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  • 特許-再生フィルムの製造方法 図1
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  • 特許-再生フィルムの製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】再生フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240222BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20240222BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20240222BHJP
   C08J 11/06 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
C08J3/12 A CES
B29C48/10
C08J11/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020159391
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052882
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】399000454
【氏名又は名称】株式会社 ジャパックス
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】中村 忠明
【審査官】福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-226261(JP,A)
【文献】特開2017-136816(JP,A)
【文献】特開2006-298960(JP,A)
【文献】特開2000-017085(JP,A)
【文献】特開2004-018592(JP,A)
【文献】特開2008-112454(JP,A)
【文献】特開2012-229355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02
C08J 5/12-5/22
C08J 3/00-3/28
C08J 99/00
B29C 48/10
C08J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に低密度ポリエチレンからなる使用済みのストレッチフィルムと、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンからなる使用済みのペットボトルキャップをそれぞれ粉砕及びリペレット化により原料化し、それぞれの原料を配合及びスリップ剤を加えてインフレーション成形により形成することを特徴とする再生フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記使用済みのストレッチフィルムが68%であり、前記使用済みのペットボトルのキャップが30%であり、前記スリップ剤が2%であることを特徴とする請求項1に記載の再生フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生フィルムの製造方法に関する。詳しくは、使用済みの樹脂からなる再生フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリプロピレン樹脂成形体廃棄物、特にペットボトルのキャップに使用されているポリプロピレン樹脂成形体の廃棄物の有効な再利用方法として、ペットボトルのキャップに使用されているポリプロピレン樹脂成形体の廃棄物を主成分とする原料100質量部に対して、1~12質量部のエラストマーと1~5質量部の二酸化チタンを加えて樹脂混合物とした後、該樹脂混合物を加熱溶融することによりチャイルドシート製造用の再生熱可塑性樹脂組成物とする再利用方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
さらに、ポリプロピレン(P.P)であるペットボトルの蓋及び貝殻といった全ての廃材を利用することにより、安価で且つ再度のリサイクル可能な建材の製造方法が提案されている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-136816号公報
【文献】特開2000-308869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の提案は、いずれも使用済みのペットボトルのキャップを再利用するものであるが、その再利用範囲はペットボトル本体の再利用範囲に比べて極めて狭く、具体的には、押出成形や金型成形による再生品に限られ、例えば、前記のチャイルドシートや建材などの固体品に限られていた。
【0006】
前記事情に鑑み、本発明は、使用済みのペットボトルのキャップの再利用範囲を広げること、そのために使用済みのペットボトルのキャップと他の樹脂とを再利用する再生フィルムの製造方法を提供することを目的とする。本発明で得られる再生フィルムは、例えば、製袋により各種の袋として、その他、包装資材などとして広い利用範囲を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明の再生フィルムの製造方法は、主に低密度ポリエチレンからなる使用済みのストレッチフィルムと、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンからなる使用済みのペットボトルのキャップをそれぞれ粉砕及びリペレット化により原料化し、それぞれの原料を配合及びスリップ剤を加えてインフレーション成形により形成することを特徴とする(請求項1)。
【0008】
前記使用済みのストレッチフィルムは、主に低密度ポリエチレン(LLDPE)製フィルムである。また、前記使用済みのペットボトルのキャップは、高密度ポリエチレン(HDPE)とポリプロピレン(PP)である。本発明の再生フィルムの製造方法は前記の原料からなりインフレーション成形により形成される。
【0009】
本発明の一実施例は、前記使用済みのストレッチフィルムが68%であり、前記使用済みのペットボトルのキャップが30%であり、前記スリップ剤が2%であることを特徴とする(請求項2)。この配合割合によれば、一般に提供されているバージンポリエチレンフィルムと略同等の薄肉化と強度を有する再生フィルムを提供することができる。
【0010】
前記の製造方法によれば、使用済みのペットボトルのキャップを原料とする再生フィルムを製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用済みのストレッチフィルムと再利用範囲の狭い使用済みのペットボトルのキャップを再利用して広い利用範囲を有する再生フィルムを提供することができる。
【0012】
さらに、結果として、原料からバージンポリエチレンフィルムを製造する場合のナフサに精製する工程等が不要であり、さらに原油の使用量が削減されるとともに環境負荷を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の再生フィルムの製造方法を示すフロー図である。
図2】本発明の再生フィルムの強度試験結果を示す表である。
図3】JIS Z1702-1994(参考適合値)を示す表である。
図4】JIS Z1711-1994(ヒートシール値)を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面は本発明の再生フィルムの製造方法を示すフロー図であるが、製袋加工工程を連係させて示している。
第1工程:使用済み原料の準備(回収)工程である。
【0015】
本発明で使用される使用済みの原料は、使用済みのストレッチフィルムと使用済みのペットボトルのキャップである。前記使用済みのストレッチフィルムは主に低密度ポリエチレン(LLDPE)である。また、前記使用済みのペットボトルのキャップは高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン(PP)である。なお、前記キャップは材質、色ごと分別する必要はない。
第2工程:原料の粉砕工程である。
【0016】
ストレッチフィルムは、ベール状又はまとめられた使用済みのものをほぐしながら異物及び汚れを除去した後、公知のプラスチック粉砕機を使用して5~10mmに切断した。
【0017】
ペットボトルのキャップは、回収された使用済みのものは臭気・汚れによって洗浄・脱水等の後、公知のプラスチック粉砕機を使用して5~10mmの粒径に粉砕した。
第3工程:リペレット工程である。
【0018】
粉砕されたストレッチフィルム及びペットボトルのキャップをそれぞれ別々に加熱溶融し、フィルターを通して異物を除去して造粉してペレットに成形した。
第4工程:原料配合工程である。
【0019】
ストレッチフィルムのペレット68%、使用済みのペットボトルのペレット30%を配合し、製造効率を高めるためスリップ剤2%を加えた。
第5工程:インフレーション成形工程である。
【0020】
公知のインフレーション成形機を使用してフィルム原反を製造した。なお、単層及び多層フィルムの製造も可能である。
第6工程:製袋工程
【0021】
製袋機を使用して再生フィルム100%のポリ袋を製造した。
【0022】
前記の工程を経て得られた再生フィルムの引っ張り強度、伸び率、ヒートシール強度を確認した結果は図2の通りである。また、図3はJIS Z1702-1994(参考適合値)を示す表であり、図4はJISZ1711-1994(ヒートシール値)を示す表である。
【0023】
以下に、本発明で得られた再生フィルムとJIS規格値を比較する。
【0024】
引っ張り強度の数値は、本発明で得られた再生フィルムは、縦:32.4Mpa、横:28.8Mpaに対して、JIS規格では、16.7Mpaである。
【0025】
また、伸び率の数値は、本発明で得られた再生フィルムは、322.475%であるのに対して、JIS規格では、250%である。
【0026】
また、ヒートシールの数値は、本発明で得られた再生フィルムは、6.38Nであるのに対して、JIS規格では、4.51Nである。
【0027】
上記の通り、本発明で得られた再生フィルムは、JIS規格に適合することが確認された。
図1
図2
図3
図4