(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】駐車場情報システム
(51)【国際特許分類】
A62C 3/07 20060101AFI20240221BHJP
G08B 25/01 20060101ALI20240221BHJP
G08B 17/103 20060101ALI20240221BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A62C3/07 A
G08B25/01 C
G08B17/103 Z
G08B25/04 C
(21)【出願番号】P 2022524191
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2020079162
(87)【国際公開番号】W WO2021078638
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】102019128865.7
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508056394
【氏名又は名称】フォグテック ブランドシューツ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】FOGTEC Brandschutz GmbH
【住所又は居所原語表記】Schanzenstr. 19A 51063 Koln Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ディルク カー. シュプラーケル
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03355249(EP,A1)
【文献】特開2016-103926(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02503529(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/07
G08B 25/04
G08B 25/01
G08B 17/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 火災警報制御センター(22)と、
- 駐車場の車両から車両データを検出するように配置された、少なくとも1つのセンサー(10、12)と、
- 前記検出された車両データを受信し、前記検出された車両データとの関係で前記車両の駆動方式を判定するように構成され、前記判定された駆動方式
についての情報を出力するように構成された、評価デバイス(16)と
を備え
、
前記評価デバイス(16)から出力された
前記判定された駆動方式
についての情報は前記火災警報制御センター(22)に提供され、前記火災警報制御センター(22)は前記提供された前記判定された駆動方式についての情報を処理す
る、駐車場情報システム。
【請求項2】
前記評価デバイス(16)は、前記検出された車両データとの関係で判定された、前記駐車場に現時点で存在する少なくとも1つの車両の前記駆動方式
についての情報を出力することを特徴とする、請求項1に記載の駐車場情報システム。
【請求項3】
前記評価デバイス(16)は、それぞれの駐車場に対応付けられた、前記検出された車両データおよ
び前記判定された駆動方式
についての情報を出力することを特徴とする、請求項1または2に記載の駐車場情報システム。
【請求項4】
前記駐車場は、空間的に画定された駐車区画を少なくとも2つ有することを特徴とする、請求項1または2に記載の駐車場情報システム。
【請求項5】
前記火災警報制御センター(22)は、火災警報信号が出力された際に、前記判定された駆動方式
についての情報を出力することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の駐車場情報システム。
【請求項6】
前記火災警報制御センター(22)は、それぞれの駐車場に対応付けられた前記判定された駆動方式
についての情報を出力することを特徴とする、請求
項5に記載の駐車場情報システム。
【請求項7】
前記駐車場情報システムは、駐車場の車両から車両データを検出するように配置された少なくとも2つの前記センサー(10、12)を備え、前記駐車場の入口に少なくとも1つの
前記センサー(10、12)が配置され、出口に少なくとも1つの
