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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】容器検査装置及びブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/896 20060101AFI20240221BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G01N21/896
G01N21/89 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023026968
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2024-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
(72)【発明者】
【氏名】小田 将蔵
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-160774(JP,A)
【文献】特開2021-128033(JP,A)
【文献】特開2010-101672(JP,A)
【文献】特開2014-35185(JP,A)
【文献】特開平11-325854(JP,A)
【文献】特開2019-39762(JP,A)
【文献】特開2019-31302(JP,A)
【文献】特開2001-41900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0098191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B65B 1/00 - B65B 69/00
B65D 1/00 - B65D 90/66
G01B 11/00 - G01B 11/30
A61J 1/00 - A61J 3/10
G03B 1/00 - G03B 42/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列に並んだ状態で搬送される複数の容器における側壁部を検査するための容器検査装置であって、
複数の前記容器に対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された光を撮像するための撮像素子と、
前記照射手段から照射されて、前記側壁部におけるその周方向に連続する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を変換可能な光路変換シートと、
前記光路変換シートにより光路が変換された光を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記撮像素子に結像した光により得られた画像データに基づき、前記側壁部の良否を判定可能な判定手段とを備え、
前記光路変換シートは、前記撮像素子側から見て、前記容器の複数列に跨るように構成されるとともに、前記容器の搬送方向に沿って複数設けられており、
複数の前記光路変換シートは、それぞれ異なる前記一側壁領域に対応するものであって、対応する前記一側壁領域を反射又は透過した光の光路を、前記結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されており、
それぞれの前記光路変換シートが対応する複数の前記一側壁領域によって、前記側壁部の全周がカバーされるように構成されていることを特徴とする容器検査装置。
【請求項2】
前記結像光学系は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されるとともに、前記撮像素子に結像される光を調節可能な絞りを有することを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項3】
前記結像光学系は、前記光路変換シートにより光路が変換された光を集光するための物体側レンズを有し、
前記物体側レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項4】
前記光路変換シートにおける表面には、平行に並んだ複数の突条部が形成されており、
前記突条部は、
該突条部の延びる方向と直交する断面において、前記光路変換シートの平坦な裏面に対してなす角の角度が80°以上95°以下の略垂直面と、
前記断面において、前記裏面に対してなす角の角度が10°以上55°以下の傾斜面とを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項5】
前記照射手段は、複数の前記光路変換シート間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項6】
複数の前記容器は、前記側壁部の端縁部から外側に延出するフランジ部によって連結されており、
前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、前記フランジ部を反射又は透過した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、前記フランジ部の良否を判定可能であることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項7】
前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、前記容器の底壁部を反射又は透過した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、前記底壁部の良否を判定可能であることを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項8】
容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記容器フィルムを搬送することで、前記ポケット部を複数列に並んだ状態で搬送する搬送手段と、
前記ポケット部に対し前記内容物を充填する充填手段と、
請求項1に記載の容器検査装置とを備え、
前記容器検査装置は、前記容器フィルムの搬送経路に沿って前記ポケット部形成手段と前記充填手段との間に設けられ、前記容器としての前記ポケット部に係る前記側壁部の良否を判定するように構成されていることを特徴とするブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の側壁部の検査を行うための容器検査装置、及び、容器検査装置を備えたブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の内容物(例えば、薬品や食品など)を収容する容器が広く用いられている。ここでいう容器には、その他の容器と連結されていないもののみならず、その他の容器と連結されているものも含まれる。例えば、錠剤などを収容するための複数のポケット部と、これらポケット部の開口側端縁部同士を連結するフランジ部とを備えた容器フィルムにおいて、ポケット部は容器に相当するといえる。
