(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/12 20220101AFI20240222BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240222BHJP
【FI】
G06V40/12
G06T7/00 530
(21)【出願番号】P 2022569800
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2021042441
(87)【国際公開番号】W WO2022130891
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2020206529
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】廣川 聡
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207702(JP,A)
【文献】特開2019-191913(JP,A)
【文献】特開2007-48116(JP,A)
【文献】特開2012-73704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/12
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得する取得部と、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出する抽出部と、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記第1特徴点及び前記第2特徴点の位置を基準として前記回転指紋及び前記平面指紋を重畳した場合において、前記回転指紋の中で前記第1特徴点が抽出されていない領域の大きさに基づいて前記領域に係る補正作業の第2作業量を推定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記共通領域において前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点の総数に基づいて前記共通領域に係る補正作業の第3作業量を推定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、同一人物に係る10指の指紋画像群から前記回転指紋及び前記平面指紋を取得し、
前記推定部は、各指について算出された前記第1作業量、前記第2作業量及び前記第3作業量に基づいて前記10指についての補正作業における全体作業量を推定する、
請求項3に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記非共通領域に含まれる前記第1特徴点の総数と前記割合との乗算値に基づいて前記第1作業量を推定する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記全体作業量を正規化した指標値を画面に表示させる表示制御部、
を更に備える請求項4に記載された情報処理装置。
【請求項7】
前記全体作業量に対応する推定作業時間を画面に表示させる表示制御部、
を更に備える請求項4に記載された情報処理装置。
【請求項8】
前記全体作業量に対応する前記補正作業の実績データに基づいて前記推定作業時間を更新する処理部、
を更に備える請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、
を備える情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、
を実行させるためのプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、10指指紋カードから切り出した回転指紋と平面指紋とを照合し、その照合結果を出力する指紋画像処理装置が開示されている。当該装置によれば、指紋画像をデータベースに登録する際に、押捺位置の間違いや指種指定の間違いを訂正できるため、指紋照合の精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
10指指紋カードから切り出された回転指紋及び平面指紋には、押捺領域が全体として不鮮明である場合や、押捺領域の一部が欠落している場合があり得る。このような場合、例えば、ユーザは指紋の状態が比較的良好である平面指紋に基づいて、同じ指の回転指紋に対して特徴点の削除、芯線の補充及び移動等の補正作業を手動で行っている。
しかしながら、上述のような補正作業における作業量は、ユーザが選択した10指指紋カードに記録されている指紋の状態によって大きく変動する。特に、回転指紋のうち、平面指紋と共通していない領域の作業量を推定することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示の一観点によれば、同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得する取得部と、前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出する抽出部と、前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定する推定部と、を備えることを特徴とする情報処理装置が提供される。
