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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】不活性気体混入装置と粉粒体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/16 20060101AFI20240222BHJP
   B65G 65/46 20060101ALI20240222BHJP
   B65D 88/26 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B65G53/16
B65G65/46 D
B65D88/26 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019079424
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2019194125
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2018087763
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511238963
【氏名又は名称】有限会社鎌倉エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100158388
【弁理士】
【氏名又は名称】鱸 英俊
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 勝
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008153(JP,A)
【文献】特開2007-091242(JP,A)
【文献】特開2013-252898(JP,A)
【文献】特開2016-077948(JP,A)
【文献】特開2014-227191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/16
B65G 65/46
B65D 88/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を受け入れる受入槽と、
前記受入槽に供給される粉粒体を回転によって拡散する拡散盤と、
前記受入槽に不活性気体を供給する不活性気体供給手段と、を備え、
前記受入槽内で拡散された粉粒体に不活性気体を混入させる不活性気体混入装置であって、
前記受入槽は、円筒形状の上部と、逆円錐形状の下部と、を有し、前記下部の下端部に設けられた開口から粉粒体を排出可能であり、
前記不活性気体供給手段は、第の開口が先端部に設けられた第の噴出パイプを有し、
前記第の開口は、前記受入槽の前記上部に設けられ、上方から見た場合の前記円筒形状の中心の周りの回転方向について前記拡散盤の回転方向と同じ側を向いた方向でかつ下向きの方向に不活性気体を噴出する、
ことを特徴とする不活性気体混入装置。
【請求項2】
粉粒体を受け入れる受入槽と、
前記受入槽に供給される粉粒体を回転によって拡散する拡散盤と、
前記受入槽に不活性気体を供給する不活性気体供給手段と、を備え、
前記受入槽内で拡散された粉粒体に不活性気体を混入させる不活性気体混入装置であって、
前記受入槽は、円筒形状の上部と、逆円錐形状の下部と、を有し、前記下部の下端部に設けられた開口から粉粒体を排出可能であり、
前記不活性気体供給手段は、第の開口が先端部に設けられた第の噴出パイプを有し、
前記第の開口は、前記受入槽の前記上部に設けられ、前記拡散盤の回転方向と同じ方向でかつ前記受入槽の内壁に沿って不活性気体を噴出する、
ことを特徴とする不活性気体混入装置。
【請求項3】
前記不活性気体供給手段は、第2の開口が先端部に設けられた第2の噴出パイプを有し、
前記第2の開口は、前記受入槽の前記上部に設けられ、前記拡散盤の回転方向と同じ方向でかつ前記受入槽の内壁に沿って不活性気体を噴出する、
ことを特徴とする請求項に記載の不活性気体混入装置。
【請求項4】
前記不活性気体供給手段は、第3の開口が先端部に設けられた第3の噴出パイプをさらに有し、
前記第3の開口は、前記受入槽の前記上部に設けられ、前記円筒形状の中心側に向かって不活性気体を噴出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不活性気体混入装置。
【請求項5】
前記不活性気体供給手段は、液化状態の不活性気体を前記受入槽内で霧状に噴霧することによって前記受入槽に供給する吐出ノズルを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の不活性気体混入装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の不活性気体混入装置と、
粉粒体の空気を脱気して、該粉粒体を前記不活性気体混入装置の受入槽に供給する脱気供給装置と、を備えた、
ことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の不活性気体混入装置と、
前記不活性気体混入装置の受入槽から供給されてくる粉粒体に含まれている不活性気体及び空気を脱気して、該粉粒体を回収する回収装置と、を備えた、
ことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項8】
前記不活性気体混入装置の受入槽から供給されてくる粉粒体に含まれている不活性気体及び空気を脱気して、該粉粒体を回収する回収装置を備えた、
ことを特徴とする請求項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項9】
前記回収装置は、
前記不活性気体混入装置の前記受入槽内で不活性気体を混入された粉粒体を受け入れる回収槽と、
前記回収槽内で、粉粒体中の不活性気体及び空気を吸引脱気する気体抜き手段と、を有し、
前記粉粒体供給装置は、前記受入槽と前記回収槽を接続するパイプをさらに備え、
前記気体抜き手段によって前記回収槽内が負圧になることで、前記パイプを介して前記受入槽から前記回収槽に粉粒体が吸引され、
前記回収槽は、不活性気体及び空気を吸引脱気された粉粒体を排出する、
ことを特徴とする請求項又はに記載の粉粒体供給装置。
