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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】構成可能なスマート無線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20240222BHJP
   H04B 1/3827 20150101ALI20240222BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240222BHJP
【FI】
H04B1/04 F
H04B1/3827
H04W88/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021513195
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050134
(87)【国際公開番号】W WO2020055712
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】62/729,472
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521025599
【氏名又は名称】ドゥードゥル ラボズ (エスジー) ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリク、ニメシュ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マスカリク、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ガン、メン フアン
(72)【発明者】
【氏名】ドー、アーロン ビン タン
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、サメール
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-112881(JP,A)
【文献】特開2018-033121(JP,A)
【文献】特開2017-092952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0107909(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0173202(US,A1)
【文献】中国実用新案第206211999(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H04B 1/3827
H04W 88/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信無線モジュールであって、
1つ又は複数のセンサー、プロセッサ、及びRFトランシーバを備える組込みサブシステムであって、前記RFトランシーバが、前記複数のセンサーからの信号に応答して、RF通信信号を作成する、組込みサブシステムと、
指定された周波数帯域におけるワイヤレス通信信号としての送信のために、RF入力信号を、前記ワイヤレス通信無線モジュールに関連付けられた前記指定された周波数帯域に周波数シフトするためのRFフロントエンド・システムであって、前記RFフロントエンド・システムが、さらに、前記指定された周波数帯域において動作する入来ワイヤレス通信信号に応答し、受信された信号を周波数シフトしてRF通信信号に戻す、RFフロントエンド・システムと、
前記組込みサブシステムの前記RFトランシーバの出力部と前記RFフロントエンド・システムとの間に配設されたRF電源選択スイッチであって、前記RF電源選択スイッチが外部RF信号ソースにも結合され、前記RF電源選択スイッチのスイッチ状態が、内部の前記RFトランシーバ及び前記外部RF信号ソースのうちの1つを前記RFフロントエンド・システムに結合するために使用される、RF電源選択スイッチと、
前記組込みサブシステム、前記RFフロントエンド・システム及び前記RF電源選択スイッチに結合されたコントローラであって、前記コントローラが、前記RF電源選択スイッチの前記スイッチ状態を選択するためのコマンド入力を与える、コントローラと
を備える、ワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項2】
