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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/245 20180101AFI20240222BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240222BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240222BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20240222BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20240222BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240222BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240222BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240222BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240222BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240222BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240222BHJP
【FI】
F21S43/245
F21S43/14
F21S43/237
F21S43/241
F21S43/247
F21V8/00 330
F21V8/00 310
F21W103:20
F21W103:10
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019213660
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021086694
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤松 亮太
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045671(JP,A)
【文献】特開2016-155515(JP,A)
【文献】特開2007-191059(JP,A)
【文献】特開2015-133212(JP,A)
【文献】特開2013-191412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21V 8/00
F21W 103/20
F21W 103/10
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーレンズと、
インナー部材を備える車両用灯具であって、
前記インナーレンズは、
第1方向に沿って延びる第1光出射面と、
前記第1方向に沿って複数の第1プリズム部が配列された第1光反射面にして、各第1プリズム部がインナーレンズ内の伝播光を前記第1光出射面に向けて反射するように設けられる第1光反射面を備え、
前記第1方向沿いの前記伝播光の伝播方向に関して前記第1光出射面の遠位に隣接して設けられた第2光出射面と、
前記第2光出射面に少なくとも部分的に対向して配置された第2光反射面を更に含み、
前記第2光出射面は、前記第1方向に沿って伝播する前記伝播光の一部が透過するように前記第1光出射面に関して傾斜して設けられ、
前記第2光反射面には、前記第2光出射面により反射された前記伝播光の少なくとも一部を前記第2光出射面に向けて再反射する複数の第2プリズム部が設けられ
前記インナー部材は、前記第1方向に沿って前記インナーレンズ内を伝播し、前記第2プリズム部により反射されることなく前記第2光出射面を介して前記インナーレンズから出射された光を反射する複数のプリズム部を有する、車両用灯具
【請求項2】
前記第2光反射面は、反射膜により少なくとも部分的に被覆されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具
【請求項3】
前記第2光反射面は、前記第1方向沿いの前記伝播光の伝播方向に関して前記第1光反射面の遠位に隣接して設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用灯具
【請求項4】
前記第2光出射面及び前記第2光反射面よりも前記第1光出射面から遠位に設けられた取付端を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用灯具
【請求項5】
前記取付端は、前記第2光出射面及び/又は前記第2光反射面により反射された光を再反射する複数の第3プリズム部を有する、請求項4に記載の車両用灯具
【請求項6】