【0003】
ところで、容器に傷(破れなど)や孔部(ピンホールと呼ばれる比較的小さな孔や、比較的大きな孔など)が生じてしまうと、内容物のシール性が損なわれるおそれがある。また、容器に異物や汚れが付着してしまうと、内容物の衛生性や安全性が損なわれるおそれがある。そこで、容器検査装置を用いた容器の検査が広く行われている。
【0004】
容器検査装置としては、容器の底壁部と比べて検査を行いにくい、容器の側壁部を検査可能なものが知られている。このような容器検査装置としては、容器(紙コップ)の開口の直上方に配置される広角レンズと、該広角レンズを通して容器の側壁部からの反射光が入射されるイメージセンサとを備えたものがある(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
また、容器の側壁部を検査可能な容器検査装置としては、平面視したときに容器フィルムを間に置く位置に配置され、容器(ポケット部)の斜め上方から該容器の側壁部を撮像する一対のカメラと、これらカメラによって得られた画像データに基づき、容器における孔部(ピンホール)の有無を判定する判定手段とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この容器検査装置では、一方のカメラによって、側壁部のうち該一方のカメラ側を向く部位(「左側壁部」という)が撮像され、他方のカメラによって、側壁部のうち該他方のカメラ側を向く部位(「右側壁部」という)が撮像される。
【0006】
さらに、容器の側壁部を検査可能な容器検査装置としては、プリズムシート(集光シート)を介して容器(ポケット部)を撮像するカメラを有し、該カメラにより得られた画像データに基づき、容器の側壁部における孔部の有無を判定するものも提案されている(例えば、特許文献3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-243574号公報
【文献】特開2021-128033号公報
【文献】特開2015-94694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に係る容器検査装置では、1つの広角レンズ及び1つのイメージセンサを備えた装置(つまり、1台のカメラ)により撮像可能な容器は1つに限られる。そのため、複数の容器を一度に検査することができず、検査効率が低い。
【0009】
これに対し、上記特許文献2に係る容器検査装置では、一対のカメラによって複数の容器を一度に撮像し、これら容器を一度に検査することができる。しかし、この容器検査装置では、容器フィルムの幅方向に沿った容器の位置によって、画像データにおける左側壁部や右側壁部の各大きさが変動する。例えば、カメラから離れた側であって容器フィルムの幅方向端縁側に位置する容器の左側壁部又は右側壁部は、画像データにおいて比較的小さな面積となる。そのため、容器の位置によって、検査精度にばらつきが生じるおそれがある。
【0010】
加えて、上記特許文献3に係る容器検査装置において、プリズムシートを介して得られた画像データはぼやけたものとなりやすい。そのため、仮に側壁部に異物や傷、汚れなどが付着していても、ぼやけた画像データから異物や傷、汚れなどの有無を精度よく判定することは難しい。さらに、画像データに基づき孔部(高輝度部分)の有無を判定することはできるが、画像データから孔部の位置を特定することは困難である。つまり、上記特許文献3に係る容器検査装置では、不良部分(異物や傷、汚れ)の有無に係る判定精度が低くなったり、不良部分(孔部)の有無を判定することができても、その位置を正確に特定することができなかったりするおそれがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査効率の向上や検査精度のばらつき抑制を図りつつ、側壁部における不良部分の有無を精度よく判定可能であるとともに、不良部分の位置をより正確に特定することができる容器検査装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.複数列に並んだ状態で搬送される複数の容器における側壁部を検査するための容器検査装置であって、
複数の前記容器に対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された光を撮像するための撮像素子と、
前記照射手段から照射されて、前記側壁部におけるその周方向に連続する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を変換可能な光路変換シートと、
前記光路変換シートにより光路が変換された光を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記撮像素子に結像した光により得られた画像データに基づき、前記側壁部の良否を判定可能な判定手段とを備え、
前記光路変換シートは、前記撮像素子側から見て、前記容器の複数列に跨るように構成されるとともに、前記容器の搬送方向に沿って複数設けられており、
複数の前記光路変換シートは、それぞれ異なる前記一側壁領域に対応するものであって、対応する前記一側壁領域を反射又は透過した光の光路を、前記結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されており、
それぞれの前記光路変換シートが対応する複数の前記一側壁領域によって、前記側壁部の全周がカバーされるように構成されていることを特徴とする容器検査装置。
【0014】
上記手段1によれば、光路変換シートは、撮像素子側から見て、容器の複数列に跨るように構成されている。そして、光路変換シートによって、複数の容器を反射又は透過した光の光路が変換されるとともに、その光路の変換された光が結像光学系を経て撮像素子によって撮像される。従って、複数の容器を一度に検査することができ、検査効率を向上させることができる。
【0015】
また、上記手段1によれば、それぞれの光路変換シートが対応する複数の一側壁領域によって、容器における側壁部の全周がカバーされる。そのため、側壁部の全周を検査することができる。
【0016】
加えて、上記手段1によれば、複数の光路変換シートは、それぞれ異なる一側壁領域に対応するものであって、対応する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を、結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換する。そして、結像光学系によって、光路変換シートにより光路が変換された光を撮像素子に結像させることで、撮像素子が得られる。そのため、容器を斜めから撮像する従来技術と比べて、画像データにおいて、一側壁領域の大きさ(面積)が容器の位置によってばらつくことをより確実に防止できる。これにより、容器の位置による検査精度のばらつきを抑制することができる。また、画像データにおける一側壁領域に係る部分に対し、容器におけるその他の部分を反射した光の影響が及ぶことを抑制でき、画像データにおいて、一側壁領域に係る部分や該一側壁領域に位置する不良部分(例えば、汚れや異物、孔部など)の輪郭・形状をより明瞭なものとすることができる。その結果、側壁部における不良部分の有無を精度よく判定可能であるとともに、不良部分の位置をより正確に特定することができる。
