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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ロードセルユニット及び計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 3/18 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01G3/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020050068
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148664
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】武市 真治
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0170566(US,A1)
【文献】特開2003-098001(JP,A)
【文献】特開2003-021554(JP,A)
【文献】特開2010-169511(JP,A)
【文献】特開2010-091325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
G01L 1/22
G01L 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由端側ブロックと、固定端側ブロックと、前記自由端側ブロックの上端と前記固定端側ブロックの上端とを接続する上側ビーム部と、前記自由端側ブロックの下端と前記固定端側ブロックの下端とを接続する下側ビーム部と、を含む起歪体を有するロードセルと、
前記上側ビーム部又は前記下側ビーム部に配置された第1温度センサと、
前記自由端側ブロック又は前記固定端側ブロックの何れか一方に配置された第2温度センサと、を備え
前記ロードセルは、前記起歪体の歪曲量に応じた計量値をアナログ値として出力する受感部を有しており、
前記受感部で出力したアナログ値をデジタル値へ変換する変換部と、
前記第1温度センサで検知した第1温度と前記第2温度センサで検知した第2温度との温度差に基づいて、前記変換部で変換したデジタル値に対して、不均衡な状態の温度補償を行う温度差補償部と、をさらに備える、ロードセルユニット。
【請求項2】
前記第1温度センサ及び前記第2温度センサは、前記起歪体の上面又は下面の一方に集中して設けられている、請求項1に記載のロードセルユニット。
【請求項3】
前記第1温度センサ及び前記第2温度センサは、前記自由端側ブロックから前記固定端側ブロックに向かう方向と交差し且つ上下方向と交差する幅方向において、前記起歪体の中央に配置されている、請求項1又は2に記載のロードセルユニット。
【請求項4】
前記自由端側ブロック又は前記固定端側ブロックの何れか他方に配置された第3温度センサを備える、請求項1~3の何れか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項5】
前記起歪体の歪曲量に応じた計量値をアナログ値として出力する受感部と、
前記受感部で出力したアナログ値をデジタル値へ変換する変換部と、
前記第1温度センサで検知した第1温度と前記第2温度センサで検知した第2温度との温度差、及び、前記第1温度と前記第3温度センサで検知した第3温度との温度差、に基づいて、前記変換部で変換したデジタル値に対して、不均衡な状態の温度補償を行う温度差補償部と、を備える、請求項4に記載のロードセルユニット。
【請求項6】
前記第1温度に基づいて、前記変換部で変換し且つ前記温度差補償部で補償を行う前のデジタル値に対して、定常状態の温度補償を行う温度補償部を備える、請求項1~5の何れか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項7】
前記第2温度センサは、前記自由端側ブロック及び前記固定端側ブロックのうち熱源に近い一方に配置されている、請求項1~の何れか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項8】
前記第2温度センサは、前記固定端側ブロックに配置されている、請求項1~の何れか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項9】
請求項1~の何れか一項に記載のロードセルユニットと、
計量の対象となる物品を搬送面に載置しながら搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアを駆動する駆動部と、
前記搬送コンベア及び前記駆動部を支持する第1フレーム部と、
脚部と、
前記脚部に支持される第2フレーム部と、を備え、
前記自由端側ブロックは、前記第1フレーム部と接続され、前記搬送コンベアにより搬送される前記物品の重量が付加され、
前記固定端側ブロックは、前記第2フレーム部と接続され、
前記第2温度センサは、前記自由端側ブロックに配置されている、計量装置。
【請求項10】
請求項1~の何れか一項に記載のロードセルユニットと、
ゲートを有し、外部から投入される物品を一時的に滞留させ、その後に排出するホッパ部と、
前記ホッパ部を支持する支持部と、
前記ゲートを開閉駆動する駆動部と、
前記駆動部を格納する本体と、を備え、
前記自由端側ブロックは、前記支持部と接続され、前記ホッパ部に滞留した前記物品の重量が付加され、
前記固定端側ブロックは、前記本体と接続され、
前記第2温度センサは、前記固定端側ブロックに配置されている、計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードセルユニット及び計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されたロードセルユニットが知られている。特許文献1に記載されたロードセルユニットでは、起歪体の温度変化により計量信号が変動してしまうことを抑制するべく、起歪体に温度センサを配置し、その温度センサで検知した温度に基づき計量信号に対して補償を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-91325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなロードセルユニットでは、起歪体の温度分布が不均衡な状態(非定常状態)となることがあるが、当該不均衡な状態をロードセルの出力に対する補償に十分に考慮できず、安定した高精度な計量が困難となる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、安定した高精度な計量を実現可能なロードセルユニット及び計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るロードセルユニットは、自由端側ブロックと、固定端側ブロックと、自由端側ブロックの上端と固定端側ブロックの上端とを接続する上側ビーム部と、自由端側ブロックの下端と固定端側ブロックの下端とを接続する下側ビーム部と、を含む起歪体を有するロードセルと、上側ビーム部又は下側ビーム部に配置された第1温度センサと、自由端側ブロック又は固定端側ブロックの何れか一方に配置された第2温度センサと、を備える。
【0007】
