(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
F03G 1/06 20060101AFI20240222BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240222BHJP
F03G 1/00 20060101ALI20240222BHJP
F03G 1/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F03G1/06
H02K7/116
F03G1/00 A
F03G1/02
(21)【出願番号】P 2020029651
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】Orbray株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青柳 智英
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153301(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181341(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0299415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 1/00- 7/10
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置は少なくとも、発電機構と、スイッチと、弾性付与手段を備え、
発電機構は少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成され、
捩りコイルバネは、第1捩りコイルバネと第2捩りコイルバネであり、
第1可動部品が第1中心軸に回転可能に軸支されていると共に、第2可動部品が第2中心軸に回転可能に軸支されており、
第1捩りコイルバネの巻回部である第1巻回部が第1中心軸に巻回され、第1巻回部の第1の端部が自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されており、
第2捩りコイルバネの巻回部である第2巻回部が、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回され、第2巻回部の第1の端部は自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されており、
更に第1巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第1巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie1が第1巻回部に付与されており、
第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与されており、
スイッチは、第2中心軸か又は第2中心軸に連結されている軸を支点として揺動し、その揺動毎に時計方向及び反時計方向に回転し、左右両端が上下するシーソー式であり、
スイッチの回転により第2可動部品が一定量回転され、第1可動部品の歯部と第2可動部品の歯部が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転され、
第1可動部品の一定量の回転により、
第1捩りコイルバネが捩られ、その捩りによる弾性エネルギー
ie12が
第1捩りコイルバネに蓄積され、
第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯部の噛み合いが外れ、弾性エネルギー
ie12によって第1可動部品が逆方向に一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で電力が発生されて発電が行われると共に、
第1可動部品の逆方向の一定量の回転により、第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触し、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与され、
初期弾性エネルギーie1と初期弾性エネルギーie2により第1中心軸が回転され、
弾性付与手段が、第2中心軸に巻回された捩りコイルバネであり、第1の端部が第2可動部品に連結されていると共に、第2の端部がハウジングに固定されており、
弾性付与手段の巻回形状により、スイッチから力が
第2中心軸に伝達されない状態で初期弾性エネルギーie3が弾性付与手段に付与されており、
第1可動部品が一定量回転した後に、初期弾性エネルギーie3によって第2可動部品が
スイッチの回転による一定量回転とは逆方向に回転され
、
第2可動部品の逆方向の回転により第2中心軸も逆方向に回転され、スイッチも同一角度だけ逆方向に回転され、スイッチに於ける上方への突出高さが低減されると共に、第1可動部品の歯部と、第2可動部品の歯部が互いに接触して、第2可動部品の逆方向の回転が止まる発電装置。
【請求項2】
前記初期弾性エネルギーie3による前記第2可動部品の逆方向の回転により、前記第1可動部品の歯部と、前記第2可動部品の歯部が再び噛み合って連動し、前記第1可動部品が一定量前記逆方向に回転され、
前記第1可動部品の一定量の前記逆方向の回転により前記第2捩りコイルバネが捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie22が前記第2捩りコイルバネに蓄積され、