【0017】
手段2.前記結像光学系は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されるとともに、前記撮像素子に結像される光を調節可能な絞りを有することを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0018】
上記手段2によれば、絞りによって、光路変換シートにより光路が変換された光のうち、撮像素子に結像される光を調節することができる。従って、検査を行う上で適切な画像データをより確実にかつより容易に得ることができる。
【0019】
手段3.前記結像光学系は、前記光路変換シートにより光路が変換された光を集光するための物体側レンズを有し、
前記物体側レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0020】
上記手段3によれば、物体側レンズはフレネルレンズであるため、物体側レンズの厚さを比較的小さなものとすることができる。これにより、装置の大型化を抑制することができるとともに、装置の設置に係る自由度を高めることができる。
【0021】
手段4.前記光路変換シートにおける表面には、平行に並んだ複数の突条部が形成されており、
前記突条部は、
該突条部の延びる方向と直交する断面において、前記光路変換シートの平坦な裏面に対してなす角の角度が80°以上95°以下の略垂直面と、
前記断面において、前記裏面に対してなす角の角度が10°以上55°以下の傾斜面とを備えることを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0022】
上記手段4によれば、各光路変換シートにおいて、対応する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を、結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させることがより確実に可能となる一方、容器におけるその他の部分を反射又は透過した光の光路が、前記光軸方向に沿った光路に変換させられることをより効果的に防止できる。これにより、画像データにおいて、一側壁領域に係る部分や不良部分の輪郭・形状をより確実に明瞭なものとすることができる。その結果、側壁部における不良部分の有無を一層精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置を一層正確に特定することができる。
【0023】
手段5.前記照射手段は、複数の前記光路変換シート間に配置されていることを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0024】
上記手段5によれば、光路変換シート間に照射手段を収めることができるため、装置の小型化を図ることができる。
【0025】
手段6.複数の前記容器は、前記側壁部の端縁部から外側に延出するフランジ部によって連結されており、
前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、前記フランジ部を反射又は透過した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、前記フランジ部の良否を判定可能であることを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0026】
上記手段6によれば、容器の側壁部のみならず、容器同士を連結するフランジ部に関する検査をも行うことができる。従って、容器及びフランジ部を別々に検査する場合と比べて、検査効率をより向上させることができる。
【0027】
手段7.前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、前記容器の底壁部を反射又は透過した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、前記底壁部の良否を判定可能であることを特徴とする手段1に記載の容器検査装置。
【0028】
上記手段7によれば、容器の側壁部のみならず、容器の底壁部に関する検査をも行うことができる。従って、容器の検査に係る効率性をより高めることができる。
【0029】
手段8.容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であって、
帯状の前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記容器フィルムを搬送することで、前記ポケット部を複数列に並んだ状態で搬送する搬送手段と、
前記ポケット部に対し前記内容物を充填する充填手段と、
手段1に記載の容器検査装置とを備え、
前記容器検査装置は、前記容器フィルムの搬送経路に沿って前記ポケット部形成手段と前記充填手段との間に設けられ、前記容器としての前記ポケット部に係る前記側壁部の良否を判定するように構成されていることを特徴とするブリスタ包装機。
【0030】
上記手段8によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0031】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段3に係る技術事項を組み合わせてもよい。また、例えば、上記手段8に係る技術事項に対し、上記手段2~7のうちの少なくとも1つに係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】容器検査装置の概略構成を示すブロック図である。
図6】容器検査装置の斜視図である。
図7図6のJ-J線断面模式図である。
図8図6のK-K線断面模式図である。
図9】容器フィルム及び光路変換シートの平面模式図である。
図10】突条部の延びる方向を示すための光路変換シートの斜視模式図である。
図11】一側壁領域について説明するための拡大平面模式図である。
図12】一側壁領域について説明するための拡大平面模式図である。
図13】光路変換シートの拡大断面模式図である。
