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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】フェニルケトンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/45 20060101AFI20240221BHJP
   C07C 49/80 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 45/57 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 59/88 20060101ALI20240221BHJP
   C07C 65/32 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C07C45/45
C07C49/80
C07C45/57
C07C59/88
C07C65/32 A
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2023511801
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021072758
(87)【国際公開番号】W WO2022038098
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】20191749.9
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21171158.5
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520346882
【氏名又は名称】アークサーダ・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーヘーファー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】キルヒナー,エーファ
(72)【発明者】
【氏名】メームケン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ジラール,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ポーネスキュー,エミーリア
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-069922(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043079(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/007767(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105440022(CN,A)
【文献】国際公開第2004/050654(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/091045(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/202807(WO,A1)
【文献】Organic Process Research & Development,2016年,20,1633-1636
【文献】J. Indian Chem. Soc.,1994年,71,469-474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】
[式中、
は、F、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、F、Cl、又はNO であり、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 式(III)
【化2】
[式中、Xは、Br又はClである。]
の化合物を、
式(IV): R-Mg-Hal (IV)
の化合物及びMgから選択される試薬A、並びに
式(V): R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)
の化合物、環状無水物及びラクトンから選択される試薬B
[式中、
1aは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択され、
Halはハロゲンであり、及び
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、及びフェニルから選択される。」
と反応させるステップを含む、方法。
【請求項2】
反応ステップ(i)において、触媒が存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応ステップ(i)において、銅触媒が存在しない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応ステップ(i)において、Cu(I)又はCu(II)触媒が存在しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
反応ステップ(i)において、Cu(I)触媒が存在しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
反応ステップ(i)において、CuCl触媒が存在しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
が、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~6ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~6カルボキシアルキル、フェニル、及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
が、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
がメチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1aが、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1aが、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試薬Bが式(V)の化合物であり、及び前記式(V)の化合物が、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロパン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水トリメチル酢酸、無水安息香酸及びシクロプロパンカルボン酸無水物からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式(V)の化合物が、無水酢酸である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬Bが環状無水物であり、及び前記環状無水物が、無水マレイン酸、無水酒石酸、O-アセチルリンゴ酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、及び式C2n(CO)Oを有し、nが1~12の整数である無水物からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記環状無水物が、無水マレイン酸、無水酒石酸、O-アセチルリンゴ酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、及び式C2n(CO)Oを有し、nが1~6の整数である無水物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試薬Bが環状無水物であり、及び前記環状無水物が、無水マロン酸、無水コハク酸、C~C12アルキルコハク酸無水物、C~C12