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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】DFRフィルムの製造システム
(51)【国際特許分類】
   B29D 7/01 20060101AFI20240222BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240222BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240222BHJP
   B01F 27/1122 20220101ALI20240222BHJP
   B01F 27/192 20220101ALI20240222BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20240222BHJP
   B01F 35/92 20220101ALI20240222BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240222BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20240222BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240222BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240222BHJP
   B29K 63/00 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
B29D7/01
B01D19/00 101
B01F27/112
B01F27/1122
B01F27/192
B01F27/90
B01F35/92
B05C11/10
B05C9/14
B05C11/00
B05C5/02
B29K63:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022151149
(22)【出願日】2022-09-22
(65)【公開番号】P2023046404
(43)【公開日】2023-04-04
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0126035
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522376209
【氏名又は名称】株式会社エニテープ
(73)【特許権者】
【識別番号】522376210
【氏名又は名称】朴聖鎬
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】朴聖鎬
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-317501(JP,A)
【文献】特開2014-026107(JP,A)
【文献】特開2013-202768(JP,A)
【文献】特開2013-202558(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0043997(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0003759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 7/00 - 7/01
B05C 5/00 - 5/04
B26F 1/00 - 3/16
G03C 3/00
G03F 7/00 - 7/18
G03F 7/26 - 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂とを溶融して撹拌する撹拌装置(100)と、
前記撹拌装置(100)と第1供給ホース(h1)で連結されており、前記撹拌装置(100)から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との溶融状態の混合物(以下、混合溶融液という。)を供給され、不純物をフィルタリングして強制に移送するポンプステーション(200)と、
ベースフィルム(11)を巻き取っており、巻き取られたベースフィルム(11)を巻き出すベースフィルム巻出機(UW1)と、
コーティング装置(300)のコーティングブロック(310)の直前方に備えられ、ベースフィルム巻出機(UW1)から巻き出されるベースフィルム(11)の巻出方向を変更して移送されるように、ベースフィルム(11)を部分的に密着して移送するコーティングローラ(Ra)と、
前記ポンプステーション(200)と第2供給ホース(h2)で連結されており、前記ポンプステーション(200)から混合溶融液を供給され、供給された混合溶融液を、前記コーティングローラ(Ra)に密着しているベースフィルム(11)にコートして、DFR層(12)を形成するコーティング装置(300)と、
カバーフィルム(12)を巻き取っており、巻き取られたカバーフィルム(13)を巻き出すカバーフィルム巻出機(UW2)と、
前記コーティングローラ(Ra)から巻き出されるベースフィルム(11)にコートされたDFR層(12)に、前記カバーフィルム巻出機(UW2)から巻き出されたカバーフィルム(13)を合紙しながら、カッティング装置(600)がある方向である一方向に移送させる合紙ローラ(Rb)と、
前記合紙ローラ(Rb)から移送されたベースフィルム(11)とDFR層(12)とカバーフィルム(13)とからなるDFRフィルム(10)を設定されたサイズに繰り返してカットし、同じサイズの多数のDFRフィルムチップ(10’)を作り出すカッティング装置(600)と、を含んで構成され、
前記カッティング装置(600)は、
回転駆動する下部ローラ(610)と、
前記下部ローラ(610)に連接して回転する上部ローラ(620)と、を含んで構成され、
前記下部ローラ(610)と上部ローラ(620)との間にDFRフィルム(10)が介在されるようにして、上部ローラ(620)と下部ローラ(610)の回転によって、DFRフィルム(10)が一方向に移送されるようにし、
前記上部ローラ(620)の外周面(620a)に沿って四角状にカッティング刃(630)がレリーフ形成されており、
前記上部ローラ(620)の外周面にレリーフ形成されたカッティング刃(630)が、前記下部ローラ(610)の外周面と接触するように、上部ローラ(620)が下部ローラ(610)の上側に設置され、
前記上部ローラ(620)の1回転時に、DFRフィルム(10)がカッティング刃(630)の四角状にカットされてDFRフィルムチップ(10’)が製作され,
前記カッティング装置(600)の上部ローラ(620)及び下部ローラ(610)からカットされたDFRフィルムチップ(10’)の長さ(Lc)と同じか少なくとも短い距離に位置するように設置され、また移送方向に下向き傾斜して設置されて、 前記 カッティング刃(630)のカッティング動作によってカットされたDFRフィルムチップ(10’)が、ベースフィルム11及びカバーフィルム(13)から分離されて自由落下するDFRフィルムチップ(10’)を受けて下向き移送する移送ベルト(710)と、