このロードセルユニットでは、第1温度センサにより、ロードセル全体の代表温度を検知することができる。これにより、ロードセルの出力に対して、ロードセル全体の代表温度に基づく温度補償を行うことが可能となる。加えて、第1温度センサ及び第2温度センサにより、起歪体の2箇所の温度を取得することができる。これにより、起歪体に生じる温度差(熱的不平衡)を取得(算出)し、ロードセルの出力に対して当該温度差に基づく温度補償、すなわち、不均衡な状態の温度分布を考慮した温度補償を行うことが可能となる。その結果、ロードセルユニットでは、安定した高精度な計量を実現可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係るロードセルユニットでは、第1温度センサ及び第2温度センサは、起歪体の上面又は下面の一方に集中して設けられていてもよい。この構成によれば、各温度センサからの配線をシンプルに構成しやすくなる。また、起歪体の側面に各温度センサを配置する場合と比較して、配線が起歪体の変形に干渉しにくく、計量の精度に与える悪影響を最小限に留めることができる。また、一般的に起歪体は対称構造であるため、第1温度センサ及び第2温度センサを同一面に集中して設けることで、上面、下面の温度差によるノイズの影響を受けること無く、安定した温度変化を取得することができる。
【0009】
本発明の一側面に係るロードセルユニットでは、第1温度センサ及び第2温度センサは、自由端側ブロックから固定端側ブロックに向かう方向と交差し且つ上下方向と交差する幅方向において、起歪体の中央に配置されていてもよい。この構成によれば、第1温度センサ及び第2温度センサは、幅方向において起歪体の平均的な温度を検知することができる。
【0010】
本発明の一側面に係るロードセルユニットは、自由端側ブロック又は固定端側ブロックの何れか他方に配置された第3温度センサを備えていてもよい。この構成によれば、第1温度センサ及び第2温度センサにより取得する起歪体の2箇所の温度差に加えて、第1温度センサ及び第3温度センサにより、起歪体の2箇所の温度差を更に取得することができる。これにより、ロードセルの出力に対して当該温度差に基づく温度補償を行うことが可能となり、一層安定した高精度な計量を実現可能となる。
【0011】
本発明の一側面に係るロードセルユニットでは、ロードセルは、起歪体の歪曲量に応じた計量値をアナログ値として出力する受感部を有しており、受感部で出力したアナログ値をデジタル値へ変換する変換部と、第1温度センサで検知した第1温度と第2温度センサで検知した第2温度との温度差に基づいて、変換部で変換したデジタル値に対して、不均衡な状態の温度補償を行う温度差補償部と、を備えていてもよい。この構成によれば、起歪体の当該温度差に基づく不均衡な状態の温度補償を行うことができる。
【0012】
本発明の一側面に係るロードセルユニットは、第1温度に基づいて、変換部で変換し且つ温度差補償部で補償を行う前のデジタル値に対して、定常状態の温度補償を行う温度補償部を備えていてもよい。この構成によれば、温度補償部により、ロードセル全体の代表温度である第1温度に基づいて定常状態の温度補償を行うことが可能となる。ここで、温度補償部による温度補償は、主として熱的平衡状態における出力のズレを補償する一方、温度差補償部による温度補償は、主として熱的不平衡状態における出力のズレを補償する。そのため、この構成によれば、両者の調整を簡単に切り分けることができる。
【0013】
本発明の一側面に係るロードセルユニットは、起歪体の歪曲量に応じた計量値をアナログ値として出力する受感部と、受感部で出力したアナログ値をデジタル値へ変換する変換部と、第1温度センサで検知した第1温度と第2温度センサで検知した第2温度との温度差、及び、第1温度と第3温度センサで検知した第3温度との温度差、に基づいて、変換部で変換したデジタル値に対して、不均衡な状態の温度補償を行う温度差補償部と、を備えていてもよい。この構成によれば、起歪体の当該温度差に基づく不均衡な状態の温度補償を行うことができる。
【0014】
本発明の一側面に係るロードセルユニットは、第1温度に基づいて、変換部で変換し且つ温度差補償部で補償を行う前のデジタル値に対して、定常状態の温度補償を行う温度補償部を備えていてもよい。この構成によれば、温度補償部により、ロードセル全体の代表温度である第1温度に基づいて定常状態の温度補償を行うことが可能となる。ここで、温度補償部による温度補償は、主として熱的平衡状態における出力のズレを補償する一方、温度差補償部による温度補償は、主として熱的不平衡状態における出力のズレを補償する。そのため、この構成によれば、両者の調整を簡単に切り分けることができる。
【0015】
本発明の一側面に係るロードセルユニットでは、第2温度センサは、自由端側ブロック及び固定端側ブロックのうち熱源に近い一方に配置されていてもよい。この構成によれば、熱源による熱伝導を即座に検知することができ、熱源により起歪体に生じる熱的不平衡を早い段階で補償することが可能となる。
【0016】
本発明の一側面に係るロードセルユニットでは、第2温度センサは、固定端側ブロックに配置されていてもよい。一般的に、起歪体に設けられる配線は、固定端側ブロック側にまとめられることが多い。よって、第2温度センサが固定端側ブロックに配置されている場合には、第2温度センサが自由端側ブロックに配置されている場合と比較して、少なくとも第2温度センサからの配線が上側ビーム部又は下側ビーム部に干渉してしまうことを抑制することが可能となる。具体的には、配線が起歪体の可撓部分(薄肉部分)を跨ぐことを低減することができ、配線が計量精度に与える影響を排除することができる。
【0017】
本発明の一側面に係る計量装置は、上記ロードセルユニットと、計量の対象となる物品を搬送面に載置しながら搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアを駆動する駆動部と、搬送コンベア及び駆動部を支持する第1フレーム部と、脚部と、脚部に支持される第2フレーム部と、を備え、自由端側ブロックは、第1フレーム部と接続され、搬送コンベアにより搬送される物品の重量が付加され、固定端側ブロックは、第2フレーム部と接続され、第2温度センサは、自由端側ブロックに配置されている。
【0018】
本発明の一側面に係る計量装置は、上記ロードセルユニットと、ゲートを有し、外部から投入される物品を一時的に滞留させ、その後に排出するホッパ部と、ホッパ部を支持する支持部と、ゲートを開閉駆動する駆動部と、駆動部を格納する本体と、を備え、自由端側ブロックは、支持部と接続され、ホッパ部に滞留した物品の重量が付加され、固定端側ブロックは、本体と接続され、第2温度センサは、固定端側ブロックに配置されている。
【0019】
これらの計量装置においても、上記ロードセルユニットを備えることから、安定した高精度な計量を実現可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安定した高精度な計量を実現可能なロードセルユニット及び計量装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、第1実施形態に係る計量装置を示す構成図である。
図2図2は、図1のロードセルユニットの計量信号処理基板を示すブロック図である。
図3図3は、図1のロードセルユニットの起歪体を示す斜視図である。
図4図4は、図1のロードセルユニットの受感部を示す概略回路図である。
図5図5は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。