前記外部RF信号ソースが、LTEモデムからの信号、WiFi信号、他の認可周波数帯域におけるRF信号からなる群から選択される、請求項1に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項3】
前記RFフロントエンド・システムが、
記R入力信号を前記指定された周波数帯域に周波数シフトするためのミキサ及び局部発振器を含む送信セクションであって、局部発振器周波数が、前記R入力信号を前記指定された周波数帯域にシフトするように選択される、送信セクションと、
前記指定された周波数帯域における受信されたワイヤレス信号をRF信号に周波数シフトするためのミキサ及び局部発振器を含む受信セクションと
を備える、請求項1に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項4】
前記モジュールが、前記指定された周波数帯域内の複数のチャネルを利用するように構成され、前記送信セクションが、複数の並列信号経路を含むチャネル選択要素をさらに含み、各並列信号経路が、前記指定された周波数帯域内の異なる中心周波数に関連付けられ、入力スイッチが、前記ミキサの出力部と前記チャネル選択要素との間に配設され、出力スイッチが前記チャネル選択要素の出力部に配設され、前記入力スイッチ及び前記出力スイッチが、特定の信号経路を選択するように前記コントローラによって指令される、請求項3に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項5】
前記モジュールが、前記指定された周波数帯域内のチャネルのペアを利用するように構成されている、請求項4に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項6】
前記RFフロントエンド・システムは、第1の指定された周波数帯域において動作する第1のRFフロントエンド・システムが、第2の指定された周波数帯域において動作する第2のRFフロントエンド・システムによって置き換えられ得るように、取り外し可能な構成要素として構成されている、請求項1に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【請求項7】
前記モジュールが、前記モジュール内に配設された追加のRFフロントエンド・システムをさらに備え、各追加のRFフロントエンド・システムが、異なる指定された周波数帯域中で動作するように構成されている、請求項1に記載のワイヤレス通信無線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月11日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている米国仮出願第62/729,472号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ワイヤレス通信システム、特に、特定の要件(たとえば、長距離、移動性、高データスループットなど)をもつ産業用アプリケーションのために構成されたワイヤレス通信システムの提供に関し、より詳細には、ワイヤレス・リンクを介して制御ステーションと通信している1つ又は複数のモバイル・ユニットによる使用のために、指定された周波数帯域内で動作するように構成された無線モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信は、様々なセンサーをインターネットに接続するために重要な役割を果たす。様々な国における規制機関が、データ・トラフィックの絶えず増加する需要を満たすために追加の周波数帯域を解放している。現代のワイヤレス通信システムの開発者は、多数の周波数帯域における動作を可能にすることに向けて努力している。広い周波数範囲及び構成可能性における動作には、「周波数アジャイル(frequency agile)」(スマート)無線機が利用可能である必要がある。
【0004】
研究及び開発の現在の分野は産業用モノのインターネット(IIoT:Industrial Internet of Things)のための様々なワイヤレス接続性オプションに関連する。様々な定義の対象であるが、「モノのインターネット」(IoT:Internet of Things)は、一般に、1つの「スマート」デバイスが人間の干渉なしに(すなわちマシンツーマシン(M2M:machine-to-machine)で)別の「スマート」デバイスと通信することが可能である、という命題に関連する。スマート・オブジェクトは、環境がどれほど複雑になり得るかにかかわらず、それらの応答をそれらの現在の環境に合わせることがますます可能になりつつある。「産業用」IoT(IIoT)は、センサーとコンピュータとスマートデバイスとが一緒に動作する必要がある製造/産業環境においてM2Mに焦点が当てられたIoTの専用であるが、実りの多い部分であると考えられる。LTE及び5Gパブリック・ネットワークは、それらの容易なアクセスのために、IIoTアプリケーションの候補としてますます考えられている。しかしながら、これらのパブリック・セルラー・ネットワークは必要な価格性能比を与えない。すなわち、パブリック・ネットワークは、設計上、多数のユーザの間で共有されるので、それらは、比較的低い速度、低いQoS、及び高いレイテンシを呈し、たいていの場合、高い月次発生料金でのみ利用可能である。
