする或いは同一にすることにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の熱的均一性を改善することもできる。
【0069】
また、図9では、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300の構成を例示している。図9に見られるように、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300は、基板Sを加熱する基板加熱装置300であり、基板Sが安着する基板安着部120を備えて前記基板Sを支持するボディー部110、前記ボディー部110の下部に内蔵されて前記基板Sを加熱する発熱部130が含まれてよく、このとき、前記発熱部130には、前記ボディー部110の内部領域に位置する第1発熱体310、前記内部領域を囲む外部領域に位置する第2発熱体320、及び前記ボディー部110の内部領域を横切って前記第2発熱体320に電流を伝達する第3発熱体330が含まれてよく、また、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを電気的に連結する連結部材340が含まれて構成されてよい。
【0070】
なお、図9に見られるように、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300には、前記ボディー部110を支持する支持部100a、前記発熱部130に電源を供給する電源供給部100b、接地を提供する接地部100cが含まれてよく、また、プラズマ形成のための高周波が印加される高周波電極部140が備えられてよい。
【0071】
また、図9に見られるように、前記本発明の一実施例に係る基板加熱装置300は、チャンバー31の内部に配置されて工程が行われてよく、前記チャンバー31にはプラズマ電極32とシャワーヘッド33などが備えられてよい。
【0072】
ところが、先に図3及び図6で説明したように、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において前記第2発熱体320と前記第3発熱体330とを電気的に連結するために用いられる連結部材340は、一般に前記第2発熱体320及び前記第3発熱体330と同一にモリブデン(Mo)などの金属で構成されるが、前記基板加熱装置300のボディー部110は一般に窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成される。
【0073】
このとき、前記基板加熱装置300の製造工程では、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成される前記ボディー部110内に前記第2発熱体320、前記第3発熱体330及び前記連結部材340などをあらかじめ定められた位置に配置した後、高温(例えば、約1800℃)の環境で高い圧力を印加しながら前記セラミックを焼結(sintering)させて前記基板加熱装置300を製造する。
【0074】
ところが、前記焼結工程では、高温環境で高圧が印加されながら、前記ボディー部110をなすセラミックと連結部材340の金属材質との熱膨張係数(CTE)差による熱応力及び前記高圧による圧縮応力が誘発され、前記ボディー部110のセラミック領域に微細亀裂(crack)ができることがあった。
【0075】
しかも、前記基板加熱装置300の使用につれて前記微細亀裂(crack)が拡散することにより、前記基板加熱装置300の耐久性の劣化及び寿命の短縮を招くこともあった。
【0076】
これに対し、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、図10に見られるように、前記連結部材340が球形(spherical)立体形状を有すると共に、前記連結部材340の中心点から下方に所定の距離だけ離隔する第1平面(例えば、図10(a)の(A)平面)の下部は除去された形状で構成されてよく、このとき、前記連結部材340は、前記第1平面が前記基板安着部120と平行な構造で配置されてよい。
【0077】
これにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340の球形(spherical)立体形状による圧縮応力の分散と共に、また、上のように下方に一定部分が除去された形状によって高さを減らし、上方から印加される高圧による応力の影響を減らすことによって、微細亀裂の発生を抑制することが可能になる。
【0078】
なお、上のように、下方に一定部分が除去されることによって前記連結部材340の体積も減らすことができ、高温環境における熱膨張による応力を抑制することが可能になる。
【0079】
このとき、図10(a)に見られるように、前記連結部材340の高さ(例えば、図10(a)でH11)は、幅(図10(a)でW11)よりも薄い構造を有してよい。
【0080】
また、本発明では、図10の(a)、(b)、(c)に見られるように、前記球形立体形状の幅(W11→W12→W13)及び高さ(H11→H12→H13)を減少させて前記連結部材340の体積を減らし、熱膨張による熱応力を抑制でき、これと同時に、前記高さの減少によって圧縮応力も抑制して微細亀裂の発生も防止することが可能になる。
【0081】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、図11に見られるように、前記連結部材340が、球形(spherical)立体形状が上下方向に短縮された楕円形(elliptical)立体形状で構成されてよく、このとき、前記連結部材340は、前記楕円形立体形状において前記上下方向の軸(例えば、図11の(B))が前記基板安着部120と垂直な構造で配置されてよい。
【0082】
これにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340の楕円形(elliptical)立体形状による圧縮応力の分散と共に、上のように上下方向に短縮された形状によって高さを減らすることにより、上方から印加される高圧による応力の影響を減らし、微細亀裂の発生を抑制することが可能になる。