【0006】
この開示の他の一観点によれば、同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、を備えることを特徴とする情報処理方法が提供される。
【0007】
この開示の他の一観点によれば、コンピュータに、同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る指紋登録装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る指紋登録装置の機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る指紋登録装置において実行される作業量の推定処理の概略を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る10指指紋カードの一例を示す図である。
【
図5A】第1実施形態に係る回転指紋画像の一例を示す拡大図である。
【
図5B】第1実施形態に係る平面指紋画像の一例を示す拡大図である。
【
図6】回転指紋画像及び平面指紋画像から抽出された特徴点の一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る指紋登録装置において実行される検索処理の概略を示すフローチャートである。
【
図8A】第1実施形態に係る検索結果表示画面の一例を示す図である。
【
図8B】第1実施形態に係る検索結果表示画面の一例を示す図である。
【
図8C】第1実施形態に係る検索結果表示画面の一例を示す図である。
【
図8D】第1実施形態に係る検索結果表示画面の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る推定作業情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る推定作業量一覧画面の一例を示す図である。
【
図11】第4実施形態に係る推定作業量表示画面の一例を示す図である。
【
図12】第5実施形態に係る指別推定作業量表示画面の一例を示す図である。
【
図13】第6実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この開示の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態に係る指紋登録装置10について、
図1乃至
図8Dを参照しつつ説明する。本実施形態の指紋登録装置10は、指紋照合用に予め採取された指紋画像から照合の前処理として、指紋画像の登録及び補正作業を行うユーザの支援を行う。複数の指紋画像の間での特徴点を照合することにより、照合対象の指紋画像が同一人物のものであるか否かを判別する指紋照合を実行することが可能になる。
【0011】
図1は、指紋登録装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。指紋登録装置10は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC等のコンピュータであり得る。
【0012】
指紋登録装置10は、演算、制御及び記憶を行うコンピュータとして、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、ROM(Read Only Memory)153、ストレージ154、通信I/F(Interface)155、表示装置156及び入力装置157を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0013】
プロセッサ151は、ROM153、ストレージ154等に記憶されたプログラムに従って所定の演算を行うとともに、指紋登録装置10の各部を制御する機能を有する。また、プロセッサ151としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が用いられる。
【0014】
RAM152は、揮発性記憶媒体から構成され、プロセッサ151の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する。ROM153は、不揮発性記憶媒体から構成され、指紋登録装置10の動作に用いられるプログラム等の必要な情報を記憶する。
【0015】
ストレージ154は、不揮発性記憶媒体から構成され、データベースの記憶、指紋登録装置10の動作用プログラムの記憶等を行う。ストレージ154は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)により構成される。
【0016】
通信I/F155は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、4G等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。
【0017】
表示装置156は、動画、静止画、文字等を表示する液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等であって、ユーザへの情報の提示に用いられる。
