(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】モールディング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
H01L21/56 T
(21)【出願番号】P 2022548715
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021051190
(87)【国際公開番号】W WO2021160391
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】102020201665.8
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン フライシュマン
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537821(JP,A)
【文献】特表2014-506395(JP,A)
【文献】特開2004-363409(JP,A)
【文献】特開平11-087433(JP,A)
【文献】特表2017-530038(JP,A)
【文献】特開2019-001122(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02490250(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形モジュールを形成するためのモールディング装置(1,30)であって、
前記モールディング装置(1,30)は、少なくとも2つの工具部分(2,3,32,33
)を有しており、前記工具部分(2,3,32,33)は、一緒に1つの中空室(6,7)を取り囲んでおり、該中空室内で、電子的な構成素子(12,13,14)を上に配置された回路担体(15)を取り囲むように成形用コンパウンドを成形することができ、
一方の工具部分(2,32)は、分離ウェブ(4,34)を有しており、該分離ウェブ(4,34)は、前記回路担体(15)上に載着され、かつ前記回路担体(15)と前記工具部分(2)との間の前記中空室(6,7,36,37)を少なくとも2つの、または2つだけの部分室(6,7,36,37)、すなわち少なくとも1つの低圧部分室(6,36)と、少なくとも1つの高圧部分室(7,37)とに分割するように配置されかつ構成されており、前記モールディング装置(1,30)は、前記少なくとも1つの高圧部分室(7,37)に成形用コンパウンド(58)を充填し、かつ前記少なくとも1つの低圧部分室(6,36)に、前記高圧部分室(7,37)よりも低い充填圧(60)で成形用コンパウンド(58)を充填するように構成されており、前記モールディング装置(1)は、前記低圧部分室(6,36)のための注入口(9,38)と、前記高圧部分室(7,37)のための注入口(10,39)とを有しており、前記モールディング装置(1,30)は、前記低圧部分室(6,36)のための前記注入口(9,38)の領域において、遮断弁(8,41)を有していて、かつ該遮断弁(8,41)を所定の成形圧(60)に応じ
て閉鎖し、これにより前記低圧部分室(6,36)は、前記所定の成形圧(60)よりも大きな成形圧(59)のために閉鎖されているように、構成されていることを特徴とする、モールディング装置(1,30)。
【請求項2】
前記モールディング装置(1)は、前記部分室(6,7,36,37)に成形用コンパウンド(58)を同時に充填するように構成されている、請求項1記載のモールディング装置(1)。
【請求項3】
前記モールディング装置(1,30)は、前記高圧部分室(7,37)に20~200バールの充填圧(59)で成形用コンパウンド(58)を充填し、前記低圧部分室(6,36)に20バール以下の充填圧(60)で成形用コンパウンド(58)を充填するように構成されている、請求項1または2記載のモールディング装置(1)。
【請求項4】
前記分離ウェブ(4)は、1つの軸線(20)に沿って移動可能に支持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のモールディング装置(1,30)。
【請求項5】
前記遮断弁(8,41)は、前記低圧部分室(6,36)への前記注入口(9,38)または注入通路(11,40)を、前記遮断弁(8,41)に作用する成形圧(60)に応じて閉鎖するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のモールディング装置(1,30)。
【請求項6】
前記遮断弁(8)は、旋回可能かつばね弾性的に支持されたドアにより形成されており、該ドアは、前記低圧部分室の前記注入口の領域に配置され、かつ前記ドアに作用する前記成形圧(60)に応じ