図14】第一ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図15】第一ポジションに位置するポケット部を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図16】ポケット部の搬送方向と平行な断面をとった場合において、第二ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図17】ポケット部の搬送方向と直交する断面をとった場合において、第二ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図18】第二ポジションに位置するポケット部を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図19】第三ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図20】第三ポジションに位置するポケット部を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図21】ポケット部の搬送方向と平行な断面をとった場合において、第四ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図22】ポケット部の搬送方向と直交する断面をとった場合において、第四ポジションに位置するポケット部を撮像するときの容器検査装置を示す断面模式図である。
図23】第四ポジションに位置するポケット部を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図24】別の実施形態における照明装置を示すための断面模式図である。
図25】別の実施形態における光路変換シートを示すための斜視模式図である。
図26】別の実施形態において、複数の光路変換シート間からフランジ部を撮像可能な容器検査装置を示す断面模式図である。
図27】別の実施形態において、複数の光路変換シート間から底壁部を撮像可能な容器検査装置を示す断面模式図である。
図28】別の実施形態において、ポケット部の突出部側に配置された容器検査装置を示す断面模式図である。
図29】別の実施形態において、光路変換シート間に照明装置を配置した容器検査装置を示す断面模式図である。
図30】別の実施形態において、光路変換シートの表裏を変更した容器検査装置を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0034】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態では、ポケット部2が「容器」に相当する。
【0035】
ポケット部2は、平面視矩形状をなし、平坦な底壁部2aと、該底壁部2aの最外周部に連なる矩形筒状の側壁部2bとを有している。側壁部2bは、ポケット部2の開口側に向けて徐々に広がる形状をなしている。
【0036】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。容器フィルム3は、所定の厚さ(例えば、120μm以上300μm以下)を有している。
【0037】
また、容器フィルム3は、側壁部2bの端縁部から外側に延出形成され、複数のポケット部2同士を連結する平坦状のフランジ部3aを有している。フランジ部3aは、カバーフィルム4の取着対象となる部位である。
【0038】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0039】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された、「ブリスタフィルム」としての帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0040】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0041】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」に相当する。
【0042】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0043】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。尚、図4においては、便宜上、ポケット部2は丸みを帯びて表現されている。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。本実施形態では、ポケット部形成装置16が「ポケット部形成手段」を構成する。
【0044】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。フィルム受けロール20によって容器フィルム3が搬送されることで、ポケット部2は複数列に並んだ状態で搬送される。本実施形態では、フィルム受けロール20が「搬送手段」を構成する。
【0045】
テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0046】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、容器検査装置21及び充填装置22が順に配設されている。本実施形態では、充填装置22が「充填手段」を構成する。
【0047】
容器検査装置21は、容器フィルム3の搬送経路に沿ってポケット部形成装置16と充填装置22との間に設けられ、少なくともポケット部2の側壁部2bの検査を行う。容器検査装置21の詳細については後述する。
【0048】
充填装置22は、例えば所定間隔毎にシャッタを開いて錠剤5を自由落下させること等により各ポケット部2に錠剤5を充填する。
【0049】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0050】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0051】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0052】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0053】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0054】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0055】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、容器検査装置21によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0056】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0057】