【0083】
なお、上のように上下方向に短縮された形状によって前記連結部材340の体積も減らすことができ、高温環境における熱膨張による応力を抑制し、微細亀裂の発生も防止可能になる。
【0084】
このとき、図11に見られるように、前記連結部材340の高さ(例えば、図11でH2)は、幅(図11でW2)よりも薄い構造を有してよい。
【0085】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、図12に見られるように、前記連結部材340が円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部120と垂直な構造で配置されてよい。
【0086】
これにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340の体積を減らして高温環境における熱膨張による応力を抑制し、微細亀裂の発生を防止可能になる。
【0087】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、図13に見られるように、前記連結部材340が円筒形(cylindrical)立体形状で具現され、前記円筒形立体形状の長さ方向の軸が前記基板安着部120と平行に配置される構造をなし、前記第2発熱体320と前記第3発熱体330が挿入されて固定される各開口が前記円筒形立体形状の両側平面に対向して配置されてよい。
【0088】
これにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340の高さを下げたり体積を減らしたりすることができ(例えば、図13(a)に対比して図13(b)及び図13(c))、よって、高温及び高圧環境における熱膨張による応力又は圧縮応力を抑制し、微細亀裂の発生を防止することが可能になる。
【0089】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記連結部材340は、モリブデン(Mo)とタングステン(W)が含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい(例えば、図14の(E)に位置)。
【0090】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300には、前記第1発熱体310の終端に連結され、電源供給部100bから供給される電源を伝達する発熱体コネクター(図示せず)が含まれてよく、前記発熱体コネクター(図示せず)も、モリブデン(Mo)とタングステン(W)が含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい(図14の(C)に位置)。
【0091】
また、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300には、図9に見られるように、プラズマを生成するために高周波が印加される高周波電極部140、及び前記高周波電極部140の終端に連結され、高周波供給部(図示せず)から供給される高周波を伝達する高周波コネクター(図示せず)が含まれてよく、前記高周波コネクター(図示せず)も、モリブデン(Mo)とタングステン(W)が含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されてよい(図14の(D)に位置)。
【0092】
すなわち、従来の基板加熱装置300では一般に前記連結部材340、発熱体コネクター(図示せず)、及び高周波コネクター(図示せず)が発熱体と同一にモリブデン(Mo)などの金属で構成される一方、前記基板加熱装置300のボディー部110は一般に窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成され、前記基板加熱装置300の製造工程において窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックで構成される前記ボディー部110内に、前記発熱体と共に連結部材340、発熱体コネクター(図示せず)、及び高周波コネクター(図示せず)を定められた位置に配置した後、高温(例えば、約1800℃)の環境で高い圧力を印加しながら前記セラミックを焼結(sintering)させて前記基板加熱装置300を製造した。
【0093】
ところが、前記焼結工程では高温環境で高圧が印加されながら、前記ボディー部110をなすセラミックと、前記連結部材340、発熱体コネクター(図示せず)及び高周波コネクター(図示せず)の金属材質との熱膨張係数(CTE)差による熱応力によって、前記ボディー部110において前記連結部材340の周辺のセラミック領域に微細亀裂(crack)が発生することがあった(例えば、図15の連結部材340の周辺の亀裂を参照)。
【0094】
しかも、前記基板加熱装置300の工程温度(例えば、650℃)露出が蓄積されながら前記微細亀裂(crack)が拡散し、前記基板加熱装置300の耐久性の劣化及び寿命の短縮を招くこともあった。
【0095】
これに対し、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340、発熱体コネクター(図示せず)又は高周波コネクター(図示せず)を、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成することによって、前記ボディー部110を構成する窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材質との熱膨張係数(CTE)差による熱応力を防止し、微細亀裂(crack)の発生を効果的に抑制することが可能になる。
【0096】
より具体的な例として、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300のボディー部110には、発熱部130と高周波電極部140がボディー部110のセラミック焼結体(図示せず)に内蔵されてよく、このとき、前記発熱体コネクター(図示せず)は、前記発熱部130と連結される位置に配置され、前記発熱部130に電源を伝達する。
