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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】床被覆
(51)【国際特許分類】
   A47G 27/02 20060101AFI20240221BHJP
   E04F 15/16 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A47G27/02 102
E04F15/16 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023507914
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2021013060
(87)【国際公開番号】W WO2022031318
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】16/986,321
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515156290
【氏名又は名称】ヒギンス リサーチ アンド ディベロップメント,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HIGGINS RESEARCH & DEVELOPMENT, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ケネス ビー.
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0029097(US,A1)
【文献】実開昭60-166639(JP,U)
【文献】実開昭60-166644(JP,U)
【文献】特開2005-2541(JP,A)
【文献】特開平9-291691(JP,A)
【文献】欧州特許第2331744(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 27/02
E04F 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床被覆を製造する方法であって、前記方法は、
第1の方向に延びる一次バッキング基板を有するタフテッド織物基板と、前記一次バッキング基板によってタフティングされた複数のヤーンとを含む構成要素のグループから前記床被覆を製造するステップであって、前記一次バッキング基板が見え掛かり面と前記見え掛かり面の反対側にある見え隠れ面とを有し、各ヤーンの一部が前記一次バッキング基板の前記見え隠れ面上に位置する端部を有するステッチ部分を形成し、前記ステッチ部分の間にスペースが存在するステップと、
第1の接着剤を調整して前記第1の接着剤の内部に複数の空隙を形成し、前記第1の接着剤に圧力を印加し、前記第1の接着剤を前記一次バッキング基板の前記見え隠れ面へ向けて押し込み、前記第1の接着剤の層を形成し、前記第1の接着剤の前記層を前記第1の方向に移動させるステップと、
強化繊維の少なくとも1つの束を切断し、前記第1の接着剤上に前記第1の方向に複数の別々の強化繊維を形成するステップと、
前記第1の接着剤の前記層上に強化繊維のパターン形成層を形成し、前記複数の別々の強化繊維から前記強化繊維のパターン形成層を形成し、前記一次バッキング基板から離間した最初の位置に前記強化繊維のパターン形成層を形成し、前記強化繊維のパターン形成層を前記第1の接着剤の前記層と共に前記第1の方向に移動させるステップと、
第2の接着剤を調整して前記第2の接着剤の内部に複数の空隙を形成し、前記第2の接着剤の層を形成し、前記第2の接着剤の前記層を前記第1の方向に移動させるステップと、
前記強化繊維のパターン形成層を前記第1の接着剤の層と前記第2の接着剤の層の間に挟み、前記強化繊維のパターン形成層と前記第1及び第2の接着剤の前記各層とを前記第1の方向に移動させるステップと、
前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の各層を圧縮し、同時に、前記第1及び第2の接着剤内部の前記空隙を破壊し、同時に、前記強化繊維のパターン形成層を前記強化繊維のパターン形成層の最初の位置よりも前記一次バッキング基板により近い最終位置へ移動させるステップと、を含む、床被覆を製造する方法。
