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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】運搬容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20240222BHJP
   B65D 67/00 20060101ALI20240222BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B65D19/44 D
B65D67/00 E
B65D77/26 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023193079
(22)【出願日】2023-11-13
【審査請求日】2023-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特許第7215795(JP,B1)
【文献】特開2021-38003(JP,A)
【文献】特開2007-161314(JP,A)
【文献】特許第7007006(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/44
B65D 67/00
B65D 77/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において平行に対向する一対の辺部を有し、収容すべき製品に合わせて成形されている受け材と、
平行に対向する対辺を有する主面部と、前記主面部の夫々の対辺から直角に延びた一対の枠部とを具備する棚板と、
前記棚板と受け材とを締結する樹脂で一体成形された固定具とを具備し、
前記棚板には、切り取られた開口の対となる平行な第1、第2の縁部であって、第1の縁部が前記枠部側に、第2の縁部が前記主面部側に設けられた取付基礎を具備しており、
前記固定具は、帯状の第1基部と第2基部が側面視L字状に連結され、前記第1基部の長辺に沿って2つの押さえ部が間隔を開けて前記第2基部と対面するように平行に突出し、前記押さえ部の夫々の背面側には前記第1の縁部に係合する第1鍵部が設けられ、また、前記第2基部の先端には前記第2の縁部に係合する第2鍵部が設けられ、かつ前記第2基部から前記2つの押さえ部の間の空間を通るようにフィンが突出しており、
前記受け材は、被把持構造が前記一対の辺部それぞれ成形されており、前記被把持構造は、前記固定具の2つの押さえ部と前記主面部との間に夫々が挟み込まれる一対のフランジ部が設けられ、かつ前記一対のフランジ部の間に前記フィンを覆う袋部が形成されており、
前記第1鍵部が第1の縁部に係合し、前記第2鍵部が第2の縁部に係合したとき、前記押さえ部と主面部の間に、前記フランジ部が挟み込まれることを特徴とする運搬容器。
【請求項2】
請求項1に記載の運搬容器において、前記棚板は、一定の間隔に固定された2つのアングル材により形成されていることを特徴とする運搬容器。
【請求項3】
請求項1に記載の運搬容器において、前記受け材は、真空成形により形成された受け材であることを特徴とする運搬容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の受け材を金属板に載せて固定し、金属板をフレームに取り付けて組立てられる運搬容器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
工場間で例えば自動車部品などの重量製品を運搬する運搬容器では、金属製の棚板に受け材を載せ、受け材に製品を載せている。受け材は、ポリプロピレンなどの熱可塑性シートを加熱軟化させ、真空成形型によって、真空圧力で変形させて冷却する公知の真空成形の手法で作成される。受け材は、製品が傷付き若しくは変形しないように受け止めるために、ある程度製品の形状に倣った形状が形成されている。一方、棚板は、製品の重量を支える。
【0003】
棚板と受け材とを接続するには、接着テープを利用する方法、リベット等の固定具を利用する方法がある。接着テープを利用する場合、粘着固定しているため、使用後の運搬容器についてはリサイクルできず産廃処理になる。また、接着不良が発生する可能性がある。一方、受け材を棚板にリベット等の固定具を利用して固定する場合について、固定具を再利用することが検討されている。例えば、特許文献1には、固定具が分解可能であり、繰り返し利用することが可能な運搬容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7007006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リサイクルを考慮して分解可能な固定具は、リサイクルにより分解された固定具の部品を別々に管理する必要がある。そして、固定具の頭部若しくは尾部の構造が複雑であって、単なるリベットに比べて表裏面に大きく出てしまうことが避けられない。このような飛び出した固定具の頭部は、下段の納入製品へと干渉する場合があった。