【0005】
したがって、IIoTに関連する様々なアプリケーション/環境の多様なニーズに対処するワイヤレス通信アーキテクチャのニーズが残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において残っているニーズは、ワイヤレス通信システム、特に、特定の要件(たとえば、長距離、移動性、高データスループットなど)をもつ産業用アプリケーションのために構成されたワイヤレス通信システムの提供に関し、より詳細には、ワイヤレス・リンクを介して制御ステーションと通信している1つ又は複数のモバイル・ユニットによる使用のために、指定された周波数帯域内で動作するように構成された無線モジュールに関する、本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、無線モジュールは、専用周波数帯域、たとえば、最近、パブリック・ドメインにおいて使用することが可能になった帯域内で動作するように構成される。これらの周波数帯域の様々な周波数帯域は、それらをいくつかの産業用アプリケーションにおける使用のために好適にする特定の特性を有する。(たとえば、WiFi、LTE電気通信などのために使用される)従来のワイヤレス・データ信号を、指定された帯域に周波数シフトするために、無線モジュールの送信機構成要素によってスーパーヘテロダイン技法が使用され、無線モジュールの受信機構成要素は、同様に、指定された帯域上で送信された信号を受信し、この受信された信号をシフトして従来のRF帯域に戻すように構成され、標準構成要素は、受信された情報をさらに処理することが可能である。
【0008】
いくつかの実施例では、本発明の無線モジュールは、指定された周波数帯域内の少なくとも2つの異なるチャネルを使用する、マルチチャネル・モジュールとしてさらに構成され得る。たとえば、第2の周波数チャネルは、(特に、特定のチャネルにおいて突然雑音が多くなる産業用アプリケーションにおいて)冗長目的のためのバックアップ・チャネルとして定義され得る。さらに、本発明によれば、これらのチャネルの中心周波数、並びにそれらのチャネル・サイズは、ソフトウェア定義され得る。実際、本発明の無線モジュールの利点は、指定された周波数帯域内でより多くのチャネルが利用されることを可能にするように、比較的小さいサイズのチャネルが(たとえば約3MHzのオーダーで)使用され得ることである。
【0009】
本発明の例示的な実施例は、組込みサブシステムと、RFフロントエンド・システムと、コントローラとを備える、ワイヤレス通信無線モジュールの形態をとる。組込みサブシステム自体は、複数のセンサーと、プロセッサと、RFトランシーバとを含む。RFトランシーバは、複数のセンサーからの信号に応答して、RFフロントエンド・システムへの入力として印加されるRF通信信号を作成する。RFフロントエンド・システムは、指定された周波数帯域におけるワイヤレス通信信号としての送信のために、ワイヤレス通信無線モジュールに関連付けられた指定された周波数帯域へのRF通信信号に対する周波数シフトを行う。RFフロントエンド・システムは、さらに、指定された周波数帯域において動作する入来ワイヤレス通信信号に応答して、RFトランシーバによる使用のために、受信された信号を周波数シフトしてRF通信信号に戻すためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無線モジュールの利点は、異なる指定された周波数帯域において動作するように構成されたモジュールが、すべて、同じ入出力構成を使用して、同じ小さいフォーム・ファクタ(form factor)を呈するように形成され得ることである。したがって、システム・ユーザは、ケーブリング、電力接続、ハウジング・サイズなどに対するいかなる変更を行う必要なしに、モジュール自体のみをスイッチ・アウトすることによって、1つの指定された周波数帯域から別の周波数帯域に動作を変更することが可能である。