図6図6は、第2実施形態に係るロードセルユニットを示す構成図である。
図7図7は、図6のロードセルユニットの起歪体を示す斜視図である。
図8図8は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。
図9図9は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。
図10図10は、第3実施形態に係る計量装置を示す構成図である。
図11図11は、起歪体における位置と温度との関係の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。「上」及び「下」の語は、鉛直方向の上下方向に対応する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、計量装置70を示す構成図である。図2は、ロードセルユニット1を示す構成図である。図3は、ロードセルユニット1の起歪体20を示す概略回路図である。図4は、ロードセルユニット1の受感部30を示す構成図である。図1に示される計量装置70は、上流側から供給される物品Tを下流側へ搬送しつつ、当該物品Tの重量を計測する。
【0024】
計量装置70は、ロードセルユニット1と、計量の対象となる物品Tを搬送面71sに載置しながら搬送する搬送コンベア71と、搬送コンベア71を駆動する駆動部72と、搬送コンベア71及び駆動部72を支持する第1フレーム部73と、脚部74と、脚部74に支持される第2フレーム部75と、を備える。搬送コンベア71としては特に限定されず、種々のコンベアを採用できる。駆動部72は、例えばモータ等を含む。ロードセルユニット1は、計量装置70の計量ボックス76に収容される。ロードセルユニット1は、ロードセル10、第1温度センサ41、第2温度センサ42及び計量信号処理基板50を備える。
【0025】
図1図2及び図3に示されるように、ロードセル10は、物品Tの重量に応じて計量信号(計量値)を得る装置である。ロードセル10は、起歪体20及び受感部30を有する。起歪体20は、矩形ブロック状の外形を呈する。起歪体20は、いわゆるロバーバル機構を有する。起歪体20は、アルミ合金又はステンレス鋼等の金属ブロックに貫通孔が形成されて成り、対称構造を有する。
【0026】
起歪体20は、自由端側ブロック20aと、固定端側ブロック20bと、自由端側ブロック20aの上端と固定端側ブロック20bの上端とを接続する上側ビーム部20cと、自由端側ブロック20aの下端と固定端側ブロック20bの下端とを接続する下側ビーム部20dと、を含む。起歪体20は、自由端側ブロック20aに与えられた荷重に応じて、略平行四辺形状に歪曲する特性を有する。自由端側ブロック20aは、第1フレーム部73と接続され、搬送コンベア71により搬送される物品Tの重量が付加される。固定端側ブロック20bは、第2フレーム部75と接続されている。自由端側ブロック20aと固定端側ブロック20bとは、ほぼ同じ大きさである。上側ビーム部20cには、第1温度センサ41が配置される。少なくとも第1温度センサ41が配置される上側ビーム部20cの形状は、4つのノッチ部の中心に対して対称である(幅方向にも対称で、上側ビーム部20cの延びる方向である左右方向にも対称である)。
【0027】
受感部30は、4つの歪みゲージ31を含み、起歪体20の歪曲量に応じた計量信号をアナログ値として出力する。歪みゲージ31は、上側ビーム部20cの2箇所のノッチ部(薄肉部分,可撓部分)の上面と、下側ビーム部20dの2箇所のノッチ部の下面とに、貼付されている。4つの歪みゲージ31は、ブリッジ回路35を構成しており、起歪体20が歪曲したときには、その歪曲量に応じた計量信号がブリッジ回路35から出力される。なお、ブリッジ回路35では、温度係数を持つ抵抗線35xをホイトストンブリッジ内に挿入することで、ブリッジバランスを補償するゼロ点ドリフトの補償がなされている。ブリッジ回路35では、起歪体20のヤング率の変化に合わせて、ホイトストンブリッジに印加する電圧を調整するための感温抵抗器35yを設け、出力感度の補償がなされている。
【0028】
第1温度センサ41は、上側ビーム部20cに配置された温度センサである。第2温度センサ42は、固定端側ブロック20bに配置された温度センサである。第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、起歪体20の上面に集中して設けられている。第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、起歪体20における幅方向の中央に配置されている。幅方向は、自由端側ブロック20aから固定端側ブロック20bに向かう方向と直交し且つ上下方向と直交する方向である。第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、例えば、温度により抵抗値が変化する感温抵抗(測温素子)により構成される。
【0029】
このような感温抵抗による補償は、後述するA/D変換を行う前の出力の変動幅(ダイナミックレンジ)を小さく抑える効果がある。感温抵抗のみにより変動幅を完全に補償することはできないが、変動幅を小さくしておくことにより、後段の計量信号処理基盤50で補償の対象となる出力の変動幅に割り当てるA/D変換した後の値(いわゆるカウント値)を、より小さな変化に割り当てることができる。そのため、補償を行う出力の変動に対する分解能が向上し、補償精度を向上させるために好ましい構成である。但し、感温抵抗による補償は必須の構成ではない。計量信号処理基盤50のみにより必要な精度による補償が可能であれば、感温抵抗の配置を省略してもかまわない。
【0030】
計量信号処理基板50は、ロードセル10から出力された計量信号に対して増幅、A/D変換、温度補償等の処理を行う基板である。計量信号処理基板50は、信号増幅器51x、信号増幅部51y、A/D変換器(変換部)52x、A/D変換部52y及び演算部53を有する。
【0031】
信号増幅器51xは、ロードセル10から出力された計量信号を増幅させる。信号増幅部51yは、第1温度センサ41で検知した第1温度に関する第1温度信号を増幅させる信号増幅器と、第2温度センサ42で検知した第2温度に関する第2温度信号を増幅させる信号増幅器と、を含む。各信号増幅器は、第1及び第2温度センサ41,42のそれぞれに配線を介して接続される。信号増幅部51yは、起歪体20に設けられた温度センサの数と同じ数の信号増幅器により構成される。
【0032】
A/D変換器52xは、信号増幅器51xで増幅後のアナログ値としての計量信号を、デジタル値としての重量カウントxへ変換する。A/D変換部52yは、信号増幅部51yで増幅後のアナログ値としての第1温度信号をデジタル値としての第1温度カウントtへ変換するA/D変換器と、信号増幅部51yで増幅後のアナログ値としての第2温度信号をデジタル値としての第2度カウントt1へ変換するA/D変換器と、を含む。各A/D変換器は、信号増幅部51yの各信号増幅器に配線を介して接続される。A/D変換部52yは、起歪体20に設けられた温度センサの数と同じ数のA/D変換器により構成される。
【0033】
演算部53は、均衡温度補償部(温度補償部)53a及び不均衡温度補償部(温度差補償部)53bを含む。演算部53は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成され、所定のプログラムに従ってCPUが動作することにより、その機能が実現される。
