(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 18/27 20230101AFI20240222BHJP
G06N 20/10 20190101ALI20240222BHJP
G06F 123/02 20230101ALN20240222BHJP
【FI】
G06F18/27
G06N20/10
G06F123:02
(21)【出願番号】P 2022185214
(22)【出願日】2022-11-18
【審査請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】202111370513.8
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522385946
【氏名又は名称】北京華能新鋭控制技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Huaneng Xinrui Control Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Tower B, Shiyan Building, Huaneng Talents & Enterpreneurship Base, South Zone, Future Science Park, Beiqijia Town, Changping District, Beijing City, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲ジュ▼孝国
(72)【発明者】
【氏名】楊政厚
(72)【発明者】
【氏名】韓健
(72)【発明者】
【氏名】周峰
(72)【発明者】
【氏名】岳紅軒
(72)【発明者】
【氏名】陳志文
(72)【発明者】
【氏名】陳兆聖
(72)【発明者】
【氏名】陳卓
(72)【発明者】
【氏名】王爽
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107292446(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102102626(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0016430(US,A1)
【文献】JIANG, Y et al.,"Short-term wind speed prediction: Hybrid of ensemble empirical mode decomposition, feature selection and error correction",Energy Conversion and Management [online],2017年,Vol. 144,pp. 340-350,[retrieved on 2023.04.26], Retrieved from the Internet: <URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0196890417303850>,<DOI: 10.1016/j.enconman.2017.04.064>
【文献】飯坂 達也 ほか,"風力発電の出力予測の現状",電気学会研究会資料,社団法人電気学会,2011年,MES-11-003,pp. 13-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 18/27
G06N 20/00-20/20
G06F 123:02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行されるローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法であって、
風速時系列を入力するステップS1、
前記風速時系列の位相空間を再構成するステップS2、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するステップS3、
最小二乗のサポートベクトルマシンを適用するステップS4、及び
風速の予測値を出力するステップS5を含
み、
風速時系列を入力する前記ステップS1は、
元の風速時系列Pbを入力するステップを含み、
位相空間を再構成する前記ステップS2は、
前記元の風速時系列Pbに対して、以下の式(1)に従って位相空間を再構成し、空間位相を再構成する中間値系列を得るステップを含み、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用する前記ステップS3は、
最小二乗のサポートベクトルマシンを適用する前記ステップS4は、
学習サンプルを整理して、正規化処理を行い、ARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速を、6つの入力ベクトルとして選び出すステップを含み、
α及びbは、推定関数を用いて計算し、前記推定関数は以下の式(6)であり、
制約条件は
Lagrange関数
KKT(Karush-Kuhn-Tucker)条件に基づいて