アルケニルコハク酸無水物、ブロモコハク酸無水物、クロロコハク酸無水物、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水酒石酸、O-アセチルリンゴ酸無水物、酒石酸ジアセチル無水物、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物(ベンゼン-1、2、4、5-テトラカルボン酸二無水物)、及びベンゼン-1、2、3、4-テトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記試薬Bがラクトンであり、及び前記ラクトンが、式C2n(CO)Oを有し、nが2~12の整数である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ラクトンが、式C2n(CO)Oを有し、nが2~6の整数である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬Bがラクトンであり、及び反応ステップ(i)で使用される前記ラクトンが、β-ラクトン、γ-ラクトン、δ-ラクトン、及びε-ラクトンからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記試薬Bがラクトンであり、及び反応ステップ(i)で使用される前記ラクトンが、プロピオラクトン、α-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ヘプタノラクトン、3,6-ジメチルオキサン-2-オン、ジケテン、4,4-ジメチルオキセタン-2-オン、β-ブチロラクトン、5-オキサスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン、5-チアスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン、及び4,6-ジメチルオキサン-2-オンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(II)の化合物が、式(IIa)
【化3】
の化合物であり、
式(III)の化合物が、式(IIIa)
【化4】
の化合物である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
が、F又はClである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記試薬Aが式(IV)の化合物であり、及びが、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル及びシクロプロピル並びにフェニルからなる群から選択される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
がイソプロピルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記試薬Aが式(IV)の化合物であり、及びHalが、Br及びClから選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
HalがBrである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試薬Aが式(IV)の化合物であり、及び式(IV)の化合物が、臭化イソプロピルマグネシウム、塩化イソプロピルマグネシウム及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
式(IV)の化合物が、臭化イソプロピルマグネシウムである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
反応ステップ(i)が有機溶媒中で行われる、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記有機溶媒がTHFである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
連続工程である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記式(II)の化合物が、以下の化合物である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【化5】
【請求項34】
式(I)
【化6】
[式中、R、X及びXは請求項1~33のいずれか一項に定義された通りであり、
はハロゲンである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 請求項1~33のいずれか一項に定義された式(II)の化合物を得るための請求項1~33のいずれか一項に記載された方法及び
(ii) ステップ(i)で得られた式(II)の化合物を、式(VI)
【化7】
[式中、Rは水素又はアルカリ金属カチオンである。]
の化合物と反応させることを含む、方法。
【請求項35】
式(I)の化合物が、式(Ia)
【化8】
の化合物である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
がBr又はClである、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
がClである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
式(I)の化合物が、以下の化合物である、請求項3437のいずれか一項に記載の方法。
【化9】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルケトンの調製方法及びフェノキシフェニル誘導体の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
フェニルケトン及びそれから調製されるフェノキシフェニル誘導体は、例えば、殺菌剤などの農薬として使用されるいくつかのさらなる化合物の合成における貴重な化合物及び中間体である。
【0003】
WO2013/007767A1号には、フェニルケトン中間体化合物を介して合成できる2-[2-クロロ-4-(4-クロロフェノキシ)-フェニル]-1-[1,2,4]トリアゾール-1-イル-エタノールの調製が開示されている。
【0004】
WO2014/108286A1号には、フェニルケトンを介したフェノキシフェニル誘導体の合成が開示されている。
【0005】
しかし、これらの既知の方法は、困難で手間のかかるワークアップ(work-up)及び精製ステップ、より低い生産速度又は望ましくない副生物の形成のような欠点を抱えている。さらに、これらの既知の方法は選択性及び速度上昇のためにCu(I)塩又はLi塩のような金属触媒を使用する。しかし、金属触媒の使用は、特に環境の観点から重大な問題となる。
【0006】
したがって、フェノキシフェニル誘導体の調製のための貴重な中間体であるフェニルケトンの合成のための最適化された方法が継続して必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/007767号
【文献】国際公開第2014/108286号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、式(II)によるフェニルケトンの優れた合成方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、式(I)によるフェノキシフェニル誘導体の合成における中間体として機能する、式(II)によるフェニルケトンを調製するための本発明の方法を介した式(I)によるフェノキシフェニル誘導体の優れた合成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、式(II)
【0010】
【化1】
[式中、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、H、F、Cl、又はNOであり、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 式(III)
【0011】
【化2】
