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特許7441330国土空間計画空間データ化け検出のアプリケーションシステム、クラウドプラットフォームシステム及び国土空間計画空間データ化け検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】国土空間計画空間データ化け検出のアプリケーションシステム、クラウドプラットフォームシステム及び国土空間計画空間データ化け検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/29 20190101AFI20240221BHJP
   G06F 16/215 20190101ALI20240221BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240221BHJP
【FI】
G06F16/29
G06F16/215
G06Q50/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022565642
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2021113085
(87)【国際公開番号】W WO2022241961
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】202110549437.0
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522417786
【氏名又は名称】四川省林業和草原調査規劃院(四川省林業和草原生態環境監測中心)
(73)【特許権者】
【識別番号】522417797
【氏名又は名称】四川省林業勘察設計研究院有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522417801
【氏名又は名称】国家林業局昆明勘察設計院
(73)【特許権者】
【識別番号】518377975
【氏名又は名称】成都市農林科学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高飛
(72)【発明者】
【氏名】李娜娜
(72)【発明者】
【氏名】張成程
(72)【発明者】
【氏名】王勇軍
(72)【発明者】
【氏名】黄貝
(72)【発明者】
【氏名】李華
(72)【発明者】
【氏名】許先鵬
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第0443289(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0060380(US,A1)
【文献】米国特許第06718258(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第111221808(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111414441(CN,A)
【文献】特表2010-500589(JP,A)
【文献】特開2000-284685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
国土空間計画空間データ化け検出のためのアプリケーションシステムであって、
クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムを含み、前記クラウドクライアントアプリケーションシステムは、
ユーザがクラウドクライアントアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、
ユーザが国土空間計画で使用しなければならないと要求される空間データリストに基づいて、ローカルの比較申請空間ベクトルレイヤを導入し、導入完了後、導入されたデータに対して前処理を行い、導入されておらず欠損している空間データに対してエラー提示を行うための比較申請空間ベクトルレイヤ導入及び前処理モジュールと、
ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として申請取得した暗号文で記憶された化け管理属性データを復号化し、化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶するための空間データ復号化モジュールと、
比較申請属性データベースと、取得した化け管理属性データベースとに対して、空間図形、属性因子及び座標系の比較を行い、比較申請空間ベクトルレイヤに化けが存在するか否かを検出するための空間データ化け検出モジュールと、
ユーザが化け検出結果を導出するための空間データ化け検出結果導出モジュールとを含む、ことを特徴とする、アプリケーションシステム。
【請求項2】
前記空間データ化け検出モジュールは、
ポリゴン数及び図形が一致しないことを検出するための空間図形化け検出モジュールと、
属性フィールド名、タイプ、精度及び属性値が一致しないことを検出するための属性データ化け検出モジュールと、
座標系記述情報が一致しないことを検出するための座標系化け検出モジュールとを含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の国土空間計画空間データ化け検出のためのアプリケーションシステム。
【請求項3】
クラウドサーバアプリケーションシステムは、
ユーザがクラウドサーバアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、
ユーザが国土空間計画で化け管理が必要であると要求される空間データリストに基づいて、ユーザのローカルの化け管理空間ベクトルレイヤを導入するための化け管理空間ベクトルレイヤ導入モジュールと、
ユーザが化け管理空間ベクトルレイヤ及び各化け管理空間ベクトルレイヤにおいて化け管理が必要である属性フィールドを選択し、導入されたデータに対して前処理を行い、化け管理属性データベースを生成するための化け管理属性データベース生成モジュールと、
取得する化け管理属性データベースへのアクセス申請を受け付ける場合に、取得した下位ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として用いて化け管理属性データベースの内容を対称暗号化し、化け管理属性データベースを暗号文で記憶された化け管理属性データベースとして暗号化した後、送信するための化け管理属性データベース暗号化モジュールと、
クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムの、ユーザ名及び暗号文の形で記憶されたパスワードを含めたユーザ情報を記憶して管理するためのユーザ管理モジュールとを含む、ことを特徴とする、請求項2に記載の国土空間計画空間データ化け検出のためのアプリケーションシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の国土空間計画空間データ化け検出のためのアプリケーションシステムが搭載されたクラウドプラットフォームシステムであって、
前記クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたクラウドクライアントと、
クラウドサーバアプリケーションシステムが搭載され、クラウドクライアントアプリケーションシステムにデータ比較サービスを提供するクラウドサーバと、
クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムに計算、記憶、ネットワーク通信及びシステム運用能力のサポートを提供するためのクラウドサポートプラットフォームとを含む、ことを特徴とする、クラウドプラットフォームシステム。