【0034】
均衡温度補償部53aは、第1温度カウントtに基づいて、重量カウントxに対して温度均衡且つ定常状態の温度補償を行う。なお、本実施形態では、温度の状態は、「温度均衡且つ定常状態」、「温度不均衡且つ定常状態」及び「温度不均衡且つ非定常状態」の3状態がある。「温度均衡且つ定常状態」は、起歪体20全てが同一温度の状態である。「温度不均衡且つ定常状態」は、自由端側ブロック20a及び固定端側ブロック20bに温度差があるが、その差に時間変化が無い状態である。例えば「温度不均衡且つ定常状態」は、熱源の出力(発熱量)が安定してから長時間経過しており、時間が経っても温度分布が変わらなくなった状態が該当する。「温度不均衡且つ非定常状態」は、自由端側ブロック20a及び固定端側ブロック20bに温度差があり、その差に時間変化が生じている状態である。例えば「温度不均衡且つ非定常状態」は、熱源のパワーが上昇した直後(後述)等の状態が該当する。
【0035】
均衡温度補償部53aは、具体的には、下式(1)の温度補償を行い、補償後重量カウントyを算出する。下式(1)において、前半部分は温度ゼロ補償項であり、後半部分は温度感度補償項である。下式(1)において、d,e,f,p,q,rは予め設定された係数である。係数は、恒温槽等を用いてロードセル10の温度を必要回数変化させ、定常状態となったときの温度と出力変動との関係を二次関数で近似することにより算出することができる。
y=(x-dt+et+f)*(s/(pt+qt+r)) …(1)
【0036】
上式(1)に関して、詳説する。
【0037】
まず、ロードセル10に負荷をかけない状態(外力による変形が生じていない状態)の出力について、補償を行うための係数を決定する。この際、上式(1)の乗算記号より右側の部分を1とする(無視する)。無負荷状態で、3点の温度(低温、常温、高温、但し、数式に代入する値としては、絶対温度化する)における出力を得る。この際の温度は、定常の温度で、恒温槽内で長時間ロードセル10を置いて計測する必要がある。一般に見かけの出力はずれるが、これを補正して、一定の値になるような係数d,e,fが決まる。係数d,e,fの正負は、現段階では個体差がある。これにより、ゼロ点の温度均衡且つ定常状態な温度補償ができる。この温度は、3点である必要はなく、2点でも4点でもよい。n点であれば、乗算記号(*)の左側の項を温度tのn-1次式として立式する(この場合、決定すべき定数の係数はnつとなる)。
【0038】
例えば常温は、装置が使用される環境の温度(外気温度)程度である。但し、実際に使用される場所と必ずしも厳密にイコールではなくてもよい。例えば高温及び低温は、ロードセル10の耐用温度と同程度か、その外側の(より高い又はより低い)温度とするのが好ましい。高温-常温間と低温-常温間とは、求まる値の精度が良くなるために、可能な限り差を大きくすることが好ましい。また、高温-常温間と低温-常温間とは、同程度の差とすることが望ましい。一例として、常温は、高温と低温との平均値としてもよい。
【0039】
次に、ロードセル10に負荷をかけた状態(外力によって変形を生じさせた状態)の出力について、補償を行うための係数を決定する。ここで、定数sは、加える負荷の大きさ(重量)であり、未定乗数ではない。負荷をかけた状態で、ゼロ点から変動した出力値(ゼロ点の出力からの差がスパン値)を得る。同じ負荷をかけた場合であっても、この出力値は温度により変化するため、補償する必要がある。同様に定常的な3点の温度(低温、常温、高温、同様に絶対温度化する)における出力を得る。そして、係数p,q,rを得る。こちらも、取得する出力の数(計測する温度の数)によって式の次数を自由に決めてよい。そのため、取得する温度は、2点でも4点でもよい。n点であれば、乗算記号(*)の右側の項を温度tのn-1次式(の逆数)として立式する(この場合、決定すべき定数の係数はnつとなる)。
【0040】
以上により、上記(1)に基づき、重量カウントx(見かけの値)から、補償後重量カウントy(真の値)を得ることができるようになった。この補償後重量カウント値yは、ロードセル10の温度が均衡状態にあるという条件下では、ロードセル10の温度による出力の変動を精度よく補償する。但し、ロードセル10の温度が不均衡である場合には、温度勾配が生じていることに起因する更なる出力の変動が生じてしまい、真の値からずれてしまうことがわかっている。そこで、このような温度の不均衡に起因した出力のずれを補償するために、さらに不均衡温度補償部53bを設ける。
【0041】
不均衡温度補償部53bは、第1温度カウントtと第2温度カウントt1との温度差に基づいて、均衡温度補償部53aによる温度補償後の補償後重量カウントyに対して、不均衡な状態の温度補償を行う。不均衡な状態は、温度勾配が生じている状態であり、定常状態であるか、非定常状態であるかに限らず生じ得る状態である。不均衡な状態は、起歪体20が部位によって異なる温度となっている、不均一な温度分布が発生している状態である。不均衡な状態は、例えば、温度分布が動的で、時間変化している状態を含む。一例として、不均衡な状態は、装置を作動し始めて、主に熱源(モータ)から熱伝導を受けて、熱源側から熱の流入が生じ、だんだんと温まっている状態を含む。この場合、熱源側の温度も反対側に伝わっていく。熱源側が比較的高温で、反対側が比較的低温の温度勾配となる。また、不均衡な状態は、温度分布が静的で、時間変化しなくなった状態を含む。一例として、装置起動後十分時間が経ち、装置が温まりきっており、商品処理量も安定している状態を含む。このとき、起歪体20のモータ側は、反対側よりも高温になり、温度勾配は発生しているが、熱の流入と流出とが釣り合っており、温度変化は生じなくなっている。本実施形態では、不均衡な状態は、上述した「温度不均衡且つ定常状態」及び「温度不均衡且つ非定常状態」を含む(以下、の「不均衡な状態」において同じ)。
【0042】
不均衡温度補償部53bは、具体的には、下式(2)の温度補償を行い、不均衡温度補償後重量カウントy’を算出する。下式(2)において、jは予め設定された係数である。係数は、ロードセル10に意図的な温度差を発生させることによる算出することができる。この温度差発生には、モータ類を稼働することによる発熱が利用できる。更に意図的にヒータ等を用いて熱を与えることで時間を短縮することは可能である。下式(2)のように補償式を一次関数とした場合には、ある温度差と当該温度差における出力との組が1点必要となり、連立一次方程式から解である補償係数を求めることができる。ちなみに、補償式が高次の関数となればなるほど、補償精度を高めることができるが、必要な温度差データの点数は増加し得る。
y’=y-j*(t1-t) …(2)
【0043】
上式(2)に関して、詳説する。
【0044】
まず、補償後重量カウントyと不均衡温度補償後重量カウントy’との関係式を得る。温度分布が生じれば出力のずれがあり、このずれは、起歪体20の中心部の温度と端の温度との差に依存すると仮定している。また、起歪体20は、一方から他方に向けて熱の勾配ができていると仮定している(そのため、端部の計測は少なくとも1つでよいと仮定している)。ここで、一方の端部を温めて人為的に熱勾配を生じさせ、その際の中央と一方端部との温度差(t-t1)を作り出し、この温度差が出力をどれくらいずらしているのかに対応する係数jを求める。ここで、t1=0の場合に定数項は0である(yを計算する際のfに含まれている)ので、不明な定数はjの1つだけである。2次の項を作成して、-{j1(t-t1)+j2(t-t1)^2}等とすることも可能であるが、この場合は、未定乗数を決定するために温度差と、当該温度差における出力との組が2つ必要となる(j,j1,j2の正負は個体によって異なる)。ただし、非定常状態の人為的な設定は、取り決めに従って装置が自動的に設定可能な恒温槽に比べて手間がかかる。そのため、作成の手間を考えて、取得する温度差の数を最小限の1点としている。このように、定常状態と非定常状態とを切り分けて調整でき、しかも各々の精度(どの次数まで求めるか)を自由に設定できる。
