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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240222BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240222BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240222BHJP
   G01R 1/07 20060101ALI20240222BHJP
   G01R 31/308 20060101ALI20240222BHJP
   G01R 31/3181 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01R1/073 Z
G01R31/26 J
G01R31/28 K
G01R1/07
G01R31/308
G01R31/3181
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023007232
(22)【出願日】2023-01-20
(62)【分割の表示】P 2018105874の分割
【原出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2023033607
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(73)【特許権者】
【識別番号】304056637
【氏名又は名称】株式会社中原光電子研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 敏永
(72)【発明者】
【氏名】中原 基博
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310333(JP,A)
【文献】特開2007-335651(JP,A)
【文献】特開2008-070308(JP,A)
【文献】特開平7-201945(JP,A)
【文献】特開平7-312381(JP,A)
【文献】特開昭62-58650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
G01R 1/07
G01R 31/308
G01R 31/3181
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号が伝搬する電気信号端子と光信号が伝搬する光信号端子を有する半導体素子の検査に使用される接続装置であって、
複数の前記光信号端子とそれぞれ光学的に接続する光ファイバ或いは光導波路からなる複数の光接続子と、
前記光接続子とそれぞれ対をなし、前記電気信号端子と電気的に接続する複数の電気接続子と、
前記光接続子の前記光信号端子と光学的に接続する光学的接続端部を主面に露出させた状態で、前記光接続子を固定するブロックと、
前記ブロックが前記主面と垂直な厚さ方向に沿って移動可能なように取り付けられた回路基板であって、前記電気接続子が設置され、前記電気接続子と電気的に接続する電気回路が形成された前記回路基板と、
前記回路基板に対して前記ブロックの前記厚さ方向の位置を調整し、前記回路基板に対する前記ブロックの相対的な位置を調整する位置調整機構と
を備えることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
複数の前記半導体素子が形成された基板において、同時に2以上の前記半導体素子について前記電気信号端子と前記光信号端子にそれぞれ接続する前記光接続子と前記電気接続子を備えることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記光接続子を貫通させた状態で固定するキャピラリを更に備え、
前記キャピラリが前記ブロックに嵌め込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記キャピラリの嵌め込まれる前記ブロックの空洞の周囲に前記空洞と平行に延伸して形成された嵌入孔に挿入され、前記キャピラリに側面が接触して前記キャピラリを前記ブロックに押し付けて固定する固定用柱材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記位置調整機構が、
前記厚さ方向の一方に向けて前記ブロックを引く板状の引きばねと、
前記引きばねの引く方向と逆方向に前記ブロックを押す板状の押しばねと
を備え、
前記引きばねによる引き力と前記押しばねの押し力の釣り合いによって前記ブロックの前記厚さ方向の位置が規定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記回路基板に固定された、前記回路基板よりも剛性の高いスティフナを更に備え、
