(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】薬品払出装置、制御方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2019536331
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2019008344
(87)【国際公開番号】W WO2019172173
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2018038587
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 知侑
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】近藤 利充
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/112221(WO,A1)
【文献】特開2017-137119(JP,A)
【文献】特開2017-64376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
前記カセットが着脱可能な装着部と、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセット又は前記装着部に割り当て、
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記カセット又は前記装着部に割り当てる第2規則が含まれる、
薬品払出装置。
【請求項2】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
前記カセットが着脱可能な装着部と、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセット又は前記装着部に割り当て、
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記カセット又は前記装着部に割り当てる第3規則が含まれる、
薬品払出装置。
【請求項3】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
前記カセットが着脱可能な装着部と、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセット又は前記装着部に割り当て、
前記割当規則には、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける払出合計が多い薬品情報を優先して前記カセット又は前記装着部に割り当てる第1規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記カセット又は前記装着部に割り当てる第2規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記カセット又は前記装着部に割り当てる第3規則と、
が含まれ、
前記割当処理部は、前記第1規則、前記第2規則、前記第3規則の順で優先して前記カセット又は前記装着部への割り当てを実行する、
薬品払出装置。
【請求項4】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセットに割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセッ
トに割り当て、
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記カセッ
トに割り当てる第2規則が含まれる、
薬品払出装置。
【請求項5】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセットに割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセッ
トに割り当て、
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記カセッ
トに割り当てる第3規則が含まれる、
薬品払出装置。
【請求項6】
任意の種類の薬品を払出可能なカセットと、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記カセットに割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記カセットを駆動させ、当該カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記カセッ
トに割り当て、
前記割当規則には、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける払出合計が多い薬品情報を優先して前記カセッ
トに割り当てる第1規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記カセッ
トに割り当てる第2規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記カセッ
トに割り当てる第3規則と、
が含まれ、
前記割当処理部は、前記第1規則、前記第2規則、前記第3規則の順で優先して前記カセッ
トへの割り当てを実行する、
薬品払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品カセットに収容された薬品を払い出す薬品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の薬品が収容される複数の薬品カセットを備え、処方データに基づいて薬品カセット各々から薬品を払い出し、その薬品を服用タイミングごとに分包することが可能な薬品払出装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この種の薬品払出装置は、任意の薬品を払い出し可能な複数の可変カセットを備え、払出対象となる薬品の薬品情報を前記可変カセット各々に適宜割り当てて当該可変カセットから薬品を払い出すことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の処方データについて連続的に処方制御処理が実行される場合、処方データに対応する分包動作ごとに個別に薬品を可変カセットに割り当てて薬品の払い出しを行うと、可変カセットへの薬品の充填作業効率が悪くなることがある。
【0005】
本発明の目的は、複数の処方データについて処方制御処理が連続的に実行される場合における可変カセットの利用効率を高めることが可能な薬品払出装置、制御方法、制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬品払出装置は、任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、前記可変カセットが着脱可能な装着部と、複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当処理部と、前記割当処理部によって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る制御方法は、任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、前記可変カセットが着脱可能な装着部と、を備える薬品払出装置の制御方法であって、複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当ステップと、前記割当ステップによって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動ステップと、を含む。
【0008】
本発明に係る制御プログラムは、任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、前記可変カセットが着脱可能な装着部と、を備える薬品払出装置の制御部に、複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当ステップと、前記割当ステップによって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動ステップと、を実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の処方データについて処方制御処理が連続的に実行される場合における可変カセットの利用効率を高めることが可能な薬品払出装置、制御方法、制御プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の外観図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の内部構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の固定カセットの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の可変カセットの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の可変カセットの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の可変カセットの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の可変カセットの装着部の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の薬品パレットの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置における分包結果の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置で実行される処方制御処理及び分包制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用されるカセット割当情報の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置に入力される処方データの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用されるカセット割当情報の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用される手撒き割当情報の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置に入力される処方データの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置に入力される処方データの一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用される駆動対応情報の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで実行される錠剤補充処理の一例を示すフローチャートである。
【
図25A】
図25Aは、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用されるカセット割当情報の一例を示す図である。
【
図25B】
図25Bは、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用されるカセットマスターの一例を示す図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで実行される錠剤払出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、下記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【0012】
[薬品払出システム1]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る薬品払出システム1は、サーバー2と、一又は複数の調剤機器3と、一又は複数の薬品払出装置4とを備える。前記サーバー2、前記調剤機器3、及び前記薬品払出装置4は、LAN又はインターネット等の通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続される。
【0013】
前記サーバー2には、前記サーバー2に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム5が前記通信網N1を介して接続される。そして、前記サーバー2は、前記上位システム5から入力される処方データ、及び前記コード読取部27によって読み取られる処方データなどを前記調剤機器3及び前記薬品払出装置4に適宜振り分けて送信する。これにより、前記調剤機器3及び前記薬品払出装置4では、前記処方データに基づいて薬品を払い出す処理が実行されることになる。具体的に、前記薬品払出装置4は、少なくとも錠剤を払い出して分包可能な錠剤分包装置である。
【0014】
例えば、前記処方データには、患者名、患者ID、入院・外来、病棟、担当医師、処方薬の薬品ID、薬品名、用量・用法などが含まれる。本実施形態における前記処方データは、1日分又は複数日分の処方薬のデータを含むものである。なお、前記調剤機器3及び前記薬品払出装置4が、前記サーバー2にアクセスして前記処方データを能動的に取得する構成であってもよい。また、前記サーバー2、前記調剤機器3、又は前記薬品払出装置4は、紙媒体である処方箋に記載される二次元コード等から当該処方箋に対応する処方データを読み取ること、又はユーザー操作による処方データの任意の入力を受け付けることが可能であってもよい。
【0015】
前記調剤機器3は、処方データに基づいて薬品を調剤する際に用いられる機器である。例えば、前記調剤機器3には、散薬分包装置、水剤分注機、及びシート払出装置などが含まれる。前記散薬分包装置は、複数種類の散薬が収容された複数の散薬カセットを有しており、処方データに従って前記散薬カセットに収容されている散薬を自動的に所定量ずつ分包することが可能である。また、前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、処方データに従って前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記シート払出装置は、処方データに従って、予め薬品が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットから払い出す。
【0016】
[薬品払出装置4]
続いて、
図2~
図11を参照しつつ、薬品払出装置4について説明する。
【0017】
図2及び
図3に示すように、前記薬品払出装置4は、処方制御ユニット501、薬品供給ユニット502、分包制御ユニット503、及びバーコードリーダー504などを備える。前記処方制御ユニット501、前記薬品供給ユニット502、及び前記分包制御ユニット503は内部バスN2によって接続される。前記処方制御ユニット501及び前記バーコードリーダー504は、無線LAN又は近距離無線通信などの通信規格に従って無線通信可能である。
【0018】
そして、前記薬品払出装置4では、処方データに基づいて前記薬品供給ユニット502から薬品が払い出されると共に、その薬品が服用時期などの分包単位で前記分包ユニット45によって薬包に分包される分包動作が実行される。なお、本実施形態に係る前記薬品払出装置4では、前記処方制御ユニット501及び前記分包制御ユニット503が協働して前記分包動作を実現するための各種の処理を実行するが、単一の制御ユニットによって各種の処理が実行される構成であってもよい。
【0019】
[処方制御ユニット501]
前記処方制御ユニット501は、前記薬品払出装置4を統括的に制御するコンピュータである。
図2及び
図3に示すように、前記処方制御ユニット501は、制御部510、記憶部520、表示部530、操作部540、及び通信IF550等を備える。
【0020】
前記制御部510は、CPU、RAM、ROM及びEEPROM(登録商標)などを有する制御手段である。前記制御部510は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部520などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記CPUは、各種の処理を実行するプロセッサーであり、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部510は、ASIC又はDSPなどを含む電気回路であってもよい。