[式中、Xは、Br又はClである。]
の化合物を、
式(IV)の化合物又はMg、及び
-Mg-Hal (IV)
式(V)の化合物、環状無水物又はラクトン
1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)
[式中、
1aは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択され、
Halはハロゲンであり、及び
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、及びフェニルから選択される。]
と反応させるステップを含む方法を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、式(I)
【0013】
【化3】
[式中、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択され、
はハロゲンである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 本明細書で定義される式(II)の化合物を得るための本発明による方法であって、式(II)の化合物において、Xが、F、Cl、又はNOである方法、及び
(ii) ステップ(i)で得られた式(II)の化合物と式(VI)
【0014】
【化4】
[Rは、水素又はアルカリ金属カチオンである。]
の化合物と反応させることを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、より詳細に説明する。
【0016】
本発明によれば、用語「直鎖又は分枝C1~12アルキル」は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個の炭素原子などの1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の飽和炭化水素基を指す。同様に、用語「直鎖又は分枝のC1~6アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピルを含む1~6個の炭素原子(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子)を有する直鎖又は分枝の飽和炭化水素基を指す。
【0017】
本発明によれば、用語「直鎖又は分枝C1~4アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルを含む1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。
【0018】
本発明によると、用語「直鎖又は分岐C1~12フルオロアルキル」は、少なくとも1個の水素原子がフルオロ原子に置換されている、上記の定義の1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基を指す。同様に、用語「直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル」は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4,-トリフルオロブチル、5,5,5,-トリフルオロペンチル、及び6,6,6-トリフルオロヘキシルを含む、少なくとも1個の水素原子がフルオロ原子に置換されている、上記の定義の1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。また、直鎖又は分枝C1~12ペルフルオロアルキル及び直鎖又は分枝C1~6ペルフルオロアルキルのようなペルフルオロアルキル基も含まれる。
【0019】
本発明によれば、用語「C3~8シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む3~8個の炭素環メンバーを有する単環式飽和炭化水素基を指す。同様に、用語「C3~6シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む3~6個の炭素環メンバーを有する単環式飽和炭化水素基を指す。
【0020】
本発明によれば、用語「直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基によって置換されている、上記で定義された2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。同様に、用語「直鎖又は分枝C2~6ヒドロキシアルキル」は、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシイソプロピル、1-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、1-ヒドロキシペンチル、2-ヒドロキシペンチル、3-ヒドロキシペンチル、4-ヒドロキシペンチル、5-ヒドロキシペンチル、1-ヒドロキシヘキシル、2-ヒドロキシヘキシル、3-ヒドロキシヘキシル、4-ヒドロキシヘキシル、5-ヒドロキシヘキシル、及び6-ヒドロキシヘキシルを含む、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基によって置換されている、上記で定義された2~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。
【0021】
本発明によれば、用語「直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル(alkly)」は、少なくとも1個の水素原子がカルボキシ基によって置換されている、上記で定義された1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。同様に、用語「直鎖又は分枝C1~6カルボキシアルキル基は、カルボキシメチル、1-カルボキシエチル、2-カルボキシエチル、1-メチル-2-カルボキシエチル、1-カルボキシプロピル、2-カルボキシプロピル、3-カルボキシプロピル、1-メチル-2-カルボキシプロピル、1-メチル-3-カルボキシプロピル、1,1-ジメチル-2-カルボキシプロピル、1,1-ジメチル-3-カルボキシプロピル、1,2-ジメチル-3-カルボキシプロピル、2,2-ジメチル-3-カルボキシプロピル、1-カルボキシブチル、2-カルボキシブチル、3-カルボキシブチル、4-カルボキシブチル、1-メチル-4-カルボキシブチル、2-メチル-4-カルボキシブチル、3-メチル-4-カルボキシブチル、1,1-ジメチル-4-カルボキシブチル、1,2-ジメチル-4-カルボキシブチル、1,3-ジメチル-4-カルボキシブチル、2,2-ジメチル-4-カルボキシブチル、2,3-ジメチル-4-カルボキシブチル、3,3-ジメチル-4-カルボキシブチル、5-カルボキシペンチル、6-カルボキシヘキシルを含む、少なくとも1個の水素原子がカルボキシ基によって置換されている、上記で定義された1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和炭化水素基を指す。
【0022】
直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~4アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C2~6ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、直鎖又は分枝C1~6カルボキシアルキル、及びフェニルは、任意にさらに置換されてもよいことが理解されるべきである。例示的な置換基としては、ヒドロキシ、直鎖又は分枝C1~12アルキル、C3~8シクロアルキル、カルボキシ基、ハロゲン、及びフェニルが挙げられる。
【0023】
本発明によれば、用語「Hal」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0024】
置換基R、R1a、R、R、R、Hal、X、X、X及びXについて本明細書中に記載された意味及び好ましい意味は、本明細書中に詳細に記載される方法ステップのいずれかにおける全ての化合物及び該化合物の前駆体に適用される。
