(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q40/12 410
(21)【出願番号】P 2022578692
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2022046665
【審査請求日】2022-12-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3239625(JP,U)
【文献】特開2005-190425(JP,A)
【文献】特開2011-134047(JP,A)
【文献】あいわ税理士法人,〔第2版〕 新しい消費税 完全マスター ,第2版,日本,税務研究所出版局,2019年12月05日,178頁ー185頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる計算方法のうちユーザが過去に選択した計算方法と、該計算方法が選択された時期と、を関連付けた選択方法情報を記憶する記憶部と、
所定の期間における取引額を示す取引データであって、前記所定の期間において受領した又は支払った消費税額を含む前記取引データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により消費税の納税額を算出する算出部と、
複数の異なる計算方法を選択可能に表示部に表示させるとともに、前記算出部が複数の異なる計算方法それぞれに基づいて算出した納税額を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額と、前記受領した又は支払った消費税額と、に基づいて、前記所定の期間における消費税に関する勘定科目を清算する仕訳データを作成する出力部と、
を有し、
前記表示制御部は、過去に前記ユーザが選択した計算方法のうち直近に選択した計算方法と異なる計算方法に基づく納税額が選択され、かつ前記選択方法情報が示す、直近に選択された計算方法と同一の計算方法が連続して選択されている期間が、計算方法の変更が禁止される期間であって、会計期間よりも長く設定された期間である変更禁止期間を経過していない場合に、計算方法を変更できないということを示す情報を前記表示部に表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記取引データに基づいて、
(1)売上税額及び仕入税額を割戻し計算することにより納税額を算出する第1の計算方法と、
(2)売上税額及び仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第2の計算方法と、
(3)売上税額を割戻し計算により算出し、仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第3の計算方法と、
のうちいずれか2以上を含む、複数の異なる方法に基づいて消費税の納税額を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザが過去に選択した計算方法を記憶する記憶部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記算出部が複数の異なる計算方法に基づいて算出した納税額とともに前記過去に選択した計算方法を示す情報を提示する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザが過去に選択した計算方法を記憶する記憶部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記ユーザが選択した計算方法が、前記記憶部が記憶する過去に選択した計算方法と異なる場合に、所定の情報を前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、売上税額の計算方法として積上げ計算が選択され、かつ仕入税額の計算方法として割戻し計算が選択された場合に、当該計算方法が選択できないことを示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、仕訳に用いられる納税額を示す仕訳データをさらに取得し、
前記表示制御部は、前記仕訳データが示す納税額が、
(1)売上税額及び仕入税額を割戻し計算することにより納税額を算出する第1の計算方法に基づいて算出される納税額及び、
(2)売上税額及び仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第2の計算方法に基づいて算出される納税額
のうち最も少ない納税額よりも少ない場合に、前記仕訳データに問題があることを示す所定の情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
所定の期間における取引額を示す取引データであって、前記所定の期間において受領した又は支払った消費税額を含む前記取引データを取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により納税額を算出するステップと、
複数の異なる計算方法を選択可能に表示部に表示させるとともに、前記算出するステップにおいて複数の異なる計算方法それぞれにより算出した納税額を表示部に表示させるステップと、
ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額と、前記受領した又は支払った消費税額と、に基づいて、前記所定の期間における消費税に関する勘定科目を清算する仕訳データを作成するステップと、
を有
し、