【請求項2】
前記強化繊維のパターン形成層を形成することが、前記複数の別々の強化繊維を引き出して配置することと、強化繊維の多方向の重畳パターン層を形成することと、をさらに含む、請求項1に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の接着剤の前記各層を圧縮する前に、前記第1及び第2の接着剤の前記各層を乾燥させて、前記第1及び第2の接着剤内部の前記空隙を解消することなく、前記第1及び第2の接着剤の前記各層に硬度を提供することをさらに含む、請求項1に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項4】
床被覆を製造する方法であって、前記方法は、
一次バッキング基板を有するタフテッド織物基板を含む構成要素のグループから前記床被覆を製造するステップであって、前記一次バッキング基板が第1の方向に移動し、前記一次バッキング基板によって複数のヤーンがタフティングされ、前記一次バッキング基板が見え掛かり面と前記見え掛かり面の反対側にある見え隠れ面とを有し、各ヤーンの一部が前記一次バッキング基板の前記見え隠れ面上に位置する端部を有するステッチ部分を形成し、前記ステッチ部分の間にスペースが存在するステップと、
第1の接着剤を調整して前記第1の接着剤内部に複数の空隙を形成し、前記第1の接着剤の層を形成し、前記第1の接着剤の前記層を前記第1の方向に移動させるステップと、
前記第1の方向の前記一次バッキング基板から離間した第1の場所に強化繊維の層を形成し、前記強化繊維の層を前記第1の方向に移動させるステップと、
第2の接着剤を調整して前記第2の接着剤の内部に複数の空隙を形成し、前記第2の接着剤の層を形成し、前記第2の接着剤の前記層を前記第1の方向に移動させるステップと、
前記強化繊維の層を第1の接着剤の層と前記第2の接着剤の層の間に配置するステップと、
前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の各層を圧縮し、同時に、前記第1及び第2の接着剤内部の前記空隙を破壊し、前記強化繊維の層を前記第1の場所よりも前記一次バッキング基板により近い第2の位置へ移動させ、前記ステッチ部分の両端部を平坦化して前記強化繊維の層を前記ステッチ部分に接続するための係合面を形成するステップと、を含む、床被覆を製造する方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の接着剤の各層で前記強化繊維を内包し、前記第1及び第2の接着剤の各層を結合させることをさらに含む、請求項4に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項6】
前記強化繊維を引き出して配置し、強化繊維の多方向の重畳するパターン層を形成することをさらに含む、請求項4に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の接着剤の前記各層を圧縮する前に、前記第1及び第2の接着剤の前記各層を乾燥させて、前記第1及び第2の接着剤内部の前記空隙を解消することなく、前記第1及び第2の接着剤の前記各層に硬度を提供することをさらに含む、請求項4に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項8】
床被覆を製造する方法であって、前記方法は、
一次バッキング基板を有するタフテッド織物基板を含む構成要素のグループから前記床被覆を製造し、前記一次バッキング基板を第1の方向に移動させるステップであって、前記一次バッキング基板によって複数のヤーンがタフティングされ、前記一次バッキング基板が見え掛かり面と前記見え掛かり面の反対側にある見え隠れ面とを有し、各ヤーンの一部が前記一次バッキング基板の前記見え隠れ面上に位置する端部を有するステッチ部分を形成し、前記ステッチ部分の間にスペースが存在するステップと、
第1の接着剤層の内部に複数の空隙を形成し、前記第1の接着剤層を前記一次バッキング基板と係合させて形成し、前記第1の接着剤層を前記第1の方向に移動させるステップと、
強化繊維の層を前記第1の接着剤層の片側に形成し、前記一次バッキング基板から離間し、前記ステッチの両端部からも離間した最初の場所に前記強化繊維の層を配置するステップと、