【0021】
前記記憶部520は、各種のデータを記憶するHDD(HARD DISK DRIVE)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶手段である。具体的に、前記記憶部520には、前記制御部510等のコンピュータに後述の処方制御処理(
図12左側参照)を実行させるための制御プログラムが予め記憶されている。
【0022】
なお、前記制御プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部520にインストールされる。本発明は、前記制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
【0023】
具体的に、前記制御部510は、割当処理部511を含む。前記制御部510は、前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記割当処理部511として機能する。また、前記割当処理部511は電気回路として構成されたものであってもよい。
【0024】
前記割当処理部511は、複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を後述の可変カセット41B又は装着部42Bに割り当て可能である。なお、前記薬品情報は、薬品の種類を識別可能な情報である。より具体的に、前記割当処理部511は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記可変カセット41B又は前記装着部42Bに割り当てる。なお、前記割当規則については後述する。
【0025】
また、前記記憶部520には、例えば患者マスター、薬局マスター、医薬品マスター、及びカセットマスター524(例えば
図25B参照)などの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部510は、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、前記記憶部520に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部510は、前記操作部540に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0026】
前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。
【0027】
前記医薬品マスターには、薬ID、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、薬品のサイズ(高さ及び幅)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。
【0028】
前記カセットマスター524は、前記薬品供給ユニット502が備える後述の固定カセット41A各々を識別可能なカセット識別情報と、前記固定カセット41A各々が払い出し可能な薬品を識別可能な薬品情報との対応関係を示すマスター情報である。これにより、前記薬品払出装置4では、前記固定カセット41A各々から払い出し可能な薬品の種別を前記カセットマスター524に基づいて判断することが可能である。なお、前記カセットマスター524は、例えば前記薬品払出装置4の初期設定における前記操作部540のユーザー操作に応じて前記制御部510によって登録され、前記操作部540のユーザー操作に応じて適宜更新可能である。また、前記カセットマスター524に示される情報は、前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部520に記憶されたものであってもよい。例えば、前記医薬品マスターに含まれる薬品情報各々について、対応する前記固定カセット41Aの有無、前記薬品情報に割り当てられた前記固定カセット41Aの前記カセット識別情報が記憶されることが考えられる。
【0029】
前記表示部530は、前記制御部510からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示手段である。例えば、前記表示部530には、処方データの入力画面及び処方データの選択画面などの各種情報が表示される。
【0030】
前記操作部540は、ユーザー操作を受け付ける操作ボタン、キーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部510に入力する。前記操作部540は、例えば前記表示部530に表示された前記入力画面における処方データの入力操作、前記選択画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの分包開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
【0031】
前記通信IF550は、前記薬品払出装置4をLAN等の通信網N1に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N1を介して接続された前記サーバー2との間でデータ通信を実行する。また、前記通信IF550は、前記バーコードリーダー504等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信モジュールなどの無線通信インターフェースも備えている。
【0032】
そして、前記通信IF550は、前記制御部510によって制御され、前記サーバー2から処方データを取得し、前記処方データを前記記憶部520に記憶させる。例えば、前記通信IF550は、前記サーバー2に設けられた記憶部22の所定の記憶領域に処方データが新たに記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記処方データが新たに記憶された場合に前記処方データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF550は、前記サーバー2から適宜送信される前記処方データを受信することによって前記処方データを取得するものであってもよい。
【0033】
[薬品供給ユニット502]
図2~
図4に示すように、前記薬品供給ユニット502は、複数の薬品カセット41、複数の装着部42、手撒きユニット43、回転ユニット44、及び分包ユニット45などを備える。また、前記薬品供給ユニット502の前面扉4Aは開閉可能である。
【0034】
複数の前記薬品カセット41には、予め定められた特定種類の薬品を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の固定カセット41Aと、駆動条件の変更により任意の種類の薬品を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の可変カセット41Bとが含まれる。前記固定カセット41A及び前記可変カセット41Bにより払出可能な薬品は、例えば円盤状、球状、又はカプセル状などの各種形態の錠剤である。なお、前記薬品供給ユニット502が、前記固定カセット41Aを有さず、複数の前記可変カセット41Bのみを有することも他の実施形態として考えられる。
【0035】
また、複数の前記装着部42には、前記固定カセット41Aが着脱可能な複数の装着部42Aと、前記可変カセット41Bが装着可能な複数の装着部42Bとが含まれる。前記装着部42Aは、前記薬品払出装置4の内部に設けられており、ユーザーは、前記薬品払出装置4の前面扉4Aを開くことにより、前記固定カセット41Aを前記装着部42Aに着脱することが可能である。前記装着部42Bは、前記薬品払出装置4の前面に設けられており、ユーザーは、前記薬品払出装置4の前面扉4Aを開くことなく、前記可変カセット41Bを前記装着部42Bに着脱することが可能である。
【0036】
前記装着部42Aは、駆動モーター421及びRFIDリーダライタ422を備える。前記駆動モーター421は、前記分包制御ユニット500によって制御され、前記固定カセット41Aの駆動機構に駆動力を供給することにより、前記固定カセット41Aから薬品を払い出させる。前記RFIDリーダライタ422は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して、前記固定カセット41Aに設けられるRFIDタグ(不図示)から情報を読み取ること、又は前記RFIDタグに情報を書き込むことが可能である。例えば、前記RFIDリーダライタ422は、前記固定カセット41AのRFIDから当該固定カセット41Aの識別情報を読み取るために用いられる。
【0037】
前記装着部42Bは、駆動モーター423~426及びRFIDリーダライタ427を備える。前記駆動モーター423~426は、前記分包制御ユニット500によって制御され、前記可変カセット41Bの駆動機構に駆動力を供給することにより、前記可変カセット41Bから薬品を払い出させる。前記RFIDリーダライタ422は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して、前記可変カセット41Bに設けられるRFID427A(
図8参照)から情報を読み取ること、又は前記RFIDタグ427Aに情報を書き込むことが可能である。
【0038】
前記RFIDタグ427Aは、前記可変カセット41B各々を識別するためのカセット識別情報、及び後述の処方制御処理(
図12左側参照)において前記可変カセット41Bに割り当てられる薬品の薬品情報などが記録される不揮発性の記録媒体である。前記薬品情報は、薬品の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、薬品コード、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード、GS1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコードは、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
【0039】
[固定カセット41A]
ここで、
図5を参照しつつ、前記固定カセット41Aの一例について説明する。なお、ここで説明する前記固定カセット41Aの構造は一例に過ぎず、同様の機能を有するものであれば他の構造であってもよい。なお、
図5は、前記固定カセット41Aの上部を覆うカバー部材を省略した図である。
【0040】
なお、前記固定カセット41A各々では、収容される薬品の種類が予め定められているため、例えば前記固定カセット41A各々の前面には、前記固定カセット41Aに収容される薬品の薬品情報が予め記載される。
【0041】
図5に示すように、前記固定カセット41Aは、多数の薬品が収容される薬品収容部601、及び前記薬品収容部601に収容された薬品を個別に排出する薬品排出部602を備えている。前記薬品排出部602は、前記薬品収容部601の略中央部に形成された凹部に設けられており、前記薬品収容部601内の薬品は前記薬品排出部602に向けて順次下降する。
【0042】
前記薬品排出部602は、前記固定カセット41Aの筐体で回転可能に支持されたローター603と、前記ローター603の外周を覆う内壁603Aとを備えている。前記ローター603は、前記固定カセット41Aが前記装着部42Aに装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系(不図示)を介して前記装着部42Aの前記駆動モーター421に連結される。また、前記ローター603の外周面には、予め定められた配置間隔でリブ604及びリブ605が形成されている。これにより、前記ローター603の外周には、前記リブ604、前記リブ605、及び前記内壁603Aによって囲まれた間隙606が間欠的に形成されている。前記間隙606の幅は、前記固定カセット41Aに収容される薬品として予め定められた薬品の種類に応じて定められており、前記薬品の1錠分の幅に相当する。
【0043】
また、前記リブ604及び前記リブ605の間には前記ローター603の外周面全体に亘る間隙607が形成されている。ここで、前記リブ604及び前記リブ605各々の上端の高さは、前記固定カセット41Aに収容される薬品として予め定められた薬品の種類に応じて定められている。具体的に、
図5に示す前記リブ604の上端の高さは前記薬品の3錠分の高さに相当するものであり、前記ローター603の前記間隙606各々には前記薬品が3錠ずつ挿入される。また、前記リブ605の上端の高さは、前記薬品の1錠分の高さに相当する。
【0044】
一方、前記内壁603Aには、前記ローター603から薬品を排出するための排出口608が形成されており、前記排出口608には前記間隙607に挿入される仕切板609が設けられている。これにより、前記排出口608では、前記間隙606に挿入されている3錠の薬品のうち、上の2錠は前記仕切板609によって落下が規制され、下の1錠のみが排出される。従って、前記固定カセット41Aでは、前記駆動モーター421によって前記ローター603が駆動されることにより、前記薬品収容部601に収容された薬品が1錠単位で払い出される。
【0045】
[可変カセット41B]
次に、
図6~
図9を参照しつつ、前記可変カセット41Bの一例について説明する。なお、前記可変カセット41Bは、例えば国際公開第2014/112221号公報などにも開示されている。また、ここで説明する前記可変カセット41Bの構造は一例に過ぎず、任意の種類の薬品を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。例えば、特表2010-535683号公報又は特開2010-115493号公報には、前記可変カセット41Bの他の例が開示されている。
【0046】
図6~
図8に示すように、前記可変カセット41Bは、多数の薬品が収容される薬品収容部701と、前記薬品収容部701から薬品を払い出す第1回転体702及び第2回転体703とを備えている。なお、
図6~
図8は、前記可変カセット41Bの上部を覆うカバー部材を省略した図である。また、前記可変カセット41Bは、予め定められた単位量ごとに薬品を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
【0047】
前記第1回転体702は、前記薬品収容部701の底面を構成する円盤状の部材である。前記第1回転体702の回転軸は鉛直方向に対して予め定められた所定角度だけ傾斜しており、前記第1回転体702の上面が水平面に対して前記所定角度だけ傾斜している。また、前記第1回転体702の上面には放射状のリブ702Aが所定間隔ごとに形成されている。そして、前記第1回転体702は、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、
図7及び
図8に示す駆動ギア702Bに連結されている。
【0048】
前記第2回転体703は、平面視で前記第1回転体702の周囲に配置された中空環状の部材であって、前記薬品収容部701の薬品を払出口704に搬送して前記払出口704から払い出す搬送部材の一例である。また、前記第1回転体702の上端部は、前記第2回転体703と同一水平面上に位置している。そして、前記第2回転体703は、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、
図8に示す駆動ギア703Aが外周面に形成されている。
【0049】
一方、
図9に示すように、前記装着部42Bには、前記可変カセット41Bが装着されたときに前記第1回転体702の前記駆動ギア702Bに連結される駆動ギア801、及び前記第2回転体703の前記駆動ギア703Aに連結される駆動ギア802が設けられている。前記駆動ギア801は、前記装着部42Bの前記駆動モーター423に連結されており、前記駆動ギア802は、前記装着部42Bの前記駆動モーター424に連結されている。
【0050】
さらに、
図6及び
図7に示すように、前記可変カセット41Bは、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送される前記薬品の払出経路上に配置された高さ規制部材705及び幅規制部材706を備えている。
【0051】