前記表示させるステップにおいては、複数の異なる計算方法のうち前記ユーザが過去に選択した計算方法と、該計算方法が選択された時期と、を関連付けた選択方法情報を記憶する記憶部を参照し、過去に前記ユーザが選択した計算方法のうち直近に選択した計算方法と異なる計算方法に基づく納税額が選択され、かつ前記選択方法情報が示す、直近に選択された計算方法と同一の計算方法が連続して選択されている期間が、計算方法の変更が禁止される期間であって、会計期間よりも長く設定された期間である変更禁止期間を経過していない場合に、計算方法を変更できないということを示す情報を前記表示部に表示させる、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定の期間における取引額を示す取引データであって、前記所定の期間において受領した又は支払った消費税額を含む前記取引データを取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により納税額を算出するステップと、
複数の異なる計算方法を選択可能に表示部に表示させるとともに、前記算出するステップにおいて複数の異なる計算方法それぞれにより算出した納税額を表示部に表示させるステップと、
ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額と、前記受領した又は支払った消費税額と、に基づいて、前記所定の期間における消費税に関する勘定科目を清算する仕訳データを作成するステップと、
を実行さ
せ、
前記表示させるステップにおいては、複数の異なる計算方法のうち前記ユーザが過去に選択した計算方法と、該計算方法が選択された時期と、を関連付けた選択方法情報を記憶する記憶部を参照し、過去に前記ユーザが選択した計算方法のうち直近に選択した計算方法と異なる計算方法に基づく納税額が選択され、かつ前記選択方法情報が示す、直近に選択された計算方法と同一の計算方法が連続して選択されている期間が、計算方法の変更が禁止される期間であって、会計期間よりも長く設定された期間である変更禁止期間を経過していない場合に、計算方法を変更できないということを示す情報を前記表示部に表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
税務上の申告書類の作成の支援をする決算処理支援システムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消費税法の改正により従来認められていなかった計算方法による納税額の算定が認められる。しかし、新たに認められる複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかの判断が難しい場合がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかを判断できる情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、所定の期間における取引額を示す取引データを取得する取得部と、前記取得部が取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により消費税の納税額を算出する算出部と、前記算出部が複数の異なる前記計算方法に基づいて算出した納税額それぞれを選択可能に表示部に表示させる表示制御部と、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記算出部は、前記取引データに基づいて、(1)売上税額及び仕入税額を割戻し計算することにより納税額を算出する第1の計算方法と、(2)売上税額及び仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第2の計算方法と、(3)売上税額を割戻し計算により算出し、仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第3の計算方法と、のうちいずれか2以上を含む、複数の異なる方法に基づいて消費税の納税額を算出してもよい。
【0008】
前記ユーザが過去に選択した計算方法を記憶する記憶部をさらに有し、前記表示制御部は、前記算出部が複数の異なる計算方法に基づいて算出した納税額とともに前記過去に選択した計算方法を示す情報を提示してもよい。
【0009】
前記ユーザが過去に選択した計算方法を記憶する記憶部をさらに有し、前記表示制御部は、前記ユーザが選択した計算方法が、前記記憶部が記憶する過去に選択した計算方法と異なる場合に、所定の情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0010】
前記ユーザが過去に選択した計算方法と、該計算方法が選択された時期と、を関連付けた選択方法情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記表示制御部は、過去に前記ユーザが選択した計算方法のうち直近に選択した計算方法と異なる計算方法に基づく納税額が選択された場合であって、前記選択方法情報が示す、直近に選択された計算方法と同一の計算方法が連続して選択されている期間が、計算方法の変更が禁止される期間である変更禁止期間を経過していない場合に所定の情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記表示制御部は、売上税額の計算方法として積上げ計算が選択され、かつ仕入税額の計算方法として割戻し計算が選択された場合に、当該計算方法が選択できないことを示す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
前記取得部は、仕訳に用いられる納税額を示す仕訳データをさらに取得し、前記表示制御部は、前記仕訳データが示す納税額が、(1)売上税額及び仕入税額を割戻し計算することにより納税額を算出する第1の計算方法に基づいて算出される納税額及び、(2)売上税額及び仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する第2の計算方法に基づいて算出される納税額のうち最も少ない納税額よりも少ない場合に、前記仕訳データに問題があることを示す所定の情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、所定の期間における取引額を示す取引データを取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により納税額を算出するステップと、前記算出するステップにおいて複数の異なる方法により算出した納税額それぞれを選択可能に表示部に表示させるステップと、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力するステップと、を有する。
