(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及びその清掃方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240222BHJP
B29C 33/72 20060101ALI20240222BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C33/72
B29C45/42
(21)【出願番号】P 2020147427
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 凌
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 高行
(72)【発明者】
【氏名】小口 達司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-069711(JP,A)
【文献】特開2012-043839(JP,A)
【文献】特開2008-149705(JP,A)
【文献】特開2001-334535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 33/00-33/76
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディゲートパレットと該ディゲートパレットに対して上下に移動するディゲートハンドとの間に樹脂封止された封止品を挟むことにより、当該封止品から不要樹脂を分離するディゲータと、
封止品を
下型及び上型を有する樹脂封止金型から取り出して前記ディゲータに搬送するアンローダと、を備え、
前記アンローダは、
前記樹脂封止金型から封止品を搬出する第1待機位置と前記ディゲータに封止品を搬入する第2待機位置とを含む区間を移動可能なアンローダ本体と、
前記アンローダ本体から進退可能であって、前記第1待機位置に移動した前記アンローダ本体から前記樹脂封止金型の内部に進入し、封止品を保持して前記アンローダ本体に退避するアンローダハンドと、を備え、
前記ディゲートパレット及び前記ディゲートハンドは、前記第2待機位置に移動した前記アンローダ本体から前記ディゲートパレットと前記ディゲートハンドとの間へと前記アンローダハンドが進退可能な間隔を提供することを特徴と
し、
前記アンローダは、前記アンローダハンドの先端部に設けられ、該アンローダハンドが前記ディゲートパレットと前記ディゲートハンドとの間に進入したとき、前記ディゲートパレット及び前記ディゲートハンドの少なくとも一方に付着した塵埃を除去可能な清掃部材を備え、
前記清掃部材は、前記アンローダハンドの下端よりも下方へ移動可能な下側清掃部材と、前記アンローダハンドの上端よりも上方へ移動可能な上側清掃部材と、を備え、
前記ディゲートパレットは、前記アンローダハンドの下端よりも低く、かつ該アンローダハンドから下方へ移動した状態の前記下側清掃部材に摺接する第1の高さにおいて移動可能であって、該第1の高さは、前記ディゲートパレットの上面の高さが、清掃時における前記下型の表面の高さと略同一となる高さであり、
前記ディゲートハンドは、前記アンローダハンドの上端よりも高く、かつ該アンローダハンドから上方へ移動した状態の前記上側清掃部材に摺接する第2の高さにおいて移動可能であって、該第2の高さは、前記ディゲートハンドの下面の高さが清掃時における前記上型のカルの表面の高さと略同一となる高さである、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記下側清掃部材及び前記上側清掃部材は、前記アンローダハンドの進退方向に交差する方向に延在するブラシであり、
前記清掃部材は、前記下側清掃部材及び前記上側清掃部材の少なくとも一方に沿って設けられ、塵埃を吸引可能な集塵口を有している、
請求項
1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記清掃部材は、前記アンローダハンドが前記樹脂封止金型の内部に進入したとき、該樹脂封止金型の表面に付着した塵埃を除去する機能を兼ねている、
請求項
1又は2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記樹脂封止金型は、上下に対向する下型及び上型で構成され、
前記ディゲートパレットは、該ディゲートパレットの上面の高さが前記下型の表面と略同一となる高さにおいて移動可能であり、
前記ディゲートハンドは、該ディゲートハンドの下面の高さが前記上型の表面と略同一となる高さにおいて移動可能である、
請求項