前記移送ベルト(710)に落下されてDFRフィルムチップ(10’)が分離されたDFR層(12)の残余物があるベースフィルム(11)及びカバーフィルム(13)を引っ張り、またDFR層(12)の残余物があるベースフィルム(11)及びカバーフィルム(13)からベースフィルム(11)を剥離する1対の引込みローラ(720)と、
前記引込みローラ(720)の後側下方に位置し、1対の引込みローラ(720)においてベースフィルム11が円滑に剥離されるように、1対の引込みローラ(720)において剥離されたベースフィルム(11)の方向を下向きに切り替えるベースフィルム剥離ローラ(741)と、
前記1対の引込みローラ(720)において剥離されるカバーフィルム(13)を巻き取るカバーフィルム巻返し機(731)と、
前記ベースフィルム剥離ローラ(741)を通過したベースフィルムを巻き取るベースフィルム巻返し機(742)と、
前記1対の引込みローラ(720)の直下方に位置し、前記1対の引込みローラ(720)を通過しながらベースフィルム(11)とカバーフィルム(13)が剥離されるとき、分離されて落下するDFR層の残余物を収集する回収ボックス(750)と、がさらに含まれて構成されることを特徴とするDFRフィルムの製造システム。
【請求項2】
前記カッティング装置(600)の前端に備えられ、前記合紙ローラ(Rb)から巻き出されるベースフィルム(11)とDFR層(12)とカバーフィルム(13)とからなるDFRフィルム(10)に熱風を供給する熱風供給装置(500)がさらに含まれて構成されることを特徴とする請求項1に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項3】
前記コーティングローラ(Ra)と合紙ローラ(Rb)との間に備えられ、ベースフィルム(11)にコートされたDFR層(12)の厚さを測定し、測定された現在厚さ値(Tp)をコントローラ(CR)に出力する厚さ測定器(400)をさらに含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項4】
前記ポンプステーション(200)は、
前記撹拌装置から供給される光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液が流入する流入口(211)が形成され、
不純物がフィルタリングされた光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液が流出する流出口(212)が形成されているポンピングブロック(210)と、
前記ポンピングブロック(210)の光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液をポンピングするポンプ(220)と、
前記ポンピングブロック(210)から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液を供給され、不純物をフィルタリングしてから、再びポンピングブロックに帰還するフィルタブロック(230)と、を含んで構成され、
前記ポンプ(220)の動作によって、コーティング装置(300)に供給される光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液の供給速度を調節することを特徴とする請求項1に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項5】
前記コーティングローラ(Ra)と合紙ローラ(Rb)との間に備えられ、ベースフィルム(11)にコートされたDFR層(12)の厚さを測定し、測定された現在厚さ値(Tp)をコントローラ(CR)に出力する厚さ測定器(400)と、
基準厚さ値(Tc)を内部メモリに保存しており、前記厚さ測定器(400)からDFR層(12)の現在厚さ値(Tp)を入力され、入力された現在厚さ値(Tp)と内部メモリに既保存された基準厚さ値(Tc)とのサイズを比較してから、現在厚さ値(Tp)と基準厚さ値(Tc)の差に応じて、ポンピング駆動制御信号をポンプステーション(200)に出力するコントローラ(CR)がさらに含まれて構成され、
前記ポンプステーション(200)は、前記コントローラ(CR)から受信されるポンピング駆動制御信号に応じてポンピング駆動することを特徴とする請求項4に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項6】
前記コーティング装置(300)は、
前記ポンプステーション(200)から混合溶融液を供給されて、ベースフィルム(11)にコートするために噴射するコーティングブロック(310)と、
前記コーティングブロック(310)の位置を上下方向、前後方向、及び左右方向にそれぞれ移動させる移動ブロック(320)と、を含んで構成され、
前記コーティングブロック(310)は、
下部コーティングブロック(311)と、
前記下部コーティングブロック(311)の上側に締結される上部コーティングブロック(312)と、を含んで構成され、
前記下部コーティングブロック(311)には、ポンプステーション(200)の第2供給ホース(h2)と連結されるインレット(314)が形成されており、
前記インレット(314)と連通し、下部コーティングブロック(311)の上面に貫通形成された供給孔(311b)が形成されており、
前記下部コーティングブロック(311)の上面(311a)と上部コーティングブロック(312)の下面(312a)との間には、噴射ギャップ(313)が形成されており、
前記供給孔(311b)から供給された混合溶融液は、前記噴射ギャップ(313)から噴射されてベースフィルム(11)にコートされることを特徴とする請求項1に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項7】
前記熱風供給装置(500)は、
ブロワー(510)と、
ヒータ部材が内蔵されており、前記ブロワー(510)から流入した風を熱風として、ノズル装置(540)に流出するヒータボックス(520)と、
複数のノズル(541)が備えられ、前記ヒータボックス(520)から熱風を供給され、ノズル(541)から熱風チャンバ(530)に熱風を供給するノズル装置(540)と、
DFRフィルム(10)やDFR層(12)がコートされたベースフィルム(11)が引き込まれる入口が一側に形成され、熱風によって軟化されたDFRフィルム(10)が引き出される出口が他側に形成されており、前記ノズル装置(540)から供給された熱風によって、DFRフィルム(10)を軟化するための空間である熱風チャンバ(530)と、を含んで構成されることを特徴とする請求項2に記載のDFRフィルムの製造システム。
【請求項8】
前記カッティング刃(630)は、