【0011】
本発明の他の態様及び実施例並びにさらなる態様及び実施例は、以下の説明の過程中に、添付の図面を参照することによって明らかになろう。
【0012】
次に図面を参照する。いくつかの図において同様の数字は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従って形成されたスマート無線モジュールのブロック図である。
図2】スマート無線モジュール内に含まれ、指定された周波数帯域内における動作のために構成された例示的なRFフロントエンド・システムの詳細な一実施例を示す図である。
図3】異なる中心周波数において動作する、周波数帯域内のチャネルのペアを利用するように設計された、本事例における例示的なRFフロントエンド・システムの代替実施例を示す図である。
図4】スマート無線モジュールが複数のRFフロントエンド・システムを含み、各RFフロントエンド・システムが異なる指定された周波数帯域中で動作するように設計された、本事例における本発明のまた別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に従って形成された例示的な構成可能なスマート無線モジュール10のブロック図である。図示のように、スマート無線モジュール10は、RFフロントエンド・システム14とコントローラ16との両方と対話する組込みサブシステム12を含む。アンテナ・システム18は、(指定された周波数帯域中で動作する)送信信号を起動し、(同じくこの同じ指定された周波数帯域中で動作する)受信信号をキャプチャするために使用される。好ましい実施例では、MIMOアンテナ・システムが使用される。「多入力/多出力」を指す「MIMO(multiple input/multiple output)」は、複数の送信アンテナを介して複数のワイヤレス信号を送るために単一の送信機を利用する。関連する受信機も複数のアンテナ要素を利用し、それらの組合せにより、マルチパス伝搬を活用することによって、同じ無線チャネルを介して2つ以上のデータ信号を同時に送受信することが可能になる。
【0015】
RFフロントエンド・システム14は、以下で詳細に説明するように、従来のRF周波数(すなわち、WiFi、LTEなどに関連付けられたよく知られている周波数)において動作する信号と、定義されたプライベート産業用アプリケーションにおける使用のために選択された、特殊な指定された周波数帯域において動作する信号との間の必要な変換を行う。これらの産業用アプリケーションは、たとえば、以下のうちの1つ又は複数を含み得る:(無人航空機(UAV:unmanned aerial vehicle)/ドローンを採用する)無人空中システム、無人地上車両(UGV:unmanned ground vehicle)、公共安全システム、倉庫/海港業務、ユーティリティ/スマート・グリッド・システム、自律採鉱、農林業用車両など。これらの様々な産業用アプリケーションのうちの1つ又は複数において、スマート無線対応デバイスは、地上管制局(又は複数の地上局からのワイヤレス・コマンドを介して制御され得る。実際、産業用アプリケーションの多様性は絶えず拡大しており、本発明の教示に従ってスマート無線モジュールを構成し、制御する能力は、各アプリケーションの異なるニーズ(たとえば、長距離対高スループット、速度対厳しい環境など)を満たすために必要とされるフレキシビリティを与えることが分かっている。
【0016】
上述のように、本発明に従って形成されたスマート無線モジュールは、特に、ごく最近に一般公衆による使用が可能になった1つ又は複数の周波数帯域を使用することの利点を生かすように構成される。たとえば、FCCは(NTIAと協力して)、商業用ワイヤレス使用のためにいくつかの周波数帯域をすでに再割り振りした。これらの帯域は、たとえば、とりわけ、1,690MHz帯域及び1,815MHz帯域を含む。欧州委員会(EC:European Commission)は、「より大きいフレキシビリティによってワイヤレス電子通信サービスのためのスペクトルへの高速アクセス」をサポートする。この声明によれば、ECは、エンド・ユーザに革新的なブロードバンド通信サービスを提供することができる、高密度の高速ブロードバンド・ワイヤレス・ネットワークを設置する重要な機会を提供する、EUにおける固定アプリケーション、ノマディック・アプリケーション及びモバイル・アプリケーションのための汎欧州3,400~3,600MHz周波数帯域のハーモナイゼーションに関する決定を採択した。様々な他の周波数帯域は、常に「ライセンスフリー」であり、使用可能であるが、これまでは、様々なシステム構成要素をこれらの帯域中で適切に機能するようにリエンジニアリングする必要があった。たとえば、様々な産業、科学、医療用(ISM:Industrial,Scientific,Medical)帯域(たとえば、900MHz帯域、3,500MHz帯域など)は、工業環境におけるワイヤレス送信をサポートするために利用可能であるが、まったく異なる動作周波数帯域を有する。本発明の「プラグアンドプレイ」スマート無線モジュールによって提供されるフレキシビリティは、これらのマルチバンド問題に対処する。