前記センサー(10、12)が配置されることと、前記評価デバイス(16)は、前記入口および前記出口において前記検出された車両データとの関係で、前記駐車場に滞在する前記車両の全ての判定された駆動方式
についての情報を出力することとを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の駐車場情報システム。
【請求項8】
少なくとも1つの
前記センサー(10、12)が、駐車区画に直接的に配置さ
れることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の駐車場情報システム。
【請求項9】
前記駐車区画の床に少なくとも1つの
前記センサー(10、12)が
組み込まれ、
前記駐車区画の床に組み込まれたセンサーは、温度センサーであり、前記温度センサーは光ファイバー線であるこ
とを特徴とする、請求項
8に記載の駐車場情報システム。
【請求項10】
- 前記評価デバイス(16)は、
前記温度センサーによって検出された前記駐車区画における少なくとも1つの温度プロファイルを評
価し、
- 前記評価デバイス(16)は、前記検出された温度プロファイルを格納済み温度プロファイルと比較し、前記比較に応じて、駐車区画に駐車された車両の駆動方式を判定すること
を特徴とする、請求
項9に記載の駐車場情報システム。
【請求項11】
火災警報信号を出力するために、前記評価デバイス(16)は、時間的に第1の温度プロファイルを評価し、前記評価に基づいて駆動方式を判定し、続いて、前記判定された駆動方式との関係で、時間的に第2の温度プロファイルを評価することを特徴とする、請求
項10に記載の駐車場情報システム。
【請求項12】
少なくとも1つの
前記センサー(10、12)が画像センサ
ーまたは近接場センサーであることを特徴とする、請求項1~
8の何れか一項に記載の駐車場情報システム。
【請求項13】
前記評価デバイス(16)は、互いに異なる駐車区画にある車両の前記判定された駆動方式
の互いの位置関係を判定することと、前記火災警報制御センター(22)は、2つの駆動方式の前記
位置関係に応じて、互いに異なる制御信号を出力することを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の駐車場情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、特に消火の分野における、駐車場情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場管理システムのための消火システムが、よく知られており、法律によって義務付けられていることが多い。具体的には、屋内駐車場または地下駐車場は、その構造的な密度および互いの車両の近接性ならびにそれに関連して火災荷重が大きいことにより、甚大な火災リスクにさらされている。これまで、駐車領域での火災は常に、車両駆動装置の化石燃料の燃焼を伴うことを予期することができた。そのことは、燃えている材料が何であるかを消防隊が常に知っており、それに合わせて消火活動を開始できていた限りは、「好都合」であった。
【0003】
エネルギーの移行によって起こる様々な駆動方式の多様化によって、屋内駐車場または地下駐車区画における火災の場合に、火災の原因および火災荷重が消火活動の前にもはや明らかではない。いわゆる新たなエネルギーキャリア(NEC:new energy carrier)とは、燃焼機関の代わりの駆動システムを有する車両である。それには、ガス車から、ハイブリッド電気自動車およびプラグインハイブリッド電気自動車や、純電気自動車、さらに(場合によっては水素を用いる)燃料電池によって動力供給される車両まである。特に、ハイブリッド駆動装置(ハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicle))、プラグインハイブリッド駆動装置(プラグイン電気自動車(PEV:plug in electric vehicle))、および純バッテリー駆動装置(バッテリー式電気自動車(BEV:battery electric vehicle))を有するバッテリーベースの車両は常に、エネルギー貯蔵のためのバッテリーを含む。自動車に利用するためのこれまでに知られているバッテリーはリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は甚大な火災リスクをもたらし、火災の際に消火が難しく、適切な手段が必要になる。