3に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
樹脂封止装置は、
ディゲートパレットと、該ディゲートパレットに対して上下に移動するディゲートハンドとの間に樹脂封止された封止品を挟むことにより、当該封止品から不要樹脂を分離するディゲータと、
封止品を
下型及び上型を有する樹脂封止金型から取り出して前記ディゲータに搬送するアンローダと、を備え、
前記アンローダは、
前記樹脂封止金型から封止品を搬出する第1待機位置と前記ディゲータに封止品を搬入する第2待機位置とを含む区間を移動可能なアンローダ本体と、
前記アンローダ本体から進退可能であって、前記第1待機位置に移動した前記アンローダ本体から前記樹脂封止金型の内部に進入し、封止品を保持して前記アンローダ本体に退避するアンローダハンドと、
前記アンローダハンドの先端部に設けられた清掃部材と、を備え、
前記清掃部材は、前記アンローダハンドの下端よりも下方へ移動可能な下側清掃部材と、前記アンローダハンドの上端よりも上方へ移動可能な上側清掃部材と、を備え、
前記ディゲートパレットは、前記アンローダハンドの下端よりも低く、かつ該アンローダハンドから下方へ移動した状態の前記下側清掃部材に摺接する第1の高さにおいて移動可能であって、該第1の高さは、前記ディゲートパレットの上面の高さが、清掃時における前記下型の表面の高さと略同一となる高さであり、
前記ディゲートハンドは、前記アンローダハンドの上端よりも高く、かつ該アンローダハンドから上方へ移動した状態の前記上側清掃部材に摺接する第2の高さにおいて移動可能であって、該第2の高さは、前記ディゲートハンドの下面の高さが清掃時における前記上型のカルの表面の高さと略同一となる高さであり、
前記アンローダハンドが前記ディゲートパレットと前記ディゲートハンドとの間に進入するとき、前記清掃部材が前記ディゲートパレット及び前記ディゲートハンドの一方に付着した塵埃を除去し、
前記アンローダハンドが前記アンローダ本体に退避するとき、前記清掃部材が前記ディゲートパレット及び前記ディゲートハンドの他方に付着した塵埃を除去する、
樹脂封止装置の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディゲータを備えた樹脂封止装置及びその清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディゲータを備えた樹脂封止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ディゲータは、ディゲートパレットに載置された封止品をディゲートハンドで挟んで封止品からカル等の不要樹脂を分離する。ディゲートパレットは、上下に移動するディゲートハンドの直下を横切るように往復移動し、封止品をアンローダハンドから受け取ったり、不要樹脂が取り除かれた封止品を成形品収納機構に引き渡したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電気等によってディゲートハンドの下面に樹脂屑等の塵埃が付着することがある。ディゲートハンドの下面に塵埃が付着したままディゲートパレットとディゲートハンドとの間に封止品を挟むと、封止品の表面に打痕(デント)等の不具合が発生することがある。そのような場合、樹脂封止装置を停止させてオペレータがディゲートハンドを清掃していた。そこで、本発明は、オペレータの負担を軽減したり、部品点数を削減したりできる樹脂封止装置及びその清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、ディゲートパレットと該ディゲートパレットに対して上下に移動するディゲートハンドとの間に樹脂封止された封止品を挟むことにより、当該封止品から不要樹脂を分離するディゲータと、封止品を樹脂封止金型から取り出してディゲータに搬送するアンローダと、を備えている。アンローダは、樹脂封止金型から封止品を搬出する第1待機位置とディゲータに封止品を搬入する第2待機位置とを含む区間を移動可能なアンローダ本体と、アンローダ本体から進退可能であって、第1待機位置に移動したアンローダ本体から樹脂封止金型の内部に進入し、樹脂封止された封止品を保持してアンローダ本体に退避するアンローダハンドと、を備えている。ディゲートパレット及びディゲートハンドは、第2待機位置に移動したアンローダ本体からディゲートパレットとディゲートハンドとの間へとアンローダハンドが進退可能な間隔を提供することを特徴としている。
【0006】
