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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】物体認識装置および物体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240221BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240221BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G06T7/70 A
G01B11/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022578026
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 JP2021028845
(87)【国際公開番号】W WO2022162978
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021010992
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本江 雅信
(72)【発明者】
【氏名】李 健
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/041016(WO,A1)
【文献】特開2015-114292(JP,A)
【文献】特表2008-514915(JP,A)
【文献】特開2020-176007(JP,A)
【文献】特開2014-176937(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00- G01N 21/74
G01B 11/00- G01B 11/30
G06T 7/70
B07C 5/00- B07C 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面光源から物体に投光される光を用いて前記物体を照明する照明機器と、
前記物体の画像を撮像し、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、露出が予め補正されたカメラと、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部
とを備える物体認識装置。
【請求項2】
物体の画像を撮像するカメラと、
前記画像が撮像されるときに、面光源から前記物体に投光される光を用いて前記物体を照明し、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、前記光の光量が予め設定された照明機器と、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部
とを備える物体認識装置。
【請求項3】
面光源から物体に投光される光を用いて前記物体を照明する照明機器と、
前記物体の修正前画像を撮像するカメラと、
前記修正前画像に基づいて前記画像を生成する画像修正部と、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部とを備え、
前記画像修正部は、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、前記画像を生成する
物体認識装置。
【請求項4】
前記照明機器は、
前記画像の視点を取り囲む反射部材と、
前記反射部材に光を投光する光源とを有し、
前記照明機器は、前記反射部材を乱反射する光を前記物体に投光する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項5】
前記照明機器は、
前記画像の視点を取り囲む導光板と、
前記導光板の縁に光を投光する光源とを有し、
前記照明機器は、前記導光板を透過する光を前記物体に投光する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項6】
前記照明機器は、
前記画像の視点を取り囲む拡散透過部材と、
前記拡散透過部材に光を投光する光源とを有し、
前記照明機器は、前記拡散透過部材を散乱する光を前記物体に投光する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項7】
面光源から物体に投光される光を用いて前記物体を照明する照明機器と、
前記物体の画像を撮像し、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、露出が予め補正されたカメラと、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部と、
把持部と、
前記把持部を移動させる駆動部と、
