(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光学系及び照準装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240222BHJP
G03H 1/22 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G03H1/22
(21)【出願番号】P 2022063929
(22)【出願日】2022-04-07
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202110416339.X
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521559898
【氏名又は名称】南昌三極光電有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 俊旗
(72)【発明者】
【氏名】馬 玉勝
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-501212(JP,A)
【文献】特開2014-224977(JP,A)
【文献】特開2001-121282(JP,A)
【文献】特開2014-186292(JP,A)
【文献】特開2002-049002(JP,A)
【文献】特開平06-222300(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111649623(CN,A)
【文献】中国実用新案第208139945(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0333534(US,A1)
【文献】国際公開第2020/106340(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0145734(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
G03H 1/22 - 1/24
G02B 27/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1表面と第2表面を有する波面変調素子を含み、
前記波面変調素子の前記第1表面は、
導波路上のカップリング出力格子から射出された、完全な平面波面を有しない第1光波を受光するために用いられ、前記波面変調素子の前記第2表面は、前記波面変調素子により前記第1光波に対してビーム整形を行って完全な平面波面を有する第2光波を射出するために用いられ、
前記第1光波は複数のセグメントの平面波を含み、複数のセグメントの平面波のうちの少なくとも2つの隣り合う平面波は部分的に重なっている、ことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1光波は
【数27】
であり、ここで、
【数28】
は第n個のセグメントのx位置における光波であり、
【数29】
は前記第1光波のx位置における振幅分布であり、
【数30】
は前記第1光波のx位置における位相分布であり、前記第2光波は
【数31】
であり、ここで、αは常数であり、β(x)は正比例関数であり、前記波面変調素子は複素振幅透過率
【数32】
を有し、ここで、前記波面変調素子の振幅透過率分布は
【数33】
であり、前記波面変調素子の位相分布は
【数34】
であり、ここで、mは整数である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記波面変調素子は第1光学素子及び第2光学素子を含み、前記第1光学素子は振幅透過率分布
【数35】
を有し、前記第2光学素子は位相分布
【数36】
を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
前記第1光学素子と前記第2光学素子とが貼り付けられ、前記第1表面は前記第1光学素子の前記第2光学素子から離れる一側に位置するか、又は前記第2光学素子の前記第1光学素子から離れる一側に位置し、前記第2表面は前記第2光学素子の前記第1光学素子から離れる一側に位置するか、又は前記第1光学素子の前記第2光学素子から離れる一側に位置する、ことを特徴とする請求項
3に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系は、
光線を放射するために用いられる光源と、
前記光源が放射した光線を受光して光線を折り返すために用いられるカップリング入力素子と、