この態様によれば、ディゲートパレットとディゲートハンドとの間にアンローダハンドが進入できる。そのため、例えば、アンローダハンドに清掃部材を追加したり、アンローダハンドに既設の清掃部材をディゲータの清掃に流用したりすれば、ディゲートパレットやディゲートハンドに付着した塵埃を除去できる。その場合、ディゲートパレットを清掃するために成形品収納機構の手前等に設けられていた清掃部材を省略できるため、部品点数を削減できる。また、この態様によれば、アンローダが移動できる範囲が広がる。そのため、例えば、ディゲートパレットの往復移動の一部をアンローダハンドの進退移動に置き換えてディゲートパレットが往復移動する距離を短くできる。その場合、ディゲートパレットの占有面積を小さくでき、樹脂封止装置のレイアウト設計の自由度が向上する。
【0007】
上記態様において、アンローダハンドの先端部に設けられ、該アンローダハンドがディゲートパレットとディゲートハンドとの間に進入したとき、ディゲートパレット及びディゲートハンドの少なくとも一方に付着した塵埃を除去可能な清掃部材(クリーナ)をアンローダが備えていてもよい。
【0008】
この態様によれば、アンローダハンドの先端部に設けられた清掃部材によりディゲートハンドやディゲートパレットに付着した塵埃を除去できる。
【0009】
上記態様において、清掃部材は、アンローダハンドの下端よりも下方へ移動可能な下側清掃部材と、アンローダハンドの上端よりも上方へ移動可能な上側清掃部材と、を備えてもよい。
【0010】
この態様によれば、ディゲータを清掃するときは、ディゲートパレットやディゲートハンドに清掃部材が接触し、ディゲータを清掃しないときは、ディゲートパレットやディゲートハンドに清掃部材が接触しないように、下側清掃部材や上側清掃部材の高さを調整できる。
【0011】
上記態様において、ディゲートパレットは、アンローダハンドの下端よりも低く、かつ該アンローダハンドから下方へ移動した状態の下側清掃部材に摺接する高さにおいて移動可能であり、ディゲートハンドは、アンローダハンドの上端よりも高く、かつ該アンローダハンドから上方へ移動した状態の上側清掃部材に摺接する高さにおいて移動可能であってもよい。
【0012】
この態様によれば、アンローダハンドがぶつからない高さにディゲートパレットやディゲートハンドを移動させることができる。ディゲートパレットやディゲートハンドとアンローダハンドとの間に隙間があっても、下側清掃部材をディゲートパレットに摺接させ、上側清掃部材をディゲートハンドに摺接させることができる。
【0013】
上記態様において、下側清掃部材及び上側清掃部材は、アンローダハンドの進退方向に交差する方向に延在するブラシであり、清掃部材は、下側清掃部材及び上側清掃部材の少なくとも一方に沿って設けられ、塵埃を吸引可能な集塵口を有していてもよい。
【0014】
この態様によれば、塵埃を払い落すブラシと、ブラシが払い落とした塵埃を吸引する集塵口との組合せにより、ディゲートパレットやディゲートハンドに付着した塵埃を効率よく除去することができる。集塵口により塵埃を吸引するため、樹脂封止装置の設置場所に塵埃が飛散することを防止できる。
【0015】
上記態様において、清掃部材は、アンローダハンドが樹脂封止金型の内部に進入したとき、該樹脂封止金型の樹脂封止金型表面に付着した塵埃を除去する機能を兼ねていてもよい。
【0016】
この態様によれば、アンローダハンドに既設されており樹脂封止金型の表面を清掃する清掃部材を流用してディゲートパレットやディゲートハンドを清掃できる。ディゲータ専用の清掃部材を追加する必要がないため、樹脂封止装置の製造コストを抑えることができる。
【0017】
上記態様において、樹脂封止金型は、上下に対向する下型及び上型で構成され、ディゲートパレットは、該ディゲートパレットの上面の高さが下型の表面と略同一となる高さにおいて移動可能であり、ディゲートハンドは、該ディゲートハンドの下面の高さが上型の表面と略同一となる高さにおいて移動可能であってもよい。
【0018】
この態様によれば、アンローダハンドに既設の清掃部材を流用してディゲートパレットやディゲートハンドを清掃するとき、清掃部材やアンローダハンドの設計を変更しなくてもよいため、樹脂封止装置の製造コストを抑えたり、部品を共通化したりできる。