前記把持部が前記物体を把持するように、前記位置に基づいて前記駆動部を制御する把持制御部
とを備える物体処理装置。
【請求項8】
物体の画像を撮像するカメラと、
前記画像が撮像されるときに、面光源から前記物体に投光される光を用いて前記物体を照明し、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、前記光の光量が予め設定された照明機器と、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部と、
把持部と、
前記把持部を移動させる駆動部と、
前記把持部が前記物体を把持するように、前記位置に基づいて前記駆動部を制御する把持制御部
とを備える物体処理装置。
【請求項9】
面光源から物体に投光される光を用いて前記物体を照明する照明機器と、
前記物体の修正前画像を撮像するカメラと、
前記修正前画像に基づいて前記画像を生成する画像修正部と、
前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部と、
把持部と、
前記把持部を移動させる駆動部と、
前記把持部が前記物体を把持するように、前記位置に基づいて前記駆動部を制御する把持制御部とを備え、
前記画像修正部は、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、前記画像を生成する
物体処理装置。
【請求項10】
前記物体は、搬送され、
前記把持制御部は、前記画像が撮像されたタイミングに基づいて算出されたタイミングで前記把持部が前記物体を把持するように、前記駆動部を制御する
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、物体認識装置および物体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビン、ペットボトルに例示される資源ゴミを素材毎に分別する資源ごみ自動分別装置が知られている。資源ごみ自動分別装置は、資源ごみが写る画像を撮像するカメラと、その画像に基づいてその資源ごみの材質と位置とを判定する画像処理装置と、所定の素材の資源ゴミを所定の位置に移動させるロボットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2008-514915号公報
【文献】特開昭59-161776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
資源ごみが写る画像のうちの資源ごみを写す像には、資源ごみの表面にフィルムが貼付されたり、資源ごみの表面に文字や絵、写真などの画像がプリントされたりしているときに、その像が映し出されることがある。また、光を透過する材料から資源ごみが形成されているときに、資源ごみを透過した光により資源ごみの奥の背景が映り込むことがある。画像認識装置は、このような邪魔な像が資源ごみの像に映り込むことにより、画像から資源ごみの像を適切に抽出することができず、資源ごみの位置を適切に算出しないことがある。資源ごみ自動分別装置は、資源ごみの位置が適切に算出されないときに、資源ごみを適切に分別しないという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、物体が写る画像から物体を写す像を適切に検出する物体認識装置および物体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による物体認識装置は、面光源から物体に投光される光を用いて前記物体を照明する照明機器と、前記物体の画像を撮像し、前記画像のうちの前記物体を写す像に白飛びが発生するように、露出が予め補正されたカメラと、前記画像を画像処理することにより、前記物体が配置される位置を算出する位置算出部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の物体認識装置および物体処理装置は、物体が写る画像から物体を写す像を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の物体処理装置が設けられた資源ごみ自動分別装置を示す斜視図である。
図2図2は、オプトユニットを示す断面図である。
図3図3は、制御装置を示すブロック図である。
図4図4は、制御装置がロボユニットとオプトユニットとを制御する動作を示すフローチャートである。
図5図5は、カメラにより撮像された被写体の画像を示す図である。
図6図6は、実施例2の物体認識装置の照明機器を示す断面図である。
図7図7は、実施例3の物体認識装置のドーム型筐体と照明機器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる物体認識装置および物体処理装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