前記高さ規制部材705は、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送可能な薬品の高さ方向のサイズを規制し、前記幅規制部材706は、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送可能な薬品の幅方向のサイズを規制する。
【0052】
そして、前記可変カセット41Bは、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を変更するための高さ調整部705Aと、前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を変更するための幅調整部706Aとを備える。前記幅調整部706Aの外周面には、前記幅規制部材706に形成された長穴706Bの内周面に形成されたラック(ギア)に噛合されたピニオンギアが形成されている。
【0053】
前記高さ調整部705Aは、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、
図8に示す駆動ギア705Bに連結されている。前記高さ調整部705Aは、回転駆動されることにより前記高さ規制部材705の下端部の位置を上下に移動させ、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を変更する。
【0054】
前記幅調整部706Aは、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、
図8に示す駆動ギア706Cに連結されている。前記幅調整部706Aは、回転駆動されることにより前記幅規制部材706の前記薬品収容部701側への突出量を変更し、前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を変更する。具体的に、前記幅規制部材706の前記薬品収容部701側への突出量は、前記幅調整部706Aの回転により前記幅調整部706A及び前記長穴706B各々が矢印R3方向(
図6参照)に相対的に移動することによって変更される。
【0055】
一方、
図9に示すように、前記装着部42Bには、前記可変カセット41Bが装着されたときに前記駆動ギア705Bに連結される駆動ギア803、及び前記駆動ギア706Cに連結される駆動ギア804が設けられている。前記駆動ギア803は、前記装着部42Bの前記駆動モーター425に連結されており、前記駆動ギア804は、前記装着部42Bの前記駆動モーター426に連結されている。
【0056】
なお、
図8及び
図9に示すように、前記可変カセット41B及び前記装着部42Bは、前記可変カセット41Bが前記装着部42Bに装着されたときに連結される駆動ギア707A及び駆動ギア805を備える。前記駆動ギア707Aは、前記第1回転体702を上下方向に昇降させる不図示の昇降機構に連結されており、前記駆動ギア805は不図示の駆動モーターに連結されている。これにより、前記駆動モーターが駆動されると、前記駆動ギア805から前記駆動ギア707Aに駆動力が伝達され、前記昇降機構により前記第1回転体702が昇降可能である。
【0057】
そして、前記可変カセット41Bでは、前記第1回転体702が回転方向R1(
図6及び
図7参照)に回転されると、前記薬品収容部701の薬品が前記第1回転体702から前記第2回転体703に排出される。また、前記可変カセット41Bでは、前記第2回転体703が回転方向R2(
図6及び
図7参照)に回転されると、前記第2回転体703上の薬品が前記払出口704に向けて搬送される。
【0058】
但し、前記第2回転体703により搬送される薬品のうち高さ方向に積み重なった薬品は前記高さ規制部材705に接触して前記薬品収容部701に戻される。また、前記第2回転体703により搬送される薬品のうち幅方向に並んで搬送されている薬品は前記幅規制部材706に接触して前記薬品収容部701に戻される。
【0059】
これにより、前記可変カセット41Bでは、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材706により規制される前記幅w1に対応するサイズの薬品は、前記第2回転体703上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で前記払出口704まで搬送される。そのため、前記可変カセット41Bでは、前記薬品収容部701に収容された薬品を1錠単位で払い出すことが可能であり、前記薬品の払出量を制御することが可能である。
【0060】
このように、前記可変カセット41Bを用いれば、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材706により規制される前記幅w1が変更可能であるため、任意の種類の薬品を1錠単位で払い出すことが可能である。
【0061】
また、前記可変カセット41B各々には、
図6に示すように、表示内容が変更可能な表示部707が設けられている。ここに、前記表示部707は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。
【0062】
[手撒きユニット43]
前記手撒きユニット43は、例えば1錠未満の半錠又は1/4錠などの錠剤のように前記薬品カセット41からの払い出しに適さない薬品の払い出しに用いられるものであり、前記薬品払出装置4に対して引き出し可能に設けられている。また、前記手撒きユニット43は、前記薬品カセット41に収容されていない薬品の払い出しに用いられる。
【0063】
前記手撒きユニット43は、薬品パレット431と当該薬品パレット431の下方に設けられる個別払出部432とを備える。なお、前記手撒きユニット43は、DTA(Detachable Tablet Adapter)とも称される。ここに、
図10は、前記薬品パレット431を上方から見た平面模式図である。前記薬品パレット431は、マトリクス状(格子状)に設けられた複数のDTAセル431Aを含む。そして、前記DTAセル431A各々には、前記処方データに処方薬として含まれる薬品情報に対応する薬品が服用時期の単位で投入される。前記個別払出部432は、前記薬品パレット431に載置された薬品を前記DTAセル431Aの単位で順次払い出すことが可能である。なお、前記手撒きユニット43と同様に前記DTAセル431Aの単位で薬品を払出可能な手撒きユニットは、例えば特開2006-110386号公報に開示されている。
【0064】
例えば、前記薬品パレット431は、前記DTAセル431A各々の底面が開閉可能である。そして、前記薬品パレット431では、前記底面がモーター等の所定の駆動手段で前記DTAセル431A各々の底面が開かれることによって、当該DTAセル431A各々に投入されている薬品が前記個別払出部432に向けて落下する。
【0065】
前記個別払出部432は、前記薬品パレット431が前記薬品払出装置4に収容された状態で、当該薬品パレット431のDTAセル431A各々の下方の位置に対応する複数の払出用セルを備える。そして、前記個別払出部432は、前記払出用セル各々の底面を順に開閉可能な開閉機構を備えており、前記開閉機構によって前記払出用セル各々の底面が予め定められた特定の順番で開かれることによって前記払出用セル各々に投入されている薬品が当該払出用セルの単位で前記回転ユニット44に向けて順に払い出される。
【0066】
[回転ユニット44]
前記回転ユニット44は、複数の薬品回転部441と、ユニット回転部442と、薬品排出部443とを備える。前記ユニット回転部442は、不図示の基台部により回転可能に支持されている。
【0067】
前記薬品回転部441各々は、前記薬品カセット41又は前記手撒きユニット43から供給される1錠の薬品を回転させることにより前記薬品の姿勢を変位させることが可能である。前記ユニット回転部442には、6つの前記薬品回転部441が所定の回転軸回りに60°間隔で配置されており、前記ユニット回転部442は、前記薬品回転部441を前記所定の回転軸回りに回転させることが可能である。
【0068】
そして、前記薬品払出装置4では、前記薬品カセット41から払い出された1つの薬品が前記薬品回転部441に落下した後、又は前記手撒きユニット43から払い出された1つの薬品が前記薬品回転部441に落下した後、前記薬品回転部441は、前記薬品排出部443に対応する位置に向けて順に回転移動される。
【0069】
その後、前記薬品回転部441に載置された前記薬品は、前記薬品排出部443に対応する位置に移動した前記薬品回転部441から前記分包ユニット45に落下し、前記分包ユニット45内で薬包451に投入される。
【0070】
[分包ユニット45]
前記分包ユニット45は、前記薬品供給ユニット502の前記薬品カセット41及び前記手撒きユニット43の一方又は両方から供給された薬品を服用時期などの分包単位で一つの分包紙に収容する。なお、前記分包ユニット45は、透明又は半透明のロール状の薬包シート900により前記分包単位で薬品を包装して溶着等により封止して薬包451を形成する。これにより、前記分包単位で前記薬包451各々に薬品が収容された薬包シート900が前記分包ユニット45から排出される。ここに、
図11は、前記分包ユニット45から排出される薬包シート900の一例を示す図である。
図11に示すように、前記薬包シート900には、前記分包単位で複数の薬品が包装された複数の薬包451が連続して形成されており、前記薬包451各々の間には前記薬包451各々を容易に切り離すための切り取り点線452(ミシン目)が形成されている。
【0071】
[分包制御ユニット503]
前記分包制御ユニット503は、
図2に示すように、制御部560、記憶部570、及び操作表示部580を備え、前記薬品供給ユニット502を制御することにより前記薬品払出装置4に分包動作を実行させる。なお、前記分包制御ユニット503は、前記薬品払出装置4に内蔵されている。また、前記制御部510及び前記制御部560が一つの制御部として構成されていてもよい。
【0072】
前記制御部560は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部560は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部570などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部560は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0073】
具体的に、前記制御部560は、表示処理部561及び駆動制御部562を含む。具体的に、前記制御部560は、前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記表示処理部561及び前記駆動制御部562として機能する。また、前記表示処理部561及び前記駆動制御部562は電気回路として構成されたものであってもよい。
【0074】
前記表示処理部561は、ユーザーによる前記手撒きユニット43への薬品の投入を支援するための案内画面などを前記操作表示部580又は前記表示部530などの表示手段に表示させる。詳細は後述するが、例えば、前記案内画面では、前記処方データに処方薬として含まれる払出対象の薬品ごとに、前記手撒きユニット43に設けられるDTAセル431A各々に投入するべき錠数及び投入位置が表示される。なお、前記制御部510が、前記表示処理部561の機能を備えることも考えられ、この場合、前記案内画面は、前記制御部510によって前記表示部530又は前記操作表示部580などに表示される。
【0075】
前記駆動制御部562は、前記割当処理部511によって前記可変カセット41B又は前記装着部42Bに割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセット41Bを駆動させ、当該可変カセット41Bから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出すための処理を実行する。なお、前記制御部510が、前記駆動制御部562の機能を備えていてもよい。
【0076】
前記記憶部570は、各種のデータを記憶するHDD(HARD DISK DRIVE)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部570には、前記制御部560等のコンピュータに後述の分包制御処理(
図12右側参照)を実行させるための制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記制御プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部520にインストールされる。本発明は、前記制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
【0077】
前記操作表示部580は、前記制御部510又は前記制御部560からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニターと、ユーザーのタッチ操作を受け付け可能なタッチパネルとを備える操作表示手段である。具体的に、前記操作表示部580は、前記手撒きユニット43への薬品の投入を案内するための前記案内画面の表示に用いられる。
【0078】
[バーコードリーダー504]
前記バーコードリーダー504は、薬局の薬品棚などに設けられた薬品の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコードから薬品を識別するコードを読み取り可能である。また、前記バーコードリーダー504は、前記薬包451に印刷された前記処方識別情報を示す前記コード情報の読み取りにも用いられる。前記バーコードリーダー504により読み取られた情報は、前記バーコードリーダー504から無線通信により前記処方制御ユニット501に入力される。なお、前記バーコードリーダー504は、例えばPDA又はスマートフォンなどの携帯端末である。例えば、前記薬品払出装置4では、前記バーコードリーダー504が、前記処方データに含まれる処方薬と前記薬品棚などから取り出した薬品との照合に用いられる。
【0079】
[処方制御処理及び分包制御処理]
以下、
図12を参照しつつ、前記薬品払出装置4において、前記処方制御ユニット501の前記制御部510により実行される処方制御処理及び前記分包制御ユニット503の前記制御部560により実行される分包制御処理の手順の一例について説明する。なお、本発明は、前記制御部510及び前記560によって実行される前記薬品払出装置4の制御方法の発明として捉えることが可能である。なお、前記制御部510及び前記制御部560のいずれか一方により前記処方制御処理及び前記分包制御処理の処理結果と同様の処理結果が得られる一連の処理が実行されることも考えられる。
【0080】
<処方制御ユニット501側:ステップS1>
まず、ステップS1において、前記制御部510は、前記薬品払出装置4に入力されている前記処方データについて、予め設定された特定条件を満たす数の処方データを処理対象の処方データとして特定する。即ち、前記ステップS1では、複数の前記処方データが処理対象の処方データとして特定されることがある。以下、ここで特定された処方データを対象処方データと称することがある。
【0081】
なお、前記特定条件を満たす前記処方データが入力されていない場合、前記制御部510は、前記ステップS1で前記特定条件を満たす前記処方データの入力を待ち受けることが考えられる。但し、この場合でも、前記制御部510は、前記処方データの入力後から前記特定条件を満たすまでに予め設定された待機時間が経過した場合、又はユーザーによる締め操作が行われた場合には、前記特定条件が満たされたと判断することが考えられる。
【0082】
前記特定条件には、一又は複数の条件が含まれ、前記薬品払出装置4に入力されている前記処方データのうち、入力順又は処方時期が早い順で、前記条件のいずれかが満たされたと判断されるまでの一又は複数の前記処方データが前記対象処方データとして特定される。なお、前記制御部510は、一又は複数の前記条件各々の有効及び無効を予めユーザー操作に応じて設定可能である。
【0083】