【0097】
このとき、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記発熱体コネクター(図示せず)は、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることにより、前記ボディー部110を構成する窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材質との熱膨張係数(CTE)差による熱応力を防止し、微細亀裂(crack)の発生を抑制する。
【0098】
より具体的には、図16では、前記発熱体コネクター(図示せず)を構成する金属材質(モリブデン、モリブデン-タングステン合金)と前記セラミック材質(AlN)との熱膨張係数を比較して示している(図16(a)昇温CTE、図16(b)降温CTE)。
【0099】
また、図17では、前記セラミック材質の熱膨張係数を基準に、前記発熱体コネクター(図示せず)を構成する金属材質(モリブデン、モリブデン-タングステン合金)の熱膨張係数の差を数値化した表を示している。
【0100】
このとき、図16及び図17について説明すると、セラミック材質の熱膨張係数(H65)と比較して、モリブデン70%-タングステン30%合金(Mo0.7W0.3)の熱膨張係数が、前記セラミック材質の熱膨張係数に最も近接するということが確認でき、また、モリブデン50%-タングステン50%合金(Mo0.5W0.5)の熱膨張係数も、前記セラミック材質の熱膨張係数に近接した値を有するが、モリブデン30%-タングステン70%合金(Mo0.3W0.7)の熱膨張係数は却ってモリブデン100%(Mo)の場合に比べて前記セラミック材質の熱膨張係数との差が大きくなり得ると判断される。
【0101】
これと関連して、図18では、前記発熱体コネクター(図示せず)を構成する金属材質(モリブデン、モリブデン-タングステン合金、タングステン)の種類による微細亀裂(crack)の発生実験結果を例示している。
【0102】
まず、前記発熱体コネクターが円柱の形態である場合と、その終端に半球が追加された形態とに分け、それぞれの形態に対して、モリブデン(Mo)、モリブデン-タングステン合金(Mo0.3W0.7、Mo0.5W0.5、Mo0.7W0.3)、タングステン(W)材質で前記発熱体コネクターを構成した。これにより、図18では、焼結工程を経た後のセラミック焼結体における微細亀裂(crack)の発生有無を確認した結果を示している。
【0103】
図18に見られるように、前記発熱体コネクターがモリブデン(Mo)材質であるか、タングステン(W)材質である場合に、前記セラミック焼結体に多数の微細亀裂(crack)が発生していることが確認できる。
【0104】
また、前記発熱体コネクターがモリブデン30%-タングステン70%合金(Mo0.3W0.7)である場合にも、前記セラミック焼結体に微細亀裂(crack)が部分的に発生していることが確認できる。
【0105】
一方、前記発熱体コネクターがモリブデン70%-タングステン30%合金(Mo0.7W0.3)及びモリブデン50%-タングステン50%合金(Mo0.5W0.5)である場合には、前記セラミック焼結体に微細亀裂(crack)が発生していないことが分かる。
【0106】
したがって、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記発熱体コネクターは、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成されることが好ましく、さらには、前記モリブデン-タングステン合金中にモリブデンは40~80%、タングステンは20~60%の割合で構成されることにより、高温及び高圧の焼結工程を経ても前記ボディー部110のセラミック焼結体に微細亀裂(crack)が発生することを効果的に防止できることを確認した。
【0107】
なお、上では主に発熱体コネクターの場合を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、前述したように、高周波コネクター(図示せず)及び連結部材340だけでなく、従来では一般にモリブデンで構成された第1発熱体310、第2発熱体320、第3発熱体330又は高周波電極部140も、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成でき、さらには、前記モリブデン-タングステン合金中にモリブデンは40~80%、タングステンは20~60%の割合で構成することによって、高温及び高圧の焼結工程をた経ても前記ボディー部110のセラミック焼結体に微細亀裂(crack)が発生することを効果的に防止可能になる。
【0108】
なお、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記連結部材340、発熱体コネクター(図示せず)又は高周波コネクター(図示せず)が、モリブデン(Mo)とタングステン(W)が含まれるモリブデン-タングステン合金で構成される場合に、前記連結部材340、発熱体コネクター又は高周波コネクターは、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経ることが好ましい。
【0109】
すなわち、前記連結部材340、発熱体コネクター又は高周波コネクターがモリブデン-タングステン合金で構成される場合に、タングステンの脆性によって加工過程又は発熱体を開口に圧入(press-fitting)するために圧着する過程などにおいて前記モリブデン-タングステン合金に亀裂ができる問題が発生し得る。
【0110】
より具体的な例として、図19では、前記連結部材340がモリブデン-タングステン合金で構成される場合に、加工及び圧着過程で前記連結部材340に亀裂ができた場合を例示している。
【0111】