て前記注入口(9)を閉鎖するように構成されている、請求項5記載のモールディング装置。
【請求項7】
前記遮断弁(41)は、前記注入通路(11,40)に対して横方向に配置された遮断隔壁(41)により形成されており、前記モールディング装置(1,30)は、前記遮断隔壁(41)を前記成形圧(60)に応じ
て前記注入通路(11,40)内で動かし、かつ該注入通路(11,40)を閉鎖するように構成されている、請求項5記載のモールディング装置(1,30)。
【請求項8】
前記モールディング装置(1,30)は、電動駆動装置(51)を有しており、該電動駆動装置(51)は、前記遮断隔壁(41)に作用接続されていて、かつ前記遮断隔壁(41)を受信した遮断信号に応じて動か
すように構成されている、請求項7記載のモールディング装置(1,30)。
【請求項9】
前記モールディング装置(1,30)は、連結装置(42)を有しており、該連結装置(42)は、前記モールディング装置(1,30)の、前記成形圧(59,60)を形成するプランジャ(31)と、前記遮断隔壁(41)とに作用接続されていて、かつ前記プランジャ(31)の動きを前記遮断隔壁(41)に伝達し、これにより該遮断隔壁(41)を閉鎖するように構成されている、請求項7記載のモールディング装置(1,30)。
【請求項10】
成形モジュールを形成する方法であって、
成形工具(2,3,32,33)内で互いに異なる部分室(6,7,36,37)に成形用コンパウンド(58)を充填し、低圧部分室(6,36)に、該低圧部分室に隣接する高圧部分室よりも低い成形圧(60)で成形用コンパウンド(58)を充填し、
前記部分室(6,7,36,37)に同時に成形用コンパウンド(58)を充填し、成形圧(59,60)を両部分室(6,7,36,37)に作用させ、所定の成形圧(60)に応じて前記低圧部分室(6,36)を注入口(9,38)の領域で閉鎖し、これにより前記成形圧(59)を引き続き前記高圧部分室(7,37)にのみ作用させることができることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、成形モジュール(Mold-Moduls)を形成するためのモールディング装置に関する。
【0002】
発明の開示
モールディング装置は、少なくとも2つの工具部分、特に工具半部を有している。これらの工具部分は、一緒に1つの中空室を取り囲んでおり、この中空室内で、電子的な構成素子を上に配置された回路担体を取り囲むように成形用コンパウンドを成形することができる。
【0003】
複数の工具部分のうちの1つの工具部分が、分離ウェブを有しており、この分離ウェブは、回路担体上に載着され、かつ回路担体と工具部分との間の中空室を少なくとも2つの、または2つだけの部分室、すなわち少なくとも1つの低圧部分室と少なくとも1つの高圧部分室とに分割するように配置されかつ形成されている。さらに、好適には、モールディング装置は、少なくとも1つの高圧部分室に成形用コンパウンドを充填し、少なくとも1つの低圧部分室に、高圧部分室よりも低い充填圧で成形用コンパウンドを充填するように構成されている。好適には、モールディング装置は、低圧部分室のための注入口と、高圧部分室のための注入口とを有している。モールディング装置は、好適には、低圧部分室のための注入口の領域において、遮断弁を有しており、この遮断弁を、成形用コンパウンドのための所定の成形圧、特に注入圧に応じて閉鎖するように構成されている。したがって、低圧部分室は、有利には所定の成形圧よりも大きな成形圧のために閉鎖されていてもよい。有利には、低圧部分室を、中空室内の成形用コンパウンドに圧力を加えるように構成されている圧力装置から分離することができる。したがって圧力は、分離後に高圧部分室のみに作用する。モールディング装置は、好適には、低圧部分室の閉鎖または圧力システムからの分離後に、高圧部分室のための成形圧を、特に200バールにまでさらに上昇させるように構成されている。したがって有利には、低圧部分室で成形用コンパウンドにより取り囲まれる電子的な圧力敏感な構成素子、たとえば電解コンデンサ、水晶振動子またはセンサは、成形時の高い圧力により破壊されない。
【0004】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置は、両部分室に成形用コンパウンドを同時に充填するように構成されている。したがって有利には、成形プロセスは、単一の工具、さらに好適にはプランジャとも呼ばれる単一の圧力シリンダにより少ない手間で充填することができる。
【0005】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置は、高圧部分室に、50~200バール、好適には80~150バール、特に好適には100バールの充填圧で成形用コンパウンドを充填するように構成されている。モールディング装置は、好適には、低圧部分室に20バール以下の充填圧で成形用コンパウンドを充填するように構成されている。このためには、モールディング装置は有利には、充填圧が20バールに達するまで、両部分室のための充填圧を圧力ピストンによって徐々に上昇させるように構成されていてもよい。