【0017】
次に図1の詳細を参照すると、スマート無線モジュール10は、本発明の教示に従って、(産業用アプリケーションのために使用されるなど)プライベート無線ネットワークが産業環境内の様々な要素(たとえば、複数のUGV)がスマート無線モジュールを装備することを可能にするように機能し、それにより、これらの要素が基地局と通信することが可能になる。RFフロントエンド・システム14は、以下で詳細に説明するように、典型的に、モジュール10内の「プラグイン」構成要素であり、標準RF周波数と、関連付けられたアプリケーションによって使用されている「指定された帯域」内の周波数との間の送信を変換するように構成される。スマート無線モジュール10中の残りの構成要素(すなわち、組込みサブシステム12、コントローラ16、及びアンテナ18)は、RFフロントエンド・システム14が機能する周波数帯域にかかわらず、形態及び機能が同じである、本質的に「固定の」構成要素である。したがって、本発明のスマート無線モジュールのユーザは、単に、RFフロントエンド・システム14を取り替え、残りの構成要素を「そのままの状態」にしておくことによって、特定のアプリケーションにおいて使用される周波数帯域を容易に変更し得る。代替的に、無線モジュール10自体が特に「SWaP」構成要素(すなわち、最小の「空間」、「重量」及び「電力」の)として構成されるので、異なる指定された周波数帯域を使用する必要が生じたときに、1つの無線モジュールを別の無線モジュールに交換することも比較的容易で簡単である。
【0018】
また、図1の例示的な実施例には、RFフロントエンド・システム14の入力部に位置するRF電源選択スイッチ20が示されている。RF電源選択スイッチ20は、RFフロントエンド・システム14への入力が、組込みサブシステム12内で生成されたRF信号、又は別個のソースに関連付けられた外部信号(たとえば、LTEモデム、WiFiルータからの信号など)のいずれかになることを可能にする。コントローラ16は、RF選択スイッチ20のための適切な設定、すなわち、内部送受信RF信号又は外部送受信RF信号のいずれかを用いた動作を与えるために使用されるものとして示されている。
【0019】
本発明の重要な属性は、無線モジュール10が、モジュールがその中で使用され得るアプリケーションのフレキシビリティに加えて、この別個の通信リンクを与えることが可能であることである。たとえば、「指定された周波数帯域」が共有スペクトル・リソースであるアプリケーションでは、組込みサブシステム12は、割り当てられた中心周波数値、並びに他の動作パラメータを受信するために、公認スペクトル・アクセス・システム(SAS:Spectrum Access System)プロバイダと通信するためにこのリンクを利用することが可能である。
【0020】
スマート無線モジュール10が工業環境における「モバイル」デバイス内の通信ユニットとして展開されるとき、モバイル・デバイスは、典型的に、そのモバイル・デバイスの移動及びアクションを指図している制御ステーション(図示せず)に返信されるべき情報を収集するために使用される。したがって、組込みサブシステム12は、制御ステーションへの返信のための情報をキャプチャすることが可能である1つ又は複数のセンサーを備え得る、センサー構成要素22を含むものとして示されている。温度、圧力、湿度、微量ガスの存在/不在、含まれているカメラからのデジタル画像などの情報は、含まれ得るセンサーの可能なタイプのほんのいくつかにすぎない。
【0021】
プロセッサ24は、同じく組込みサブシステム12中に含まれ、センサー22に対する様々な命令を処理し、センサー22に対するコマンド制御を行うために使用される。プロセッサ24のためのコマンドは、外部入力のセット26によって与えられるものとして示されている。プロセッサ24はまた、センサー22によって収集されたデータに応答して、この情報を、同じく組込みサブシステム12内に含まれるRFトランシーバ28に入力信号として転送する。RFトランシーバ28は、(センサー22によって収集されたデータを含み得る)RFデータ送信信号を作成し、これらのRF信号をRF電源選択スイッチ20に入力として転送するように従来の様式で機能する。その後RFフロントエンド・システム14に入力として印加されると、RFデータ信号は、スマート無線モジュール10の特定のアプリケーションによる使用のために定義された指定された周波数帯域に周波数シフトされ、この指定された帯域内の周波数において、アンテナ・システム18を介してワイヤレス信号を送信する。