具体的に、前記特定条件には、前記処方データの数が、当該処方データに処方薬として含まれる薬品を前記手撒きユニット43を用いて一回の投入作業で払い出すことが可能な数に達することが含まれることが考えられる。即ち、一又は複数の患者の前記処方データの分包数の合計が前記手撒きユニット43の薬品パレット431のDTAセル431Aの数以内に収まる数の前記処方データが前記対象処方データとして特定される。例えば、前記DTAセル431Aの数が63個である場合、1つの前記処方データが分3(朝、昼、夕)で1日分であれば、前記処方データごとに3個の前記DTAセル431Aを使用するため、最大で21の前記処方データが前記対象処方データとして特定される。また、使用する前記DTAセル431Aの数が不足する数の前記処方データが入力されている場合には、使用する前記DTAセル431Aの数が不足しない数の前記処方データが前記対象処方データとして特定される。例えば、前記DTAセル431Aの数が63個である場合、1つの前記処方データが分3(朝、昼、夕)で4日分であれば、前記処方データごとに12個の前記DTAセル431Aを使用するため、最大で5の前記処方データが前記対象処方データとして特定される。なお、前記処方データ各々において用法は異なる場合であっても、前記制御部510は、前記処方データ各々の用法に基づいて前記処方データの分包数の合計が前記手撒きユニット43の薬品パレット431のDTAセル431Aの数以内に収まる数の前記処方データを特定する。
【0084】
なお、本実施形態では、後述のステップS2で前記対象処方データについて払出対象の薬品の種類を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在するか否かが判断される場合を例に挙げて説明する。一方、前記制御部510は、前記ステップS1において、前記対象処方データと前記カセットマスター524とに基づいて、前記薬品払出装置4に入力されている前記処方データに処方薬として含まれる薬品の薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報を対象として前記特定条件が満たされるか否かを判断することも考えられる。具体的に、前記制御部510は、前記対象処方データに処方薬として含まれる薬品の薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報を、前記手撒きユニット43に割り当てた場合に、一回の投入作業で払い出すことが可能な数の前記処方データを前記対象処方データとして特定することが考えられる。この場合、対応する前記固定カセット41Aが存在しない前記薬品情報を含む前記処方データが前記薬品払出装置4に入力されなければ、前記特定条件を満たすと判断されないことになる。また、前記薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41Aが存在する場合であっても、当該固定カセット41Aの薬品残量が予め設定された閾値残量(0又は払出量)以下である薬品情報については、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報と同様に扱われることが考えられる。なお、前記固定カセット41A各々における薬品残量は、例えば当該固定カセット41Aへの薬品充填時に入力される薬品量と、当該固定カセット41Aからの払出数とに基づいて算出されることが考えられる。
【0085】
また、前記特定条件には、前記処方データに対応する患者の病棟が異なることが含まれることが考えられる。これにより、例えば前記薬品払出装置4に入力されている最初から3つ目までの前記処方データに対応する患者の病棟が「2F西」であり、4つ目の前記処方データに対応する患者の病棟が「3F東」であれば、3つ目までの前記処方データが前記対象処方データとして特定されることになる。
【0086】
その他、前記特定条件には、患者の担当医師が異なること、用法が異なること、外来・入院の種別が異なること、最初又は最後の前記処方データが入力されてから所定時間が経過すること、又は前記処方データの数が予め設定された最大数に達することなどが含まれていてもよい。また、前記制御部510は、ユーザー操作により任意に選択される一又は複数の前記処方データを前記対象処方データとして特定することも可能である。
【0087】
<処方制御ユニット501側:ステップS2>
次に、ステップS2において、前記制御部510は、前記対象処方データについて払出対象の薬品の種類を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在するか否かを判断する。具体的に、前記制御部510は、前記記憶部520に記憶されている前記カセットマスター524に基づいて、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品が処方薬として前記対象処方データに含まれているか否かを判断する。ここで、少なくとも1つの前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在しないと判断された場合(S2のNo側)、前記制御部510は処理をステップS3に移行させる。
【0088】
一方、全ての前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在すると判断した場合(S2のYes側)、前記制御部510は処理をステップS8に移行させる。この場合、前記ステップS8では、前記固定カセット41A各々を用いる分包動作の開始要求が前記制御部560に送信され、前記制御部560により前記分包動作を実行するための処理が実行される。なお、前記薬品払出装置4が、前記固定カセット41Aを具備しない構成では、前記ステップS2の処理を省略し、前記制御部510が、前記ステップS1の後に処理をステップS3に移行させればよい。
【0089】
なお、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、ユーザー操作に応じて、前記可変カセット41Bのいずれか一又は複数を、前記固定カセット41Aと同様に予め設定された薬品の払い出しに用いる固定化カセットとして設定することが可能であることも考えられる。この場合、前記ステップS2では、全ての薬品情報に対応する前記固定カセット41A又は前記固定化カセットが存在するか否かが判断されることが考えられる。以下、前記可変カセット41Bのうち前記固定化カセットとして設定されたカセットを固定化カセット41Cと称することがある。
【0090】
また、前記制御部510は、前記ステップS1~S2において、前記薬品払出装置4に入力されている前記処方データのうち、入力順又は処方時期が早い処方データから順に、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報を前記手撒きユニット43に割り当てた場合に、前記手撒きユニット43を用いて一回の投入作業で払い出すことが可能な数の前記処方データを前記対象処方データとして特定することも他の実施形態として考えられる。
【0091】
<処方制御ユニット501側:ステップS3>
ステップS3において、前記制御部510は、前記ステップS1で特定された一又は複数の対象処方データに基づいて、当該対象処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報であって、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報を、前記薬品情報が未だ割り当てられていない未割当の前記可変カセット41Bに割り当てる。即ち、前記ステップS1で複数の処方データが前記対象処方データとして特定された場合には、当該複数の対象処方データに基づいて当該複数の対象処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当てることが可能である。より具体的に、前記ステップS3では、前記複数の対象処方データの単位で、当該複数の処方データに払出対象の薬品の薬品情報が、予め設定される割当規則に従って前記可変カセット41Bに割り当てられる。なお、当該ステップS3の処理は、前記制御部510の前記割当処理部511によって実行される割当ステップの一例である。また、本実施形態では、前記可変カセット41Bに前記薬品情報が割り当てられる場合を例に挙げて説明するが、前記薬品情報が前記装着部42Bに割り当てられてもよい。なお、前記ステップS3の処理を換言すると、前記複数の処方データに払出対象として含まれる薬品のうち前記可変カセット41Bを利用して払い出す一又は複数の薬品が前記割当規則に従って特定され、当該薬品の払い出しに利用される前記可変カセット41B又は前記装着部42Bが選択されて対応付けられる。
【0092】
前記記憶部520には、前記可変カセット41Bと前記薬品情報との割当状態を示すカセット割当情報521が記憶されており、前記ステップS3では、前記薬品情報の前記可変カセット41Bへの割り当て内容に応じて前記カセット割当情報521が更新される。
図13に示すように、前記カセット割当情報521では、前記可変カセット41B各々に現在割り当てられている薬品の種類を示す薬品名称又は薬IDなどが薬品情報として記憶されている。また、前記カセット割当情報521には、前記薬品情報の払出合計も記憶される。なお、薬品コード、JANコード(又はRSSコード)などの薬品情報が前記薬品情報として前記カセット割当情報521に記憶されていてもよい。また、前記可変カセット41B各々には、カセット識別情報C1、C2、・・・が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。前記カセット識別情報は、前記可変カセット41B各々の前記RFIDタグ427Aにも記憶されている。なお、前記カセット割当情報521において、現在薬品情報が割り当てられていない前記可変カセット41Bには未割当である旨が記憶されている。具体的に、
図13に示す前記カセット割当情報521では、前記可変カセット41Bのうちカセット識別情報「C1」、「C2」、「C3」、「C4」、「C8」には薬品名称「Drug M1」、「Drug M2」、「Drug M3」、「Drug M4」、「Drug M5」の薬品情報がそれぞれ割り当てられている。一方、カセット識別情報「C5」、「C6」、「C7」には、まだ薬品情報が割り当てられていない旨が「-」によって示されている。なお、
図13に示す前記カセット割当情報521のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記カセット割当情報521は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部520に記憶されたものであってもよい。この場合、前記医薬品マスターに含まれる薬品各々に対応付けて、その薬品に割り当てられた前記可変カセット41Bの前記カセット識別情報が記憶される。
【0093】
具体的に、前記割当規則には、複数の前記対象処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の対象処方データにおける払出合計が多い薬品情報を優先して前記可変カセット41Bに割り当てる第1規則が含まれる。前記制御部510は、前記第1規則を最優先に判断し、当該第1規則に従って前記対象処方データに含まれる薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当てる。換言すると、前記複数の対象処方データにおける払出合計が多い薬品が、前記可変カセット41Bを利用する薬品として優先して選択されることになる。
【0094】
また、前記割当規則には、複数の前記対象処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の対象処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記可変カセット41Bに割り当てる第2規則が含まれる。前記制御部510は、前記第1規則に従って前記薬品情報を前記可変カセット41Bに順に割り当て、前記第1規則では割り当ての有無が判定できなくなった場合に、前記第2規則に従って前記可変カセット41Bに前記薬品情報を割り当てる。換言すると、前記複数の対象処方データにおいて用法に従って服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品が、前記可変カセット41Bを利用する薬品として優先して選択されることになる。
【0095】
また、前記割当規則には、複数の前記対象処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の対象処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記可変カセット41Bに割り当てる第3規則が含まれる。前記制御部510は、前記第1規則、前記第2規則に従って前記薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当て、前記第1規則、前記第2規則では割り当ての有無が判定できなくなった場合に、前記第3規則に従って前記可変カセット41Bに前記薬品情報を割り当てる。換言すると、前記複数の対象処方データにおける分包数が多い薬品が、前記可変カセット41Bを利用する薬品として優先して選択されることになる。即ち、前記制御部510は、前記第1規則、前記第2規則、前記第3規則の順で優先して前記可変カセット41Bへの割り当てを実行する。また、他の実施形態として、前記割当規則に、複数の前記対象処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の対象処方データにおいて薬品コードの順で薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当てる第4規則が含まれていてもよい。
【0096】
なお、他の実施形態として、前記第1規則、前記第2規則、及び前記第3規則のいずれか一つ又は二つの予め定められた規則に従って前記薬品情報の前記可変カセット41Bへの割り当てが行われてもよい。また、前記制御部510は、前記第1規則、前記第2規則、及び前記第3規則について、ユーザー操作に応じて、有効及び無効の切り替えが任意に設定可能であってもよい。また、前記制御部510は、前記第1規則、前記第2規則、及び前記第3規則の適用順番をユーザー操作に応じて任意に設定することも可能である。また、未割当の前記可変カセット41Bが存在する場合であって、前記割当規則に従えば前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられる場合であっても、当該薬品情報のうち払出合計が予め設定された特定数以下である薬品情報については、前記可変カセット41Bに割り当てられないことも他の実施形態として考えられる。なお、前記医薬品マスターに、前記薬品情報各々が前記可変カセット41Bを利用可能であるか否かの情報が登録されていることも考えられ、この場合、前記可変カセット41Bの使用が可能でない前記薬品情報は、前記可変カセット41Bへの割り当て対象から除外される。
【0097】
ここで、
図14に示されるように、3人の患者に対応する3つの処方データが前記対象処方データとして特定された場合における前記割当条件に従った割当処理の結果について説明する。なお、ここで説明する前記処方データ各々は1日分の処方データであるとする。また、ここでは、前記可変カセット41Bのうちカセット識別情報「C5」~「C7」の3つの前記可変カセット41Bが、未割当の状態であって現在薬品情報を割り当てることが可能なカセットであるとする。
【0098】
具体的に、
図14に示される例において、IDが「001」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug B」、「Drug C」の薬品について、朝(morning)、昼(noon)、夕(evening)の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されている。即ち、IDが「001」の処方データでは、薬品各々の払出数が6錠である。同様に、IDが「002」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug D」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されており、薬品名称が「Drug E」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ1錠ずつ処方されている旨が示されている。また、IDが「003」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug B」、「Drug D」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されている。
【0099】
この場合、3つの前記対象処方データにおける「Drug A」の払出合計は18錠、「Drug B」の払出合計は12錠、「Drug C」の払出合計は6錠、「Drug D」の払出合計は12錠、「Drug E」の払出合計は3錠である。従って、前記ステップS3では、