前記第1可動部品が一定量前記逆方向に回転した後に、前記第1可動部品と前記第2可動部品の互いの歯部の噛み合いが再び外れ、弾性エネルギーie22によって前記第1可動部品が一定量回転されて前記第1中心軸が回転され、前記第1中心軸の回転が伝達されて前記発電機の前記シャフトが回転されて、前記発電機で再び電力が発生されて発電が行われる請求項1に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は使用されずに捨てられていた、身近な環境に存在する微弱な運動エネルギー(人力,振動,圧力,熱,太陽光等)を利用して電力を発電できる自己発電型の環境発電(エナジーハーベスティング:Energy Harvesting)が注目されている。
【0003】
この様な環境発電によって電力を発電する発電機構や発電方法として、例えば特許文献1が挙げられる。
【0004】
特許文献1記載の発電機構及び発電装置では発電機構を少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングで形成している。第1可動部品と第2可動部品は歯車とし、捩りコイルバネの第1巻回部と第2巻回部を互いに逆方向に第1中心軸に巻回し、第1巻回部に初期弾性エネルギーie1を付与すると共に、第2巻回部に初期弾性エネルギーie2を付与し、ie2とie1の絶対値を等しく設定している。更に発電機構の外部からの力で第2可動部品を初期状態から回転させ、第1可動部品と第2可動部品の歯部を噛み合わせて第1可動部品を回転させて、弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積し、第1可動部品と第2可動部品の歯部の噛み合いを外してie12によって第1中心軸を逆方向に回転させて発電機で発電を行う。
【0005】
特許文献1の発電機構又は発電方法に依れば、捩りコイルバネを含む事で、第1巻回部の捩りにより弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積してから、その弾性エネルギーie12を解放して、発電機で発電を行う。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が回転されて発電機構が動作しても一定の発電量を確保する事ができ、確実なスイッチング動作を行う事が可能となる。
【0006】
また、特許文献1の発電機構を起動させるスイッチとして、特許文献2図示のレバーが挙げられる(特許文献2に於ける、各部の名称を示す参考斜視図を参照)。特許文献2図示の車両進入報知器は、スイッチ発電機構、固定部品、軸、レバー、車輪、及びこれらを載置する台座から構成されている。軸は、スイッチ発電機構、固定部品、及びレバーに挿通されている。回転自在の車輪が二つ各レバーに備えられており、レバーは軸を中心に揺動可能に備えられている。軸の両端は、それぞれ固定部品で両持ち支持されている。また、二つのレバーに挟まれて、例えば特許文献1の発電機構(スイッチ発電機構)が配置されている。
【0007】
特許文献2の車両進入報知器の二つの車輪の内、レバーによって上方に配置されている車輪に、車両の車輪が接触すると、車両進入報知器の車輪が回転すると共にレバーが揺動し、上方に上げられていたレバーの一端が台座方向へと押し込まれ、軸が回転してその回転がスイッチ発電機構に伝達される。軸の回転により、スイッチ発電機構のスプリングの収縮や歯車の回転が発生し、次にモータのシャフトが回転し、シャフトの回転に伴いモータ内部のコイル又はマグネットの一方が可動して、電磁誘導によりモータ内部で電力が自己発電される。その電力により無線機等が稼働されて信号が発信され、車両の進入又は通過が報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2018/181341号
【文献】意匠登録第1626196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし特許文献2図示のレバー式のスイッチでは、レバーの一端が車重を受けた状態で台座方向へと押し込まれる。従って、レバーの揺動に伴う両端の交互の上下動作時に、過大な衝撃力が発電機構や車両進入報知器に生じると共に、車両進入又は通過の度に繰り返し衝撃力が加わる事により、発電機構や車両進入報知器の耐久性に懸念があった。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、スイッチの動作に伴う衝撃力を緩和し、耐久性が向上可能な発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の発電装置は少なくとも、発電機構と、スイッチと、弾性付与手段を備え、発電機構は少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成され、捩りコイルバネは、第1捩りコイルバネと第2捩りコイルバネであり、第1可動部品が第1中心軸に回転可能に軸支されていると共に、第2可動部品が第2中心軸に回転可能に軸支されており、第1捩りコイルバネの巻回部である第1巻回部が第1中心軸に巻回され、第1巻回部の第1の端部が自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されており、第2捩りコイルバネの巻回部である第2巻回部が、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回され、第2巻回部の第1の端部は自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されており、更に第1巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第1巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie1が第1巻回部に付与されており、第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与されており、スイッチは、第2中心軸か又は第2中心軸に連結されている軸を支点として揺動し、その揺動毎に時計方向及び反時計方向に回転し、左右両端が上下するシーソー式であり、スイッチの回転により