前記カップリング入力素子が折り返した光線を受光して導波路内で全反射角よりも大きくなるように光線を伝搬するために用いられる
前記導波路と、
前記導波路内で伝搬した光線を前記導波路から外へカップリングするために用いられるカップリング出力格子であって、前記導波路が射出した光線が前記第1光波である
前記カップリング出力格子と、
前記第2光波を受光してレイヤ素子に記録された対象画像を呈するために用いられるレイヤ素子と、をさらに含み、
前記カップリング入力素子と前記カップリング出力格子とはいずれも前記導波路に貼り付けられるように構成される、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
前記カップリング入力素子は、カップリング入力格子又はカップリング入力プリズムを含み、
前記光学系は、前記光源と前記カップリング入力素子との間の光路に設けられ、前記光源が放射した光線を視準して、視準後の光線を前記カップリング入力素子へ放射するために用いられる、視準素子をさらに含む、ことを特徴とする請求項
5に記載の光学系。
【請求項7】
前記波面変調素子の前記第2表面は前記レイヤ素子に貼り付けられるように構成される、ことを特徴とする請求項
5に記載の光学系。
【請求項8】
前記カップリング出力格子の前記導波路に貼り付けられる長さは、前記カップリング入力素子の前記導波路に貼り付けられる長さよりも大きい、ことを特徴とする請求項
5に記載の光学系。
【請求項9】
ハウジング及び請求項1に記載された光学系を含む照準装置であって、前記光学系は、前記ハウジング内に設けられる、照準装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電子の技術分野に属し、特に光学系及び照準装置に関する。
【背景技術】
【0002】
導波路が入射格子と出射格子をベアラして構成された光学系は多くの分野に応用されている。このような光学系においては、光線が入射格子を介して導波路に入射し、導波路内に入射した光線は平行光であり、平行光は導波路内で伝搬され、平行光は出射格子に伝搬される時に導波路から外へカップリングされる。導波路から外へカップリングされた光線は完全な平面波面を有しない場合、画像の品質が高くない。
【発明の概要】
【0003】
本願の実施例は、まず、対向する第1表面と第2表面を有する波面変調素子を含み、波面変調素子の第1表面は、完全な平面波面を有しない第1光波を受光するために用いられ、波面変調素子の第2表面は、波面変調素子により非完全な平面波面に対してビーム整形を行って完全な平面波面を有する第2光波を射出するために用いられる、光学系を提供する。
【0004】
本発明の目的及び特徴は、ある程度後述する明細書において説明され、ある程度後文に対する考察研究に基づいて当業者にとって自明であるか、又は本発明の実践から示唆を得ることができる。本発明の目的及び他の利点は、以下の明細書、特許請求の範囲、及び図面で特に指摘された構造によって実現して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面は、本願の技術方案又は従来技術に対するさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するために用いられるものである。なお、本願の実施例を表現する図面は、本願の実施例とともに本願の技術方案を説明するために用いられるが、本願の技術方案を限定するものではない。
【0006】
【
図3】本願の実施例の波面変調素子の構造模式図である。
【
図4】本願の実施例による光学系の構造模式図である。
【
図5】本願の他の実施例による光学系の構造模式図である。
【
図6】本願の一実施例による照準装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面及び実施例と結び付けて、本発明の実施形態を詳しく説明する。これにより、本発明が如何に技術的手段を適用して技術的問題を解決し、相応的な技術的効果に達成するための実現過程を十分に理解でき、これに基づいて実施することができる。本願の実施例及び実施例における各特徴は、衝突しないことを前提に互いに組み合わせることができ、形成された技術方案はいずれも本発明の保護範囲内にある。
【0008】
