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  • 特許-目地プレート及び床用目地装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】目地プレート及び床用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023019977
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017231(JP,A)
【文献】特開2019-007317(JP,A)
【文献】特開2019-070262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一方と他方の側面にそれぞれ凹所を有する目地プレート本体と、少なくとも前記凹所のいずれかに設けられた樋とで構成され、前記樋は、前記目地プレート本体の幅方向の端部から落下した水を受けることができると共に、前記目地プレート本体の長さ方向に傾斜し、前記凹所は、前記目地プレート本体を吊り上げるための吊り上げ具が係合することができるように断面視略クランク状形成され、前記樋は、吊り上げ具の係合を妨げない位置に設けられている目地プレート。
【請求項2】
一方の躯体と他方の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に形成された第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持された状態で取り付けられ、前記第2の目地プレート支持部に他端部側が支持され、前記目地部を塞ぐ目地プレートとで構成され、
前記目地プレートは、幅方向の一方と他方の側面にそれぞれ凹所を有する目地プレート本体と、少なくとも前記凹所のいずれかに設けられた樋とで構成され、前記樋は、前記目地プレート本体の幅方向の端部から落下した水を受けることができると共に、前記目地プレート本体の長さ方向に傾斜し
前記凹所は、前記目地プレート本体を吊り上げるための吊り上げ具が係合することができるように断面視略クランク状形成され、前記樋は、吊り上げ具の係合を妨げない位置に設けられている床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ目地プレート及び床用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面間の目地部を塞ぐ床用目地装置として、雨水を目地部に落下させないものとしては「一方と他方の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持されるとともに、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持され、かつ、前後方向の少なくとも一側面に雨水排出部を備える雨水排出目地プレートと、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持されるとともに、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持され、かつ、レール状の雨水受け部材が前記雨水排出部に対向するように設置される雨水受け目地プレートとで構成され、前記雨水排出部は、前記レール状の雨水受け部材が入り込むように形成された凹所と、該凹所の上部に形成され、かつ、雨水が前記雨水受け部材に落下するように下方に突出する雨水滴下部とからなる床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような床用目地装置では、雨水を受けることができるものの、複数種類の目地プレートを製作しなければならず、製造を容易に行うことができないとともに、コストが嵩張る(大きくなる)という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-329625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、主に目地プレートの製造設備の合理化を図ると共に、設置後の目地プレートの間から落下する雨水を受けることにより、躯体間の目地部の下方に雨水が落下することを防止できる目地プレート及雨水落下防の役割を果たす目地プレートを備える床用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の目地プレートは、幅方向の一方と他方の側面にそれぞれ凹所を有する目地プレート本体と、少なくとも前記凹所のいずれかに設けられた樋とで構成され、前記樋は、前記目地プレート本体の幅方向の端部から落下した水を受けることができる形状に形成され、前記目地プレート本体の長さ方向に傾斜し、前記凹所は、前記目地プレート本体を吊り上げるための吊り上げ具が係合することができるように断面視略クランク状形成され、前記樋は、吊り上げ具の係合を妨げない位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
【0009】
請求項2に記載の本発明の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に形成された第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持された状態で取り付けられると共に、前記第2の目地プレート支持部に他端部側が支持され、かつ前記目地部を塞ぐ目地プレートとで構成され、前記目地プレートは、幅方向の一方と他方の側面にそれぞれ凹所を有する目地プレート本体と、少なくとも前記凹所のいずれかに設けられた樋とで構成され、前記樋は、前記目地プレート本体の幅方向の端部から落下した水を受けることができる形状に形成され、前記目地プレート本体の長さ方向に傾斜し、前記凹所は、前記目地プレート本体を吊り上げるための吊り上げ具が係合することができるように断面視略クランク状形成され、前記樋は、吊り上げ具の係合を妨げない位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項2に記載の各発明においては、例えば図5を基準にすると、目地プレート本体の厚さ方向に直交する両側面にそれぞれ凹所を形成し、前記凹所の少なくとも一方に上端開口の樋を設ければよいため、複数種の目地プレートを製造する必要がない。付言すると、目地プレートの単一仕様のものにすることができるから、製造設備の合理化及び製造コストの低減化を図ることができる。