【請求項5】
前記クラウドクライアントは、クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたパーソナルコンピュータ、モバイルノートパソコン、グラフィックスワークステーションの計算及び記憶端末を含むがこれらに限定されない、ことを特徴とする、請求項4に記載のクラウドプラットフォームシステム。
【請求項6】
前記クラウドサポートプラットフォームは、計算リソースプールを構築するX86計算サーバと、記憶リソースプールを構築する記憶サーバと、ネットワークリソースプールを構築するネットワークサーバ及びゲートウェイデバイスと、リソース仮想化管理を行う仮想化プラットフォームソフトウェアと、プラットフォームに搭載されるオペレーティングシステム、データベースプラットフォーム、GISプラットフォーム、ネットワークミドルウェアの一つ以上のアプリケーションプラットフォームとを含む、ことを特徴とする、請求項5に記載のクラウドプラットフォームシステム。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載のクラウドプラットフォームシステムを用いて実行する国土空間計画空間データ化け検出方法であって、
(1)上位ユーザによる化け管理の国土空間計画空間データ及び下位ユーザによる比較申請の国土空間計画空間データを、空間ベクトルレイヤにより固有識別情報を含有する属性データベースに変換する化け検出データ前処理ステップであって、
(1.1)上位ユーザの国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤと下位ユーザの国土空間計画空間データ中の比較申請空間ベクトルレイヤとに、名称がID、X、Y、形状特徴値、座標系記述である5つのフィールドをそれぞれ追加し、IDフィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、Xフィールド及びYフィールドのフィールドタイプが整数型であり、形状特徴値フィールドのフィールドタイプが倍精度であり、座標系記述フィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、
(1.2)Xフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の横座標値として計算し、Yフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の縦座標値として計算し、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素の図形相関値として計算し、固有識別情報であるIDフィールドをXフィールド、Yフィールド、形状特徴値フィールドが結合子で結合した組み合わせ文字列として計算し、
(1.3)化け管理空間ベクトルレイヤと比較申請空間ベクトルレイヤとの座標系記述フィールドを空間ベクトルレイヤ空間座標系名として計算し、
(1.4)化け管理空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する化け管理属性データベースを形成し、下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと下位ユーザの比較を申請しようとする属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する比較申請属性データベースを形成するステップと、
(2)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを固有識別情報により結合し、数量統計及び属性比較により化けレコード及び化け理由を検出して、化け検出結果データベースにまとめる化け検出ステップであって、
(2.1)下位ユーザの比較申請属性データベースのレコード数を統計し、
(2.2)上位ユーザの化け管理属性データベースを取得し、化け管理属性データベースのレコード数を統計し、比較申請属性データベースのレコード数と化け管理属性データベースのレコード数とを比較し、比較結果が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、下位ユーザの比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「ポリゴン数が一致しない」とし、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、一致する場合は、ステップ(2.3)を行い、
(2.3)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを、固有識別情報IDフィールドで左結合して問い合わせし、
(2.3.1)化け管理属性データベース中の全てのレコードが比較申請属性データベースにおいてそれぞれ対応値を有するか否かを判断し、否であれば、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「IDフィールドが一対一に対応していない」と記録し、対応していない化け管理属性データベースのID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.2)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドを読み取り、比較申請属性データベースにおいて同名のフィールドを探して、フィールドタイプ及びフィールド値を読み取り、化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールド名が比較申請属性データベースにおいてマッチングするか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須フィールド名が欠けている」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.3)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールドタイプが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールドタイプが一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.4)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド精度が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド精度が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.5)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド値が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド値が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.4)化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値を読み取り、比較申請属性データベースの座標系記述フィールド値と比較し、比較申請属性データベース中の座標系記述フィールド値と化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値とが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「座標系記述情報が一致しない」と記録し、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、