記インナーレンズの前記取付端が前記インナー部材に対して嵌合される、請求項4又は5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記インナー部材の前記複数のプリズム部は、前記第1光反射面が存在する平面に沿って配列される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1プリズム部のピッチ間隔と前記インナー部材の前記プリズム部のピッチ間隔が実質的に一致する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インナーレンズ及びこれを含む車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には車両用灯具に内蔵されるインナーレンズが開示されている。特許文献1のインナーレンズには取付片が設けられ、ネジなどによってインナーパネルに取り付けられる(同文献の段落0027及び図2参照)。特許文献2には導光部材の先端部からの出射光を拡散させる拡散構造を設けることが開示されている(同文献の段落0034及び図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-50158号公報
【文献】特開2015-133212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インナーレンズの取付といった特定の目的のためにインナーレンズを形状付ける場合、インナーレンズの光学特性(例えば、光出射面サイズ)に影響を与えるおそれがある。限定の意図なく述べれば、特許文献1のインナーレンズではプリズム部の出射面の取付片側端部には前方に光出射されない非発光領域が形成される(特許文献1の図3参照)。本願発明者は、このような非限定の課題に照らし、インナーレンズの光学特性への影響を回避又は抑制した態様でインナーレンズの形状自由度を高めるという課題を新たに見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るインナーレンズは、第1方向に沿って延びる第1光出射面と、第1方向に沿って複数の第1プリズム部が配列された第1光反射面にして、各第1プリズム部がインナーレンズ内の伝播光を第1光出射面に向けて反射するように設けられる第1光反射面を含む車両用灯具用インナーレンズである。インナーレンズは、第1方向沿いの伝播光の伝播方向に関して第1光出射面の遠位に隣接して設けられた第2光出射面と、第2光出射面に少なくとも部分的に対向して配置された第2光反射面を更に含む。第2光出射面は、第1方向に沿って伝播する伝播光の一部が透過するように第1光出射面に関して傾斜して設けられる。第2光反射面には、第2光出射面により反射された伝播光の少なくとも一部を第2光出射面に向けて再反射する複数の第2プリズム部が設けられる。
【0006】
幾つかの実施形態においては、第2光反射面は、反射膜により少なくとも部分的に被覆される。
【0007】
幾つかの実施形態においては、第2光反射面は、第1方向沿いの伝播光の伝播方向に関して第1光反射面の遠位に隣接して設けられる。
【0008】
幾つかの実施形態においては、インナーレンズは、第2光出射面及び第2光反射面よりも第1光出射面から遠位に設けられた取付端を更に含む。取付端は、第2光出射面及び/又は第2光反射面により反射された光を再反射する複数の第3プリズム部を有し得る。
【0009】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、上述のいずれかのインナーレンズと、第1方向に沿ってインナーレンズ内を伝播して第2光出射面を介してインナーレンズから出射された光を反射する複数の第4プリズム部を有するインナー部材を含む。幾つかの実施形態においては、インナーレンズの取付端がインナー部材に対して嵌合される。
【0010】
幾つかの実施形態においては、複数の第4プリズム部は、第1光反射面が存在する平面に沿って配列される。
【0011】
幾つかの実施形態においては、第1プリズム部のピッチ間隔と第4プリズム部のピッチ間隔が実質的に一致する。
【0012】
本開示の別態様に係る車両用灯具は、
光源と、
前記光源に光学的に結合されるインナーレンズを含み、
前記インナーレンズは、
車幅方向に沿って延びる第1光出射面と、
前記車幅方向に沿って複数の第1プリズム部が配列された第1光反射面にして、各第1プリズム部がインナーレンズ内の伝播光を前記第1光出射面に向けて反射するように設けられる第1光反射面と、
前記車幅方向沿いの前記伝播光の伝播方向に関して前記第1光出射面の遠位に隣接して設けられた第2光出射面と、
前記第2光出射面に少なくとも部分的に対向して配置された第2光反射面を含み、
前記第2光出射面は、前記車幅方向に沿って伝播する前記伝播光の一部が透過するように前記第1光出射面に関して傾斜して設けられ、
前記第2光反射面には、前記第2光出射面により反射された前記伝播光の少なくとも一部を前記第2光出射面に向けて再反射する複数の第2プリズム部が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、インナーレンズの光学特性への影響を回避又は抑制した態様でインナーレンズの形状自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一態様に係る車両用灯具の概略的な後面図である。
図2】車両用灯具に内蔵されるインナーレンズユニットを示す概略的な斜視図である。