次に、容器検査装置21について説明する。容器検査装置21は、複数列に並んだ状態で搬送されるポケット部2の側壁部2bを検査するためのものである。容器検査装置21は、図5~8に示すように、照明装置51、光路変換シート52a,52b,52c,52d、物体側レンズ53、カメラ54及び画像処理装置55を備えている。尚、容器検査装置21は、画像処理装置55に記憶された情報を表示するための表示手段や、画像処理装置55へと情報を入力するための入力手段(例えばキーボード等)を備えていてもよい。本実施形態では、照明装置51が「照射手段」を構成し、画像処理装置55が「判定手段」を構成する。尚、以下では、光路変換シート52a,52b,52c,52dを「光路変換シート52a~52d」と簡略化して表記することがある。
【0058】
照明装置51は、複数のポケット部2に対し所定の光(例えば紫外光など)を照射する。照明装置51は、例えばLED等からなる光源51aと、導光板51bとを備えている。導光板51bは、光源51aから発せられる光を容器フィルム3(ポケット部2)へと導くためのものである。本実施形態では、照明装置51から容器フィルム3(ポケット部2)に照射される光の波長は、厚さが正常な容器フィルム3(ポケット部2)を透過しない波長とされている。尚、導光板51bとしては、例えばアクリル等からなる薄板の表面に、印刷や超音波などによってドット加工を施したものであって、面発光可能なもの等を挙げることができる。
【0059】
加えて、導光板51bは、光源51aからの光によって、容器フィルム3(ポケット部2)側へ発光する一方、容器フィルム3(ポケット部2)とは反対側(カメラ54側)には発光しないものとされている。また、導光板51bは、容器フィルム3(ポケット部2)を反射した光を透過可能に構成されている。
【0060】
光路変換シート52a~52dは、側壁部2bにおけるその周方向に連続する一側壁領域AR1,AR2,AR3,AR4(図11,12参照)を反射した光の光路を、後述する結像光学系56の光軸OA方向に沿った光路(光軸OAと平行な光路)に変換するためのものである。尚、以下では、一側壁領域AR1,AR2,AR3,AR4を「一側壁領域AR1~AR4」と簡略化して表記することがある。
【0061】
光路変換シート52a~52dは、照明装置51及び容器フィルム3(ポケット部2)間に配置されるとともに、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向に沿って一定の間隔で設けられている。また、光路変換シート52a~52d〔特に平坦な裏面52r(図13参照)〕は、光軸OAと直交し、ポケット部2の搬送方向に対し平行となるように設定されている。さらに、光路変換シート52a~52dは、カメラ54(後述する撮像素子54c)側から見て、ポケット部2の複数列(本実施形態では5列)に跨るようにして設けられている(図9参照)。
【0062】
加えて、光路変換シート52a~52dは、それぞれ異なる一側壁領域AR1~AR4に対応するものであって、対応する一側壁領域AR1~AR4を反射した光の光路を、光軸OA方向に沿った方向に変換する。そして、光路変換シート52a~52dが対応する一側壁領域AR1~AR4によって、側壁部2bの全周がカバーされるようになっている。
【0063】
本実施形態において、光路変換シート52aが対応する一側壁領域AR1は、側壁部2bのうち、下流側側壁部2b1の全域と、左側側壁部2b2の一部と、右側側壁部2b3の一部とで構成される領域(図11における鎖線を付した領域)である。下流側側壁部2b1は、側壁部2b1における容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向下流側の部位である。また、左側側壁部2b2は、側壁部2bにおける容器フィルム3の幅方向一端側の部位であり、右側側壁部2b3は、側壁部2bにおける容器フィルム3の幅方向他端側の部位である。
【0064】
また、光路変換シート52bが対応する一側壁領域AR2は、側壁部2bのうち、右側側壁部2b3の全域と、下流側側壁部2b1の一部と、上流側側壁部2b4の一部とで構成される領域(図12における鎖線を付した領域)である。上流側側壁部2b4は、側壁部2b1における容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向上流側の部位である。
【0065】
さらに、光路変換シート52cが対応する一側壁領域AR3は、側壁部2bのうち、上流側側壁部2b4の全域と、左側側壁部2b2の一部と、右側側壁部2b3の一部とで構成される領域(図11における散点を付した領域)である。
【0066】
加えて、光路変換シート52dが対応する一側壁領域AR4は、側壁部2bのうち、左側側壁部2b2の全域と、下流側側壁部2b1の一部と、上流側側壁部2b4の一部とで構成される領域(図12における散点を付した領域)である。
【0067】
さらに、光路変換シート52a~52dにおける容器フィルム3(ポケット部2)側に配置される面には、平行に並んだ複数の突条部52tが形成されている。尚、光路変換シート52a~52dの表面とは、突条部52tが形成された面をいう。
【0068】
図13に示すように、突条部52tは、該突条部52tの延びる方向と直交する断面において、略直角三角形状をなすものであり、略垂直面52t1及び傾斜面52t2を備えている。尚、図13では、図示の便宜上、ハッチングを省略している。
【0069】
略垂直面52t1は、前記断面において、光路変換シート52a~52dの平坦な裏面52rに対し略直交する方向に延び、該裏面52rに対してなす角の角度αが80°以上95°以下となる面である。
【0070】
傾斜面52t2は、前記断面において、前記裏面52rに対し斜め方向に延び、該裏面52rに対してなす角の角度βが10°以上55°以下となる面である。傾斜面52t2にて光が屈折することで、側壁部2bなどを反射した光の光路が、光軸OAに沿った光路に変換される。より詳しくは、傾斜面52t2に対する入射角γが角度βよりも大きな所定角度となる光L1(図13にて太い破線で示す)の光路は、光軸OAに沿った光路に変換される。一方、傾斜面52t2に対する入射角が角度β以下となる光L2,L3の光路は、光軸OAに対し斜めとなった光路に変換され、光軸OAに沿った光路には変換されない。
【0071】
また、光路変換シート52a~52dにおいて、突条部52tの延びる方向は、それぞれ90°ずつ異なるものとなっている(図10参照。図10では突条部52tの延びる方向を矢印で示す)。ここで、突条部52tの延びる方向とは、光路変換シート52a~52dの表面(突条部52tが存在する面)を正面から見た場合(本実施形態では、底面視した場合)において、該突条部52tに沿って進んだときに、該突条部52tに係る略垂直面52t1が右側に位置し、該突条部52tに係る傾斜面52t2が左側に位置するような方向をいう。
【0072】
本実施形態において、光路変換シート52aにおける突条部52tの延びる方向は、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向と直交し、容器フィルム3の幅方向一端側から幅方向他端側に向けた方向(ポケット部2における一端側の列から他端側の列に向けた方向)となっている。