前記強化繊維の層を前記第1の方向に移動させるステップと、
第2の接着剤層の内部に複数の空隙を形成し、前記強化繊維の層が前記第1及び第2の接着剤の各層の間に前記強化繊維の層が位置するように、前記第2の接着剤層を前記強化繊維の層の片側に係合するように配置し、前記第2の接着剤層を前記第1の方向に移動させるステップと、
前記第1及び第2の接着剤の前記各層を硬化させ、前記第1及び第2の接着剤内部の空隙を解消することなく硬度を提供するステップと、
前記第1及び第2の接着剤の前記各層を硬化させた後で前記第1及び第2の接着剤の前記各層を圧縮し、同時に、前記第1及び第2の接着剤内部の前記空隙を破壊し、前記強化繊維の層を最終の場所へ移動させ、前記強化繊維の層を前記ステッチの両端部に係合させて密着させ、前記強化繊維の層と前記一次バッキング基板との間の前記スペースを減少させるステップと、を含む、床被覆を製造する方法。
【請求項9】
前記ステッチの両端部を平坦化して前記強化繊維の層を前記ステッチに接続するための係合及び密着面を形成することをさらに含む、請求項に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項10】
前記強化繊維を引き出して配置し、強化繊維の多方向の重畳するパターンを形成することをさらに含む、請求項に記載の床被覆を製造する方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の接着剤の各層で前記強化繊維を内包し、前記第1及び第2の接着剤の各層を結合させることをさらに含む、請求項に記載の床被覆を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広幅織りカーペット及びモジュール式タイルカーペットなどの織物の床被覆に関する。より詳細には、本明細書に記載の1つ又は複数の態様によれば、本開示は、タフテッド織物基板及び強化バッキングシステムを含む床被覆に関する。
【背景技術】
【0002】
タフティング装置の到来により、床被覆は織りカーペットから今日使用されているタフテッドカーペットへと次第に進化した。機械によるタフティングは、ミシンに似た単一の針を用いることから始まった。1本の針が一次バッキング基板を通してヤーンを運び、一次バッキング基板に隣接する見え隠れ面上にステッチを形成する。見え掛かり面上では、ルーパーがヤーンを一次バッキング基板上部の指定の高さにヤーンを保持してカーペットのタイルを形成する。タフテッドヤーン及び一次バッキング基板は、集合的に、タフテッド織物基板と呼ばれる。
【0003】
単一針構成は、現在、タフテッドカーペットを製作するために用いる、複数の針を左右に並べて動かす方法へと進化した。この装置を用いて最大16フィートのタフティング幅が可能であり、そうした広い幅で販売されるカーペットを、当業界では、「広幅織り」カーペットと称する。このタイプのカーペットは、今日の住宅及び商業用の建物にとって好ましい床材である。
【0004】
「モジュール式」カーペット製品(タイルカーペット)は、広幅織りカーペット製品が遭遇する問題のいくつかに対処するために導入された。設置物の個々のタイルは汚れたり摩耗したりした場合に除去し交換することができるので、モジュール式カーペットは、オフィス、空港、及びその他の出入りが多い領域などの、広幅織りカーペットが実用的でない用途において有用であった。
【0005】
広幅織り及びタイルカーペットのデザインは、安定性の問題に直面してきた。別体の強化床被覆及び/又は1つ又は複数の二次バッキング層がなければ、広幅織りカーペットのデザインは、望ましくない伸長に至る「クリープ」を引き起こす可能性がある。重いバッキング層を含むモジュール式タイルは硬い。その結果、モジュール式タイルはしなったり丸まったりする可能性がある。モジュール式タイル及び広幅織りは、厚さ及び重量のばらつきに関連する問題が原因で、別の課題を抱えている。床被覆の製造業者は、複数のバッキング層及び/又はプリフォーム済み強化層を製造して織物基板に装着することに関連する多額の材料コスト及び製造費用を負担することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーペット業界では、カーペットの機械方向が寸法安定性の問題の最大要因であることが知られている。「機械方向」は、ヤーンがタフティングされる方向と考えられる。機械方向に一連の連続するループを形成するヤーンは、特に熱及び/又は湿気に晒されると不安定になるという性質がある。さらに、床被覆の一次バッキング基板は、機械方向に大きく縮む傾向がある。したがって、機械方向は、必ずと言っていいほど、床被覆のより不安定な方向である。