【0006】
さらにモールディング装置は、好適には、充填圧に応じて、特に20バールの充填圧への到達時に低圧部分室を圧力シリンダから切り離し、このために低圧部分室、特に注入口を閉鎖するように構成されている。このためには、モールディング装置は、好適には弁を有している。モールディング装置は好適には、低圧部分室の閉鎖後に、高圧部分室のためのプロセス圧力をさらに所定の圧力値、特に50~200バール、好適には80~150バール、さらに好適には100バールにまで上昇させ、この圧力値に維持するように構成されている。
【0007】
好適な1つの実施形態では、分離ウェブが、1つの運動軸線に沿って移動可能に支持されている。さらに好適には、分離ウェブがばね弾性的に支持されている。このためには、分離ウェブが、好適には、ばねによって工具部分に対して支持されていてもよい。有利には、モールディング装置は、互いに異なる厚み延在長さを備えた回路担体を取り囲むように成形コンパウンドの成形を行うことができる。これにより、モールディング装置、特に工具部分が互いに閉じられると、分離ウェブは、回路担体上への載着時にばね弾性的に撓むことができる。
【0008】
好適な1つの実施形態では、遮断弁が、注入通路または注入口または低圧部分室への注入通路を、この遮断弁に作用する成形圧に応じて閉鎖するように構成されている。有利には、遮断弁は、特に遮断弁を動かす別の電気的な構成部材なしに、弁自体に圧力を加えることによって機械的に閉鎖され得る。
【0009】
好適な1つの実施形態では、遮断弁は、旋回可能かつ好適にはばね弾性的に支持されたドアによって形成されている。このドアは、低圧部分室の注入口の領域に配置され、かつドアに作用する成形圧に応じて、特に所定の成形圧を上回った場合に注入口を閉鎖するように構成されている。有利には、遮断弁は、手間をかけずかつ機械的に単純に旋回可能なドアまたはフラップによって提供されていてもよい。
【0010】
好適な1つの実施形態では、遮断弁は、注入口または注入管路に対して直交する横方向に配置された遮断隔壁によって形成されている。モールディング装置は好適には、遮断隔壁を成形圧に応じて、特に所定の成形圧を上回った場合に、注入通路内または注入口の前に動かし、注入通路もしくは注入口を閉鎖するように構成されている。このためには、モールディング装置は好適には、圧力センサを有している。圧力センサは、プランジャの領域または低圧部分室の領域における成形圧を検出し、遮断隔壁を閉鎖するための制御信号を生成するように構成されている。モールディング装置は、制御信号に応じて、遮断隔壁を動かし、注入口を閉鎖するように構成されている。
【0011】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置が、電動駆動装置を有しており、該電動駆動装置が、遮断隔壁に作用接続されていて、遮断隔壁を受信した遮断信号に応じて動かし、特に閉鎖するように構成されている。有利には、遮断隔壁を注入口の前に確実に動かすことができる。
【0012】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置は、連結装置を有している。連結装置は、モールディング装置の、成形圧を形成するプランジャと、遮断隔壁とに作用接続されている。連結装置は、プランジャの動きを遮断隔壁に伝達し、これにより遮断隔壁を閉鎖するように構成されている。有利には、遮断隔壁を、機械的に制御してプランジャまたはプランジャ運動により機械的に閉鎖することができる。
【0013】
本発明は、成形モジュールを製造する方法にも関する。この方法では、成形工具内で互いに異なる部分室に成形用コンパウンドを充填する。この方法ではさらに、低圧部分室に、この低圧部分室に隣接している高圧部分室よりも低い成形圧で成形用コンパウンドを充填する。部分室は好適には、特にばね弾性的かつ可動に支持された分離壁により互いに分離されている。部分室には好適には同時に成形用コンパウンドを充填し、その際に、成形圧が両部分室に作用し、所定の成形圧に応じて、低圧部分室を注入口の領域において閉鎖し、これにより成形圧を引き続き高圧部分室にのみ作用させることができる。
【0014】
好適な1つの実施形態では、成形用コンパウンドの充填前に、成形工具によって取り囲まれた中空室内への分離壁の動き、特に旋回運動または並進運動によって部分室を形成する。
【0015】
モールディング装置は、トランスファ成形またはDIM(Direct-Injection-Molding)のために構成されていてもよい。成形方法は、トランスファ成形またはDIM(Direct Injection Molding)により実施することができる。