【0073】
また、光路変換シート52bにおける突条部52tの延びる方向は、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向と平行であり、該搬送方向と同一の方向となっている。
【0074】
さらに、光路変換シート52cにおける突条部52tの延びる方向は、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向と直交し、容器フィルム3の幅方向他端側から幅方向一端側に向けた方向(ポケット部2における他端側の列から一端側の列に向けた方向)となっている。
【0075】
加えて、光路変換シート52dにおける突条部52tの延びる方向は、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送方向と平行であり、該搬送方向とは反対の方向となっている。
【0076】
そして、本実施形態において、光路変換シート52aにおける傾斜面52t2に対しては、所定の第一ポジションP1(図14参照)に位置するポケット部2における一側壁領域AR1を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート52aによって、一側壁領域AR1を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0077】
また、光路変換シート52bにおける傾斜面52t2に対しては、所定の第二ポジションP2(図16,17参照)に位置するポケット部2における一側壁領域AR2を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート52bによって、一側壁領域AR2を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0078】
さらに、光路変換シート52cにおける傾斜面52t2に対しては、所定の第三ポジションP3(図19参照)に位置するポケット部2における一側壁領域AR3を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート52cによって、一側壁領域AR3を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0079】
加えて、光路変換シート52dにおける傾斜面52t2に対しては、所定の第四ポジションP4(図21,22参照)に位置するポケット部2における一側壁領域AR4を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート52dによって、一側壁領域AR4を反射した光の光路が、光軸OAに沿った光路に変換される。
【0080】
図7,8に戻り、物体側レンズ53は、カメラ54及び照明装置51間に配置されており、光路変換シート52a~52dにより光路が変換された光を集光するためのものである。本実施形態において、物体側レンズ53は、フレネルレンズにより構成されており、所定の樹脂製の薄板材料に対し、階段状かつ同心円状に鋸刃形状の突起部を形成したものである。各突起部が屈折面として機能することにより、物体側レンズ53は一枚の一般的なレンズと同様に機能する。
【0081】
カメラ54は、容器フィルム3のポケット部2開口側に配置されており、少なくとも照明装置51から照射される光に感度のあるカメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)によって構成されている。カメラ54は、絞り54a、素子側レンズ54b及び撮像素子54cを備えている。
【0082】
絞り54aは、物体側レンズ53と素子側レンズ54bとの間に配置されており、物体側レンズ53から撮像素子54cに入る光の量を制限することで、撮像素子54cの後述する受光面54c1に結像される光を調節する。
【0083】
素子側レンズ54bは、光軸OAと主光線とが平行となるように、物体側レンズ53を通過した光の光路を変換する。
【0084】
撮像素子54cは、例えばCCDエリアセンサやCMOSセンサなどによって構成されており、照明装置51から照射された光を撮像する。撮像素子54cは、複数の受光素子が行列状に二次元配列された受光面54c1を有しており、該受光面54c1は光軸OAと直交した状態となるように設定されている。カメラ54による撮像処理が行われることで、撮像素子54cによって画像データが取得される。取得された画像データは、画像処理装置55へと送られる。
【0085】
また、本実施形態では、物体側レンズ53、絞り54a及び素子側レンズ54bによって、光路変換シート52a~52dにより光路が変換された光を撮像素子54c(受光面54c1)に結像させるための結像光学系56が構成されている。結像光学系56は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されている。つまり、結像光学系56は、物体側レンズ53よりも物体側(ポケット部2側)において光軸OAと主光線とが平行となるように構成されている。尚、本実施形態における結像光学系56は、両側テレセントリック光学系でもある。
【0086】
画像処理装置55は、撮像素子54c(受光面54c1)に結像した光により得られた画像データ(つまりカメラ54により得られた画像データ)に基づき、少なくともポケット部2の側壁部2bの良否を判定する。画像処理装置55は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。画像処理装置55は、図5に示すように、画像メモリ55a、検査結果記憶装置55b、判定用メモリ55c、検査条件記憶装置55d、カメラタイミング制御装置55e及びCPU及び入出力インターフェース55fを備えている。
【0087】
画像メモリ55aは、カメラ54から入力された画像データを記憶する。この画像メモリ55aに記憶された画像データに基づいて、側壁部2bの良否に関する検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。
【0088】
検査結果記憶装置55bは、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。
【0089】
判定用メモリ55cは、検査に用いられる各種情報を記憶する。各種情報には、異物や汚れ、ポケット部2の成形不良(しわ、破れなど)の有無を判定するためのプログラム、良否の判定基準となる各種の判定用数値などが含まれる。
【0090】
検査条件記憶装置55dは、不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0091】