(2)また樋が目地プレートの長さ方向に傾斜しているので、効率よく雨水を排水することができる。
(3)目地プレート吊り上げ具が係合できるように樋を設けているため、設置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図8は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面図(通常時)。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3図1の3-3線に沿う断面図。
図4】目地プレートの斜視からの説明図。
図5図4の5-5線に沿う断面図。
図6】目地プレートを吊り上げた状態の説明図。
図7】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図8】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3及び他方の躯体4間に設置された床用目地装置である。
【0014】
なお、左右方向とは図1(平面視)における左右方向(目地プレート7の長手方向)であり、前後方向とは図1における上下方向(目地プレート7の幅方向、前記長手方向と直交する方向)、上下方向とは図2における上下方向(目地プレート7の厚さ方向)をいう。
【0015】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0016】
本実施形態の床用目地装置1は、図1乃至図3に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、他方の躯体4に形成された第2の目地プレート支持部6と、前記第1の目地プレート支持部5に一端部側が支持された状態で取り付けられていると共に、前記第2の目地プレート支持部6に他端部側が支持され、かつ前記目地部2を塞ぐ本発明の目地プレート7(例えば図4を参照)とで構成されている。
【0017】
一方の躯体3には第1の目地プレート支持部5が形成されており、この第1の目地プレート支持部5は、例えば図2に示すように、本実施形態では一方の躯体3の目地部2側の床面に前後方向に延在するように形成された凹所状の部位で、後述する目地プレート7の一端部の前後側の両端部に設けられた杭ケース8に挿入される係止杭9が設けられている。なお、一方の躯体3の目地部2側の壁面に略アングル状又は略クランク状等の金属製の部材を固定し、第1の目地プレート支持部5としてもよい。
【0018】
他方の躯体4には、第2の目地プレート支持部6が形成されており、この第2の目地プレート支持部6は地震時に目地プレート7が左右方向に摺動できる程度の長さに形成されている。また、第2の目地プレート支持部6の目地部2と反対側の端部には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、目地プレート7が乗り上げる乗り上げ傾斜面10が形成されている。
【0019】
本発明の目地プレート7は、通常時において、例えば図1図2で示すように、一端部に形成された杭ケース(例えば平面視四角形状)8に第1の目地プレート支持部5に設けられた係止杭9が挿入され、取付状態で一端部が支持され、他端部が第2の目地プレート支持部6に直接又は間接的に(支持プレート等を介して)支持された状態で目地部2の上下方向(図1を基準)に複数個、望ましくは略隙間なく設けられている。なお、本実施形態では、約2mm程度の間隙を有して配置されており、略隙間なくとは、隣り合う目地プレート7が当接状態で配置されている状態だけでなく、若干、数ミリ程度の間隙を有して配置される場合も含まれるものである。
【0020】
この目地プレート7は、例えば図4及び図5に示すように、平面視略長方形状の金属製目地プレート本体11と、この目地プレート本体11の長手方向の一端部の両側部に設けられた前記杭ケース8と、目地プレート本体11の幅方向(図5を基準にすると、上下の厚さ方向と直交する左右の方向)の一方と他方の側面11aにそれぞれ形成され、かつ該目地プレート本体11を吊り上げるための吊り上げ具12が係合可能な断面視略クランク状の凹所13と、前記目地プレート本体11の内部に充填されたモルタルやコンクリート等の充填部材14と、この充填部材14の上面に貼り付けられた大理石等のタイルやレンガ等の化粧板15と、目地プレート本体11の他端部側(図4参照)にヒンジ部材16を介して取り付けられたカバープレート17と、前記凹所13の少なくとも一方に接合するように添設された長杆状の樋19とで構成されている。
【0021】
ところで、本実施形態においては、上面が平坦な目地プレート本体11を用いているが、左右方向(長手方向)に傾斜がある目地プレート本体11や、前後方向(長手方向と直交する方向)に傾斜がある目地プレート本体11を用いてもよい。また、浅皿状の目地プレート本体11の内部に目地プレート本体11の長手方向に延在する複数のリブや格子状のリブ等の補強材(図示せず)を固定的に設けてもよい。このような補強材を設ける場合、目地プレート本体11の内部の底部に補強材の下端部を溶接等により固定し、その後充填部材14を充填する。
【0022】
本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体11を用い、この目地プレート本体11の内部に充填部材14を充填し、化粧板15を設けたものを用いたが、例えば板状(中実)の目地プレート本体11を用いた目地プレート7としてもよいし、化粧板15やカバープレート17等を備えない目地プレート7としてもよい。