【請求項10】
前記回収装置が吸引脱気した気体の内、不活性気体を前記不活性気体混入装置の前記受入槽に供給する、不活性気体再利用装置を備えた、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体に不活性気体を混入する不活性気体混入装置と、この不活性気体混入装置を備えた粉粒体供給装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、粉、顆粒等の粉粒体は、収納袋に収納され、密閉されて保管されることが多い。ところが、粉粒体には、空気が混入されていることが多い。このため、粉粒体によっては、長期間、収納袋に密閉されていると、空気に含まれている酸素によって、酸化して、変質したり、固まったりするものがある。このような粉粒体には、小麦粉、脱脂粉乳、コピー機用の磁性体を含んだトナー等がある。
【0003】
そこで、従来、粉粒体に不活性気体を混入して、粉粒体が空気の影響を受けにくくした不活性気体混入装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4531743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の不活性気体混入装置は、円筒の中を移送する粉粒体に不活性気体を供給するため、粉粒体に不活性気体を行き渡らせるのが困難であった。
【0006】
また、このような不活性気体混入装置を備えて粉粒体を供給する粉粒体供給装置は、供給した粉粒体の品質を長期間、一定に保たせることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、粉粒体に不活性気体を混入し易くした不活性気体混入装置と、この不活性気体混入装置を備えて空気による影響を少なくした粉粒体を供給する粉粒体供給装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉粒体を受け入れる受入槽と、前記受入槽に供給される粉粒体を拡散する拡散手段と、前記受入槽に不活性気体を供給する不活性気体供給手段と、を備え、前記受入槽内で拡散された粉粒体に不活性気体を混入させる、ことを特徴とする不活性気体混入装置によって上記の課題を解決した。
【0009】
本発明は、上記の不活性気体混入装置と、粉粒体の空気を脱気して、該粉粒体を前記不活性気体混入装置の受入槽に供給する脱気供給装置と、を備えた、ことを特徴とする粉粒体供給装置によって上記の課題を解決した。
【0010】
本発明は、上記の不活性気体混入装置と、前記不活性気体混入装置の受入槽から供給されてくる粉粒体に含まれている不活性気体及び空気を脱気して、該粉粒体を回収する回収装置と、を備えた、ことを特徴とする粉粒体供給装置によって上記の課題を解決した。
【0011】
本発明は、上記不活性気体混入装置と、上記脱気供給装置と、上記回収装置と、を備えた、ことを特徴とする粉粒体供給装置によって上記の課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
本発明の不活性気体混入装置は、受入槽内で拡散された粉粒体に不活性気体を混入させるので、粉粒体に不活性気体を容易に行き渡らせることができる。
【0013】
本発明の粉粒体供給装置は、脱気供給装置によって粉粒体の空気を脱気してから、該粉粒体を不活性気体混入装置の受入槽に供給するので、空気による影響を少なくした粉粒体を供給することができる。
【0014】
本発明の粉粒体供給装置は、回収装置によって、不活性気体混入装置の受入槽から供給されてくる粉粒体に含まれている不活性気体及び空気を脱気して、該粉粒体を回収するようになっているので、空気による影響を少なくした粉粒体を供給することができる。
【0015】
本発明の粉粒体供給装置は、脱気供給装置によって粉粒体の空気を脱気してから、該粉粒体を不活性気体混入装置の受入槽に供給し、そして、回収装置によって、不活性気体混入装置の受入槽から供給されてくる粉粒体に含まれている不活性気体及び空気を脱気して、該粉粒体を回収するようになっているので、空気による影響を少なくした粉粒体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の不活性気体混入装置と、この不活性気体混入装置等を備えた本発明の実施形態の粉粒体供給装置との概略図である。
図2図1の粉粒体供給装置の脱気供給装置と不活性気体混入装置の一部分との断面図である。(A)は、脱気供給装置の粉粒体の供給方向(矢印Y方向)に沿った断面図である。(B)は、(A)のフィルタ体の部分拡大図である。
図3図2のC―C矢視断面図である。
図4図2のD―D矢視断面図である。
図5】他の形態の脱気供給装置と不活性気体混入装置の一部分との粉粒体の供給方向(矢印Y方向)に沿った断面図である。
図6図5のオーガと案内筒との拡大図である。
図7図6の矢印Kの部分拡大図である。
図8図1のE-E矢視断面図であり、窒素噴出部の概略図である。
図9】他の形態の不活性気体混入装置の図であり、図2に相当する図である。
図10図1に示す回収装置の外観斜視図である。
図11図10に示す回収装置の縦断面概略図である。
図12図11のJ-J矢視断面図である。
図13】回収装置のフィルタ体に振動素子を設けた場合の回収装置の縦断面概略図であり、図11に相当する図である。
図14】変形例に係る粉粒体供給装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の不活性気体混入装置と、不活性気体混入装置を備えた粉粒体供給装置とを図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態の不活性気体混入装置と、この不活性気体混入装置等を備えた本発明の実施形態の粉粒体供給装置の概略図である。
【0018】
図1において、粉粒体供給装置1は、脱気供給装置250、不活性気体混入装置400、回収装置600、真空ポンプ613及び不活性気体再利用装置700等を備えている。
【0019】