【0045】
このように構成されたロードセルユニット1では、まず最初に、上記のアナログ補償(抵抗線35xによるゼロ点ドリフトの補償及び感温抵抗器35yによる出力感度の補償)により、ロードセル10の出力に粗補償が施される。次に、第1温度センサ41で検知した第1温度(ロードセル10全体の代表温度)に基づき、ロードセル10の出力に定常状態の温度補償が施される。そして、温度補償が施された出力に対して、更に不均衡な状態の温度補償が施される。なお、代表温度は、起歪体20の上面の2つ歪みゲージ31の温度を精度よく表している温度である。妥当な代表温度をどのように得るのが妥当かの検証については、後に詳述する。
【0046】
以上、ロードセルユニット1では、第1温度センサ41により、ロードセル10全体の代表温度を検知することができる。これにより、ロードセル10の出力に対して、ロードセル10全体の代表温度に基づく温度補償を行うことが可能となる。加えて、第1温度センサ41及び第2温度センサ42により、起歪体20の2箇所の温度を取得することができる。これにより、起歪体20に生じる温度差(熱的不平衡)を取得(算出)し、ロードセル10の出力に対して当該温度差に基づく温度補償、すなわち、不均衡な状態の温度分布を考慮した温度補償を行うことが可能となる。
【0047】
その結果、ロードセルユニット1では、安定した高精度な計量を実現可能となる。例えば、一般的な計量機では、その電源投入直後には各電気部品が発熱することにより計量値が変動してしまうため、安定するまで一定の計量禁止時間を設ける必要があったのに対し、ロードセルユニット1が搭載された計量装置70では、不均衡な状態の温度補償を行うことで、安定にかかる時間も短縮され、ユーザビリティを向上することができる。
【0048】
ロードセルユニット1では、第2温度センサ42は、固定端側ブロック20bに配置されている。起歪体20に設けられる配線Hは、固定端側ブロック20b側に延びてまとめられる(図1参照)。よって、第2温度センサ42が固定端側ブロック20bに配置されている場合には、第2温度センサ42が自由端側ブロック20aに配置されている場合と比較して、少なくとも第2温度センサ42からの配線Hが上側ビーム部20c又は下側ビーム部20dに干渉してしまうことを抑制することが可能となる。具体的には、配線Hが起歪体20のノッチ部(可撓部分,薄肉部分)を跨ぐことを低減することができ、配線Hが計量精度に与える影響を排除することができる。なお、起歪体20に設けられる配線Hが固定端側ブロック20b側にまとめられる理由として、計量信号処理基板50が固定端側ブロック20b側に設けられることが挙げられる。これは、計量信号処理基板50を自由端側ブロック20a側に設けると、風袋となること、計量信号処理基板50から受感部30に延びる配線Hが起歪体20の変形に干渉することが理由である。
【0049】
ロードセルユニット1では、第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、起歪体20の上面に集中して設けられている。この構成によれば、第1温度センサ41及び第2温度センサ42からの配線Hをシンプルに構成しやすくなる。また、起歪体20の側面に第1温度センサ41及び第2温度センサ42を配置する場合と比較して、配線Hが起歪体20の変形に干渉しにくく、計量の精度に与える悪影響を最小限に留めることができる。また、起歪体20は対称構造であるため、第1温度センサ41及び第2温度センサ42を同一面に集中して設けることで、上面及び下面の温度差によるノイズの影響を受けること無く、安定した温度変化を取得することができる。第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、起歪体20の上面に代えて、起歪体20の下面に集中して設けられていてもよい。
【0050】
一般に、ロードセル10(起歪体20)は、自由端側ブロック20a及び固定端側ブロック20bが外部(装置のフレーム等)に物理的に接続されて使用される。そのため、熱の流入及び流出は、主として、自由端側ブロック20a及び固定端側ブロック20bの接続部分を介した熱伝導によってもたらされる。そのため、主として、自由端側ブロック20aから固定端側ブロック20bに向けた方向に熱勾配(温度の高低差)が生じやすい。しかしながら、熱源が自由端側ブロック20a又は固定端側ブロック20bの上方に位置するか、下方に位置するかによって、上下方向にも温度勾配が生じる。そこで、熱源による温度勾配をより正確に補償するためには、上下方向に見て同じ位置に第1温度センサ41と第2温度センサ42とを配置するのが望ましい。ここで、第1温度センサ41は、上側ビーム部20c又は下側ビーム部20dに設ける必要があるものの、上側ビーム部20c又は下側ビーム部20dの側面は小面積であるので配置することが難しい。そのため、第1温度センサ41と第2温度センサ42とを上下方向に見て同じ位置に配置するには、共に上面又は共に下面に設けるのが望ましい。上面と下面とを比較すると、上面に設けたほうが生産時及びメンテナンス時に作業者によるアクセスがしやすいため、より好適である。
【0051】
ロードセルユニット1では、第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、幅方向において起歪体20の中央に配置されている。この構成によれば、第1温度センサ41及び第2温度センサ42は、幅方向において起歪体20の平均的な温度を検知することができる。
【0052】
ロードセルユニット1では、ロードセル10は、起歪体20の歪曲量に応じた計量信号をアナログ値として出力する受感部30を有する。ロードセルユニット1は、A/D変換器52x及び不均衡温度補償部53bを備える。A/D変換器52xは、受感部30で出力したアナログ値の計量信号を、デジタル値の重量カウントxへ変換する。不均衡温度補償部53bは、A/D変換器52xで変換したデジタル値であって均衡温度補償部53aによる温度補償後の補償後重量カウントyに対して、不均衡な状態の温度補償を行う。この構成によれば、起歪体20の当該温度差に基づく不均衡な状態の温度補償を行うことができる。
【0053】
ロードセルユニット1は、均衡温度補償部53aを備える。均衡温度補償部53aは、第1温度カウントtに基づいて、A/D変換器52xで変換したデジタル値であって不均衡温度補償部53bによる温度補償前の重量カウントxに対して、定常状態の温度補償を行う。この構成によれば、均衡温度補償部53aにより、ロードセル10全体の代表温度である第1温度に基づいて定常状態の温度補償を行うことが可能となる。ここで、均衡温度補償部53aによる温度補償は、主として熱的平衡状態における出力のズレを補償する一方、不均衡温度補償部53bによる温度補償は、主として熱的不平衡状態における出力のズレを補償する。そのため、この構成によれば、両者の調整を簡単に切り分けることができる。
【0054】