【0019】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置の清掃方法は、ディゲートパレットと、該ディゲートパレットに対して上下に移動するディゲートハンドとの間に樹脂封止された封止品を挟むことにより、当該封止品から不要樹脂を分離するディゲータと、封止品を樹脂封止金型から取り出してディゲータに搬送するアンローダと、を備えている。アンローダは、樹脂封止金型から封止品を搬出する第1待機位置とディゲータに封止品を搬入する第2待機位置とを含む区間を移動可能なアンローダ本体と、アンローダ本体から進退可能であって、第1待機位置に移動したアンローダ本体から樹脂封止金型の内部に進入し、封止品を保持してアンローダ本体に退避するアンローダハンドと、アンローダハンドの先端部に設けられた清掃部材と、を備えている。アンローダハンドがディゲートパレットとディゲートハンドとの間に進入するとき、清掃部材がディゲートパレット及びディゲートハンドの一方に付着した塵埃を除去し、アンローダハンドがアンローダ本体に退避するとき、清掃部材がディゲートパレット及びディゲートハンドの他方に付着した塵埃を除去する。
【0020】
この態様によれば、アンローダハンドの先端部に設けられた清掃部材を用いてディゲートパレットやディゲートハンドに付着した塵埃を除去できる。ディゲートパレット及びディゲートハンドを時間差で片方ずつ清掃するため、ディゲートパレット及びディゲートハンドを同時に清掃する場合と比べて、例えば、集塵口から塵埃を吸引する吸引ポンプの吸引力が分散しない。強力な吸引力で効率的に集塵できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、オペレータの負担を軽減したり、部品点数を削減したりできる樹脂封止装置及びその清掃方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止装置の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたプレスモジュールを側面から見た側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されたアンローダ及びディゲータを拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、ディゲートパレット及びディゲートハンドの一例を示す側面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るディゲータを側面から見た側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る樹脂封止装置の清掃方法を説明する図であって、アンローダハンドがディゲータ内に進入している状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る樹脂封止装置の清掃方法を説明する図であって、アンローダハンドがディゲータ外へ退避している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。各々の図面には、図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を付している。X軸及びY軸を含む面を「XY面」とし、Z軸の矢印の向きを上向き、Z軸の矢印とは逆向きを下向きとして説明する。樹脂封止装置1のオペレータから見て、X軸方向は例えば左右方向であり、Y軸方向は例えば前後方向である。以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止装置1の一例を示す平面図である。本実施形態の樹脂封止装置1は、ワークWを樹脂で封止するための樹脂封止装置であって、
図1に示すように、ディゲータ10と、アンローダ9と、を少なくとも備えている。本実施形態は、任意の構成として、ワーク供給モジュール3、樹脂供給モジュール4、プレスモジュール5、ローダ8、成形品収納モジュール11等を更に備えていてもよい。
【0025】
ワーク供給モジュール3は、樹脂封止される前のワークWを供給マガジン2から取り出してローダ8に供給する。樹脂供給モジュール4は、タブレット状に成形した樹脂をローダ8に供給する。ローダ8は、ワーク供給モジュール3から供給された封止品Wをプレスモジュール5の金型(樹脂封止金型)6に搬送する。プレスモジュール5は、供給されたワークWを挟み込み加圧して樹脂封止(モールド成形)する。図示した例では、樹脂封止装置1が四基のプレスモジュール5を備えている。プレスモジュール5の数は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0026】
アンローダ9は、樹脂封止されたワークである封止品W´を金型6から取り出してディゲータ10に搬送する。ディゲータ10は、封止品W´から不要樹脂を分離する。封止品収納モジュール(ピックアンドプレース)11は、不要樹脂が分離された封止品W´をディゲータ10から吸着等で受け取り上昇した後、ディゲートパレット110が戻ったところで下降して収納マガジン12に収納する。以下の説明において、ワーク供給モジュール3及び樹脂供給モジュール4をまとめてインモジュール(3,4)と呼び、ディゲータ10及び封止品収納モジュール11をまとめてアウトモジュール(10,11)と呼ぶことがある。