第2可動部品が一定量回転され、第1可動部品の歯部と第2可動部品の歯部が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転され、第1可動部品の一定量の回転により、第1捩りコイルバネが捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie12が第1捩りコイルバネに蓄積され、第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯部の噛み合いが外れ、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で電力が発生されて発電が行われると共に、第1可動部品の逆方向の一定量の回転により、第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触し、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与され、初期弾性エネルギーie1と初期弾性エネルギーie2により第1中心軸が回転され、弾性付与手段が、第2中心軸に巻回された捩りコイルバネであり、第1の端部が第2可動部品に連結されていると共に、第2の端部がハウジングに固定されており、弾性付与手段の巻回形状により、スイッチから力が第2中心軸に伝達されない状態で初期弾性エネルギーie3が弾性付与手段に付与されており、第1可動部品が一定量回転した後に、初期弾性エネルギーie3によって第2可動部品がスイッチの回転による一定量回転とは逆方向に回転され、第2可動部品の逆方向の回転により第2中心軸も逆方向に回転され、スイッチも同一角度だけ逆方向に回転され、スイッチに於ける上方への突出高さが低減されると共に、第1可動部品の歯部と、第2可動部品の歯部が互いに接触して、第2可動部品の逆方向の回転が止まる事を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発電装置に依れば、スイッチの動作に伴う衝撃力を緩和出来る為、発電装置の耐久性を向上させる事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る発電装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の発電装置のハウジング及びスイッチを裏面側から見ると共に、ハウジング内の発電機構の構成を切り欠いて示す部分説明図である。
【
図3】
図2の発電機構に於ける、第1可動部品と第1中心軸,捩りコイルバネ,及び仕切り板を抜粋して図示する斜視図である。
【
図4】
図2の発電機構に於ける、第1可動部品と第1中心軸,捩りコイルバネ,及び仕切り板を抜粋して図示する別角度の斜視図である。
【
図5】
図2の発電機構における、第1可動部品,第1中心軸,第2可動部品,及び第2中心軸を抜粋し、各部品の初期状態を
図2のスイッチ方向から示した模式図である。
【
図6】
図5の状態から、第2可動部品及び第1可動部品が回転された状態を示す模式図である。
【
図7】
図6の状態から、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に回転され、また第2可動部品が更に回転された状態を示すと共に、第2可動部品に連結されたスイッチと、弾性付与手段の状態も示す模式図である。
【
図8】
図7の状態から、弾性付与手段の弾性エネルギーによって第2可動部品及びスイッチが回転され、第1可動部品の歯部と第2可動部品の歯部が互いに接触している状態を示す模式図である。
【
図9】
図8から第1可動部品,第1中心軸,第2可動部品,及び第2中心軸を抜粋した模式図である。
【
図10】
図9の状態から、第2可動部品及び第1可動部品がそれぞれ逆方向に回転され、第2可動部品と第1可動部品の歯部が噛み合っている状態を示す模式図である。
【
図11】
図10の状態から、第2可動部品及び第1可動部品がそれぞれ逆方向に回転され、第2可動部品と第1可動部品の歯部の噛み合いが外れた状態を示す模式図である。
【
図13】
図12の発電機構における、第1可動部品,第1中心軸,第2可動部品,及び第2中心軸を抜粋し、各部品の初期状態を
図12のスイッチ方向から示した模式図である。
【
図14】
図13の状態から、第2可動部品及び第1可動部品が回転され、第2可動部品と第1可動部品の歯部が噛み合っている状態を示す模式図である。
【
図15】
図14の状態から、第2可動部品及び第1可動部品が回転され、第2可動部品と第1可動部品の歯部の噛み合いが外れた状態を示す模式図である。
【
図16】
図15の状態から、弾性エネルギーie22によって第1可動部品が逆方向に回転された状態を示すと共に、第2可動部品に連結されたスイッチと、弾性付与手段の状態も示す模式図である。
【
図17】
図16の状態から、弾性付与手段の弾性エネルギーによって第2可動部品及びスイッチが回転され、第1可動部品の歯部と第2可動部品の歯部が互いに接触している状態を示す模式図である。
【
図18】
図17の状態から、第2可動部品及び第1可動部品がそれぞれ逆方向に回転され、第2可動部品と第1可動部品の歯部の噛み合いが外れた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態の第一の特徴は、発電装置が少なくとも発電機構とスイッチと弾性付与手段を備える事である。発電機構は第1可動部品、第2可動部品、捩りコイルバネ、発電機、ハウジングで形成する。捩りコイルバネは、第1捩りコイルバネと第2捩りコイルバネである。第1可動部品が第1中心軸に回転可能に軸支されていると共に、第2可動部品が第2中心軸に回転可能に軸支されている。第1捩りコイルバネの巻回部である第1巻回部は第1中心軸に巻回され、第1巻回部の第1の端部が自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されている。