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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0446 20230101AFI20240222BHJP
   H04W 72/1263 20230101ALI20240222BHJP
   H04L 5/14 20060101ALI20240222BHJP
   H04W 72/50 20230101ALI20240222BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W72/1263
H04L5/14
H04W72/50 110
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020058494
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158590
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
(72)【発明者】
【氏名】趙 欧
(72)【発明者】
【氏名】廖 偉舜
(72)【発明者】
【氏名】李 可人
(72)【発明者】
【氏名】松村 武
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0229461(US,A1)
【文献】特開2016-167832(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04L 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末と基地局との間で無線通信するIoTシステムを含める5G又はB5G無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記複数の無線端末は、
前記基地局との間で、前記無線信号を全二重無線通信する第1無線端末と、
前記基地局との間で、前記無線信号を半二重無線通信する第2無線端末と、
を含み、
前記基地局は、
前記複数の無線端末のそれぞれに対して個別の無線通信チャネルを割り当て、前記複数の無線端末に対して全二重無線通信又は半二重無線通信を行うと共に、
更に前記個別の無線通信チャネルは、時間スロットを含み、前記時間スロット上で、全二重無線通信の時間スロットの期間と、半二重無線通信の時間スロットの期間とを、規則性を持たせつつ、交互に繰り返し、
前記個別の無線通信チャネルは、
前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、
前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、
前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、
を含み、
前記基地局は、
(1)前記フルデュプレックスチャネルを含む第1無線通信チャネルを割り当て、
(2)前記第1無線通信チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネルを含む第2無線通信チャネルを割り当て、
(3)前記第2無線通信チャネルを割り当てた後、前記第1無線通信チャネルを割り当て、
(4)前記第1無線通信チャネルを割り当てた後、前記ダウンリンクチャネルを含む第3無線通信チャネルを割り当て、
前記(1)~(4)に記載の無線通信チャネルの割り当てを繰り返すこと
を特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記個別の無線通信チャネルは、
未使用チャネルと、
前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、
前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、
前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、
を含み、
前記基地局は、
(5)前記フルデュプレックスチャネルを含む第4無線通信チャネルを割り当て、
(6)前記第4無線通信チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの一方を含む第5無線通信チャネルを割り当て、
(7)前記第5無線通信チャネルを割り当てた後、前記未使用チャネルを割り当て、
(8)前記未使用チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの他方を含む第6無線通信チャネルを割り当て、
前記(5)~(8)に記載の無線通信チャネルの割り当てを繰り返し、
前記未使用チャネルは、前記第1無線端末及び前記第2無線端末それぞれに対する送信及び受信を行わない非スタンバイスロットを含むこと
を特徴とする請求項記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記個別の無線通信チャネルは、
未使用チャネルと、
前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、