(2.5)化け検出結果データベースのレコードを出力するステップと、を含む、ことを特徴とする、国土空間計画空間データ化け検出方法。
【請求項8】
前記ステップ(1.2)において、国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤ及び比較申請空間ベクトルレイヤのタイプを判断し、空間ベクトルレイヤがポリゴンレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の面積として計算し、空間ベクトルレイヤがラインレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の長さとして計算し、空間ベクトルレイヤがポイントレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空値として計算する、ことを特徴とする、請求項7に記載の国土空間計画空間データ化け検出方法。
【請求項9】
前記ステップ(1)とステップ(2)との間に、化け管理属性データベースに対して暗号化処理を行うステップをさらに含み、
S1:下位ユーザは、化け検出申請を提出し、比較申請空間ベクトルレイヤのレイヤ名、下位ユーザのユーザ名及びユーザパスワード暗号文をパラメータとして上位ユーザに提出し、
S2:上位ユーザは、下位ユーザにより提出された申請に対して身分確認を行い、下位ユーザにより提出されたユーザ名及びユーザパスワード暗号文を用いて上位ユーザのユーザシステムにおいて探して比較し、身分確認に失敗した場合、直接終了し、
S3:身分確認に成功した後に、上位ユーザは、化け管理属性データベースから下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤと同名の化け管理属性データベースを取得し、
S4:上位ユーザは、下位ユーザのユーザパスワード暗号文を用いて対称暗号化対象を初期化し、
S5:上位ユーザは、取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて暗号化し、
S6:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを出力し、
S7:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを下位ユーザに送信し、
S8:下位ユーザは、上位ユーザから取得した暗号文で記憶された化け管理属性データベースをローカル記憶し、
S9:下位ユーザは、ローカルのユーザパスワード暗号文を読み取り、対称暗号化対象を初期化し、このときの暗号化対象に用いられるアルゴリズムがS4と同じであり、
S10:取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて復号化し、
S11:化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶する、ことを特徴とする、請求項7に記載の国土空間計画空間データ化け検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地理空間データの計算、識別及び処理の技術分野に属し、具体的には国土空間計画空間データ化け検出アプリケーションシステムクラウドプラットフォームシステム及び国土空間計画空間データ化け検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国土空間計画業務体系は、測量製図、自然資源、発展改革、環境保全、住宅建設、交通、水利、農業、林業などの各部門を横断的にカバーし、国、省、市、県、郷の5つのレベルを縦断する。国土空間計画の空間データを使用する際に、バージョン管理の乱れ、データ編集の誤操作やユーザによる悪意ある改ざんにより、異なるレベル又は異なる部門間における同じ国土空間計画空間データが図形形状、属性情報、レコード数、空間座標系などの内容に不整合が生じることが多く、これらの状況を国土空間計画空間データ化けと呼ぶ。国土空間計画空間データ化けの検出作業を効率的に進めて、各レベル及び各部門の国土空間計画データの整合性及び正確性を確保することは、各レベル及び各部門が国土空間計画を進める前提であり、国土空間計画作業の前期・中期・後期に亘る重要な基礎作業でもある。本発明における国土空間計画空間データは主に、第三回全国国土調査の成果、森林資源管理「一枚地図」、全国地理国情全面調査の成果、生態保護レッドライン、永久基本農地、都市開発境界などの国、省、市、県、郷の5つのレベルで同期して使用する空間ベクトルレイヤデータである。
【0003】
現在、国土空間計画データ化け検出に使用されている主な方法は、上位ユーザが当該レベルで把握した空間ベクトルレイヤを通じて、下位ユーザにより提出された空間ベクトルレイヤの成果に対して空間地理処理を行い、例えば、空間ユニオン解析(Union)、空間インターセクト解析(Intersect)、空間対称差(Symmetrical Difference)などの操作を行い、2つの空間ベクトルレイヤの属性フィールド情報を同時に有する新空間ベクトルレイヤを取得し、新空間ベクトルレイヤのポリゴン数、前後の同名属性のフィールドタイプ及びフィールド値を比較することにより、下位ユーザにより提出された空間ベクトルレイヤが化けているか否かを判定する。しかし、この方法には主に以下の欠点がある。第一に、計算力の消費量が大きく、図形の集合演算を行わなければ、図形の変化状況を判断することができず、図形の比較には、計算力に対する要求が高く、しかも時間がかかる。第二に、適時性が低く、下位部門が全ての計画作業を完了して成果を提出してはじめて、データを検査することができ、その時にエラーが発見された場合に、全作業をやり直す必要がある。第三に、作業が集中し、上位部門が個々の下位部門のデータに対して図形比較及び属性比較を独立して行う必要があり、下位部門が多いか又は属性フィールドが多い場合に、上位部門の作業負荷が大きくなる。
【0004】
従来技術における国土空間計画空間データ化け検出時の欠点に対して、国土空間計画空間データ化けの早期発見、高速演算・解析・比較及び分散型管理を実現し、各レベル及び各部門の国土空間計画データの整合性及び正確性を確保することができる、国土空間計画空間データ化け検出方法、アプリケーションシステム及びクラウドプラットフォームを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、国土空間計画空間データ化けの早期発見、高速演算・解析・比較及び分散型管理を実現し、各レベル及び各部門の国土空間計画データの整合性及び正確性を確保することができる、国土空間計画空間データ化け検出方法、アプリケーションシステム及びクラウドプラットフォームを提供することを目的とする。
【0006】
上述した目的は以下の技術的手段により実現され、国土空間計画空間データ化け検出方法は、
(1)上位ユーザ化け管理の国土空間計画空間データ下位ユーザ比較申請の国土空間計画空間データを、空間ベクトルレイヤにより固有識別情報を含有する属性データベースに変換する化け検出データ前処理ステップであって、
(1.1)上位ユーザの国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤと下位ユーザの国土空間計画空間データ中の比較申請空間ベクトルレイヤとに、名称がID、X、Y、形状特徴値、座標系記述である5つのフィールドをそれぞれ追加し、IDフィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、Xフィールド及びYフィールドのフィールドタイプが整数型であり、形状特徴値フィールドのフィールドタイプが倍精度であり、座標系記述フィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、