【0018】
入力装置157は、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン等であって、ユーザによる操作を受け付ける。表示装置156及び入力装置157は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0019】
なお、
図1に示されているハードウェア構成は一例であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。また、本実施形態の一部の機能がネットワークを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態の機能が複数の装置に分散されて実現されてもよい。このように、
図1に示されているハードウェア構成は適宜変更可能である。
【0020】
図2は、本実施形態に係る指紋登録装置10の機能ブロック図である。指紋登録装置10は、指紋画像取得部101、抽出部102、作業量推定部103、表示制御部104、入力受付部105、検索部106、データ処理部107及び記憶部108を有する。
【0021】
プロセッサ151は、ROM153、ストレージ154等に記憶されたプログラムをRAM152にロードして実行する。これにより、プロセッサ151は、指紋画像取得部101、抽出部102、作業量推定部103、表示制御部104、検索部106、データ処理部107の機能を実現する。これらの各部で行われる処理については後述する。プロセッサ151は、入力装置157を制御することにより入力受付部105の機能を実現する。プロセッサ151は、ストレージ154を制御することにより記憶部108の機能を実現する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る指紋登録装置10において実行される作業量の推定処理の概略を示すフローチャートである。この処理は、例えば指紋登録装置10に新たな10指指紋カード画像が入力された場合に実行される。
【0023】
ステップS101において、指紋画像取得部101は、入力装置157又は図示しないネットワークを介して登録対象者の10指指紋カード画像を取得する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る10指指紋カードの一例を示す図である。10指とは、両手の10本の指のことである。片手の5本の指を、それぞれ、拇指、示指、中指、環指及び小指と呼ぶ。拇指、示指、中指、環指及び小指とは、それぞれ、親指、人差し指、中指、薬指、小指のことである。10指指紋カードは、10種類の回転指紋(Rolled Print)と4種類の平面指紋(Slap Print)の合計14種類の指紋画像を含む。破線部RPの中の指紋画像は、回転指紋である。破線部SPの中の指紋画像は、平面指紋である。
【0025】
図4に示す指紋画像は、例えば、インク等を指に塗布して、指を紙に押捺することにより、紙に転写される紋様の画像であり得る。指紋画像は、所定のファイル形式で電子化された状態で、記憶部等に記憶される。電子化された指紋画像は、例えば、グレースケール画像であり得る。なお、指紋画像は、光学式指紋読み取り装置により採取された画像であってもよく、物体に遺留した指紋の画像であってもよく、その採取方法は特に限定されるものではない。
【0026】
また、
図4の10指指紋カードには、10種類の回転指紋画像枠と4種類の平面指紋画像枠が予め印刷されている。回転指紋画像枠及び平面指紋画像枠は、10指指紋カードから各指の押捺指紋領域を抽出するために利用される。
【0027】
ステップS102において、指紋画像取得部101は、10指指紋カード画像に記録されている10指分の回転指紋画像及び平面指紋画像のうちから、同一指の回転指紋画像及び平面指紋画像を切り出す。
【0028】
ステップS103において、抽出部102は、回転指紋画像及び平面指紋画像から特徴点及び芯線を自動的にそれぞれ抽出する。
【0029】
抽出部102は、
図4に示すような指紋画像の黒色部(輝度が小さい部分)を認識し、黒色部をなぞるように芯線を描画した画像データを生成することにより、芯線の抽出を行う。抽出された芯線は、例えば、1画素幅の線であり得る。抽出部102による芯線の抽出に用いられるアルゴリズムは1つではなく、種々のものがあり得る。この複数のアルゴリズムの違いは、例えば、芯線の抽出時に前処理として行われる指紋画像の平滑化、輪郭強調、ノイズ除去等の画像処理のパラメータの違いであり得る。
【0030】
また、複数のアルゴリズムの違いの別の例としては、抽出解像度、隆線の判別に用いる閾値等の抽出処理のパラメータの違いであり得る。そして、抽出部102は、指紋画像から芯線を抽出すると、各芯線の特徴点を抽出する。特徴点としては、芯線が分岐している分岐点と、芯線の端点の2種類がある。なお、本実施形態では、抽出部102は、同じアルゴリズムを用いて回転指紋及び平面指紋から特徴点及び芯線を抽出するものとする。
【0031】
ステップS104において、抽出部102は、回転指紋画像及び平面指紋画像からそれぞれ抽出された特徴点を照合する。以下、本実施形態では、回転指紋から抽出された特徴点を「第1特徴点」、平面指紋から抽出された特徴点を「第2特徴点」とそれぞれ呼称する。