カメラタイミング制御装置55eは、カメラ54の撮像タイミングを制御する。より詳しくは、カメラタイミング制御装置55eは、搬送方向と直交する方向に並ぶ1行分のポケット部2が第一ポジションP1に位置したとき、第二ポジションP2に位置したとき、第三ポジションP3に位置したとき及び第四ポジションP4に位置したときのそれぞれで撮像を行うようにカメラ54を制御する。
【0092】
本実施形態では、第一ポジションP1に位置するポケット部2を撮像することで、一側壁領域AR1に係る部分を含む画像データ(図15参照:尚、図15,18,20,23では画像データの一部のみを示す)が取得される。また、第二ポジションP2に位置するポケット部2を撮像することで、一側壁領域AR2に係る部分を含む画像データ(図18参照)が取得される。さらに、第三ポジションP3に位置するポケット部2を撮像することで、一側壁領域AR3に係る部分を含む画像データ(図20参照)が取得される。加えて、第四ポジションP4に位置するポケット部2を撮像することで、一側壁領域AR4に係る部分を含む画像データ(図23参照)が取得される。このように取得される4種類の画像データは、それぞれ異なる一側壁領域AR1~AR4に係る画像データである。そして、これら4種類の画像データによって、1行分の全てのポケット部2における側壁部2b全周分がカバーされるようになっている。
【0093】
尚、カメラタイミング制御装置55eは、PTP包装機10に設けられた、容器フィルム3(ポケット部2)の搬送量を把握するためのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、カメラ54の撮像タイミングを制御する。
【0094】
CPU及び入出力インターフェース55fは、画像データや良否判定結果などの各種データを入出力する機能と、各種プログラムを実行する機能とを備えている。CPU及び入出力インターフェース55fは、判定用メモリ55cに記憶された情報と、入力された画像データとを用いて、少なくともポケット部2における側壁部2bの良否を判定する。本実施形態では、得られた画像データの全てを対象に所定の良否判定処理が行われることで、ポケット部2ごとに、それぞれ4種類の画像データを用いて、側壁部2b全周における不良部分の有無が判定される。良否判定結果は、検査結果記憶装置55bに記憶される。本実施形態では、ポケット部2に対する異物や汚れの付着の有無、ポケット部2における成形不良(しわ、破れなど)の有無が検査される。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態によれば、複数のポケット部2を一度に検査することができ、検査効率を向上させることができる。
【0096】
また、それぞれの光路変換シート52a~52dが対応する複数の一側壁領域AR1~AR4によって、ポケット部2における側壁部2bの全周がカバーされる。そのため、側壁部2bの全周を検査することができる。
【0097】
加えて、ポケット部2を斜めから撮像する従来技術と比べて、画像データにおいて、一側壁領域AR1~AR4の大きさ(面積)がポケット部2の位置によってばらつくことをより確実に防止できる。これにより、ポケット部2の位置による検査精度のばらつきを抑制することができる。また、画像データにおける一側壁領域AR1~AR4に係る部分に対し、ポケット部2におけるその他の部分を反射した光の影響が及ぶことを抑制でき、画像データにおいて、一側壁領域AR1~AR4に係る部分や該一側壁領域AR1~AR4に位置する不良部分(例えば、汚れや異物など)の輪郭・形状をより明瞭なものとすることができる。その結果、側壁部2bにおける不良部分の有無を精度よく判定可能であるとともに、不良部分の位置をより正確に特定することができる。
【0098】
また、絞り54aによって、光路変換シート52a~52dにより光路が変換された光のうち、撮像素子54cに結像される光を調節することができる。従って、検査を行う上で適切な画像データをより確実にかつより容易に得ることができる。
【0099】
さらに、物体側レンズ53はフレネルレンズであるため、物体側レンズ53の厚さを比較的小さなものとすることができる。これにより、容器検査装置21の大型化を抑制することができるとともに、容器検査装置21の設置に係る自由度を高めることができる。
【0100】
加えて、光路変換シート52a~52dは上述の断面形状を有するため、各光路変換シート52a~52dにおいて、対応する一側壁領域AR1~AR4を反射又は透過した光の光路を、結像光学系56の光軸OA方向に沿った光路に変換させることがより確実に可能となる一方、ポケット部2におけるその他の部分を反射した光の光路が、光軸OA方向に沿った光路に変換させられることをより効果的に防止できる。これにより、画像データにおいて、一側壁領域AR1~AR4に係る部分や不良部分の輪郭・形状をより確実に明瞭なものとすることができる。その結果、側壁部2bにおける不良部分の有無を一層精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置を一層正確に特定することができる。
【0101】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0102】
(a)上記実施形態において、照明装置51が照射する光の波長は、厚さが正常な容器フィルム3(ポケット部2)を透過しない波長とされているが、厚さが正常な容器フィルム3(ポケット部2)を透過可能な波長であってもよい。この場合においても、画像データに基づき、異物や汚れ、ポケット部2における成形不良(しわや破れなど)の有無を判定することができる。
【0103】
(b)上記実施形態において、照明装置51は、ポケット部2の開口側に配置されており、撮像素子54cによって、ポケット部2を反射した光を撮像するように構成されている。これに対し、図24に示すように、照明装置51をポケット部2の突出側に配置し、撮像素子54cによって、ポケット部2を透過した光を撮像するように構成してもよい。
【0104】
この構成では、照明装置51から照射する光の波長を、厚さが正常な容器フィルム3(ポケット部2)を透過しない波長とすることで、画像データに基づき、ピンホールやポケット部2における成形不良の有無を判定することができる。一方、照明装置51から照射する光の波長を、厚さが正常な容器フィルム3(ポケット部2)を透過可能な波長とすることで、画像データに基づき、異物や汚れ、ポケット部2における成形不良の有無を判定することができる。
【0105】
(c)上記実施形態では、4枚の光路変換シート52a~52dが設けられているが、光路変換シートの数を適宜変更してもよい。
【0106】
例えば、図25に示すように、3枚の光路変換シート52e,52f,52gを設け、各光路変換シート52e,52f,52gが対応する複数の一側壁領域によって、側壁部2bの全周がカバーされるように構成してもよい。この場合、光路変換シート52e,52f,52gにおける各突条部52tの延びる方向を120°ずつ異なるものとしてもよい。
【0107】