前記ブロックに固定された前記引きばねが、前記スティフナに弾性的に接触し、
前記スティフナに固定された前記押しばねが、前記ブロックに弾性的に接触する
ことを特徴とする請求項5に記載の接続装置。
【請求項7】
前記ブロックの前記主面に配置され、前記光接続子が貫通するガイドプレートを更に備え、
前記ガイドプレートに設けられた貫通孔に、前記スティフナに固定されたガイドピンが挿入されていることを特徴とする請求項6に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の特性の検査に使用される接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンフォトニクス技術を用いて、電気信号が伝搬する電気回路と光信号が伝搬する光回路を有する半導体素子(以下において「光デバイス」という。)がシリコン基板などに形成される。光デバイスの特性をウェハ状態で検査するために、光ファイバなどが光デバイスと検査装置とを接続する光接続子として使用される。
【0003】
例えば、プローブ本体に保持した光ファイバの先端を近接させて検査対象の光デバイスの特性を取得する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2006/0008226A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光デバイスの検査では、電気信号を伝搬させる電気接続子を光デバイスに接続すると共に光信号を伝搬させる光接続子を光デバイスに接続する接続装置を使用して、光デバイスと検査装置を接続することが有効である。しかしながら、このような接続装置の開発は進んでいない。
【0006】
本発明は、電気信号を伝搬させる電気接続子と光信号を伝搬させる光接続子の両方を光デバイスに接続することのできる接続装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電気信号が伝搬する電気信号端子と光信号が伝搬する光信号端子を有する半導体素子の検査に使用される接続装置であって、複数の光信号端子とそれぞれ光学的に接続する光ファイバ或いは光導波路からなる複数の光接続子と、光接続子とそれぞれ対をなし、電気信号端子と電気的に接続する複数の電気接続子と、光接続子の光信号端子と光学的に接続する光学的接続端部を主面に露出させた状態で、光接続子を固定するブロックと、ブロックが主面と垂直な厚さ方向に沿って移動可能なように取り付けられた回路基板であって、電気接続子が設置され、電気接続子と電気的に接続する電気回路が形成された回路基板と、回路基板に対してブロックの厚さ方向の位置を調整し、回路基板に対するブロックの相対的な位置を調整する位置調整機構とを備える接続装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気信号を伝搬させる電気接続子と光信号を伝搬させる光接続子の両方を光デバイスに接続することのできる接続装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る接続装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る接続装置の位置調整機構の例を示す模式的な斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る接続装置の製造方法を説明するための模式図である(その1)。
図4】本発明の実施形態に係る接続装置の製造方法を説明するための模式図である(その2)。
図5】本発明の実施形態に係る接続装置の光接続子と電気接続子の配置の例を示す模式的な平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る接続装置のスティフナの構造の例を示す模式的な斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る接続装置の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る接続装置のブロックとキャピラリの固定した構成例を示す模式的な斜視図である。
図9図8の領域Aを示す平面図である。
図10図8に示した構成例の固定用柱材の形状を示す斜視図である。
図11図8に示した構成例のブロックの形状を示す平面図である。
図12図8に示した構成例のキャピラリの形状を示す、厚さ方向と垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0011】