【0025】
上記に概説したように、本発明の主題は、式(II)
【0026】
【化5】
[式中、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、H、F、Cl、又はNOであり、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 式(III)
【0027】
【化6】
[式中、Xは、Br又はClである。]
の化合物を、
式(IV)の化合物又はMg、及び
-Mg-Hal (IV)
式(V)の化合物、環状無水物又はラクトン
1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)
[式中、
1aは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択され、
Halはハロゲンであり、及び
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、及びフェニルから選択される。]
と反応させるステップを含む方法を提供する。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は式(IIa)
【0029】
【化7】
[式中、
は、H、F、Cl、又はNOであり、好ましくは、Xは、F、Cl、又はNOであり、
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 式(IIIa)
【0030】
【化8】
の化合物を、
式(IV)の化合物又はMg、及び
-Mg-Hal (IV)
式(V)の化合物
1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)
[式中、
1aは、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルであり、
Halはハロゲンであり、及び
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、及びフェニルから選択される。]
と反応させるステップを含む方法を提供する。
【0031】
1つの実施形態において、式(II)の化合物は式(IIa)の化合物であり、式(III)の化合物は式(IIIa)の化合物である。
【0032】
本発明者らは驚くべきことに、式(IIa)の化合物のような式(II)の化合物の調製のための本発明による方法が、高いスループット及び有意に低下したワークアップ方法を提供することを見出した。また、本発明者らは驚くべきことに、式(IIa)の化合物のような式(II)の化合物の調製のための本発明による方法で、触媒、特に銅(I)触媒などの銅触媒のような金属触媒、又は触媒としてのリチウム塩が不要であることを見出した。さらに、式(IIa)の化合物のような式(II)の化合物の製造中に、より少ない副生成物が形成される。さらに、式(IIa)の化合物のような式(II)の化合物の調製のための本発明による方法は、既知の製造方法と比較して費用効率が高い。
【0033】
1つの実施形態において、触媒、好ましくは金属触媒が反応ステップ(i)に存在しない。したがって、前記実施形態では、式(IIIa)の化合物のような式(III)の化合物を、触媒の非存在下でグリニャール試薬R-Mg-Hal (IV)及び無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンと反応させる。1つの実施形態において、銅触媒及び/又はリチウム塩触媒は反応ステップ(i)に存在しない。好ましくは反応ステップ(i)にはCu(I)又はCu(II)触媒のような銅触媒は存在せず、より好ましくは反応ステップ(i)にはCu(I)触媒は存在せず、最も好ましくは反応ステップ(i)にはCuCl触媒は存在しない。CuCl又はCuClなどのCu(I)又はCu(II)触媒のような触媒は、式(IIa)の化合物のような式(II)の化合物を調製する方法において固形体の添加を必要とし、これは望ましくない場合がある。さらに、Cu(I)は放出前に廃水処理施設で除去しなければならない殺生物剤である。
【0034】
本明細書の出現におけるXは、H、F、Cl、又はNOから選択される。1つの実施形態において、XはF、Cl、又はNOである。1つの実施形態において、XはF又はClである。好ましくは、XはFである。
【0035】
本明細書の出現におけるRは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される。1つの実施形態において、Rは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される。1つの実施形態において、Rは、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~6ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~6カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択される。例えば、カルボキシフェニルは、C1~6アルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、又はカルボキシ基の1つ以上で置換され得る。1つの実施形態において、Rは、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される。1つの実施形態において、Rは、直鎖又は分枝C1~6アルキルアルキル又はC3~8シクロアルキルである。1つの実施形態において、Rは直鎖又は分枝C1~6アルキルである。1つの実施形態において、Rは直鎖又は分岐C1~4アルキルである。好ましくは、Rはメチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルから選択される。より好ましくは、Rはメチルである。
【0036】
本明細書の出現におけるR1aは、直鎖又は分枝C1~12アルキル、直鎖又は分枝C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される。1つの実施形態において、R1aは、直鎖又は分枝C1~6アルキル、直鎖又は分枝C1~6フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、及びフェニルから選択される。1つの実施形態において、R1aは、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルである。1つの実施形態において、R1aは直鎖又は分枝C1~6アルキルである。1つの実施形態において、R1aは直鎖又は分枝C1~4アルキルである。好ましくは、R1aは、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルから選択される。より好ましくは、R1aはメチルである。
【0037】
置換されていてもよいカルボキシフェニルは、置換されていても、置換されていなくてもよい。1つの実施形態において、カルボキシフェニルは置換されていない。1つの実施形態において、カルボキシフェニルは、無水カルボン酸、カルボキシ基、及び/又はカルボニル基で置換される。
【0038】
本発明による方法では、式(III)の化合物との反応に、無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンを用いる。本発明者らは驚くべきことに、式(V)に従う無水物、環状無水物又はラクトンの使用により、ステップ(i)における反応が触媒、特にCu(I)触媒のような銅触媒の使用なしに進行することが可能になることを見出した。このように、反応ステップ(i)に無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンを使用することにより、触媒、特にCu(I)触媒のような銅触媒を使用することなく、式(II)の化合物を満足のいく収率及び選択性で得ることができる。このような触媒は、通常、式(V)に従う無水物、環状無水物又はラクトンの代わりに塩化アセチルのようなハロゲン化アシルを用いる場合に必要である。