これに対し、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記連結部材340、発熱体コネクター又は高周波コネクターがモリブデン-タングステン合金で構成される場合に、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経ることにより、硬化されたモリブデン-タングステン合金の内部亀裂を除去し、結晶粒を微細化させて軟性を上げることが可能になる。
【0112】
このとき、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記焼鈍(annealing)工程は材質の再結晶温度を考慮して行うことが好ましく、特に、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において前記焼鈍(annealing)工程は、モリブデンの再結晶温度とタングステンの再結晶温度の範囲内で選択された温度でなされることが好ましい。
【0113】
より具体的には、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記焼鈍(annealing)工程は、モリブデン-タングステン合金に対してモリブデンの再結晶温度(900℃)とタングステンの再結晶温度(1000~1300℃)の範囲で行うことが好ましい。適正温度を超えると、結晶粒が成長して軟性よりも脆性が高くなりながら、加工及び圧着過程で前記モリブデン-タングステン合金に亀裂ができる危険が大きくなる。
【0114】
なお、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300において、前記焼鈍(annealing)工程には、前記モリブデンにシグマ相(sigma phase)が生成される温度区間で前記連結部材340、発熱体コネクター又は高周波コネクターを急速に冷却させる急速冷却工程が含まれてよい。
【0115】
すなわち、モリブデンは、冷却時に約700~900℃の温度区間でシグマ相(sigma phase)が生成され、前記モリブデン-タングステン合金の加工性及び軟性を悪化させることがあることから、前記温度区間を急速冷却させてシグマ相(sigma phase)の生成を抑制することが好ましい。
【0116】
より具体的な例として、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、前記焼鈍(annealing)工程において約1250℃で焼鈍(annealing)工程を行った後、900℃から急速冷却工程を行い始める方式で前記連結部材340、発熱体コネクター又は高周波コネクターに対する熱処理工程を行うことができる。
【0117】
より具体的には、図20では、様々な条件で行われた熱処理による連結部材340の亀裂発生実験結果を例示している。
【0118】
図20に見られるように、条件1(1020℃で2時間焼鈍工程後に800℃から気体窒素や液化窒素のような窒素類(N2)などを用いて急速冷却し始める。)では、連結部材340から亀裂が明確に確認されることが分かる。
【0119】
また、条件2(1200℃で2時間焼鈍工程後に800℃から液化窒素(N2)を用いて急速冷却し始める。)及び条件3(1200℃で2時間焼鈍工程後に900℃から液化窒素(N2)を用いて急速冷却し始める。)では、連結部材340に微細亀裂が発見され、亀裂の程度は弱くなったが、依然として亀裂ができたことが分かる。
【0120】
一方、条件4(1250℃で2時間焼鈍工程後に900℃から気体窒素や液化窒素のような窒素類(N2)などを用いて急速冷却し始める。)では、亀裂が全く発見されず、結果として、条件4では熱処理工程によってモリブデン-タングステン合金の軟性を改善し、加工性を確保できることが確認できた。
【0121】
これにより、本発明の一実施例に係る基板加熱装置300では、基板加熱装置300の製造過程のうち、高温高圧が印加される焼結工程などにおいて、連結部材340などの金属材質とボディー部110のセラミック材質との熱膨張係数差による熱応力及び印加される高圧による圧縮応力の発生を抑制し、ボディー部110のセラミック材質における微細亀裂(crack)の発生を防止し、さらには基板加熱装置300の耐久性の劣化及び寿命の短縮を効果的に防止することが可能になる。
【0122】
なお、上では主に連結部材340の場合を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、前述したように、発熱体コネクター(図示せず)及び高周波コネクター(図示せず)だけでなく、第1発熱体310、第2発熱体320、第3発熱体330又は高周波電極部140も、モリブデンとタングステンが含まれるモリブデン-タングステン合金で構成し、焼鈍(annealing)工程を含む熱処理工程を経るようにすることができ、また、前記焼鈍(annealing)工程は、モリブデンの再結晶温度とタングステンの再結晶温度の範囲内で選択された温度でなされ、且つ、前記熱処理工程には、前記モリブデンにシグマ相(sigma phase)が生成される温度区間で急速に冷却させる急速冷却工程が含まれるようにすることにより、前記モリブデン-タングステン合金の軟性を改善し、加工性を確保することが可能になる。
【0123】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に記載された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例に限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内における技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0124】
31 チャンバー
32 プラズマ電極
33 シャワーヘッド
100a 支持部
100b 電源供給部
100c 接地部
110 ボディー部
120 基板安着部
130 発熱部
140 高周波電極部
300 基板加熱装置
310 第1発熱体
320 第2発熱体
330 第3発熱体
340 連結部材
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20