【0032】
図5Aは、本実施形態に係る回転指紋画像の一例を示す拡大図である。
図5Aの領域R11の中には、芯線に対して2つの端点P11、P12が抽出されている。また、領域R12の中には、芯線に対して分岐点P13と、端点P14が抽出されている。そして、領域R13の中には、芯線に対して分岐点P15と、分岐点(合流点)P16と、端点P17の3つの第1特徴点が抽出されている。
【0033】
図5Bは、本実施形態に係る平面指紋画像の一例を示す拡大図である。
図5Bは、
図5Aと同じ指の共通領域に関する平面指紋を示している。
図5Bの領域R21は、
図5Aの領域R11に対応している。しかし、領域R21には、領域R11と異なり、第2特徴点は抽出されていない。
【0034】
また、領域R22は、
図5Aの領域R12に対応している。領域R22には、領域R12と同様に、第2特徴点として分岐点P23と端点P24が抽出されている。すなわち、分岐点P13(第1特徴点)と分岐点P23(第2特徴点)は、対応関係を有する。同様に、端点P14(第1特徴点)と端点P24(第2特徴点)は、対応関係を有する。
【0035】
また、領域R23は、
図5Aの領域R13に対応している。領域R23には、領域R13と異なり、芯線に対して端点P27のみが抽出されている。すなわち、端点P17(第1特徴点)と端点P27(第2特徴点)は、対応関係を有する。しかし、
図5Aの分岐点P15又は合流点P16の第1特徴点との対応関係を有する第2特徴点は、領域R23には存在していない。更に、端点P18(第1特徴点)と端点P28(第2特徴点)は、対応関係を有する。
【0036】
このように、回転指紋に含まれる第1特徴点のうち、平面指紋の第2特徴点との対応関係を有していない特徴点は、ユーザの補正作業の対象となり得る。例えば、
図5Aの例では、平面指紋を基準として、端点P11及び端点P12を繋ぐ芯線を補充することで、端点P11及び端点P12を削除する。
【0037】
ステップS105において、抽出部102は、第1特徴点及び第2特徴点のペア情報及び移動量を取得する。ここで、ペア情報とは、第1特徴点と第2特徴点が対応関係にあることを示す情報である。移動量は、対応関係にある第1特徴点及び第2特徴点の位置ずれの量であり、第1特徴点及び第2特徴点の画像内での位置を基準として回転指紋と平面指紋の押捺領域を重畳する場合に利用される。
【0038】
ステップS106において、抽出部102は、2種類の押捺指紋における共通領域及び非共通領域を特定する。共通領域は、回転指紋画像と平面指紋画像との間で共通している押捺領域である。非共通領域は、回転指紋画像に含まれる押捺領域のうち共通領域を除いた押捺領域である。
【0039】
ステップS107において、抽出部102は、共通領域及び非共通領域における編集対象領域の単位ブロック数を特定する。
【0040】
ステップS108において、抽出部102は、回転指紋画像における第1特徴点を、第1特徴点が存在する領域及びペア情報に基づいて3パターンに分類する。
【0041】
本実施形態では、抽出部102は、以下のように第1特徴点を分類する。
(A)平面指紋との共通領域内に存在し、かつ、第2特徴点との対応関係を有する第1特徴点(以下、「ペアリング特徴点」という。)
(B)平面指紋との共通領域内に存在し、かつ、第2特徴点との対応関係を有していない第1特徴点(以下、「非ペアリング特徴点」という。)
(C)非共通領域内に存在する第1特徴点
【0042】
図6は、回転指紋画像及び平面指紋画像から抽出された特徴点の一例を示す図である。ここで、破線で囲まれた領域A1は、平面指紋の押捺領域である。一点鎖線で囲まれた領域A2は、回転指紋の押捺領域である。領域A1は、回転指紋と平面指紋の共通領域でもある。また、領域A2から共通領域(領域A1)を除いた領域A3は、非共通領域である。また、領域D1、D2及びD3は、第1特徴点が抽出されていない不明ゾーン、すなわち、編集対象領域である。
【0043】
図6における丸印は、芯線の端点である第1特徴点を示す。また、四角印は、芯線の分岐点である第1特徴点を示す。第1特徴点の各々から髭状に突出している線の方向は、芯線の方向を表している。更に、白塗の丸印又は四角印で表されている第1特徴点は、平面指紋の第2特徴点と対応関係を有しているペアリング特徴点を表している。黒塗の丸印又は四角印で表されている第1特徴点は、平面指紋の第2特徴点と対応関係を有していない非ペアリング特徴点を表している。例えば、特徴点P1、P2は、ペアリング特徴点である。特徴点P3、P4、P5、P6は非ペアリング特徴点である。
【0044】
ステップS109において、作業量推定部103は、例えば以下の算出式(1)に基づいて、指単位で推定作業量を算出する。
W=(B+C・B/(A+B))・a+x・b ・・・(1)
【0045】
ここで、Wは、推定作業量である。Aは、共通領域内に存在するペアリング特徴点の総数である。Bは、共通領域内に存在する非ペアリング特徴点の総数である。Cは、非共通領域内に存在する第1特徴点の総数である。xは、共通領域及び非共通領域(すなわち、回転指紋の押捺領域全体)において、第1特徴点が抽出されていない編集対象領域の総数である。編集対象ゾーンの総数は、所定の大きさの画像領域を1ブロックとしてカウントされる。a及びbは、定数であり、所望の値に設定され得る。