図1に示す、粉粒体供給装置1の動作を予め概略説明する。粉粒体供給装置1は、脱気供給装置250によって、粉粒体Pの空気を脱気して、該粉粒体を不活性気体混入装置400の受入槽としての受入ホッパ410に供給する。そして、不活性気体混入装置400が、受入ホッパ410内で、粉粒体を拡散し、その拡散した粉粒体に不活性気体を混入させる。最後に、回収装置600が、受入ホッパ410内で不活性気体を混入された粉粒体を回収槽としての回収ホッパ610で受け入れて、その回収ホッパ610内で、気体抜き手段としてのフィルタ体630によって、粉粒体中の不活性気体及び空気を吸引脱気する。その結果、粉粒体供給装置1は、空気の含有量の少ない粉粒体を供給することができる。
【0020】
(脱気供給装置250)
図1は、本発明の実施形態の不活性気体混入装置400と、この不活性気体混入装置400等を備えた本発明の実施形態の粉粒体供給装置1との概略図である。図2は、図1の粉粒体供給装置1の脱気供給装置250と不活性気体混入装置400の一部分との断面図である。図2(A)は、脱気供給装置250の粉粒体の供給方向(矢印Y方向)に沿った断面図である。図2(B)は、(A)のフィルタ体210の部分拡大図である。図3は、図2のC―C矢視断面図である。図4は、図2のD―D矢視断面図である。
【0021】
なお、脱気供給装置には、図1乃至図4に示す脱気供給装置250の他に、形態の異なる図5に示す脱気供給装置350もあるが、この脱気供給装置350については後述する。
【0022】
脱気供給装置250は、供給装置100と、脱気装置200とを備えている。
【0023】
(脱気供給装置250の供給装置100)
供給装置100は、貯留ホッパ101と、貯留ホッパ101の下部に接続され、上下方向を向いて粉粒体を案内する円筒状の案内筒102と、案内筒102内で回転して粉粒体を供給する軸状のスクリュとしてのオーガ110等を備えている。なお、貯留ホッパ101は、必ずしも必要としない。
【0024】
貯留ホッパ101は、不図示の支持フレームに支持されて、略逆円錐状に形成されている。貯留ホッパ101は、不図示の粉粒体供給装置或いはユーザによって供給された粉粒体Pを貯留するようになっている。貯留ホッパ101の上部は、粉粒体が供給されるようになっている。貯留ホッパ101の下部は、粉粒体を排出して供給できるように解放されている。貯留ホッパ101には、後述するオーガ110の回転軸111が貫通している。回転軸111の上部には、プーリ103が設けられている。プーリ103には、不図示のモータの回転を伝達するベルト104が掛けられている。回転軸111の貯留ホッパ101内の中間部分には撹拌片105が複数設けられている。撹拌片105は、貯留ホッパ101の逆円錐状の部分の内面に沿って、回転軸111によって回転して、貯留ホッパ101内の粉粒体を撹拌し、粉粒体が貯留ホッパ101から流出し易くする部材である。
【0025】
図2において、オーガ110は、案内筒102と貯留ホッパ101との内部に位置して回転する回転軸111と、回転軸111の外周に螺旋状に設けられて、回転軸111の回転によって案内筒102内で回転して粉粒体を搬送する羽根112とで形成されている。羽根112は、図3に示すように、回転軸111と直交する図2のC―C矢視方向から見ると円形に形成されている。回転軸111は、貯留ホッパ101に回転自在に支持されている。羽根112は、案内筒102の下端部である粉粒体排出口102bまで延びている。回転軸111は、粉粒体排出口102bより、さらに、下方に延びている。
【0026】
なお、オーガとしては、図5乃至図7に示すように、回転軸が中空状の回転軸371と回転軸371に設けられた羽根112とで形成されたオーガ370も有り、図2に示すオーガ110のみに限定されるものではない。
【0027】
以上の供給装置100は、回転軸111が不図示のモータによって回転すると、回転軸111と一体の羽根112も回転する。すなわち、オーガ110が回転する。すると、供給装置100は、貯留ホッパ101内の粉粒体Pを、回転する羽根112によって案内筒102に送り込み、さらに、案内筒102内を矢印Y方向に搬送して、案内筒102の粉粒体排出口102bから、後述する不活性気体混入装置400の受入槽としての受入ホッパ410に供給するようになっている。供給装置100は、オーガ110の回転を止めると、粉粒体の搬送を停止して、オーガ110によって、粉粒体を案内筒102内に保持することができる。
【0028】
(脱気供給装置250の脱気装置200)
図1乃至図4において、脱気装置200は、主に、案内筒102に設けられている。脱気装置200は、供給装置100の案内筒に設けられたフィルタ体210と、フィルタ体210を覆って形成された負圧室220と、負圧室220を負圧にする空気吸引装置230と等を備えている。
【0029】
フィルタ体210は、円筒状に形成されている。フィルタ体210は、案内筒102の一部分に空気抜き孔211aが形成されて案内筒102と兼用された内筒211と、案内筒102の外周に設けられた円筒状のフィルタ212と、フィルタ212の外周に設けられた補強筒213等で形成されている。なお、案内筒102において、フィルタ体210を構成する部分(後述する空気抜き孔211aが形成された部分)は「内筒211」と称することとするが、内筒211の部分も案内筒102である。
【0030】
フィルタ212は、内筒211内の気体が空気抜き孔211aを介して外部に吸引されるのを許容し、かつ内筒211内の粉粒体が空気抜き孔211aから外部に漏れるのを阻止するようになっている。
【0031】
内筒211の空気抜き孔211aが形成された部分(フィルタ体としての内筒)は、強度的に弱くなっている。また、円筒状のフィルタ212の外周の部分は保護する必要がある。このため、内筒211を補強し、かつフィルタ212の外周を保護するために、補強筒213が、内筒211とでフィルタ212を挟んでフィルタ212の外側に設けられている。補強筒213は、フィルタ212を覆う長さを有している。また、補強筒213にも、内筒211に形成された空気抜き孔211aに対向して複数の空気抜き孔213aが形成されている。この空気抜き孔213aも、内筒211の内部の空気を外部に案内するようになっている。
【0032】
補強筒213の外周には、負圧室220が設けられている。負圧室220は、外周筒221と、上蓋222と、下蓋223とで形成されている。外周筒221は、補強筒213から離間して、上部をリング状の上蓋222によって案内筒102に取り付けられ、下部をリング状の下蓋223によって案内筒102の粉粒体排出口102bの近くに設けられている。負圧室220は、空気抜き孔211a,213aが形成されている領域より広い領域に形成されている。図2(B)は、内筒211、フィルタ212、補強筒213、外周筒221の位置関係を示した図である。なお、内筒211が外周筒221によって補強されるのであれば、補強筒213は、必ずしも必要としない。