図3図2に示すインナーレンズの概略的な斜視図である。
図4】上下方向に直交する平面における図2に示すインナーレンズの概略的な断面を示す概略的な模式図である。なお、一点鎖線においてはプリズム部の図示が省略されている。
図5図2に示すインナーレンズの遠位端の構成を示す概略的な部分拡大図である。円枠内に矢印で特定のプリズム部の拡大図を示す。点線は、インナーレンズ内での伝播光の光路を模式的に示す。破線は、第1光反射面及び第4光反射面が存在する平面を示す。二点鎖線は、破線に平行な平面を示す。
図6】インナーレンズの第1プリズム部とインナー部材の第4プリズム部が実質的に同一ピッチで配列されることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1乃至図6を参照しつつ、本開示に係る車両用灯具及びこれに内蔵されるインナーレンズの様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示されたインナーレンズにのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない様々なインナーレンズにも通用する普遍的な特徴として理解される。前後、左右及び上下方向は、車両用灯具が装着された車両を基準として用いられる。同様、車幅方向(第1方向)、車両外方、及び車両内方といった用語も、車両用灯具が装着された車両を基準として用いられる。なお、請求項において特定されない限り、これらの方向を示す用語は、限定として解釈されるべきではない。
【0016】
図1に示す車両用灯具1は、自動車(不図示)の左側テールランプであり、ハウジング9と、ハウジング9に固定され、ハウジング9と共に灯室を画定するアウターレンズ8と、灯室内で光を出射して後方を照明する信号灯7と、灯室内で光を出射して後方を照明する照明ユニット2を有する。例えば、灯具1は、ヘッドライトと同調又は非同期で作動する。ヘッドライトの点灯に同期して信号灯7が弱点灯し、自動車のブレーキの作動に同期して強点灯する。照明ユニット2は、信号灯7と同一色又は異色で発光し、方向指示灯又は車幅灯として機能する。灯具1に設けられる信号灯7及び照明ユニット2の数は、1つに限られず、2つ以上であり得る。なお、右側テールランプも左側テールランプと左右対称である点を除いて同様に構成できる。
【0017】
図2に示すように、照明ユニット2は、インナー部材3と、インナーレンズ4と、光源5を有する。インナー部材3は、灯具1の灯室内、端的には、ハウジング9の凹部内に配置されるインナーハウジング又はインナーパネルであるが、これに限らない。インナーレンズ4は、車幅方向D1に長尺な光出射面を介して光を出射する光学素子である。インナーレンズ4は、入射光を車幅方向D1に導光し、この導光過程での光の拡散及び反射に基づいて車両外方に光を出射する。なお、車幅方向D1は、左右方向に等しく、両者は互いに読み替え可能であるものとする。
【0018】
光源5は、ハロゲンランプ、HID(High Intensity Discharge)ランプ、又は半導体発光装置(例えば、LD(Laser Diode)又はLED(Light Emitting Diode))であり得る。典型的には、光源5は、拡散光源のLED(Light Emitting Diode)光源である。半導体素子であるLEDが通電に応じて発光し、LEDの光出射面上に実装されたレンズを介して光が発散される。実施形態毎に様々な種類の光源を採用することができ、光源の放射光のコリメートのため、又はそのフィールドパターン制御のための付加的な光学素子を用いることもできる。なお、幾つかの場合、光源5は、灯具1の灯室外部においてハウジング9に固定され、別の幾つかの場合、灯具1の灯室内又は外においてインナー部材3に固定される。光源5の波長帯、出射光強度、配置及び取付といった事項は当業者により任意に決定される。
【0019】
インナー部材3は、車幅方向D1に延びるコ字状の受容溝を有し、この受容溝にインナーレンズ4が受容される。具体的には、インナー部材3は、車幅方向D1に延びる上下一対の枠板31,32、上下一対の枠板31,32の間に設けられた底板33(図4参照)を有する。底板33は、枠板31の車両内方端(前端)と枠板32の車両内方端(前端)を接続する。インナー部材3の受容溝にインナーレンズ4が受容される時、枠板31,32の車両外方端(後端)がインナーレンズ4よりも車両外方(後方)に突出し、インナーレンズ4がインナー部材3により保護される。インナー部材3は、インナー部材3の受容溝に受容したインナーレンズ4がインナー部材3から離脱することを阻止するためのロック部34も有する。
【0020】
インナーレンズ4は、光源5の出射光(例えば、可視光)に対して透明であり、例えば、透明樹脂又はガラスといった適切な光透過性材料から成る。インナーレンズ4は、図3に示すように、車幅方向D1において、光入射端4a、主面発光部4b、副面発光部4c、及び取付端4dを有する。光入射端4aは、光源5の近傍に配置され、典型的には対向して配置される。主面発光部4bは、車幅方向D1及び車両外方D2に関する斜め方向(D1とD2の合成ベクトル)に沿って弧状に延び、続いて車幅方向D1に沿って実質的に直線状に延びる。主面発光部4bの弧状部分は、車両外面形状に応じたものである。副面発光部4cは、光入射端4aから遠位の主面発光部4bの端部に結合し、車幅方向D1に延びるに応じて車両内方に向けて斜め方向に延びる。取付端4dは、副面発光部4cの車両内方端部に結合し、車幅方向D1に延びるに応じて車両内方に向けて斜め方向に延びる。取付端4dは、車幅方向D1に沿って延びる取付基部4eと取付基部4eから車両外方(後方)に突出した突起4fを有する。