(1.2)Xフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の横座標値として計算し、Yフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の縦座標値として計算し、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素の図形相関値として計算し、固有識別情報であるIDフィールドをXフィールド、Yフィールド、形状特徴値フィールドが結合子で結合した組み合わせ文字列として計算し、
(1.3)化け管理空間ベクトルレイヤと比較申請空間ベクトルレイヤとの座標系記述フィールドを空間ベクトルレイヤ空間座標系名として計算し、
(1.4)化け管理空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する化け管理属性データベースを形成し、下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと下位ユーザの比較を申請しようとする属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する比較申請属性データベースを形成するステップと、
(2)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを固有識別情報により結合し、数量統計及び属性比較により化けレコード及び化け理由を検出して、化け検出結果データベースにまとめる化け検出ステップであって、
(2.1)下位ユーザの比較申請属性データベースのレコード数を統計し、
(2.2)上位ユーザの化け管理属性データベースを取得し、化け管理属性データベースのレコード数を統計し、比較申請属性データベースのレコード数と化け管理属性データベースのレコード数とを比較し、比較結果が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、下位ユーザの比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「ポリゴン数が一致しない」とし、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、一致する場合は、ステップ(2.3)を行い、
(2.3)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを、固有識別情報IDフィールドで左結合して問い合わせし、
(2.3.1)化け管理属性データベース中の全てのレコードが比較申請属性データベースにおいてそれぞれ対応値を有するか否かを判断し、否であれば、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「IDフィールドが一対一に対応していない」と記録し、対応していない化け管理属性データベースのID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.2)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドを読み取り、比較申請属性データベースにおいて同名のフィールドを探して、フィールドタイプ及びフィールド値を読み取り、化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールド名が比較申請属性データベースにおいてマッチングするか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須フィールド名が欠けている」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.3)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールドタイプが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールドタイプが一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.4)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド精度が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド精度が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.5)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド値が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド値が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.4)化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値を読み取り、比較申請属性データベースの座標系記述フィールド値と比較し、比較申請属性データベース中の座標系記述フィールド値と化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値とが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「座標系記述情報が一致しない」と記録し、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、
(2.5)化け検出結果データベースのレコードを出力するステップと、を含む。
【0007】
なお、ステップ1.2における要素は、空間ベクトルレイヤにおける空間情報及び属性情報を含む1つの情報であり、さらに、各空間ベクトルレイヤは、座標系名、中央経線、地理座標系などからなる空間座標系をそれぞれ有し、ステップ1.3では座標系における座標系名を座標系記述フィールドとして記憶し、後続の比較に使用し、ステップ1.4で追加されたID、X、Y、形状特徴値、座標系記述フィールドは、空間データ図形の変化を検査するためのものであるが、国土空間計画空間データの一部の属性フィールドを管理する必要もあり、これは具体的な状況によって決定され、この時に化け管理が必要である属性フィールドを選択することが必要となり、ID、X、Y、形状特徴値、座標系記述フィールドと共に選択されて属性データベースを構成する。ステップ2.1におけるレコードは、属性情報のみを含むが空間情報を含まない属性データベースの1つの情報であるため、要素と異なっている。
【0008】
更なる技術的手段は、ステップ(1.2)において、国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤ及び比較申請空間ベクトルレイヤのタイプを判断し、空間ベクトルレイヤがポリゴンレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の面積として計算し、空間ベクトルレイヤがラインレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の長さとして計算し、空間ベクトルレイヤがポイントレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空値として計算する。