【0022】
受信モードでは、指定された帯域内で動作している入来ワイヤレス信号が、RFフロントエンド・システム14によって最初に周波数シフトされて従来のRF周波数帯域に戻され、このRF信号が、次いで、RFトランシーバ28に配信される(又は代替的に、外部接続を介して別個の通信ユニットに送られる)。
【0023】
図2は、本発明に従って形成されたスマート無線モジュール10中に実装されている例示的なRFフロントエンド・システム14をより詳細に示す。説明のために、このRFフロントエンド・システムがそれのために使用される「指定された帯域」は、(「33センチメートル帯域」と呼ばれることもある)900MHz ISM帯域であると仮定する。使用に際して、900MHz指定帯域は、902~928MHzにわたり、これらの周波数は建物壁、植生及び他の障害物を貫通することが可能であるので、多くの産業用アプリケーションにおいて有用である。
【0024】
一般に、図2は、RFトランシーバ28送受信に関連付けられた内部RF信号、又は別個のソースからの外部RF信号のいずれかを利用するために、上記で説明した様式で使用されるRF選択スイッチ20を示す。RFフロントエンド・システム14自体は、送信セクション30と受信セクション32とを備えるものとして図2に示されている。
【0025】
次に送信セクション30を参照すると、入力RF信号は最初に減衰器34に通され、減衰器34は、送信された信号中で適切な電力レベルが使用されることを保証するために、以下で説明する様式で制御される。周波数ミキサ36は減衰器34の出力部に位置し、入力RF信号はミキサ36に第1の入力として印加される。局部発振器(LO:local oscillator)ソース38は、RF入力と混合されたとき、一方の出力が本発明のこの特定の実装例による使用のための900MHz指定帯域である、「中間周波数」(IF:intermediate frequency)出力のペアを与えるように、ミキサ36に第2の入力として既知の基準信号を与えるために使用される。したがって、適切なLOソース38を利用することによって、入力RF信号は、この特定のRFフロントエンド・システム14がそれのために機能するように構成された「指定された周波数帯域」にシフトされる。
【0026】
ミキサ36からの出力は、次いで、RF入力信号の周波数シフトされたバージョンを出力として与えるために、バンドパス・フィルタ40に通される。バンドパス・フィルタ40は、指定された帯域内で特定の中心周波数を呈し、それにより、この特定の信号のための指定された帯域内の「チャネル」を定義するように設計される。バンドパス・フィルタ40の性質はまた、バンドパス・フィルタのために使用される帯域幅に関して「チャネル・サイズ」を制御する。多くの産業用アプリケーションでは、(たとえば、約3MHzのオーダーの)比較的小さいチャネル・サイズが好ましい。バンドパス・フィルタ40は、この好ましいチャネル・サイズのための「固定の」帯域幅を与えるように構成され得るか、又は代替的に、システムのユーザが特定の目的のためにチャネル・サイズを調整することを可能にするように構成され得る。バンドパス・フィルタ40はまた、同調可能な中心周波数を呈し、それにより、チャネルのサイズと、中心周波数が重複しないようにする必要とに関連して、指定された帯域内の複数の周波数(900MHz ISM帯域については、902MHzと928MHzとの間の周波数)が決定されることも可能になるように構成され得る。
【0027】
増幅器42は、バンドパス・フィルタ40からの出力の送信電力を、特定の産業用アプリケーションにおける送信のために許容できるレベルまで増加させるために使用される。電力検出器44は、好ましくは、増幅器42の出力部に含まれ、含まれている利得回路46を介して減衰器34にフィードバックを与えるために使用され、利得回路46は、必要に応じて、送信機セクション30からの本質的に均一な電力出力を維持するために、減衰器34の動作レベルを調整するように機能する。図示のように、電力検出器44からの出力は、次いで、送信のためにアンテナ・システム18中に結合される。この場合も、アンテナ・システム18はMIMOタイプのシステムとして図2に示されている。これが好ましい構成であることを理解しながら、「アジャイル」無線モジュールのための特定の指定された周波数帯域を実装することを対象とする本発明の原理は、任意の好適なタイプのアンテナ構成(antenna arrangement)を使用し得ることを理解されたい。