【0046】
算出式(1)の第1項において、B/(A+B)の値は、回転指紋と平面指紋との共通領域に含まれる第1特徴点のうち第2特徴点との対応関係を有していない第1特徴点(非ペアリング特徴点)が占める割合を示す。第1特徴点と第2特徴点とのペアリング数が多い場合には、第1特徴点の検出精度が高かったことを意味する。逆に、第1特徴点と第2特徴点との非ペアリング数が多い場合には、第1特徴点の検出精度が低かったことを意味する。
【0047】
換言すると、当該割合と非共通領域内に存在する第1特徴点の総数との乗算値は、共通領域における回転指紋の品質に基づいて、非共通領域における第1特徴点の検出精度を推定することを意味する。したがって、非ペアリング数が多ければ乗算値が大きくなる。すなわち、第1特徴点の検出精度が低いため、非共通領域における補正作業の作業量が増加する。逆に、ペアリング数が多ければ乗算値が小さくなる。すなわち、第1特徴点の検出精度が高いため、非共通領域における補正作業の作業量が減少する。
【0048】
ステップS110において、作業量推定部103は、全ての指についての算出を完了したか否かを判定する。ここで、作業量推定部103は、全ての指についての算出を完了したと判定した場合(ステップS110:YES)には、処理はステップS111へ移行する。
【0049】
これに対し、作業量推定部103は、全ての指についての算出を完了していないと判定した場合(ステップS110:NO)には、処理はステップS102へ戻る。
【0050】
ステップS111において、作業量推定部103は、カード単位での推定作業量を算出する。例えば、作業量推定部103は、上述の算出式(1)に基づいて、共通領域及び非共通領域について指単位で算出した10指分の推定作業量の平均値をカード単位での推定作業量(全体作業量)として算出する。
【0051】
これにより、ユーザは、指単位だけでなく、10指指紋カードごとに補正作業に要する作業量を把握可能になる。なお、作業量推定部103は、平均値の代わりに積算値を用いて推定作業量を算出してもよい。
【0052】
ステップS112において、データ処理部107は、推定作業量をデータベース(例えば記憶部108)に登録し、処理を終了する。なお、データ処理部107は、推定作業量を正規化した上でデータベースに登録してもよい。
【0053】
このように、算出式(1)の第1項によれば、共通領域における回転指紋の品質に基づいて、非共通領域における第1特徴点の検出精度を推定できる。この結果、全体の作業量の大部分を占める非共通領域における作業量を容易に推定できる。
【0054】
また、算出式(1)の第1項によれば、作業量推定部103は共通領域において第2特徴点との対応関係を有していない第1特徴点の総数(非ペアリング数)に基づいて作業量を推定する。第2特徴点との対応関係を有していない第1特徴点は、補正作業の対象となり得る。作業量推定部103は、非ペアリング数も考慮することで、より精度の高い推定作業量を算出できる。
【0055】
また、算出式(1)の第2項は、編集対象領域に対するユーザの補正作業における作業量を推定する部分である。編集対象領域のブロック数が多くなると、補正作業の作業量が増加する。逆に、編集対象領域のブロック数が少なくなると、補正作業の作業量が減少する。
【0056】
このように、算出式(1)の第1項によれば、編集対象領域の大きさに応じて、共通領域及び非共通領域における作業量を容易に推定できる。
【0057】
なお、算出式(1)の第1項及び第2項のどちらに重きを置くべきかについては、定数a及び定数bの値を適宜変更することで調整できる。定数a及び定数bの値は、推定した作業量に対する実績データを収集し、統計解析することによって自動的に更新してもよい。
【0058】
[検索処理]
図7は、本実施形態に係る指紋登録装置10において実行される検索処理の概略を示すフローチャートである。この処理は、例えば指紋登録作業を行うユーザが作業対象の10指指紋カードを選択する場合に実行される。
【0059】
ステップS201において、表示制御部104は、表示装置156に検索条件入力画面を表示する。これにより、ユーザは、検索条件入力画面を参照し、入力装置157を用いて検索条件を入力できる。
【0060】
ステップS202において、入力受付部105は、ユーザによる検索条件の入力を受け付ける。検索条件としては、例えば期間、ユーザID、推定作業量の範囲、カードの登録有無等を入力できると好適である。
【0061】
ステップS203において、検索部106は、検索処理を実行すると、その検索結果を表示制御部104に出力する。
【0062】
ステップS204において、表示制御部104は、検索結果に基づいて作成した検索結果表示画面を表示装置156に表示する。
【0063】
図8Aは、本実施形態に係る検索結果表示画面の一例を示す図である。
図8Aにおいて、画面の上欄部には、ユーザが指定した検索条件が表示されている。ここでは、検索条件として、10指指紋カードの作成日(「2020年11月01日~2020年11月30日」)、推定作業量の値の範囲(「40以上」)、DB登録ステータス(「指定なし」)が記載されている。
【0064】