【0033】
負圧室220の上蓋222に形成された気体通過孔224には、負圧室220と空気吸引装置(吸引装置)230とを接続する負圧エルボ226が設けられている。負圧エルボ226は、図3図4に示すように、4つ、90度間隔で設けられている。負圧エルボ226は、4つに限定されない。少なくとも1つあればよい。
【0034】
以上の脱気装置200は、空気吸引装置230を作動させて、負圧室220内の空気を抜き、負圧室220内を負圧にする。負圧室220内が負圧になると、空気抜き孔213a、フィルタ212、空気抜き孔211aを介して、案内筒102内の空気が吸引される。これに伴って、オーガ110によって案内筒102内を搬送されている粉粒体に含まれている空気が抜き取られる(脱気される)。したがって、脱気装置200は、供給装置100が貯留ホッパ101から後述する不活性気体混入装置400の受入ホッパ410に送り込む途中の粉粒体から空気を抜き取ることができる(脱気することができる)。
【0035】
(他の形態の脱気供給装置350)
以上の脱気供給装置250の脱気装置200のフィルタ体210と負圧室220は、案内筒362に設けられている。しかし、図5乃至図7に示す脱気供給装置350の脱気装置300のように、フィルタ体310と負圧室320は、中空状にした回転軸371に設けられていてもよい。また、図示しないが、脱気供給装置における、脱気装置のフィルタ体と負圧室は、案内筒との回転軸との両方に設けられていても良い。すなわち、脱気装置のフィルタ体と負圧室は、案内筒と、回転軸との少なくとも何れか一方に設けられていればよい。
【0036】
図5は、供給装置360と脱気装置300と不活性気体混入装置400との粉粒体の供給方向(矢印Y方向)に沿った断面図である。図6は、図5のオーガ370と案内筒362との拡大図である。図7は、図6の矢印Kの部分拡大図である。
【0037】
脱気供給装置350は、供給装置360と脱気装置300とで構成されている。
【0038】
(脱気供給装置350の供給装置360)
図5乃至図7において、供給装置360は、図1の貯留ホッパ101と同様な構造の貯留ホッパ101と、貯留ホッパ101の下部に接続され、上下方向を向いて粉粒体を案内する円筒状の案内筒362と、案内筒362内で回転して粉粒体を供給する軸状のスクリュとしてのオーガ370等を備えている。図5乃至図7におけるオーガ370は、中空状の回転軸371と、回転軸371の外周に螺旋状に設けられた羽根112とで形成されている。中空状の回転軸371の中空部371Cは、脱気装置300の負圧室320として使用されている。なお、貯留ホッパ101は、必ずしも必要としない。
【0039】
この供給装置360もオーガ370が回転することによって粉粒体を案内筒362内で搬送して、不活性気体混入装置400の受入ホッパ410内に供給することができる。
【0040】
(脱気供給装置350の脱気装置300)
図5乃至図7において、脱気装置300は、中空状の回転軸371を利用したフィルタ体310と、回転軸371の中空部371Cを利用した負圧室320と、負圧室320を負圧にする空気吸引装置230等で形成されている。
【0041】
フィルタ体310は、円筒状に形成されている。フィルタ体310は、中空状の回転軸371の一部分に空気抜き孔311aが形成されて中空状の回転軸371と兼用された外筒311と、中空状の回転軸371の内周の設けられた円筒状のフィルタ312と、フィルタ312の内周に設けられた補強筒313等で形成されている。なお、回転軸371において、フィルタ体310を構成する部分(後述する空気抜き孔311aが形成された部分)は「外筒311」と称することとするが、外筒311の部分も回転軸371である。
【0042】
フィルタ312は、案内筒362内の空気が外筒311の空気抜き孔311aを介して外筒内(回転軸371の中空部371C内)に吸引されるのを許容し、かつ案内筒362内の粉粒体が空気抜き孔311aを介して外筒311内(中空部内)、補強筒313内に侵入するのを阻止するようになっている。
【0043】
外筒311の空気抜き孔311aが形成された部分は、強度的に弱くなっている。また、円筒状のフィルタ312の内周の部分は保護する必要がある。このため、外筒311を補強し、かつフィルタ312の内周を保護するために、補強筒313が、外筒311とでフィルタ312を挟んでフィルタ312の内側に設けられている。補強筒313は、フィルタ312を覆う長さを有している。また、補強筒313にも、外筒311の空気抜き孔311aに対向して複数の空気抜き孔313aが形成されている。この空気抜き孔313aも、案内筒362の内部の空気を外筒311内に案内するようになっている。
【0044】
補強筒313の内周は、負圧室320になっている。すなわち、図5において、中空状の回転軸371の中空部371C内は、負圧室320になっている。中空状の回転軸371の下端部には、後述する円盤状の拡散盤401が設けられ、中空状の回転軸371の上端部は、空気吸引装置230に接続されている。これによって、補強筒313の内周(回転軸371の中空部371Cの内部)の負圧室320は、密閉されていることになる。負圧室320は、空気抜き孔311a,313aが形成されている領域より広い領域に形成されている。
【0045】
図7は、図6の矢印Kの部分拡大図であり、外筒311(中空状の回転軸371)、フィルタ312、補強筒313の位置関係を示した図である。補強板330は、外筒311を補強し、かつ中空状の回転軸371に羽根112を取り付け易くするため、螺旋状の羽根112に沿って設けられている。なお、外筒311(中空状の回転軸371)とフィルタ312が剛性を備えていれば、補強筒313と補強板330の両方、或いは一方は、必ずしも必要としない。
【0046】
以上の脱気装置300は、空気吸引装置230を作動させて、負圧室320(回転軸371の中空部371C)内の空気を抜いて、負圧室320内を負圧にする。負圧室320内が負圧になると、空気抜き孔313a、フィルタ312、空気抜き孔311aを介して、案内筒362内の空気が吸引される。これに伴って、オーガ370によって案内筒362内を搬送されている粉粒体に含まれている空気が抜き取られる(脱気される)。したがって、脱気装置300は、供給装置360が貯留ホッパ101から後述する不活性気体混入装置400の受入ホッパ410に送り込む途中の粉粒体から空気を抜き取ることができる(脱気することができる)。