カッティングが始まる位置に形成される前端刃部(631)と、
移送方向に並んだ左右1対の側辺刃部(632)と、
前記側辺刃部(632)の前端に形成され、前記前端刃部(631)からDFRフィルムチップ(10’)の距離(d1)だけ離隔し、前記側辺刃部(632)の後端に形成されて、カッティングが終わる位置に形成される後端刃部(633)と、で構成され、
前記側辺刃部(632)は、DFR層(12)よりも内側がカットされるように、前記上部ローラ(620)の左右側縁から内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のDFRフィルムの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DFR(Dry Film Photoresist)フィルム(感光性フィルム)の製造に係り、特に、光開始剤(photoinitiator)とエポキシ系熱可塑性樹脂(Epoxy base thermoplastic resin)を用いて感光性フィルム(DFRフィルム)を製造する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パワーインダクター(Power Inductor)は、バッテリーからの電力(パワー)を半導体に安定的に供給するのに必要な核心部品であって、スマートフォン、ウェアラブル機器、電気自動車等に必須に用いられている。
【0003】
最近、IT機器は、さらに軽薄短小化されつつあり、5G通信、マルチカメラ等の多機能化・高性能化によって搭載される部品の数が増えて、内部に部品実装空間が減少し、超小型製品が要求されている。また、さらに部品の仕様に優れるようになり、これにつれて、使用する電力量が増え、高い電流に耐えることができるパワーインダクターが必要である。
【0004】
このようなパワーインダクターのうちでも、超小型パワーインダクターは、横1.2mm、縦1.0mmサイズのモバイル用超小型パワーインダクターが開発されて商用化されており、最近は、これよりも遥かに小さなサイズの横0.8mm、縦0.4mmとして面積を大幅に減らすとともに、厚さは0.65mmに過ぎない超小型のパワーインダクターが開発されている。
【0005】
このようなパワーインダクターの製造にあたり、全体の製造工程において多くの比重を占める核心素子としてのDFRフィルムがある。
【0006】
このパワーインダクターの製作に必要なDFRフィルムは、現在、各工程が手作業で行われている実情であるため、生産性が極めて低く、これにより、製品の価格が極めて高いという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国登録特許第10-0483242号(公告日:2005.04.19)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明によるDFRフィルムの製造システムの目的は、
第一、DFRフィルムを、自動化によって多量で製作及び生産することができ、
第二、割れなくて、きれいにDFRフィルムをカットすることができ、
第三、コーティング装置に供給される混合溶融液の供給量を自動または手動で調節することができ、
第四、気泡が全くない100%ガス溶融状態のフリー光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合物を製作することができ、
第五、所望の厚さ及び幅でDFR層をコートすることができ、
第六、ダムプレートの構成によって噴射ギャップを通じたDFR層の形成を効率的に行うことができ、
第七、噴射ギャップから噴射される噴射量を調節することができ、
第八、上部コーティングブロックと下部コーティングブロックとのアライン(上下相互整列)及び相互間の締結を容易かつ便利に行うことができ、
第九、DFR層を均一かつ一定の厚さでコートすることができ、
第十、DFRフィルムに対して、均一であり、カッティングに適切な温度(軟化点温度を考慮した温度)の熱風を供給することができ、
第十一、所望の形状の設定されたサイズ通りに正確に自動でカットすることができ、
第十二、DFRフィルムからカットされたDFRフィルムチップを、簡単な構成で、容易かつ便利に分離することができ、
第十三、分離されたDFRフィルムチップを、容易かつ便利に、また安定的にピックアップすることができるようにしたDFRフィルムの製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するための本発明によるDFRフィルムの製造システムは、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂とを溶融して撹拌する撹拌装置と、前記撹拌装置と第1供給ホースで連結されており、前記撹拌装置から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との溶融状態の混合物(以下、混合溶融液という。)を供給され、不純物をフィルタリングして強制に移送するポンプステーションと、ベースフィルムを巻き取っており、巻き取られたベースフィルムを巻き出すベースフィルム巻出機と、前記コーティング装置のコーティングブロックの直前方に備えられ、ベースフィルム巻出機から巻き出されるベースフィルムの巻出方向を変更して移送されるように、ベースフィルムを部分的に密着して移送するコーティングローラと、前記ポンプステーションと第2供給ホースで連結されており、前記ポンプステーションから混合溶融液を供給され、供給された混合溶融液を、前記コーティングローラに密着しているベースフィルムにコートして、DFR層を形成するコーティング装置と、カバーフィルムを巻き取っており、巻き取られたカバーフィルムを巻き出すカバーフィルム巻出機と、前記コーティングローラから巻き出されるベースフィルムにコートされたDFR層に、前記カバーフィルム巻出機から巻き出されたカバーフィルムを合紙しながら、カッティング装置がある方向である一方向に移送させる合紙ローラと、前記合紙ローラから移送されたベースフィルムとDFR層とカバーフィルムとからなるDFRフィルムを設定されたサイズに繰り返してカットし、同じサイズの多数のDFRフィルムチップを作り出すカッティング装置と、を含んで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記した構成を有する本発明によるDFRフィルムの製造システムは、次のような効果を奏する。
【0011】
第一、DFRフィルムを、自動化によって多量で製作及び生産することができる効果がある。
【0012】
第二、割れなくて、きれいにDFRフィルムをカットすることができる効果がある。
【0013】
第三、コーティング装置に供給される混合溶融液の供給量を自動または手動で調節することができる効果がある。
【0014】
第四、気泡が全くない100%ガス溶融状態のフリー光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合物を製作することができる効果がある。
【0015】