【0016】
本発明を以下に図面および別の実施例につき説明する。別の有利な実施バリエーションは、図面および従属請求項に記載された特徴の組合せから生じる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】成形工具により取り囲まれた部分室を遮断弁により圧力に応じて閉鎖することができるモールディング装置のための1つの実施例を示す図である。
【
図2】2つの部分室による成形時の圧力経過の実施例を示す図であり、両部分室のうち低圧部分室は、圧力に応じて所定の成形圧を上回った場合に閉鎖される。
【
図3】成形工具により取り囲まれた部分室を遮断弁により圧力に応じて閉鎖することができるモールディング装置の1つの実施例を示す図であり、遮断弁を、圧力に応じて電気的に制御して閉鎖することができる。
【0018】
図1は、モールディング装置1のための実施例を概略的に示している。この実施例では、モールディング装置1は、工具部分2と別の工具部分3とを含んでおり、これらの工具部分はそれぞれ、たとえば工具半部として形成されている。工具部分2,3は、一緒に1つの中空室を取り囲んでおり、この中空室内に、回路担体15を挿入することができる。本実施例では、回路担体15は表面領域18を含んでおり、この表面領域18上に、低圧構成素子、特に電解コンデンサ12および水晶振動子13が配置されており、回路担体15にはんだ結合されている。回路担体15は、別の表面領域19も含んでおり、この別の表面領域19上には、電子構成素子、特に集積回路14、または別の付加的な、圧力鈍感な構成素子、たとえばフィルムコンデンサ、抵抗器、ダイオードまたは別のあまり圧力敏感ではない構成素子が配置されている。
【0019】
本実施例では、工具部分2は、移動軸線20に沿って可動に配置された分離壁4を含んでいる。上記で分離ウェブとも呼ばれていた分離壁4は、ばね5によって移動軸線20に沿ってばね弾性的に支持されている。したがって分離壁4は、工具部分2が閉じられた場合に回路担体15上にばね弾性的に載着することができ、これにより工具部分2,3により取り囲まれた中空室を、2つの部分室、すなわち低圧部分室6と高圧部分室7とに分割することができる。したがって、低圧構成素子、特に電解コンデンサ12および水晶振動子13が低圧部分室6に配置されており、高圧構成素子、特に集積回路14が、高圧部分室7内に配置されている。したがって、分離壁4は、低圧構成素子のための表面領域18と高圧構成素子のための表面領域19との間に延びる表面領域21上に載着する。
【0020】
本実施例では、モールディング装置1、特に分離壁4を有している工具部分2は、旋回フラップ8を含んでいる。旋回フラップ8は、旋回軸線を中心として旋回可能に支持されており、ばね16に対して支持されている。旋回フラップ8は、少なくとも部分的に工具部分2の中空室17内に配置されており、中空室2内に入るように旋回し、その際に1つのフラップ区分によって、ランナーとも呼ばれる注入通路11を閉鎖し、したがって、工具部分2と工具部分3との間に延びる注入口9を低圧部品室6から切り離すように構成されている。
【0021】
旋回フラップ8は、旋回させられた位置8’で図示されている。ばね16は、緊締された位置16’で図示されている。旋回フラップ8は、注入口9に作用する、たとえばプランジャによって形成された成形圧に応じて、ばね弾性的に中空室17内に入るように旋回させられ、その際に注入通路11を閉鎖するように構成されている。したがって、成形圧は、旋回フラップ8によって低圧中空室6が閉鎖された後に、もはや成形圧、特にさらに上昇する成形圧にさらされていないようにすることができる。旋回フラップは、たとえば、20バールを上回る成形圧60で注入通路11を閉鎖するように構成されている。
【0022】
注入口9および注入口10の両方は、たとえば、
図1には示されていない、ランナーとも呼ばれる成形用コンパウンド接続管路により成形用コンパウンドプレスに接続されている。成形用コンパウンドプレスは、既に述べたプランジャを有しており、このプランジャは、成形用コンパウンド58、特に成形用タブレットを軟化または溶融させられた形態でランナーを通して押圧し、軟らかい成形用コンパウンド58を、注入口9,10を通して中空室6もしくは7内へ押圧するように構成されている。旋回位置16’における旋回フラップ16による中空室6の閉鎖後に、高圧部分室7に、20バールを超える、100バールまでのさらに増大する成形圧59を加えることができる。したがって、回路担体15の表面領域19に配置された高圧構成素子は、モールディング装置1を用いて形成された成形モジュールの排出後に、高圧部分室7内に形成された成形隆起部内に埋め込まれており、低圧構成素子、特に電解コンデンサ12および水晶振動子13は、このように形成された成形モジュールの、低圧部分室6に形成された成形隆起部内に埋め込まれていてもよい。このように形成された成形隆起部間には、分離壁4により形成された溝が延びており、この溝は、成形モジュールの形成時に分離壁4が載着される回路担体5に至るまで延びている。