【0027】
図示した例では、インモジュール(3,4)と、複数のプレスモジュール5と、アウトモジュール(10,11)とが、X軸方向に沿って並べられている。複数のプレスモジュール5は、インモジュール(3,4)からアウトモジュール(10,11)に向かって直列に配列されている。アウトモジュール(10,11)は、任意のプレスモジュール5から見てインモジュール(3,4)とは反対側に配置されている。インモジュール(3,4)とアウトモジュール(10,11)とを任意のプレスモジュール5から見て同じ側に配置してもよい。ローダ8及びアンローダ9は、X軸方向に延在するガイド7に沿って移動可能に構成されている。
【0028】
図2は、
図1に示されたプレスモジュール5を側面から見た側面図である。プレスモジュール5は、金型6内のポット64に供給された樹脂をプランジャ63によりキャビティ66へ充填して硬化させるトランスファ成形によりワークWを樹脂封止(モールド成形)する。樹脂封止装置1を構成するプレスモジュール5は、図示した例に限定されず、圧縮成形によりワークWを封止するプレスモジュールであってもよい。
【0029】
樹脂封止される前のワークWは、例えば、半導体素子が装着されたリードフレーム、半導体素子が装着されたインタポーザ基板、半導体素子が一時的に貼合された粘着シート付きキャリアプレート等であり、支持体と、該支持体に取り付けられた半導体素子、MEMSチップ、電子デバイス等の微小な部品とで構成されている。複数の部品を支持体に取り付けたワークWであってもよいし、異なる種類の部品を混在させて支持体に取り付けたワークWであってもよい。
【0030】
図2に示すように、金型6は、Z軸方向(上下方向)に対向する下型61及び上型62で構成されている。プレスモジュール5は、金型6に加えて、金型6を開閉するプレス機構50を更に備えている。プレス機構50は、固定プラテン52と、固定プラテン52に対してZ軸方向に移動可能な可動プラテン51と、固定プラテン52及び可動プラテン51を位置決めするタイバー53とで構成されている。図示した例では、可動プラテン51に下型61が取り付けられ、固定プラテン52に上型62が取り付けられている。下型61が固定側になり、上型62が可動側になるように構成してもよい。
【0031】
下型61には、ローダ8(
図1に示す)から樹脂タブレット等の樹脂を受け取るポット64が複数設けられている。各々のポット64の内部には、樹脂を押し上げるプランジャ63が設けられている。上型62には、下型61のポット64に対向する位置に樹脂を加熱するカル65が設けられ、ワークWと対向する位置に樹脂を賦形するキャビティ66が設けられている。キャビティ66は、カル65に連通している。
【0032】
前述したアンローダ9は、ガイド7に沿ってX軸方向に移動可能なアンローダ本体91と、アンローダ本体91からY軸方向に進退可能なアンローダハンド92と、を備えている。アンローダハンド92は、下型61と上型62との間に進入して樹脂封止された封止品W´を取り出す。アンローダハンド92の先端及びその近傍の部分を含む先端部には、金型6を清掃する清掃部材70が設けられている。
【0033】
図示した例では、清掃部材70が、アンローダハンド92の先端部における下面92Bに設けられた下側清掃部材71と、アンローダハンド92の先端部における上面92Aに設けられた上側清掃部材72と、下側清掃部材71及び上側清掃部材72の各々に沿って設けられた集塵口73,74と、を備えている。集塵口73,74は、配管等を通じて吸引ポンプ等の吸引源に接続されている。
【0034】
下側清掃部材71及び上側清掃部材72は、アンローダハンド92の進退方向であるY軸方向に交差するX軸方向に延在している。下側清掃部材71及び上側清掃部材72は、毛先が円周面を形成するようにロール状に植毛されたブラシであり、X軸回りに回転駆動される。下側清掃部材71及び上側清掃部材72は、図示した例に限定されず、櫛歯状に植毛されたブラシであってもよいし、ゴムベラ等であってもよい。
【0035】
下側清掃部材71及びその集塵口73は、アンローダハンド92に埋設されたアクチュエータ75等の駆動源によって下方へ移動可能に構成されている。同様に、上側清掃部材72及びその集塵口74は、アクチュエータ75,76等の駆動源によって上方へ移動可能に構成されている。清掃時において、下側清掃部材71及び集塵口73は、下型61の清掃に好適な所定の高さに移動し、上側清掃部材72及び集塵口74は、上型62の清掃に好適な所定の高さに移動する。