【0047】
(不活性気体混入装置400)
図1図2において、不活性気体混入装置400は、脱気装置200によって脱気された粉粒体を拡散して、該粉粒体と不活性気体とを互いに混入するようになっている。不活性ガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素N2等があるが、本実施形態では、窒素N2を使用するものとするが、これに限定されるものではない。
【0048】
不活性気体混入装置400は、脱気供給装置250によって供給される粉粒体を受け入れる受入槽としての受入ホッパ410と、受入ホッパ410に供給された粉粒体を拡散する拡散手段としての拡散盤401と、受入ホッパ410に不活性気体としての窒素を供給する不活性気体供給手段として窒素噴出部420と、窒素発生装置710等を備えている。なお、窒素発生装置710の代わりに窒素ボンベイを使用してもよい。
【0049】
拡散盤401は、オーガ110の上下方向を向いた回転軸111の下端部111a(図2)に、案内筒102の下端部である粉粒体排出口102bに対して平行に隙間Gを有して、回転軸111に対して直角に設けられている。隙間Gは、回転軸111の下端部111aに形成されて拡散盤401の中心孔401bを貫通するボルト111b、ボルト111bに装着されるワッシャ状の複数枚の隙間調節板114、ボルト111bにねじ込まれるナット115等によって、粉粒体に合わせて調節できるようになっている。
【0050】
拡散盤401の円周の縁には、案内筒102側に突出した突条部401aが形成されている。突条部401aは、オーガ110が回転を停止して案内筒102内に保持された粉粒体が安息角αを形成して拡散盤401に積載され易くするために形成してある。
【0051】
受入ホッパ410(図1)は、上部410aが円筒状に形成され、下部410bが円錐状に形成されている。受入ホッパ410の上部410aは、蓋411によって塞がれている。蓋411(図2)には、供給装置100のオーガ110の下端部とともに案内筒102の粉粒体排出口102bを受け入れる貫通孔411aが形成されている。このため、蓋411は案内筒102を支持するようになっている。受入ホッパ410(図1)の下部410bは、後述する回収装置600の回収ホッパ610に粉粒体を案内する案内パイプ430に接続されている。
【0052】
図8は、図1のE-E矢視断面図であり、窒素噴出部420を示す概略図である。窒素噴出部420は、図1図8に示す不活性気体排出口としての複数の窒素噴出パイプ421乃至426で構成されており、何れの窒素噴出パイプも、窒素発生装置710(図1)から供給される窒素N2を受入ホッパ410内に噴出するようになっている。符号421(図1)で示す窒素噴出パイプは、蓋411に設けられて、窒素を上方から下方に噴出するようになっている。符号422乃至426で示す窒素噴出パイプは、受入ホッパ410内に横向きに設けられている。符号424(図8)で示す窒素噴出パイプは、受入ホッパ410の中心に向けて窒素を噴出するようになっている。また、符号425で示す窒素噴出パイプは、オーガ110の回転方向Rと同じ方向で、かつ受入ホッパ410の内壁に沿って窒素を噴出するようになっている。符号426で示す窒素噴出パイプは、オーガ110の回転方向Rと同じ方向で、かつ下向きに窒素を噴出するようになっている。窒素噴出パイプ426のように、窒素をオーガ110の回転方向Rと同じ方向で、かつ下向きに噴出すると粉粒体を効率良く拡散することができる。窒素噴出パイプの数と向きは、限定されない。
【0053】
以上の不活性気体混入装置400は、供給装置100(図2)のオーガ110の回転によって、案内筒102内を搬送されて案内筒102の粉粒体排出口102bから供給される粉粒体を拡散盤401で受け止める。そして、拡散盤401は、オーガ110と一体に水平回転している。このため、拡散盤401は、案内筒102の粉粒体排出口102bと拡散盤401との隙間Gから粉粒体を、粉粒体の遠心力によって拡散盤401の略接線方向に飛散させて、受入ホッパ410内に図1の破線で示すように拡散させることができる。
【0054】
不活性気体混入装置400は、粉粒体を受入ホッパ410内に拡散するのと相前後して、窒素発生装置710から供給されてくる窒素を窒素噴出パイプ422乃至426から噴出する。この結果、不活性気体混入装置400は、粉粒体の拡散と、窒素の噴出とによって、粉粒体と窒素とを受入ホッパ410内で互いに混入させることができる。
【0055】
なお、以上の不活性気体混入装置400の拡散盤401は、図2に示すように、供給装置100のオーガ110の回転軸111の下端部111aに設けられているが、図5に示すように、脱気供給装置350の脱気装置300の回転軸371の下端部371aに設けられていてもよい。この場合においても、拡散盤401は、案内筒362の下端部である粉粒体排出口362bに対して平行に隙間Gを有して、回転軸371に対して直角に設けられている。また、図5における隙間Gは、図2と同様にボルト、ナット、隙間調節板によって、調節できるようになっていてもよい。
【0056】
また、以上の不活性気体混入装置400は、粉粒体を拡散するのに拡散盤401を使用しているが、図9に示す不活性気体混入装置500のように、脱気装置200からの粉粒体に窒素を吹き付けて、該粉粒体を拡散する拡散手段としての窒素噴出パイプ521を使用してもよい。この不活性気体混入装置500は、不活性気体混入装置400の構造において拡散盤401の代わりに窒素噴出パイプ521を設けたものであり、他の部分は不活性気体混入装置400の構造と同じであるので同一部分に同一符号を付して一部分を図示し、その他の図示を省略する。
【0057】
(回収装置600)
図10は、図1に示す回収装置600の外観斜視図である。図11は、図10の縦断面概略図である。図12は、図11のJ-J矢視断面図である。
【0058】
回収装置600は、不活性気体混入装置400(又は500)によって不活性気体を混入された粉粒体を受け入れる回収槽としての回収ホッパ610と、回収ホッパ610内で、粉粒体中の不活性気体及び残留空気を吸引脱気する気体抜き手段としてのフィルタ体630等を備えている。回収ホッパ610は、不活性気体及び残留空気を吸引脱気された粉粒体を回収するようになっている。