【0007】
本明細書に記載の本発明は、米国特許第9339136、9506175、9681768、9775457、9924820、9926657、10132019、及び10501878号明細書に関連する。本出願は、強化バッキング層を有するカーペットの製造に関連する方法を開示し、請求する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、繊維強化バッキングを含む床被覆を含む。床被覆は、広幅織り製品及び様々なモジュール式製品のいずれかで使用できる。製造方法及びその結果としての製品は、一次バッキング基板と当該一次バッキング基板によってタフティングされた複数のヤーンとを有するタフテッド織物基板を含む。一次バッキング基板は、見え掛かり面と、見え掛かり面の反対側にある見え隠れ面とを含み、各ヤーンの一部が一次バッキング基板の見え隠れ面上に位置するステッチを形成している。
【0009】
製造工程は、第1の接着剤を調整して接着剤内部に複数の空隙を形成することから始まる。調整後に、接着剤は、制御された方法で圧力を印加して当該接着剤を一次バッキング基板の見え隠れ面に押し付ける第1のアプリケータへ向けられる。接着剤は、一次バッキング基板の見え隠れ面上に位置するステッチ内及びステッチ間に押し込まれる。第1の接着剤の移動は第1のアプリケータと一次バッキング基板の見え掛かり面に印加された真空とによって制御される。第1の接着剤は、第1の接着剤層が機械方向に形成された層として形成される。
【0010】
強化繊維の離間した束が選択的に切断されて、所望の長さを有する複数の別々の強化繊維を形成する。切断された強化繊維は、第1の接着剤層が機械方向に移動するにつれて引き出され、第1の接着剤層上の所望のパターンに配置される。強化繊維が引き出され配置される結果、第1の接着剤の層上に位置する強化繊維のパターン層が形成される。強化繊維の層は、硬化に先立って、最初はヤーンステッチの両端部から離間していることが好ましい。
【0011】
第1の接着剤層の形成及び強化繊維層の形成後に、強化繊維層が機械方向に移動するにつれて第2の接着剤の層が強化繊維層上に形成される。第1及び第2の接着剤層の間に挟まれた強化繊維の層を含むサンドウィッチ様のバッキングが形成される。第2の接着剤は調整されて、第2の接着剤の内部に複数の空隙が形成され、その後、第2の接着剤が強化繊維の層上の層として形成される。
【0012】
サンドウィッチ様のバッキングはオーブンを通過させることで乾燥させ、調整し、又は硬化させることができる。オーブンによって提供される乾燥、調整、又は硬化によって第1及び第2の接着剤層内部の空隙は解消せず、サンドウィッチ様のバッキングの乾燥は、接着剤の硬度を提供する際の手助けになる。
【0013】
オーブン通過後に、サンドウィッチ様のバッキングに対してエンボッサが制御された方法で圧力を印加する。サンドウィッチ様のバッキングはエンボッサにより圧縮され、ヤーンステッチの両端部は平坦化する。エンボッサにより提供される圧縮は、第1及び第2の接着剤層を破壊する。両接着剤層の破壊によって、第1及び第2の接着剤層内部の空隙が除去され、その結果、より薄く比較的堅固な構造が形成される。エンボッサによって、強化繊維層もまた同時に移動し、ヤーンステッチの平坦化した端面に係合して密着し、一次バッキング基板により近い位置にある最終的な場所に到達する。
【0014】
エンボッサにより提供される圧縮は強化繊維の両方の面を圧縮し、これによって、第1及び第2の接着剤層は強化繊維層を内包し、圧縮によって接着剤層と強化繊維層とが結合する。第1及び第2の接着剤層は互いに結合して強化繊維層を間に確保する。さらに、圧縮によって強化繊維層は一次バッキング基板のより近くに移動して安定性と硬度とが向上する。
【0015】
本発明の上記及びその他の特徴並びに利点は、以下の説明と添付の請求の範囲とを参照することで理解が深まるであろう。本明細書の一部を構成する添付図面は本発明の様々な実施形態を例示し、明細書と併せて、本発明の方法及び製品の原理を説明する際に役立つ。