また、例えば、定常状態の補償(概ね起歪体20の平均的な温度に対する補償)は、温度に対する高次式(2次式、温度3点における温度と出力との計測が必要)で補償し、不均衡な状態の補償(起歪体20の温度分布も考慮した補償)は、温度に対する低次式(1次式、温度1点における温度差と出力との計測が必要)で補償する、という切り分けができる。補償を行う式は、一般に次数を上げるほど補償精度は向上するが、その分、決定すべき係数の数が増加する。すなわち、補償式の調整のために起歪体20の温度を変えて受感部30の出力を取得する工程(取得すべき温度と出力との関係性)は高次の補償を行うほど増加する。一般に、定常状態における受感部30の出力を、起歪体20の温度を変えて得るのは比較的容易である(恒温槽に所定時間起歪体を入れておけばよいため)。しかしながら、不均衡な状態における受感部30の出力を、起歪体20の温度(この場合、正確には第1温度センサ41と第2温度センサ42との温度差)を変えて得るのは比較的困難である。そのため、本実施形態のように定常状態における補償と、不均衡な状態における補償とを切り分ければ、求める精度と調整の困難さとの比較考量により、各々の補償に対して適切な調整を行うことが容易となる。
【0055】
図5は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。図中において、波形D1は、本実施形態に係るロードセルユニット1の結果であり、波形D2は、比較例1に係るロードセルユニットの結果であり、波形D3は、比較例2に係るロードセルユニットの結果である。比較例1は、第2温度センサ42及び不均衡温度補償部53bを備えていない点以外はロードセルユニット1と同様な構成を備える。比較例2は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、均衡温度補償部53a及び不均衡温度補償部53bを備えていない点以外はロードセルユニット1と同様な構成を備える。ここでの試験では、恒温槽内に各種のロードセルユニットをセットし、槽内温度N1を常温→高温→低温→常温とほぼステップ状に変化させている。図4に示されるように、波形D2及び波形D3(比較例1及び比較例2)では、急激に槽内温度N1が変化したときに、出力が一時的に変動してしまう。これに対して、本実施形態の出力値(波形D1)の変動は、波形D2及び波形D3に比べて小さくなっている。ロードセルユニット1では、当該変動を大きく抑制することができ、高い変動改善効果が得られることを確認することができる。
【0056】
なお、ロードセルユニット1では、第2温度センサ42は、自由端側ブロック20aに配置されていてもよい。この場合、自由端側ブロック20a側に熱源としての駆動部72が配置されることから、自由端側ブロック20aは、熱源に近い一方である。すなわち、第2温度センサ42は、熱源となる駆動部72からの熱伝導を固定端側ブロック20bと比較してより多く受ける自由端側ブロック20aに配置されていてもよい。「熱源に近い一方」とは、相対的な概念である。自由端側ブロック20a側及び固定端側ブロック20b側の双方に熱源となり得るものが存在する場合には、より高温となる熱源が存在する側が、「熱源に近い一方」の側となる。この構成によれば、熱源による熱伝導を即座に検知することができ、熱源により起歪体20に生じる熱的不平衡を早い段階で補償することが可能となる。
【0057】
また、計量装置70が冷たい物品Tを計量する場合、冷たい物品Tの温度に起因して自由端側ブロック20aの温度が急減に下がる場合がある。この場合、第2温度センサ42が自由端側ブロック20aに配置されていると、冷たい物品Tによる熱伝導を即座に検知することができ、冷たい物品Tにより起歪体20に生じる熱的不平衡を早い段階で補償することが可能となる。
【0058】
本実施形態では、精度の観点及び調整の観点のそれぞれにおいて、以下の格別な効果が奏される。
<精度の観点>
自由端側ブロック20aと固定端側ブロック20bとの中間に位置する1つの第1温度センサ41でロードセル10全体の代表的な温度(代表温度)を取得して、ロードセル10全体の平均的な(代表的な、及び、ほぼ中間の値となる)温度によるロードセル10の全体的な出力のズレを補償できる。自由端側ブロック20a及び固定端側ブロック20bのうちの一方に位置する第2温度センサ42により、不均衡な状態に関する出力のずれを補償することができる。
【0059】
第2実施形態では、3つの温度センサ41~43を配置している。第2温度センサ42と第3温度センサ43とは対称の位置にあるため、発明者は、これら第2温度センサ42及び第3温度センサ43で検知された各温度を平均した平均温度が代表的な温度になり得る可能性を検討した。しかしながら、検討の結果、実際には、第2温度センサ42及び第3温度センサ43の当該平均温度を用いるよりも、第1温度センサ41で検知された温度のみを用いた場合に、ロードセル10(起歪体20)全体の実際の代表的な温度を表すことができることを見出した。以下、具体的に説明する。
【0060】
図11は、起歪体20における位置と温度との関係の一例を説明する図である。図中において、実線は、実際の起歪体20の温度である。実線上の3つの「×」は、図中の左から第2温度センサ42で検知された温度、第1温度センサ41で検知された温度(温度A)、第3温度センサ43で検知された温度にそれぞれ対応する。点線は、実線上の最も左側の「×」と最も右側の「×」とを結ぶ直線である。一点鎖線は、自由端側ブロック20a側に配置された熱源のパワーが上昇した直後(例えばモータの回転数(発熱量)が向上した直後)においての、実際の起歪体20の温度である。一点鎖線上の2つの「×」のうち、左側の「×」は、当該直後における第2温度センサ42で検知された温度に対応する。右側の「×」は、当該直後における第3温度センサ43で検知された温度に対応する。二点鎖線は、一点鎖線上の左側の「×」と右側の「×」とを結ぶ直線である。二点鎖線上の3つの「×」のうち、左右真ん中の「×」は、当該直後において、第2温度センサ42で検知された温度と第3温度センサ43で検知された温度との平均温度(温度B)に対応する。
【0061】
起歪体20のビーム部(上側ビーム部20c又は下側ビーム部20d)の温度Aによりロードセル10の温度補償を行った場合と、自由端(自由端側ブロック20a)及び固定端(固定端側ブロック20b)の2箇所の温度の平均の温度Bによりロードセル10の温度補償を行った場合と、の違いについては、次のとおりである。すなわち、図11に示されるように、起歪体20の温度勾配は、自由端、固定端の熱の流入出により発生する。仮に自由端側から熱が流入し、固定端側から流出する場合には、自由端の方が固定端と比較して温度は高くなる。熱の伝導は、電気抵抗と同じく温度の高い方から低い方に伝わり、伝導経路の断面積と距離の影響を受けて温度降下が生じる。そのため、起歪体20の場合、特に大きく温度の降下が発生するのはノッチ部(薄肉部)であり、それ以外の部分である自由端や固定端のブロック20a,20b、ノッチ部間をつなぐビーム部は、ノッチ部と比較して断面積が極端に大きいため温度降下は無視できる。これは、断面積が広い程、単位時間当たりの熱の移動量が大きくなるため、短時間で温度が行き渡り、ほぼ温度が同じになる(早期に均衡する)ためである。その結果、ノッチ部においては熱の時間当たりの移動量が少ないため、ノッチ部を跨いで温度の差が生じたとしても、直ぐに両者の間(本実施形態の場合、自由端側ブロック20aと上側ビーム部との間、及び下側ビーム部と固定端側ブロック20aとの間)で温度が伝わらず、温度差のある状態がすぐには解消されない。他方で、自由端や固定端のブロック20a,20b、ノッチ部間をつなぐビーム部(上側ビーム部20c又は下側ビーム部20d)の各々の内部では、比較的、熱の時間当たりの移動量が大きいため、温度差が生じたとしても短時間で解消する(至る所、温度が均衡する)。ここで、ノッチ部には歪みゲージ31が貼り付けられており、上記の理由から、特にこの歪みゲージ31が配置される位置において温度降下が大きくなる。