【0059】
回収ホッパ610は、支持フレーム601(図10)に支持されている。回収ホッパ610は、上部610aと中間部610bとが円筒状に形成され、下部610cが逆円錐状に形成されている。
【0060】
回収ホッパ610の上部610aには、円盤状の蓋611が設けられている。蓋611の中央には、蓋611に対し取り付け取り外しできるフランジ615が設けられている。フランジ615には、吸引パイプ612が接続されている。吸引パイプ612(図1)は、真空ポンプ613に接続されている。回収ホッパ610(図11)の上部610aは、フランジ615、蓋611、吸引パイプ612等によって密閉されている。回収ホッパ610の中間部610bは、不活性気体混入装置400からの不活性気体を混入された粉粒体Pを案内する案内パイプ430が接続されている。回収ホッパ610の下部610cには、バタフライ弁614と、粉粒体Pを回収する回収容器620とが設けられている。
【0061】
フランジ615の下端部には、フィルタ保持板616が着脱金具617によって着脱自在に密着して設けられている。フィルタ保持板616には、フィルタ体630が吊り下げ状態で設けられている。蓋611の下面には、円筒状のフィルタ体630の外周から離間してフィルタ体630を覆う円筒状のフィルタ保護筒640が吊り下げ状態で設けられている。フィルタ体630とフィルタ保護筒640は、同心円状に配置されている。フィルタ保護筒640は、フィルタ体630以上の長さに形成されている。
【0062】
フィルタ体630は、内筒フィルタ631と、内筒フィルタ631の外周に離間して位置する外筒フィルタ632と、内筒フィルタ631と外筒フィルタ632との下端部同士を接続するリング状の底部633とを有している。すなわち、フィルタ体630は、2重筒状に形成されている。そして、内筒フィルタ631の内径下端部631cは、開放されている。内筒フィルタ631と外筒フィルタ632との間には、気体吸引空間AR2が形成されている。内筒フィルタ631の上端部631aと外筒フィルタ632の上端部632aとの間は、フランジ615に形成された気体流出口618に接続されている。気体流出口618は、吸引パイプ612に連通している。このため、気体吸引空間AR2は、気体流出口618を介して吸引パイプ612に連通している。
【0063】
以上、説明した、案内パイプ430、回収ホッパ610、蓋611、フランジ615、フィルタ保持板616、着脱金具617、フィルタ体630及びフィルタ保護筒640等は、金属製であるが、錆びにくいSUS製であることが好ましい。
【0064】
以上の構成の回収装置600において、真空ポンプ613が作動すると、吸引パイプ612を通じて回収ホッパ610内の気体が吸引されて、回収ホッパ610内が負圧になり、さらに、案内パイプ430を通じて不活性気体混入装置400の受入ホッパ410内も負圧になる。この結果、受入ホッパ410内の窒素や残留空気を含んだ粉粒体Pが回収ホッパ610内に吸引される。粉粒体Pは、回収ホッパ610とフィルタ保護筒640との間の粉粒体回収空間AR1内に吸引される。
【0065】
図12に示すように、案内パイプ430が、フィルタ保護筒640の外周640aの接線方向を向いているので、粉粒体Pは、案内パイプ430の近くのフィルタ保護筒640に当たることが少ない。このため、フィルタ保護筒640に当たる粉粒体の量が少なく、粉粒体がフィルタ保護筒640に当たるときに発生する衝突音を小さくすることができる。また、フィルタ体630は、フィルタ保護筒640に囲まれているので、粉粒体が直接当たることがなく、粉粒体によって損傷を受けることがない。さらに、フィルタ体630に直接、粉粒体が当接することがないので、粉粒体が当接することにより生じるフィルタ体630の目詰まりを防止することができる。この結果、回収装置600は、長期間使用することができる。
【0066】
回収ホッパ610内に吸引された窒素や残留空気を含んだ粉粒体Pは、フィルタ保護筒640の下端部640c(図11)からフィルタ保護筒640内に吸引されようとする。しかし、粉粒体は、回収ホッパ610の内壁610dに沿って、或いはフィルタ保護筒640の外周640aに沿って、螺旋状に下方に流れる。このため、粉粒体Pは、窒素や残留空気気体と容易に分離して回収容器620に回収される。
【0067】
窒素N2や残留空気は、フィルタ保護筒640と外筒フィルタ632との間の粉粒体回収空間AR1と、内筒フィルタ631内の粉粒体回収空間AR1とに吸引されるが、多少、粉粒体を含んでいる。しかし、窒素N2や残留空気は、内筒フィルタ631と外筒フィルタ632とを通過して、内筒フィルタ631と外筒フィルタ632との間の気体吸引空間AR2に吸引されるとき、内筒フィルタ631と外筒フィルタ632によって粉粒体Pを除去(分離)される。したがって、窒素N2及び残留空気は、粉粒体と分離されて、粉粒体を含んでいない気体Qとなって、気体流出口618、吸引パイプ612を経て真空ポンプ613に吸引される。内筒フィルタ631と外筒フィルタ632とに付着した粉粒体は、ある程度の量になると、回収容器620内に、自重落下して回収容器620に回収される。
【0068】
回収容器620に溜まった粉粒体は、回収容器620を回収ホッパ610から取り外して、再利用することができる。回収容器620を取り外すとき、回収ホッパ610内が負圧になっていることがある。このため、回収容器620を取り外すと回収ホッパ610が大気圧に戻り、再度、回収装置600を起動するとき、回収ホッパ610内が負圧に戻るのに時間を要することなり、起動時間が長くなる。
【0069】
そこで、回収ホッパ610内の負圧を維持するため、回収ホッパ610と回収容器620との間の回収ホッパ610の下部610cには、開閉弁としてのバタフライ弁614が設けてある。バタフライ弁614は、矢印M方向に回転して、回収ホッパ610の下部610cを開閉するようになっている。また、案内パイプ430には、逆流止め弁641が設けてあり、吸引パイプ612には、逆止め弁642が設けてある。したがって、回収容器620を回収ホッパ610から取り外すとき、バタフライ弁614、逆流止め弁641及び逆止め弁642を閉めると、回収ホッパ610内を負圧に維持することができて、回収装置600を再度起動するとき、速やかに起動させることができる。