【0006】
また、真空成形の受け材は、その周囲を平坦状の耳部で囲われている。受け材を棚板に固定する際に、四隅の耳部のみを固定具で固定するだけでは、端部が浮き上がったり、ズレたりする。そして固定具の数が少ないと、固定具に荷重が集中し破損、脱落し、固定具自体が異物となり製品に混入する危惧があった。よって、受け材の周囲を多数箇所で固定する必要があり、受け材の設計の制限の一つにも挙がっていた。
【0007】
耳部の内側の受け材の盛り上がった箇所は受け材と棚板との間が空洞になるので、このような場所を固定具で固定する場所として選択するのは不適である。仮に、このような場所を選択すると、受け材に反発性がないので締結具合が不明瞭になる。それにより、締め込みすぎ・締め込み甘さに伴い、受け材が脱落・破損する恐れがある。
【0008】
固定具を取り付ける場所を受け材の内側に用意すると、受け材の設計に影響し、かつ製品収納数が減少することもある。さらに、固定具を取り付けるための受け材へ穴開け加工が必要となり、異物混入(バリ)の危惧もあった。
【0009】
本発明は、このような従来の固定具の問題点に鑑みて成されたもので、単一の固定具で棚板と受け材とを接続した運搬容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の運搬容器は、平面視において平行に対向する一対の辺部を有し、収容すべき製品に合わせて成形されている受け材と、
平行に対向する対辺を有する主面部と、前記主面部の夫々の対辺から直角に延びた一対の枠部とを具備する棚板と、
前記棚板と受け材とを締結する樹脂で一体成形された固定具とを具備し、
前記棚板には、切り取られた開口の対となる平行な第1、第2の縁部であって、第1の縁部が前記枠部側に、第2の縁部が前記主面部側に設けられた取付基礎を具備しており、
前記固定具は、帯状の第1基部と第2基部が側面視L字状に連結され、前記第1基部の長辺に沿って2つの押さえ部が間隔を開けて前記第2基部と対面するように平行に突出し、前記押さえ部の夫々の背面側には前記第1の縁部に係合する第1鍵部が設けられ、また、前記第2基部の先端には前記第2の縁部に係合する第2鍵部が設けられ、かつ前記第2基部から前記2つの押さえ部の間の空間を通るようにフィンが突出しており、
前記受け材は、被把持構造が前記一対の辺部それぞれ成形されており、前記被把持構造は、前記固定具の2つの押さえ部と前記主面部との間に夫々が挟み込まれる一対のフランジ部が設けられ、かつ前記一対のフランジ部の間に前記フィンを覆う袋部が形成され、
前記第1鍵部が第1の縁部に係合し、前記第2鍵部が第2の縁部に係合したとき、前記押さえ部と主面部の間に、前記フランジ部が挟み込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運搬容器では、固定具は、1つの部材であり、従来のようにリサイクルにより分解された固定具の部品を別々に管理する必要がない。このため、使用するにも、又リサイクルするにも管理が容易である。また、固定具を棚板の切り欠き部に挿入する構造にしているため、運搬容器の平面視において露出しているのは固定具の押さえ部のみであり、収納製品の入数・配置の自由度を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】運搬容器を示す図であり、図1Aは斜視図、図1Bは受け材と棚板の斜視図である。
図2】固定具を示す図であり、図2Aは斜視図、図2Bは6面図である。
図3】受け材を棚板に取り付ける様子を説明する図であり、図3Aは棚板と受け材の一部拡大図、図3Bは固定具と取付基礎の位置関係を示す図である。
図4】固定具が、受け材と棚板に嵌合する様子を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明に係る運搬容器の実施例を説明する。