実施例1の物体処理装置1は、図1に示されているように、資源ごみ自動分別装置2に設けられている。図1は、実施例1の物体処理装置1が設けられた資源ごみ自動分別装置2を示す斜視図である。資源ごみ自動分別装置2は、物体処理装置1と搬送装置3とを備えている。搬送装置3は、いわゆるベルトコンベアから形成され、ベルトコンベアフレーム5とベルト6と複数の定滑車7とを備え、図示されていないベルト駆動装置を備えている。ベルトコンベアフレーム5は、資源ごみ自動分別装置2が設置される設置面に載置されている。ベルト6は、可撓性を有する材料から形成され、ループ状の帯に形成されている。
【0011】
複数の定滑車7は、それぞれ、円柱状に形成されている。複数の定滑車7は、複数の回転軸にそれぞれ沿うように配置されている。複数の回転軸は、それぞれ、設置面が沿う平面に平行であるX軸に平行であり、設置面が沿う平面に平行である他の平面に重なっている。複数の定滑車7は、複数の回転軸を中心に回転可能にベルトコンベアフレーム5にそれぞれ支持されている。ベルト6は、複数の定滑車7に架け渡され、設置面が沿う平面に平行である他の平面に沿うように配置され、移動可能にベルトコンベアフレーム5に支持されている。ベルト駆動装置は、ベルト6に載置される物体がY軸に平行に移動するように、複数の定滑車7を回転させる。Y軸は、設置面が沿う平面に平行であり、かつ、X軸に垂直である。
【0012】
物体処理装置1は、実施例1の物体認識装置10とロボユニット11とを備えている。物体認識装置10は、オプトユニット12を備えている。オプトユニット12は、ベルト6の一部の上部に配置されている。ロボユニット11は、物体認識装置10より搬送方向14の下流側に配置され、ベルト6の他の一部の上部に配置されている。搬送方向14は、Y軸に平行である。
【0013】
ロボユニット11は、複数のピッキングロボット15を備え、図示されていない吸引ポンプを備えている。複数のピッキングロボット15のうちの1つのピッキングロボットは、吸引パッド16とX軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18と把持センサ19とを備え、図示されていない投棄ケースと電磁弁とを備えている。投棄ケースは、設置面のうちの搬送装置3の脇に載置されている。吸引パッド16は、X軸またはZ軸に平行に並進可能に、X軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18とを介してベルトコンベアフレーム5に支持されている。Z軸は、設置面が沿う平面に垂直であり、すなわち、X軸に垂直であり、かつ、Y軸に垂直である。吸引パッド16の可動域は、投棄ケースの上側の領域と、ベルト6の一部の上側の領域とを含んでいる。吸引パッド16のうちの設置面に対向する下側面には、吸気口が形成されている。
【0014】
吸引ポンプは、図示されていない管を介して吸引パッド16に接続され、吸引パッド16の吸気口から空気を吸引する。電磁弁は、吸引パッド16と吸引ポンプとを接続する管の途中に設けられている。電磁弁は、開放されることにより、吸引パッド16の吸気口から空気が吸引されるように吸引パッド16を吸引ポンプに接続する。電磁弁は、閉鎖されることにより、吸引パッド16の吸気口から空気が吸引されないように吸引パッド16と吸引ポンプとの接続を遮断する。
【0015】
X軸アクチュエータ17は、吸引パッド16をX軸に平行に移動させる。Z軸アクチュエータ18は、吸引パッド16をZ軸に平行に移動させる。把持センサ19は、吸引パッド16に物体が把持されているか否かを検出する。複数のピッキングロボット15のうちの他のピッキングロボットも、そのピッキングロボットと同様に形成され、すなわち、吸引パッドとX軸アクチュエータとZ軸アクチュエータと把持センサと投棄ケースと電磁弁とを備えている。
【0016】
図2は、オプトユニット12を示す断面図である。オプトユニット12は、筐体21とカメラ22と照明機器23とを備えている。筐体21は、光が透過しない材料から形成され、箱形に形成されている。筐体21の内部には、内部空間26が形成されている。筐体21は、ベルト6の一部が筐体21の内部空間26に配置されるようにベルト6の上側に配置され、搬送装置3のベルトコンベアフレーム5に固定されている。筐体21は、筐体21の外部の光が内部空間26に入らないように、外部の光を遮光している。筐体21には、入口と出口とが形成されている。入口は、筐体21のうちの搬送方向14の上流側の部分に形成され、内部空間26は、入口を介して筐体21の外部に接続されている。出口は、筐体21のうちの搬送方向14の下流側の部分に形成され、内部空間26は、出口を介して筐体21の外部に接続されている。
【0017】