前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、
前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、
を含み、
前記基地局は、
前記フルデュプレックスチャネルと、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの一方とを交互に割り当て、
前記未使用チャネルと、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの他方とを交互に割り当て、
前記未使用チャネルは、前記第1無線端末及び前記第2無線端末それぞれに対する送信及び受信を行わない非スタンバイスロットを含むこと
を特徴とする請求項1又は2記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記無線端末は、
無線通信チャネルが割り当てられる前に、前記基地局へ全二重無線通信チャネルの割り当て又は半二重無線通信チャネルの割り当てのいずれを希望するかを通知可能であること
を特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全二重無線通信技術は、無線多重化技術の1つである。全二重無線通信技術は、無線信号の送信及び受信を同時に行うので、原理上、周波数の利用効率を2倍にできる。このため、IoTシステムを含める5G及びB5G無線通信システムにおいて、有用性が高い。
【0003】
全二重無線通信を行う基地局では、収容する複数の無線端末に対して時間スロットに代表される個別の無線通信チャネルを割り当て、それぞれ全二重無線通信を行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Bharadia, E.McMilin, and S.Katti, “Full duplex radios.” In Proceedings of the ACM SIGCOMM 2013 conference on SIGCOMM’13, pages 375-386, NewYork, NY, USA, 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1では、複数の無線端末と基地局との間で全二重無線通信するので、電波資源拡大のための、周波数資源の有効利用については達成される。
【0006】
しかしながら、非特許文献1では、無線通信に要求されるサービス品質等を含む運用状況の差異については考慮されていない。したがって、要求されるサービス品質等を含む運用状況の見地から、改善の余地がある。
【0007】
サービス品質等を含む運用状況の改善の余地としては、全二重無線通信に起因して基地局において発生する無線端末間の通信干渉を挙げることができる。
【0008】
この発明の実施形態は、基地局において発生する無線端末間の通信干渉を抑制することが可能な全二重無線通信を利用した無線通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1態様に係る無線通信方法は、複数の無線端末と基地局との間で無線通信するIoTシステムを含める5G又はB5G無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記複数の無線端末は、前記基地局との間で、前記無線信号を全二重無線通信する第1無線端末と、前記基地局との間で、前記無線信号を半二重無線通信する第2無線端末と、を含み、前記基地局は、前記複数の無線端末のそれぞれに対して個別の無線通信チャネルを割り当て、前記複数の無線端末に対して全二重無線通信又は半二重無線通信を行うと共に、更に前記個別の無線通信チャネルは、時間スロットを含み、前記時間スロット上で、全二重無線通信の時間スロットの期間と、半二重無線通信の時間スロットの期間とを、規則性を持たせつつ、交互に繰り返し、前記個別の無線通信チャネルは、前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、を含み、前記基地局は、(1)前記フルデュプレックスチャネルを含む第1無線通信チャネルを割り当て、(2)前記第1無線通信チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネルを含む第2無線通信チャネルを割り当て、(3)前記第2無線通信チャネルを割り当てた後、前記第1無線通信チャネルを割り当て、(4)前記第1無線通信チャネルを割り当てた後、前記ダウンリンクチャネルを含む第3無線通信チャネルを割り当て、前記(1)~(4)に記載の無線通信チャネルの割り当てを繰り返す。
【0012】