【0009】
更なる技術的手段は、ステップ(1)とステップ(2)との間に、化け管理属性データベースに対して暗号化処理を行うステップをさらに含み、
S1:下位ユーザは、化け検出申請を提出し、比較申請空間ベクトルレイヤのレイヤ名、下位ユーザのユーザ名及びユーザパスワード暗号文をパラメータとして上位ユーザに提出し、
S2:上位ユーザは、下位ユーザにより提出された申請に対して身分確認を行い、下位ユーザにより提出されたユーザ名及びユーザパスワード暗号文を用いて上位ユーザのユーザシステムにおいて探して比較し、身分確認に失敗した場合、直接終了し、
S3:身分確認に成功した後に、上位ユーザは、化け管理属性データベースから下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤと同名の化け管理属性データベースを取得し、
S4:上位ユーザは、下位ユーザのユーザパスワード暗号文を用いて対称暗号化対象を初期化し、
S5:上位ユーザは、取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて暗号化し、
S6:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを出力し、
S7:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを下位ユーザに送信し、
S8:下位ユーザは、上位ユーザから取得した暗号文で記憶された化け管理属性データベースをローカル記憶し、
S9:下位ユーザは、ローカルのユーザパスワード暗号文を読み取り、対称暗号化対象を初期化し、このときの暗号化対象に用いられるアルゴリズムがS4と同じであり、
S10:取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて復号化し、
S11:化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶する。
【0010】
本発明は、上述した国土空間計画空間データ化け検出方法を用いてデータ処理を行うためのアプリケーションシステムをさらに提供し、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムを含み、クラウドクライアントアプリケーションシステムは、ユーザがクラウドクライアントアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、ユーザが国土空間計画で使用しなければならないと要求される空間データリストに基づいて、ローカルの比較申請空間ベクトルレイヤを導入し、導入完了後、導入されたデータに対して前処理を行い、導入されておらず欠損している空間データに対してエラー提示を行うための比較申請空間ベクトルレイヤ導入及び前処理モジュールと、ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として申請取得した暗号文で記憶された化け管理属性データを復号化し、化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶するための空間データ復号化モジュールと、比較申請属性データベースと、取得した化け管理属性データベースとに対して、空間図形、属性因子及び座標系の比較を行い、比較申請空間ベクトルレイヤに化けが存在するか否かを検出するための空間データ化け検出モジュールと、ユーザが化け検出結果を導出するための空間データ化け検出結果導出モジュールとを含む。
【0011】
更なる技術的手段は、空間データ化け検出モジュールは、ポリゴン数及び図形が一致しないことを検出するための空間図形化け検出モジュールと、属性フィールド名、タイプ、精度及び属性値が一致しないことを検出するための属性データ化け検出モジュールと、座標系記述情報が一致しないことを検出するための座標系化け検出モジュールとを含む。
【0012】
更なる技術的手段は、クラウドサーバアプリケーションシステムは、ユーザがクラウドサーバアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、ユーザが国土空間計画で化け管理が必要であると要求される空間データリストに基づいて、ユーザのローカルの化け管理空間ベクトルレイヤを導入するための化け管理空間ベクトルレイヤ導入モジュールと、ユーザが化け管理空間ベクトルレイヤ及び各化け管理空間ベクトルレイヤにおいて化け管理が必要である属性フィールドを選択し、導入されたデータに対して前処理を行い、化け管理属性データベースを生成するための化け管理属性データベース生成モジュールと、取得する化け管理属性データベースへのアクセス申請を受け付ける場合に、取得した下位ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として用いて化け管理属性データベースの内容を対称暗号化し、化け管理属性データベースを暗号文で記憶された化け管理属性データベースとして暗号化した後、送信するための化け管理属性データベース暗号化モジュールと、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムの、ユーザ名及び暗号文の形で記憶されたパスワードを含めたユーザ情報を記憶して管理するためのユーザ管理モジュールとを含む。
【0013】
本発明は、上記のいずれか一項に記載のアプリケーションシステムが搭載されたクラウドプラットフォームシステムをさらに提供し、クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたクラウドクライアントと、クラウドサーバアプリケーションシステムが搭載され、クラウドクライアントアプリケーションシステムにデータ比較サービスを提供するクラウドサーバと、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムに計算、記憶、ネットワーク通信及びシステム運用能力のサポートを提供するためのクラウドサポートプラットフォームとを含む。
【0014】
更なる技術的手段は、クラウドクライアントは、クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたパーソナルコンピュータ、モバイルノートパソコン、グラフィックスワークステーションの計算及び記憶端末を含むがこれらに限定されない。
【0015】
更なる技術的手段は、クラウドサポートプラットフォームは、計算リソースプールを構築するX86計算サーバと、記憶リソースプールを構築する記憶サーバと、ネットワークリソースプールを構築するネットワークサーバ及びゲートウェイデバイスと、リソース仮想化管理を行う仮想化プラットフォームソフトウェアと、プラットフォームに搭載されるオペレーティングシステム、データベースプラットフォーム、GISプラットフォーム、ネットワークミドルウェアの一つ以上のアプリケーションプラットフォームとを含む。
【0016】
発明の効果
従来技術に比べて、本発明は以下の利点を有する。
1、適時性が高い。上位ユーザの前処理後、データは、クラウドサポートプラットフォームのクラウドサーバアプリケーションシステムに記憶されるため、比較作業は、上位ユーザによる人為的関与を必要とせず、下位ユーザのクラウドクライアントによって一方的に提出するだけでよく、しかも、クラウドクライアントは必要に応じて比較申請を随時提出することができ、作業初期に使用される国土空間計画空間データの正確性を確保し、作業初期に誤操作による空間データの改ざんを随時訂正することができる。
2、計算力の消費量が小さく、効率が高い。上位ユーザの前処理後、すべての比較計算は属性データベースに基づくデータ比較であり、リレーショナルデータベースのSQL文を用いて行われ、効率が図形計算より桁違いに向上する。