カメラ22は、筐体21の上部に配置されている。カメラ22は、筐体21に固定され、すなわち、筐体21を介してベルトコンベアフレーム5に固定されている。カメラ22は、いわゆるデジタルカメラであり、ベルト6のうちの内部空間26に配置される一部に載置される被写体29が写る画像を撮像する。画像は、画像に敷き詰められる複数の画素から形成されている。複数の画素は、複数の色情報に対応付けられている。複数の色情報の各々は、たとえば、赤の階調値と緑の階調値と青の階調値とを示している。
【0018】
照明機器23は、反射部材24と複数の光源25とを備えている。反射部材24は、筐体21のうちの内部空間26に面する内側表面の概ね全部を覆い、カメラ22を取り囲むように配置され、すなわち、カメラ22が撮像する画像の視点を取り囲むように配置されている。反射部材24は、反射部材24に投光される光を乱反射させる。複数の光源25は、筐体21の内部のうちのベルト6に近い下側に配置され、発光することにより反射部材24に光を投光する。
【0019】
物体認識装置10は、図3に示されているように、制御装置31をさらに備えている。図3は、制御装置31を示すブロック図である。制御装置31は、コンピュータであり、記憶装置32とCPU(Central Processing Unit)33とを備えている。記憶装置は、制御装置31にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、CPU33により利用される情報を記録する。記憶装置32としては、RAM・ROM等のメモリ、ハードディスクのような固定ディスク装置、SSD(Solid State Drive)が例示される。
【0020】
CPU33は、制御装置31にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置32を制御し、カメラ22と複数の光源25とX軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18と把持センサ19と電磁弁とを制御する。制御装置31にインストールされるコンピュータプログラムは、制御装置31に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムを含んでいる。その複数の機能は、照明制御部34とカメラ制御部35と対象認識部36と位置算出部37と把持位置把持タイミング算出部38と把持制御部39とを備えている。
【0021】
照明制御部34は、複数の光源25が点灯または消灯されるように、複数の光源25を制御する。カメラ制御部35は、筐体21の内部空間26に配置される被写体が写る画像が撮像されるように、カメラ22を制御する。カメラ制御部35は、さらに、カメラ22により撮像された画像のデータが、その画像が撮像された撮像時刻に対応付けて記憶装置32に記録されるように、記憶装置32を制御する。
【0022】
対象認識部36は、カメラ制御部35により撮像された画像を画像処理することにより、その画像に物体が写っているか否かを判定する。対象認識部36は、その画像に物体が写っていると判定されたときに、その画像をさらに画像処理することにより、その物体を形成する材料を判定し、その判定された材料に基づいて、その物体が把持対象であるか否かを判定する。位置算出部37は、カメラ制御部35により撮像された画像に把持対象が写っていると対象認識部36により判定されたときに、その画像をさらに画像処理することにより、把持対象の重心が配置された位置を算出する。
【0023】
把持位置把持タイミング算出部38は、カメラ制御部35により画像が撮像された撮像時刻と、位置算出部37により算出された位置と、搬送速度とに基づいて、把持位置と把持タイミングとを算出する。把持制御部39は、把持位置把持タイミング算出部38により算出された把持タイミングより前に、把持位置把持タイミング算出部38により算出された把持位置の上側に吸引パッド16が配置されるように、X軸アクチュエータ17を制御する。把持制御部39は、把持位置把持タイミング算出部38により算出された把持タイミングに、把持位置把持タイミング算出部38により算出された把持位置に吸引パッド16が配置されるように、Z軸アクチュエータ18を制御する。把持制御部39は、さらに、把持位置把持タイミング算出部38により算出された把持タイミングに、吸引パッド16の開口部から空気が吸引されるように、電磁弁を制御する。
【0024】
資源ごみ自動分別装置2の動作は、搬送装置3が資源ごみを搬送する動作と、制御装置31がロボユニット11とオプトユニット12とを制御する動作とを備えている。搬送装置3が資源ごみを搬送する動作では、まず、ユーザは、搬送装置3を操作することにより、搬送装置3を起動させる。搬送装置3のベルト駆動部は、搬送装置3が起動することにより、予め定められた回転速度で複数の定滑車7を回転させる。ユーザは、さらに、ベルト6のうちのオプトユニット12の搬送方向14の上流側に複数の資源ごみを載置する。資源ごみとしては、ペットボトル、ガラスびんが例示される。ベルト6に載置された複数の資源ごみは、予め定められた回転速度で複数の定滑車7が回転することにより、予め定められた搬送速度で搬送方向14に並進するように搬送される。複数の資源ごみは、搬送方向14に並進することにより、入口を介して筐体21の内部空間26に進入し、出口を介して筐体21の内部空間26から退去する。