【0028】
RFフロントエンド・システム14の受信部分32は、同じく、指定された周波数帯域(ここでは900Hz ISM帯域)内で動作するように構成され、この周波数レンジ中で動作しているワイヤレス信号を受信し、それらの信号を、従来の機器によって分析され、使用され得る標準のRF信号に変換するように機能する。
【0029】
図2に示されているように、受信された信号は、最初に低雑音増幅器50に入力として印加され、低雑音増幅器50は、この帯域の外側の任意の他のスプリアス信号(雑音)に対して、指定された周波数帯域の電力を優先的にブーストする(すなわち、典型的に、比較的低電力である受信された信号についての信号対雑音比を改善する)ために使用される。LNA50からの出力は、次いで、ミキサ52に第1の入力として印加され、ミキサ52への第2の入力は、ミキサ52の出力としてIF帯域信号のペアを与える周波数のLOソース54であり、IF帯域のうちの1つは所望のRF信号周波数である。ミキサ52からの出力は、その後、ミキサ52の出力から不要なIF成分を除去するためにバンドパス・フィルタ56に通される。フィルタ処理され、「周波数シフト」された、受信された信号は、次いで、出力信号を適切な方向に(すなわち、組込みシステム12のRFトランシーバ28に、又はLTEモデム、WiFiルータなどへの外部経路に沿って)導くために上記で説明した様式で使用される、RF選択スイッチ20に入力として与えられる。
【0030】
RFフロントエンド・システム14が、それの動作を同じ指定された周波数帯域内の別の中心周波数に変更することを可能にすることが望ましいであろう状況がある。たとえば、使用されているチャネルが環境中の他の信号との干渉を受け始めた場合、指定された帯域内の異なる中心周波数/チャネルへの切り替えが可能であることが有利であろう。また、第1の中心周波数における動作のために構成された他の構成要素が故障した場合、「スペア」チャネルに関してRFフロントエンド・システム14に「冗長性」を組み込ませることも有利である。
【0031】
図3は、「マルチチャネル」動作のために構成されたRFフロントエンド・システム14の部分を示す。図3に示された構成は2つのチャネルの使用のみを説明しているが、適切な構成要素を含めることによって、追加のチャネルが容易に追加され得ることはすぐに明らかになることを理解されたい。さらに、図2に関連して上記で説明した構成要素と同じままであり、同じ機能を実行する構成要素は、図3において同じ参照番号を持っている(それらの構成要素については再び詳細に説明しない)。
【0032】
図3に示された2チャネルの実施例について、ミキサ36の出力部に配設されたチャネル選択スイッチ60が示されている。特に、チャネル選択スイッチ60は、(図1に示されている)コントローラ16からの「チャネル選択」コマンドの制御下の入力1×2スイッチ要素62を含む。出力2×1スイッチ要素64は、同じ「チャネル選択」コマンドによって制御され、(フィルタ処理され、増幅された)適切なチャネル信号を電力検出器44に再導入するために使用される。
【0033】
本発明のこの実施例によれば、チャネル経路のペアは入力スイッチ要素62と出力スイッチ要素64との間に結合され、第1の経路は「チャネルA」として指定され、第2の経路は「チャネルB」として指定される。「指定された帯域」として900MHz帯域を使用する説明の目的で、チャネルAは、たとえば905MHzの中心周波数を有し得、チャネルBは、たとえば918MHzの中心周波数を有し得る。したがって、第1の経路は、(適切なチャネル・サイズのための定義された帯域幅をもつ)905MHzにセンタリングされたバンドパス・フィルタ66を含むものとして示されており、バンドパス・フィルタ66の後には、同じく、この特定のチャネルを用いて使用するように構成され得る増幅器68がある。第2の経路は、同様に、バンドパス・フィルタ70と増幅器72とを含む。図3における特定の例について、コントローラ16からのチャネル選択コマンドが、「チャネルA」を使用することであると仮定する。したがって、入力スイッチ62は、ミキサ36からの出力をバンドパス・フィルタ66の入力部に結合するように配置される。出力スイッチ64は、増幅器68からの出力が電力検出器44に入力として与えられるように、同様に、この同じ経路に沿って配置される。