3、仕事量が分散される。元の上位ユーザの集中的な空間比較及び属性比較作業を、クラウドサポートプラットフォームに搭載されるクラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムを利用して分散型方法で計算を行うことで、上位ユーザの比較申請を受け付ける仕事量を低減するとともに、下位ユーザが提出する申請の審査待ちプロセス及び時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の一部を構成する図面は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する不当な限定を構成するものではない。
図1】本発明の一実施形態に係る化け検出データ前処理のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係る国土空間計画空間データ化け検出プロセスのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る化け管理属性データベースの暗号化処理方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るクラウドクライアントアプリケーションシステムのブロック構成図である。
図5】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバアプリケーションシステムのブロック構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係るアプリケーションシステムの化け管理属性データベース生成のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るアプリケーションシステムの比較申請空間ベクトルレイヤの化け検出解析のフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係るクラウドプラットフォームのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明するが、この部分の説明は例示的で解釈的なものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。さらに、当業者は、本明細書の記載に基づいて、本明細書の実施例及び他の実施例における特徴を適宜組み合わせることができる。
【0019】
本発明の実施例では、図1~2に示すように、国土空間計画空間データ化け検出方法は、
(1)上位ユーザ化け管理の国土空間計画空間データ下位ユーザ比較申請の国土空間計画空間データを、空間ベクトルレイヤにより固有識別情報を含有する属性データベースに変換する化け検出データ前処理ステップであって、
(1.1)上位ユーザの国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤと下位ユーザの国土空間計画空間データ中の比較申請空間ベクトルレイヤとに、名称がID、X、Y、形状特徴値、座標系記述である5つのフィールドをそれぞれ追加し、IDフィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、Xフィールド及びYフィールドのフィールドタイプが整数型であり、形状特徴値フィールドのフィールドタイプが倍精度であり、座標系記述フィールドのフィールドタイプがテキスト型であり、
(1.2)Xフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の横座標値として計算し、小数点以下2桁にし、Yフィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素重心の縦座標値として計算し、小数点以下2桁にし、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ中の各要素の図形相関値として計算し、固有識別情報であるIDフィールドをXフィールド、Yフィールド、形状特徴値フィールドが結合子で結合した組み合わせ文字列として計算し、例えば、Xを349087.34、Yを35452784.98、形状特徴値を34.557875、結合子を「-」とすると、IDフィールド値は349087.34-35452784.98-34.557875となり、IDフィールドは上位・下位ユーザの空間データ化け検出の固有識別情報となり、
(1.3)化け管理空間ベクトルレイヤと比較申請空間ベクトルレイヤとの座標系記述フィールドを空間ベクトルレイヤ空間座標系名、例えば、GCS_China_Geodetic_Coordinate_System_2000などの地理座標系又はCGCS2000_3_Degree_GK_CM_99Eなどの投影座標系として計算し、
(1.4)化け管理空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する化け管理属性データベースを形成し、下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤに対してIDフィールドと下位ユーザの比較を申請しようとする属性フィールドとを組み合わせて、固有識別情報を含有する比較申請属性データベースを形成するステップと、
(2)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを固有識別情報により結合し、数量統計及び属性比較により化けレコード及び化け理由を検出して、化け検出結果データベースにまとめる化け検出ステップであって、この実施例における「レコード」が「ポリゴン」であり、
(2.1)下位ユーザの比較申請属性データベースのレコード数を統計し、
(2.2)上位ユーザの化け管理属性データベースを取得し、化け管理属性データベースのレコード数を統計し、比較申請属性データベースのレコード数と化け管理属性データベースのレコード数とを比較し、比較結果が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、下位ユーザの比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「ポリゴン数が一致しない」とし、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、一致する場合は、ステップ(2.3)を行い、
(2.3)化け管理属性データベースと比較申請属性データベースとを、固有識別情報IDフィールドで左結合して問い合わせし、
例えば、Select 化け管理属性データベース.ID,化け管理属性データベース.X,化け管理属性データベース.Y,……,比較申請属性データベース.ID,比較申請属性データベース.X,比較申請属性データベース.Y,…… from 化け管理属性データベース Left Join 比較申請属性データベース on 化け管理属性データベース.ID=比較申請属性データベース.ID;