【0021】
取付端4dは、光入射端4aとは反対側の端部であり、インナー部材3のロック部34に対して嵌合され、これによってインナー部材3からのインナーレンズ4の離脱が阻止される。なお、取付端4dの構成は、図示のものに限定されるべきではない。突起4fの追加又は代替としてネジを通す又はネジに螺合するネジ孔を設けることもできる。また、取付端4dをインナー部材3とは異なる他の部材に取り付ける形態も想定される。
【0022】
インナーレンズ4に取付端4dを設けることによって(インナー部材3又は他の部材に対する)インナーレンズ4の取付が円滑となる。更には、インナーレンズ4の光学的特性に負に影響する構造(例えば、特許文献2に記載の導光部材の後面に設けられる突起部)の不採用又はその数の減少が可能となる。しかしながら、インナーレンズ4に取付端4dを設けると、車幅方向D1においてできる限りインナーレンズ4の光出射面を長くするという目的の障害となってしまう場合がある。本実施形態では、後述の説明から分かるように、副面発光部4c(特には後述の第2光出射面44と第2光反射面48の組み合わせ)の採用によってこの問題が回避又は抑制される。
【0023】
なお、灯具1が左側テールランプである場合、光入射端4aは、インナーレンズ4の左端部であり、取付端4dは、インナーレンズ4の右端部である。右側テールランプにインナーレンズユニットが設けられる場合、光入射端は、インナーレンズの右端部であり、取付端は、インナーレンズの左端部となる。副面発光部4cの車幅方向幅は、主面発光部4bの車幅方向幅よりも小さい。従って、副面発光部4cを主面発光部4bが延長された領域と把握することもできる。
【0024】
インナーレンズ4は、光入射面41、第1光出射面43、第2光出射面44、第1光反射面47、第2光反射面48、及び第3光反射面49を有する。光入射面41は、光入射端4aに設けられ、インナーレンズ4の左端面を形成する。第1光出射面43及び第1光反射面47は、主面発光部4bに設けられ、インナーレンズ4の後面及び前面を形成する。第2光出射面44及び第2光反射面48は、副面発光部4cに設けられ、インナーレンズ4の後面及び前面を形成する。第3光反射面49は、取付端4dの取付基部4eの前面に設けられる。
【0025】
第1光出射面43は、車幅方向D1に沿って延びる。第1光反射面47は、車幅方向に沿って複数のプリズム部47j(第1プリズム部)が配列された面である。各プリズム部47jは、インナーレンズ4の射出成形によって形成可能である。第1光出射面43は、光入射面41側における湾曲面43aと、光入射面41から湾曲面43aよりも遠位に位置する平坦面43bに区分可能である。第1光反射面47は、湾曲面43aに対向する湾曲面と、平坦面43bに対向する平坦面に区分可能である。なお、第1光反射面47は車幅方向D1に沿ってプリズム部47jが所定ピッチで配列された凸凹面であり、滑らかな湾曲面とはならないことに留意されたい。
【0026】
図4及び図5に示すように、各プリズム部47jは、インナーレンズ内の伝播光を第1光出射面43に向けて反射し、端的には、車両外方(後方)に向けてインナーレンズ内の伝播光を反射する。また、第1プリズム部47jは、インナーレンズ内の伝播光を拡散するようにも機能し、他の第1プリズム部47jによる反射光を再反射し、又は第1光出射面43により反射された光を再反射する。図5の円枠内の部分拡大図に示すように、プリズム部47jは、車両内方(前方)に向けて突出した凸状部分である。プリズム部47jは、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両内方(前方)に傾斜するプリズム面47pと、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両外方(後方)に傾斜するプリズム面47qを有する。プリズム部47jは、プリズム面47p,47qの間に鋭利な頂点、若しくは平坦又は湾曲した頂面を有し得る。プリズム面47p,47qは、所定角度で傾斜する平坦な傾斜面に限られず、第1プリズム部47jの頂点又は頂面から離間するに応じて勾配が変化する湾曲面であり得る。第1光反射面47におけるプリズム部47jの配向は、例えば、第1光出射面43の湾曲の程度に応じて適切に調整され、これによって第1光出射面43からの光出射強度分布が均一化される。光入射面41近傍のプリズム部47jの配向と、光入射面41から離間したプリズム部47jの配向は異なり得る。
【0027】
第2光出射面44は、インナーレンズ4における伝播光の伝播方向(車幅方向D1の右方向)に関して第1光出射面43よりも遠位に隣接配置される。また、第2光出射面44は、車幅方向D1の右方向に沿って伝播する伝播光の一部が透過するように第1光出射面43に関して傾斜して設けられる。端的には、第2光出射面44は、車幅方向の右方向に延びるに応じて車両内方に向かうべく傾斜する。第2光出射面44は、第1光出射面43から離間するに応じてインナーレンズ4からの第1光出射面43を介した光出射方向(車両外方)とは反対側(車両内方)に向かうように傾斜する、とも言える。第1光出射面43と第2光出射面44が鈍角で接続され、両者の間に角部C1が形成される。