【0023】
モールディング装置1は、トランスファ成形またはDIM(DIM=Direct Injection Molding)のために構成されていてもよい。
図2は、横軸22および縦軸23を有する表のための実施例である。本実施例では、横軸22は時間軸を表し、縦軸23は、
図1に図示した成形工具1による成形時に部分室6,7に作用する成形圧の圧力軸を表している。
【0024】
図2は、
図1に図示したモールディング装置1によって成形モジュールを形成するための成形圧の時間的な圧力経過を表す圧力曲線29も示している。時間間隔24の間、増大する成形圧によって成形モジュールを形成するための第1のステップにおいて、低圧部分室6には注入口9を通じて成形用コンパウンドを充填することができ、高圧部分室7には注入口10を通じて成形用コンパウンドを充填することができる。
【0025】
時間間隔24に続く時間間隔25の間に、成形圧は、低圧部分室6のための最高圧を形成する所定の圧力値、たとえば20バールに至るまでさらに上昇させることができる。
【0026】
所定の圧力値、本実施例では20バールへの到達時に、
図1に図示された注入通路11は旋回フラップ8により閉鎖することができる。したがって、旋回フラップ8は、所定の成形圧に応じて低圧部分室6を閉鎖するように構成されている既述の遮断弁を形成している。時間間隔25に続く、つまり圧力上昇の後に続く時間間隔26の間、両方の部分室、すなわち低圧部分室6および高圧部分室7のための所定の成形圧は、成形プレスによって維持することができる。時間間隔26に続く時間間隔27の間、成形圧は、高圧部分室7のための最終圧に達するまで、引き続き上昇させることができる。高圧部分室7のための成形圧の最終圧のための値は、本実施例では100バールである。したがって、曲線29は種々異なる5つの経過区分を有している。モールディング装置の部分室に成形用コンパウンドが充填される充填区分は、時間間隔24の間に延びている。続く圧力上昇区分は、時間間隔25の間に延び、制限された圧力値、特に低圧部分室のための20バールの圧力値を有する圧力維持区分は、時間間隔26の間に延び、高圧部分室7のために高圧を加える別の圧力上昇区分は時間間隔27の間に延び、高圧部分室7のための最終圧を維持する最終圧区分は、時間間隔28の間に延びている。
【0027】
図3は、モールディング装置30のための1つの実施例を示している。モールディング装置30は、工具部分32と、工具部分33とを含んでおり、これらの工具部分32,33は一緒に、1つの中空室を取り囲むように構成されている。本実施例では、中空室は、工具部分32に接続され、ばね35によってばね弾性的に移動可能に支持された分離壁34によって、2つの部分室、すなわち低圧部分室36と高圧部分室37とに分割されている。部分室36,37は、分離壁34によって互いに対して圧力密に絶縁されている。このためには、分離壁は、部分室を互いに特に圧力密に分離するように構成されている。
【0028】
低圧部分室36は、注入通路40を介して、成形用コンパウンド管路47から注入口38を通って、液化した、特に粘性の成形用コンパウンド58を受け取ることができ、成形用コンパウンド58を充填される。本実施例では、回路担体15が中空室内に収容され、低圧構成素子、特に電解コンデンサ12と水晶振動子13とが低圧部分室36内に配置されている。高圧部分室37内には、別の電子的な構成素子が配置されており、これらの構成素子のうち集積回路14が例示的に示されている。分離壁34は、回路担体15上に密閉して載着しており、これによって低圧部分室が、回路担体15の、低圧構成素子がはんだ結合されている表面領域に隣接し、高圧部分室37が、回路担体15の、高圧構成素子がはんだ結合されている表面領域に隣接している。
【0029】
この実施例では、モールディング装置30は、遮断エレメント41、特に遮断隔壁を含んでおり、この遮断隔壁は、この実施例では、並進軸線50に沿って可動に支持されていて、注入通路40を閉鎖し、これにより低圧中空室36が注入口38から分離されているように構成されている。したがって、注入口38に加えられた圧力、特に成形圧60は、遮断エレメント41の閉鎖時に低圧部分室36にもはや作用することができない。
【0030】
モールディング装置30は、高圧部分室37に連結する注入口39を有している。成形用コンパウンド管路48は、注入口39に作用接続されている。
【0031】