第2捩りコイルバネの巻回部である第2巻回部は、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回され、第2巻回部の第1の端部は自由端で、第2の端部が第1可動部品に連結されている。更に第1巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第1巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie1が第1巻回部に付与されている。また第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触しており、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与されている。スイッチは、第2中心軸か又は第2中心軸に連結されている軸を支点として揺動し、その揺動毎に時計方向及び反時計方向に回転し、左右両端が上下するシーソー式である。スイッチの回転により第1可動部品と第2可動部品が噛み合って第1可動部品が一定量回転されて第1捩りコイルバネが捩られ、弾性エネルギーie12が第1捩りコイルバネに蓄積される。その後噛み合いが外れ、弾性エネルギーie12によって発電機のシャフトが回転されて発電が行われる。第1可動部品の逆方向の一定量の回転により、第2巻回部の自由端が、ハウジングに接触し、この接触及び第2巻回部の巻回形状により、初期弾性エネルギーie2が第2巻回部に付与され、初期弾性エネルギーie1と初期弾性エネルギーie2により第1中心軸が回転される。弾性付与手段は、第2中心軸に巻回された捩りコイルバネとし、第1の端部を第2可動部品に連結し、第2の端部をハウジングに固定する。弾性付与手段の巻回形状により、スイッチから力が第2中心軸に伝達されない状態で初期弾性エネルギーie3を弾性付与手段に付与しており、第1可動部品が一定量回転した後に、ie3で第2可動部品をスイッチの回転による一定量回転とは逆方向に回転させる。第2可動部品の逆方向の回転により第2中心軸も逆方向に回転され、スイッチも同一角度だけ逆方向に回転され、スイッチに於ける上方への突出高さが低減されると共に、第1可動部品の歯部と、第2可動部品の歯部が互いに接触して、第2可動部品の逆方向の回転が止まる。
【0015】
この構成に依れば、スイッチの動作に伴う衝撃力を緩和出来る為、発電装置の耐久性を向上させる事が可能となる。
【0016】
なお本発明において、第1可動部品と第2可動部品の回転量における「一定量」は同一とは限らず、各回転方向に応じて「一定量」が異なる場合や、各部品の寸法の差異によって生じる回転角の差異も含むものとする。
【0017】
以上の発電装置は、人間によるスイッチング用途や、コンテナ等の荷物や椅子の載置又は撤去状態の認識、車両進入の報知装置等に使用する事が出来る。
【0018】
なお本発明では、捩りコイルバネの第1巻回部又は第2巻回部、又は弾性付与手段にそれぞれ付与若しくは蓄積されるトルク(N・mm)を、「弾性エネルギー」(mJ)と表記し説明する。
【0019】
更に本発明では、スイッチとして、軸を中心に揺動し両端が交互に上下可能なシーソー式のスイッチを含む。
【0021】
更にこの構成に依れば、前記効果に加えて、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯部が接触するまでスイッチを回転させる事で、スイッチの突出高さを一層低減し、スイッチの動作量も低減可能となる事で衝撃力が緩和出来る。従って、発電装置の耐久性をより向上させる事が可能となる。
【0022】
また第二の特徴は、初期弾性エネルギーie3による第2可動部品の逆方向の回転により、第1可動部品の歯部と、第2可動部品の歯部が再び噛み合って連動し、第1可動部品が一定量逆方向に回転され、第1可動部品の一定量の逆方向の回転により第2捩りコイルバネが捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie22が第2捩りコイルバネに蓄積され、第1可動部品が一定量逆方向に回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯部の噛み合いが再び外れ、弾性エネルギーie22によって第1可動部品が一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で再び電力が発生されて発電が行われる発電装置とした事である。
【0023】
この構成に依れば、前記効果に加えて、スイッチの一回のスイッチング動作により発電機で二回発電を行う事が可能となる。従って一回のスイッチング動作に伴い発電装置で発生可能な電力量が二倍となり、より大きな無線信号を発電装置から発信出来る。
【0024】
以下に本発明に係る実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
以下、
図1~
図11を参照して本発明に係る実施例の発電装置1を説明する。
図1又は
図2に示す様に、発電装置1は少なくとも、発電機構12と、スイッチ9を備える。更に
図2に示す様に、発電機構12は少なくとも、第1可動部品2aと、第2可動部品3aと、捩りコイルバネ4と、発電機5と、ハウジング6とから形成されている。ハウジング6の内部に、少なくとも第1可動部品2aと第2可動部品3aと捩りコイルバネ4と発電機5が収められている。
【0026】
第1可動部品2aは、
図3~
図4及び
図5~
図11に示す様に外形周囲に於ける少なくとも一部に、複数の歯部が形成された歯車であり、第1中心軸2bを中心に回転可能に軸支されている。第1中心軸2bはハウジング6内部で両端が軸支されている。
【0027】
また第2可動部品3aは、
図5~
図11に示す様に外形周囲に於ける少なくとも一部に、歯部が形成された歯車であり、第2中心軸3bを中心に回転可能に軸支されている。また、第2中心軸3bの他端側(即ち、第2可動部品3aが軸支されている一端側の反対端側)は、ハウジング6に設けた孔を通って、ハウジング6の外部へと突出され、