すでに風速がある時系列を訓練に代入することにより、これまでの風速から上記式(6)におけるf(x)が得られているのに対し、ARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速それぞれの対応変数も既知であるため、推定関数を用いてα及びbを計算して求め、
パラメータα及びbを式(6)に代入し、LS-SVMモデルの具体的な形式を確定し、
前記6つの入力ベクトルを前記LS-SVMモデルに入力し、t時刻の予測風速を得ることを特徴とする、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法。
【請求項2】
時系列モデルARMA(p、q)は、定常系列を予測するために用いられる以下の式(2)であり、
前記時系列モデルARMA(p、q)は、モデル残差の平均値が0であり、残差の分散が定数であるという仮定を前提とすることを特徴とする、
請求項1に記載のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法。
【請求項3】
GARCHモデルは以下の式(3)であり、
【請求項4】
AR(s)-GARCH(m、n)モデルは、以下の式(4)であり、
前記時系列モデルARMA(p、q)と前記AR(s)-GARCH(m、n)モデルを連立させ、以下の式(5)のようなARMA-AR-GARCHモデル
が得られることを特徴とする、
請求項3に記載のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法。
【請求項5】
時間変数tが遷移するに従って、前記ステップS4を連続的に繰り返し、ARMA-AR-GARCH部分の予測風速時系列を得ることを特徴とする、
請求項1に記載のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法。
【請求項6】
請求項1~5に記載方法の実現に用いられるローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速予測システムであって、前記システムは、
風速時系列を入力する入力モジュール、
位相空間の再構成に用いられる再構成モジュール、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するために用いられるローリング予測モジュール、
最小二乗のサポートベクトルマシンを適用するために用いられる適用モジュール、及び
風速の予測値を出力する出力モジュールを含むことを特徴とする、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測システム。
【請求項7】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
プロセッサによってこのプログラムが実行される場合、
請求項1~5に記載のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法が実現されることを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、風力発電の技術分野に属し、特にローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、風力発電は電力システムに大規模に接続されるようになっている。風力発電は風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するが、自然界の風は間欠性と波動性の特徴を有するため、風力発電にも不安定性と波動性が存在する。風力発電の急速な発展に伴い、風力発電が電力ネットにおける発電に占める割合は増加しているが、これも電力ネットの電圧や周波数などの多くの問題と挑戦をもたらしている。風力発電機は、風力発電所の超短期風速予測を正確に行うことで、突然の切り出しによる電圧と周波数の変働を低減することができ、風力発電所のネットワーク化操作と風力発電機の制御に重要な役割を果たし、風力発電機制御の観点から風力発電ネットワーク化の能力を高めている。
【0003】
従来の風速予測方法には、持続予測法、時系列法、カルマンフィルタ法、人工ニューラルネットワーク法、空間相関法などがある。持続予測法では、最近の何点かのデータを次点の風速予測値として重み付けるが、このような方法では予測誤差が大きく、他の予測方法の精度を評価する基準比較方法として用いられることが多い。ARMAモデルとも称される時系列法では、過去のデータを用いて、モデル識別、パラメータ推定及びモデル検証によってモデル化し、このモデルを用いて予測モデルを導き出して、研究した時系列を予報する目的を達成する。時系列法では、必要とするモデル化情報が少なく、演算が簡単で便利、迅速であるが、下位モデルでは予測精度が低い場合が多く、上位モデルではパラメータ推定が困難であるため、時系列法は多くの改善が必要である。カルマンフィルタ法では、線形最小分散推定を用いて、風速の動的システムの状態系列に対して、必要な系列を抽出する方法であり、オンライン風速予測に適したこの方法は、騒音の統計的特性の推定に問題がある。人工ニューラルネットワーク法は、人の脳ニューラルネットワーク構造とその機能を模倣し、大量の簡単な処理ノードの大規模な相互接続から構成され、複雑な非線形問題を解決するために用いられ、その不足点は、過学習と汎化能力が強くないことに表れている。空間相関法では、風力発電所及び周辺の複数地点における複数組の実測の風速データを考慮し、各サイト間の風速の相関性を分析する必要があり、この方法の研究は絶えずに改善されている。