図15に示されるように、前記第1規則に基づいて、払出合計が最も多い「Drug A」、次に払出合計が多い「Drug B」及び「Drug D」が、「C5」、「C6」、「C7」の前記可変カセット41Bにそれぞれ割り当てられ、前記カセット割当情報521が更新される。具体的に、前記カセット割当情報521では、カセット識別情報が「C5」、「C6」、「C7」の前記可変カセット41Bに、「Drug A」、「Drug B」、「Drug D」の薬品情報と、「18錠」、「12錠」、「12錠」の払出合計とがそれぞれ割り当てられている。即ち、3つの前記対象処方データについて、同じ種類の薬品については、同じ前記可変カセット41Bに割り当てが行われ、3つの前記対象処方データに基づく分包動作では、同じ前記可変カセット41Bから薬品が払い出されることになる。
【0100】
一方、「Drug C」及び「Drug E」の薬品情報については、前記可変カセット41Bに割り当てられることなく、後述のステップS5において、前記手撒きユニット43に割り当てられることになる。具体的に、前記記憶部520には、前記手撒きユニット43の薬品パレット431のDTAセル431A各々と、当該DTAセル431Aに投入するべき薬品情報及び投入数との対応関係を示す手撒き割当情報523が記憶されている。そして、前記手撒き割当情報523は、前記薬品情報が手撒きユニット43に割り当てられる際に更新される。具体的には、
図16に示されるように、前記手撒き割当情報523では、前記薬品パレット431のうち「1A」、「2A」、「3A」に対応する前記DTAセル431Aに「Drug C」が2錠ずつ割り当てられ、「4A」、「5A」、「6A」に対応する前記DTAセル431Aに「Drug E」が1錠ずつ割り当てられる。
【0101】
続いて、
図17及び
図18に示される他の処方データが前記対象処方データとして特定された場合における割当結果の例について説明する。
図17に示される例では、IDが「001」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug B」、「Drug C」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されている。また、IDが「002」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」の薬品については、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されており、薬品名称が「Drug E」の薬品については、朝、昼、夕の3回、それぞれ1錠ずつ処方されている旨が示されている。さらに、IDが「002」の処方データでは、薬品名称が「Drug C」の薬品については、朝、昼の2回、それぞれ1錠ずつ処方されている旨が示されている。また、IDが「003」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug B」、「Drug D」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されており、薬品名称が「Drug C」の薬品については、夕の1回に1錠処方されている旨が示されている。
【0102】
この場合、3つの前記対象処方データにおける「Drug A」の払出合計は18錠、「Drug B」の払出合計は12錠、「Drug C」の払出合計は6錠、「Drug D」の払出合計は6錠、「Drug E」の払出合計は3錠である。従って、前記第1規則に基づいて、払出合計が最も多い「Drug A」、次に払出合計が多い「Drug B」が前記可変カセット41Bに割り当てられる。一方、次に払出合計が多い「Drug C」及び「Drug D」については、払出合計が同じであり、前記第1規則では、「Drug C」又は「Drug D」のいずれか一方を前記可変カセット41Bに割り当てることができない。そのため、前記第2規則に従って、服用時期単位の払い出し錠数が不均等である「Drug C」が前記可変カセット41Bに割り当てられる。なお、「Drug E」については、前記可変カセット41Bに割り当てられることなく、前記手撒きユニット43に割り当てられる。
【0103】
また、
図18に示される例において、IDが「001」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」の薬品、「Drug B」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されている。さらに、IDが「001」の処方データでは、薬品名称が「Drug C」の薬品については、朝、昼、夕の3回、それぞれ1錠ずつ処方されている旨が示されている。同様に、IDが「002」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されており、薬品名称が「Drug C」、「Drug E」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ1錠ずつ処方されている旨が示されている。また、IDが「003」の処方データでは、薬品名称が「Drug A」、「Drug B」、「Drug D」の薬品について、朝、昼、夕の3回、それぞれ2錠ずつ処方されている旨が示されている。
【0104】
この場合、3つの前記対象処方データにおける「Drug A」の払出合計は18錠、「Drug B」の払出合計は12錠、「Drug C」の払出合計は6錠、「Drug D」の払出合計は6錠、「Drug E」の払出合計は3錠である。従って、前記第1規則に基づいて、払出合計が最も多い「Drug A」、次に払出合計が多い「Drug B」が前記可変カセット41Bに割り当てられる。一方、次に払出合計が多い「Drug C」及び「Drug D」については、払出合計が同じであり、服用時期ごとの払い出し錠数も均等であり、前記第1規則及び前記第2規則では、「Drug C」又は「Drug D」のいずれか一方を前記可変カセット41Bに割り当てることができない。そのため、前記第3規則に従って、複数の対象処方データにおける分包数が多い「Drug C」が前記可変カセット41Bに割り当てられる。なお、「Drug E」については、前記可変カセット41Bに割り当てられることなく、前記手撒きユニット43に割り当てられる。
【0105】
<処方制御ユニット501側:ステップS4>
ステップS4において、前記制御部510は、前記ステップS3で前記可変カセット41Bに割り当てられた前記払出対象の薬品情報に対応する駆動条件と前記カセット割当情報521とを前記制御部560に送信する。これにより、前記制御部560は、前記駆動条件に従って前記可変カセット41Bを駆動させることが可能となる。また、前記制御部560は、前記カセット割当情報521に基づいて、前記可変カセット41Bと前記薬品情報及び払出合計との対応関係を把握することが可能である。なお、前記駆動条件は、当該駆動条件に対応する前記薬品情報と共に送信されるが、前記駆動条件が当該駆動条件で駆動させるべき前記可変カセット41Bのカセット識別情報と対応付けて送信されてもよい。
【0106】
具体的に、前記記憶部520には、前記薬品情報と前記可変カセット41Bの駆動条件との対応関係を示す駆動対応情報522が記憶されている。そして、前記制御部510は、予め設定された駆動対応情報522(
図19参照)に基づいて、前記薬品情報に対応する前記駆動条件を特定する。ここに、
図19は前記駆動対応情報522の一例を示す図である。
【0107】
図19に示すように、前記駆動対応情報522には、前記薬品情報ごとに対応して予め設定される駆動条件が記憶されている。前記駆動条件には、前記可変カセット41Bからの薬品の払い出しを開始する前の前記可変カセット41Bの調整に関する事前駆動条件、前記可変カセット41Bからの薬品の払い出し中の駆動制御に関する駆動中条件、及び前記可変カセット41Bからの薬品の払い出しを停止する際の駆動制御に関する駆動停止時条件の3種類の条件が含まれる。
【0108】
具体的に、
図19に示す前記駆動対応情報522の例では、薬品名称が「M1」、「M2」、「M3」、「M4」である薬品ごとに対応する前記駆動条件として、払出経路の高さ、払出経路の幅、払出速度、第1スローダウン、第2スローダウン、及び逆回転動作の各項目に関する情報が記憶されている。なお、前記駆動条件は一例に過ぎず、例えば前記可変カセット41Bが振動により薬品を1錠ごとに払い出すものである場合にはその振動の振動周波数又は振幅などが前記駆動条件として定められていることが考えられる。また、
図19に示す前記駆動対応情報522のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記駆動対応情報522で定められた前記駆動条件は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部520に記憶されたものであってもよい。
【0109】
前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅は、前記事前駆動条件の一例であって、前記可変カセット41Bの前記第2回転体703により薬品を1錠ずつ前記払出口704から払い出すことが可能な値として予め設定された前記高さh1及び前記幅w1(
図7参照)の値である。
【0110】
前記払出速度は、前記駆動中条件の一例であって、前記可変カセット41Bから薬品を払い出す際の前記第2回転体703の回転速度として薬品情報ごとに適した回転速度である。例えば、前記薬品のサイズが小さければ、前記駆動モーター424の回転速度が速い場合、前記駆動モーター424が停止するまでの間に前記薬品が余分に払い出されやすい。一方、前記薬品のサイズが大きければ、前記駆動モーター424の回転速度が速くても、前記駆動モーター424が停止するまでの間に前記薬品が余分に払い出されない。そのため、例えば前記駆動条件として設定されている薬品の払出速度、即ち前記第2回転体703による薬品の搬送速度が前記薬品のサイズによって異なることが考えられる。具体的には、前記薬品のサイズが大きい場合の前記払出速度は前記薬品のサイズが小さい場合の前記払出速度に比べて遅い値に設定されていることが考えられる。
【0111】
前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンは、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット41Bからの薬品の払い出しを停止する際に前記第2回転体703の回転速度を徐々に減速するスローダウンの実行タイミングに関する情報である。
【0112】
また、前記逆回転動作の項目は、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット41Bからの薬品の払い出しを停止する際に前記第2回転体703による薬品の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作の実行の有無に関する情報である。
【0113】
<分包制御ユニット503側:ステップS11>
一方、前記分包制御ユニット503では、前記制御部560が、ステップS11において、前記制御部510からの前記駆動条件の受信の有無を判断する。ここで、前記制御部560は、前記駆動条件が受信された場合には(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させ、前記駆動条件が受信されていない間は(S11のNo側)、処理をステップS13に移行させる。なお、前記制御部560は、前記制御部510から受信した前記駆動条件を、当該駆動条件に対応する前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bのカセット識別情報と対応付けて前記記憶部570に記憶する。また、前記制御部560は、前記制御部510から前記駆動条件と共に受信する前記カセット割当情報521を前記記憶部570に記憶させる。
【0114】
<分包制御ユニット503側:ステップS12>
ステップS12において、前記制御部560は、前記駆動条件と共に受信した前記カセット識別情報に対応する前記可変カセット41Bを、前記駆動条件のうち前記事前駆動条件に従って駆動させ、前記払出経路の高さh1及び前記払出経路の幅w1を変更する。このように、前記薬品払出装置4では、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれている場合、前記制御部560が、前記事前駆動条件(払出経路の高さh1及び幅w1)に従って前記可変カセット41Bを駆動させて当該可変カセット41Bから薬品を払い出させ、服用時期ごとに薬包451に分包する分包動作を実行することになる(S16)。
【0115】
具体的に、前記制御部560は、前記駆動条件に従って前記高さ調整部705A及び前記幅調整部706Aを制御することにより、前記可変カセット41Bから1錠単位で払出可能な薬品の種類を前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す薬品に変更する。まず、前記制御部560は、前記駆動モーター425及び前記駆動モーター426を駆動させることにより前記高さ規制部材705及び前記幅規制部材706の位置を初期状態に戻す。そして、前記制御部560は、前記駆動モーター425により前記高さ調整部705Aを駆動させ、前記可変カセット41Bの前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の高さに変更する。また、前記制御部560は、前記駆動モーター426により前記幅調整部706Aを駆動させ、前記可変カセット41Bの前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の幅に変更する。もちろん、前記高さ規制部材705及び前記幅規制部材706の現在の状態が検出可能な構成であれば、最初に前記初期状態に戻されなくてもよい。
【0116】
このように前記駆動条件に従って前記払出経路の高さh1及び幅w1が変更されると、前記可変カセット41Bでは、前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す薬品を1錠単位で払い出すことが可能となり、前記薬品の払出量が制御可能となる。
【0117】
また、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれておらず、前記可変カセット41Bの前記高さ調整部705A及び前記幅調整部706Aを手動で作動させて前記払出経路の高さh1及び幅w1を任意に調整することが可能な構成も他の実施形態として考えられる。
【0118】
また、ステップS4において、前記制御部510は、前記ステップS3で薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bの前記表示部707に、前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報と当該薬品情報の払出合計とを前記カセット割当情報521に基づいて表示させる。なお、前記ステップS12において、前記制御部560が、前記カセット割当情報521に基づいて、前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報と当該薬品情報の払出合計とを前記表示部707に表示させてもよい。
【0119】
<処方制御ユニット501側:ステップS5>
ステップS5において、前記制御部510は、一又は複数の対象処方データに含まれる薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報であって、前記可変カセット41Bに割り当てられていない一又は複数の薬品情報を前記手撒きユニット43に割り当てる。これにより、前記可変カセット41Bに割り当てられなかった薬品情報に対応する薬品は前記手撒きユニット43から払い出されることになる。なお、当該ステップS6の処理は、前記制御部510の前記割当処理部511によって実行される。なお、一又は複数の対象処方データに含まれる薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報が全て前記可変カセット41Bに割り当てられている場合には、前記手撒きユニット43への割り当ては行われない。
【0120】