【0023】
凹所13は、目地プレート本体11の下側が小寸法となる(目地プレート本体11の底面の寸法が上面の寸法よりも小さくなる)形状の断面視略クランク状に形成されており、目地プレート本体11の幅方向の側面11aに左右方向に延在するよう、全面に形成されている。この凹所13には断面視略上向きコ字状の樋19が取り付けられており、この樋19の幅方向の略中間部が目地プレート本体11の幅方向の端部の下方に位置し、好ましくは凹所13の側面13aに当接するような形状に形成されていることが望ましい。
【0024】
この樋19は、断面視略上向きコ字状で、目地プレート7を目地部2に設置した際に、少なくとも目地部2の上部に位置する部位をカバーできる長さに形成されている。本実施形態では目地プレート本体11の一端部側から他端部側全体にかけて設けられており、かつ、目地プレート7の間から滴り落ちた雨水が第2の目地プレート支持部6に雨水が流れるような下り勾配となるように設けられている。なお、傾斜した樋19の下端部が目地プレート7の底部よりも上方又は略面一となるように取り付けられる。
【0025】
この樋19は、本実施形態では、一方の凹所13にのみ設けているが、両方の凹所13にそれぞれ樋19を設けてもよい。このような場合には、樋19を取り付けた目地プレート7と、樋19を取り付けていない目地プレート7を交互に配置することにより、目地プレート7の間の間隙から滴り落ちる雨水等を確実に受けることができる。
【0026】
この樋19で受けた雨水は、本実施形態では、樋19を伝って他方の躯体4の第2の目地プレート支持部6に流れ、この第2の目地プレート支持部6から他方の躯体4の壁面に設けられた排水樋20に流れ落ちて排水される。そのため、第2の目地プレート支持部6には排水樋20に雨水が流れるように溝状の傾斜部を形成したり、第2の目地プレート支持部6自体をやや傾斜させるとよい(図示せず)。なお、排水樋20を設けず、第2の目地プレート支持部6から外部へ雨水を排出できる排水手段等を設けてもよく、樋19を第1の目地プレート支持部5に雨水が流れるような傾斜にするとともに、一方の躯体3の壁面に排水樋20を設けてもよい。また、この排水樋20は雨水等を排水できるものであれば、どのような形状、寸法、材質であってもよい。
【0027】
凹所13は、本実施形態では、目地プレート本体11を吊り上げるための吊り上げ具12が係合可能な断面視略クランク状形成されており、樋19は、吊り上げ具12の係合を妨げないように、その上部が凹所13の上端部からやや間隙を有するように取り付けることが望ましい。このように取り付けることにより、吊り上げ具12が係合できるとともに、樋19により雨水を受けることができる。
【0028】
ところで、目地プレート7の上面にはこの凹所13はあらわれず、使用状態において、凹所13が目視できない状態となるため、化粧板15等の目地プレート上面にあらわれる模様等が損なわれることなく、美観を維持することができる。
【0029】
目地プレート7は使用状態においては前後方向に数ミリ程度、本実施形態においては前後方向に2mm程度の間隔を有して略隙間なく設置されており、吊り上げ具12はこの隙間から挿入可能で、かつ、凹所13に係合可能なものが用いられる。例えば、本実施形態では図6に示すように、金属板を略アングル状に折り曲げた1対の吊り上げ具本体12aと、この吊り上げ具本体12aを連結するように固定されたバー部材12bとで構成されるもの等が用いられる。このバー部材12bをクレーン18等に連結し、クレーン18等で目地プレート7を吊り上げ、メンテナンスを行う。
【0030】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図7に示すように、目地プレート7は第2の目地プレート支持部6の乗り上げ傾斜面10を乗り上げて地震による揺れ動きを吸収する。
【0031】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図8に示すように、目地プレート7が左右方向に摺動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0032】
なお、本発明の実施形態では、化粧板やカバープレートを備える目地プレートについて説明したが、これらは必ずしも設ける必要はない。
【0033】
また、本発明の実施形態では、目地プレートの前後方向の側面にのみ凹所を形成したが、目地プレートの左右方向(長手方向)の側面にもさらに凹所を形成してもよい。
【0034】
さらに、本発明の実施形態では、凹所を吊り上げ具が係合できるような形状に形成し、樋も吊り上げ具の係合を妨げない位置に設けたが、吊り上げ具を使用する必要がない場合等には、このような構成を採用しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0036】
1:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7、7A:目地プレート、 8:杭ケース、
9:係止杭、 10:乗り上げ傾斜面、
11:目地プレート本体、 12:吊り上げ具、
13:係合部、 14:充填部材、
15:化粧板、 16:ヒンジ部材、
17:カバープレート、 18:クレーン、
19:樋、 20:排水樋。
【要約】
【課題】主に目地プレートの製造設備の合理化を図ると共に、設置後の目地プレートの間から落下する雨水を受けることにより、躯体間の目地部の下方に雨水が落下することを防止できる目地プレート及雨水落下防の役割を果たす目地プレートを備える床用目地装置を提供すること。
【解決手段】幅方向の一方と他方の側面にそれぞれ凹所を有する目地プレート本体と、少なくとも前記凹所のいずれかに設けられた樋とで構成され、前記樋は、前記目地プレート本体の幅方向の端部から落下した水を受けることができると共に、前記目地プレート本体の長さ方向に傾斜している目地プレート。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8