図2に示す様にスイッチ9に直接又は間接的に連結されている。
【0028】
第1可動部品2a及び第2可動部品3aの歯形は、本実施例では共にインボリュート歯形である。インボリュート歯形とする事により、互いの歯車の中心距離(第1中心軸2bの中心と、第2中心軸3bの中心との間の直線間隔)が若干変化しても噛み合いが正しく保たれると共に、容易に作製でき、滑りも少ない為好ましい。なお2a又は3aの歯形を、インボリュート歯形に換えて、サイクロイド歯形に形成する事も可能である。
【0029】
捩りコイルバネ4は、
図2~
図4に示す様に、少なくとも第1巻回部と第2巻回部の2つの巻回部を有するバネとする。発電機構12では、第1巻回部と第2巻回部が個別に形成された2つの捩りコイルバネ(第1捩りコイルバネ4aと第2捩りコイルバネ4b)が設けられている。
【0030】
図3及び
図4に示す様に、第1捩りコイルバネ4aの巻回部(第1巻回部)は第1中心軸2bに巻回されており、第1巻回部の第1の端部が自由端4a1である。一方、第2の端部4a2は、第1可動部品2a,第1中心軸2b,又は第2巻回部の何れかに連結するものとし、本実施例では第1可動部品2aに連結されている。
図3の矢印A方向から見た時に、第1可動部品2aに連結された第2の端部4a2に向かう方向で、第1巻回部は時計回りに巻回されている。
【0031】
更に第1巻回部の自由端4a1が、ハウジング6を構成する仕切り板6aの側面に接触している。この接触及び第1巻回部の巻回形状により、発電機構12の外部から力が伝達されない状態で初期弾性エネルギーie1(mJ)が第1巻回部(即ち、第1捩りコイルバネ4a)に付与されている。
【0032】
一方、
図3及び
図4に示す様に、第2捩りコイルバネ4bの巻回部(第2巻回部)は、第1巻回部とは逆方向に第1中心軸2bに巻回されており、第2巻回部の第1の端部は自由端4b1である。また第2の端部4b2は、第1可動部品2a,第1中心軸2b,又は第1巻回部の何れかに連結するものとし、本実施例では第1可動部品2aに連結されている。
図4の矢印A方向で見た時に、自由端4b1に向かう方向で第2巻回部は時計回りに巻回されている。よって、第1巻回部と第2巻回部を互いに対向して見ると逆方向に巻回されている。なお、
図3と
図4の矢印Aは同一方向を指している。
【0033】
更に第2巻回部の自由端4b1が、ハウジング6を構成する仕切り板6aの側面に接触している。この接触及び第2巻回部の巻回形状により、発電機構12の外部から力が伝達されない状態で初期弾性エネルギーie2(mJ)が第2巻回部(即ち、第2捩りコイルバネ4b)に付与されている。
【0034】
ie2の絶対値はie1の絶対値と等しく設定されている。ie2の絶対値とie1の絶対値の均衡が保たれた状態で、第1可動部品が静止され初期状態に保持されている。
【0035】
なお、発電機構12では第1巻回部と第2巻回部のそれぞれの第2の端部(4a2と4b2)を、第1可動部品2aに連結しているが、第2の端部(4a2と4b2)同士を互いに接続する事で、第1巻回部と第2巻回部を有する1つの捩りコイルバネを、捩りコイルバネ4の換わりに用いても良い。
【0036】
更に
図2,
図7,
図8にそれぞれ示す様に、第2中心軸3bには弾性付与手段11が巻回形成されている。弾性付与手段11は第2中心軸3bに巻回された捩りコイルバネであり、
図7と
図8では第2可動部品3aに向かうに従い第2中心軸3bに時計方向に巻回されている。
【0037】
弾性付与手段11は2つの端部を有し、第1の端部は、第2可動部品3aの止め穴13に固定されて連結されている。止め穴13は、第2可動部品3aの側面に設けられた凹部14の底面に設けられる。一方、第2の端部はハウジング6を構成する仕切り板6aに固定されて連結されている(
図2参照)。第2の端部が仕切り板6aに常時固定されていると共に、第2中心軸に巻回されている巻回形状に依って、スイッチ9から力が第2中心軸3bに伝達されない状態で、初期弾性エネルギーie3(mJ)が弾性付与手段11に付与されている。
【0038】
従って、仕切り板6aに固定された第2の端部を支点として、ie3により第1端部(止め穴13)が回転されるので、
図7及び
図8に於いてie3に依って第2の可動部品3aに反時計回りの回転力が付与される。
【0039】
弾性付与手段11の第2の端部はハウジング6の何処に固定されていても良いが、ie3に依って第2の可動部品3aに反時計回りの回転力を付与させる為には、
図7及び
図8に於いて、弾性付与手段11の巻回部の下側周縁部から右側に捩りコイルバネの端部を引き出し、図の右側に位置する図示しないハウジング6部分(本実施例では仕切り板6a)に固定する事が望ましい。
【0040】
また
図2に示す様に、第1中心軸2bの軸方向と、発電機5のシャフト5aの軸方向を、互いに平行に構成すると共に、第1中心軸2bに於ける第1可動部品2aの軸支側と反対側に、平歯車7を軸支している。一方、シャフト5aの端部にも平歯車8が軸支されている。従って、第1中心軸2bと発電機5のシャフト5aが、2つの平歯車7及び8で連結されている。なお
図2では、第1可動部品2a,第2可動部品3a,平歯車7,及び平歯車8の歯形の図示は省略している。
【0041】
発電機5は、少なくともコイルとマグネットを含むモータであり、更にシャフト5aの回転と共にコイルとマグネットのどちらかが回転する型式のものである。
【0042】
ハウジング6は、
図2に示す様に内部空間を有する部品であり、内部空間には発電機5を固定する為の仕切り板6a等が設けられている。この仕切り板6aもハウジング6の構成部品となる。以下、必要に応じて仕切り板6aも含めてハウジング6と表記する。
【0043】
第1可動部品2a,第2可動部品3a,平歯車7,8の材料はそれぞれ任意に選択可能であり、例えばプラスチックや、無潤滑で摺動可能な樹脂、ステンレス、鋼などを用いれば良い。
【0044】