【0036】
清掃時における下型61の表面(例えば、ワークWが載置される領域の表面)の高さをZ1とし、上型62のカル65の表面の高さをZ2とする。下型61の清掃に好適な所定の高さは、例えば、下型61の表面(高さZ1)に対して下側清掃部材71の毛先が接触して僅かに撓む高さである。上型62の清掃に好適な所定の高さは、例えば、高さZ2の上型62のカル65やキャビティ66の表面(高さZ2)に対してクリーニングブラシ等の上側清掃部材72の毛先が接触して僅かに撓む高さである。
【0037】
図3は、
図1に示されたアンローダ9及びディゲータ10を拡大して示す平面図である。
図3に示すように、アンローダ本体91は、金型6から封止品W´を搬出する第1待機位置X1とディゲータ10に封止品W´を搬入する第2待機位置X2とを含む区間を移動可能である。アンローダハンド92は、第1待機位置X1に移動したアンローダ本体91か金型6の内部に進入し、樹脂封止された封止品W´を保持してアンローダ本体91に退避できる。
【0038】
前述したディゲータ10は、Y軸方向に沿って移動可能なディゲートパレット110と、Z軸方向に沿って移動可能なディゲートハンド120と、を備えている。ディゲートパレット110は、アンローダ9か封止品収納モジュール11へ封止品W´を搬送する。ディゲートパレット110は、ディゲートハンド120の直下の第2位置Y2を経由して、アンローダ9から封止品W´を受け取る第1位置Y1と、封止品収納モジュール11に封止品W´を引き渡す第3位置Y3との間を往復移動している。
【0039】
図4は、ディゲートパレット110及びディゲートハンド120の一例を示す側面図である。ディゲータ10は、ディゲートパレット110とディゲートハンド120との間に封止品W´を挟み、カル65(
図2に示す)等で硬化した不要樹脂Rを折り曲げ、当該不要樹脂Rを分離する。分離された不要樹脂Rは、カルボックス130に回収される。
【0040】
図示した例では、カル65で硬化した不要樹脂Rを介して二枚の封止品W´が繋がっている。ディゲートパレット110は、一方の封止品W´を支持する第1部分(左フラップ)111と、不要樹脂Rを支持する第2部分(連結部)112と、他方の封止品W´を支持する第3部分(右フラップ)113と、を有している。同様に、ディゲートハンド120は、一方の封止品W´を第1部分111に向かって押さえる第4部分121と、不要樹脂Rを第2部分112に向かって押さえる第5部分122と、他方の封止品W´を第3部分113に向かって押さえる第6部分123と、を有している。
【0041】
後述するディゲートパレット110の上面110A(
図5に示す)は、例えば、封止品W´に接触する第1及び第3部分111,113の表面であり、アンローダハンド92によって清掃される。後述するディゲートハンド120の下面120B(
図5に示す)は、例えば、封止品W´に接触する第4及び第6部分121,123の表面であり、アンローダハンド92によって清掃される。アンローダハンド92による清掃については、
図5から
図7を参照して後で詳しく説明する。
【0042】
封止品W´から不要樹脂Rを分離する場合、例えば、ディゲートパレット110の第1及び第2部分111,113の両端を第2部分112に対して持ち上げる。封止品W´に対して不要樹脂Rが折り曲げられて、封止品W´との境界で不要樹脂Rが破断する。ディゲートハンド120の第4及び第6部分121,123の両端を、第5部分122に対して押し下げて不要樹脂Rを折り曲げてもよい。なお、ディゲートパレット110及びディゲートハンド120の構成は、図示した例に限定されず、公知の構成を適宜選択できる。
【0043】
図5は、本実施形態に係るディゲータ10を側面から見た側面図である。本実施形態に係るディゲータ10は、ディゲートパレット110とディゲートハンド120との間にアンローダハンド92が進退可能な間隔Sを提供することを特徴としている。図示した例では、ディゲートハンド120を上下に駆動する駆動源のシリンダ140を長尺化することにより、従来機よりも広い間隔Sを提供している。
【0044】
本実施形態によれば、アンローダハンド92がディゲータ10内に進入できるため、例えば、アンローダハンド92に清掃部材を設けて、ディゲートパレット110やディゲートハンド120に付着した塵埃を除去できる。樹脂封止装置1を停止させてオペレータがディゲートハンド120等を清掃する頻度が減らし、その負担を軽減できる。従来の樹脂封止装置においてディゲートパレットを清掃するために設けられていた清掃部材を省略して部品点数を削減できる。