図1に示す本発明の実施形態に係る接続装置は、電気信号が伝搬する電気信号端子と光信号が伝搬する光信号端子を有する光デバイスの検査に使用される。光デバイスとしては、特に限定されるものではないが、シリコンフォトニクスチップ、VCSEL等を想定することができる。図1に示す接続装置は、光デバイスの光信号端子と光学的に接続する光接続子100と、光デバイスの電気信号端子と電気的に接続する電気接続子200を備える。光接続子100と電気接続子200は、1つの光デバイスの光信号端子と電気信号端子との距離に対応する位置に近接させて配置される。光接続子100が光信号端子と光学的に接続されると、光信号端子と光接続子100との間で光信号が伝搬する。通常、光信号端子と光接続子100は、互いに近接する非接触の状態で光学的に接続される。光接続子100が光信号端子と接続されるタイミングと電気接続子200が電気信号端子と接続されるタイミングは、同時であっても時間差が生じても構わない。要は、光接続子100と電気接続子200の両方が同時に光デバイスと接続可能になっていればよい。
【0012】
接続装置は、検査装置を検査対象の光デバイスと接続するプローブカードとして機能する。検査対象の光デバイスは、図示を省略するが、光信号端子と電気信号端子(以下、総称して「信号端子」という。)の形成された表面を図1において下方に向けた状態で接続装置に対向して配置される。光デバイスの測定時に、光接続子100の光学的接続端部101と光デバイスの光信号端子が光学的に接続し、電気接続子200の電気的接続端部201が光デバイスの電気信号端子と電気的に接続する。これにより、例えば、電気接続子200の電気的接続端部201から電気信号が光デバイスに入力されると共に光デバイスから出力された光信号が光接続子100の光学的接続端部101に入力され、図示しないテスタ等の計測装置によって光信号が検知される。
【0013】
光接続子100には、光ファイバなどが好適に使用される。例えば、光デバイスの光信号端子から、光信号端子の近傍に配置された光ファイバの端面に光信号が入射する。ただし、光ファイバに限らず、光導波路を有する光学部品を光接続子100に使用できる。光ファイバ等、光導波路は、いずれも光デバイスと同等の屈折率を有して形成される。例えば、シリコンフォトニクスデバイスに対応させるためには、プローブカード側の光接続子もシリコンの屈折率に合わせた材料で形成される。
【0014】
電気接続子200には、導電性材料からなるプローブなどが好適に使用される。例えば、電気接続子200にカンチレバータイプのプローブを使用する。しかし、電気接続子200に使用可能なプローブのタイプはカンチレバータイプに限らず、任意のタイプのプローブを使用できる。
【0015】
図1に示すように、接続装置は、光接続子100の光学的接続端部101を主面(第1主面)に露出させた状態で光接続子100を固定するブロック10と、ブロック10が取り付けられた回路基板20を備える。回路基板20には、電気接続子200と電気的に接続する電気回路が形成されている。回路基板20に、プリント基板(PCB基板)などが好適に使用される。電気接続子200は、回路基板20に設けられた接合パット21と電気的に接続されて、回路基板20に設置されている。
【0016】
接合パット21は、回路基板20に形成された図示を省略する電気回路を介して、回路基板20に配置された接続端子23と接続されている。接続端子23は、回路基板20の電気接続子200が設置される主面と反対側の主面に配置されている。接続端子23は、検査装置と電気的に接続される。
【0017】
また、光学的接続端部101と光導波路で光結合する光接続子100の他方の端部が、検査装置と接続される。光接続子100は、例えば光コネクタなどの部品を介して検査装置に接続される。このとき、検査装置の仕様に合わせて、光信号を電気信号に変換してもよいし、光信号をそのまま検査装置に入力してもよい。
【0018】
光接続子100と電気接続子200とは、検査時に検査対象の光デバイスの信号端子に正確に接続するように、所定の位置精度で接続装置に設置されている。即ち、光接続子100の光学的接続端部101と電気接続子200の電気的接続端部201との相対的な位置関係が所定の範囲にあり、接続装置と光デバイスを位置合わせしたときに、光接続子100と電気接続子200が光デバイスの信号端子と正確に接続する。ここで、「正確に接続する」とは、所定の測定精度が得られるように光接続子100と電気接続子200が検査対象の光デバイスの信号端子と接続することである。
【0019】
電気接続子200と光接続子100の位置に関して、光デバイスの信号端子と接続して所定の測定精度が得られる位置(以下において「最適位置」という。)に許容範囲がある。最適位置の許容範囲は、電気接続子200や光接続子100がその範囲に位置すれば、所望の精度や強度で信号を取得できる範囲である。この許容範囲は、検査に要求される精度や接続子の性能などに応じて適宜設定される。例えば、光接続子100に光ファイバを使用する場合に、光接続子100の位置の許容範囲が光ファイバの開口数NAなどに応じて設定される。