スイッチ9は、後述する2つの固定部品(10,10)に依って軸を両持ち軸支された部品であり、その軸を支点として揺動し、その揺動毎に時計方向及び反時計方向に回転し、左右両端が上下するシーソー式のスイッチである。スイッチ9の軸とは、第2中心軸3bか、又は第2中心軸3bに連結されている軸とする。スイッチ9には、車両の車輪や人間の足、又は荷物や椅子が接触する。従って、車両や人間又は荷物や椅子等がスイッチ9へ乗り上げる時や、車両や人間が通過する時の衝撃を緩和させる為に、収縮変形可能で弾性力を有するゴム製が好ましい。
【0045】
固定部品10はゴム製の台であり、2つの固定部品(10,10)で1つのスイッチ9の軸を両持ち軸支している。固定部品10は、車両の車輪や人間の足、又は荷物や椅子が接触する踏み台用の部品である。従って、車両や人間又は荷物や椅子等がスイッチ9へ乗り上げる時や、車両や人間が通過する時の衝撃を緩和させる為に、収縮変形可能で弾性力を有するゴム製が好ましい。更に固定部品10には、前記乗り上げ時や通過時の接触を円滑に移行する2つの斜面が前後に設けられていると共に、路面等の設置面にボルトで固定するボルト止め部10aが2箇所設けられている。また、前記乗り上げ時や通過時の車輪や足等の滑り止め用の凹凸を、固定部品10の表面に設けても良い。
【0046】
ハウジング6も、固定部品10と同様なゴム製が好ましく、路面等の設置面にボルトで固定するボルト止め部6cが2箇所前後に設けられている。
【0047】
次に、本実施例の発電装置1の動作に関して説明する。シーソー式のスイッチ9に、発電機構12の外部からの人力または使用用途毎の発電対象物からの押圧力と云った力が加わって、スイッチ9と接触する事でスイッチ9が動き(揺動)、そのスイッチ9の動き(揺動)により第2中心軸3bが回転される。
【0048】
その第2中心軸3bの回転により、発電機構12の外部から第2中心軸3bを介して力が第2可動部品3aに伝達され、第2可動部品3aが本実施例では一定量(
図5及び
図6では、時計方向に約19°~20°)回転して可動する。従って第2可動部品3aは、発電機構12内ではスイッチ部分として機能し、スイッチング動作により可動する部品である。
【0049】
第2可動部品3aの回転が第1可動部品2aに伝達される前段階では、第1可動部品2aはie2とie1とが釣り合う位置に保持されている。次に第2可動部品3aが回転すると、第1可動部品2aの歯部と第2可動部品3aの歯部が噛み合って連動が開始される。
【0050】
第2可動部品3aに力が伝達され続け、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部が噛み合わされている間第1可動部品2aは回転し続け、第2可動部品3aの回転が第1可動部品2aに伝達されて行く。よって、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れるまで、第1可動部品2aは一定量回転される(本実施例の場合、
図5及び
図6で約120°~121°の反時計方向の回転となる)。
【0051】
第1可動部品2aの一定量の回転に伴い、第1中心軸2bと前記第1巻回部も、第1可動部品2aと連動して一定量回転する。しかし、第1巻回部の自由端4a1はハウジング6の側面に初期状態で接触している為、動きが止められている。一方、第1巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の回転に伴って回転移動していく。よって第1巻回部は捩られる事となり、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いに伴う捩りにより、弾性エネルギーie12(mJ)が第1巻回部に蓄積される。
【0052】
第1巻回部の捩りは、第2可動部品3aに力が伝達され続けて第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部が噛み合わされている間は保持される。従って、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れる直前に於ける、第1巻回部の弾性エネルギーie12が最大量となる。本実施例では、第1可動部品2a及び第1中心軸2bが約120°~121°回転した時点での弾性エネルギーie12が最大となる。
【0053】
第1可動部品2aが一定量回転した後に、
図6に示す様に第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れる。すると、第1巻回部の捩りによる変形保持が外れ、第1巻回部の変形が解放され、ハウジング6側面に接触して止められていた第1巻回部の自由端4a1を支点にして、ie12により第1可動部品2aが逆方向に一定量回転する。本実施例では時計方向への約120°~121°の回転となる(
図6及び
図7を参照)。即ち、ie12が第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に変換される。
【0054】
第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に伴い、第1中心軸2bも一定量だけ逆方向に回転すると共に平歯車7も連動して回転し、更に平歯車8を介してシャフト5aが一定量及び一定の速度で回転される。なお、平歯車7と8の歯数比により、第1可動部品2aと第1中心軸2bの回転量に於ける「一定量」と、発電機5のシャフト5aの回転量に於ける「一定量」は、それぞれ異なる。シャフト5aが一定量及び一定の速度で回転される事で、発電機5内部で電力が発生されて発電が行われる。その電力により、発電装置1の用途に応じてハウジング6に別途、樹脂部6bとして嵌め込み可能に設けた、図示しない赤外線など無線通信装置を起動させる事が可能となる。無線通信装置が起動され無線信号が発信されて、例えば車両や人間の進入又は通過や、椅子や荷物の載置又は撤去状態が報知可能となる。なお防塵の為に、別途シート等を発電装置1に掛けても良い。
【0055】