第五、所望の厚さ及び幅でDFR層をコートすることができる効果がある。
【0016】
第六、噴射ギャップによるDFR層の形成を効率的に行うことができる効果がある。
【0017】
第七、噴射ギャップから噴射される噴射量を調節することができる効果がある。
【0018】
第八、上部コーティングブロックと下部コーティングブロックとのアライン(上下相互整列)及び相互間の締結を容易かつ便利に行うことができる効果がある。
【0019】
第九、DFR層を均一かつ一定の厚さでコートすることができる効果がある。
【0020】
第十、熱風チャンバ内にDFRフィルムが移送されるように備えることにより、DFRフィルムに対して、均一であり、カッティングに適切な温度(軟化点温度を考慮した温度)の熱風を供給することができる効果がある。
【0021】
第十一、所望の形状の設定されたサイズ通りに正確に自動でカットすることができる効果がある。
【0022】
第十二、DFRフィルムからカットされたDFRフィルムチップを、簡単な構成で、容易かつ便利に分離することができる効果がある。
【0023】
第十三、分離されたDFRフィルムチップを、容易かつ便利に、また安定的にピックアップすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムの構成を示す概念図である。
図2】撹拌装置100の詳細構成を示す概念図である。
図3】ポンプステーション200の詳細構成を示す概念図である。
図4】ポンプステーション200から混合溶融液を供給されて、ベースフィルム11にDFR層12をコートし、DFR層12にカバーフィルム13を合紙してから、DFRフィルム10を熱風によって軟化し、設定されたサイズにカットして、DFRフィルムチップ10’を製造する装置の構成を示す概念図である。
図5】コーティング装置300の構成を示す概念図である。
図6】ダムプレート315が載置された下部コーティングブロック311を示す平面図である。
図7】下部コーティングブロック311とダムプレート315の分離平面図である。
図8】コーティング装置300の正面構成を示す概念図である。
図9】熱風供給装置500の構成を示す概念図である。
図10】カッティング装置600の側面構成を示す概念図である。
図11】カッティング装置600の正面を示す要部概念図である。
図12】カッティング装置600によって設定されたサイズにカットされたDFRフィルムチップ10’を分離及びピックアップするための装置の構成を示す概念図である。
図13】DFRフィルム10の積層概念図、及びDFRフィルム10がカットされる場合を示す概念図であって、図13の(a)は、DFRフィルム10の縦断面図であり、図13の(b)は、DFRフィルム10の横断面図であり、図13の(c)は、DFRフィルム10がカッティング装置600によってカットされる動作概念図である。
図14】本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明によるDFRフィルムの製造システムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムは、図1に示すように、撹拌装置100と、ポンプステーション200と、ベースフィルム巻出機UW1と、コーティングローラRaと、コーティング装置300と、カバーフィルム巻出機UW2と、合紙ローラRbと、カッティング装置600と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0027】
前記撹拌装置100は、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂とを溶融して撹拌する装置である。
【0028】
前記ポンプステーション200は、撹拌装置100と第1供給ホースh1で連結されており、前記撹拌装置100から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との溶融状態の混合物(以下、混合溶融液という。)を供給され、不純物(異物)をフィルタリングして強制に移送する装置である。
【0029】
前記ベースフィルム巻出機UW1は、ベースフィルム11を巻き取っており、巻き取られたベースフィルム11を巻き出す構成である。ここで、ベースフィルム11は、PETフィルムで形成されてもよい。
【0030】
前記コーティングローラRaは、コーティング装置300のコーティングブロック310の直前方(移送方向が前方である)に備えられ、ベースフィルム巻出機UW1から巻き出されるベースフィルム11の巻出方向を変更して移送されるように、ベースフィルム11を部分的に密着して移送する構成である。
【0031】
前記コーティング装置300は、ポンプステーション200と第2供給ホースh2で連結されており、前記ポンプステーション200から混合溶融液を供給され、供給された混合溶融液を前記コーティングローラRaに密着しているベースフィルム11にコートしてDFR層12を形成する装置である。
【0032】
前記カバーフィルム巻出機UW2は、カバーフィルム13を巻き取っており、巻き取られたカバーフィルム13を巻き出す構成である。ここで、カバーフィルム13は、PETフィルムで形成されてもよい。
【0033】
前記合紙ローラRbは、コーティングローラRaから巻き出されるベースフィルム11にコートされたDFR層12に、前記カバーフィルム巻出機UW2から巻き出されたカバーフィルム13を合紙しながら、カッティング装置がある方向である一方向[図示例では、移送方向である右側方向]に移送させる構成である。
【0034】
前記カッティング装置600は、合紙ローラRbから移送されたベースフィルム11とDFR層12とカバーフィルム13とからなるDFRフィルム10を、設定されたサイズに繰り返してカットし、同じサイズの多数のDFRフィルムチップ10’を作り出す装置である。
【0035】
このような構成によれば、DFRフィルムを、自動化によって多量で製作及び生産することができるようになる。
【0036】
前記光開始剤及びエポキシ系熱可塑性樹脂自体は、公知の光開始剤及び公知のエポキシ系熱可塑性樹脂から選ばれて構成されてもよい。
【0037】
前記光開始剤は、UV反応が可能な程度の重量比であればよいので、エポキシ系熱可塑性樹脂に比べて極少量で混合される。
【0038】
例えば、エポキシ系熱可塑性樹脂100重量部に対して、光開始剤0.1~3重量部であってもよい。
【0039】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムは、前記カッティング装置600の前端に備えられ、前記合紙ローラRbから巻き出されるベースフィルム11とDFR層12とカバーフィルム13とからなるDFRフィルム10に、熱風を供給する熱風供給装置500をさらに含んで構成される。
【0040】
このように、DFRフィルム10を設定されたサイズにカットする前に、DFRフィルム10を熱風雰囲気で軟化し、このように軟化された状態のDFRフィルム10をカットすることにより、DFRフィルムが割れなくて、正確かつきれいにカットすることができる利点がある。