【0025】
図4は、制御装置31がロボユニット11とオプトユニット12とを制御する動作を示すフローチャートである。制御装置31がロボユニット11とオプトユニット12とを制御する動作は、搬送装置3が資源ごみを搬送する動作と並行して実行される。制御装置31は、複数の光源25を制御することにより、複数の光源25を点灯する(ステップS1)。複数の光源25から発光された光は、反射部材24の表面を乱反射することにより、搬送装置3により搬送される複数の資源ごみに投光される。すなわち、照明機器23は、複数の光源25から発光された光が反射部材24を乱反射することにより、画像の視点を取り囲む面光源から発光された光を、内部空間26に進入した複数の資源ごみに投光し、複数の資源ごみを照明する。
【0026】
制御装置31は、照明機器23により複数の資源ごみが照明されているときに、カメラ22を制御することにより、複数の資源ごみが写る画像を撮像する(ステップS2)。制御装置31は、複数の資源ごみの画像が撮像された後に、複数の光源25を制御することにより、複数の光源25を消灯する(ステップS3)。制御装置31は、複数の資源ごみの画像が撮像された時刻に対応付けて、その撮像された画像を記憶装置32に記録する。制御装置31は、その記録された画像を画像処理することにより、複数の物体をそれぞれ写す複数の像を画像から抽出する(ステップS4)。
【0027】
制御装置31は、ステップS1~S4の処理が終了したタイミングから、予め定められた経過時間が経過した後に、ステップS1~S4と同様にして、複数の資源ごみの画像を撮像して複数の物体をそれぞれ写す複数の像を抽出する(ステップS5~S8)。制御装置31は、ステップS5~S8の処理が終了したタイミングから、予め定められた経過時間が経過した後に、ステップS1~S4と同様にして、複数の資源ごみの画像を撮像して複数の物体をそれぞれ写す複数の像を抽出する(ステップS9~S12)。
【0028】
制御装置31は、ステップS4、S8、S12で抽出された複数の像に基づいて、複数の像がそれぞれ写し出す複数の物体の各々が分別対象であるか否かを判定する(ステップS13)。制御装置31は、分別対象を写す像がある画像に映し出されているときに、その画像を画像処理することにより、その分別対象の重心が配置される位置を算出する(ステップS14)。制御装置31は、分別対象を写す像がある画像に映し出されているときに、さらに、その画像を画像処理することにより、分別対象が形成される材料を判別する(ステップS15)。
【0029】
制御装置31は、ステップS15で判別された材料に基づいて、分別対象が複数のピッキングロボット15のどのピッキングロボットの把持対象であるかを判定する(ステップS16)。制御装置31は、分別対象が対象ピッキングロボットの把持対象であると判定されたときに、把持タイミングと把持位置とを算出する(ステップS17)。把持タイミングは、把持対象が写る画像が撮像された撮像時刻と、その撮像時刻に把持対象の重心が配置される位置と、搬送速度と、対象ピッキングロボットのY軸方向における位置とに基づいて算出される。把持タイミングは、対象ピッキングロボットの吸引パッド16の可動域を把持対象が通過するタイミングを示している。把持位置は、把持タイミングに把持対象の重心が配置される位置を示し、すなわち、対象ピッキングロボットの吸引パッド16の可動部のうちの把持対象が通過する位置を示している。
【0030】
制御装置31は、対象ピッキングロボットのX軸アクチュエータ17を制御することにより、対象ピッキングロボットの吸引パッド16を把持準備位置に配置する(ステップS18)。把持準備位置は、把持位置の上側であり、把持準備位置のX軸方向におけるX軸位置は、把持位置のX軸方向におけるX軸位置に等しい。すなわち、把持準備位置に配置された吸引パッド16がX軸に正射影された図形は、把持位置に配置された把持対象がX軸に正射影された図形に重なっている。制御装置31は、吸引パッド16が把持準備位置に配置された後に、電磁弁を制御することにより、吸引パッド16を吸引ポンプに接続し、吸引パッド16の開口部から空気を吸引する(ステップS19)。
【0031】
制御装置31は、対象ピッキングロボットのZ軸アクチュエータ18を制御することにより、対象ピッキングロボットの吸引パッド16の開口部を把持位置に把持タイミングに配置する(ステップS20)。吸引パッド16は、吸引パッド16の開口部が把持タイミングに把持位置に配置されることにより、把持対象に接触する。把持対象は、吸引パッド16の開口部に接触するときに、吸引パッド16の開口部から空気が吸引されていることにより、吸引パッド16に把持される。制御装置31は、吸引パッド16が把持位置に配置された後に、Z軸アクチュエータ18を制御することにより、吸引パッド16を把持準備位置に配置する(ステップS21)。把持対象は、吸引パッド16が把持準備位置に配置されることにより、ベルト6から持ち上げられる。