【0028】
光入射面41を介してインナーレンズ4に進入した光は、第1光出射面43と第1光反射面47で多重反射されて第2光出射面44に到達する光を含む。第2光出射面44に到達した光は、第2光出射面44に対する入射角に依存して第2光出射面44を透過し、又は第2光出射面44により反射される。第2光出射面44を透過した光は、屈折作用を受けるものの引き続き車幅方向(右方)に伝播して第4光反射面37に向かう。第2光出射面44で反射された光は、副面発光部4cにて車両内方(前方)に向けて伝播して第2光反射面48又は第3光反射面49に向かう。なお、第2光出射面44で反射され第1光反射面47に向かう光もあり得る。
【0029】
第2光出射面44は、車幅方向D1に対して異なる角度で交差する面領域44a,44bに区分可能である。面領域44aは、面領域44bと比較して車両外方に位置する。面領域44bは、面領域44aと比較して車両内方に位置する。主面発光部4bを伝播して第2光出射面44を介して第4光反射面37に透過する光は、主に面領域44aを透過して第4光反射面37に向けて伝播する。面領域44aの面積は、面領域44bの面積よりも大きい。
【0030】
第2光反射面48は、インナーレンズ4における伝播光の伝播方向に関して第1光反射面47よりも遠位に隣接して配置される。第2光反射面48は、第2光出射面44に少なくとも部分的に対向して配置される。また、第2光反射面48には複数のプリズム部48j(第2プリズム部)が配列される。各プリズム部48jは、第2光出射面44により反射された光を第2光出射面44に向けて再反射する。プリズム部48jは、凸状部分であり、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両内方(前方)に傾斜するプリズム面と、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両外方(後方)に傾斜するプリズム面を有する。第1プリズム部47jと同様、第2プリズム部48jを様々に形状付けることができ、第1プリズム部47jについてした説明がそのまま当てはまる。第2光反射面48を設けることによって第2光出射面44で反射した光を車両外方(後方)に向けることができ、光利用効率が高められることに加え、有効発光領域EIR’’が有効発光領域EIR’まで延長される。有効発光領域EIR’’の矢印は、第2光反射面48が設けられない場合のインナーレンズ4の発光領域の端位置を示す。有効発光領域EIR’の矢印は、第2光反射面48が設けられる場合のインナーレンズ4の発光領域の端位置を示す。
【0031】
第2光出射面44での反射光が取り得るランダムな伝播方向を考慮し、第2光反射面48に反射膜68を形成することもできる。第2光出射面44で反射してプリズム部48jに入射する光の大部分が全反射条件を満足するようにプリズム部48jを形状づけることの困難さが緩和される。反射膜68は、スパッタリング、蒸着又はコーティング等によって形成することができ、例えば、蒸着により形成された金属膜(例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)膜)である。プリズム部48jのプリズム面のうち一つ又は幾つかに対して選択的に反射膜68を形成することもできる。第2光反射面48に対面するインナー部材3の部分33pの面に反射膜を形成することもできる。
【0032】
取付端4dは、主面発光部4bに対して副面発光部4cを介して車両内方(前方)にオフセットして設けられ、第2光出射面44及び第2光反射面48よりも第1光出射面43から遠位に設けられる。取付端4dの車両内方の面(前面)には第3光反射面49が設けられる。第3光反射面49には、第2光出射面44及び/又は第2光反射面48により反射された光を再反射する複数のプリズム部49j(第3プリズム部)が設けられる。第3光反射面49を設けることによって取付端4dまで伝播した迷光がプリズム部49jによる再反射によって第2光出射面44に向けて伝播する確率が高められる。プリズム部49jは、凸状部分であり、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両内方(前方)に傾斜するプリズム面と、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両外方(後方)に傾斜するプリズム面を有する。第1及び第2プリズム部47j、48jと同様、第3プリズム部49jを様々に形状付けることができ、第1プリズム部47jについてした説明がそのまま当てはまる。第3光反射面49に対面するインナー部材3の部分面に反射膜を形成することもできる。
【0033】