【0020】
電気接続子200の最適位置の許容範囲よりも、光接続子100の最適位置の許容範囲は狭い。図1に示した接続装置の製造では、後述するように、許容範囲の小さい光接続子100の位置合わせを行った後に、この光接続子100の位置を応じて、電気接続子200の位置合わせを行う。
【0021】
図1に示す接続装置では、光接続子100を貫通させた状態で固定するキャピラリ15がブロック10に嵌め込まれることにより、光接続子100がブロック10に固定されている。つまり、キャピラリ15に貫通孔を必要な位置精度で形成し、この貫通孔に挿入した光接続子100を固定する。これにより、光接続子100を所定の位置精度でブロック10に設置することができる。
【0022】
キャピラリ15に形成する貫通孔の数は任意である。例えば、1つの光デバイスが有する光信号端子が4つの場合に、4本の貫通孔を形成したキャピラリ15を光デバイスごとに準備する。或いは、1つの光デバイスが有する光信号端子が1つの場合に、4つの光デバイスごとに4本の貫通孔を形成したキャピラリ15を準備してもよい。
【0023】
なお、ブロック10に必要な位置精度で光接続子100を配置することができるなら、キャピラリ15を使用しなくてもよい。例えば、ブロック10を2つの部分に分割し、分割した部分の合わせ面に光接続子100を配置するためのV字状の溝をそれぞれ形成する。V字状の溝は合わせ面に開口部が形成され、分割した部分を重ね合わせたときに開口部が一致するように形成される。V字状の溝に光接続子100が配置した状態で2つの部分を重ね合わせることで、光接続子100をブロック10の内部に固定することができる。V字状の溝は、貫通孔を形成するよりも加工が容易で、しかも寸法精度を高くすることができる。なお、分割したブロック10の一方の部分だけにV字状の溝を形成してもよい。
【0024】
回路基板20には、回路基板20よりも剛性の高いスティフナ30が固定されている。スティフナ30は、回路基板20が撓んだりしないように接続装置の機械的強度を確保すると共に、接続装置の構成部品のそれぞれを固定する支持体として使用されている。
【0025】
また、ブロック10の第1主面に、光接続子100が貫通するガイドプレート60が配置されている。ガイドプレート60に設けられた貫通孔に、スティフナ30に固定されたガイドピン70が挿入されている。これにより、ガイドプレート60の位置が画定する。ガイドプレート60には、回路基板20に形成されたアライメントマーク22を目視できるように開口領域が設けられている。ガイドプレート60をブロック10の第1主面に配置することにより、ブロック10を回路基板20に設置する際に使用するアライメントマーク22の位置を容易に確認することができる。
【0026】
図1に示した接続装置では、ブロック10が、第1主面と垂直な方向(以下において「厚さ方向」という。)に沿って移動可能なように、回路基板20に取り付けられている。つまり、ブロック10は回路基板20に固定されていない。そして、ガイドプレート60と回路基板20との間には、隙間が設けられている。このため、ブロック10は、スティフナ30及びスティフナ30に固定された回路基板20に対して、厚さ方向に移動可能である。また、ガイドプレート60と回路基板20との間に隙間を設けることにより、回路基板20の表面が平坦でない場合に、その影響がガイドプレート60に及ぶことを抑制できる。
【0027】
図1に示した接続装置は、回路基板20に対するブロック10の相対的な位置を調整する位置調整機構40を備える。この位置調整機構40は、厚さ方向の一方に向けてブロック10を引く板状の引きばね41と、引きばね41の引く方向と逆方向にブロック10を押す板状の押しばね42から構成されている。そして、引きばね41による引き力F1と押しばね42の押し力F2の釣り合いによって、ブロック10の厚さ方向の位置が規定される。ブロック10を所定の位置で安定させるために、引きばね41と押しばね42の弾性力が予め設定されている。
【0028】
図1に示すように、第1主面に対向するブロック10の第2主面に引きばね41の中央部が固定され、引きばね41の両端がスティフナ30に押し付けられて弾性的に接触している。より具体的には、図2に示すように、第1ボルト51が引きばね41の中央部を貫通してブロック10の第2主面に固定されている。
【0029】
一方、図2に示すように、押しばね42の一方の端部が第2ボルト52によってスティフナ30に固定され、他方の端部がブロック10の第2主面に押し付けられて弾性的に接触している。引きばね41及び押しばね42は、スティフナ30を介して回路基板20に固定されている。