【0032】
制御装置31は、吸引パッド16が把持準備位置に配置されているときに、対象ピッキングロボットの把持センサ19を制御することにより、把持対象が吸引パッド16に適切に把持されているか否かを判定する(ステップS22)。制御装置31は、把持対象が吸引パッド16に適切に把持されているときに(ステップS22、成功)、X軸アクチュエータ17を制御することにより、対象ピッキングロボットの投棄ケースの上側のイニシャル位置に吸引パッド16を配置する(ステップS23)。
【0033】
制御装置31は、吸引パッド16がイニシャル位置に配置された後に、電磁弁を制御することにより、吸引パッド16と吸引ポンプとの接続を遮断し、吸引パッド16の開口部から空気が吸引されないようにする(ステップS24)。吸引パッド16に把持された把持対象は、吸引パッド16の開口部から空気が吸引されなくなることにより、吸引パッド16から解放され、落下し、対象ピッキングロボットの投棄ケースに入れられる。制御装置31は、把持対象が吸引パッド16に適切に把持されていないときに(ステップS22、失敗)、電磁弁を制御することにより、電磁弁を閉鎖し、吸引パッド16の開口部から空気が吸引されないようにする(ステップS24)。制御装置31は、撮像された画像に複数の把持対象が写っているときに、ステップS18~S24の処理を繰り返して実行する。
【0034】
図5は、カメラ22により撮像された被写体29の画像41を示す図である。画像41は、被写体29を写す像42を映し出している。像42は、白飛び領域43を含んでいる。白飛び領域43は、像42のうちの白飛びが発生している領域であり、白一色に塗りつぶされた領域である。すなわち、白飛び領域43に含まれる画素の各々が示す赤の階調値と緑の階調値と青の階調値とは、それぞれ上限値を示している。このような白飛びは、被写体29の表面が光沢を有するときに、照明機器23から被写体29に投光された光が被写体29の表面を鏡反射することにより発生する。
【0035】
像42の面積に対する白飛び領域43の面積の割合は、照明機器23が面光源から発光された光が被写体29に投光され、予め定められた値より大きくなっている。すなわち、照明機器23の反射部材24は、像42の面積に対する白飛び領域43の面積の割合が、予め定められた値より大きくなるように、形成されている。さらに、照明機器23の複数の光源25は、像42に白飛び領域43が含まれるように、複数の光源25から発光される光の光量が予め定められた値より大きくなるように、設定されている。
【0036】
像42には、画像41から像42を抽出することを阻害する邪魔な像が映し出されていることがある。たとえば、像42には、被写体29の表面にフィルムが貼付されたり被写体29の表面に文字や絵、写真などの画像がプリントされたりしているときに、その像が映し出されることがある。さらに、像42には、光を透過する材料から被写体29が形成されているときに、被写体29を透過する光により、被写体29の奥の背景が映し出されることがある。光を透過する材料としては、ポリエチレンテレフタラートPET(polyethylene terephthalate)、ガラスが例示される。制御装置31は、像42に邪魔な像が映し出されるときに、背景の像により被写体29を写す像42を誤って抽出することがある。制御装置31は、画像41から被写体29の像が誤って抽出されたときに、被写体29の重心の位置を適切に算出しないことがある。物体処理装置1は、被写体29の重心の位置が適切に算出されないときに、被写体29を適切に把持しないことがある。
【0037】
制御装置31は、像42の面積に対する白飛び領域43の面積の割合が大きいことにより、像42の面積に対する邪魔な像の面積の割合を相対的に小さくすることができる。制御装置31は、邪魔な像の面積が小さいことにより、画像41から像42を適切に抽出する確率を向上させることができ、被写体29の位置の誤認識を防止することができる。物体処理装置1は、被写体29の位置が適切に算出されることにより、被写体29を適切に把持することができ、被写体29を適切に分別することができる。
【0038】
[実施例1の物体認識装置10の効果]
実施例1の物体認識装置10は、照明機器23とカメラ22と位置算出部37とを備えている。照明機器23は、面光源から被写体29に投光される光を用いて被写体29を照明する。カメラ22は、被写体29を写す像42に白飛びが発生するように、被写体29の画像41を撮像する。位置算出部37は、画像41を画像処理することにより、被写体29が配置される位置を算出する。
【0039】