シャフト5aの回転量及び速度は、第1可動部品2aの逆方向の回転量即ちie12の最大値と、平歯車7と8の歯数比に応じて変わる。第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部が噛み合うピッチ円の円弧長に伴って、ie12は任意の一定量で設定可能である。一方で、平歯車7と8の歯数比も任意の一定量に設定可能である。従って、発電機構12毎の仕様に応じて、シャフト5aの回転量も任意の一定量で設定する事が出来る為、発電機5による電力量も、第2可動部品3aに伝わる外部からの力の速度に関係無く一定値に設定可能となる。
【0056】
第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転後に弾性エネルギーie12は減衰される。同時に、第1中心軸2bの逆方向の回転に伴って、第2巻回部の自由端4b1もその回転に伴って移動し、第2巻回部の自由端4b1がハウジング6の側面に接触して自由端4b1の動きが止められる。一方、第2巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に伴って回転移動していく。よって自由端4b1の動きが止まった時から第2巻回部は捩られる事となり、その捩りによる弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積が開始される。
【0057】
しかしながら、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部はこの時点では既に噛み合っていない為、第2巻回部の捩れは保持されずに直ちに解放される。よって、この時点での弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積は行われない。一方、ハウジング6側面に接触して止められていた第2巻回部の自由端4b1を支点にして、ie1とie2のみによって第1中心軸2bが回転されてie1とie2とが等しくなって釣り合う回転位置に保持される。この第1中心軸2bの回転により、第1可動部品2aは初期状態(第1可動部品2aの歯部と第2可動部品3aの歯部が噛み合う前の状態)に復帰される。
【0058】
第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れ、第1可動部品2aが一定量逆方向に回転した後に、弾性付与手段11に付与されている初期弾性エネルギーie3によって第2可動部品3aは回転方向とは逆方向(
図7から
図8に於いて反時計方向)の回転力が付与されて回転して行く。この逆方向の回転により第2中心軸3bも逆方向に回転し、スイッチ9も同一角度だけ逆方向に回転して行く。スイッチ9のこの逆方向の回転により、スイッチ9に於ける上方への突出高さ(
図7と
図8では、スイッチ9の左端部の突出高さ)を抑制可能となる。突出高さが抑制される事でスイッチ9の動作量(スイッチ9の揺動に伴う回転量)も抑制される為、固定部品10方向にスイッチ9が押し込まれる際に生じる衝撃力を抑制する事が可能となる。従って、スイッチ9の動作に伴う衝撃力を緩和出来る為、発電装置1の耐久性を向上させる事が可能となる。
【0059】
第2可動部品3aの逆方向の回転は
図8に示す様に、第1可動部品2aの歯部と第2可動部品3aの歯部が互いに接触して、第2可動部品3aの逆方向の回転が止まるまで行われる事がより好ましい。第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部が接触するまでスイッチ9を逆方向に回転させる事で、スイッチ9の突出高さを一層低減出来て、スイッチ9の動作量も低減可能となり、衝撃力が一層緩和出来る。従って、発電装置1の耐久性をより向上させる事が可能となる。
【0060】
更に最も好ましい発電装置1の動作は、次の通りである。
【0061】
弾性付与手段11の巻回数の増加や、弾性付与手段11のバネ定数を大きくして、初期弾性エネルギーie3を増大させる事で、
図8又は
図9の状態から、初期弾性エネルギーie3のみに依って
図10及び
図11の状態へと第2可動部品3aを更に逆方向に回転させる。
図11では、約9°~10°の反時計方向の回転となる。第2可動部品3aが逆方向に回転する際に、第1可動部品2aの歯部と第2可動部品3aの歯部が互いに接触して再び噛み合って互いに連動し、第1可動部品2aが逆方向に一定量回転される。
【0062】
第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転により、第1中心軸2bと前記第2巻回部も、第1可動部品2aと連動して一定量回転する。しかし、第2巻回部の自由端4b1はハウジング6の側面に接触している為、動きが止められている。一方、第2巻回部の第2の端部4b2側は第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の回転に伴って回転移動していく。よって第2巻回部は捩られる事となり、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いに伴う捩りにより、弾性エネルギーie22(mJ)が第2巻回部に蓄積される。
【0063】
第2巻回部の捩りは、第2可動部品3aに前記逆方向の力が伝達され続けて第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部が噛み合わされている間は保持される。従って、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れる直前に於ける、第2巻回部の弾性エネルギーie22が最大量となる。本実施例では、第1可動部品2a及び第1中心軸2bが約115°回転した時点での弾性エネルギーie22が最大となる。
【0064】
第1可動部品2aが逆方向に一定量回転した後に、
図10から