この発明の第2態様に係る無線通信方法は、第1態様において、前記個別の無線通信チャネルは、未使用チャネルと、前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、を含み、前記基地局は、(5)前記フルデュプレックスチャネルを含む第4無線通信チャネルを割り当て、(6)前記第4無線通信チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの一方を含む第5無線通信チャネルを割り当て、(7)前記第5無線通信チャネルを割り当てた後、前記未使用チャネルを割り当て、(8)前記未使用チャネルを割り当てた後、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの他方を含む第6無線通信チャネルを割り当て、前記(5)~(8)に記載の無線通信チャネルの割り当てを繰り返し、前記未使用チャネルは、前記第1無線端末及び前記第2無線端末それぞれに対する送信及び受信を行わない非スタンバイスロットを含む。
【0013】
この発明の第態様に係る無線通信方法は、第1態様又は第2態様において、前記個別の無線通信チャネルは、未使用チャネルと、前記第1無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクと、前記基地局から前記第1無線端末へ送信するダウンリンクと、を含むフルデュプレックスチャネルと、前記第2無線端末から前記基地局へ送信するアップリンクを含むアップリンクチャネルと、前記基地局から前記第2無線端末へ送信するダウンリンクを含むダウンリンクチャネルと、を含み、前記基地局は、前記フルデュプレックスチャネルと、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの一方とを交互に割り当て、前記未使用チャネルと、前記アップリンクチャネル及び前記ダウンリンクチャネルの他方とを交互に割り当て、前記未使用チャネルは、前記第1無線端末及び前記第2無線端末それぞれに対する送信及び受信を行わない非スタンバイスロットを含む。
【0014】
この発明の第態様に係る無線通信方法は、第1態様~第態様のいずれか1つにおいて、前記無線端末は、無線通信チャネルが割り当てられる前に、前記基地局へ全二重無線通信チャネルの割り当て又は半二重無線通信チャネルの割り当てのいずれを希望するかを通知可能である。
【発明の効果】
【0015】
第1態様~第態様に係る無線通信方法は、基地局は、複数の無線端末のそれぞれに対して個別の無線通信チャネルを割り当て、複数の無線端末に対して全二重無線通信又は半二重無線通信を行う。これにより、基地局が、複数の無線端末の全てに対して全二重無線通信を行う場合と比較して、基地局において発生する無線端末間の通信干渉を抑制することできる。したがって、第1態様~第態様に係る無線通信方法によれば、基地局において発生する無線端末間の通信干渉を抑制することが可能な全二重無線通信を利用した無線通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(a)~図1(c)は、一実施形態に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。
図2図2は、一実施形態に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
図3図3は、一実施形態の第1変形例に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。
図4図4は、一実施形態の第1変形例に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
図5図5(a)~図5(d)は、一実施形態の第2変形例に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。
図6図6は、一実施形態の第2変形例に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
(一実施形態)
図1(a)~図1(c)は、一実施形態に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。図2は、一実施形態に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
【0019】
図1(a)~図1(c)に示すように、一実施形態に係る無線通信方法は、複数の無線端末と基地局2との間で無線通信する無線通信方法である。複数の無線端末は、基地局2との間で、無線信号を全二重無線通信する第1無線端末1a(図1(a))と、基地局2との間で、無線信号を半二重無線通信する第2無線端末1b~1d(図1(b)及び図1(c))と、を含む。
【0020】
図2に示すように、基地局2は、無線端末1a~1dのそれぞれに対して個別の無線通信チャネルを割り当てる。基地局2は、例えば無線端末1aに対して全二重無線通信を行い無線端末1b~1dに対して半二重無線通信を行う。一実施形態では、基地局2は、第1無線端末1aと全二重無線通信を行い、第2無線端末1b~第4無線端末1dと半二重無線通信を行う。
【0021】
また、図2には、個別の無線通信チャネルの一例として、例えば時間スロット100を含む無線通信チャネルの例が示される。基地局2は、第1無線端末1a~第4無線端末1dに対する時間スロット100を、全二重無線通信のための全二重無線通信時間スロット期間200FDと、半二重無線通信のための半二重無線時間スロット期間200HDとに分割する。これにより、基地局2は、第1無線端末1aと全二重無線通信時間スロット期間200FDにおいて、全二重無線通信を行い、第2無線端末1b~1dと半二重無線通信時間スロット期間200HDにおいて、半二重無線通信を行う。