ところで、前記制御部510が、前記ステップS2において、対応する前記固定カセット41Aが存在しないと判断された前記薬品情報を前記手撒きユニット43に割り当てた後、前記ステップS5において、当該薬品情報のうち前記ステップS3で前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報について前記手撒きユニット43への割り当てを解除することも他の実施形態として考えられる。具体的には、前記ステップS5において、前記薬品情報が前記手撒きユニット43のDTAセル431A各々に対応付けて前記手撒き割当情報523に記憶された後、前記可変カセット41Bに割り当てられた前記薬品情報が前記手撒き割当情報523から消去されることが考えられる。このとき、前記手撒き割当情報523では、前記DTAセル431Aのうち対応する前記薬品情報が消去されたDTAセル431Aに前記薬品情報が割り当てられていない状況も想定されるが、前記制御部510は、前記ステップS5で割り当てた前記薬品情報と前記DTAセル431Aとの対応関係を変更しないことが考えられる。これにより、前記薬品パレット431における前記DTAセル431A各々の位置と用法との関係にずれが生じず、薬品の投入作業における人為的ミスを抑制することが可能である。一方、前記可変カセット41Bへの前記薬品情報の割り当てによって前記DTAセル431Aに対応する前記薬品情報が存在しなくなった場合に、前記DTAセル431A各々と前記薬品情報との割り当て状態を詰めるように前記手撒き割当情報523を更新することも考えられる。この場合には、空きが生じた前記DTAセル431Aを利用して、より多くの処方データについての前記分包動作を一度に行うことが可能となる。
【0121】
<処方制御ユニット501側:ステップS6>
ステップS6において、前記制御部510は、前記ステップS5で前記手撒きユニット43に割り当てられた前記払出対象の薬品情報を前記制御部560に送信する。これにより、前記制御部560は、前記対象処方データについての分包動作を実行する際の前記手撒きユニット43の利用内容を把握することが可能である。
【0122】
<分包制御ユニット503側:ステップS13>
一方、前記分包制御ユニット503では、前記制御部560が、ステップS13において、前記制御部510からの前記手撒きユニット43への割当内容を示す前記手撒き割当情報523の受信の有無を判断する。ここで、前記制御部560は、前記手撒き割当情報523が受信された場合には(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させ、前記手撒き割当情報523が受信されていない間は(S13のNo側)、処理をステップS15に移行させる。
【0123】
<分包制御ユニット503側:ステップS14>
ステップS14において、前記制御部560は、前記手撒き割当情報523に基づいて、前記DTAセル431A各々に充填するべき薬品を案内する案内画面を前記操作表示部580に表示させる。なお、前記ステップS14の処理は、前記表示処理部561によって実行される。また、前記ステップS14の処理は、前記制御部510によって実行されてもよい。
【0124】
ここに、
図20~
図23は、前記案内画面の一例を示す図である。
図20に示されるように、前記案内画面には、前記手撒き割当情報523において前記手撒きユニット43に割り当てられている薬品情報の一覧を示す領域A1と、前記領域A1に示されている薬品情報のうち現在選択中の薬品情報に対応する薬品の投入位置及び投入数を示す領域A2とが含まれる。また、前記制御部560は、前記領域A1において、前記手撒き割当情報52において前記手撒きユニット43に割り当てられている薬品情報のうち、前記領域A2に投入位置及び投入数が表示された薬品情報と、前記領域A2に投入位置及び投入数が未だ表示されていない薬品情報とを文字色又は背景色などによって識別可能に表示させる。
【0125】
具体的に、前記制御部560は、前記案内画面の表示開始時には、
図20に示されるように、前記領域A2において、前記領域A1に表示されている最上位の薬品情報を選択し、当該薬品情報に対応する薬品の投入位置と投入数とを表示させる。具体的に、
図20に示す例では、前記DTAセル431Aの「1A」~「3A」に薬品Cを2錠ずつ投入するべきことが案内されている。その後、前記制御部560は、前記案内画面に表示される操作キーK0が操作されると、
図21に示されるように、前記領域に表示されている現在の表示対象の薬品情報の一つ下の薬品情報を選択し、当該薬品情報に対応する薬品の投入位置と投入数とを前記領域A2に表示させる。具体的に、
図21に示す例では、前記DTAセル431Aの「4A」~「6A」に薬品Eを1錠ずつ投入するべきことが案内されている。また、前記制御部560は、前記領域A1において薬品情報が選択された場合にも、その選択された前記薬品情報に対応する薬品の投入位置と投入数とを前記領域A2に表示させる。
【0126】
また、前記制御部560は、前記案内画面に表示されている操作キーK1が操作されると、
図22に示されるように、今回の前記対象処方データに対応する患者の一覧を前記操作表示部580の領域A3に表示させる。さらに、前記制御部560は、前記患者の一覧が表示されている状態で、前記操作表示部580に表示されている操作キーK2が操作されると、
図23に示されるように、今回の前記対象処方データに処方薬として含まれる薬品情報のうち前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報の一覧が表示される。なお、
図23に示す例では、前記可変セット41Bに割り当てられている薬品には前記可変カセット41Bの略称を示す「UC」が対応づけて表示されている。また、この場合にも、前記領域A1には、今回の前記対象処方データに処方薬として含まれる薬品情報のうち前記手撒きユニット43に割り当てられた薬品情報の一覧が表示されている。従って、ユーザーは、前記操作表示部580の表示を参照することにより、今回の前記対象処方データに処方薬として含まれる薬品情報の割当先を容易に把握することが可能である。また、今回の前記対象処方データに処方薬として含まれる薬品情報のうち、対応する前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cが存在する薬品情報についても、前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cと薬品情報との対応関係が前記領域A4に表示されることも他の実施形態として考えられる。なお、前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報の一覧が表示された状態で前記操作キーK2が操作されると、例えば前記患者の一覧が表示される画面に戻ることが考えられる。
【0127】
<処方制御ユニット501側:ステップS7>
その後、ステップS7において、前記制御部510は、前記可変カセット41Bに対する薬品の充填が完了した旨を示す充填完了操作が前記操作部540に対して行われたか否かを判断する。具体的に、ユーザーは、前記ステップS3で前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられ、前記可変カセット41Bの前記表示部707に前記薬品情報が表示されると、前記可変カセット41Bを前記薬品供給ユニット502から取り外す。そして、ユーザーは、前記可変カセット41Bに、前記処方データに対応する処方箋、又は前記表示部707に表示された情報を参照しながら必要な錠数の薬品を前記可変カセット41Bに投入する。その後、ユーザーは、前記可変カセット41Bを前記薬品供給ユニット502に装着し、前記操作部540に対して前記充填完了操作を行う。なお、前記ステップS5で前記薬品情報が前記手撒きユニット43にも割り当てられている場合、ユーザーは、前記手撒きユニット43の薬品パレット431を開いて薬品を投入した後、前記薬品パレット431を閉じてから前記充填完了操作を行う。なお、前記可変カセット41Bの脱着及び前記手撒きユニット43の開閉が前記充填完了操作の一例であってもよい。
【0128】
ここで、前記充填完了操作が行われるまでの間(S7のNo側)、前記制御部510は処理を前記ステップS7で待機させる。一方、前記充填完了操作が行われたと判断すると(S7のYes側)、前記制御部510は処理をステップS8に移行させる。なお、前記ステップS3で複数の薬品情報が複数の前記可変カセット41Bに割り当てられた場合、前記ステップS7では、前記薬品情報各々に対応する全ての前記可変カセット41Bについて前記薬品の充填完了操作が行われたか否かを判断する。また、前記ステップS5で前記薬品情報が前記手撒きユニット43に割り当てられている場合には、前記ステップS7において、前記手撒きユニット43の薬品パレット431の開閉動作が完了しているか否かが判断されてもよい。
【0129】
<処方制御ユニット501側:ステップS8~S9>
ステップS8において、前記制御部510は、前記対象処方データ各々に基づく分包動作の開始要求を前記制御部560に送信する。その後、ステップS9において、前記制御部510は、前記制御部560からの前記分包動作の完了通知を待ち受ける(S9のNo側)。そして、前記分包動作の完了通知を受信すると(S9のYes側)、前記制御部510は処理をステップS10に移行させる。
【0130】
<処方制御ユニット501側:ステップS10>
ステップS10において、前記制御部510は、払い出しが完了した前記可変カセット41Bの前記表示部707に払い出しが完了した旨の表示を行う。例えば、前記ステップS9では、前記表示部707に「払出完了」の文字が表示されること、又は前記表示部707の前記薬品情報の表示が消去されること等が考えられる。
【0131】
<分包制御ユニット503側:ステップS15>
一方、前記分包制御ユニット503では、前記制御部560が、ステップS15において、前記制御部510からの前記分包動作の開始要求の有無を判断する。ここで、前記制御部560は、前記分包動作の開始要求が受信された場合には(S15のYes側)、処理をステップS16に移行させ、前記分包動作の開始要求が受信されていない間は(S15のNo側)、処理をステップS11に移行させる。
【0132】
<分包制御ユニット503側:ステップS16>
ステップS16において、前記制御部560は、前記分包動作の開始要求に従って、一又は複数の前記対象処方データに基づく分包動作を実行する。具体的に、前記制御部560は、一又は複数の前記対象処方データに基づいて、前記薬品供給ユニット502の前記固定カセット41A、前記可変カセット41B、及び前記手撒きユニット43から必要な薬品を払い出させる。そして、前記制御部560は、前記固定カセット41A、前記可変カセット41B、及び前記手撒きユニット43から払い出された薬品を服用時期などの分包単位で前記分包ユニット45によって分包させる。なお、前記ステップS16は、前記制御部560の駆動制御部562によって実行される駆動ステップの一例である。なお、前記分包動作において、前記可変カセット41Bから払い出される薬品の数は、前記可変カセット41Bの前記払出口704に設けられた不図示の光学式センサーを有するカウンターによって計数されて前記制御部560に払出数として入力される。これにより、前記制御部560は、前記カウンターから入力される払出数に基づいて前記可変カセット41Bの駆動を制御し、予め設定された払出量(処方量)のみを前記可変カセット41Bから払い出すことが可能である。
【0133】
そして、前記対象処方データが複数である場合には、その複数の対象処方データについて前記分包動作が順次実行される。このとき、複数の前記対象処方データに払出対象として含まれる薬品の薬品情報が同一の前記可変カセット41Bに割り当てられている場合には、複数の前記対象処方データに対応する前記分包動作において、同一の前記可変カセット41Bから同一の薬品が払い出されることになる。そのため、ユーザーは、複数の前記可変カセット41Bに同じ薬品を充填する必要、又は前記可変カセット41Bに同じ薬品を繰り返し充填する必要がなく、一つの前記可変カセット41Bに纏めて薬品を充填することが可能となり、ユーザーによる充填作業の効率が高まる。これに対し、前記処方データ各々に含まれる同一の薬品について異なる前記可変カセット41Bに割り当てられる場合、又は前記処方データ各々に含まれる同一の薬品について同じ前記可変カセット41Bに繰り返して割り当てられる場合には、複数の前記可変カセット41Bに同じ薬品を充填する必要、又は前記可変カセット41Bに同じ薬品を繰り返し充填する必要があり、ユーザーによる充填作業の効率が低くなる。
【0134】
<分包制御ユニット503側:ステップS17>
その後、前記制御部560は、前記ステップS14において、一又は複数の前記対象処方データに対応する前記分包動作が終了すると、続くステップS17において、前記制御部510に分包動作の完了通知を送信する。
【0135】
以上説明したように、前記薬品払出装置4では、複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる一又は複数の払出対象の薬品の薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられる。従って、個々の処方データに基づいて薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当てる場合に比べて前記可変カセット41Bを効率的に使用することが可能となる。
【0136】
なお、本実施形態では、前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられる場合を例に挙げて説明した。一方、前記制御部510は、前記可変カセット41Bに代えて、前記可変カセット41Bが装着される前記装着部42Bに前記薬品情報を割り当てることも考えられる。この場合、前記制御部510は、前記ステップS4において、前記薬品情報と前記装着部42Bとの対応関係を示す情報を、前記払出対象の薬品情報に対応する駆動条件と共に前記制御部560に送信する。これにより、前記制御部560は、前記装着部42Bに装着された前記可変カセット41Bを前記駆動条件に従って駆動させることが可能である。
【0137】
[錠剤補充制御機能]
ところで、前記薬品払出装置4では、必要な払出量に対して前記固定カセット41A内又は前記固定化カセット41C内の錠剤が不足すると、当該錠剤を払い出すことができず動作が中断することになる。そのため、ユーザーは、前記固定カセット41A内又は前記固定化カセット41C内の錠剤の残量が少なくなると錠剤を事前に補充することがある。しかしながら、前記固定カセット41A内又は前記固定化カセット41C内の錠剤が欠品になる前に錠剤が補充されると新旧の錠剤が混在し、先に収容されていた錠剤が後に収容された錠剤よりも後に払い出されるおそれがある。一方、例えば一種類の錠剤について複数の前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cが設けられていれば、錠剤を補充した順番でその複数の前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cから錠剤を払い出すように制御することにより、先に補充された錠剤を後に補充される錠剤よりも先に払い出すことができる錠剤の先入れ先出しを実現することが可能であるが、必要な前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cの数が増加することになる。
【0138】
これに対し、前記薬品払出装置4は、前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cの数の増加を抑制しつつ、錠剤の欠品発生頻度を低減すると共に錠剤の先入れ先出しを実現することができる錠剤補充制御機能を備える。以下、前記錠剤補充制御機能について説明する。なお、前記薬品払出装置4では、前述したように前記特定条件を満たす複数の処方データを対象に錠剤の払い出しが実行されるが、前記薬品払出装置4は、一つの前記処方データごとに錠剤の払い出しが実行可能な構成であってもよい。
【0139】
ここに、
図24は、前記錠剤補充制御機能を実現するために前記制御部510によって実行される錠剤補充処理の一例を示すフローチャートである。なお、前記制御部560が前記錠剤補充処理を実行してもよく、前記制御部510及び前記制御部560が協働して前記錠剤補充処理を実行してもよい。また、
図25Aは、前記カセット割当情報521の一例を示す図であり、
図25Bは、前記カセットマスター524の一例を示す図である。また、
図26は、前記ステップS16(