(2.3.1)化け管理属性データベース中の全てのレコードが比較申請属性データベースにおいてそれぞれ対応値を有するか否かを判断し、否であれば、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「IDフィールドが一対一に対応していない」と記録し、対応していない化け管理属性データベースのID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.2)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドを読み取り、比較申請属性データベースにおいて同名のフィールドを探して、フィールドタイプ及びフィールド値を読み取り、化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールド名が比較申請属性データベースにおいてマッチングするか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須フィールド名が欠けている」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.3)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールドタイプが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールドタイプが一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.4)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド精度が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド精度が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.3.5)化け管理属性データベース中の上位ユーザの化け管理が必要である属性フィールドと、比較申請属性データベースの同名フィールドとのフィールド値が一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請空間ベクトルレイヤの国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「必須因子のフィールド値が一致しない」と記録し、比較申請属性データベースの現在のID値、エラー理由を化け検出結果データベースにまとめ、
(2.4)化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値を読み取り、比較申請属性データベースの座標系記述フィールド値と比較し、比較申請属性データベース中の座標系記述フィールド値と化け管理属性データベースの座標系記述フィールド値とが一致するか否かを判断し、一致しない場合は、比較申請の国土空間計画空間データに化けが発生したと判定し、化け理由を「座標系記述情報が一致しない」と記録し、化け理由を化け検出結果データベースに登録してまとめ、
(2.5)化け検出結果データベースのレコードを出力し、下位ユーザに化け検出結果を提示するステップと、を含む。
【0020】
なお、ステップ1.2における要素は、空間ベクトルレイヤにおける空間情報及び属性情報を含む1つの情報であり、さらに、各空間ベクトルレイヤは、座標系名、中央経線、地理座標系などからなる空間座標系をそれぞれ有し、ステップ1.3では座標系における座標系名を座標系記述フィールドとして計算して記憶し、後続の比較に使用し、ステップ1.4で追加されたID、X、Y、形状特徴値、座標系記述フィールドは、空間データ図形の変化を検査するためのものであるが、国土空間計画空間データの一部の属性フィールドを管理する必要もあり、これは具体的な状況によって決定され、この時に化け管理が必要である属性フィールドを選択することが必要となり、ID、X、Y、形状特徴値、座標系記述フィールドと共に選択されて属性データベースを構成する。ステップ2.1におけるレコードは、属性情報のみを含むが空間情報を含まない属性データベースの1つの情報であるため、要素と異なっている。
【0021】
上述した実施例に基づき、本発明の他の実施例では、ステップ(1.2)において、国土空間計画空間データ中の化け管理空間ベクトルレイヤ及び比較申請空間ベクトルレイヤのタイプを判断し、空間ベクトルレイヤがポリゴンレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の面積として計算し、面積の値を小数点以下4桁にし、空間ベクトルレイヤがラインレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空間ベクトルレイヤ要素の長さとして計算し、長さの値を小数点以下4桁にし、空間ベクトルレイヤがポイントレイヤである場合に、形状特徴値フィールドを空値として計算する。
【0022】
上述した実施例に基づき、本発明の他の実施例では、図3に示すように、ステップ(1)とステップ(2)との間に、化け管理属性データベースに対して暗号化処理を行うステップをさらに含み、
S1:下位ユーザは、化け検出申請を提出し、比較申請空間ベクトルレイヤのレイヤ名、下位ユーザのユーザ名及びユーザパスワード暗号文をパラメータとして上位ユーザに提出し、
S2:上位ユーザは、下位ユーザにより提出された申請に対して身分確認を行い、下位ユーザにより提出されたユーザ名及びユーザパスワード暗号文を用いて上位ユーザのユーザシステムにおいて探して比較し、身分確認に失敗した場合、直接終了し、
S3:身分確認に成功した後に、上位ユーザは、化け管理属性データベースから下位ユーザの比較申請空間ベクトルレイヤと同名の化け管理属性データベースを取得し、
S4:上位ユーザは、下位ユーザのユーザパスワード暗号文を用いて対称暗号化対象を初期化し、ここで暗号化対象に対称暗号化アルゴリズムが用いられ、よく用いられるアルゴリズムがDES、3DESなどであり、
S5:上位ユーザは、取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて暗号化し、
S6:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを出力し、
S7:上位ユーザは、暗号文で記憶された化け管理属性データベースを下位ユーザに送信し、
S8:下位ユーザは、上位ユーザから取得した暗号文で記憶された化け管理属性データベースをローカル記憶し、
S9:下位ユーザは、ローカルのユーザパスワード暗号文を読み取り、対称暗号化対象を初期化し、このときの暗号化対象に用いられるアルゴリズムがS4と同じであり、
S10:取得した化け管理属性データベースを暗号化対象を用いて復号化し、
S11:化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶する。
【0023】
本発明は、国土空間計画空間データ化け管理アプリケーションシステムをさらに提供し、実施例における国土空間計画空間データ化け管理アプリケーションシステムは、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムを含み、クラウドクライアントアプリケーションシステムの構成は、図4に示すように、ユーザがクラウドクライアントアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、ユーザが国土空間計画で使用しなければならないと要求される空間データリストに基づいて、ローカルの比較申請空間ベクトルレイヤを導入し、導入完了後、化け検出データ前処理ステップを用いて、導入されたデータに対して前処理を行い、導入されておらず欠損している空間データに対してエラー提示を行うための比較申請空間ベクトルレイヤ導入及び前処理モジュールと、化け管理属性データベース暗号化処理ステップを用いて、ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として申請取得した暗号文で記憶された化け管理属性データを復号化し、化け管理属性データベースの平文結果を取得して記憶するための空間データ復号化モジュールと、国土空間計画空間データ化け検出ステップを用いて、比較申請属性データベースと、取得した化け管理属性データベースとに対して、空間図形、属性因子及び座標系の比較を行い、比較申請空間ベクトルレイヤに化けが存在するか否かを検出するための空間データ化け検出モジュールと、ユーザが化け検出結果を導出するための空間データ化け検出結果導出モジュールとを含む。