このような新たな車両は、消火活動に関して、これまで知られていなかった課題をもたらす。例えば、ガス駆動式または水素駆動式の車両の場合、火災荷重によって生成される熱は、屋内駐車場の天井の下に集まるかまたは他の方向に逃げる恐れがある。したがって、このような火災も制御が難しい。近づこうとすると、爆発の危険がある場合がある。いずれの場合も、消防隊にとって全く異なる消防戦略、および、必要な場合は固定式消火システム(FFFS:fixed fire‐fighting system)が、「従来」の駆動装置の場合よりも必要とされる場合がある。
【0004】
したがって、本主題は、火災の前に火災荷重が分かっている駐車場情報システムを提供するという目的に基づいた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的は、請求項1に記載の駐車場情報システムによって解決される。
【0006】
駐車場は通常、管理されている。管理のために、駐車場に入る車両および駐車場を離れる車両を検出する必要がある。車両は通常、バリアーを有するかもしくは別法で制限された入口または入場口を通って駐車場に入り、対応する出口を介して駐車場を離れる。車両の特徴は、入る間および出る間に、対応するセンサーによって検出できる。
【0007】
例えば、センサーは、カメラまたは無線受信機でよい。カメラを用いると、例えば、車両のナンバープレートを自動的に検出し読み取ることができる。また、センサーは、乗用車の形状および適用可能な場合は車種の表示によって、乗用車の車種を認識する画像認識システムを有することができる。それが常に明白でなくても、少なくとも、車種を無関係なものとして除外することもできる。例えば、無線受信機を用いると、車両識別番号(VIN:vehicle identification number)など、車両から出される車両データを受信することが可能である。センサーによって車両内のパッシブトランスポンダーを作動させ読み取ることも可能である。その場合、センサーは、例えば、車両識別番号を読み出すこともできる。それに応じて、車両の他の属性または特徴をセンサーによって検出することができる。したがって、センサーは、駐車場の車両から車両データを取得するように配置される。
【0008】
入口および/または出口で車両データを取得することに加えて、代替としてまたは重複して車両データを駐車区画で直接的に取得することも可能である。これまで、駐車区画における車両の存在を報告するために、駐車区画には存在センサーが配置されてきた。これら存在センサーは、例えば、車両データを記録するための適切なセンサーによって補助することができた。このようなセンサーは、例えば、上記で説明した、入る間および出る間に使用されるようなセンサーとすることができる。
【0009】
駐車区画に配置されるセンサーには、駐車場内のセンサー数が著しく大きくなり、具体的には、駐車区画の数に相当するという欠点があるが、一方で、それらのセンサーによって、検出された車種を特定の駐車区画にまたは少なくとも駐車場内の特定の領域に対応付けできることが可能になる。
【0010】
それぞれのセンサーが、上述のように、それぞれの複数の駐車区画に対応付けられることも可能である。例えば、それぞれの駐車デッキ内の全ての車両を検出するために各駐車デッキに1つのセンサーが配置されてよい。1列の駐車区画に沿って1つのセンサーを配置することもできる、または他の空間的に決められた何らかの領域にそれぞれ1つのセンサーを配置して、その領域に配置された全ての車両の車両データを検出することもできる。このような場合は、駐車区画への車両データの対応付けは、もはや空間的に完全に精密とはいえないが、ある程度の空間的なぶれは許容でき、依然として、望まれる結果を導く。
【0011】
車両データが取得された後に、それらデータは評価デバイスによって受信することができる。評価デバイスを用いて、車両データから車両の駆動方式についての情報を判定することが可能である。例えば、対応する車種、具体的には、対応する駆動方式についての情報は、車両ごとにデータベースに格納することができる。
【0012】
最も広い意味では、駆動方式は、パワートレインと、駆動エネルギーを貯蔵するために用いられる貯蔵技術との両方を指すことがある。パワートレインは燃焼機関または電気モーターに基づくことができる。貯蔵技術は、液体燃料タンク、ガスタンク、またはバッテリーを含むことができる。バッテリーは、Li-ionバッテリー、鉛蓄電池、リチウムポリマーバッテリーなど、様々な技術を含むことができる。話を簡単にするために、以下では駆動方式にだけ言及する。