【0014】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、所定の期間における取引額を示す取引データを取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により納税額を算出するステップと、前記算出するステップにおいて複数の異なる方法により算出した納税額それぞれを選択可能に表示部に表示させるステップと、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかを判断できる情報を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明する図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部12が記憶する選択方法情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】記憶部12が記憶する選択方法情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】表示制御部133が表示させる画面の一例を示す図である。
【
図6】表示制御部133が表示させる画面の一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明する図である。情報処理システムSは、税務処理をするためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1及び情報端末2を有する。情報処理装置1及び情報端末2はネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0018】
情報処理装置1は、納税額を計算し、計算した納税額に基づいて仕訳をし、又は申告書を作成するための装置である。情報処理装置1は、例えばサーバである。情報端末2は、ユーザが操作する端末である。情報端末2は、情報を表示する表示部を有し、情報処理装置1のユーザからの操作を受け付ける入力部を有する。情報端末2は、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。本明細書におけるユーザは、例えば、情報処理システムSを利用する企業の業務に関わる人であり、複数の人を含んでもよい。
【0019】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、取引データを情報端末2から取得する(
図1における(1))。取引データは、期中に発生した取引内容と取引金額とを示すデータである。一例として、取引データは、期中に発生した取引についての請求書データの集合であってもよいし、それらに記載された取引内容を仕訳した仕訳データであってもよい。情報処理装置1は、取得した取引データに基づいて、複数の計算方法で消費税の納税額を算出する(
図1における(2))。複数の計算方法の詳細については後述する。
【0020】
情報処理装置1は、複数の計算方法により算出した納税額を選択可能に情報端末2に表示させる(
図1における(3))。ユーザは、情報端末2を操作し、情報端末2に表示された複数の納税額のうちいずれかを選択する。情報端末2は、ユーザの選択した納税額を示す情報を情報処理装置1に送信する(
図1における(4))。
【0021】
情報処理装置1は、選択された納税額を出力する(
図1における(5))。一例として情報処理装置1は、選択された納税額と、選択された計算方法と、を情報端末2に表示させてもよい。また、情報処理装置1は、選択された計算方法により算出された納税額による仕訳データを作成してもよい。
【0022】
情報処理システムSがこのように構成されることで、複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかを判断できる情報を提供するという効果を奏する。
【0023】
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、算出部132、表示制御部133、受付部134及び出力部135を有する。
【0024】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0025】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、算出部132、表示制御部133、受付部134及び出力部135として機能する。
【0026】
取得部131は、所定の期間における取引額を示す取引データを取得する。所定の期間は例えば、納税額の算定対象となる会計期間である。取引データは、会計期間中に発生した取引の内容と取引金額と、消費税率と、受領又は支払った消費税額とを含む。取引データは、例えば、期中に発生した複数の取引についての勘定科目と、金額と、を関連付けた仕訳データである。取得部131は、一例として情報端末2から取引データを取得する。取得部131は、不図示の外部装置から取引データを取得してもよい。
【0027】
算出部132は、取得部131が取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により消費税の納税額を算出する。より具体的には、算出部132は、第1の計算方法、第2の計算方法、第3の計算方法のうちいずれか2以上を含む計算方法により納税額を算出する。
【0028】