【0045】
ディゲートハンド120等に付着した塵埃を除去する清掃部材として、
図2を参照して説明した金型清掃用の清掃部材70を流用してもよいし、新規の清掃部材を追加してもよい。清掃部材70を流用する場合、ディゲートパレット110は、アンローダハンド92の下端(例えば、下面92B)よりも低く、かつ該アンローダハンド92から下方へ移動した状態の下側清掃部材71に摺接する高さで水平移動できる。上下に移動するディゲートハンド120は、アンローダハンド92の上端(例えば、上面92A)よりも高く、かつ該アンローダハンド92から上方へ移動した状態の上側清掃部材72に摺接する高さに垂直移動できる。
【0046】
下側清掃部材71にディゲートパレット110が摺接する高さは、例えば、ディゲートパレット110の上面110Aの高さZ3が、清掃時における下型61の表面の高さZ1(
図2に示す)と略同一となる高さである。上側清掃部材72にディゲートハンド120が摺接する高さは、例えば、ディゲートハンド120の下面120Bの高さZ4が清掃時における上型62のカル65の表面の高さZ2(
図2に示す)と略同一となる高さである。このような高さであれば、金型6の清掃時と同じ条件でディゲートパレット110の上面110Aやディゲートハンド120の下面120Bを好適に清掃できる。
【0047】
図6及び
図7は、本実施形態に係る樹脂封止装置1の清掃方法を説明する側面図である。
図6は、アンローダハンド92がディゲータ10内に進入している状態を示している。図示した例では、アンローダハンド92には封止品W´が下側に保持しているため、ディゲートパレット110が綺麗な状態で封止品W´を搭載するためで、ディゲートパレット110とディゲートハンド120との間に進入しながら、清掃部材70がディゲートパレット110の上面110Aに付着した塵埃を除去している。下側清掃部材71及びその集塵口73は下方へ突出してディゲートパレット110の上面110Aに摺接している一方、上側清掃部材72及びその集塵口74はアンローダハンド92に没入してディゲートハンド120の下面120Bと接触していない。
【0048】
図7は、アンローダハンド92がディゲータ外へ退避している状態を示している。図示した例では、アンローダハンド92がアンローダ本体91に退避しながら、清掃部材70がディゲートハンド120の下面120Bに付着した塵埃を除去している。上側清掃部材72及びその集塵口74は上方へ突出してディゲートハンド120の下面120Bに摺接している一方、下側清掃部材71及びその集塵口73はアンローダハンド92に没入してディゲートパレット110の上面110Aと接触していない。
【0049】
図示したように、ディゲートパレット110及びディゲートハンド120を片側ずつ清掃する場合、それらを同時に清掃する場合と比べて、集塵口73,74等を通じて吸引する吸引ポンプ等の吸引源の吸引力が分散しない。強力な吸引力で効率的に集塵できる。なお、ディゲートパレット110及びディゲートハンド120を清掃する順番は、図示した例に限定されず、逆順であってもよいし、両者を同時に清掃してもよい。清掃時において、アンローダハンド92の移動スピードを封止品W´を搬送する通常時よりも遅くしてもよい。清掃時において、ディゲートパレット110とディゲートハンド120との間隔Sを封止品W´を搬送する通常時よりも狭くしてもよいし広くしてもよい。
【0050】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…樹脂封止装置、2…供給マガジン、3…ワーク供給モジュール、4…樹脂供給モジュール、5…プレスモジュール、6…樹脂封止金型、7…ガイド、8…ローダ、9…アンローダ、10…ディゲータ、11…封止品収納モジュール、12…収納マガジン、51…可動プラテン、52…固定プラテン、53…タイバー、61…下型、62…上型、63…プランジャ、64…ポット、65…カル、66…キャビティ、70…清掃部材、71…下側清掃部材、72…上型清掃部材、73,74…集塵口、91…アンローダ本体、92…アンローダハンド、92A…上面、92B…下面、110…ディゲートパレット、110A…上面、111,112,113…第1乃至第3部分、120…ディゲートハンド、120B…下面、121,122,123…第4乃至第5部分、130…カルボックス、140…シリンダ、S…間隔、W…ワーク,W´…封止品、X1…第1待機位置、X2…第2待機位置、Y1,Y2,Y3…ディゲートパレットの第1乃至第3位置、Z1…下型のワーク載置面の高さ、Z2…上型のカル表面の高さ、Z3…ディゲートパレットの上面の高さ、Z4…ディゲートハンドの下面の高さ。