【0041】
もし、常温でDFRフィルム10をカットすると、DFRフィルムの性質によって割れやすいので、このようなDFRフィルムの割れ現象を予防し、きれいにカットすることができるようになる。
【0042】
熱風供給装置500から供給される熱風の温度は、45~80℃であることを特徴とする。
【0043】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムは、前記コーティングローラRaと合紙ローラRbとの間に備えられ、ベースフィルム11にコートされたDFR層12の厚さを測定し、測定された現在厚さ値(Tp)をコントローラCRに出力する厚さ測定器400をさらに含んで構成される。
【0044】
このようにコートされたDFR層12の厚さを測定して、コーティング装置300に供給される混合溶融液の供給量を調節するようになる。
【0045】
前記撹拌装置100は、投入された光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合物を加熱して溶融し、溶融された状態で、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂を撹拌し、撹拌後に内部の気泡を脱泡する。
【0046】
溶融及び混合する過程で発生する空気を脱泡し、脱泡による微細なサイズの気泡も完全除去して、気泡が全くない100%ガス溶融状態のフリー光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合物を製作するようになる。
【0047】
以下、撹拌装置100の主要構成について説明する。
【0048】
前記撹拌装置100は、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂とが投入される入口111が形成されており、溶融して撹拌された光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液が流出する出口112が形成されており、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂を撹拌する空間である撹拌タンク110と、前記撹拌タンク110の上側を貫通して回転可能に設置される撹拌軸123と、前記撹拌タンク110の上方に備えられ、前記撹拌軸123を回転させる撹拌モータ121と、前記撹拌軸123に軸設され、撹拌タンク110の光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂とを混合及び撹拌する撹拌ブレード125と、高温の熱媒体を供給する加熱部材130と、前記撹拌タンク110の外周面に取り付けられ、前記加熱部材130から供給される熱媒体によって前記撹拌タンク110を加熱する熱媒体パイプ135と、混合及び撹拌過程で発生するかまたは撹拌タンク110の内部にある気泡を脱泡するために、前記撹拌タンク110の内部の空気を強制吸引する真空ポンプ140と、を含んで構成される。
【0049】
このように、真空ポンプ140を用いて、溶融撹拌過程で発生する気泡を完全に脱泡するようになる。
【0050】
前記加熱部材130は、例えば、熱媒体の熱交換によって加熱された熱媒体を供給する熱交換器で構成されてもよい。
【0051】
前記撹拌ブレード125は、底翼125aと、前記底翼125aから上方へ折曲形成され、撹拌タンク110の内周面において間隙を置いて離隔した状態で形成される垂直翼125bとを含んで構成される。
【0052】
これによると、撹拌タンク110の内周面に隣接した混合物の混合をさらに容易にして、全体的に溶融状態の混合物の撹拌を円滑かつ効率的に行うことができる。
【0053】
前記撹拌装置100における溶融温度は、120~150℃であることが好ましい。次に、ポンプステーション200の主要構成について説明する。
【0054】
前記ポンプステーション200は、前記撹拌装置から供給される光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液が流入する流入口211が形成されており、不純物がフィルタリングされた光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液が流出する流出口212が形成されているポンピングブロック210と、前記ポンピングブロック210の光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液をポンピングするポンプ220と、前記ポンピングブロック210から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液を供給され、不純物をフィルタリングしてから、再びポンピングブロックに帰還するフィルタブロック230と、を含んで構成され、前記ポンプ220の動作によって、コーティング装置300に供給される光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合溶融液の供給速度を調節する。
【0055】
前記ポンプ220は、コントローラCRから受信するポンピング駆動制御信号に応じてポンピング出力を動作するようになる。
【0056】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムにおいて、前記コーティングローラRaと合紙ローラRbとの間に備えられ、ベースフィルム11にコートされたDFR層12の厚さを測定し、測定された現在厚さ値(Tp)をコントローラCRに出力する厚さ測定器400と、基準厚さ値(Tc)を内部メモリに保存しており、前記厚さ測定器400からDFR層12の現在厚さ値(Tp)を入力され、入力された現在厚さ値(Tp)と内部メモリに既保存された基準厚さ値(Tc)との大きさを比較してから、現在厚さ値(Tp)と基準厚さ値(Tc)の差に応じて、ポンピング駆動制御信号をポンプステーション200[具体的には、ポンプステーションに備えられたポンプ220]に出力するコントローラCRがさらに含まれて構成される。
【0057】
前記ポンプステーション200[具体的には、ポンプステーション200に備えられたポンプ220]は、前記コントローラCRから受信されるポンピング駆動制御信号に応じてポンピング駆動する。
【0058】
前記現在厚さ値(Tp)と基準厚さ値(Tc)の差に応じて前記コントローラCRが出力するポンピング駆動制御信号は、現在厚さ値(Tp)が基準厚さ値(Tc)よりも大きい場合は、ポンプステーションのポンプの駆動出力を減少させるためのポンピング減衰駆動制御信号であり、現在厚さ値(Tp)が基準厚さ値(Tc)よりも小さい場合は、ポンプステーションのポンプの駆動出力を増加させるためのポンピング増加駆動制御信号である。
【0059】
次に、コーティング装置300について詳述する。
【0060】