【0062】
温度Aについては、ビーム部の温度は前述のとおり略均一と考えることができ、両端に存在するノッチ部に貼り付けられた歪みゲージ31はこのビーム部の温度に近しい値となる(後述)。一方、温度Bについては、起歪体20への熱の流入出が一定で、自由端及び固定端の温度差があっても、その差に変動が無く定常状態である場合、温度B=温度Aとなり、温度Aと同等な特性が得られる。これは、起歪体20が4つのノッチ部の中心部(変形中心)から見て対称形の高い形であり、温度分布が定常状態に至っていれば、ビーム部の延びる方向に見て、各ノッチ部での温度降下の量が等しくなるためである。しかし、熱の流入出に変動がある時、即ち非定常状態の場合温度B≠温度Aとなり歪みゲージ31の実際の温度との間に差が生じる。よって、ビーム部の温度をロードセル10の代表温度とした方が、あらゆる温度状態に適応でき補償精度を高めることができる。なお、歪みゲージ31は、通常、ノッチ部の幅よりも小さい。歪みゲージ31は、半分はビーム部の温度、半分は自由端側ブロック20a又は固定端側ブロック20bの温度に影響される。当該影響の寄与率を考えると、ビーム部の温度が全体の代表的温度(ロードセル10の全体の温度分布を平均した値により近い、実態に即した値)となる。以上の理由から、自由端側ブロック20aと固定端側ブロック20bとのそれぞれに1つずつ合計で2つの温度センサを配置する場合に比べて、第2実施形態では、精度を向上させることが可能となっている。
【0063】
<調整の観点>
温度平衡の状態での温度補償(「温度均衡且つ定常状態」の温度補償)については、自由端側ブロック20aと固定端側ブロック20bとの中間の1つの第1温度センサ41の第1温度に基づき行い、求める精度に応じて温度の取得点数を増やして精度を上げることができる。温度不平衡の状態での温度補償(「温度不均衡且つ定常状態」及び「温度不均衡且つ非定常状態」の温度補償)については、第1温度センサ41及び第2温度センサ42の温度差に基づき行い、求める精度に応じて温度差の取得点数を増やして精度を上げることができる。
【0064】
出力のズレの大部分を占める起歪体20全体の温度変化に基づく出力のズレについては、1つの第1温度センサ41を用いて簡易且つ高精度に補償することが可能である。温度一定の状態にすることは、恒温槽を用いて容易に実現でき、自動化も可能である。恒温槽を用いた自動化では、まず、恒温槽の中にロードセル10を配置する。恒温槽の温度を変化させ、各温度でのロードセル10の出力を取得する。例えば、恒温槽の温度を常温→高温→低温→常温と変化させ、各温度におけるロードセル10の出力を得る。恒温槽の温度を変化させた後、起歪体20の温度が均衡するまで、十分な時間(例えば5時間)待機してから、ロードセル10の出力を取得することが望ましい。この際、ロードセル10においては、固定端側ブロック10bが支持され(固定され)ており、自由端側ブロック10aに対しては、ロボットアームにより負荷(具体的には、分銅の載置)を加えたり解除したりすること(オンオフ)が可能である。そのため、ロボットアームによる負荷をオンオフすることで、各温度において、負荷を加えた場合のロードセル10の出力と、当該負荷を解除した場合のロードセル10の出力とを、自動的に同時に得ることができる。
【0065】
温度差(運転開始時、運転の設定変更時等)に応じた追加の調整的な補償については、第1温度センサ41及び第2温度センサ42の温度を取得して温度差を求めることにより調整することができる。調整の比較的難しい不均衡状態(不均衡且つ定常状態、及び不均衡且つ非定常状態)の温度調整については切り分けて行うことができる。温度差を生じた状態は、例えば、ヒータを自由端側ブロック10a及び固定端側ブロック10bの一方に接触させて、人為的に生じさせることができる。但し、上記の恒温槽におけるロードセル10の出力の取得のように、自動化することは難しい。そこで、温度調整を切り分けて行うことで、温度均衡(温度均衡且つ定常状態)に対する補償をするために得なければならない温度の値と出力の値との組の点数よりも、温度不均衡(不均衡且つ定常状態、及び不均衡且つ非定常状態)において行う補償をするために得なければならない温度差の値と出力の値との組の点数の方を少なくすることができる。これについても、所望の精度に応じて必要な点数の温度差を取得して行うことができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
【0067】
図6は、ロードセルユニット100を示す構成図である。図7は、ロードセルユニット100の起歪体20を示す斜視図である。図6及び図7に示さるように、ロードセルユニット100は、第3温度センサ43を更に備えた点で、上記のロードセルユニット1(図1参照)と異なる。
【0068】
第3温度センサ43は、自由端側ブロック20aに配置された温度センサである。第3温度センサ43は、起歪体20の上面に設けられている。第3温度センサ43は、起歪体20における幅方向の中央に配置されている。第3温度センサ43は、例えば、温度により抵抗値が変化する感温抵抗(測温素子)により構成される。第2温度センサ42と第3温度センサ43とは、対称な位置に配置されている。
【0069】
第2温度センサ42及び第3温度センサ43は、自由端側ブロック20aから固定端側ブロック20bに向かう方向において、起歪体20における4つのノッチ部の中心から等距離の位置に配置される。これは、歪みゲージ31が温度により伸縮して出力がずれてしまうということを補償するためである。第2温度センサ42及び第3温度センサ43は、幅方向において、起歪体20の中心に配置される。これは、当該中心に近い方が、一層、起歪体20の全体の温度に近い温度を第2温度センサ42及び第3温度センサ43で検知できるためである。
【0070】
本実施形態では、信号増幅部51yは、第3温度センサ43で検知した第3温度に関する第3温度信号を増幅させる。A/D変換部52yは、信号増幅部51yで増幅後のアナログ値としての第3温度信号を、デジタル値としての第3温度カウントt2へ変換する。
【0071】
不均衡温度補償部53bは、第1温度カウントtと第2温度カウントt1との温度差及び第1温度カウントtと第3温度カウントt2との温度差に基づいて、均衡温度補償部53aによる温度補償後の補償後重量カウントyに対して、不均衡な状態の温度補償を行う。例えば不均衡温度補償部53bは、下式(3)の温度補償を行い、不均衡温度補償後重量カウントy’を算出する。
y’=y-j*(t1-t)-k*(t2-t) …(3)
また、式(3)において、より高い精度で補償を行うために、取得する温度差を各々n点(nは、3以上の整数)にまで増やし、t1-tのn-1次の項、t-2のn-1次の項まで追加した式としてもよい。この場合、各々の温度差の次数に応じて、温度差と出力との関係を多く取得する必要が生じる。
【0072】
以上、本実施形態においても、安定した高精度な計量を実現可能となる等の上記作用効果が奏される。
【0073】