図12参照)の分包動作の一部として前記制御部560によって実行される錠剤払出処理の一例を示すフローチャートである。
【0140】
[錠剤補充処理]
まず、
図24を参照しつつ、前記制御部510によって実行される前記錠剤補充処理について説明する。
【0141】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部510は、錠剤の補充を開始するか否かを判断する。そして、錠剤の補充を開始すると判断されると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行し、錠剤の補充を開始しないと判断されると(S21:No)、処理がステップS291に移行する。
【0142】
例えば、前記制御部510は、補充する錠剤の薬品情報の選択操作、及び当該錠剤の補充開始の要求操作が前記操作部540に対して行われた場合に、当該薬品情報に対応する錠剤を補充対象として特定し、当該錠剤の補充を開始すると判断する。また、前記制御部510は、前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cの錠剤の残量が予め設定された閾値以下になった場合に、当該錠剤を補充対象として特定し、当該錠剤の補充を開始すると自動的に判断してもよい。
【0143】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部510は、前記ステップS21で補充すると判断された錠剤の補充先となる前記薬品カセット41を特定する。
【0144】
具体的に、前記制御部510は、前記固定カセット41A又は前記可変カセット41Bのいずれかをユーザーに選択させるための表示画面を錠剤の補充先の候補として前記表示部530に表示する。そして、前記制御部510は、前記表示画面におけるユーザー操作に応じて、前記固定カセット41A又は前記可変カセット41Bのいずれかを錠剤の補充先として特定する。例えば、前記制御部510は、前記固定カセット41Aが選択された場合には、前記カセットマスター524に基づいて、前記補充対象の錠剤に対応する前記固定カセット41Aを補充先として特定する。また、前記制御部510は、特定の前記可変カセット41Bが選択された場合には、当該可変カセット41Bを補充先として特定し、当該可変カセット41Bを前記固定化カセット41Cとして設定するように前記カセット割当情報521を更新する。なお、前記制御部510は、前記錠剤の補充先として任意の前記可変カセット41Bを自動で特定するためのユーザー操作が行われた場合には、前記カセット割当情報521に基づいて、前記薬品情報が未だ割り当てられていない未割当の前記可変カセット41Bを錠剤の補充先として特定し、当該可変カセット41Bを前記固定化カセット41Cとして設定するように前記カセット割当情報521を更新してもよい。また、前述したように、本実施形態では、前記可変カセット41Bに前記薬品情報が割り当てられる場合を例に挙げて説明するが、前記薬品情報が前記装着部42Bに割り当てられてもよい。
【0145】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部510は、前記ステップS21で補充対象として特定された錠剤の薬品情報、及び前記ステップS22で補充先として特定された前記薬品カセット41のカセット識別情報などの補充関連情報を前記表示部530に表示させる。なお、前記制御部510は、前記錠剤の補充先が前記可変カセット41Bである場合には、前記補充関連情報を当該可変カセット41Bの前記表示部707に表示させてもよい。
【0146】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部510は、前記ステップS22で錠剤の補充先として特定された前記薬品カセット41が前記可変カセット41Bであるか否かを判断し、前記可変カセット41Bである場合には(S24:Yes)、処理がステップS25に移行する。なお、前記ステップS22で錠剤の補充先として特定された前記薬品カセット41が前記可変カセット41Bではない場合には(S24:No)、処理がステップS26に移行する。
【0147】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部510は、前記ステップS21で補充対象として特定された錠剤の薬品情報に対応する駆動条件と、前記ステップS22で特定された補充先の前記可変カセット41Bのカセット識別情報とを前記制御部560に送信する。なお、前記薬品情報が前記装着部42Bに割り当てられる場合には、前記カセット識別情報に代えて当該装着部42Bの識別情報が送信される。これにより、前記制御部560は、前記ステップS22で特定された前記可変カセット41Bを前記駆動条件に従って駆動させることが可能となる(
図12のステップS11~S12)。
【0148】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部510は、補充先の前記薬品カセット41に対する薬品の補充が完了した旨を示す補充完了操作が前記操作部540に対して行われたか否かを判断する。ここで、前記補充完了操作が行われるまでの間は(ステップS26:No)、処理がステップS26で待機し、前記補充完了操作が行われたと判断すると(ステップS26:Yes)、処理がステップS27に移行する。
【0149】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部510は、補充先の前記薬品カセット41への錠剤の補充個数などの情報をユーザー操作に応じて受け付け、当該情報に基づいて前記記憶部520に記憶される錠剤の在庫情報を更新し、処理をステップS28に移行させる。例えば、前記制御部510は、前記薬品カセット41への補充個数が入力された場合に、前記在庫情報における当該錠剤の在庫を前記補充個数だけ増加させる。また、前記在庫情報は、当該ステップS27における更新後に前記制御部510から前記制御部560に送信され、前記制御部560によって前記記憶部570にも記憶される。同様に、前記在庫情報は、前記制御部560によって更新された場合にも、前記制御部560から前記制御部510に送信され、前記制御部510によって前記記憶部520に記憶される。即ち、前記記憶部520及び前記記憶部570における前記在庫情報は同期している。また、錠剤の補充個数は、前記ステップS21において補充する錠剤の薬品情報が選択される際に入力されてもよい。なお、前記在庫情報が、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524にそれぞれ含まれ、必要に応じて前記カセット割当情報521又は前記カセットマスター524が送受信されてもよい。
【0150】
<ステップS28>
ステップS28において、前記制御部510は、今回の前記薬品カセット41への補充日時を記録するための処理を実行する。前記補充日時は、前記ステップS21で補充を開始すると判断された日時、又は、前記ステップS27で補充が完了したと判断された日時(ステップS28の実行開始日時)などである。なお、前記制御部510は、現在時刻を計時する時計機能、又は外部装置から現在時刻を取得する機能を有している。
【0151】
具体的に、前記制御部510は、補充先が前記固定化カセット41Cである場合には、前記カセット割当情報521において、当該固定化カセット41Cに対応付けて補充日時を記録する。ここに、
図25Aは、前記カセット割当情報521の一例を示す図である。
図25Aに示す前記カセット割当情報521では、前記カセット識別情報が「C1」、「C2」、「C3」、「C4」の前記可変カセット41Bが、前記薬品情報が「Drug M1」、「Drug M2」、「Drug M3」、「Drug M3」である錠剤に対応する前記固定化カセット41Cとしてそれぞれ設定されている。一方、前記カセット割当情報521では、前記カセット識別情報が「C5」、「C6」の前記可変カセット41Bに、「Drug A」、「Drug B」の薬品情報と、「18錠」、「12錠」の払出合計とがそれぞれ割り当てられている。なお、前記カセット割当情報521では、例えば前記固定化カセット41Cとして設定された前記可変カセット41Bには、固定化カセットである旨を示す「Fix」が前記薬品情報と共に記録される。そして、
図25Aに示されるように、前記カセット割当情報521には、前記カセット識別情報及び前記薬品情報に対応付けて補充日時(Supplement day and time)が記憶されている。
【0152】
一方、前記制御部510は、補充先が前記固定カセット41Aである場合には、前記カセットマスター524において、当該固定カセット41Aに対応付けて補充日時を記録する。ここに、
図25Bは、前記カセットマスター524の一例を示す図である。
図25Bに示す前記カセットマスター524では、前記カセット識別情報が「C11」、「C12」、「C13」、「C14」、「C15」、「C16」、「C17」、「C18」の前記固定カセット41Aが、前記薬品情報が「Drug M1」、「Drug M2」、「Drug M3」、「Drug M4」、「Drug M5」、「Drug M6」、「Drug M7」、「Drug M1」である錠剤に対応する前記固定カセット41Aとしてそれぞれ設定されている。そして、
図25Bに示されるように、前記カセットマスター524には、前記カセット識別情報及び前記薬品情報に対応付けて補充日時(Supplement day and time)が記憶されている。例えば、
図25A及び
図25Bに示す例では、「Drug M1」については、前記カセット識別情報が「C11」の前記固定カセット41Aの補充日時(2017年1月2日11時23分)が最も早く、次に前記カセット識別情報が「C1」の前記固定化カセット41Cの補充日時(2017年1月3日11時23分)、その次に前記カセット識別情報が「C18」の前記固定カセット41Aの補充日時(2017年1月9日11時30分)であることがわかる。
【0153】
<ステップS29>
ステップS29において、前記制御部510は、前記制御部560に前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を送信する。これにより、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を受信した前記制御部560は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を前記記憶部570に記憶する。即ち、前記記憶部570に記憶されている前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524が最新の情報に更新される。従って、前記制御部560は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524に基づいて、前記薬品カセット41各々への錠剤の補充日時を把握することが可能である。なお、前記制御部510は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524のうち前記ステップS28で更新した情報のみを前記制御部560に送信してもよい。
【0154】
<ステップS291>
ステップS291において、前記制御部510は、前記制御部560から欠品報知情報を受信したか否かを判断する。後述するように、前記制御部560は、前記薬品カセット41のいずれかにおいて錠剤の欠品が発生した場合に、前記欠品報知情報を前記制御部510に送信する(
図26:S342)。ここで、前記欠品報知を受信したと判断されると(S291:Yes)、処理がステップS292に移行し、前記欠品報知を受信していないと判断されると(S291:No)、処理がステップS21に戻される。
【0155】
<ステップS292>
ステップS292において、前記制御部510は、前記欠品報知情報に基づいて、前記カセット割当情報521又は前記カセットマスター524を更新する。具体的に、前記制御部510は、前記欠品報知情報に含まれる欠品した前記薬品カセット41を示すカセット識別情報を参照し、当該カセット識別情報に対応する前記薬品カセット41についての前記補充日時の情報を消去する。
【0156】
例えば、前記欠品した前記薬品カセット41が前記固定カセット41Aである場合には、前記カセットマスター524において、前記カセット識別情報に対応する前記固定カセット41Aの補充日時の情報を消去する。なお、前記制御部510は、当該錠剤補充処理の他、前記固定カセット41Aから錠剤を取り出す旨の操作が行われた場合にも、前記カセットマスター524における前記補充日時の情報を消去することが考えられる。
【0157】
一方、前記欠品した前記薬品カセット41が前記固定化カセット41Cである場合には、前記カセット割当情報521において、前記カセット識別情報に対応する前記固定化カセット41Cの補充日時の情報を消去すると共に、前記固定化カセット41Cに割り当てられている前記薬品情報を消去する。即ち、前記固定化カセット41Cへの前記薬品情報の割当状態が解除され、前記固定化カセット41Cは前記可変カセット41Bとして使用可能な状態となる。なお、前記制御部510は、当該錠剤補充処理の他、任意のタイミングで、前記固定化カセット41Cから錠剤を取り出す旨の操作、又は、前記固定化カセット41Cへの薬品情報の割り当てを解除するための操作(可変カセット41Bに戻すための操作)が行われた場合にも、当該固定化カセット41Cの補充日時の情報を消去すると共に、当該固定化カセット41Cに割り当てられている前記薬品情報を消去することが考えられる。
【0158】
<ステップS293>
ステップS293において、前記制御部510は、前記制御部560に前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を送信する。これにより、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を受信した前記制御部560は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を前記記憶部570に記憶する。即ち、前記記憶部570に記憶されている前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524が最新の情報に更新される。なお、前記制御部510は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524のうち前記ステップS292で更新した情報のみを前記制御部560に送信してもよい。
【0159】
[錠剤払出処理]
続いて、
図26を参照しつつ、前記制御部560によって前記ステップS16(
図12参照)の分包動作の一部として実行される前記錠剤払出処理について説明する。
【0160】
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部560は、前記対象処方データと前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524とに基づいて、当該対象処方データに含まれる処方薬品を払い出す前記薬品カセット41を払出元として特定する。
【0161】
具体的に、前記制御部560は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524を参照し、前記対象処方データに含まれる処方薬品が割り当てられている前記薬品カセット41のうち補充日時が最も早いものを払出元として特定する。例えば、
図25A、25Bに示す例において、前記処方薬品の薬品情報が「Drug M1」である場合には、同一の薬品情報に割り当てられた前記カセット識別情報が「C1」、「C11」、「C18」の前記薬品カセット41のうち、前記補充日時が最も早い「C11」の前記固定カセット41Aが払出元として特定される。
【0162】
<ステップS32>
ステップS32において、前記制御部560は、前記対象処方データ各々に基づいて、前記ステップS31で特定された前記薬品カセット41各々から錠剤を払い出し、服用時期ごとに分包する分包動作を順次開始する。ここで、前記制御部560は、例えば一つの前記対象処方データについて前記錠剤の払い出しが完了するごとに、前記記憶部570に記憶されている前記在庫情報における当該錠剤の残量を払い出し量だけ減少させ、当該在庫情報を前記制御部510に送信する。なお、前記在庫情報の更新タイミング及び送信タイミングはこれに限らない。
【0163】