【0039】
本発明者らはさらに驚くべきことに、式(II)の化合物を得るための反応ステップ(i)に無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンを使用することにより、反応における副生成物が減少することを見出した。
【0040】
また、無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンの使用は、反応ステップ(i)後に続く可能性のあるワークアップ及びリサイクル方法を予想外に減少させる。特に、反応ステップ(i)後の溶媒分離は、式(II)の化合物を得るための方法に無水物R1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)、環状無水物又はラクトンを用いる場合に容易になる。
【0041】
1つの実施形態において、式(V)の化合物は、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロパン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水トリメチル酢酸、無水安息香酸及び無水シクロプロパンカルボン酸からなる群から選択される。好ましくは、式(V)の化合物は無水酢酸である。
【0042】
1つの実施形態において、反応ステップ(i)で使用される環状無水物は、式C2n(CO)Oを有し、式中nは、1~12の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)である。1つの実施形態において、nは1、2、3、4、5、又は6のような1から6の整数である。1つの実施形態では、環状無水物は、無水マロン酸、無水コハク酸、C~C12アルキルコハク酸無水物、C~C12アルケニルコハク酸無水物、ブロモコハク酸無水物、クロロコハク酸無水物、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水マレイン酸、無水酒石酸、O-アセチルリンゴ酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物及び無水メチルコハク酸からなる群から選択される。
【0043】
1つの実施形態において、反応ステップ(i)で使用される環状無水物はさらに置換されていてもよい。適切な置換基としては、ヒドロキシ、直鎖又は分枝C1~12アルキル、C3~8シクロアルキル、カルボキシ基、ハロゲン、及びフェニルが挙げられる。
【0044】
1つの実施形態において、フェニル環を、例えば、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物(ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物)、及びベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物をはじめとする、反応ステップ(i)で使用される環状無水物に縮合させることができる。
【0045】
1つの実施形態において、環状無水物は、式C(CO)Oを有する無水物、無水マレイン酸、無水酒石酸、O-アセチルリンゴ酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸二無水物(ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物)、及びベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物から選択され、式中nは1~12の整数であり、好ましくは、nは1~6の整数である。
【0046】
1つの実施形態において、反応ステップ(i)で使用されるラクトンは、式C2n(CO)Oを有し、式中nは、2~12の整数(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)である。1つの実施形態において、nは2、3、4、5、又は6のような2~6の整数である。1つの実施形態において、ラクトンは、β-ラクトン、γ-ラクトン、δ-ラクトン、及びε-ラクトンからなる群から選択される。1つの実施形態において、ラクトンは、プロピオラクトン、α-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ヘプタノラクトン、3,6-ジメチルオキサン-2-オン、ジケテン、4,4-ジメチルオキセタン-2-オン、β-ブチロラクトン、5-オキサスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン、5-チアスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン、及び4,6-ジメチルオキサン-2-オンからなる群から選択される。
【0047】
1つの実施形態において、反応ステップ(i)で使用されるラクトンはさらに置換されていてもよい。適切な置換基としては、ヒドロキシ、直鎖又は分枝C1~12アルキル、C3~8シクロアルキル、カルボキシ基、ハロゲン、及びフェニルが挙げられる。
【0048】
1つの実施形態において、式(V)の化合物、環状無水物又はラクトンは、1当量の化合物(III)に関連して、0.97当量~1.3当量又は1.0当量~1.3当量のような0.9当量~1.3当量の量で使用される。
【0049】
1つの実施形態において、式(III)の化合物を式(IV)の化合物及び式(V)の化合物、環状無水物又はラクトンと反応させる。
【0050】
本明細書の出現におけるRは、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、及びフェニルから選択される。1つの実施形態において、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル及びシクロプロピル及びフェニルからなる群から選択される。1つの実施形態において、Rは直鎖又は分岐C1~4アルキルである。好ましくは、Rはイソプロピルである。
【0051】
本明細書の出現におけるHalは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。好ましくは、HalはBr及びClから選択される。より好ましくは、HalはBrである。
【0052】
1つの実施形態において、式(IV)の化合物は、臭化イソプロピルマグネシウム及び塩化イソプロピルマグネシウムから選択される。また、式(IV)の化合物の組み合わせが、本発明の方法のために企図される。例えば、臭化イソプロピルマグネシウムと塩化イソプロピルマグネシウムとの組み合わせを本発明の方法に使用することができる。好ましくは、式(IV)の化合物は臭化イソプロピルマグネシウムである。
【0053】
1つの実施形態において、式(IV)の化合物は、1当量の化合物(III)に関連して0.3当量~1.3当量の量で使用される。
【0054】
さらなる実施形態では、式(III)の化合物をMg及び式(V)による化合物、環状無水物又はラクトンと反応させる。
【0055】
1つの実施形態において、Mgは1当量の化合物(III)に関して0.3当量~1.3当量の量で使用される。
【0056】
本発明による反応ステップ(i)は、式(III)の化合物をまず式(IV)の化合物又はMgと反応させ、続いて、この反応混合物を式(V)の化合物、環状無水物又はラクトンと反応させるように行うことができる。1つの実施形態において、式(IV)の化合物をまず式(III)の化合物と反応させてグリニャール試薬を形成し、その後、これを式(V)の化合物、環状無水物又はラクトンと反応させる。別の実施形態では、Mgをまず式(III)の化合物と反応させてグリニャール試薬を形成し、その後、これを式(V)の化合物、環状無水物又はラクトンと反応させる。
【0057】
好ましくは、式(IV)の化合物を反応ステップ(i)で使用する。
【0058】