図11へと示す様に第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯部の噛み合いが外れる。すると、第2巻回部の捩りによる変形保持が外れ、第2巻回部の変形が解放され、ハウジング6側面に接触して止められていた第2巻回部の自由端4b1を支点にして、ie22により第1中心軸2bが一定量回転する。(本実施例では反時計方向への約115°の回転となる)。即ち、ie22が第1中心軸2bの一定量の回転に変換される。
【0065】
第1中心軸2bの一定量の回転に伴い、平歯車7も連結して一定量回転し、平歯車8を介してシャフト5aが一定量及び一定の速度で回転され、発電機5で再び発電が行われる。即ち、第1中心軸2bの回転が発電機5に伝達されて、発電機5のシャフト5aが回転され、発電機5で再び電力が発生される。
【0066】
この様に、初期弾性エネルギーie3の増大により、スイッチ9の一回のスイッチング動作(スイッチ9への、車両の車輪や人間の足、又は荷物や椅子の接触)で、発電機5により二回発電を行う事が可能となる。従って一回のスイッチング動作に伴い発電装置1で発生可能な電力量が二倍となり、より大きな無線信号を発電装置1から発信出来る。なお
図11の後に
図5の状態へと復帰される。依って、第1可動部品2aと第2可動部品3aの噛み合い後にそのまま前記初期状態に弾性付与手段11の弾性力(初期弾性エネルギーie3)のみで発電装置1を復帰させる事も可能となる。従って、
図9の状態から、
図10乃至
図11まで初期弾性エネルギーie3)のみで動作させる事が、最も好ましい発電装置1の動作と云える。
【0067】
なお、本発明はその技術的思想に基づいて種々変更可能であり、例えば
図12及び
図16,
図17に示す様に弾性付与手段11を第2中心軸3bに巻回して、発電装置1を動作させても良い。
図12~
図18に示す変更例の説明は、
図2及び
図5~
図11の実施例と異なる点のみとする。前記
図3と
図4は、変更例でも適用する。
【0068】
変更例が実施例と異なる点は、弾性付与手段11の巻回方向が、
図16と
図17では第2可動部品3aに向かうに従い第2中心軸3bに反時計方向に巻回されている点である。従って
図16及び
図17に於いて、初期弾性エネルギーie3(mJ)に依って第2の可動部品3aに時計回りの回転力が付与される。弾性付与手段11の第2の端部はハウジング6の何処に固定されていても良いが、ie3に依って第2の可動部品3aに時計回りの回転力を付与させる為には、
図16及び
図17に於いて、弾性付与手段11の巻回部の上側周縁部から右側に捩りコイルバネの端部を引き出し、図の右側に位置する図示しないハウジング6部分(本実施例では仕切り板6a)に固定する事が望ましい。
図12に弾性付与手段11の端部を仕切り板6aに固定する状態を図示している。
【0069】
更に、変更例では
図13に示す第1可動部品2aと第2可動部品3aの位置を初期状態とする。従って発電装置が動作する時、前記実施例とは第1可動部品2aと第2可動部品3aは別方向に回転動作する事となる。
【0070】
図13の状態からスイッチ9に車両の車輪や人間の足、又は荷物や椅子が接触すると、
図13~
図15に示す様に第2可動部品3aが反時計方向に回転して第1可動部品2aと噛み合い、第1可動部品2aが時計方向に回転して前記ie22が蓄積される。その後第1可動部品2aと第2可動部品3aの噛み合いが外れる事で前記ie22が解放されて第2可動部品3aが反時計方向に回転し、発電機5で発電が行われ
図16の状態となる。
【0071】
すると初期弾性エネルギーie3によって第2可動部品3aは回転方向とは逆方向(
図16から
図17に於いて時計方向)の回転力が付与されて回転して行く。この逆方向の回転により第2中心軸3bも逆方向に回転し、スイッチ9も同一角度だけ逆方向に回転して行く。よって、スイッチ9の右端部の突出高さと動作量が抑制され、スイッチ9の動作に伴う衝撃力が緩和でき、発電装置1の耐久性を向上させる事が可能となる。
【0072】
第2可動部品3aの逆方向の回転は
図17に示す様に、第1可動部品2aの歯部と第2可動部品3aの歯部が互いに接触して、第2可動部品3aの逆方向の回転が止まるまで行われる事がより好ましい。
【0073】
更に変更例でも、
図17~
図18及び
図13に示す様に、初期弾性エネルギーie3のみに依って第2可動部品3aを更に逆方向に回転させ、前記ie1の蓄積及び解放により発電機5により二回目の発電を行わせる事が可能となる為、最も好ましい。
【0074】
なお本実施例及び変更例で説明したように、第1可動部品2aと第2可動部品3aの回転量に於ける「一定量」は同一とは限らない。本実施例及び変更例のように各部品の各回転方向に応じて「一定量」は異なる場合がある。また、各部品(2a、3a)の寸法の差異によって回転角にも差異が生じる。
【0075】
【0076】
発電機5は、少なくともコイルとマグネットを含み、電力を発生させて発電する装置であれば、モータに限定されない。なお、発電機5にモータを使用する場合、モータのイナーシャが低い場合は歯数比(平歯車8の歯数に対する平歯車7の歯数比)も低く設定し、イナーシャが大きい場合は歯数比を高く設定すれば良い。
【0077】
なお、第1可動部品2a又は第2可動部品の歯車に換えて、ワンウェイクラッチ (One-way clutch、1-Way clutch)を使用しても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 発電装置
2a 第1可動部品
2b 第1中心軸
3a 第2可動部品
3b 第2中心軸
4 捩りコイルバネ
4a 第1捩りコイルバネ
4a1 第1捩りコイルバネの巻回部の第1の端部
4a2 第1捩りコイルバネの巻回部の第2の端部
4b 第2捩りコイルバネ
4b1 第2捩りコイルバネの巻回部の第1の端部
4b2 第2捩りコイルバネの巻回部の第2の端部
5 発電機
5a シャフト
6 ハウジング
6a 仕切り板
6b 樹脂部
6c、10a ボルト止め部
7、8 平歯車
9 スイッチ
10 固定部品
11 弾性付与手段
12 発電機構
13 止め穴
14 凹部