【0030】
なお、例えば第2ボルト52をスティフナ30にねじ結合させ、ねじの締め方を調整することによって、ブロック10の厚さ方向の位置を微調整することもできる。このように、引きばね41と押しばね42の組み合わせは、ブロック10をスティフナ30及び回路基板20に対して相対的に移動させる位置調整機構として機能する。
【0031】
以下に、図1に示した接続装置の製造方法について説明する。以下では、光接続子100に光ファイバを使用し、電気接続子200にカンチレバー形のプローブを使用する場合を例示的に説明する。
【0032】
先ず、端部について端末処理した光ファイバを光接続子100として準備する。「端末処理」とは、光学的接続端部101とする端部のレンズ加工や研磨、被覆剥き加工や、他方の端部に光コネクタを装着する処理などである。
【0033】
そして、図3に示すように、ブロック10の第1主面に光学的接続端部101が露出するように、光接続子100をブロック10に設置する。例えば、光接続子100を貫通させたキャピラリ15をブロック10に固定する。このとき、光学的接続端部101が所定の高さでブロック10の第1主面から露出するように光接続子100の突き出し量を調整し、光接続子100が所定の位置に設置されたことを確認して、キャピラリ15を固定する。
【0034】
次いで、ガイドプレート60をブロック10の第1主面に取り付ける。そして、ブロック10を回路基板20の所定の位置に取り付ける。例えば、回路基板20の所定の位置に形成された空洞に、ブロック10を挿入する。このとき、回路基板20に形成したアライメントマーク22を目印にして位置合わせしながら、ブロック10を回路基板20に取り付ける。アライメントマーク22を露出させる開口領域を設けたガイドプレート60をブロック10に配置することにより、ブロック10と回路基板20の位置合わせが容易である。
【0035】
そして、回路基板20にスティフナ30を固定する。このとき、図4に示すように、スティフナ30に固定されたガイドピン70によってガイドプレート60の位置が設定される。
【0036】
次に、図2に示したように、引きばね41と押しばね42をブロック10とスティフナ30に取りつける。そして、引きばね41と押しばね42の位置を固定する。このとき、厚さ方向の位置の調整だけでなく、厚さ方向と垂直な平行な方向の調整も行う。位置の調整の基準は、回路基板20の主面である。
【0037】
次いで、電気接続子200を回路基板20に設置する。このとき、以下のように光接続子100の位置情報を参照して、電気接続子200の位置決めが行われる。
【0038】
先ず、光接続子100の位置情報を解析し、光学的接続端部101の位置について、予め設定されていた設定位置からのズレ量(以下、単に「ズレ量」という。)を検出する。そして、光学的接続端部101の位置のズレ量を参照して、電気接続子200の電気的接続端部201の最適位置を算出する。
【0039】
例えば、光接続子100の光学的接続端部101に関する所定の設定座標と、実際にブロック10に設置された光接続子100の光学的接続端部101の座標とを比較して、光学的接続端部101の位置のズレ量を検出する。そして、電気的接続端部201に関する所定の設定座標からの位置のズレ量が、光学的接続端部101の位置のズレ量と同様であるように、電気的接続端部201の位置の座標を決定する。
【0040】
このとき、ズレ量を統計的に処理して、電気接続子200の電気的接続端部201の位置を決定してもよい。例えば、ズレ量のバラつきのヒストグラムを作成し、ズレ量の平均値やばらつき(偏差)などを算出する。そして、光接続子100の光学的接続端部101に対して所定の相対位置になるように、電気接続子200の電気的接続端部201の位置を算出する。
【0041】
その後、算出された位置に電気的接続端部201が配置されるようにして、電気接続子200を回路基板20の接合パット21に接合する。以上により、図1に示した接続装置が完成する。
【0042】
図5に、光接続子100の光学的接続端部101と電気接続子200の電気的接続端部201の位置の例を示す。図5に示した例では、4つの光接続子100の光学的接続端部101のそれぞれと対になるように、4つの電気接続子200の電気的接続端部201が配置されている。これにより、例えば1つの電気信号端子と1つの光信号端子を対として有する光デバイスについて、4個の光デバイスを連続的若しくは同時に検査することができる。
【0043】