1つの実施形態において、反応ステップ(i)は有機溶媒中で行われる。本発明の方法で使用することができる適切な有機溶媒は、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチル-エーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンをはじめとする非プロトン性有機溶媒、又はこれらの溶媒とトルエン、ヘキサン、アルカン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、及びそれらの混合物との混合物である。1つの実施形態では、有機溶媒はTHFを含む。好ましくは、有機溶媒はTHFである。1つの実施形態において、反応ステップ(i)はTHF中で実施される。1つの実施形態において、反応ステップ(i)で用いられる有機溶媒は、THF又はTHFとトルエンとの混合物からなる。
【0059】
1つの実施形態において、式(II)の化合物の調製方法は、連続工程である。
【0060】
1つの実施形態において、式(II)の化合物は、以下である。
【0061】
【化9】
【0062】
本発明のさらなる主題は式(I)
【0063】
【化10】
[式中、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、H、F、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
は、直鎖又は分枝C1~12アルキル、C1~12フルオロアルキル、C3~8シクロアルキル、直鎖又は分枝C2~12ヒドロキシアルキル、直鎖又は分枝C1~12カルボキシアルキル、フェニル及び置換されていてもよいカルボキシフェニルから選択され、
はハロゲンである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 本明細書で定義された式(II)の化合物を得るための本発明による方法であって、式(II)の化合物において、Xが、F、Cl、又はNOである方法、及び
(ii) ステップ(i)で得られた式(II)の化合物を、式(VI)
【0064】
【化11】
[Rは水素又はアルカリ金属カチオンである。]
の化合物と反応させることを含む方法である。
【0065】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物である。
【0066】
【化12】
【0067】
1つの実施形態において、アルカリ金属カチオンはLi、Na及びKから選択される。好ましくは、アルカリ金属カチオンはNaである。
【0068】
本明細書の出現においてRはハロゲンである。1つの実施形態において、RはBr又はClである。好ましくは、RはClである。
【0069】
1つの実施形態において、本発明は式(Ia)
【0070】
【化13】
[式中、Rは直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルであり、
はハロゲンである]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 本明細書に定義される式(IIa)の化合物を得る本発明による方法であって、式(IIa)の化合物において、XがF、Cl、又はNOである方法、及び
(ii) ステップ(i)で得られた式(IIa)の化合物を式(VI)
【0071】
【化14】
[式中、Rは水素又はアルカリ金属カチオンである。]
の化合物と反応させることを含む方法を提供する。
【0072】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は以下である。
【0073】
【化15】
【0074】
これらの実施形態及び項目が複数の可能性の例を単に記載していることは、当業者にとって明白である。したがって、ここに示した実施形態は、これらの特徴及び構成の限界を形成すると理解されるべきではない。記載された特徴の任意の可能な組合せ及び構成は、本発明の範囲に従って選択することができる。
【0075】
本発明の好適な実施形態は、以下の番号を付した項目においてさらに定義される。
【0076】
1. 式(IIa)
【0077】
【化16】
[式中、
は、H、F、Cl、又はNO、好ましくはF、Cl、又はNOであり、
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 式(IIIa)
【0078】
【化17】
の化合物を、
式(IV)の化合物又はMg、及び
-Mg-Hal (IV)
式(V)の化合物
1a-C(=O)OC(=O)-R1a (V)

[式中、
1aは、直鎖又は分枝C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルであり、
Halはハロゲンであり、及び
は、直鎖又は分枝C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、フェニルから選択される。]
と反応させるステップを含む方法。
【0079】
2. 反応ステップ(i)において、触媒が存在せず、好ましくは銅触媒が存在せず、より好ましくはCu(I)又はCu(II)触媒が存在しない、項目1に記載の方法。
【0080】
3. 反応ステップ(i)において、Cu(I)触媒、好ましくはCuCl触媒が存在しない、項目1又は2に記載の方法。
【0081】
4. Rが直鎖又は分枝のC1~6アルキルであり、好ましくはRがメチルである、項目1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
5. 式(V)の化合物が、無水酢酸、無水プロパン酸、無水イソ酪酸、及びシクロプロパンカルボン酸無水物からなる群より選択され、好ましくは式(V)の化合物が無水酢酸である、項目1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
6. Rが、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル及びシクロプロピル並びにフェニルからなる群から選択され、好ましくはRがイソプロピルである、項目1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
7. HalがBr及びCl、好ましくはBrから選択される、項目1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
8. 式(IV)の化合物が、臭化イソプロピルマグネシウム、塩化イソプロピルマグネシウム及びそれらの組み合わせから選択され、好ましくは式(IV)の化合物が臭化イソプロピルマグネシウムである、項目1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
9. 反応ステップ(i)が有機溶媒中で行われる、項目1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
10. 有機溶媒がTHFである、項目9に記載の方法。
【0088】
11. 連続工程である、項目1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
12. 式(IIa)の化合物が以下である、項目1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
【化18】
【0091】
13. 式(Ia)
【0092】
【化19】
[式中、Rは前述の項目のいずれか1つで定義された通りであり、
はハロゲンである。]
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(i) 前記項目のいずれかで定義された式(IIa)の化合物を得るための項目1~12のいずれかの1つに記載の方法、及び
(ii) ステップ(i)で得られた式(IIa)の化合物を式(VI)
【0093】
【化20】
[式中、Rは水素又はアルカリ金属カチオンである。]
の化合物と反応させることを含む方法。
【0094】
14. RがBr又はCl、好ましくはClである、項目13に記載の方法。
【0095】
15. 式(Ia)の化合物が以下である、項目13又は14に記載の方法。
【0096】
【化21】
【0097】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明される。
【実施例
【0098】
[実施例1]