また、画面の下欄部には、検索条件に基づいて実行された検索結果が一覧により表示されている。一覧は、カードID、推定作業量、推定作業時間、実作業時間、DB登録ステータス及び登録者IDをデータ項目としている。DB登録ステータスは、10指指紋カード画像の登録の有無を示す。
【0065】
例えば、カードIDが「100205」のカードについては、DB登録ステータスが「登録済み」であり、登録したユーザの登録者IDが「user101」、推定作業量が「45」、推定作業時間が「T1」、実作業時間が「T10」であることが示されている。同カードについては、登録が完了しているため、チェックボックスは選択不可の状態で表示されている。
【0066】
一方、カードIDが「100206」のカードについては、DB登録ステータスが「未登録」であり、推定作業量が「52」、推定作業時間が「T2」、であることが示されている。同カードについては、登録が未完了であるため、チェックボックスは選択可能な状態で表示されている。
【0067】
また、
図8Aにおいては、推定作業量は0~100の数値範囲で正規化されることが示されている。推定作業量を正規化した指標値で表示することにより、ユーザは指標値を比較検討しながらカードを選択することができる。
【0068】
更に、
図8Aにおいては、推定作業量に加えて、推定作業量を所定の換算表に基づいて換算された推定作業時間が表示されている。これにより、ユーザは作業時間を直観的に把握できるため、カードを選択し易くなる。
【0069】
なお、
図8Aに示す検索結果表示画面のデータ項目は一例に過ぎない。例えば、
図8B乃至
図8Dのようにデータ項目を表示してもよい。
図8Bに示す検索結果は、
図8Aから推定作業時間及び実作業時間のデータ項目の2列分を除いたものに相当する。同様に、
図8C示す検索結果は、
図8Aから推定作業量及び実作業時間のデータ項目の2列分を除いたものに相当する。
図8D示す検索結果は、
図8Aから実作業時間のデータ項目の1列分を除いたものに相当する。
【0070】
ステップS205において、入力受付部105は、ユーザ操作により検索結果表示画面において作業対象の指定が行われたか否かを判定する。ここで、入力受付部105は、作業対象の指定が行われたと判定した場合(ステップS205:YES)には、処理はステップS206へ移行する。
【0071】
これに対し、入力受付部105は、作業対象の指定が行われていないと判定した場合(ステップS205:NO)には、処理は終了する。
【0072】
ステップS206において、表示制御部104は、指定された10指指紋カード画像に関する登録作業画面を表示する。
【0073】
ステップS207において、ユーザは、同じ指の平面指紋画像に基づいて回転指紋画像における特徴点や芯線を補正し、登録作業を行う。
【0074】
ステップS208において、入力受付部105は、ユーザが登録作業を終了したか否かを判定する。ここで、入力受付部105は、ユーザが登録作業を終了したと判定した場合(ステップS208:YES)には、処理はステップS209へ移行する。
【0075】
これに対し、入力受付部105は、ユーザが登録作業を終了していないと判定した場合(ステップS208:NO)には、処理はステップS207へ戻る。
【0076】
ステップS209において、データ処理部107は、ユーザにより補正された指紋画像及び作業実績データを記憶部108に登録する。
【0077】
ステップS210において、データ処理部107は、作業実績データに基づいて、記憶部108に登録されている推定作業量と推定作業時間との対応関係を更新し、処理を終了する。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、装置に入力された10指指紋カード画像から抽出された回転指紋の第1特徴点と平面指紋の第2特徴点との照合結果に基づいて、10指指紋カード画像の登録前におけるユーザの補正作業の作業量を推定し、ユーザに推定作業量を提示できる。これにより、ユーザは10指指紋カード画像を手動で補正する場合において、作業を開始する前に作業量を把握できる。すなわち、本実施形態によれば、ユーザによる10指指紋カード画像の補正・登録作業を支援する指紋登録装置10が提供される。
【0079】
本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、ユーザが補正作業を完了した場合に、その実作業時間(実績データ)に基づいて推定作業量と推定作業時間との対応関係を逐次更新できる。実績データが蓄積されることにより、推定された作業量を高精度で時間に換算可能になる。
【0080】
上述の実施形態において説明した指紋登録装置10は以下の第2乃至6実施形態のようにも構成することができる。なお、第1実施形態の図中において付与した符号と共通する符号は同一の対象を示す。第1実施形態と共通する箇所の説明は省略し、異なる箇所について詳細に説明する。
【0081】
[第2実施形態]
上述した第1実施形態に係る指紋登録装置10は、ユーザが画面上で検索条件を指定した場合に、検索条件に合致する情報を表示する構成を備えていた。これに対し、本実施形態に係る指紋登録装置10は、ユーザによる検索条件の指定及び検索処理を必要としない点で第1実施形態とは異なっている。
【0082】
具体的には、本実施形態に係る指紋登録装置10は、ユーザから10指指紋カード画像に関する登録作業が要求された場合には、記憶部108等のデータベースから指紋照合用として未登録である10指指紋カードの情報を取得して一覧で表示する。