【0004】
中国特許出願公開号CN10518439Aには、従来技術である、ウェーブレット分解とサポートベクトルマシンに基づく、風力発電所の風速と電力予測方法が開示されている。ウェーブレットパケット分解技術を利用して、過去の風速時系列をウェーブレットパケット分解し、過去の風速時系列の低周波数帯、中周波数帯及び高周波数帯の成分を得る。灰色サポートベクトルマシンの予測モデルを用いて、過去の風速時系列の各成分を予測し、その後、ウェーブレットパケットの再構成を用いて短期風速の予測データを得る。過去の風力発電電力データと数値天気予報の風速データを訓練セットとして利用し、灰色のサポートベクトルマシンモデルを構築し、風力発電電力の一次予測を行う。得られた風速の予測データ、風力発電電力の予測データに対して、RBFニューラルネットワークを通じて予測を行い、風力発電電力の最終予測値を得る。中国発明特許出願公開号CN10744507Aには、先行技術である、サポートベクトルマシンの組合せに基づく、風力発電所における短期風速の予測方法が開示されている。元の風速系列のカオス特性を分析し、C-Cアルゴリズムを用いて、風速系列の埋め込み次元mと遅延時間τを計算し、入出力データセットを構築し、訓練セット及び検証セットに分ける。訓練セットの上に、異なる核関数に基づくサポートベクトルマシンの単一予測モデルを構築し、総合学習戦略粒子群の最適化アルゴリズムを用いてキーパラメータを決定する。検証セットで、誘導秩序重み付け調和平均演算子に基づく変重み係数の組合せ予測法を用いて、各単一モデルの重み係数を確定し、それぞれ予測を行い、予測結果に重み付け加算を行うことによって、1歩の風速予測結果を得る。中国発明特許出願公開号CN11344984747Aには、先行技術である、秒単位の時系列の風速変化を考慮した、洋上風力発電電力のローリング予測方法が開示されている。データの前処理を利用して、異常データを処理し、洋上風速と風力発電電力の正規化を完成し、さらに差分平滑パワー系列を通じて、秒単位の時間スケールでの風速予測モデルを構築し、最後にローリングLSTM記憶ネットワークを構築し、秒単位の時間系列データの予測を実現する。
【0005】
しかし、上記の従来技術では風速予測の精度と安定性が低く、CN105184391Aでは、風速系列のカオス特性を解釈することができず、CN10744507Aでは、風速系列のローリング予測を行っておらず、精度の向上に不利であり、CN11344984747Aでは、風速系列のカオス特性に対して分析を展開していない。
【0006】
風速系列のカオス特性に対して、従来技術の不足を克服し、より正確で安定した風速予測方法を提供することが、当技術分野の早急な解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術の欠点を克服するために、本発明は、具体的に以下の技術的解決策を採用した、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法は、
風速時系列を入力するステップS1、
位相空間を再構成するステップS2、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するステップS3、
最小のサポートベクトルマシンを適用するステップS4、及び
風速の予測値を出力するステップS5を含む。
【0009】
また、
風速時系列を入力する前記ステップS1は、
元の風速時系列Pbを入力するステップを含み、
位相空間を再構成する前記ステップS2は、
前記元の風速時系列Pbに対して、以下の式(1)に従って位相空間を再構成し、空間位相を再構成する中間値系列を得るステップを含み、
得られた前記空間位相を再構成する中間値系列に対して前処理を行うことによって、データの処理を容易にする。
【0010】
【0011】
また、時系列モデルARMA(p、q)は、定常系列を予測するために用いられる以下の式(2)であり、
前記時系列モデルARMA(p、q)は、モデル残差の平均値が0であり、残差の分散が定数であるという仮定を前提とする。
【0012】
【0013】
また、AR(s)-GARCH(m、n)モデルは以下の式(4)であり、
前記時系列モデルARMA(p、q)と前記AR(s)-GARCH(m、n)モデルを連立させ、以下の式(5)のようなARMA-AR-GARCHモデル
【0014】
また、最小のサポートベクトルマシンを適用する前記ステップS4は、
学習サンプルを整理して、正規化処理を行い、ARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速を、6つの入力ベクトルとして選び出すステップを含み、
a及びbは、推定関数を用いて計算し、前記推定関数は以下の式(6)であり、
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
すでに風速がある時系列を訓練に代入することにより、これまでの風速からfxが得られているのに対し、逆押し時刻に対応する前のARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速それぞれの対応変数も既知であるため、推定関数を用いてa及びbを計算して得、
パラメータa及びbを式(6)に代入し、LS-SVMモデルの具体的な形式を確定し、