ロードセルユニット100は、第3温度センサ43を備えている。この構成によれば、第1温度センサ41及び第2温度センサ42により取得する起歪体20の2箇所の温度差に加えて、第1温度センサ41及び第3温度センサ43により、起歪体20の2箇所の温度差を更に取得することができる。これにより、ロードセル10の出力に対して当該温度差に基づく温度補償を行うことが可能となる。温度変化による出力変動をさらに抑えることができ、一層安定した高精度な計量を実現可能となる。
【0074】
ロードセルユニット100では、不均衡温度補償部53bは、第1温度センサ41で検知した第1温度と第2温度センサ42で検知した第2温度との温度差、及び、第1温度センサ41で検知した第1温度と第3温度センサ43で検知した第3温度との温度差、に基づいて、補償後重量カウントyに対して不均衡な状態の温度補償を行う。これにより、第1温度と第3温度との温度差に更に基づく不均衡な状態の温度補償を行うことができる。不均衡な状態の温度補償の際、第1温度センサ41及び第2温度センサ42だけからでは把握できない、起歪体20の温度分布がどのような曲線状となっているかの情報を、精度よく得ることができる。
【0075】
図8は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。図中において、波形D4は、本実施形態に係るロードセルユニット100の結果であり、波形D5は、比較例3に係るロードセルユニットの結果である。比較例3は、温度センサ41~43、均衡温度補償部53a及び不均衡温度補償部53bを備えていない点以外はロードセルユニット100と同様な構成を備える。ここでの試験では、起歪体の固定端側ブロックをヒータで熱して、自由端側ブロックと固定端側ブロックとの温度差N2を図示するように変化させている。図8に示されるように、比較例3では、温度差N2の発生に伴い出力が変動してしまう。これに対して、ロードセルユニット100では、当該変動を大きく抑制し得ることを確認することができる。
【0076】
図9は、ロードセルユニットの温度変化に対する出力変動に関する試験結果を示すグラフである。図中において、波形D6は、本実施形態に係るロードセルユニット100の結果であり、波形D7は、比較例4に係るロードセルユニットの結果であり、波形D8は、比較例5に係るロードセルユニットの結果である。比較例4は、第2温度センサ42、第3温度センサ43及び不均衡温度補償部53bを備えていない点以外はロードセルユニット100と同様な構成を備える。比較例5は、温度センサ41~43、均衡温度補償部53a及び不均衡温度補償部53bを備えていない点以外はロードセルユニット100と同様な構成を備える。ここでの試験では、恒温槽内に各種のロードセルユニットをセットし、槽内温度N3を常温→高温→低温→常温とほぼステップ状に変化させている。図9に示されるように、波形D7及び波形D8(比較例4及び比較例5)では、急激に槽内温度N3が変化したときに、出力が一時的に変動してしまう。これに対して、本実施形態の出力値(波形D6)の変動は、波形D7及び波形D8に比べて小さくなっている。ロードセルユニット100では、当該変動を大きく抑制することができ、高い変動改善効果が得られることを確認することができる。なお、本実施形態の出力値は、第1実施形態の出力値(波形D1)より、出力の変動幅がより小さくなっている(図5参照)。なお、図5及び図9では、縦軸(出力)のスケールは同じである。
【0077】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
【0078】
図10は、第3実施形態に係る計量装置170を示す構成図である。図10に示される計量装置170は、例えば組み合わせ計量機に利用される装置である。計量装置170が計量装置70(図1参照)と異なる点は、搬送コンベア71、駆動部72、第1フレーム部73、脚部74及び第2フレーム部75(図1参照)に代えて、ホッパ部171、支持部172、駆動部173及び本体174を備える点である。
【0079】
ホッパ部171は、ゲートGを有し、外部から投入される物品Tを一時的に滞留させ、その後に排出する。支持部172は、ホッパ部171を支持する。駆動部173は、リンク173xを介してゲートGを開閉駆動する。ゲートGを閉めるときには、計量に干渉しないように、駆動部173とゲートGとは互いに切り離される。駆動部173は、例えばモータ等を含む。本体174は、駆動部173を格納する。本実施形態では、自由端側ブロック20aは、支持部172と接続され、ホッパ部171に滞留した物品Tの重量が付加される。固定端側ブロック20bは、フレーム175を介して、駆動部173を格納した本体174と接続されている。
【0080】
以上、本実施形態においても、安定した高精度な計量を実現可能となる等の上記作用効果が奏される。
【0081】
本実施形態では、第2温度センサ42は、固定端側ブロック20bに配置されている。固定端側ブロック20b側に熱源としての駆動部173が配置されることから、固定端側ブロック20bは、熱源に近い一方である。すなわち、第2温度センサ42は、熱源となる駆動部173からの熱伝導を、自由端側ブロック20aと比較してより多く受ける自由端側ブロック20aに配置されている。この構成によれば、熱源による熱伝導を即座に検知することができ、熱源により起歪体20に生じる熱的不平衡を早い段階で補償することが可能となる。本実施形形態は、第2実施形態と同様に、3つの温度センサ41~43を備えた構成であってもよい。
【0082】
以上、実施形態について説明してきたが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0083】
上記実施形態では、第1温度センサ41は、下側ビーム部20dに配置されていてもよい。上記実施形態では、第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ43の少なくとも何れかは、起歪体20の下面に配置されていてもよいし、起歪体20の側面に配置されていてもよい。上記実施形態では、第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ43の少なくとも何れかは、幅方向における起歪体20の中央以外の位置に配置されていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、上式(2)及び上式(3)の少なくとも何れかを高次化することで、補償精度を更に高めてもよい。上記実施形態では、ロードセルユニット1,100を計量装置70,170に適用したが、これに限定されない。本発明の一態様に係るロードセルユニットは、種々の公知の計量装置に適用することができる。
【0085】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0086】
1,100…ロードセルユニット、10…ロードセル、20…起歪体、20a…自由端側ブロック、20b…固定端側ブロック、20c…上側ビーム部、20d…下側ビーム部、30…受感部、41…第1温度センサ、42…第2温度センサ、43…第3温度センサ、51x…A/D変換器(変換部)、53a…均衡温度補償部(温度補償部)、53b…不均衡温度補償部(温度差補償部)、70,170…計量装置、71…搬送コンベア、71s…搬送面、72,173…駆動部(熱源)、73…第1フレーム部、74…脚部、75…第2フレーム部、171…ホッパ部、172…支持部、174…本体、G…ゲート、T…物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11