【0022】
さらに、一実施形態に係る無線通信方法では、基地局2は、全二重無線通信時間スロット期間200FDと、半二重無線時間スロット期間200HDとを周期的に繰り返す。例えば基地局2は、全二重無線通信時間スロット期間200FDと、半二重無線時間スロット期間200HDとを交互に繰り返す。
【0023】
全二重無線通信時間スロット期間200FDは、フルデュプレックススロット100FDを含む。フルデュプレックススロット100FDは、第1無線端末1aから基地局2へ上りデータを送信するアップリンクと、基地局2から第1無線端末1aへ下りデータを送信するダウンリンクと、を含む。
【0024】
半二重無線時間スロット期間200HDは、アップリンクスロット100ULと、ダウンリンクスロット100DLと、を含む。アップリンクスロット100ULは、第2無線端末1b~第4無線端末1dから上りデータを順次基地局2へ送信する。ダウンリンクスロット100DLは、基地局2から下りデータを順次第2無線端末1b~第4無線端末1dへ送信する。
【0025】
一実施形態に係る無線通信方法では、基地局2は、以下の通信手順をとる。
【0026】
(1)フルデュプレックスチャネル(一例はフルデュプレックススロット100FD)を含む第1無線通信チャネルを割り当てる。
【0027】
(2)第1無線通信チャネルを割り当てた後、アップリンクチャネル(一例はアップリンクスロット100UL)を含む第2無線通信チャネルを割り当てる。
【0028】
(3)第2無線通信チャネルを割り当てた後、第1無線通信チャネルを割り当てる。
【0029】
(4)第1無線通信チャネルを割り当てた後、ダウンリンクチャネル(一例はダウンリンクスロット100DL)を含む第3無線通信チャネルを割り当てる。
【0030】
そして、上記(1)~(4)に記載の通信チャネルの割り当てを繰り返す。
【0031】
このような一実施形態に係る無線通信方法によれば、複数の無線端末、例えば第1無線端末1a~第4無線端末1dと基地局2との間で、全二重無線通信と、半二重無線通信とを行う。これにより、基地局2が、例えば、複数の無線端末の全てに対して半二重無線通信を行う場合と比較して、電波資源拡大のための、周波数資源を有効利用することができる。これとともに、基地局2が、複数の無線端末の全てに対して全二重無線通信を行う場合と比較して、基地局2において発生する無線端末間の通信干渉を抑制することできる。
【0032】
また、一実施形態に係る無線通信方法は、無線通信に要求されるサービス品質等を含む運用状況の差異について、全二重無線通信時間スロット期間200FDと、半二重無線時間スロット期間200HDとをランダムに発生させるのではなく、時間スロット100上で、規則性を持たせつつ、交互に繰り返すように工夫している。この工夫により、全二重無線通信に起因して基地局2において発生する第1無線端末1a~第4無線端末1d相互間の通信干渉を、全二重無線通信及び半二重無線通信をランダムに発生させる場合と比較して、より軽減することが可能となる。特に、全二重無線通信における第1無線端末1aからのダウンリンクに基づく通信セル間の干渉を抑制することができる。
【0033】
通信セル間の干渉の例は、例えば第1無線端末1aからのダウンリンクデータに入る通話や周囲環境音が、無線端末1bのダウンリンクデータに、基地局2からの送信中に入り込んでしまうことである。このような通信セル間の干渉を、一実施形態に係る通信方法によれば、一実施形態に係る通信方法を用いない場合と比較して軽減することができる。
【0034】
したがって、一実施形態に係る無線通信方法によれば、基地局2において発生する第1無線端末1a~第4無線通信端末1d間の通信干渉を抑制することが可能な全二重無線通信を利用した無線通信方法を得ることができる。
【0035】
また、全二重無線通信と、半二重無線通信とを併用する一実施形態に係る無線通信方法は、IoTシステムを含める5G及びB5G無線通信システムにおいて、特に有用性が高い。
【0036】
なお、複数の無線端末は、無線端末1a~1dの4つの場合を例示したが、無線端末の数は、4つに限られることはなく、任意である。また、全二重無線通信を行う無線端末は、無線端末1aの1つの場合を例示したが、全二重無線通信を行う無線端末の数は、1つに限られることなく、任意である。これらの事項は、以下説明する変形例においても同様である。
【0037】
(第1変形例)
図3は、一実施形態の第1変形例に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。図4は、一実施形態の第1変形例に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
【0038】
図3及び図4に示すように、第1変形例に係る無線通信方法が、一実施形態に係る無線通信方法と異なるところは、個別の無線通信チャネルが、未使用チャネルを含むことである。未使用チャネルは、例えば未使用スロット300を含む。未使用スロット300の例としては、例えば、第1無線端末1a~第4無線端末1dそれぞれに対する送信及び受信を行わない非スタンバイスロットを含む例を挙げることができる。このような未使用スロット300では、基地局2において、第1無線端末1a~第4無線端末1dそれぞれに対する下りデータの送信及び上りデータの受信に関わる電力を減ずることができる。