前記コーティング装置300は、前記ポンプステーション200から混合溶融液を供給されて、ベースフィルム11にコートするために噴射するコーティングブロック310と、前記コーティングブロック310の位置を上下方向、前後方向、及び左右方向にそれぞれ移動させる移動ブロック320と、を含んで構成される。
【0061】
前記コーティングブロック310は、下部コーティングブロック311と、前記下部コーティングブロック311の上側に締結される上部コーティングブロック312と、を含んで構成され、前記下部コーティングブロック311には、ポンプステーション200の第2供給ホースh2と連結されるインレット314が形成されており、前記インレット314と連通し、下部コーティングブロック311の上面に貫通形成された供給孔311bが形成されており、前記下部コーティングブロック311の上面311aと上部コーティングブロック312の下面312aとの間には、噴射ギャップ313が形成されており、前記供給孔311bから供給された混合溶融液は、前記噴射ギャップ313から噴射されてベースフィルム11にコートされる。
【0062】
前記コーティング装置300は、前記下部コーティングブロック311と上部コーティングブロック312との間に介在され、前記下部コーティングブロック311と上部コーティングブロック312との間の空間の左右側及び後側を塞ぐように「コ」状に形成され、前記供給孔311bの出口を内包するダムプレート315がさらに含まれて構成され、前記ダムプレート315によって、前記下部コーティングブロック311と上部コーティングブロック312との間に前記噴射ギャップ313が形成され、前記供給孔311bから供給される混合溶融液は、前記ダムプレート315と下部コーティングブロック311の上面311aと上部コーティングブロック312の下面312aとによって形成される空間に充填された後、噴射ギャップ313から噴射される。
【0063】
前記コーティング装置300において、前記ダムプレート315は、後方部315aと、前記後方部315aの左右端から前方に折曲延長形成される左右側の1対の側部315bと、で構成され、前記後方部315aと1対の側部315bとの内部に前記供給孔311bの出口が位置するように形成される。
【0064】
前記下部コーティングブロック311の上面311aと上部コーティングブロック312の下面312aに介在されるダムプレート315の個数により、噴射ギャップ313から噴射されてベースフィルム11にコートされる噴射量を調節する。
【0065】
これによると、簡単な構成で、噴射量を容易かつ便利に調節することができる。
【0066】
前記下部コーティングブロック311には、複数の下部締結孔311cが上下方向に貫通形成され、前記下部締結孔311cと同じ位置において連通するように、複数の上部締結孔312cが、前記上部コーティングブロック312に上下方向に貫通形成されており、前記下部締結孔311c及び上部締結孔312cに連通するように、ダムプレート315には、締結孔315cが複数で形成されている。
【0067】
前記コーティング装置300には、前記上部締結孔312cと締結孔315cと下部締結孔311cとを順次に締結する締結ボルトP1及び締結ナットN1が備えられる。
【0068】
このような構成によれば、上部コーティングブロック312と下部コーティングブロック311とのアライン及び相互間の締結を容易かつ便利に行うことができる。
【0069】
前記下部コーティングブロック311の上面311aには、前記供給孔311bの出口を内包してバッファー溝311dが下方に凹入形成されており、前記バッファー溝311dから前記下部コーティングブロック311の上面311aの前端辺側に案内傾斜面311eが上向き傾斜して形成されている。
【0070】
これによると、ポンプステーション200から供給される混合溶融液が高圧で供給されても、バッファー溝311dにおいて供給圧を緩衝した後に噴射するので、常に均一かつ一定の圧力で噴射ギャップ313から噴射することができ、DFR層12を均一かつ一定の厚さでコートするようになる。
【0071】
本発明の一実施形態によるコーティング装置300において、前記ダムプレート315が前記バッファー溝311d及び案内傾斜面311eを外包するように、前記下部コーティングブロック311に載置されて、前記下部コーティングブロック311と上部コーティングブロック312との間に介在され、前記ダムプレート315の内周縁は、前記バッファー溝311d及び案内傾斜面311eの周縁と一致するように形成されることを特徴とする。
【0072】
次に、熱風供給装置500について詳述する。
【0073】
前記熱風供給装置500は、ブロワー510と、ヒータ部材(図示せず)が内蔵されており、前記ブロワー510から流入した風を熱風として、ノズル装置540に流出するヒータボックス520と、複数のノズル541が備えられ、前記ヒータボックス520から熱風を供給され、ノズル541から熱風チャンバ530に熱風を供給するノズル装置540と、DFRフィルム10やDFR層12がコートされたベースフィルム11が引き込まれる入口(図面符号未表示)が一側[図9では左側]に形成され、熱風によって軟化されたDFRフィルム10が引き出される出口(図面符号未表示)が他側[図9では右側]に形成されており、前記ノズル装置540から供給された熱風によって、DFRフィルム10を適正温度で軟化するための空間である熱風チャンバ530と、を含んで構成される。
【0074】
これによると、熱風チャンバ530内にDFRフィルム10が移送されるように備えることにより、DFRフィルム10に対して、均一であり、カッティングに適切な温度(軟化点温度を考慮した温度であり、このとき、軟化点温度は、完全に軟化してはおらず、軟化に近接してDFRフィルムが柔らかくなり、カッティングが容易になるための温度であって、明細書の全体にわたって同じ意味である。)の熱風を供給することができるという利点がある。
【0075】
前記合紙ローラRbは、前記熱風チャンバ530の内部に設置され、前記カバーフィルム13とDFR層12は、DFRフィルム10の軟化温度雰囲気で合紙される。
【0076】
このとき、熱風チャンバ530の入口(図面符号未表示)から引き込まれるフィルムは、DFR層12が形成されたベースフィルム11であり、熱風チャンバ530の出口(図面符号未表示)から引き出されるフィルムは、カバーフィルム13が合紙されたDFRフィルム10になることは言うまでもない。
【0077】
前記ノズル装置540は、ノズル541がDFRフィルム10に向かうように、DFRフィルムの直下方に位置して熱風チャンバ530に備えられる。
【0078】
本発明の一実施形態による熱風供給装置500において、前記熱風チャンバ530の内部における、合紙ローラRbの後端においてDFRフィルム10に近接して位置し、熱風チャンバ530の内部温度を感知し、感知された熱風チャンバ530の内部温度をコントローラCRに出力するチャンバ温度センサ(図示せず)がさらに含まれて構成される。
【0079】
前記コントローラCRの内部メモリ(図示せず)には、DFRフィルム10の基準軟化点温度(Ts)及び基準温度偏差値(△Ts)が保存されている。
【0080】