図1Aは、運搬容器が組立てられる様子を示している。運搬容器1は、フレーム2と、フレームに搭載される棚板10と、受け材20と、これらを締結する固定具30とを含んでいる。フレーム2の上段においては、図中左端に、固定具30により一体となった棚板10と受け材20が示されている。棚板10と受け材20は1つのセットになり、このセットの1つ又は複数個がフレーム2に取り付けられて、1つ又は複数個で製品を搭載する。図1Aの右端には、棚板10の上に受け材20が搭載されて、固定具30により固定されようとしている状態が示されている。フレーム2の中央の棚板10には、これから受け材20が搭載されて、その後に固定具30により固定される。なお、図1Bは、固定具30により一体となった棚板10と受け材20を拡大して示している。
【0014】
受け材20とは、樹脂製の成形部材であって、樹脂の射出成形による成形品、或いは、真空成形による成形品、若しくは射出成形と真空成形を併用した成形品(特許第7215795号参照)である。
【0015】
図2に固定具30を示す。図2Aは斜視図、図2Bは6面図である。固定具30は、樹脂による一体成形品である。固定具30は、帯状の第1基部31と第2基部32が側面視L字状に直角に連結されている。第1基部31は、図中に示すx、y、zによる3次元座標において、y方向を長辺の長さ方向とし、xy方向に広がる面を有する帯状である。第1基部31の一方の長辺31a側からz方向に向けて、第2基部32が設けられている。第2基部32は、y方向に長さ方向を有し、yz方向に広がる面を有する帯状である。第1基部31には、y方向に長さ方向を有する2つの押さえ部35が、長辺31aに沿うとともに、y方向に距離を開けて、z方向に突出して設けられている。2つの押さえ部35のy方向の端から端までは、距離L1である(図2B)。
【0016】
各押さえ部35は、第2基部32に対向して、yz方向に広がる当て面35aを有している。各押さえ部35の当て面35aは、第2基部32に対して距離eだけ離れて平行である。押さえ部35は、y方向の幅として距離t、z方向に距離sを有する。当て面35aの背面側には、xz方向に広がる面を有する多数の第1鍵部36が設けられている。第1鍵部36は、第1基部31と協働して、後述の取付基礎13の第1の縁部14に係合する箇所である。第1鍵部36のx方向の上側は、第1基部31との間に距離uを持つ溝36aが設けられている。溝36aの下側の部分が第1基部31と押さえ部35の間を接続して、押さえ部35を支えるリブとしての機能を有する。溝36aに第1の縁部14が進入することにより係合する。溝36aの底から第2基部32までの距離は、距離L2である。
【0017】
第1基部31と第2基部32の間を繋ぎ、y方向に延びる接続部33は、第1基部31と第2基部32の肉厚よりも薄く形成され、折曲げることが可能なようになっている。第2基部32には、樹脂を金型に射出して押さえ部35を成形するための金型の抜きしろとして開口32aが設けられている。
【0018】
2つの第2鍵部34の夫々は、y方向に距離を開けて第2基部32にz方向の先端に設けられている。それぞれの第2鍵部34は、第2基部32のz方向の先端32bから距離wだけy方向に後退した位置に根元部34aと、根元部34aのx方向の先においてz方向に突出した頭頂部34bを有している。
【0019】
第2基部32の先端32bと頭頂部34bとは距離を開けて対向している。そして、各根元部34aは、z方向に第1基部31から距離L3だけ離れた位置をz方向側の端にしている。また、2つの根元部34aのy方向の端から端までは、距離L4である。第2鍵部34と先端32bとの間に、後述の取付基礎13の第2の縁部15を挟んで係合する。
【0020】
フィン37は第2基部32からx方向に突出している。フィン37は、2つの押さえ部35の間の空間を通るようにx方向に突出している。フィン37は、第1基部31に対向する第1当て面37aを有している。第1当て面37aは、xy方向に広がる面である。第1当て面37aの両側には、左右一対の第2当て面37bがx方向に立ち上がっている。
【0021】
2つの第2鍵部34の間に、第2基部32はz方向に後退した解除溝37cを有している。解除溝37cは、フィン37のz方向前側に設けられている。解除溝37cは、後述する冶具が差し込まれる溝である。
【0022】
次に、図3Aを用いて棚板10について説明する。同図において、x、y、zによる3次元座標が付記されている。棚板10は、金属製の板材から形成されている。棚板10は、受け材20を搭載するyz方向に広がり平行に対向する一対の対辺12aを有する主面部12と、当該対辺12aからx方向に直角に延びた一対の枠部11とを有する。本実施例においては、主面部12は長方形状であり、主面部12の対辺12aはy方向線上にある。一対の枠部11はz方向に間隔を開けて配置されているが、この間隔は受け材20のz方向の長さである。