【0016】
当業者に向けた、本発明方法及びその結果としての製品の、最良の態様を含む完全で実施可能な開示を、以下の添付図面を参照しながら、本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、繊維及び粘着性の強化バッキングをタフテッド織物基板に装着するための装置構成の概略図である。
図2図2は、強化繊維の引き出し及び配置の上面概略図である。
図3図3は、強化繊維の引き出し及び配置の端面概略図である。
図4図4は、接着剤層及び強化繊維層の圧縮を示す拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記方法及びその結果としての製品の諸実施形態について以下に説明し、それらの1つ又は複数の例を図面に例示する。各々の例は本発明の説明として提供され、本発明を限定するものではない。本発明の主旨を逸脱することなく、本発明を様々に変更及び修正できることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の請求の範囲及びそれらの均等物の範囲に収まるような変更及び修正に及ぶ。
【0019】
図1は、本発明に係る、接着剤及び強化繊維をタフテッド織物基板に密着させてバッキングシステムを形成するための構成の概略図である。床被覆は、一次バッキング基板22によってタフティングされたヤーンからなるタフテッド織物基板10を含む。周知のように、一次バッキング基板22は、見え掛かり面と、見え掛かり面の反対側にある見え隠れ面とを含む。ヤーンは、一次バッキング基板22の見え隠れ面上のステッチ12を形成し、各ヤーンの間には中間のスペースがある。
【0020】
本発明に開示された製造工程は、第1の接着剤14を調整して接着剤14内に複数の空隙16を形成することから始まる。好ましい一実施形態では、接着剤14は熱硬化性接着剤である。接着剤14は、熱又は圧縮に晒された場合に展性があり変形可能であるという特性を有することが好ましい。また、接着剤14は、後述するように、製造工程を助けるために水ベースであることが好ましい。例えば、製造工程中に接着剤14の所望の圧縮を可能にするために、水ベースの接着剤14内に空気を注入して気泡形状の空隙を生成することができる。
【0021】
接着剤14の調整によって空隙16が確立した後、接着剤14は機械方向に第1のアプリケータ18まで移動する。アプリケータ18は、制御された方法で圧力を印加して接着剤14を一次バッキング基板22の見え隠れ面へ向けて押し込む。接着剤14はステッチ12内に押し込まれ、また、ステッチ12の間のスペースに押し込まれる。接着剤14の移動は、一次バッキング基板22の見え掛かり面に印加された真空20によってさらに制御される。アプリケータ18及び真空20は、接着剤14の層が所望の厚さを有し接着剤14が機械方向に移動可能な状態で、第1の接着剤14の層を形成する。
【0022】
図1を参照すると、強化繊維28の1つ又は複数の束24が第1の接着剤14の移動する層に向かって配置されている。切断機構26が繊維の束24を複数の別々の強化繊維28に切断する。各々の強化繊維28は所望の長さに切断される。図2及び3に概略を示すように、切断された強化繊維14は、引き出されて所望のパターンに配置される。
【0023】
強化繊維28の引き出し/配置デバイス30の概略を図1~3に示す。束24から切断された後、強化繊維28は、移動する接着剤14の層の概ね直線的又は機械方向の構成に配置される。図2は、繊維28が束24から切断された後の接着剤14上の強化繊維28の概ね直線的又は機械方向の構成を示す。2つの離間した繊維束24から切断されて直線的に配置された強化繊維28を図2及び3に示す。
【0024】
強化繊維28が、最初に、直線的又は概ね機械方向の構成に配置された後で、引き出し/配置デバイス30は機械方向に対して概ね垂直の方向に移動する。図2及び3に示すように、デバイス30はフィンガ42を含む。デバイス30はステッチ12へ向かい、また離間するように鉛直方向に移動し、またデバイス30は、機械方向に対して垂直の方向に水平に往復運動又は振動する。強化繊維28の引き出し及び配置の量及びタイプは、強化繊維28の機械方向の移動速度とデバイス30によって提供される往復運動又は振動の持続時間とを選択的に調整することによって制御することができる。