前記コントローラCRは、前記チャンバ温度センサから受信した現在チャンバ温度(Tq)と既保存されている基準軟化点温度(Ts)を比較し、前記比較によって、基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)が異なる場合は、基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)の差を演算し、前記基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)の差分値(△Ts)が、既保存された基準温度偏差値(△Ts)よりも大きい場合は、前記基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)の差分値(△Ts)が、既保存された基準温度偏差値(△Ts)以下になるように、前記ヒータボックス520の内部のヒータの動作を制御する。
【0081】
ここで、前記「基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)の差分値(△Ts)が、既保存された基準温度偏差値(△Ts)よりも大きい場合は、前記基準軟化点温度(Ts)と現在チャンバ温度(Tq)の差分値(△Ts)が、既保存された基準温度偏差値(△Ts)以下になるように、前記ヒータボックス520の内部のヒータの動作を制御する」というのは、現在チャンバ温度(Tq)が基準軟化点温度(Ts)+基準温度偏差値(△Ts)よりもさらに大きい場合は、チャンバ温度が高過ぎるので、ヒータボックス520の内部のヒータの加熱温度をさらに低めるように制御し、現在チャンバ温度(Tq)が基準軟化点温度(Ts)- 基準温度偏差値(△Ts)よりもさらに小さい場合は、チャンバ温度が低過ぎるので、ヒータボックス520の内部のヒータの加熱温度をさらに高めるように制御することを意味する。
【0082】
次に、カッティング装置600について詳述する。
【0083】
前記カッティング装置600は、回転駆動する下部ローラ610と、前記下部ローラ610に連接して回転する上部ローラ620と、を含んで構成され、前記下部ローラ610と上部ローラ620との間にDFRフィルム10が介在されるようにして、上部ローラ620と下部ローラ610の回転によって、DFRフィルム10が一方向(図示例では、右側方向)に移送されるようにする。
【0084】
また、前記上部ローラ620の外周面620aに沿って四角状にカッティング刃630がレリーフ形成されており、前記上部ローラ620の外周面にレリーフ形成されたカッティング刃630が、前記下部ローラ610の外周面と接触するように、上部ローラ620が下部ローラ610の上側に設置され、前記上部ローラ620の1回転時[すなわち、1ピッチ回転時]に、DFRフィルム10がカッティング刃630の四角状にカットされてDFRフィルムチップ10’が製作される。
【0085】
前記下部ローラ610及び上部ローラ620を実際に回転駆動するための回転駆動手段がさらに含まれて構成される。
【0086】
前記回転駆動手段は、前記下部ローラ610に軸設される下部回転軸611と、前記上部ローラ620に軸設される上部回転軸621と、下部回転軸611に設置される下部駆動ギア615と、上部回転軸621に設置される上部駆動ギア625と、下部駆動ギア615及び上部駆動ギア625を回転駆動するためのモータ(図示せず)と、を含んで構成される。
【0087】
前記カッティング刃630は、カッティングが始まる位置に形成される前端刃部631と、移送方向に並んだ左右1対の側辺刃部632と、前記側辺刃部632の前端に形成され、前記前端刃部631からDFRフィルムチップ10’の距離d1だけ離隔し、前記側辺刃部632の後端に形成されて、カッティングが終わる位置に形成される後端刃部633と、で構成される。
【0088】
前記側辺刃部632は、DFR層12よりも内側がカットされるように、前記上部ローラ620の左右側縁から内側に形成されている。
【0089】
次に、カットされたDFRフィルム10をピックアップする装置について説明する。
【0090】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムは、前記カッティング装置600の上部ローラ620及び下部ローラ610からカットされたDFRフィルムチップ10’の長さ(Lc)と同じか少なくとも短い距離に位置するように設置され、また移送方向に下向き傾斜して設置されて、カッティング刃630のカッティング動作によってカットされたDFRフィルムチップ10’が、ベースフィルム11及びカバーフィルム13から分離されて自由落下するDFRフィルムチップ10’を受けて下向き移送する移送ベルト710と、前記移送ベルト710に落下されてDFRフィルムチップ10’が分離されたDFR層12の残余物があるベースフィルム11及びカバーフィルム13を引っ張り、またDFR層12の残余物があるベースフィルム11及びカバーフィルム13からベースフィルム11を剥離する1対の引込みローラ720と、前記引込みローラ720の後側下方に位置し、1対の引込みローラ720においてベースフィルム11が円滑に剥離されるように、1対の引込みローラ720において剥離されたベースフィルム11の方向を下向きに切り替えるベースフィルム剥離ローラ741と、前記1対の引込みローラ720において剥離されるカバーフィルム13を巻き取るカバーフィルム巻返し機731と、前記ベースフィルム剥離ローラ741を通過したベースフィルムを巻き取るベースフィルム巻返し機742と、前記1対の引込みローラ720の直下方に位置し、前記1対の引込みローラ720を通過しながらベースフィルム11とカバーフィルム13が剥離されるとき、分離されて落下するDFR層の残余物を収集する回収ボックス750と、がさらに含まれて構成される。
【0091】
前記1対の引込みローラ720は、モータ(図示せず)の回転によって回転駆動する原動ローラ721と、前記原動ローラ721との間に、DFRフィルムチップ10’が分離されたDFR層12の残余物があるベースフィルム11及びカバーフィルム13を介在して、原動ローラ721と連接し、回転によってベースフィルム11を移送方向の反対方向である後方に折れ曲がることにより、ベースフィルム11を剥離する剥離ローラ722と、を含んで構成される。
【0092】
前記ベースフィルム剥離ローラ741は、前記剥離ローラ722の後方及び下方に位置する。
【0093】
本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造システムは、前記移送ベルト710から離隔して位置し、前記移送ベルト710から移送されて垂直に落下するDFRフィルムチップ10’が、下方に位置したピックアップベルト762に円滑に垂直落下するようにガイドする垂直落下ガイド761と、前記垂直落下ガイド761によりガイドされて落下するDFRフィルムチップ10’が落ち着き、ピックアップ位置に移送されるピックアップベルト762と、をさらに含んで構成される。
【0094】
図13の(b)に示すWcは、DFRフィルムチップ10’の幅Wcである。