【0013】
駆動方式が判定された後に、その駆動方式についての情報を出力し、さらに処理することができる。具体的には、駆動方式についての情報が火災警報制御センターでさらに処理され、火災または消防隊による他の活動の際に、好ましくは、位置解像して、具体的には、それぞれ個々の駐車区画に対応付けて、駐車場内の車両の駆動方式についての情報を出力することができる。このことは、異なる火災荷重に対処しなければならない消防隊の仕事を容易にする。さらに、駆動方式に関する情報は、「単純なコンピュータ」または処理システム、例えば、建築物制御システムに送信できる。次に、それらが、火災警報制御パネル、消防隊、管理人、警備員などに信号を送信することもできる。火災警報制御パネルという用語は、以下の文で全ての異なる評価ユニットの同義語として用いられる。
【0014】
1つのセンサーが駐車場の入口に、1つが出口にそれぞれ配置される場合、評価ユニットによって、現時点で駐車場にある少なくとも1つの車両の駆動方式を判定することが可能である。このような駆動方式についての情報を出力することができる。好ましくは、評価デバイスは、常に、駐車場に存在する全ての車両の駆動方式についての情報のリストを維持し、必要に応じてそれを出力する。車両が入るとその車両がリストに加えられ、車両が離れると、対応する車両がリストから削除される。駐車区画への対応付けは、駐車場全体にまたは空間的に限定された領域、例えば、駐車場の駐車デッキに対して行うことができる。
【0015】
一実施形態によれば、評価デバイスが、駐車区画にそれぞれ対応付けられた、検出された車両データおよび/または検出された駆動方式についての情報を出力することが提案される。
【0016】
既に説明したように、駐車場は、専用の駐車区画に分割されていてよい。したがって、駐車場が、空間的に画定された駐車区画を少なくとも2つ有することが提案される。それら駐車区画のそれぞれに専用のセンサーを対応付けることができる。さらに、いくつかの駐車区画を組み合わせてそれぞれの群にすることと、駐車区画の群のそれぞれにそれぞれのセンサーが対応付けられることとが可能である。駐車区画の群は例えば駐車デッキとすることができる。これは、駐車区画に特有(位置に特有)に、またはそれぞれの群の駐車区画に関係してあいまいな状態で、それら駐車区画に駐車された車両の駆動方式を判定し、必要な場合はそれらの駆動方式についての情報を出力することを可能にする。
【0017】
信号(例えば、火災警報信号または事前警報)が出力されるとすぐに、その信号と一緒に、判定された駆動方式についての情報を出力することができる。判定された駆動方式についての情報は、冒頭で既に説明したように、火災警報制御パネルにとって利用可能にすることができる。信号が出力されるとすぐに、それは駆動方式についての情報で強化でき、そのことは、消防隊によるその後の消火をはるかに簡単にする。
【0018】
先に説明したように、駆動方式についての情報の出力は、駐車区画に特有のものとすることもできる。したがって、信号の際に、火災警報制御センターが、判定された駆動方式についての情報を出力し、具体的には、それぞれの駐車区画に対応付けられた、判定された駆動方式についての情報を出力することが提案される。それゆえ、消火活動時に、それぞれの駆動方式に、したがって、それぞれの駐車区画で予期される車両の格納技術にも、注意を払うことができ、対応する消火戦略を適合させることができる。
【0019】
煙感知器または他の火災感知器も使用できる。車両は火災センサーを有してもよい。火災が検出されると、車両は対応する信号を無線で出力してよい。車両は、位置データを収集し、それと共に出力してよい。位置データは、車両のGPSまたは既知の内部位置検出によって取得されてよい。
【0020】
一実施形態によれば、駐車場の入口に少なくとも1つのセンサーが配置され、出口に少なくとも1つのセンサーが配置される。そのことは、駐車場に入る車両およびそこを離れる車両ならびにその車両データを、センサーを介して判定することと、駐車場に位置する車両をその駆動方式についての情報と一緒に格納することとを可能にする。評価デバイスは、検出および判定された駆動方式についての情報を、例えば、火災警報制御センターによって、連続して、間隔をあけて、または要求に応じて出力することができる。具体的には、評価デバイスは、入口および出口で検出された車両データに応じて、駐車場に存在する車両の全ての判定された駆動方式についての情報を出力することができる。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1つの温度センサーが駐車区画に直接的に、具体的には、駐車区画の床に配置されることが提案される。