実施例1の物体認識装置10は、被写体29を写す像42に白飛びが発生することにより、被写体29の表面にプリントされた画像が像42に映り込むことを抑制することができ、被写体29を透過した光により像42に映り込むことを抑制することができる。実施例1の物体認識装置10は、邪魔な像が像42に映り込むことが抑制されることにより、被写体29が写る画像41から被写体29の像42を適切に抽出することができる。実施例1の物体認識装置10は、被写体29の画像41から被写体29の像42が適切に抽出されることにより、画像41に基づいて被写体29が配置される位置を適切に算出することができる。
【0040】
実施例1の物体処理装置1は、物体認識装置10と吸引パッド16とX軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18と把持制御部39とを備えている。X軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18とは、吸引パッド16を移動させる。把持制御部39は、吸引パッド16が被写体29を把持するように、位置算出部37により算出された位置に基づいてX軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18とを制御する。実施例1の物体処理装置1は、物体認識装置10が被写体29の位置を適切に算出することにより、被写体29を適切に把持することができ、複数の資源ごみを適切に分別することができる。
【0041】
また、実施例の物体処理装置1では、搬送装置3により被写体29が搬送されている。把持制御部39は、画像41が撮像された撮像タイミングに基づいて算出された把持タイミングで吸引パッド16が被写体29を把持するように、X軸アクチュエータ17とZ軸アクチュエータ18とを制御する。実施例1の物体処理装置1は、被写体29が搬送されている場合でも、画像41が撮像された撮像タイミングに基づいて被写体29が吸引パッド16の可動域を通過する把持タイミングを撮像タイミングに基づいて適切に算出することができる。実施例1の物体処理装置1は、把持タイミングが適切に算出されることにより、被写体29を適切に把持することができ、複数の資源ごみを適切に分別することができる。
【0042】
また、実施例1の物体認識装置10の照明機器23は、画像41の視点を取り囲む反射部材24と、反射部材24に光を投光する複数の光源25とを備えている。照明機器23は、反射部材24を乱反射する光を被写体29に投光する。すなわち、照明機器23は、間接照明から形成されている。物体認識装置10は、照明機器23が間接照明から形成されることにより、被写体29を照明する面光源を適切に作製されることができ、被写体29の像42に白飛びを適切に発生させることができる。
【0043】
ところで、既述の実施例1の物体認識装置10の照明機器23は、筐体21の内側表面の全部からなる面光源を用いて被写体29を照明しているが、筐体21の内側表面の一部からなる面光源を用いて被写体29を照明する他の照明機器に置換されてもよい。
【実施例2】
【0044】
実施例2の物体認識装置は、図6に示されているように、既述の実施例1の物体認識装置10の照明機器23が他の照明機器51に置換され、他の部分は、既述の実施例1の物体認識装置10と同じである。図6は、実施例2の物体認識装置の照明機器51を示す断面図である。照明機器51は、導光板52と複数の光源53とを備えている。導光板52は、平坦である板状に形成されている。導光板52は、筐体21のうちのベルト6に対向する天井面を覆い、カメラ22を取り囲むように配置され、すなわち、カメラ22が撮像する画像の視点を取り囲むように配置されている。複数の光源53は、導光板52の縁に配置され、発光することにより導光板52の端面に光を投光する。導光板52の端面に投光された光は、導光板52の内部に広がり、導光板52のうちのベルト6に対向する面で概ね均一に拡散する。すなわち、照明機器51は、導光板52の端面に投光された光が導光板52の表面で拡散することにより、カメラ22の視点を取り囲む面光源から被写体を照明する。
【0045】
実施例2の物体認識装置は、このような照明機器51が設けられた場合でも、面光源から被写体を照明することができ、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、被写体を写す像に白飛びが発生するように、被写体の画像を撮像することができる。実施例2の物体認識装置は、被写体を写す像に白飛びが発生することにより、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、邪魔な像が被写体の像に映り込むことを抑制し、被写体が写る画像から被写体の像を適切に抽出することができる。実施例2の物体認識装置は、画像から被写体の像が適切に抽出されることにより、画像を画像処理することにより被写体の位置を適切に算出することができる。
【実施例3】
【0046】