【0083】
図9は、本実施形態に係る推定作業情報一覧画面の一例を示す図である。ここでは、ユーザが作業対象の10指指紋カードを選択するために最低限必要となるデータ項目として、10指指紋カード画像を識別するカードIDと、カードごとの推定作業情報のみを表示している。推定作業情報は、第1実施形態と同様に、0~100の値で正規化された推定作業量でもよいし、推定作業量に対応する推定作業時間でもよい。
【0084】
本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、ユーザが検索条件を指定しなくてもよいため、ユーザは第1実施形態の場合よりも少ない操作で作業対象になり得る10指指紋カード及び推定作業情報を把握できる。
【0085】
[第3実施形態]
上述した第1実施形態に係る指紋登録装置10は、指単位で算出された推定作業量を平均化し、10指分の全体作業量として表示する構成を備えていた。これに対し、本実施形態に係る指紋登録装置10は、指単位で算出された推定作業量を画面に表示する点で第1実施形態とは異なっている。
【0086】
図10は、本実施形態に係る推定作業量一覧画面の一例を示す図である。ここでは、10指指紋カードのカードIDごとに左右の各指について算出された推定作業量が表示されている。
【0087】
例えば、カードIDが「100101」の10指指紋カードについては、左手の小指、薬指、中指、人差し指及び親指の推定作業量が、それぞれ「3」、「4」、「2」、「6」、「7」である。すなわち、左手の中では、親指の推定作業量が最も大きい値であり、中指の推定作業量が最も小さい値である。
【0088】
また、右手の親指、人差し指、中指、薬指及び小指の推定作業量が、それぞれ「10」、「1」、「3」、「2」、「4」である。すなわち、右手の中では、親指の推定作業量が最も大きい値であり、人差し指の推定作業量が最も小さい値である。
【0089】
なお、第1実施形態と同様に、全体作業量として指単位の推定作業量の平均値や、指単位の推定作業量の積算値のデータ項目を一覧の中に含めて表示してもよい。
【0090】
本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、ユーザは指単位で算出された推定作業量を把握できるため、多数の10指指紋カードの中から作業対象とするカードをより容易に選択できる。
【0091】
[第4実施形態]
本実施形態に係る指紋登録装置10は、指単位で算出された推定作業量の範囲に対応するように、10指指紋カード画像に含まれる回転指紋の欄を色分けして表示する点で第1実施形態とは異なっている。
【0092】
図11は、本実施形態に係る推定作業量表示画面の一例を示す図である。ここでは、指単位で算出された推定作業量の範囲が、3つのクラスC1、C2、C3に分けられることが示されている。クラスC1は、推定作業量が0~33であることを示す。クラスC2は、推定作業量が34~66であることを示す。クラスC3は、推定作業量が67~100であることを示す。例えば、クラスC1、C2、C3の表示色は、それぞれ、青色、黄色、赤色に設定され得る。ただし、表示色の種類及び表示色の数は任意に設定され得る。
【0093】
本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、ユーザは指単位で算出された推定作業量を表示色によって直観的に把握できる。
【0094】
[第5実施形態]
本実施形態に係る指紋登録装置10は、指単位で算出された推定作業量を、10指指紋カード画像に含まれる回転指紋の欄の中に重畳して表示する点で第1実施形態とは異なっている。
【0095】
図12は、本実施形態に係る推定作業量表示画面の一例を示す図である。ここでは、指単位で算出された推定作業量が、10指の回転指紋の欄の中にそれぞれ重畳して表示されることが示されている。
【0096】
本実施形態に係る指紋登録装置10によれば、ユーザは指単位で算出された推定作業量の値を回転指紋画像と一緒に把握できる。これにより、ユーザは、どの指の作業量が多い、あるいは少ないのかを容易に判断できる。
【0097】
[第6実施形態]
図13は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能ブロック図である。情報処理装置100は、取得部100A、抽出部100B及び推定部100Cを備える。取得部100Aは、同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得する。抽出部100Bは、回転指紋から第1特徴点、平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出する。推定部100Cは、回転指紋と平面指紋との共通領域に含まれる第1特徴点のうち第2特徴点との対応関係を有していない第1特徴点が占める割合に基づいて、回転指紋のうち共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定する。
【0098】
本実施形態によれば、ユーザが指紋登録作業時における作業量を容易に把握できる情報処理装置100が提供される。
【0099】
[変形実施形態]