【0022】
駆動方式に応じて、車両の温度勾配が異なる場合がある。車両を入庫して駐車するとき、すなわち、走行後の冷却プロセス中にも、および火災が起きるとき、すなわち、火災につながる初期の温度上昇プロセス中にも、温度勾配は駆動方式に強く依存する。
【0023】
さらに、いわゆるホットスポットの位置、すなわち、車両が特に温度上昇する領域も、異なる駆動方式を有する車両のアンダーボディの領域において有意に変わる。
【0024】
例えば、燃焼機関の場合、燃焼機関が車両のフロント領域に位置するため、駐車プロセスの最初は、温度上昇が車両のフロント領域で予期されることになる。温度は、通常、エンジン停止後にエンジンのラジエーターが動作しているか否かに応じて、線形または累減的に低下する。冷却後は、温度は低いままである。温度プロファイルのホットスポットは、通常、車両のエンジンブロックまたはタンクの領域にある。
【0025】
燃料電池を有するバッテリー駆動式車両の場合、電気モーターは燃焼機関ほど温度上昇しないため、駐車プロセスの最初は、車両のフロントの領域で低温が予期できる。温度は概して線形に低下する。冷却後は、温度は低いままである。しかし、火災の際に、特に、火災の発生前に、概してバッテリーが温度上昇することになる。この加熱プロセスは、数分にわたって起こり、具体的には、化石燃料の火災の場合よりもかなり長い。しかし、いわゆる「トリッピングポイント」に達すると、温度が急上昇して、火災またはバッテリーの爆発に至る。典型的にはバッテリーが車両の中央にあるので、温度プロファイルのホットスポットは、通常、車両の中央にある。
【0026】
水素駆動式車両の場合、電気モーターは燃焼機関ほど温度上昇しないため、駐車プロセスの最初は、車両のフロントの領域で低温が予期できる。温度は概して線形に低下する。冷却後は、温度は低いままである。火災の際は、水素がすぐに反応して爆発するため、温度上昇が、概して、燃焼機関を有する車両の場合よりもずっと速くなる。温度プロファイルのホットスポットは、通常、車両のタンクの領域にある。
【0027】
このような状況は、駐車区画の床に取り付けできる温度センサーを設けることによって利用される。好ましくは、各点においてだけではなく、具体的には線に沿ってかつ/または領域全体で、温度プロファイルを記録できる温度センサーによって、車両のアンダーボディの温度を駐車期間にわたって記録できる。
【0028】
言及した駆動方式は純粋に例示である。燃焼機関を有する水素車両と同様に、例えば、ガス駆動式の車両も存在し、それらも典型的な温度プロファイルを有する。
【0029】
温度プロファイルは、時間的なものと空間的なものとの両方とすることができる。時間的温度プロファイルは、時間に対する温度を表すことができる。空間的温度プロファイルは、例えば、温度センサーの少なくとも1つの延在軸(1次元)に沿って、具体的には、2つの軸(2次元)に沿って、温度を表すことができる。
【0030】
火災荷重の推定につながる情報を信号に追加するために、温度プロファイルに関するその情報および他の情報を評価ユニットに格納できる。信号は、例えば、それぞれの駐車区画の車両の駆動方式についての情報を含むことができる。
【0031】
温度センサーを駐車区画に排他的に対応付けることができる。その場合、評価ユニットは、温度プロファイルだけでなく、温度プロファイルの位置、具体的には、駐車区画も判定することができる。それゆえ、駐車区画そのものについての情報、すなわち、駐車区画についての空間的な情報または駐車区画の名称を、信号に追加することができる。
【0032】
一実施形態によれば、温度センサーが光ファイバー線であることが提案される。このような光ファイバー線を用いて、具体的には、駐車区画の底部で構造的にコンパクトに、温度感知を行うことができる。ファイバー線は、長手方向の広がりを有することができ、温度プロファイルは、ファイバー線に沿って局部的に解像して判定することができる。
【0033】