図1を参照し、H1はカップリング入力格子であり、H2はカップリング出力格子であり、カップリング出力格子H2が対象画像を有する。カップリング入力格子H1とカップリング出力格子H2とがそれぞれ導波路300′の同じ面に貼り付けられる。カップリング入力格子H1、カップリング出力格子H2及び導波路300′が光学系を構成する。平行光がカップリング入力格子H1に入射して、カップリング入力格子H1によりカップリングされて導波路300′に入って、平行光が導波路内で全反射伝送を行う。平行光がカップリング出力格子H2に到達する時に、カップリング出力格子H2が平行光を導波路300′からカップリングして人の目に射出する。カップリング出力格子H2から射出した平行光の範囲はアイボックスEyeboxと呼ばれる。ここで、入射した平行光の光ビーム幅PDと射出した平行光の光ビーム幅PDとが一致し、光線の導波路300′で伝送される角度はθであり、光線の導波路300′で伝送される全反射周期はL=2Dtanθであり、Dは導波路300′の厚みである。
【0009】
上記の光学系は、導波路ホログラム照準器に応用することができる。導波路300′からカップリング出力格子H2の表面に入力された光線は、平面波面(wavefront)を有する必要があり、この時、カップリング出力格子H2はファーフィールドで対象画像を歪みなしで明晰に回折することができ(記録時に採用するものは平面波であるため)、平面波面は光波の位相分布が直線分布であることを代表する。通常、人の目での観察にはより大きいアイボックスEyeboxのサイズが求められ、例えば、25mm×25mmなど、平面波面を保証するために、導波路300′上のカップリング入力格子H1はカップリング出力格子H2のサイズに等しい、即ち25mm×25mmである必要があり、且つ導波路300′内で伝搬される平行光の光ビーム幅PDのカップリング入力格子H1の表面とカップリング出力格子H2の表面との口径は等しい必要があり、伝送される全反射周期はLであり、平行光を入射する光ビーム幅PD以上である必要があり、伝送される全反射周期Lは導波路300′の厚みDと関連する。導波路300′内で伝送する角度θが変わらない場合、導波路300′の厚みDもより厚くなければ、平面波面を保証することができない。これらの要因は、いずれも十分に良好な対象画像の品質と充分なアイボックスEyeboxを得るために、光学系における各素子の横方向サイズ又は縦方向サイズを増加しなければならないことになり、これにより光学系の体積が大きいという欠点を必然的に招く。平面波面を保証できない場合、最終的に得られる対象画像に歪みやぼけが生じ、最終的な照準効果に影響を与える。
【0010】
光学系における各素子サイズの拘束を低下させることができる新しい方案を提供し、導波路照準器における上記問題を解決するとともに、対象画像の品質を低下させないことを保証するために、本願の実施例は、対向する第1表面と第2表面を有する波面変調素子500を含み、波面変調素子500の第1表面は、完全な平面波面を有しない第1光波を受光するために用いられ、波面変調素子500の第2表面は、波面変調素子500により第1光波に対してビーム整形を行って完全な平面波面を有する第2光波を射出するために用いられる、光学系を開示している。
【0011】
波面変調素子500は、完全な平面波面を有しない第1光波に対してビーム整形を行い、第1光波の振幅及び位相に対してビーム整形を行うことにより、第2光波を得ることができ、第2光波が完全な平面波面を有する。波面変調素子500の第2表面により射出した第2光波は、レイヤ素子600(フーリエホログラム)を照射するために用いられることができ、レイヤ素子600は第2光波を受光してレイヤ素子600に記録された対象画像を呈するために用いられ、レイヤ素子600は高い品質で対象画像を呈することができる。波面変調素子500は完全な平面波面を有しない第1光波を完全な平面波面を有する第2光波に変調することができるため、波面変調素子500が完全な平面波面を有しない第1光波を射出する光学系と配合して使用されることにより、完全な平面波面を有しない第1光波を射出する光学系のサイズが横方向サイズ又は縦方向サイズによって制限されず、これにより光学系の体積をよりコンパクトにできる。
【0012】
いくつかの実施例において、第1光波は複数のセグメントの平面波を含み、複数のセグメントの平面波のうちの少なくとも2つの隣り合う平面波は部分的に重なっている。セグメントされた平面波は完全な平面波面を有せず、例えば、