63.4g(0.26mol、1.00当量)の2-ブロモ-5-フルオロベンゾトリフルオリド(BFBTF)を500mLの反応器に仕込んだ。THF中の1.18モル(1.0当量)の臭化イソプロピル-マグネシウム溶液197gを30℃で3時間かけて添加した。生成したBFBTF-グリニャール溶液を、47gのTHF及び1.6gの無水酢酸の混合物に30.4gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.31mol、1.2当量)で3時間かけて添加した。
【0099】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、90%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0100】
[実施例2]
63.4g(0.26mol、1.00当量)のBFBTFを500mL反応器に仕込んだ。THF中の1.18モル(1.15当量)の臭化イソプロピル-マグネシウム溶液227gを30℃で3時間かけて添加した。生成したBFBTF-グリニャール溶液を、47gのTHF及び1.6gの無水酢酸の混合物に30.4gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.31mol、1.2当量)で3時間かけて添加した。
【0101】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、90%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0102】
[実施例3]
63.4g(0.26mol、1.00当量)のBFBTFを500mL反応器に仕込んだ。THF中の1.18モル(1.15当量)の臭化イソプロピル-マグネシウム溶液227gを30℃で3時間かけて添加した。生成したBFBTF-グリニャール溶液を、47gのトルエン及び1.6gの無水酢酸の混合物に30.4gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.31mol、1.2当量)で3時間かけて添加した。
【0103】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、90%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0104】
[実施例4]
500mLの反応器に、160gのTHF及び4.86g(0.2mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で147g(0.6mol、3当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液を、36gのTHF及び1.22gの無水酢酸の混合物に23.27gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.24mol、1.2当量)で3時間かけて添加した。
【0105】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、90%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0106】
[実施例5]
500mLの反応器に、160gのTHF及び4.86g(0.2mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で48.6g(0.2mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液を、36gのTHF及び1.22gの無水酢酸の混合物に23.27gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.24mol、1.2当量)で3時間かけて添加した。
【0107】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、90%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0108】
[実施例6]
500mLの反応器に、247gのTHF及び7.50g(0.31mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で75.0g(0.31mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に55.62gのTHFを添加し、及び33.07g(0.32mol、1.05当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0109】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、91%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0110】
[実施例7]
2Lの反応器に、988gのTHF及び30.0g(1.23mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で299.9g(1.23mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に126.0g(1.23mol、1.0当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加する。
【0111】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、91%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0112】
[実施例8]
【0113】
【化22】
【0114】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に59.3g(0.28mol、0.97当量)の無水トリフルオロ酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加する。
【0115】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により73%の収率及び95%超の純度(H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0116】
[実施例9]
【0117】
【化23】
【0118】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に38.2g(0.29mol、1.0当量)の無水プロパン酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
溶媒を蒸留で除去し、残留物を水で抽出した。
【0119】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により89%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0120】
[実施例10]
【0121】
【化24】
【0122】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に64.5g(0.29mol、1.0当量)の無水酪酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0123】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により85%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0124】
[実施例11]
【0125】
【化25】
【0126】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に45.6g(0.28mol、0.97当量)の無水イソ酪酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0127】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により99%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0128】