本実施例では、モールディング装置30は、プレス装置49を含んでいる。このプレス装置49は、連結装置42に結合されている。本実施例では、連結装置42は、剛性のエレメントによって形成されている。連結エレメント42は、力を制限するばねエレメント43によって遮断エレメント41に作用接続されている。連結エレメント42はまた、力を制限する別のばねエレメント44によってプランジャ31に作用接続されている。プレス装置49は、連結エレメント42を、特に並進軸線に沿って動かし、これにより力を制限するばねエレメント43および44によって緩衝される連結エレメント42の動きが、遮断エレメント41およびプランジャ31に作用することができるように構成されている。したがって、本実施例では低圧中空室36を閉鎖するための遮断隔壁を形成する遮断エレメント41を、連結エレメント42によってばね弾性的に工具部分32に対して押圧することができ、工具部分32と工具部分33との間に延びる注入通路38を密に閉鎖することができる。
【0032】
成形モジュールを形成するために、回路担体15が工具部分33上に置かれてもよい。工具部分32は、工具部分を閉鎖するために、工具部分33に向かって走行させることができる。その際に、分離ウェブを形成する分離壁34は、回路担体15の表面に載着し、回路担体に対して密閉される。そして、プレス装置49は、さらにプランジャ31にばねエレメント44を介して力を加え、かつ遮断エレメント41に連結エレメント42によって力を加えて、これによりプランジャ31を動かすことができる。
【0033】
プランジャ31は、例示的な加熱エレメント52によって軟化または溶融されている成形用材料から成るタブレット45を、キャビティ46内に動かすことができる。こうして溶融された成形用コンパウンド58は、成形管路47にも成形管路48にも接続されているキャビティ46から成形管路48を介して高圧部品室37内に注入口39を介して流入することができる。溶融させられた成形用コンパウンドは、成形接続管路47を介して、かつさらに注入口38を介して、かつ注入通路40を介して低圧部分室36内に到達することができる。
【0034】
力を制限するばねエレメント43は、遮断エレメント41を所定の成形圧に応じて、特に対応するばねエレメント43の構成により成形通路40内へと移動させ、この成形通路40を閉鎖するように、構成されている。成形圧60は、注入通路40の閉鎖時に、たとえば、20バールであってもよい。
【0035】
別の1つの実施形態では、モールディング装置30は、遮断エレメント41に作用接続された電動駆動装置51を有している。この電動駆動装置51は、遮断エレメント41を、特にこの遮断エレメント41に形成されている歯列と、この歯列に作用するように係合している、電動駆動装置51によって駆動される歯車とを介して、注入通路40を閉鎖するために、注入通路40内へと動かすように構成されている。このためには、モールディング装置30は、圧力センサ53を有していてもよく、この圧力センサ53は、注入通路40内、または低圧中空室36内で作用する成形圧60を検出し、成形圧60を表す圧力信号を生成するように構成され、かつ配置されている。電動駆動装置51を備えるこの実施形態では、モールディング装置30は、入力側で接続線路55を介して圧力センサ53に接続されている処理装置54、たとえばマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラをさらに有していてもよい。
【0036】
処理装置54は、圧力センサ53から受け取った圧力信号に応じて、電動駆動装置51を動かすための制御信号を生成し、この信号を出力側で接続線路56を介して電動駆動装置51に送信するように構成されている。これにより、注入通路40内または低圧部分室36内に占める成形圧60に応じて、電気的に動かされる遮断エレメント41、特に遮断隔壁によって確実に所定の圧力に応じて、注入通路40を閉鎖することができる
【0037】
次いでモールディング装置3は、特に、接続管路57を介してプレス装置49により受信することができる、処理装置54により生成された制御信号によってプレス装置49を駆動することによって、
図2に図示された曲線29および圧力上昇区分27に従ってさらに上昇させることができる。これにより生じた成形圧59は、成形接続管路48を介して高圧部分室37に作用することができ、したがって高圧部分室37の領域に配置された電子的な構成素子、特に集積回路14にも作用することができる。高圧部分室に配置された電子的な構成素子は、有利には圧力敏感ではないので、特に100バールまたは100バールを超える上昇させられた成形圧59に問題なく耐える。低圧部分室36内に配置された電子的な構成素子、特に電解コンデンサ12および水晶振動子13は、有利には、遮断隔壁41により、かつ遮断隔壁41により密に閉鎖された注入通路40によって、20バールを超えるさらなる圧力上昇に対して十分に良好に保護されている。