前記6つの入力ベクトルを前記LS-SVMモデルに入力し、t時刻の予測風速を得る。
【0019】
また、時間変数tが遷移するに従って、前記ステップS4を連続的に繰り返し、ARMA-AR-GARCH部分の予測の風速時系列を得る。
【0020】
本発明は、さらに前記の方法を実現するために用いられる、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速予測システムに関し、前記システムは、
風速時系列を入力する入力モジュール、
位相空間の再構成に用いられる再構成モジュール、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するために用いられるローリング予測モジュール、
最小のサポートベクトルマシンを適用するために用いられる適用モジュール、及び
風速の予測値を出力する出力モジュールを含む。
【0021】
本発明は、さらにコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体に関し、プロセッサによってこのプログラムが実行される場合、前記のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法が実現される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法であり、空間位相の再構成法を用いて、風速のカオス特性を再現した後に、時系列モデルとサポートベクトルマシンの反応風速系列の線形と非線形特性を組合わせて、風速予測の精度と信頼性を高める有益な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明のARMAX-AR-GARCHローリング予測とサポートベクトルマシンモデルの組合せを示す模式図である。
【
図3】本発明のARMA-AR-GARCHローリング予測モデルを示す模式図である。
【
図4】本発明のLS-SVMの流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明をさらに説明する。以下の実施形態は、本発明の技術的解決策をより明確に説明するためにのみ使用され、これによって本発明の保護範囲を制限することはできない。以下の詳細な説明は、すべて例示的なものであり、本願にさらなる説明を提供することが意図されていることに留意されたい。
【0025】
特に指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願に属する技術分野の一般技術者が通常に理解しているものと同じ意味を有する。なお、本明細書で使用される用語は、本願による例示的な実施形態を限定することを意図するのではなく、特定の実施形態を説明するためにのみ使用される。ここで使用されるように、文脈上特に明示されない限り、単数形は複数形も含むことを意図している。また、本明細書で用語「含む」及び/または「からなる」を使用する場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、コンポーネント及び/またはこれらの組み合わせが存在することを示すことも理解されたい。
【0026】
ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法は、まず、風速系列のカオス特性に対して、元のデータの空間位相を再構成し、得られた変数入力は、ARMA-AR-GARCH時系列モデルを用いて、風速の線形中間値を予測し、風速系列の線形関係を明らかにする。同時に、ローリングの予測戦略を用いて、モデルのリアルタイム性を保証する。風速線形及び空間位相を再構成して得られた変数を、最小二乗のサポートベクトルマシンの入力とし、最後の予測風速を得て、風速系列の非線形関係を明らかにする。
【0027】
図1を参照すると、本発明のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法は、
風速時系列を入力するステップS1、
位相空間を再構成するステップS2、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するステップS3、
最小のサポートベクトルマシンを適用するステップS4、及び
風速の予測値を出力するステップS5を含む。
【0028】
風速時系列を入力する前記ステップS1は、元の風速時系列Pbを入力するステップを含む。
【0029】
本発明は、空間位相の再構成アルゴリズムを用いて、風速データにカオス特性処理を行い、空間位相を再構成する中間値系列を得、
空間位相を再構成する中間値系列を前処理し、
AICを基準探索とした方法を用いて、ARMAモデルの次数項(p、q)の探索範囲をそれぞれ(2-21)、(2-12)に定め、AICに最小を取る次数を選択し、次数項パラメータp、qの解を求める。
AICが最小値を取るように探索するAR部分次数を採用する。
GARCHの次数選択は(1、1)を選択し、
ARMA-AR-GARCH時系列モデルを確認するため、全てのパラメータを構築する。
【0030】
図2に示すように、前処理後の風速系列を入力として、ARMA-AR-GARCH時系列モデルの出力を求め、出力変数を予測風速にまとめる。
【0031】
【0032】