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部560は、前記分包動作で用いられている前記薬品カセット41のいずれかにおいて錠剤の欠品が発生したか否かを判断する。具体的に、前記制御部560は、前記薬品カセット41の駆動開始後、所定時間経過しても錠剤が払い出されないことを条件に当該薬品カセット41で錠剤の欠品が発生したと判断する。なお、前記制御部560は、前記薬品カセット41からの錠剤の払い出しごとに前記記憶部570に記憶されている前記在庫情報を更新し、当該在庫情報に基づいて当該薬品カセット41において錠剤の欠品が発生したか否かを判断してもよい。ここで、欠品が発生したと判断されると(S33:Yes)、処理がステップS34に移行し、欠品が発生していないと判断されると(S33:No)、処理がステップS35に移行する。
【0164】
<ステップS34>
ステップS34において、前記制御部560は、前記カセット割当情報521及び前記カセットマスター524に基づいて、前記ステップS33で欠品が発生したと判断された前記薬品カセット41の他に、当該薬品カセット41と同一の錠剤に割り当てられた前記薬品カセット41が存在するか否かを判断する。ここで、同一の錠剤が割り当てられた前記薬品カセット41が存在すると判断されると(S34:Yes)、処理がステップS31に移行し、同一の錠剤が割り当てられた前記薬品カセット41が存在しないと判断されると(S34:No)、処理がステップS341に移行する。
【0165】
<ステップS341>
ステップS341において、前記制御部560は、前記薬品払出装置4において実行されている分包動作を中断させる。
【0166】
<ステップS342>
ステップS342において、前記制御部560は、前記ステップS33で欠品が発生したと判断された錠剤の薬品情報及び前記薬品カセット41のカセット識別情報などの報知情報を報知する欠品報知処理を実行する。具体的に、前記制御部560は、前記操作表示部580に前記報知情報を表示すると共に、前記制御部510に前記薬品カセット41のカセット識別情報及び欠品が発生した旨を示す情報を送信する。これにより、前記制御部510は、前記ステップS291~S293において、前記カセット割当情報521又は前記カセットマスター524を更新して前記制御部560に送信する。また、前記欠品報知処理では、前記報知情報が、前記制御部510に送信され、前記制御部510によって前記表示部530に表示されてもよい。その他、前記欠品報知処理は表示に限らず、音声又はブザー鳴動によって欠品が報知されてもよい。また、前記薬品カセット41の前記表示部707に欠品した旨が表示されてもよい。
【0167】
そして、前記ステップS342において、前記制御部560は、前記制御部510から前記カセット割当情報521又は前記カセットマスター524を受信した場合、前記薬品カセット41の欠品が解消された場合、ユーザーによる所定の再開操作が行われた場合、又は欠品が発生したと判断された前記薬品カセット41の脱着が行われた場合などに処理を前記ステップS35に進めて、前記ステップS32で前記分包動作を再開する。
【0168】
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部560は、前記ステップS16で受信した前記分包動作の開始要求によって受信した前記対象処方データについて前記分包動作が完了したか否かを判断する。ここで、前記対象処方データについて前記分包動作が完了したと判断されると(S35:Yes)、当該錠剤払出処理が終了し、処理が前記ステップS17(
図12参照)に移行し、前記対象処方データについて前記分包動作が完了していないと判断されると(S35:No)、処理が前記ステップS32に戻され、前記分包動作が順次実行される。
【0169】
以上説明したように、錠剤補充制御機能によれば、錠剤の補充時に前記可変カセット41Bが前記固定化カセット41Cとして一時的に設定されることがあり、前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cの数を増加させることなく、錠剤の欠品発生頻度を低減させると共に錠剤の先入れ先出しを実現することができる。
【0170】
例えば、
図25A及び
図25Bに示されるように、「Drug M1」に対応する前記薬品カセット41各々の前記補充日時が、前記カセット識別情報が「C11」の前記固定カセット41Aが最も早く、次に前記カセット識別情報が「C1」の前記固定化カセット41C、その次に前記カセット識別情報が「C18」の前記固定カセット41Aの順で早い状態で、「Drug M1」の錠剤が払い出される場合の払出元の変化を考える。この場合、まず前記カセット識別情報が「C11」である前記固定カセット41Aが払出元として使用される。そして、前記カセット識別情報が「C11」である前記固定カセット41Aで欠品が発生すると、前記カセット識別情報が「C1」である前記固定化カセット41Cが払出元として使用される。さらにその後、前記カセット識別情報が「C1」である前記固定カセット41Aで欠品が発生すると、前記カセット識別情報が「C18」である前記固定カセット41Aが払出元として使用されることになる。また、最初に使用されていた前記カセット識別情報が「C11」である前記固定カセット41Aに錠剤が補充されると、当該固定カセット41Aの補充日時は、前記カセット識別情報が「C18」である前記固定カセット41Aよりも後になるため、前記カセット識別情報が「C11」である前記固定カセット41Aは、前記カセット識別情報が「C18」である前記固定カセット41Aで欠品が発生した後に払出元として使用されることになる。
【0171】
また、
図25A及び
図25Bに示されるように、「Drug M2」に対応する前記薬品カセット41各々の前記補充日時が、前記カセット識別情報が「C12」、「C2」の順で早い状態で、前記カセット識別情報が「C12」である前記固定カセット41Aが使用されて欠品が発生した後に当該固定カセット41Aに錠剤が補充される場合を考える。この場合には、まず、前記カセット識別情報が「C12」である前記固定カセット41Aが使用された後、前記カセット識別情報が「C2」である前記固定化カセット41Cが使用され、当該固定化カセット41Cで欠品が発生した場合には、当該固定化カセット41Cへの薬品情報の割り当てが解除される。その後、欠品が生じてから前記固定化カセット41Cよりも後に錠剤が補充された前記カセット識別情報が「C12」である前記固定カセット41Aが再度使用されることになる。即ち、前記薬品情報が「Drug M2」である錠剤については、前記カセット識別情報が「C12」である前記固定カセット41Aに加えて、前記カセット識別情報が「C2」の前記可変カセット41Bを一時的に前記固定化カセット41Cとして用いることが可能である。このように、前記可変カセット41Bを「Drug M2」に対応する前記固定化カセット41Cとして一時的に利用することができ、当該固定化カセット41Cの設定が解除された後は通常の前記可変カセット41Bとして任意の種類の錠剤の払い出しに利用することができるため、前記固定カセット41A及び前記固定化カセット41Cの数の増加が抑制しつつ、錠剤の欠品発生頻度を低減させることが可能である。
【0172】
また、
図25A及び
図25Bに示されるように、「Drug M3」に対応する前記薬品カセット41各々の前記補充日時が、前記カセット識別情報が「C13」、「C3」、「C4」の順で早い状態で、前記カセット識別情報が「C13」である前記固定カセット41Aが使用されて欠品が発生した後に当該固定カセット41Aに錠剤が補充される場合を考える。この場合には、まず、前記カセット識別情報が「C13」である前記固定カセット41Aが使用された後、前記カセット識別情報が「C3」である前記固定化カセット41Cが使用され、当該固定化カセット41Cで欠品が発生した場合には、当該固定化カセット41Cへの薬品情報の割り当てが解除される。その後、前記カセット識別情報が「C4」である前記固定化カセット41Cが使用され、当該固定化カセット41Cで欠品が発生した場合には、当該固定化カセット41Cへの薬品情報の割り当てが解除される。そして、欠品が生じてから前記固定化カセット41Cよりも後に錠剤が補充された前記カセット識別情報が「C13」である前記固定カセット41Aが再度使用されることになる。即ち、前記薬品情報が「Drug M3」である錠剤については、前記カセット識別情報が「C3」である前記固定カセット41Aに加えて、前記カセット識別情報が「C3」、「C4」の前記可変カセット41Bを一時的に前記固定化カセット41Cとして用いることが可能である。
【0173】
ところで、本実施形態では、前記補充日時に基づいて前記薬品カセット41各々の使用順序を制御することにより、錠剤の先入れ先出しが実現される例について説明したが、前記補充日時に基づいて、錠剤の先入れ先出しが実現されるように前記薬品カセット41各々の優先度が更新され、当該優先度に基づいて前記薬品カセット41各々の使用順序が制御されてもよい。
【0174】
[固定化推奨機能]
ところで、前述したように、前記薬品払出装置4では、前記可変カセット41Bを特定の錠剤に対応する前記固定化カセット41Cとして設定して用いることが可能である。ここで、前記固定化カセット41Cとして用いられる前記可変カセット41Bに割り当てられる錠剤の種類は、ユーザーによって選択されることになるが、前記薬品払出装置4が、前記可変カセット41Bにどの種類の錠剤を割り当てるべきであるかを推奨することが可能な固定化推奨機能を備えることが考えられる。
【0175】
具体的に、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記固定化カセット41Cとして利用する前記可変カセット41Bを選択するためのユーザー操作を受け付けると、当該可変カセット41Bに割り当てることが推奨される錠剤の種類(薬品情報)を予め定められた条件に従って選定し、前記表示部530に表示する。ここで、前記制御部510は、過去に前記手撒きユニット43を用いて払い出された回数、過去に前記手撒きユニット43を用いて払い出された払出量、又は過去に入力された前記処方データにおいて処方薬として含まれていた回数などの情報を記録しており、これらの情報のいずれか一つ又は複数に基づいて錠剤の種類を選定することが考えられる。
【0176】
例えば、前記制御部510は、過去に前記手撒きユニット43で払い出された回数が最も高く、前記可変カセット41Bによる払い出しが可能な種類の錠剤を選定する。また、前記制御部510は、過去に前記手撒きユニット43で払い出された払出量が最も多く、前記可変カセット41Bによる払い出しが可能な種類の錠剤を選定する。また、前記制御部510は、過去に入力された前記処方データにおいて処方薬として含まれていた回数が最も多い種類の錠剤を選定する。また、前記制御部510は、対象となる錠剤に対応する前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cが既に存在する場合に、当該錠剤を選定しないことも考えられる。なお、前記制御部510は、対象となる錠剤に対応する前記固定カセット41A又は前記固定化カセット41Cが既に存在する場合であっても、過去の払い出し回数又は払出量などが所定値以上である場合には、当該錠剤を例外的に選定することも考えられる。
【0177】
[発明の付記]
[付記1]
任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、
前記可変カセットが着脱可能な装着部と、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当処理部と、
前記割当処理部によって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動制御部と、
を備える薬品払出装置。
【0178】
[付記2]
前記割当処理部は、前記複数の処方データの単位で、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を予め設定される割当規則に従って前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる、
付記1に記載の薬品払出装置。
【0179】
[付記3]
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける払出合計が多い薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第1規則が含まれる、
付記2に記載の薬品払出装置。
【0180】
[付記4]
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第2規則が含まれる、
付記2に記載の薬品払出装置。
[付記5]
【0181】
前記割当規則には、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第3規則が含まれる、
付記2に記載の薬品払出装置。
【0182】
[付記6]
前記割当規則には、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける払出合計が多い薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第1規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおいて用法に従った服用時期単位の払い出し錠数が不均等である薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第2規則と、
前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち当該複数の処方データにおける分包数が多い薬品情報を優先して前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる第3規則と、
が含まれ、
前記割当処理部は、前記第1規則、前記第2規則、前記第3規則の順で優先して前記可変カセット又は前記装着部への割り当てを実行する、
付記2に記載の薬品払出装置。
【0183】
[付記7]
前記割当処理部は、予め設定された特定条件を満たす複数の処方データを特定し、当該特定された前記複数の処方データに基づいて、当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当てる、
付記1~6のいずれかに記載の薬品払出装置。
【0184】
[付記8]
予め定められた種類の薬品を払出可能な固定カセットを更に備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データに含まれる前記薬品情報と、前記固定カセット各々から払い出し可能な前記薬品情報を示すマスター情報とに基づいて前記特定条件を満たすか否かを判断する、
付記7に記載の薬品払出装置。
【0185】
[付記9]
予め定められた種類の薬品を払出可能な固定カセットと、
複数のセルに収容された薬品を前記セルの単位で払い出し可能な手撒きユニットと、
を更に備え、
前記割当処理部は、前記複数の処方データに含まれる払出対象の薬品情報のうち、対応する前記固定カセットが存在しない薬品情報を、前記可変カセット又は前記手撒きユニットに割り当てる、
付記1~8のいずれかに記載の薬品払出装置。
【0186】
[付記10]
任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、前記可変カセットが着脱可能な装着部と、を備える薬品払出装置の制御方法であって、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当ステップと、
前記割当ステップによって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動ステップと、
を含む制御方法。
【0187】
[付記11]
任意の種類の薬品を払出可能な可変カセットと、前記可変カセットが着脱可能な装着部と、を備える薬品払出装置の制御部に、
複数の処方データに基づいて当該複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の薬品情報を前記可変カセット又は前記装着部に割り当て可能な割当ステップと、
前記割当ステップによって前記可変カセット又は前記装着部に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って前記可変カセットを駆動させ、当該可変カセットから前記複数の処方データに対応する薬品を払い出し可能な駆動ステップと、
を実行させるための制御プログラム。