第1の計算方法は、売上税額及び仕入税額を割戻し計算することにより納税額を算出する方法である。売上税額の割戻し計算は、税率ごとに区分した課税売上の合計額に所定の税率を乗算して、売上に係る消費税額を算出する方法である。仕入税額の割戻し計算は、税率ごとに区分した課税仕入の合計額に所定の税率を乗算して、仕入に係る消費税額を算出する方法である。売上に係る消費税額から仕入に係る消費税額を減算することにより、納税額が算出される。
【0029】
第2の計算方法は、売上税額及び仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する方法である。売上税額の積上げ計算は、相手方に発行した請求書に記載された消費税額の合計額を算出する方法である。仕入税額の積上げ計算は、相手方から受領した請求書に記載された消費税額の合計額を算出する方法である。積上げ計算された売上税額から仕入税額を減算することにより納税額が算出される。
【0030】
第3の計算方法は、売上税額を割戻し計算により算出し、仕入税額を積上げ計算することにより納税額を算出する方法である。割戻し計算により算出された売上税額から、積上げ計算された仕入税額を減算することにより、納税額が算出される。
【0031】
これらの3つの計算方法により算出された納税額はほぼ同じ額になるが、端数処理の影響等により、差が生じる場合がある。また、1つの取引額の大きさ、又は年間の取引数等によって、算出される年間あたりの納税額の差も影響を受ける。したがって、企業の取引状況によって最適な計算方法が異なり得る。
【0032】
そこで、表示制御部133は、算出部132が複数の異なる計算方法に基づいて算出した納税額それぞれを選択可能に表示部に表示させる。表示制御部133は、
図3(a)に示す画面を情報端末2の表示部に表示させる。
図3は、表示制御部133が表示させる画面の一例を示す図である。
図3(a)においては、算出部132が複数の異なる方法により算出した納税額が表示されている。
図3(a)においては、第1の計算方法(
図3(a)における「方法1」)により算出した納税額と、第2の計算方法(
図3(a)における「方法2」)により算出した納税額と、第3の計算方法(
図3(a)における「方法3」)により算出した納税額と、が表示されている。
【0033】
図3(a)に示す画面においては、それぞれの納税額に関連付けて「選択」と表示されたボタンO01が配置されている。それぞれのボタンは、選択された場合に、対応する計算方法を示す情報を情報処理装置1に送信するよう構成されている。ユーザは、情報端末2を操作し、それぞれの納税額に関連付けられたボタンを押すことで、いずれの方法で算出した納税額を選択するかを決定する。
【0034】
受付部134は、ユーザが選択した結果を情報端末2から取得する。具体的には、受付部134は、情報端末2が送信したユーザが選択した計算方法を示す情報を取得する。
【0035】
出力部135は、算出部132が算出した納税額のうち、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力する。一例として、出力部135は、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額に基づいて仮受消費税及び仮払消費税等の消費税に関する勘定科目を清算する仕訳データを作成する。出力部135は、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を記憶部12に記憶させてもよい。また、出力部135は、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額と、ユーザが選択した方法と、を関連付けて情報端末2に送信してもよい。
【0036】
情報処理装置1がこのように構成されることで、複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかを判断できる情報を提供するという効果を奏する。
【0037】
ところで、納税額の計算方法が頻繁に変更されると、会計処理の一貫性が損なわれる場合があり、過去に選択した方法も踏まえて計算方法を選択したい場合がある。そこで、過去に選択した計算方法を表示するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0038】
記憶部12は、ユーザが過去に選択した計算方法を記憶する。
図4は、記憶部12が記憶する選択方法情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4に示す選択方法情報においては、「事業者」と「計算方法」とが関連付けられている。「事業者」は、計算方法を選択した事業者を示す情報であり、例えば事業者名や事業者ID(Identification)である。「計算方法」は、事業者が選択した計算方法を示す情報であり、「売上税額」と、「仕入税額」と、を含む。「売上税額」は、売上税額の計算方式を示す情報であり、「割戻」と、「積上」の値を取り得る。「仕入税額」は、仕入税額の計算方式を示す情報であり、「割戻」と、「積上」の値を取り得る。
【0039】
表示制御部133は、算出部132が複数の異なる計算方法に基づいて算出した納税額とともに過去に選択した計算方法を示す情報を提示する。
図3(a)に示す画面においては、「方法2」の文字の隣に「前回選択」の文字が表示されており、第2の計算方法が前回の納税額を決定する処理において選択した計算方法であることを示している。
【0040】
情報処理装置1がこのように構成されることで、過去に選択した方法を踏まえて計算方法を選択するための情報を提供することができる。
【0041】
表示制御部133は、ユーザが選択した計算方法が、記憶部12が記憶する過去に選択した計算方法と異なる場合に、所定の情報を表示部に表示させてもよい。より具体的には、ユーザが選択した計算方法と、記憶部12が記憶する選択方法情報に含まれる計算方法とが、異なる場合に表示制御部133が表示する画面の一例を