図2に示す光学系のように、光学系は、導波路300、導波路300の同じ面に貼り付けられたカップリング入力格子401及びカップリング出力格子402を含む。平行光はカップリング入力格子401に入射し、カップリング入力格子401によりカップリングされて導波路300に入り、平行光が導波路300内で全反射伝送を行う。平行光がカップリング出力格子402に到達する時に、カップリング出力格子402は平行光を導波路300からカップリングして人の目に射出する。カップリング出力格子402から射出された平行光の範囲はアイボックスEyeboxと呼ばれられる。入射した平行光の光ビーム幅PDは、光線の導波路300内で伝送される全反射周期であるL=2Dtanθより大きくてもよく、光線の導波路300内で伝送される角度はθであり、Dは導波路300の厚みである。カップリング出力格子402により射出された第1光波は、第1セグメントの平面波(1st)と第2セグメントの平面波(2nd)を含み、第1セグメントの平面波と第2セグメントの平面波とが重なり、第1光波の光ビーム複素振幅場は2つのセグメントの平面波の和を含み、各セグメントの平面波動場は異なる振幅及び異なる位相を有する総の波動場を含む。
【0013】
第1セグメントの平面波は、平面波面
【数1】
を有し、ここで、
【数2】
は第1セグメントの平面波のx位置における振幅分布であり、
【数3】
は第1セグメントの平面波のx位置における位相分布である。第2セグメントの平面波は、平面波面
【数4】
を有し、ここで、
【数5】
は第2セグメントの平面波のx位置における振幅分布であり、
【数6】
は第2セグメントの平面波のx位置における位相分布である。第1光波の波面は
【数7】
であり、
【数8】
は第1光波のx位置における振幅分布であり、
【数9】
は第1光波のx位置における位相分布である。第1光波の振幅及び位相に対してビーム整形を行うことにより、波面変調素子500は完全な平面波面を有しない第1光波を完全な平面波面を有する第2光波に変調することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、使用の快適度を増加させるために、アイボックスEyeboxのサイズを増加することができ、例えば、導波路300内で光ビームを複数回拡張することにより、第1光波は完全な平面波面を有せず、第1光波は
【数10】
であり、ここで、
【数11】
は第n個のセグメントのx位置における光波であり、
【数12】
は第1光波のx位置における振幅分布であり、
【数13】
は第1光波のx位置における位相分布である。波面変調素子500の第2表面により射出された第2光波に平面波面を有させるために、第2光波は
【数14】
であり、ここで、αは常数であり、β(x)は正比例関数であり、波面変調素子500は複素振幅透過率
【数15】
を有し、ここで、波面変調素子500の振幅透過率分布は
【数16】
であり、波面変調素子500の位相分布は
【数17】
であり、ここで、mは整数である。
【0015】
波面変調素子500の第2表面により射出された第2光波は
【数18】
であり、射出された第2光波が平面波面であることを保証するために、V(x)の振幅は常数であり、V(x)の位相は直線位相であり、即ち、
【数19】
でもあることが要求される。ここで、αは常数であり、β(x)は正比例関数であり、例えば、β(x)=ksin(γ)x、kは波数であり、γはレイヤ素子600に入射された角度であり、正入射する時に、γ=0。レイヤ素子600の記録光の波面位相分布はβ(x)である。波面変調素子500が各位置xで達する複素振幅透過率は
【数20】
の変調で、ここで、波面変調素子500の振幅透過率は
【数21】
であり、波面変調素子500の位相分布は
【数22】
であり、mは位相の設計自由度であり、これは位相調整の効果に影響を与えない。
【0016】
いくつかの実施例において、レイヤ素子600は第2光波を受光してレイヤ素子600に記録された対象画像を呈する。レイヤ素子600(フーリエホログラム)は平面波面により記録されることができる。フーリエホログラムを記録するために、平面波を選択するのは、平面波を取得しやすいからであり、もう一方で、平面波面は常数位相を付加できるからであり、よって、実際に使用する時は、ホログラムに入射される角度が正確であればよい。波面変調素子500により変調して射出された第2光波V(x)は平面波面であり、それがレイヤ素子600上に照射する時に、物体のフーリエスペクトル光U(x)を得ることができ、レイヤ素子600の記録光の波面位相分布はβ(x)であるため、人の目は対象画像の強度分布O(u)を観察でき、即ち
【数23】
でもあり、FTはフーリエ変換過程であり、||はモジュロ演算である。
【0017】
いくつかの実施例において、波面変調素子500はホログラム製造工程により加工されることができる。ホログラム製造工程を利用して波面変調素子500に複素振幅透過率
【数24】
を有させる。
【0018】
いくつかの実施例において、
図3を参照し、波面変調素子500は第1光学素子501と第2光学素子502を含み、第1光学素子501は振幅透過率分布
【数25】
を有し、第2光学素子502は位相分布
【数26】