【0034】
図3のこのマルチチャネル構成の受信部分は、送信チャネル選択スイッチ60の場合と同じコントローラ16からのコマンドによって制御される、受信チャネル選択スイッチ80を含むものとして示されている。チャネル選択スイッチ80は入力スイッチ要素82と出力スイッチ要素84とを含むものとして示されており、入力スイッチ要素は、アンテナ18からの信号を適切なチャネル経路に沿って導くために使用される(この場合も、チャネルAは、選択されたチャネルとして示されている)。受信された信号のフィルタ処理されたバージョンがミキサ52への入力として使用され得るように、チャネルAの周波数(ここでは903MHz)にセンタリングされた低雑音増幅器86がチャネルA信号経路中に含まれる。別の低雑音増幅器98は、入力スイッチ要素82と出力スイッチ要素84との間のチャネルBのための信号経路に沿って配置されるものとして示されている。
【0035】
指定された周波数帯域内の適切なチャネルにおいて、受信された信号がフィルタ処理されると、その信号は、その信号を所望のRF信号帯域にシフトするために上記で説明した様式と同じ様式でミキサ52への入力として使用される。
【0036】
図2及び図3を参照すると、異なる指定された周波数帯域(たとえば、3,400MHz ISM帯域)のためのRFフロントエンド・システム14の提供はLOソースの異なるペア及び異なるバンドパス・フィルタの使用のみを必要とすることが明らかである。RFフロントエンド・システムの全体的なアーキテクチャ並びに送信機部分及び受信機部分の動作は本質的に同じままである。したがって、単に1つのRFフロントエンド・システム14を別のRFフロントエンド・システム14に「スイッチ・アウト」することによって、所与のモジュール10が異なるアプリケーションにおいて使用され得るということである、本発明のスマート無線モジュールの利点。すなわち、それぞれ異なる指定された周波数帯域における使用のために構成された、複数のRFフロントエンド・システム14が形成され得、システム管理者は、単に「プラグ可能な」RFフロントエンド・システムを取り替えることによって、アプリケーションがそれにおいて通信している周波数帯域を変更し得る。RF選択スイッチ20、コントローラ16、及びアンテナ18への接続は各アプリケーションについて同じままである。
【0037】
代替的に、上述のように、無線モジュール10の「SWaP最適化」構成を所与として、特定の産業用アプリケーションが動作を異なる指定された周波数帯域に変更するときに、1つの無線モジュールを別の無線モジュールと交換することも可能である(或いは、より容易であることもある)。
【0038】
さらに、特定のプライベート・ネットワーク設置においていくつかの「指定された帯域」が使用されるべきである、アプリケーションがあり得る。この事例では、本発明の原理に従って形成された、図4に示されたスマート無線モジュール100は、複数の別個のRFフロントエンド・システム14-1~14-Nを備えるように構成され、各RFフロントエンド・システムは、上記で説明した様式で特定の指定された周波数帯域のために構成される。上記で説明した構成と同様に、スマート無線モジュール100は、組込みシステム12又は外部ソースのいずれかからRF信号の随意のソースを与えるRF電源選択スイッチ20を含む。この事例では、RF電源選択スイッチ20からの出力は指定帯域選択スイッチ110に入力として与えられる。コントローラ16からの選択制御信号によって規定されるように、スマート無線モジュール100は、特定の指定された周波数帯域における動作のために(一時的に)構成される。たとえば、指定された帯域「2」が差し当たり使用され得る。指定帯域選択スイッチ110は、したがって、RF電源選択スイッチ20からの出力を、指定された帯域「2」に関連付けられたRFフロントエンド・システム14-2の入力部に接続するように動作させられるであろう。出力帯域選択スイッチ112は、同じく、図4に示されており、指定された周波数帯域「2」内で現在動作している信号をアンテナ18に結合するために使用される(受信された信号は、上記で説明した場合と同様に対処される)。
【0039】
異なる指定された周波数帯域を利用する必要が生じた(或いは、UGVを用いる屋内産業環境からUAVを用いる屋外産業環境に変更した)とき、コントローラ16は、次に「屋外好適(outdoor preferred)」周波数帯域を利用するために帯域選択スイッチ110、112のための設定を切り替えるために使用され得る。
図1
図2
図3
図4