【0023】
棚板10には、所定の切断加工が施されて取付基礎13が形成されている。取付基礎13は、枠部11と主面部12に跨がって切り取られた開口の縁部14、15に相当する。取付基礎13は、枠部11においては、長辺31aからx方向に距離L2の位置に、y方向に距離L1の第1の縁部14が形成されるように長方形状に切り取られている。また、取付基礎13は、主面部12においては、長辺31aからz方向に距離L3の位置に、y方向に距離L4の第2の縁部15が形成されるように長方形状に切り取られている。縁部14、15ともにy方向に長さを持つため、互いに平行である。本実施例においては、距離L1と距離L4を等しくしており、棚板10を平面状に展開すれば、取付基礎13による開口は、長辺を距離L1、短辺を距離(L2+L3)とする長方形状の開口になっている。
【0024】
図3Aにおいて、受け材20には所定の成形により被把持構造21が形成されている。受け材20は、平面視において平行に対向する一対の辺部20aを有し、収容すべき製品に合わせて成型されている。対抗する一対の辺部20aには、被把持構造21がそれぞれ成形される。受け材20の被把持構造21以外の凸状構造箇所は、収容すべき製品に合わせて、成形されている。本実施例においては、受け材20は平面視長方形である。
【0025】
対抗する一対の辺部20aの被把持構造21は、同一の形状であるので、図3Aにおいて手前側に現れた被把持構造21のみについて説明する。被把持構造21は、固定具30の2つの押さえ部35と棚板10の主面部12との間に挟み込まれる2つのフランジ部22が設けられる。フランジ部22は、受け材20の周辺に、側面視において水平な板状の部分である。フランジ部22の端は、辺部20aである。2つのフランジ部22の間に、xy方向に広がる第1規制壁23aがx方向に立ち上がっている。第1規制壁23aの両側には、一対の第2規制壁23bがx方向に立ち上がっている。第1規制壁23aと一対の第2規制壁23bとにより、フィン37をy方向z方向で覆う袋部23を形成する。なお、受け材20を真空成形により形成することを想定しているため、第1規制壁23a、一対の第2規制壁23bともに、厳密にx方向に垂直に立ち上がっているわけではなく、成形の都合で、やや斜めになっている。
【0026】
第1規制壁23aは、フィン37の第1当て面37aが当接する面である。第1当て面37aが当接することにより、第1規制壁23aはz方向の移動が制限される。一対の第2規制壁23bは、押さえ部35の端面35b(図2B参照)に当接する面である。端面35bが一対の第2規制壁23bの一方に当接することにより、第2規制壁23bはy方向の移動が制限される。
【0027】
図3B及び図4は、取付基礎13に固定具30を取り付ける様子を説明する図である。取付基礎13の開口から、受け材20の被把持構造21が見える様に搭載する。固定具30の第2基部32を取付基礎13に向ける(図3B)。
【0028】
図4A-4Cは、取付基礎13に固定具30を取り付ける際の、受け材20、棚板10、固定具30の断面を示している。接続部33で第2基部32を第1基部31からやや折曲げる(図4A)。x方向下側からz方向に、斜めに押し上げるよう取付基礎13の開口に差し込む。このとき、リブ36は、取付基礎13の第1の縁部14に当接し、フランジ部22の下側は支えられていないので、フランジ部22が弾発力を貯めながら下降する。溝36aに取付基礎13の縁部14が嵌合した時点でフランジ部22がもとの形状に戻り、フランジ部22の上側に押さえ部35が配置される(図4B)。
【0029】
接続部33で折曲げた第2基部32を第1基部31と垂直になるように元に戻す(図4C)。第2鍵部34の根元部34aが弾性変形して、頭頂部34bが主面部12を乗りこえて、頭頂部34bと第2基部32の先端32bとの間に取付基礎13の縁部15が嵌合する(図4D)。以上により、固定具30による棚板10と受け材20の固定が終了する。
【0030】