を有する。波面変調素子500は2つの光学素子によりそれぞれ振幅及び位相を変調するものであってもよい。第1光学素子501及び第2光学素子502はホログラム製造工程を利用して作成されたものであってもよい。
【0019】
いくつかの実施例において、第1光学素子501と第2光学素子502とが貼り付けられ、第1表面は、第1光学素子501の第2光学素子502から離れる一側に位置するか、又は第2光学素子502の第1光学素子501から離れる一側に位置し、第2表面は、第2光学素子502の第1光学素子501から離れる一側に位置するか、又は第1光学素子501の第2光学素子502から離れる一側に位置する。第1光学素子501は振幅を変調するために用いられ、第2光学素子502は位相を変調するために用いられる。第1光波は、まず第2光学素子502に入って位相の変調が行われ、その後、第1光学素子501に入って振幅の変調が行われ、第2光波を得るか、又は、第1光波は、まず第1光学素子501に入って振幅の変調が行われ、その後、第2光学素子502に入って位相の変調が行われ、第2光波を得ることができる。
【0020】
いくつかの実施例において、
図4及び
図5を参照し、光学系は波面変調素子500、光源101、カップリング入力素子401、導波路300、カップリング出力格子402及びレイヤ素子600を含む。光源101は光線を放射するために用いられ、カップリング入力素子401は光源101が放射した光線を受光して光線を折り返すために用いられ、導波路300はカップリング入力素子401が折り返した光線を受光して導波路300内で全反射角よりも大きくなるように光線を伝搬するために用いられ、カップリング出力格子402は導波路300内で伝搬した光線を導波路300から外へカップリングするために用いられ、導波路300が射出した光線は第1光波であり、レイヤ素子600は第2光波を受光してレイヤ素子600に記録された対象画像を呈するために用いられる。第1光波が波面変調素子500により変調されて第2光波に形成され、第2光波がレイヤ素子600に照射し、対象画像が人の目700に入り、人の目700は明晰で歪みなしの対象画像701を観察することができる。
【0021】
カップリング入力素子401は光源101が放射した光線を平行光に折り返して導波路300に射入し、平行光は導波路300内で伝搬され、カップリング出力格子402に出会うと、平行光が導波路300から外へカップリングされる。カップリング出力格子402により射出された第1光波は完全な平面波面を有しなくてもよいため、カップリング入力素子401とカップリング出力格子402との光ビームサイズは一致する必要はなく、カップリング出力格子402の表面光ビームの口径がカップリング入力素子401の表面光ビームの入力口径よりもはるかに大きくてもよく、光線の導波路300内で伝送される全反射周期であるLが入射光ビームの幅PDより小さくてもよく、
図2を参照し、カップリング出力格子402に二回当たった光ビームは重なることができ、最終的にカップリング出力格子402の表面から射出する光線は完全な平面波面を有しない(セグメントされたものである)。光学系における各素子のサイズを縮小でき、光学系全体の体積をよりコンパクトにすることができ、例えば、カップリング入力素子401のサイズ、導波路300の厚み、及び常に生じる入力光の視準システムの体積を有効に低下させるとともに、レイヤ素子600が射出した画像の品質も保証される。
【0022】
ここで、カップリング入力素子401及びカップリング出力格子402はそれぞれ導波路300の少なくとも1つの平面に平行であるように構成される。例えば、カップリング入力素子401がカップリング入力格子である場合、カップリング入力格子及びカップリング出力格子402はそれぞれ導波路300の2つの対向する平面に平行であるように構成されるか、又はカップリング入力格子及びカップリング出力格子402がいずれも導波路300の1つの平面に平行であるように構成される。カップリング入力素子401及びカップリング出力格子402はいずれも導波路300と貼り付けられるように構成される。例えば、カップリング入力素子401はカップリング入力格子である場合、カップリング入力格子はカップリング出力格子402と導波路300の一面に貼り付けられてもよく(
図4を参照)、カップリング入力格子はカップリング出力格子402とそれぞれ導波路300の両面に貼り付けられてもよい。カップリング入力格子はカップリング出力格子402と導波路300の人の目700に近い一面に貼り付けられてもよく、カップリング入力格子はカップリング出力格子402と導波路300の人の目700から離れる一面に貼り付けられてもよい。
【0023】