図3(b)に示す。
図3(b)においては、ユーザが選択した方法が過去に選択した計算方法と異なることを警告するメッセージとともに、後続処理を選択するためのボタンO02が配置されている。
【0042】
後続処理は、一例として、ユーザが選択した計算方法で処理を進めること(
図3(b)における「選択した方法で処理」)、計算方法の選択をやり直すこと(
図3(b)における「再選択」)又は操作をキャンセルすること(
図3(b)における「取消」)等である。このように、過去に選択された計算方法と異なる場合には警告を表示するよう情報処理装置1が構成されることで、過去に選択された計算方法を知らないユーザが誤った選択をすることを防止できる。
【0043】
ところで、過去に計算方法を変更してから十分な期間が経過していないにもかかわらず計算方法を変更してしまうと、会計処理上の問題が生じ得る。そこで、直近に計算方法を変更してから所定の期間が経過していない場合に警告を表示するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0044】
情報処理装置1がこのように動作するために、記憶部12は、例えば、ユーザが過去に選択した計算方法と、該計算方法が選択された時期と、を関連付けた選択方法情報を記憶する。
図5は、この場合に記憶部12が記憶する選択方法情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5に示す選択方法情報においては、さらに「選択時期」が関連付けられている。「選択時期」は、計算方法が選択され、選択された計算方法により出力部135が出力した時期を示す。
図5においては、選択時期は年で表現されているがこれに限られず、年月や決算時期等で表現されてもよい。
図5に示す選択方法情報においては、事業者Aは、2016年から2018年及び2022年においては、売上税額及び仕入税額をそれぞれ「割戻」を選択し(第1の方法)、2019年から2021年においては、売上税額及び仕入税額をそれぞれ「積上」を選択(第2の方法)したことが示されている。
【0045】
表示制御部133は、過去にユーザが選択した計算方法のうち直近に選択した計算方法と異なる計算方法に基づく納税額が選択された場合であって、選択方法情報が示す、直近に選択された計算方法と同一の計算方法が連続して選択されている期間が、計算方法の変更が禁止される期間である変更禁止期間を経過していない場合に、所定の情報を表示部に表示させる。
【0046】
具体的には、表示制御部133は、まず、記憶部12が記憶する選択方法情報を参照し、受付部134が受け付けた計算方法が、選択方法情報において当該事業者に関連付けられた計算方法のうち、最も新しい情報が示す計算方法と一致するか否かを判定する。表示制御部133は、受付部134が受け付けた計算方法が、最も新しい情報が示す計算方法と一致していない場合、当該計算方法に変更されてから経過した期間を特定する。表示制御部133は、特定した期間が変更禁止期間未満である場合、計算方法を変更できないということを示す情報を表示部に表示させる。
【0047】
事業者Aが2023年において納税額の計算方法として第2の方法又は第3の方法を選択した場合を例として、受付部134が受け付けた計算方法が、直近に使用された計算方法と一致しないと判定した場合の処理について説明する。受付部134が受け付けた計算方法が、選択方法情報において当該事業者に関連付けられた計算方法のうち、最も新しい情報が示す計算方法と一致しない場合、直近に選択された計算方法が連続して選択されている期間を特定する。
図5に示す例においては、事業者Aは、2022年に計算方法を変更しており、表示制御部133は、直近に選択された計算方法が連続して選択されている期間は1年であると特定する。例えば変更禁止期間が3年である場合、直近に選択された計算方法が連続して選択されている期間が変更禁止期間より短いため、表示制御部133は、ユーザに警告するメッセージを情報端末2に表示させる。
【0048】
なお、受付部134が受け付けた計算方法が、選択方法情報において当該事業者に関連付けられた計算方法のうち、最も新しい情報が示す計算方法と一致する場合、出力部135は、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力する。情報処理装置1がこのように構成されることで、変更禁止期間において、ユーザが同一の計算方法を選択できるようにすることができる。
【0049】
情報処理装置1においては、消費税の納税額の計算方法を設定できるように構成されてもよい。この場合において、許容されない計算方法が選択された場合に警告を表示するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0050】
表示制御部133は、売上税額の計算方法として積上げ計算が選択され、かつ仕入税額の計算方法として割戻し計算が選択された場合に、当該計算方法が選択できないことを示す情報を表示部に表示させる。具体的には、表示制御部133は、計算方法を選択するための画面を情報端末2に表示させる。
【0051】
図6は、表示制御部133が表示させる計算方法を選択させる画面の一例を示す図である。
図6(a)に示す画面においては、売上税額の計算方法を選択するためのボタンO11、仕入税額を選択するためのボタンO12及び選択した計算方法を決定するためのボタンO13が配置されている。売上税額及び仕入税額の計算方法として、積上げ又は割戻しのいずれかが選択可能に構成されている。ユーザが情報端末2を操作し、ボタンO11及びボタンO12において売上税額及び仕入税額それぞれの計算方法を選択し、決定ボタンO13を押すと、情報端末2は、ユーザが選択した計算方法を情報処理装置1に送信し、受付部134はこれを取得する。
【0052】