実施例3の物体認識装置は、図7に示されているように、既述の実施例1の物体認識装置の筐体21と照明機器23とがドーム型筐体61と他の照明機器62とに置換されている。図7は、実施例3の物体認識装置のドーム型筐体61と照明機器62を示す断面図である。ドーム型筐体61は、半球状に形成され、既述の筐体21と比較して形状のみが異なり、筐体21と同様に機能する。ドーム型筐体61の内部には、内部空間63が形成されている。
【0047】
照明機器62は、反射部材64と複数の光源65とを備えている。反射部材64は、ドーム型筐体61のうちの内部空間63に面する内側表面の概ね全部を覆い、カメラ22を取り囲むように配置され、すなわち、カメラ22が撮像する画像の視点を取り囲むように配置されている。反射部材64は、反射部材64に投光される光を乱反射させる。複数の光源65は、ドーム型筐体61の内部のうちのベルト6に近い下側に配置され、発光することにより反射部材64に光を投光する。
【0048】
実施例3の物体認識装置は、このような照明機器62が設けられた場合でも、面光源から被写体を照明することができ、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、被写体を写す像に白飛びが発生するように、被写体の画像を撮像することができる。実施例3の物体認識装置は、被写体を写す像に白飛びが発生することにより、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、邪魔な像が被写体の像に映り込むことを抑制し、被写体が写る画像から被写体の像を適切に抽出することができる。実施例3の物体認識装置は、画像から被写体の像が適切に抽出されることにより、画像を画像処理することにより被写体の位置を適切に算出することができる。
【0049】
なお、既述の照明機器23、51、62は、面光源から発光される光を用いて被写体を照明するさらに他の照明機器に置換されてもよい。その照明機器としては、磨りガラスが設けられた照明機器が例示される。その照明機器は、光源と磨りガラスとを備えている。光源は、被写体に向けて光を投光するように、配置されている。磨りガラスは、カメラ22を取り囲むように、光源と被写体との間に配置されている。光源から発光された光は、磨りガラスに投光され、磨りガラスにより散乱し、磨りガラスから概ね均一に被写体に投光される。すなわち、その照明機器は、面光源から被写体を照明することができる。この照明機器が設けられた物体認識装置も、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、被写体を写す像に白飛びが発生するように、被写体の画像を撮像することができる。
【0050】
ところで、既述の実施例の物体認識装置の照明機器は、カメラ22を取り囲む面光源から光を被写体に投光しているが、カメラ22を取り囲んでいない面光源から光を被写体に投光する他の照明機器に置換されてもよい。このような照明機器が設けられた物体認識装置も、既述の実施例1の物体認識装置10と同様に、被写体を写す像に白飛びが発生するように、被写体の画像を撮像することができる。
【0051】
物体処理装置1は、物体認識装置にこれらの照明機器が設けられた場合でも、被写体の位置が適切に算出されることにより、被写体を適切に把持することができ、資源ごみを適切に分別することができる。
【0052】
また、実施例1の物体認識装置10の照明機器23は、画像41に白飛びが発生するように、被写体29に投光される光の光量が設定されている。物体認識装置10は、被写体29に投光される光の光量が大きく設定されることにより、カメラ22の設定を調整することなく、被写体29の像42に白飛びを適切に発生させることができる。
【0053】
ところで、既述の実施例1の物体認識装置10は、照明機器23から被写体29に投光される光の光量を大きくすることにより被写体の像に白飛びを発生させているが、他の設定により被写体の像に白飛びを発生させてもよい。たとえば、物体認識装置10は、カメラ22の露出が補正されることにより、被写体の像に白飛びを発生させることができる。また、物体認識装置10は、被写体の画像を画像処理することにより、被写体の像に白飛びを発生させることができる。物体認識装置10は、被写体の像に白飛びをこのように発生させた場合でも、被写体の画像から被写体の像を適切に抽出することができる。
【0054】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 :物体処理装置
2 :資源ごみ自動分別装置
3 :搬送装置
10:物体認識装置
16:吸引パッド
17:X軸アクチュエータ
18:Z軸アクチュエータ
22:カメラ
23:照明機器
24:反射部材
25:複数の光源
37:位置算出部
39:把持制御部
41:画像
42:像
43:白飛び領域
51:照明機器
52:導光板
53:複数の光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7