[実施例12]
【0129】
【化26】
【0130】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に52.5g(0.28mol、0.97当量)の無水トリメチル酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0131】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により84%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0132】
[実施例13]
【0133】
【化27】
【0134】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に64.5g(0.28mol、0.97当量)の無水安息香酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0135】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン/酢酸エチル100/2v/v%)により98%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0136】
[実施例14]
【0137】
【化28】
【0138】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に24.3g(0.28mol、0.97当量)のγ-ブチロラクトンを50℃の温度で3時間かけて添加した。
【0139】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を41%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0140】
[実施例15]
【0141】
【化29】
【0142】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に28.2g(0.28mol、0.97当量)の無水コハク酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0143】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチレン/メタノール100/2.5v/v%)により43%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0144】
[実施例16]
【0145】
【化30】
【0146】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)のBFBTFを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に41.8g(0.28mol、0.97当量)の無水フタル酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0147】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、ジエチルエーテルの添加による沈殿、及びその後のジエチルエーテル及びn-ヘキサンによる洗浄により、88%の収率及び95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で単離した。
【0148】
[実施例17]
【0149】
【化31】
【0150】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で45.7g(0.29mol、1当量)のブロモベンゼンを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液を、80gのTHF及び1.4gの無水酢酸の混合物に27.4gの無水酢酸の並行添加により、-10~10℃の間の温度(無水酢酸の総量:0.28mol、0.98当量)で3時間かけて添加した。
【0151】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、86%の収率で、95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0152】
[実施例18]
【0153】
【化32】
【0154】
500mLの反応器に、230gのTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で72.1g(0.29mol、1当量)の2-ブロモベンゾトリフルオリドを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に28.5g(0.28mol、0.97当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0155】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、86%の収率で、95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0156】
[実施例19]
【0157】
【化33】
【0158】
500mLの反応器に、82.3gのTHF及び7.50g(0.31mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。2.96g(0.02mol、0.08当量)の2-ブロモプロパン及び165gのTHF中の全部で55.7g(0.31mol、1当量)の2-クロロベンゾトリフルオリドを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に30.6g(0.30mol、0.97当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0159】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、71%の収率で、95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0160】
[実施例20]
【0161】
【化34】
【0162】
500mLの反応器に、64.1gのTHF及び5.85g(0.24mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。2.27g(0.02mol、0.08当量)の2-ブロモプロパン及び128gのTHF中の全部で50.2g(0.24mol、1当量)の2-クロロ-5-フルオロベンゾトリフルオリドを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に23.8g(0.23mol、0.97当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0163】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、12%の収率で、95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。
【0164】
[実施例21]
【0165】
【化35】
【0166】
500mLの反応器に、230のTHF及び7.00g(0.29mol、1当量)のMg削りくずを仕込み、50℃まで加熱した。全部で61.4g(0.29mol,1当量)の2-ブロモ-1,3,5-トリフルオロベンゼンを2時間かけて添加し、全てのMgが溶解するまで撹拌した。生成したグリニャール溶液に28.5g(0.28mol、0.97当量)の無水酢酸を-10~10℃の間の温度で3時間かけて添加した。
【0167】
溶媒を留去し、残渣を水で抽出した。最終生成物を、60%の収率で、95%超の純度(1H-、19F-NMRによる重量%、a%GC)で蒸留により単離した。