このように、複数の光デバイスが形成されたウェハの検査に対応して、同時に2以上の光デバイスについて信号端子に接続する光接続子100と電気接続子200を有する接続装置を提供することができる。或いは、4つの光信号端子と4つの電気信号端子を有する光デバイスを、4つの光接続子100と4つ電気接続子200を用いて検査することができる。これにより、複数の光デバイスの光信号を一括採取して測定することができるので、検査の効率を向上させることができ、検査時間の短縮が可能になる。
【0044】
上記のように光接続子100の位置情報を参照して電気接続子200を回路基板20に設置することにより、光学的接続端部101と電気的接続端部201との相対的な位置関係を所望の位置精度の範囲に収めることができる。これにより、光接続子100と電気接続子200を同時に高い精度で光デバイスの信号端子に接続させることができる。その結果、光デバイスの正確な測定が可能となる。
【0045】
なお、接合パット21とアライメントマーク22とは、回路基板20を形成する際に同一のプロセス工程で同時に形成することが好ましい。これにより、接合パット21とアライメントマーク22の相対的な位置の精度を、プロセス工程の製造の精度に応じて高くすることができる。その結果、アライメントマーク22を用いて位置合わせしたときに、接合パット21に対しても高精度に位置合わせすることができる。
【0046】
接続装置の機械的強度を得るために、スティフナ30は一定程度の厚みを有して形成される。一方、ブロック10を厚くすると、光接続子100を配置することが難しくなる。このため、例えば図6に示すように、スティフナ30にブロック10を配置する凹部を形成する。図6には、スティフナ30に形成した1つの凹部の内部にブロック10がそれぞれ配置される4つの開口部300が形成された例を示した。図7は、ガイドプレート60がそれぞれ配置された4つのブロック10を、スティフナ30に固定した回路基板20に配置した例を示す。図7では、光接続子100や電気接続子200、回路基板20の上面に配置される接続端子23などの部品の図示を省略している。
【0047】
スティフナ30のそれぞれの凹部のサイズやその内部に配置するブロック10の個数は、スティフナ30に要求される機械的強度やブロック10のサイズによって任意に設定できる。複数のブロック10をスティフナ30に固定することにより、同時に複数の光デバイスを検査したり、大面積の光デバイスを検査したりすることができる。
【0048】
また、キャピラリ15は、例えば図8図9に示すように、ブロック10とキャピラリ15の間に挿入される固定用柱材16によってブロック10に押し付けられて固定される。図9は、図8の領域Aの平面図である。固定用柱材16は図10に示すように円柱状であり、固定用柱材16を嵌入する嵌入孔をブロック10に形成する。嵌入孔は、キャピラリ15が嵌め込まれる空洞と平行してブロック10の厚さ方向に延伸する。即ち、図11に示すように、キャピラリ15が嵌め込まれる空洞11の周囲に、空洞11と平行に延伸する嵌入孔12をブロック10に形成する。嵌入孔12は空洞11の長手方向に沿って連続して形成され、空洞11に嵌め込まれたキャピラリ15と嵌入孔12に嵌入された固定用柱材16の側面が接触する。
【0049】
図12に、キャピラリ15の厚さ方向と垂直な断面図を示す。キャピラリ15には、光学的接続端部101が貫通する貫通孔150が形成されると共に、側面に固定用柱材16と嵌合する溝151が厚さ方向に形成されている。キャピラリ15を空洞11に嵌め込んだ後、嵌入孔12に固定用柱材16を嵌入することにより、キャピラリ15がブロック10に固定される。上記では、3本の固定用柱材16によってキャピラリ15をブロック10に固定する例を示した。
【0050】
キャピラリ15とブロック10の位置合わせは、例えば以下のように行われる。予めブロック10の外形とキャピラリ15に形成された基準穴152が所定の精度に収まるように設計した治工具に、キャピラリ15とブロック10をセットする。このとき、治工具に取り付けられた基準ピンに基準穴152が挿入されてキャピラリ15がセットされる。その後、光接続子100の位置とブロック10の外形が設計上の許容範囲に入るように、キャピラリ15を回転させて調整する。ブロック10の外形と光接続子100の位置が調整できたら、固定用柱材16を挿入してキャピラリ15を固定する。その後、キャピラリ15を固定したブロック10を治工具から取り外す。
【0051】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0052】
10…ブロック
15…キャピラリ
20…回路基板
21…接合パット
30…スティフナ
40…位置調整機構
41…引きばね
42…押しばね
60…ガイドプレート
70…ガイドピン
100…光接続子
101…光学的接続端部
200…電気接続子
201…電気的接続端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12