【0039】
第1変形例に係る無線通信方法によれば、一実施形態に係る通信方法と比較して、通信干渉を抑制したまま、基地局2における消費電力を削減することが可能となる。
【0040】
さらに、第1変形例によれば、未使用スロット300の次に行われる通信手順が、第2無線端末1b~第4無線端末1dのダウンリンクである。
【0041】
このように、基地局2は、未使用スロット300を割り当てた後、ダウンリンクスロット100DLを含む無線通信チャネルを、第2無線端末1b~第4無線端末1dに割り当てることによって、上記通信セル間の干渉を、さらに良く軽減することができる。また、特に図示しないが、基地局2は、未使用スロット300を割り当てた後、アップリンクスロット100ULを含む無線通信チャネルを、第2無線端末1b~第4無線端末1dに割り当てることも可能である。したがって、基地局2は、例えば、(5)フルデュプレックススロット(一例はフルデュプレックススロット100FD)を含む第4無線通信チャネルを割り当てる。(6)第4無線通信チャネルを割り当てた後、アップリンクチャネル(一例はアップリンクスロット100UL)及びダウンリンクチャネル(一例はダウンリンクスロット100DL)の一方を含む第5無線通信チャネルを割り当てる。(7)第5無線通信チャネルを割り当てた後、未使用チャネルを割り当てる。(8)未使用チャネルを割り当てた後、アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルの他方を含む第6無線通信チャネルを割り当てる。そして、上記(5)~(8)に記載の通信チャネルの割り当てを繰り返すようにしても良い。
【0042】
(第2変形例)
図5(a)~図5(d)は、一実施形態の第2変形例に係る無線通信方法の一例を示す模式図である。図6は、一実施形態の第2変形例に係る無線通信方法の時間スロットの一例を示す模式タイムチャートである。
【0043】
図5(a)~図6に示すように、第2変形例が第1変形例と異なるところは、基地局2が、フルデュプレックススロット100FDと、アップリンクスロット100ULとを交互に割り当て、未使用スロット300と、ダウンリンクスロット100DLとを交互割り当てるようにしたことである。
【0044】
このように、例えば、未使用スロット300と、ダウンリンクスロット100DLとを交互に行うことで、上記通信セル間の干渉を、第1変形例と比較して、さらに良く軽減することができる。また、特に図示しないが、フルデュプレックススロット100FDと、ダウンリンクスロット100DLとを交互に割り当て、未使用スロット300と、アップリンクスロット100ULとを交互割り当てることも可能である。このように基地局2は、フルデュプレックスチャネル(一例はフルデュプレックススロット100FD)と、アップリンクチャネル(一例はアップリンクスロット100UL)及び前記ダウンリンクチャネル(一例はダウンリンクスロット100DL)の一方とを交互に割り当て、未使用チャネルと、アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルの他方とを交互に割り当てるようにしても良い。
【0045】
以上、この発明の一実施形態及び変形例のいくつかを説明したが、上記一実施形態及びいくつかの変形例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0046】
例えば、無線端末からのアップリンクデータに、通信方式が、全二重無線通信であるか、半二重無線通信であるかを示す情報を含ませておき、この情報に基づき、基地局2が、無線通信チャネルとして全二重無線通信チャネル及び半二重無線通信のいずれかを、無線端末、例えば無線端末1a~1dに割り当てることも可能である。また、基地局2からのダウンリンクデータに、全二重無線通信方式による無線通信チャネルを割り当てるか、半二重無線通信方式による無線通信チャネルを割り当てるかを、無線端末、例えば無線端末1a~1dに知らせるようにしても良い。この情報に基づき、無線端末は、全二重無線通信による無線通信チャネルが割り当てられたか、半二重無線通信による無線通信チャネルが割り当てられたかを知ることができる。このように、無線端末は、例えば無線通信チャネルが割り当てられる前に、基地局2へ全二重無線通信チャネルの割り当て又は半二重無線通信チャネルの割り当てのいずれを希望するかを通知可能としても良い。
【0047】
さらに、この発明の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1a :第1無線端末
1b :第2無線端末
1c :第3無線端末
1d :第4無線端末
2 :基地局
100 :時間スロット
100FD:フルデュプレックススロット
100UL:アップリンクスロット
100DL:ダウンリンクスロット
200FD:全二重通信時間スロット期間
200HD:半二重通信時間スロット期間
300 :未使用スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6