【0070】
また、回収装置600の長期間の使用や、粉粒体の性質によっては、フィルタ体630に目詰まりが生じることがある。そこで、フィルタ体630の目詰まりは、図13に示すように、フィルタ体630の内筒フィルタ631内に振動素子651を設けて、フィルタ体630の目詰まりを解消してもよい。振動素子651は、超音波振動を発生する振動発生源であり、超音波コントロールユニット652に接続されている。超音波コントロールユニット652には、真空ポンプコントロールユニット653が接続されている。フィルタ体630の目詰まりによって、真空ポンプ613(図1)の負荷電流値が所定の値以上になったことを真空ポンプコントロールユニット653によって検知されると、超音波コントロールユニット652は、振動素子651を超音波振動させる。フィルタ体630は、振動素子651によって超音波振動させられて、フィルタ体630に目詰まりしている粉粒体を振るい落して、フィルタ体630の目詰まりを解消する。
【0071】
フィルタ体630は、上部がフィルタ保持板616に取り付けられているが、下部はどこにも支持されていない自由端部になっている。このため、振動素子651がフィルタ保持板616の下部近くに設けられていることによって、フィルタ体630は、下部に行くほど程、振動素子651の振動が増幅されて振動することになり、目詰まりが速やかに解消される。なお、振動素子651の振動数は、粉粒体に応じて、超音波コントロールユニット652によって、調節できるようになっている。このため、吸引する粉粒体が代わってもフィルタ体630の目詰まりを防止することができる。
【0072】
なお、回収装置600は、CPU654によって制御されるようになっているが、超音波コントロールユニット652と真空ポンプコントロールユニット653は、そのCPU654によって制御される。
【0073】
なお、以上の回収装置600において、内筒フィルタ631内に、さらに、もう一組の外筒フィルタと内筒フィルタとを設けて、外筒フィルタと内筒フィルタとが複数組設けられた、多重組の構成であってもよい。
【0074】
(不活性気体再利用装置700)
図1において、不活性気体再利用装置700は、大気吸引弁721、コンプレッサ720及び窒素発生装置710等を備えている。コンプレッサ720は、大気吸引弁721を介して大気Uを吸引し、その大気Uを窒素発生装置710に供給するようになっている。大気吸引弁721は、真空ポンプ613に接続されており、真空ポンプ613が回収装置600から吸引した窒素N2と残留吸気との気体Qを、コンプレッサ720が吸引する大気Uと一緒にコンプレッサ720に吸引されるようにしている。窒素発生装置710は、コンプレッサ720から送り込まれてきた大気Uと気体Qの内、窒素を分離回収して不活性気体混入装置400に供給することができる。したがって、不活性気体再利用装置700は、回収装置600で回収した窒素N2を再利用することができて、不活性気体混入装置400に速やかに供給することができる。
【0075】
なお、不活性気体再利用装置700は、必ずしも必要としない。この場合、大気吸引弁721とコンプレッサ720は、必要ないが、窒素発生装置710は不活性気体混入装置400には必要である。さらに、この場合、不活性気体混入装置400の代わりに窒素ボンベイを使用してもよい。
【0076】
以上の説明において、不活性気体混入装置400(又は図9の不活性気体混入装置500)は、粉粒体を受け入れる受入槽としての受入ホッパ410と、受入ホッパ410に供給される粉粒体Pを拡散する拡散手段としての拡散盤401(又は、図9の窒素噴出パイプ521)と、受入ホッパ410に不活性気体としての窒素N2を供給する不活性気体供給手段としての窒素噴出部420と、を備えている。
【0077】
不活性気体混入装置400は、受入ホッパ410内で拡散された粉粒体に窒素N2を混入させるようになっているので、粉粒体に不活性気体を容易に混入させることができる。なお、一般に空気には、酸素が約30%含まれている。そこで、粉粒体に混入している空気に含まれている酸素が約1%程度になるように、窒素を粉粒体に混入している空気に混入させるのが好ましい。
【0078】
また、以上の説明において、粉粒体供給装置1は、不活性気体混入装置400(又は図9の不活性気体混入装置500)と、粉粒体の空気を脱気して、該粉粒体を不活性気体混入装置の受入ホッパ410に供給する脱気供給装置250(又は、図5の脱気供給装置350)と、で構成されていてもよい。
【0079】
この場合の粉粒体供給装置1は、粉粒体の空気を脱気して、該粉粒体を不活性気体混入装置の受入ホッパ410に供給するため、粉粒体に混入している空気の量が少なく、不活性気体混入装置において、粉粒体に混入する窒素の量を少なくすることができる。また、粉粒体に混入する窒素の量が少ないと、粉粒体の嵩張りを少なくすることができる。
【0080】
さらに、以上の説明において、粉粒体供給装置1は、不活性気体混入装置400(又は図9の不活性気体混入装置500)と、不活性気体混入装置の受入ホッパ410に含まれている窒素N2及び空気を脱気して、該粉粒体を回収する回収装置600と、で構成されていてもよい。
【0081】
この場合の粉粒体供給装置1は、不活性気体混入装置400において、粉粒体全体に窒素N2が行き渡った状態で、粉粒体に混入されている空気が窒素によって薄められているので、回収装置で窒素N2及び空気を脱気すると、残留空気を少なくすることができ、粉粒体が酸化することを防止できる。
【0082】
また、以上の説明において、粉粒体供給装置1は、不活性気体混入装置400(又は図9の不活性気体混入装置500)と、粉粒体の空気を脱気して、該粉粒体を不活性気体混入装置の受入ホッパ410に供給する脱気供給装置250(又は、図5の脱気供給装置350)と、不活性気体混入装置の受入ホッパ410に含まれている窒素N2及び空気を脱気して、該粉粒体を回収する回収装置600と、で構成されていてもよい。
【0083】