この開示は、上述の実施形態に限定されることなく、この開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0100】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記録させ、記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体だけでなく、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。また、上述の実施形態に含まれる1又は2以上の構成要素は、各構成要素の機能を実現するように構成されたASIC、FPGA等の回路であってもよい。
【0101】
該記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disk)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記憶媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0102】
上述の各実施形態の機能により実現されるサービスは、SaaS(Software as a Service)の形態でユーザに対して提供することもできる。
【0103】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0104】
(付記1)
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得する取得部と、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出する抽出部と、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【0105】
(付記2)
前記推定部は、前記第1特徴点及び前記第2特徴点の位置を基準として前記回転指紋及び前記平面指紋を重畳した場合において、前記回転指紋の中で前記第1特徴点が抽出されていない領域の大きさに基づいて前記領域に係る補正作業の第2作業量を推定する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0106】
(付記3)
前記推定部は、前記共通領域において前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点の総数に基づいて前記共通領域に係る補正作業の第3作業量を推定する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0107】
(付記4)
前記取得部は、同一人物に係る10指の指紋画像群から前記回転指紋及び前記平面指紋を取得し、
前記推定部は、各指について算出された前記第1作業量、前記第2作業量及び前記第3作業量に基づいて前記10指についての補正作業における全体作業量を推定する、
付記3に記載された情報処理装置。
【0108】
(付記5)
前記推定部は、前記非共通領域に含まれる前記第1特徴点の総数と前記割合との乗算値に基づいて前記第1作業量を推定する、
付記1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【0109】
(付記6)
前記全体作業量を正規化した指標値を画面に表示させる表示制御部、
を更に備える付記4に記載された情報処理装置。
【0110】
(付記7)
前記全体作業量に対応する推定作業時間を画面に表示させる表示制御部、
を更に備える付記4に記載された情報処理装置。
【0111】
(付記8)
前記全体作業量に対応する前記補正作業の実績データに基づいて前記推定作業時間を更新する処理部、
を更に備える付記7に記載の情報処理装置。
【0112】
(付記9)
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、
を備える情報処理方法。
【0113】
(付記10)
コンピュータに、
同じ指に係る回転指紋及び平面指紋を取得するステップと、
前記回転指紋から第1特徴点、前記平面指紋から第2特徴点をそれぞれ抽出するステップと、
前記回転指紋と前記平面指紋との共通領域に含まれる前記第1特徴点のうち前記第2特徴点との対応関係を有していない前記第1特徴点が占める割合に基づいて、前記回転指紋のうち前記共通領域を除いた非共通領域に対してユーザが行う補正作業の第1作業量を推定するステップと、
を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【0114】
この出願は、2020年12月14日に出願された日本出願特願2020-206529を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0115】
10・・・指紋登録装置
100・・・情報処理装置
101・・・指紋画像取得部
102・・・抽出部
103・・・作業量推定部
104・・・表示制御部
105・・・入力受付部
106・・・検索部
107・・・データ処理部
108・・・記憶部
151・・・プロセッサ
152・・・RAM
153・・・ROM
154・・・ストレージ
155・・・通信I/F
156・・・表示装置
157・・・入力装置