表示制御部133は、ユーザが選択した売上税額及び仕入税額の計算方法の組み合わせが選択できない組み合わせであるか否かを判定する。選択できない組み合わせは、売上税額の計算方法として積上げ計算が選択され、かつ仕入税額の計算方法として割戻し計算が選択された場合である。ユーザが選択した売上税額及び仕入税額の計算方法の組み合わせが選択できない組み合わせである場合、表示制御部133は、
図6(b)に示す画面を情報端末2に表示させる。
図6(b)に示す画面おいては、選択できない計算方法であることを示すメッセージが
図6(a)に示す選択画面に重畳して表示されている。情報処理装置1がこのように構成されることで、許容されない計算方法が選択されることを防止することができる。
【0053】
なお、ユーザが選択した売上税額及び仕入税額の計算方法の組み合わせが選択できない組み合わせではない場合、算出部132は、ユーザが選択した計算方法により納税額を算出し、表示制御部133は、算出部132が算出した納税額を情報端末2に表示させる。
【0054】
情報処理装置1は、外部装置から取得した納税額に基づいて申告書を作成するといった後続処理を実行するよう構成されてもよい。この場合、外部装置から取得した納税額の計算方法の選択に誤りがあると問題が生じる。そこで、納税額の計算方法に問題がないかを情報処理装置1が判定するよう構成されてもよい。
【0055】
この場合、取得部131は、仕訳に用いられる納税額を示す仕訳データをさらに取得する。より具体的には、取得部131は、期中における取引内容と、当該取引内容に基づいて計算された納税額と、を含む仕訳データを取得する。取得部131は、仕訳データを情報処理装置1から取得してもよいし、不図示の外部装置から取得してもよい。
【0056】
表示制御部133は、仕訳データが示す納税額が、第1の計算方法に基づいて算出される納税額及び、第2の計算方法に基づいて算出される納税額のうち最も少ない納税額よりも少ない場合に、仕訳データに問題があることを示す所定の情報を表示部に表示させる。表示制御部133は、仕訳データに含まれる取引内容に基づいて、第1の計算方法及び第2の計算方法それぞれに基づいて納税額を算出する。
【0057】
表示制御部133は、算出されたそれぞれの納税額と仕訳データに含まれる納税額とを比較する。表示制御部133は、仕訳データに含まれる納税額が、第1の計算方法に基づいて算出される納税額及び第2の計算方法に基づいて算出される納税額のいずれよりも少ない場合に、取得した仕訳データに含まれる納税額の計算方法に問題があることを判定する。計算方法に問題があると判定した場合、表示制御部133は、仕訳データに問題があることを示す警告メッセージを情報端末2に表示させる。情報処理装置1がこのように構成されることで、納税額の計算方法の誤りが混入することによる問題の発生を抑制することができる。
【0058】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図7は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、外部装置から取引データを取得する時点から開始している。
【0059】
取得部131は、取引データを取得する(S01)。算出部132は、複数の異なる計算方法により納税額を算出する(S02)。表示制御部133は、算出した複数の納税額を選択可能に情報端末2に表示させる(S03)。
【0060】
受付部134は、計算方法の選択を受け付ける(S04)。受付部134は、記憶部12が記憶する選択方法情報を参照し、ユーザが選択した計算方法と、選択方法情報が示す過去に選択した計算方法と、が一致するか否かを判定する(S05)。
【0061】
ユーザが選択した計算方法と、選択方法情報が示すユーザが過去に選択した計算方法と、が一致しない場合(S05におけるNO)、表示制御部133は、選択した計算方法が、選択方法情報が示すユーザが過去に選択した計算方法と、が一致しないことを警告するアラートを情報端末2に表示させる(S06)。受付部134は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作を判定する(S07)。ユーザの操作が選択された方法による処理を進める操作である場合(S07におけるCase.1)、出力部135は、選択された計算方法で納税額を出力する処理をする(S08)。一例として、出力部135は、選択した計算方法で算出した納税額による仕訳データを生成する。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0062】
ユーザの操作が終了操作である場合(S07におけるCase.2)、情報処理装置1は、処理を終了させる。ユーザの操作が再選択である場合、(S07におけるCase.3)情報処理装置1は、処理をS04に進める。
【0063】
ユーザが選択した計算方法と、選択方法情報が示すユーザが過去に選択した計算方法と、が一致する場合(S05におけるYES)、出力部135は、選択した計算方法で納税額を出力する処理をし(S08)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0064】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1は、複数の計算方法のうちどの計算方法を選択すべきかを判断できる情報を提供することができるという効果を奏する。
【0065】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 算出部
133 表示制御部
134 受付部
135 出力部
【要約】
所定の期間における取引額を示す取引データを取得する取得部131と、取得部131が取得した取引データに基づいて、複数の異なる計算方法により消費税の納税額を算出する算出部132と、算出部132が複数の異なる計算方法に基づいて算出した納税額それぞれを選択可能に表示部に表示させる表示制御部133と、ユーザが選択した計算方法に基づいて算出された納税額を出力する出力部135と、を有する情報処理装置1である。