インナー部材3のロック部34には第4光反射面37が形成される。第4光反射面37には、車幅方向D1(右方)に沿ってインナーレンズ内を伝播し、第2光出射面44を介してインナーレンズ4から出射された光を反射する複数のプリズム部37j(第4プリズム部)が設けられる。各プリズム部37jは、車幅方向D1(右方)に伝播してきた光を車両外方(後方)に向けて反射する。プリズム部37jを設けることによって第2光出射面44を透過した光を車両外方に向けることができ、光利用効率が高められることに加えて、有効発光領域EIR’が有効発光領域EIRまで延長される。有効発光領域EIRの矢印は、第4光反射面37が設けられる場合の照明ユニット2の発光領域の端位置を示す。
【0034】
第4プリズム部37jは、凸状部分であり、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両内方(前方)に傾斜するプリズム面と、車幅方向D1(右方)に延びるに応じて車両外方(後方)に傾斜するプリズム面を有する。他のプリズム部47j、48j、49jと同様、第4プリズム部37jを様々に形状付けることができ、第1プリズム部47jについてした説明がそのまま当てはまる。なお、非限定の図示のロック部34は、取付端4dの突起4fを受容する凹部を形成するように鉤状に屈曲した形状を有し、端的には、車両外方(後方)に延びる壁部34p、車幅方向D1(左方)に延びる板部34q、車両内方(前方)に延びる突片34hを有する。ロック部34の板部34qの車両外方の面(後面)に第4光反射面37が形成される。
【0035】
第4プリズム部37jは、第1光反射面47が存在する平面PL1に沿って配列され、すなわち第1光反射面47の延長線上に配列される。なお、第1光反射面47はプリズム部47jの配列により形成されるものであるため、第1光反射面47が平面PL1に存在することは、平面PL1に沿ってプリズム部47jが配列されていることと同意である。第2光出射面44によって主面発光部4bが終端するものの、第2光出射面44を透過した光は、第1光反射面47の延長部分として機能する第4光反射面37によって反射されて車両外方に向けられる。第2光出射面44を設けることによる光損失が回避又は抑制され、かつ有効発光領域の延長が促進される。第4プリズム部37jが第1光反射面47の延長線上に配列され、かつ第1プリズム部47jのピッチ間隔P1と第4プリズム部37jのピッチ間隔P2が実質的に一致する場合、第1光出射面43と第4プリズム部37jの発光時の一体感が得られ、両者が一体的に光っている(繋がって光っている)見栄えを得ることができる。上述の平面PL1に平行な平面PL3に沿ってプリズム部49jを配列させても良い。
【0036】
繰り返すが、インナーレンズ4の取付端4dは、必ずしもインナー部材3に対して嵌合されるものではなく、他の部材、例えば、灯具1のハウジング9に対して固定(ネジ止め、接着、溶着、嵌合等)され得ることに留意されたい。インナーレンズ4、特に、第1光反射面47、第2光反射面48、及び第3光反射面49に対面するインナー部材3の面に反射膜を形成し、又は鏡面仕上げすることもできる。第4光反射面37のためにインナー部材3とは別の反射性部材(例えば、ミラー)を配置することもできる。
【0037】
最後に、光源5の点灯によってインナーレンズ4が光出射する動作について説明する。光源5から放射された散乱光は、まず、インナーレンズ4の光入射端4aの光入射面41を介してインナーレンズ4内に進入する。インナーレンズ4内を伝播する一部の光は、第1光反射面47のプリズム部47jで車両外方に向けて反射され、第1光出射面43で屈性作用を受け、車両外方に伝播する(図4の点線と図5の点線L1参照)。プリズム部47jで反射された一部の光は、第1光反射面47で再反射され、光入射面41からより離れたプリズム部47jに向けて伝播する。第1光出射面43と第1光反射面47の間で多重反射される光もある。このような車幅方向D1に伝播する過程での光の散乱によって車幅方向D1に長尺な第1光出射面43に車幅方向D1に長尺な面状発光領域が形成される。
【0038】
第2光出射面44に到達した光の一部は、第2光出射面44を透過し、車両外方(後方)に向けて放射される(図5の点線L2参照)。第2光出射面44に到達した光の一部は、第2光出射面44を透過し、車幅方向(右方向)に向けて伝播してプリズム部37jにより車両外方(後方)に向けて反射される(図5の点線L3参照)。第2光出射面44に到達した光の一部は、第2光出射面44で反射され、第2光反射面48のプリズム部48jで再反射され、第2光出射面44を透過し、車両外方(後方)に向けて放射される(図5の点線L4参照)。
【0039】
上述の説明を踏まえ、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。上述の具体的な説明(構造、材料、光学的特性)は、発明の限定の基礎を提供するものの、請求項において特定されない限り発明を限定する基礎として見なされるべきではない。車幅方向におけるインナーレンズ4の一端に第1光源を設け、その他端に第2光源を設け、複数の光源からインナーレンズに光を供給する形態も想定される。従って、第1光出射面に対する第2光出射面の位置関係は、複数の光源のうち特定の光源との関係において把握されるべき場合もあり得る。
【符号の説明】
【0040】
37,47,48,49 光反射面
43,44 光出射面
37j,47j,48j,49j プリズム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6