勿論、光路変換シートを2枚又は5枚以上設け、これら光路変換シートが対応する複数の一側壁領域によって、側壁部2bの全周がカバーされるように構成してもよい。尚、検査精度をより高めるという点では、上記実施形態のように、複数の一側壁領域のうちの少なくとも一部同士が重なるように設定することが好ましい。
【0108】
(d)上記実施形態において、各光路変換シート52a~52dは、それぞれ1行分のポケット部2に対応するものとされているが、複数行分のポケット部2に対応するものであってもよい。つまり、各光路変換シート52a~52dを通して、複数行分のポケット部2を一度に撮像する構成としてもよい。
【0109】
(e)上記実施形態における照明装置51は、光源51a及び導光板51bを備えているが、照明装置の構成を適宜変更してもよい。従って、例えば、導光板を設けることなく、多数の光源によって、照明装置を構成してもよい。
【0110】
(f)図26,27に示すように、隣接する光路変換シート52b,52c間に隙間を形成し、この隙間を通して、フランジ部3aや底壁部2aを反射又は透過した光を撮像するように構成してもよい。そして、フランジ部3aや底壁部2aを反射又は透過した光により得られた画像データに基づき、画像処理装置55によって、フランジ部3aや底壁部2aの良否判定を行うようにしてもよい。この場合には、側壁部2bのみならず、フランジ部3aや底壁部2aに関する検査をも行うことができる。従って、側壁部2bとフランジ部3a又は底壁部2aとを別々に検査する場合と比べて、検査効率をより向上させることができる。
【0111】
(g)上記実施形態において、容器検査装置21(特に、光路変換シート52a~52d、物体側レンズ53及びカメラ54)は、ポケット部2の開口側に配置されているが、図28に示すように、容器検査装置21をポケット部2の突出側に配置してもよい。この場合には、ポケット部2を反射した光により得られた画像データに基づき、ポケット部2(側壁部2b)における外面の検査を行うことができる。
【0112】
(h)図29に示すように、照明装置51を光源51aによって構成し、該照明装置51(光源51a)を複数の光路変換シート52a~52d間に配置してもよい。この場合には、光路変換シート52a~52d間に照明装置51を収めることができるため、容器検査装置21の小型化を図ることができる。
【0113】
(i)上記実施形態では、光路変換シート52a~52dの表面(突条部52tが形成された面)は、容器フィルム3(ポケット部2)側に位置するものとされている。これに対し、図30に示すように、光路変換シート52a~52dの表面が、容器フィルム3(ポケット部2)とは反対側、つまり、カメラ54(撮像素子54c)側に位置するように構成してもよい。
【0114】
(j)上記実施形態では、各光路変換シート52a~52dが対応する一側壁領域AR1~AR4をそれぞれ別々のタイミングで撮像するように構成されているが、複数の一側壁領域のうちの少なくとも2つの撮像タイミングを一致させてもよい。従って、例えば、2つの一側壁領域AR1,AR4を同一のタイミングで撮像するように構成してもよい。勿論、全ての一側壁領域AR1~AR4を同一のタイミングで撮像するように構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態において、一側壁領域に係る画像データを、1回の撮像によって取得しているが、複数回の撮像によって取得してもよい。
【0116】
(k)上記実施形態において、ポケット部2は平面視矩形状をなしているが、ポケット部2を平面視円形状や平面視長円形状などとしてもよい。
【0117】
(l)上記実施形態において、「容器」としてのポケット部2は、フランジ部3aによってその他のポケット部2と連結されているが、「容器」は、その他の「容器」と連結されておらず、個々独立したものであってもよい。従って、「容器」は、所定の内容物(例えば食品など)を収容するトレイなどであってもよい。尚、この場合、トレイは、コンベア等の搬送手段によって複数例に並んだ状態で搬送され、容器検査装置21によって、搬送される複数のトレイの側壁部が検査される。
【0118】
(m)上記実施形態では、容器フィルム3がPPやPVC等の無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウムにより形成されている。これに対し、容器フィルム3をPPやPVC以外の樹脂によって形成してもよいし、カバーフィルム4をアルミニウム以外の金属材料や樹脂材料などによって形成してもよい。また、容器フィルム3は、無色透明に限られず、有色透明であってもよい。
【0119】
(n)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は、錠剤に限定されず、例えばカプセルや電子部品、食品などであってもよい。
【0120】
(o)上記実施形態において、ポケット部2は5列に並んだ状態で搬送されているが、搬送されるポケット部2の列数は複数であればよく、5列に限られるものではない。
【符号の説明】
【0121】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部(容器)、2a…底壁部、2b…側壁部、3…容器フィルム、3a…フランジ部、4…カバーフィルム、10…PTP包装機(ブリスタ包装機)、16…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、20…フィルム受けロール(搬送手段)、21…容器検査装置、22…充填装置(充填手段)、51…照明装置(照射手段)、52a,52b,52c,52d…光路変換シート、52r…(光路変換シートの)裏面、52t…突条部、52t1…略垂直面、52t2…傾斜面、53…物体側レンズ、54a…絞り、54c…撮像素子、55…画像処理装置(判定手段)、56…結像光学系、AR1,AR2,AR3,AR4…一側壁領域、OA…光軸。
【要約】
【課題】検査効率の向上や検査精度のばらつき抑制を図りつつ、側壁部における不良部分の有無を精度よく判定すること等が可能な容器検査装置などを提供する。
【解決手段】容器検査装置21は、ポケット部の側壁部におけるその周方向に連続する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を変換可能な光路変換シート52a~52dと、光路変換シート52a~52dにより光路が変換された光を撮像素子54cに結像させる結像光学系56と、撮像素子54cに結像した光により得られた画像データに基づき、側壁部の良否を判定可能な画像処理装置55とを備える。複数の光路変換シート52a~52dは、それぞれ異なる一側壁領域に対応し、対応する一側壁領域を反射又は透過した光の光路を、結像光学系56の光軸方向に沿った光路に変換させる。光路変換シート52a~52dが対応する複数の一側壁領域によって、側壁部の全周がカバーされる。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30