【0025】
デバイス30の移動によって、フィンガ42は強化繊維28を水平方向に引き出し、強化繊維28を所望のパターンに配置する。例えば、図2に示すように、所望のパターンは、強化繊維28の機械方向の配置と、機械方向に対する様々な別の角度での配置を含んでいてもよい。さらに、図2に示すように、強化繊維28は、曲がったか又は丸まった繊維28が2つ以上の方向に伸展するように、繊維28の曲がり又は丸まりを許容できる充分な長さを有する。強化繊維28の多方向の重畳構成を含むパターン形成された強化層は、最初、好ましくは、ステッチ12の両端部から離間した場所に形成される。
【0026】
第1の接着剤14の形成及び強化繊維28のパターン形成層の形成後に、第2の接着剤32の層が形成される。第2の接着剤32も、調整されて第2の接着剤32の内部に複数の空隙34が形成される。第2の接着剤32は、熱又は圧縮に晒された場合に展性があり変形可能な熱硬化性接着剤であることが好ましい。また、第2の接着剤32は、水ベースの接着剤であることが好ましい。第1の接着剤14と同様に、製造工程中に接着剤32の所望の圧縮を可能にするために、水ベースの接着剤32内に空気を注入して気泡形状の空隙34を生成することができる。
【0027】
図1に示すように、調整された第2の接着剤32は、第2のアプリケータ36によって層に形成される。接着剤32の層は、強化繊維28のパターン形成層上に配置される。サンドウィッチ様の強化バッキングが強化繊維28の層、第1の接着剤14の層、及び第2の接着剤32の層から形成される。すなわち、パターン形成強化繊維28は、接着剤14の層と接着剤32の層との間に挟まれてサンドウィッチ様の強化バッキングを形成する。
【0028】
強化繊維28並びに接着剤14及び32のサンドウィッチ層からなるサンドウィッチ様の強化バッキングをオーブン38を通過させて乾燥させ、調整し、又は硬化させることができる。オーブン38によって提供される乾燥、調整、又は硬化によって第1及び第2の接着剤14及び32内部の空隙16及び空隙34は解消しないことが意図されている。オーブン38によって提供される乾燥処理によって水分が除去され、所望の接着剤硬度が提供される。好ましい接着剤は、例えば空気空隙を含む水ベースの熱硬化性であるため、接着剤から水分を除去して接着剤を乾燥させて接着剤に一定の硬度を与える一方で接着剤の展性及び変形可能性を維持することが望ましい。
【0029】
図1及び4に示すように、オーブン38を通過させた後で、第3のアプリケータ40が、強化繊維28並びに接着剤14及び32の各層からなるサンドウィッチ様の強化バッキングに対して制御された方法で圧力を印加する。第3のアプリケータ40は、強化繊維28並びに接着剤14及び32の各層を圧縮し、ステッチ12の両端部を平坦化するエンボッサであってもよい。
【0030】
第3のアプリケータ40によって提供される圧縮によって、乾燥した接着剤14及び32の比較的硬い各層が破壊される。接着剤層に印加される圧縮及び破壊動作によって、空隙16と34を接着剤14及び32の第1及び第2の層とが占める体積が減少する。この結果、強化繊維28の層を挟む、圧縮され破壊された接着剤14及び32の各層からなるより薄く比較的堅固な構造が形成される。結果として得られる強化繊維28及び接着剤14及び32の各層も、第3のアプリケータ40によって同時に移動されて、ヤーンステッチ12の平坦化した端面に係合して密着する。さらに、図1及び4に示すように、強化繊維22の層は移動して、一次バッキング基板22により近い又は係合する位置にある最終的な場所に到達する。
【0031】
第3のアプリケータ40による圧縮によって、強化繊維28の両側が圧縮され、第1及び第2の接着剤14及び32の各層が強化繊維28の層を内包し確保する。さらに、接着剤14及び32の各層の圧縮及び破壊によって、接着剤14及び32は互いに結合する。さらに、強化繊維28を所望のパターンに配置し、硬化後に、強化繊維22の層を一次バッキング基板22に近いか又は係合する最終位置へ移動することによって、タフテッド織物基板10に追加の安定性及び硬度が提供される。
【0032】
本発明は、本発明の主旨及び本質的な属性を逸脱することなく、別の形態で具現化することができるため、本発明の範囲を示すものとして、上記明細書だけでなく、添付の請求の範囲も参照すべきである。
図1
図2
図3
図4