【0024】
ユーザは、空間データ化け検出結果導出モジュールを用いて化け検出結果をdoc、xls、txtなどのフォーマットの結果ファイルとして導出し、比較申請属性データベースにおいて化けレコードが発生したID値、エラー理由などの情報をユーザに提示することができる。
【0025】
上述した実施例に基づき、図4に示すように、空間データ化け検出モジュールは、ポリゴン数及び図形が一致しないことを検出するための空間図形化け検出モジュールと、属性フィールド名、タイプ、精度及び属性値が一致しないことを検出するための属性データ化け検出モジュールと、座標系記述情報が一致しないことを検出するための座標系化け検出モジュールとを含む。
【0026】
クラウドサーバアプリケーションシステムの構成は、図5に示すように、ユーザがクラウドサーバアプリケーションシステムに登録してログインするためのユーザログインモジュールと、ユーザが国土空間計画で化け管理が必要であると要求される空間データリストに基づいて、ユーザのローカルの化け管理空間ベクトルレイヤを導入するための化け管理空間ベクトルレイヤ導入モジュールと、ユーザが化け管理空間ベクトルレイヤ及び各化け管理空間ベクトルレイヤにおいて化け管理が必要である属性フィールドを選択し、化け検出データ前処理ステップを用いて、導入されたデータに対して前処理を行い、化け管理属性データベースを生成するための化け管理属性データベース生成モジュールと、取得する化け管理属性データベースへのアクセス申請を受け付ける場合に、取得した下位ユーザパスワード暗号文を秘密鍵として用いて、化け管理属性データベース暗号化処理ステップを用いて、化け管理属性データベースの内容を対称暗号化し、化け管理属性データベースを暗号文で記憶された化け管理属性データベースとして暗号化した後、送信するための化け管理属性データベース暗号化モジュールと、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムの、ユーザ名及び暗号文の形で記憶されたパスワードを含めたユーザ情報を記憶して管理するためのユーザ管理モジュールとを含む。
【0027】
国土空間計画空間データ化け管理アプリケーションシステムのアプリケーション方法及びプロセスは、化け管理属性データベースの生成及び比較申請空間ベクトルレイヤの化け検出解析の2つのステップに分けられる。化け管理属性データベースの生成プロセスは、図6に示すように、
1、ユーザは、クラウドサーバアプリケーションシステムのユーザログインモジュールを用いて、クラウドサーバアプリケーションシステムにログインするステップと、
2、化け管理空間ベクトルレイヤ導入モジュールを用いてローカルの化け管理空間ベクトルレイヤを導入するステップと、
3、化け管理属性データベース生成モジュールを用いて、データ前処理方法を用いて化け管理属性データベースを生成するステップと、を含む。
比較申請空間ベクトルレイヤの化け検出解析プロセスは、図7に示すように、
1、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムのユーザログインモジュールを用いて、クラウドクライアントアプリケーションシステムにログインするステップと、
2、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの比較申請空間ベクトルレイヤ導入及び前処理モジュールを用いて、ユーザのローカルの比較申請空間ベクトルレイヤを導入してデータの前処理を行い、比較申請属性データベースを得るステップと、
3、下位ユーザは、空間データ化け検出モジュールを用いて、クラウドサーバアプリケーションシステムに化け検出申請を提出するステップと、
4、クラウドサーバアプリケーションシステムは、クラウドクライアントシステムにより提出されたユーザ名、ユーザ暗号鍵、比較申請空間ベクトルレイヤ名などのパラメータを取得し、化け管理属性データベース暗号化モジュールを用いて化け管理属性データベースの暗号化を行い、クラウドクライアントに暗号文で記憶された化け管理属性データベースを送信するステップと、
5、クラウドクライアントアプリケーションシステムがデータを取得した後に、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの空間データ復号化モジュールを用いて、取得した暗号文で記憶された化け管理属性データベースを復号化して、化け管理属性データベースの平文結果を得るステップと、
6、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの空間図形化け検出モジュールを用いて、比較申請空間ベクトルレイヤの図形化けを検出するステップと、
7、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの属性データ化け検出モジュールを用いて、比較申請空間ベクトルレイヤの属性データ化けを検出するステップと、
8、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの座標系化け検出モジュールを用いて、比較申請空間ベクトルレイヤの座標系化けを検出するステップと、
9、下位ユーザは、クラウドクライアントアプリケーションシステムの空間データ化け検出結果導出モジュールを用いて化け検出結果を導出し、比較申請属性データベースにおいて化けレコードが発生したID値、エラー理由などの情報をユーザに提示するステップと、を含む。
【0028】
本発明は、国土空間計画空間データ化け管理クラウドプラットフォームシステムをさらに提供し、実施例では、図8に示すように、上記のいずれか一項に記載の国土空間計画空間データ化け管理アプリケーションシステムが搭載され、クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたクラウドクライアントと、クラウドサーバアプリケーションシステムが搭載され、クラウドクライアントアプリケーションシステムにデータ比較サービスを提供するクラウドサーバと、クラウドクライアントアプリケーションシステム及びクラウドサーバアプリケーションシステムに計算、記憶、ネットワーク通信及びシステム運用能力のサポートを提供するためのクラウドサポートプラットフォームとを含む。
【0029】
上述した実施例に基づき、本発明の他の実施例では、図8に示すように、クラウドクライアントは、クラウドクライアントアプリケーションシステムが搭載されたパーソナルコンピュータ、モバイルノートパソコン、グラフィックスワークステーションの計算及び記憶端末を含むがこれらに限定されない。
【0030】
上述した実施例に基づき、本発明の他の実施例では、図8に示すように、クラウドサポートプラットフォームは、計算リソースプールを構築するX86計算サーバと、記憶リソースプールを構築する記憶サーバと、ネットワークリソースプールを構築するネットワークサーバ及びゲートウェイデバイスと、リソース仮想化管理を行う仮想化プラットフォームソフトウェアと、プラットフォームに搭載されるオペレーティングシステム、データベースプラットフォーム、GISプラットフォーム、ネットワークミドルウェアの一つ以上のアプリケーションプラットフォームとを含む。
【0031】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な改良や変形を行うことができ、これらの改良や変形も本発明の保護範囲と見なされるべきであることを留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8