受け材20のフランジ部22は、押さえ部35の当て面35aにより押さえられx方向の移動が拘束される(図4E)。受け材20のz方向の移動は、フィン37の第1当て面37aが受け材20の第1規制壁23aに当接することにより規制されている。また、一対の枠部11のz方向の間隔は受け材20のz方向の長さであるため、受け材20のZ方向の移動は、棚板10の枠部11でも規制することができる。受け材20のy方向の移動は、左右いずれかの第2規制壁23bが左右いずれかの押さえ部35の端面35bに当接するか、または、左右いずれかの第2規制壁23bが左右いずれかの第2当て面37bに当接することにより規制されている。また、押さえ部35のy方向の端から端までは距離L1であり、枠部11に形成された縁部14はy方向の距離L1になっている。そして、根元部34aのy方向の端から端までは距離L4であり、主面部12に形成された第2の縁部15はy方向に距離L4になっている。これらの距離の関係も、受け材20のy方向の移動の規制に寄与させることができ、このように、受け材20は、xyzの3方向で固定される。
【0031】
図4Fは、固定具30と棚板10との嵌合の様子を示すために、受け材20を取り除いて示した図である。第1鍵部36においては、溝36aの中に取付基礎13の縁部14が嵌合している。また、第2鍵部34においては、頭頂部34bが取付基礎13の縁部15の上側に出ている。
【0032】
受け材20を棚板10から外すときには、解除溝37cに、冶具JG(例えばマイナスドライバー)を差し込み、反時計回りに操作する(図4G)。この操作により、フィン37がz方向の奥側に押し込まれ、まず第2鍵部34の頭頂部34bが取付基礎13の縁部15から外れ、かつ冶具JGの反時計回りの操作により、取付基礎13から第2基部32が取り出される。解除溝37cの位置の後側に質量を持ったフィン37が存在しており、冶具JGによる操作によって固定具30が破損することを抑止している。後は、第1鍵部36を取付基礎13の縁部14に係合させたときと逆の手順で外すことができる。
【0033】
このように本実施例によれば、受け材20側に被把持構造21を設けなければならないが、これは受け材20を成形する本来の過程において、手順を増やすこと無く追加できるものであり、作業の負担には成らない。一方、固定具30は、1つの部材であり、従来のように2種類の部材を別々に管理する必要がない。このため、使用するにも、又リサイクルするにも管理が容易である。また、一部の箇所に破損が生じても、最悪、破損した破片が脱落するだけであり、固定具30本体の脱落、そして、受け材20の脱落を避けることができる。さらに、固定具30を棚板10の取付基礎13に挿入する構造にしているため、棚板10の主面部12下側に露出しているのは固定具30のxz平面状の第2基部32のみであり、x方向における収納製品に干渉することがない。
【0034】
尚、本実施例においては、棚板10は、受け材20を搭載するyz方向に広がる主面部12と、主面部12の対辺からx方向に折曲げられて形成された一対の枠部11とを有するものとした。これにかわり、並列に並べた2つのアングル材を用いて、一対の枠部11を形成し、2つのアングル材の間隔を一定になるように固定する部材で棚板10を形成しても良い。この場合、主面部12が一枚の板材でなく、z方向に所定距離をおいて中央に空間を設けたような形状となる。
【符号の説明】
【0035】
1 運搬容器
2 フレーム
10 棚板
11 枠部
12 主面部
12a 対辺
13 取付基礎
14 第1の縁部
15 第2の縁部
20 受け材
20a 辺部
21 被把持構造
22 フランジ部
23 袋部
30 固定具
31 第1基部
31a 長辺
32 第2基部
32a 開口
32b 先端
33 接続部
34 第2鍵部
34a 根元部
34b 頭頂部
35 押さえ部
35a 当て面
35b 端面
36 第1鍵部
36a 溝
37 フィン
37a 第1当て面
37b 第2当て面
37c 解除溝
JG 冶具

【要約】      (修正有)
【課題】単一の固定具で棚板と受け材とを接続した運搬容器を提供すること。
【解決手段】棚板10には、第1の縁部14が枠部11側に、第2の縁部15が主面部12側に設けられている。固定具30は、第1基部31と第2基部32が側面視L字状に連結され、第1基部31に2つの押さえ部35が第2基部32と対面し、押さえ部35の背面側には第1の縁部14に係合する第1鍵部36が設けられる。また、第2基部32の先端32bには第2の縁部15に係合する第2鍵部34が設けられ、2つの押さえ部35の間を通るようにフィン37が突出している。受け材20には、一対のフランジ部22と、その間にフィン37を覆う袋部23とを具備する被把持構造が形成されている。第1鍵部36が第1の縁部14に係合し、第2鍵部34が第2の縁部15に係合したとき、押さえ部35と主面部12の間に、フランジ部22が挟み込まれる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4