ファイバー線は、具体的には、光ファイバー線、具体的には、光ファイバー火災警報ケーブルである。このような光ファイバー火災警報ケーブルは既に知られており、長距離にわたる温度感知を実行可能にするために、例えばトンネルの天井領域で、使用されている。
【0034】
ただし、温度センサーは電気センサー、例えば、抵抗線に基づくセンサーとすることもできる。このようなセンサーは各セクションに分割でき、各セクションは空間的解像のために個別に評価できる。電気抵抗器に、例えば、NTC抵抗器に基づいた、温度センサーも考えられる。
【0035】
温度センサーがその上を通る車両によって損傷を受けることを防止するために、温度センサーが駐車区画の床に組み込まれることが提案される。駐車区画の建設中に、温度センサーは、最上層が敷設される前に、例えば埋め込むことができる。後から設置するためには、例えば、最上層にスリットが切り開かれ、温度センサーが挿入され、次いで、スリットが例えばアスファルトでシールされることが可能である。
【0036】
冒頭で既に説明したように、どの温度プロファイルがどの車種、具体的には、どの駆動方式にとっての特徴であるかを評価ユニットに格納することができる。それゆえ、評価ユニットには、1つの車種および/または1つの駆動方式ごとにそれぞれ、異なる特徴の温度プロファイルを格納できる。典型的な温度プロファイルのクラスターを駆動方式それぞれについて評価ユニットに格納できる。
【0037】
取り込まれた温度プロファイルは、格納済み温度プロファイルと比較される。具体的には、これは、取り込まれた温度プロファイルの、格納済み温度プロファイルとの相互相関によって行うことができ、それらプロファイルは両方とも時間的および空間的に解像されている。このような方法には、例えば、SSD法がある。取り込まれた温度プロファイルが格納済み温度プロファイルのうちのどれに最も似ているかを判定できる。また、例えば、クラスターに属する全ての温度プロファイルに対する、取り込まれた温度プロファイルの全ての差の合計を形成でき、全てのクラスターに関してその合計の絶対値または合計の正規化値が互いに比較される。最も小さい差の量を用いて、取得した温度プロファイルに関して最も可能性の高いクラスターを判定できる。その比較に応じて、評価ユニットは、駐車区画に駐車された車両の駆動方式を判定することができる。いずれの場合も、非常に高い温度を、それゆえ、火災を、常に検出することができる。車種についての知識が利用できないか、または温度プロファイルから識別できない場合でも。それゆえ、システムは、温度プロファイルの詳細を評価しなくても、ある位置に火災を対応付けることもできる。
【0038】
さらに、位置センサーが利用可能であり、システムが特定の位置の特定の車種を分かっている場合は、異常な温度プロファイルをそのようにより迅速に識別できる。それゆえ、システムは、電気自動車などの場合のE曲線を待つことになる。
【0039】
どの車両が互いに隣になるかが関係することが多い。それは、甚大な火災リスクをもたらす、NECの駆動方式の組合せにつながる恐れがある。2つの内燃機関が隣り合う場合、火災リスクは従来通りである。しかし、バッテリー車両の隣に燃料電池車がある場合、例えば、一方の車両の瑕疵が他方の車両に連鎖反応を起こす恐れがある。したがって、どの駆動方式が互いに隣接するかを知っていることが関係する場合がある。したがって、評価デバイスが、互いに異なる駐車区画にある車両の判定された駆動方式を空間的に対応付けることと、火災警報制御パネルが、2つの駆動方式の空間的な対応付けに応じて互いに異なる信号を出力することとが提案される。
【0040】
例えば、バッテリー駆動式車両の隣に内燃機関が駐車される場合、火災警報制御パネルが、対応する表示を提示する信号を出力することが可能である。例えば、燃焼機関を有する車両がそのときに燃焼している場合、その隣に駐車された車両のバッテリー貯蔵のリチウムの連鎖反応を引き起こす可能性があるので水による消火は表示できない。様々な駆動方式が急速に発展しつつあり、将来的には多くの種類のエネルギー源が使用されるため、異なる駆動方式およびそれらの火災荷重の互いに対する相互依存関係は、今のところ、最終的な説明はまだできない。それゆえ、例えば、水、泡、ガスなどの消火媒体の使用は駆動方式に依存することがある。
【0041】