波面変調素子500及びレイヤ素子600は人の目700に近い一側に設けられる。波面変調素子500とレイヤ素子600とが平行に設けられる。波面変調素子500とカップリング出力格子402とが平行に設けられる。カップリング出力格子402が導波路300の人の目700に近い一側に設けられると、波面変調素子500の第1表面はカップリング出力格子402に貼り付けられることができる。カップリング出力格子402が導波路300の人の目700から離れる一側に設けられることができ、波面変調素子500の第1表面は導波路300と所定間隔を置いてもよい。
【0024】
導波路300は、透明な光学プラスチック又はガラス材質であってもよく、それは屈折率nを有し、光線の導波路300内で伝送される角度θはnsin(θ)≧1を満たし、光線は導波路300内で全反射の方式で伝搬されることができる。カップリング出力格子402、波面変調素子500及びレイヤ素子600はいずれも環境光を透過することができ、人の目700は導波路300、カップリング出力格子402、波面変調素子500及びレイヤ素子600により真実の環境光を見ることができる。
【0025】
いくつかの実施例において、波面変調素子500の第2表面はレイヤ素子600と貼り付けられるように構成される。波面変調素子500の第2表面が第2光波を射出し、第2光波は完全な平面波面を有し、第2光波がレイヤ素子600に照射され、人の目700はレイヤ素子600に記録された対象画像を見ることができる。
【0026】
いくつかの実施例において、
図4を参照し、光源101は点光源であってもよい。点光源101は単色光をカップリング入力格子に放射して、カップリング入力格子により折り返されて導波路300に入って、導波路300内で伝送される平行光を得る。
【0027】
いくつかの実施例において、光学系は視準素子201をさらに含み、視準素子201は光源101とカップリング入力素子401との間の光路に設けられ、視準素子201は光源101が放射した光線を視準して、視準後の光線をカップリング入力素子401へ放射するために用いられる。視準素子201は点光源101が放射した光線を平行光に視準することができ、カップリング入力格子が平行光を導波路300内に折り返す。
【0028】
いくつかの実施例において、
図5を参照し、光学系に含まれるカップリング入力素子401はカップリング入力プリズムであってもよく、カップリング入力プリズムは光源101が放射した光線を導波路300内に折り返す。カップリング入力プリズムは導波路300の一方の側面に貼り付けられ、カップリング出力格子402は導波路300の他方の面に貼り付けてもよく、この2つの面は平行ではない。また、光学系は視準素子201をさらに含んでもよく、視準素子201は光源101とカップリング入力プリズムとの間の光路に設けられ、視準素子201は、光源101が放射した光線を視準して、視準後の光線をカップリング入力プリズムへ放射するために用いられ、カップリング入力プリズムは視準された光線を導波路300に折り返す。視準素子201及び光源101はいずれも前記導波路の側面に近い位置に設けられてもよい。カップリング入力プリズムはカップリング入力格子に代わり、光エネルギーの使用率を向上させることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、カップリング出力格子402の導波路300に貼り付けられる長さは、カップリング入力素子401の導波路300に貼り付けられる長さよりも大きい。光学系のサイズを縮小させることができるが、画像の品質は低下させずに、人の目700は明晰で歪みなしの対象画像を見ることができる。
【0030】
上記した光学系において、レイヤ素子600が照準画像を呈することはホログラム照準器に用いられることができる。ホログラム照準器はケーシングと、上記した光学系とを含み、光学系がケーシングの中に設けられる。このようなホログラム照準器は、ホログラム導波路折り畳み光路及び格子の集積しやすいという強みを利用し、ホログラム照準器の体積を低下させ、従来の導波路照準の部品への制限を解消するとともに、画像の品質を低下させないことができる。
【0031】
以上は、本発明の好ましい発明を実施するための形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれに限定されず、あらゆる当業者が本発明に開示された技術範囲内で想到しやすい変化又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。よって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。