この場合の粉粒体供給装置1の全体動作を説明する。供給装置100の貯留ホッパ101に粉粒体Pが投入される。このとき、粉粒体Pは空気を含んでいる。そして、スクリュとしてのオーガ110が回転して、粉粒体Pを貯留ホッパ101から、一部分に脱気装置200のフィルタ体210が形成された案内筒102を案内にして、粉粒体を案内筒102の下方の受入ホッパ410に搬送し、供給する。このとき、空気吸引装置230によって負圧室220内が負圧になっており、フィルタ体210内も負圧になっている。このため、粉粒体は、含まれている空気が脱気装置200によって吸引されて、脱気される。このとき、粉粒体は脱気されることによって締まった状態になる。このため、空気は、粉粒体からある程度抜き取ることができても、全部を抜き取ることが困難であり、残留空気として粉粒体に多少残る場合がある。
【0084】
そこで、粉粒体に窒素を混入させて、残留空気中の酸素の濃度を薄めるようにする。このため、粉粒体を案内筒102から排出するとき、オーガ110と一体に回転している拡散盤401によって、粉粒体を受入ホッパ410内に拡散して排出するととともに、受入ホッパ410内に不活性気体混入装置400によって窒素を吹き込む。粉粒体は、拡散されて受入ホッパ410内を落下していくため、窒素を混ぜ合わせられ易くなっている。しかも、吹き込まれる窒素の量が残留空気中の酸素の量より多く設定されているので、残留空気中の酸素が窒素によって薄められる。この結果、残留空気中の酸素の濃度が低くなる。
【0085】
その後、真空ポンプ613によって、回収装置600の回収ホッパ610内と、不活性気体混入装置400の受入ホッパ410内とが負圧になり、受入ホッパ410内の残留空気と窒素とを含んだ粉粒体が回収ホッパ610内に吸引される。そして、回収装置600内のフィルタ体630によって、粉粒体から残留空気と窒素とが抜き取られて、粉粒体が回収容器620に排出されて回収される。この場合、粉粒体に残留空気のみでなく、窒素も含まれているため、回収装置600は、残留空気を窒素とともに容易に抜き取ることができる。
【0086】
このように、本実施形態の粉粒体供給装置1は、残留空気が残っている粉粒体を拡散して粉粒体全体に略均一に窒素を含ませてから、残留空気と窒素とを抜き取るようになっているので、残留空気の回収率を高めることができる。しかも、仮に残留空気が残っていたとしても、残留空気中の酸素が窒素によって薄められて粉粒体は、酸化されることが少なくない。
【0087】
なお、回収装置600で回収された気体Qに含まれている窒素N2は、不活性気体再利用装置700によって、再利用される。
【0088】
(液体窒素を用いる変形例)
次に、不活性気体の供給方法として液体窒素を用いる変形例について説明する。図14は、本変形例に係る粉粒体供給装置1の概略図であり、液体窒素供給部800を備えている点で図1に示す実施形態と異なっている。その他の上記実施形態と共通する要素については共通の符号を付して説明を省略する。
【0089】
液体窒素供給部800は、液体窒素LN2を貯留するタンク810と、タンク810から受入ホッパ410へ向けて液体窒素LN2を供給する供給ポンプ820と、受入ホッパ410に取り付けられた吐出ノズル427と、によって構成される。供給ポンプ820は、タンク810と吐出ノズル427とを接続する配管経路上に設置され、タンク810の液体窒素LN2を加圧して吐出ノズル427へ向けて送り出す。この配管は、二重構造であったり、外周部に断熱材を巻き付けたりすることにより断熱性を有するものであり、液体窒素LN2を液体のままで吐出ノズル427に供給することが可能である。
【0090】
吐出ノズル427は、受入ホッパ410の内部に液体窒素LN2を吐出し、拡散手段としての拡散盤401によって拡散された粉粒体Pに不活性気体としての窒素を供給する。吐出ノズル427は、気体の窒素N2を噴出する窒素噴出パイプ421乃至426と共に、不活性気体供給手段としての窒素供給部420Aを構成している。
【0091】
吐出ノズル427から吐出されて、通常は室温環境である受入ホッパ410の内部に放出された液体窒素LN2は速やかに気化して気体となる。液体から気体に変化することで、同物質量の窒素の体積は約700倍に膨張する。従って、吐出ノズル427が単位時間当たりに吐出する液体窒素LN2の体積を比較的少量に設定しても、粉粒体Pに多量の窒素N2を混入することができる。このことは、粉粒体供給装置1のスループット(単位時間当たりに回収容器に回収可能な粉粒体の量)を引き上げるために有効である。
【0092】
なお、受入ホッパ410内で速やかに気化する不活性の物質(0℃、大気圧下で気体の不活性物質であって、液化された状態のもの)であれば、液体窒素供給部800と同様の装置により受入ホッパ410に不活性気体を供給することが可能である。このような不活性の物質としては、アルゴン等の希ガスや二酸化炭素を挙げることができる。
【0093】
また、吐出ノズル427は、液体窒素LN2が速やかに気化することを助けるため、液体窒素LN2を霧状に噴霧するものを用いると好適である。また、吐出ノズル427の配置としては、窒素噴出パイプ421乃至426と同様に、拡散盤401の回転方向に沿って液体窒素LN2を吐出するように配置することが可能である。また、液体窒素LN2を供給することにより粉粒体Pの温度が過度に低下することを避けるために、受入槽410に温度センサ及びヒータを取り付けてもよい。
【0094】
なお、本変形例では、液体窒素供給部800と、気体の窒素を供給する不活性気体再利用装置700とを併用しているが、十分な量の窒素を粉粒体に混入できる場合は液体窒素供給部800のみを使用する形態としてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1:粉粒体供給装置、100:供給装置、102:案内筒、110:オーガ(スクリュ)、200:脱気装置、250:脱気供給装置、300:脱気装置、350:脱気供給装置、360:供給装置、362:案内筒、370:オーガ(スクリュ)、400:不活性気体混入装置、401:拡散盤(拡散手段)、410:受入ホッパ(受入槽)、420:窒素噴出部(不活性気体供給手段)、420A:窒素供給部(不活性気体供給手段)、421乃至426:窒素噴出パイプ(不活性気体排出口)、500:不活性気体混入装置、521:窒素噴出パイプ(拡散手段)、600:回収装置、610:回収ホッパ(回収槽)、630:フィルタ体(気体抜き手段)、700:不活性気体再利用装置700、G:隙間、N2:窒素(不活性気体)、P:粉粒体、Q:気体、R:拡散盤の回転方向、U:大気。
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