【0095】
以下、上記のような構成を有する本発明の一実施形態によるDFRフィルムの製造方法について説明する。
【0096】
まず、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂が、撹拌装置100の撹拌タンク110の入口111に投入される(S810)。
【0097】
撹拌装置100の撹拌タンク110において、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂が溶融されて撹拌される(S812)。
【0098】
ヒーティング部材130から供給される熱媒体が熱媒体パイプ135に伝達され、撹拌タンク110が加熱されて、撹拌タンク110内の光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂が溶融される。
【0099】
溶融された状態の光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との混合物が、撹拌ブレード125によって撹拌される。
【0100】
また、真空ポンプ140が撹拌タンク110の内部にある空気を強制吸引して、混合及び撹拌過程で発生するかまたは撹拌タンク110の内部にある気泡を脱泡するステップが行われる。
【0101】
ポンプステーション200が撹拌装置100から光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との溶融状態の混合物(混合溶融物)を供給され、光開始剤とエポキシ系熱可塑性樹脂との溶融状態の混合物から不純物(異物)をフィルタリングしてコーティング装置300に強制移送する(S814)。
【0102】
コーティング装置300は、ポンプステーション200から混合溶融液を供給され、供給された混合溶融液をコーティングローラRaに密着しているベースフィルム11にコートしてDFR層12を形成する(S816)。
【0103】
前記S816ステップによってベースフィルム11にコートされたDFR層12の厚さを測定する厚さ測定ステップ(S818)が行われる。
【0104】
また、コーティングローラRaから供給されるベースフィルム11にコートされたDFR層12に、カバーフィルム巻出機UW2から供給されたカバーフィルム13を合紙するステップ(S820)が合紙ローラRbによって行われる。
【0105】
ベースフィルム11にコートされたDFR層12にカバーフィルム13を合紙するステップ(S820)が行われた後、合紙ローラRbを通過したDFRフィルム10に熱風を供給するステップ(S822)が行われる。
【0106】
合紙ローラRbから移送されたベースフィルム11とDFR層12とカバーフィルム13とからなるDFRフィルム10を、設定されたサイズに繰り返してカットするステップ(S824)が行われる。カッティングによって同じサイズの多数のDFRフィルムチップ10’が作られる。
【0107】
前記DFRフィルム10を設定されたサイズにカットするステップ(S824)が行われた後、DFRフィルムチップ10’を移送ベルト710に自由落下させて、DFRフィルムチップ10’をベースフィルム11及びカバーフィルム13から分離するステップ(S826)が行われる。
【0108】
一方、前記厚さ測定ステップ(S818)によって測定された現在厚さ値(Tp)とコントローラCRの内部メモリに既保存された基準厚さ値(Tc)との大きさを比較するステップ(S830)が行われる。
【0109】
また、前記現在厚さ値(Tp)と基準厚さ値(Tc)の差に応じて、ポンピング駆動制御信号を、ポンプステーション200に備えられたポンプ220に出力するステップ(S832)が行われる。
【0110】
前記ポンプステーション200のポンプ220が、コントローラCRから受信されるポンピング駆動制御信号に応じて、ポンピング駆動されるステップ(S834)が行われる。
【0111】
このように、本発明による好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、本発明が、その技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得るのは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明なことである。このため、上述した実施形態は、制限的なものではなく、例示的なものと理解されなければならない。
【0112】
本発明の範囲は、上述した詳細な説明よりも後述する請求範囲によって定められ、請求の範囲の意味及び範囲、またその均等概念から導き出される全ての変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解析されなければならない。
【符号の説明】
【0113】
10 DFRフィルム
10' DFRフィルムチップ
11 ベースフィルム
12 DFR層
13 カバーフィルム
h1 第1供給ホース
h2 第2供給ホース
100 撹拌装置
110 撹拌タンク
111 撹拌タンクの入口
112 撹拌タンクの出口
121 撹拌モータ
123 撹拌軸
125 撹拌ブレード
125a 底翼
125b 垂直翼
130 ヒーティング部材
135 熱媒体パイプ
140 真空ポンプ
200 ポンプステーション
210 ポンピングブロック
211 流入口
212 流出口
220 ポンプ
230 フィルタブロック
300 コーティング装置
310 コーティングブロック
311 下部コーティングブロック
311a 下部コーティングブロックの上面
311b 供給孔
311c 下部締結孔
311d バッファー溝
311e 案内傾斜面
312 上部コーティングブロック
312a 上部コーティングブロックの下面
312c 上部締結孔
313 噴射ギャップ
314 インレット
315 ダムプレート
315a ダムプレートの後方部
315b ダムプレートの左右側部
315c ダムプレートの締結孔
P1 締結ボルト
N1 締結ナット
320 移動ブロック
Ra コーティングローラ
Rb 合紙ローラ
UW1 ベースフィルム巻出機
UW2 カバーフィルム巻出機
400 厚さ測定器
CR コントローラ
500 熱風供給装置
510 ブロワー
520 ヒータボックス
530 熱風チャンバ
540 ノズル装置
541 ノズル
600 カッティング装置
610 下部ローラ
611 下部回転軸
615 下部駆動ギア
620 上部ローラ
620a 上部ローラの外周面
621 上部回転軸
625 上部駆動ギア
630 カッティング刃
631 前端刃部
632 側辺刃部
633 後端刃部
710 移送ベルト
720 引込ローラ
721 原動ローラ
722 剥離ローラ
731 カバーフィルム巻返し機
741 ベースフィルム剥離ローラ
742 ベースフィルム巻返し機
750 回収ボックス
761 垂直落下ガイド
762 ピックアップベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14