図3に示すように、時間変数tの遷移に従って、連続的に繰り返し、ARMA-AR-GARCH部分の予測の風速時系列を得る。
【0033】
風速時系列には、非線形とランダム性の特徴があり、元の系列Pbを直接利用して訓練と予測を行うと、モデルの予測精度に影響を与えるため、位相空間を再構成する方法を導入する。
【0034】
位相空間を再構成する前記ステップS2は、
前記元の風速時系列Pbに対して、以下の式(1)に従って位相空間を再構成し、空間位相を再構成する中間値系列を得るステップを含み、
【0035】
得られた前記空間位相を再構成する中間値系列に対して前処理を行うことによって、データの処理を容易にする。
【0036】
また、ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用する前記ステップS3は、
【0037】
また、時系列モデルARMA(p、q)は、定常系列を予測するために用いられる以下の式(2)であり、
【0038】
前記時系列モデルARMA(p、q)は、モデル残差の平均値が0であり、残差の分散が定数であるという仮定を前提とする。
【0039】
【0040】
GARCHモデルの増加は、異分散関数のm次相関性を考慮したものであり、風速系列の異分散性を効果的に捉まえることができる。
【0041】
【0042】
このように構成されたAR(s)-GARCH(m、n)モデルは以下の式(4)であり、
前記時系列モデルARMA(p、q)と前記AR(s)-GARCH(m、n)モデルを連立させ、以下の式(5)のようなARMA-AR-GARCHモデル
【0043】
AICを基準探索とした方法を採用し、ARMAモデルの3つの次数項(p、q)の探索範囲をそれぞれ(2-21)、(2-12)に定め、AICが最小値を取る次数を選択する。
【0044】
この部分ARの次数決定に対しては、AICが最小値を取るように探索する次数を採用する。GARCHの次数選択は(1、1)を選択する。
【0045】
最小二乗のサポートベクトルマシン(LS-SVM)は、サポートベクトルマシンの汎化能力が強く、グローバル最適という利点があり、非線形関係の予測に用いることに適している。ラジアル基関数の性能が優れているため、核関数としてラジアル基関数
最小二乗のサポートベクトルマシンのモデル化ステップを、
図4のように示す。
【0046】
最小のサポートベクトルマシンを適用する前記ステップS4は、
学習サンプルを整理して、正規化処理を行い、ARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速を、6つの入力ベクトルとして選び出すステップを含む。出力変数は、即ちt時刻に対応する予測の風速である。
【0047】
訓練の前に、交差検証法を通じて、核パラメータ及び正規化パラメータの2つのパラメータを連続的に調整することによって、交差検証誤差が最小のパラメータの組合せを保留する。
【0048】
【0049】
KKT条件に基づいて、
すでに風速がある時系列を訓練に代入することにより、これまでの風速からfxが得られているのに対し、逆押し時刻に対応する前のARMA-AR-GARCHモデルによって予測したt-3、t-2、t-1、t時刻の風速、及びt-1、t-2時刻の実際の風速それぞれの対応変数も既知であるため、推定関数を用いてa及びbを計算して求める。
【0050】
式(6)にパラメータa及びbを代入し、LS-SVMモデルの具体的な形式を確定し、
t時刻の風速を予測する場合、前記6つの入力ベクトルを前記LS-SVMモデルに入力し、t時刻の予測風速を得る。
【0051】
時間変数tが遷移するに従って、前記ステップS4を連続的に繰り返し、ARMA-AR-GARCH部分の予測の風速時系列を得る。
【0052】
本発明は、さらに前記の方法の実現に用いられる、ローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速予測システムに関し、前記システムは、
風速時系列を入力する入力モジュール、
位相空間の再構成に用いられる再構成モジュール、
ARMA-AR-GARCHローリング予測を適用するために用いられるローリング予測モジュール、
最小のサポートベクトルマシンを適用するために用いられる適用モジュール、及び
風速の予測値を出力する出力モジュールを含む。
【0053】
本発明は、さらにコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体に関し、プロセッサによってこのプログラムが実行される場合、前記のローリング時系列及びサポートベクトルマシンに基づく短期風速の予測方法が実現できる。
【0054】
本発明は、まず風速系列のカオス特性に対して、元のデータの空間位相を再構成し、得られた変数入力は、ARMA-AR-GARCH時系列モデルを用いて、風速線形の中間値を予測し、風速系列の線形関係を明らかにする。同時に、ローリングの予測戦略を用いて、モデルのリアルタイム性を保証する。風速線形及び空間位相を再構成して得られた変数を、最小二乗のサポートベクトルマシンの入力とし、最後の予測風速を得、風速系列の非線形関係を明らかにする。
【0055】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の技術原理を逸脱することなく、いくつかの改善及び変形を行うことができ、これらの改善及び変形も本発明の保護範囲と見なすべきであることを指摘すべきである。