以下で、図面を参照しながら本主題をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】駐車場の入口および出口の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、駐車場の入口2ならびに出口4を示す。入口2の領域ならびに出口4の領域に、任意選択で、バリアー6をそれぞれ設けることができる。車両8は、駐車場に入りたい場合、入口2でバリアー6を通らなければならない。車両8は、駐車場を離れたい場合、出口4でバリアー6を通らなければならない。入口2にも出口4にもセンサー10を設けることができる。
図1では、センサー10はカメラである。
【0044】
車両8が入口2でカメラ10を通過すると、カメラ10はナンバープレート8aを含む車両8の画像を捕捉する。ナンバープレート8aの捕捉は従来から知られている。
【0045】
車両8が出口4でセンサー10を通過するときにも同じことが起こる。やはり、ナンバープレート8aが読み出される。センサー10によって読み出されたナンバープレートは、以下で説明するように、車両データとして評価ユニットにとって利用可能にすることができる。
【0046】
無線ベースで車両データの取得を行うことも可能である。そのことは
図2に示す。ここでも車両8が入口2および出口4に示されている。入口2ならびに出口4の領域に、具体的には、バリアー6の領域に、無線センサー12、例えば、近接場センサー、RFIDセンサー、NFCセンサー、Bluetooth(登録商標)センサー、WLANセンサーなどを配置できる。例えば、トランスポンダー8bが車両内に設けられていてよい。Bluetoothトークンが設けられることも可能である。トランスポンダー8bまたはBluetoothトークンは、無線で読取り可能な情報キャリアである。情報キャリアは、例えば、車両識別番号を含むか、または車両8の駆動方式についての情報を直接含む。バリアー6が通過される場合は、トランスポンダー8bは無線センサー12によって読み取られ、車両データは評価デバイスにとって利用可能にされる。
【0047】
各駐車区画に1つのセンサー10、12が配置されることも可能である。そのことは
図3に示されている。異なる駐車区画14がそれぞれセンサー10、12を備えることができる。駐車区画14で車両8の車両データの読取りは、上記の説明に従って実行される。センサー10および/またはセンサー12を設けることができる。その情報を用いて、駐車区画14の車両8についての情報は、駐車区画14ごとに判定でき、評価デバイスにとって利用可能にされる。
【0048】
図4は、駐車区画14のセンサー10、12の、評価デバイス16との接続を示す。
図1および
図2によるセンサー10、12に対して、対応する接続を行うこともできる。有線または無線の接続を介して、センサー10、12によって読み出された車両データは、評価デバイスにとって利用可能にされる。その車両データを用いて、評価デバイス16は、例えばワイドエリアネットワーク18を介して外部データベース20に照会し、それゆえ、車両データに基づいて、対応する車両8の駆動方式を判定する。センサー10、12を用いて直接的に駆動方式が読み出される場合、このステップは省略できる。
【0049】
それゆえ、評価デバイス16には、どの駆動方式を有するどの車両8が現時点で駐車場に駐車されているかが任意選択で格納されている。リスト22が、駆動方式を含む全ての車両8についての一般情報または駐車区画14ごとの特定の情報を格納することができる。
【0050】
火災または他の警報の際に、特に、火災警報信号または事前警報の際に、評価デバイス16は、駆動方式に関する情報を火災警報制御センター22に提供することができる。
【0051】
図5に示すように、対応するリスト22が評価デバイス16に維持されてよい。車両2が入口を通って駐車場に入るかまたは駐車区画14で駐車するときに、車両8または車両データがセンサー10によって検出されるたびに、駆動方式に関する情報22aがリスト22に加えられる。情報22aは、さらに、駐車区画14についての情報があればそれを含んでよい。
【0052】
車両8が駐車区画14を離れるかまたは出口4を介して駐車場を出るたびに、その車両の対応する情報22aがリスト22から消去される。それゆえ、リスト22は常に、駐車場にある車両8の駆動方式全ての情報を含む。その情報を用いると、火災の際に消防隊が適切な消火活動戦略を選択することができる。その情報を用いて、燃焼の場所および物についての情報を消火活動システムに提供することもでき、そうすることで、システムは正しい位置で作動される。それに応じて消火剤を選択することもできる。